東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○三宅委員長 今村るか委員の発言を許します。
   〔委員長退席、大沢副委員長着席〕

○今村委員 それでは、都議会民主党として、今回の新銀行東京について、私ども全員でこの問題に取り組んでおります。つまりチーム一丸となってこの問題に取り組んでいるところであります。知事、真剣勝負の議論をぜひさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず私は、ファンド投資に絞ってお聞きしたいというふうに思います。
 平成十六年二月に出された新銀行マスタープランには、ファンドを通した中小企業への支援を行うとあります。また、ことしの二月二十日に出された新銀行東京再建計画にも、ファンドへの投資をふやし、平成二十三年末までに百億円の投資を予定しております。
 新銀行東京のファンドへの出資は、平成十九年十二月末時点で、出資コミット金額五十四億円のうち、既に四十五億円が投資をされています。
 そこで伺います。新銀行東京は、中小企業に融資をするためにつくった銀行と聞いておりましたが、なぜ融資よりもリスクの高い投資に対し、運用資金をふやすのでしょうか。新銀行東京は、自己資本比率四%を割り込むかもしれないという危機的な状況に陥ろうとしている銀行ですし、再建計画はリスクをある程度抑える必要があるのではないかと考えますが、まず知事の見解をお聞きします。

○石原知事 東京と日本の経済を支え、まさにこの国の宝であります中小企業の活力を維持するためには、円滑に資金供給がなされなければなりません。特に、創業間もない中小企業は、既存の金融機関から資金調達することが大変難しく、ここに効果的な支援をすることが大きな成長の源となります。
 新銀行東京は、これまでもファンドを通じて中小企業に対する資金供給を行い、実績を残してきました。再建計画では、今後もさらなる成長が期待される分野、業種をターゲットに重点的に支援することとしておりまして、創業期の中小企業を支援するために有効な手段の一つと位置づけております。
 都としては、新銀行東京が今までの実績をもとに、ファンド投資のリスク面にも十分配慮しつつ、成長が期待される中小企業を支援することは、独自の支援策として評価できるものと考えております。

○今村委員 知事は、ファンド投資のリスク面にも十分配慮しつつと答弁いたしましたが、ファンドへの投資は融資に比べてリスクが高いのは先ほど述べたとおりであります。
 ちなみに、現在十のファンド、四十五億円のうち二つのファンドで三十億円余りを投資しています。不安定な投資の運用益に、新銀行東京の再建をゆだねるのは不安にならないのでしょうか。まさに、新銀行東京の運命をファンドに預けてしまうことにもなりかねません。
 ご承知のとおり、バーゼルⅡでは、バーゼルⅠと比較してさらに細かいリスク管理を求められています。適切なリスク管理ができなければ、それだけ多くの引当金を積むか自己資金をふやすかしなければ、自己資本率が下がることになります。堅実な再建計画といえるのか、疑問を持たざるを得ません。
 新銀行東京再建計画には、ファンドは、既に十二本、枠五十四億円、損益累計約五億円の実績ありとありますが、今回予算特別委員会で配布された資料には十のファンドの情報しかありません。残りの二つのファンドの詳細を教えていただきたいと思います。

○佐藤産業労働局長 再建計画には、これまでの実績の累計が記載されておりまして、今回お示ししました予算特別委員会要求資料第188号、これは平成十九年十二月末現在の実績でございます。その差の二つのファンドは、既に売却されたものでございます。

○今村委員 ですから、その売却をしてしまった二つのファンドの詳細をお聞きしたわけですけれども、どうも東京は、その売却をしてしまったものについては、その内容を知らないようであります。まさに、ここにファンドの危機的な状況があらわれるのではないかというふうに思います。
 新銀行東京が契約したファンドの一覧について、次に伺います。運用期間はどのくらいになっているのでしょうか。

○佐藤産業労働局長 ファンドによりさまざまでありますけれども、三年から五年程度の運用期間のものが多く、その後、必要に応じて延長できる契約となっていると聞いております。

○今村委員 私のお聞きしたところによりますと、現在、中小企業ファンドが五%以上の利回りを確保しているということがありましたね。
 全体として、ファンドで今五億ほどの利益が上がっているかと思いますけれども、東京都に聞きますと、このプラスの利回りだけはご答弁をいただけましたけれども、マイナスの部分については、詳細はわからないということでありました。そうですね、間違いないですね、佐藤局長。

○佐藤産業労働局長 マイナス分については押さえてございませんけれども、マイナスの生じておりますのは、収益確保まで時間を要するベンチャーキャピタルファンドという性格のものに対しての投資でございます。
 利回りが上がっておりますのは、中小企業再生ファンド、これはお話のとおり、五%以上の利回りを確保しておりまして、全体としては既に五億円の利益が上がっているという状況でございます。

○今村委員 ご答弁をいただいたとおり、ファンド投資はリスクが大きく、加えて、その運用状況も公開されていないというところに大きな問題があります。
 都は、ファンドの運用状況を知ることができない。税金を原資とする運用方法として適さないのではないかという声がありますけれども、いかが思いますか。

○佐藤産業労働局長 ただいまの、銀行においてファンドに投資する、それが税金を原資とする運用方法として適さないのかというご質問であるとすれば、銀行は原資、税金だけでやっているわけじゃございませんで、預金者からお預かりした預金をもって利益を上げる、これが原則、銀行の性格ですから、そのことについてはご指摘は当たらないというふうに思います。

○今村委員 今お話がありましたけれども、なぜ新銀行東京がファンド投資をしなければならないのかということなんです。私は、これが疑問だというふうに思っています。
 既に、都もファンドを通じた中小企業支援の取り組みを行っているではありませんか。よくご存じでしょう。違いますか。平成十六年より、産業労働局の下で二つのベンチャー投資法人が設立され、そこから七つの有限責任組合に出資されています。これは、都が百億円を出資し、金融機関が運用者として有限責任組合に投資をするというものであります。
 既に、新銀行以上にファンドを通じた中小企業への支援を行っているではありませんか。都が直接資金を出した取り組みを行っているわけでありますけれども、なぜ、さらに新銀行東京を通じてファンドで中小企業への支援をふやす必要があるのでしょうか。
 銀行が今、危機的状況です。確かに運用益は大きいかもしれないけれども、こういった状況の中で、本当に再建プランにこういったファンド投資をしていっていいのかどうか、ちゃんとお答えください。

○佐藤産業労働局長 たびたび申し上げておりますけれども、今回の再建計画は、今までの実績に基づいて利益が上がっている部分を中心に組み立てた再建計画、そういう計画なんですね。ですから、それは、ファンド投資も今までの実績の中で利益を上げている部分、そういうところとして選ばれた計画であるわけです。
 それからもう一つ、東京都でもファンド投資をやっているではないかと。なぜ東京都が、公的な団体がファンド投資をやっているか。これはやっぱり、そういうベンチャー企業に対する資金需要、これがベンチャー企業にとっては非常に厳しいというのが世の中の状況なんですね。そこに一般の市中の金融機関からなかなか資金が回ってこない。いわゆる小さな生まれたての企業、そういうところの資金需要というのは非常に厳しいから、都でもそういうものをつくってやっているんです。
 ですから、そのほかにも東京都が出資している新銀行東京、それが中小企業、それも生まれたての中小企業、なかなか資金が集まらない中小企業に資金を供給していくと。その方法としてファンド投資をしていくことのどこが悪いのか、私にはよくわかりません。

○今村委員 そもそも新銀行東京は、貸し渋り、貸しはがしなど、資金繰りに苦しむ中小企業への融資をすることが大きな目標だったはずです。知事も先ほど述べましたね。融資で焦げつくならまだしも、投資で失敗して、都民の税金が入っているんです。都民の税金を毀損するようなことがあっては、本末転倒になるのではないでしょうか。
 新銀行東京がファンドを通じた投資を行う意義をもう一度お聞きします。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業に対する円滑な資金供給、これを使命としておりますことは、かねてたびたび申し上げておりますけれども、これまでも、融資だけではなくて、融資以外でも信金の協調保証、それからファンドを通じた資金供給など、可能な限りの方策を行ってきております。
 再生計画におきましても、事業の重点化に取り組むことによりまして、中小企業を総合的に支援して地域経済の活性化を実現させていくことと、そういうふうにしておりまして、ファンド投資は、特に創業期の中小企業を支援するための手段として重要な役割を果たすものであります。
 持てる機能を中小企業のためにフルに発揮をしていく、そういうことであります。

○今村委員 ファンドは出資者からお金を集めているわけですね。つまり、中小企業への支援は、このお金をもうけるためであります。ですから、まだ私は、知事がいうように融資、つまり本当に厳しい--全くファンドで運用してお金だけをどんどん集める。そこに預けるのは、もうほぼ、ちゃんと再生でも何でももうかる、それが見えているところにお金が流れているんじゃないですか。違いますか、私はそう思いますけれども。
 現在、独立行政法人の中小企業基盤整備機構もベンチャーファンドに出資を行っています。平成十八年度事業実績として、十のファンドと出資契約をし、出資契約額は八十七億円とのことです。今までの累積出資契約は七十六ファンド、累積出資契約額は四百七十三億円にも上ります。
 都が百億円、中小企業基盤整備機構が四百七十三億円、ファンドに出資しているわけです。このように、ファンドを通じた中小企業への支援は、これまでさまざまに展開をされています。このような中、改めて新銀行東京が再建計画の中でファンド事業を拡大する必要性はどこにあるのでしょうか。まさに、新銀行東京が無理をしてでも存在意義と収益をつくろうという姿勢にほかなりません。
 新銀行東京が支店や従業員を減らし、機関投資家のような組織になるのであれば、都が実施しているように、民間金融機関に委託した方が能力も高く、効率もよいのではないでしょうか。
 新銀行東京がファンド投資を行う意義は何か。その都のファンドを通じた中小企業への支援とどこが違うのか。知事、今までの議論を聞いてどう思いますか、見解をお聞きします。

○佐藤産業労働局長 我が国のベンチャーキャピタルファンド、それらに対する投資規模というのは、欧米に比べて極めて低い水準に低迷をしているのは事実であります。その活性化というのは、中小企業の創業支援等の観点から極めて重要だと思っておりますし、国や都などが連携をしてこれまでも取り組みを続けてきているわけです。今、委員がおっしゃったような、ご紹介があったのは、まさにそのことであります。
 しかし、今日においても、依然としてベンチャー企業への十分な資本や資金の提供が行われていない、こういう現実にあります。事実、東京には、ベンチャーキャピタル、ベンチャーファンド、これは全国の二分の一が集まっております。そういう中で、ベンチャーキャピタルの資金需要というのは、半分ぐらいが、資金があればまだファンドに投資できるのにと、そういう期待感を持っているという調査が昨年の十一月にも出ております。
 そういう中で、より多くの施策、手段を用意することというのは、これは当然、成長が期待される中小企業を支援するためには、ぜひとも必要なことだというふうに思っています。
 新銀行東京は、銀行という特性を生かしまして、ファンドを通じた投資にあわせまして、ファンドの投資先である中小企業に対して、直接融資により資金供給を行うことが可能でありまして、創業期の中小企業の育成において重要な役割を果たしていくものと、そういうふうに考えております。

○今村委員 局長のいうことは、よく理解をできるんです。私は、違いを教えてくださいといったんです。中小企業支援のためにファンドで支援をしていくことは、何ら異議がありません。もっとやるべきだということでもいいでしょう。東京都が今、既に百億、そして中小企業機構が四百七十三億出しているんです。もっとふやしてもいいじゃないですか、それだったら。
 なぜ--再建計画ですよ、今はまず再建する。知事がおっしゃっているように、三年後、単年度黒字を出すんだったらば--それは大きくもうかるかもしれない。うまくいけばもうかる。しかし、ファンドは、新銀行の融資よりも利益がどうなるかわからない。今は五%ですよ、うまくいっていても。利回りが。融資の方がいいんじゃないですか、直接中小企業に。安心・安全で、しかも東京の中小企業に対してきちっと支援をしていく、それこそが新銀行の役割ではなかったのではないかというふうに思うんですけれども、違いますでしょうか。
 ファンドへの投資は、中小企業を支援したという実績づくりのための思惑が先行し過ぎているように思います。また、ファンドの投資は、先ほど申し上げたとおり、大きなリスクがつきまとうことをもっと認識すべきだと思います。
 新銀行東京の再建計画は、融資は半減をし、そしてファンドへの投資は倍増になります。これでは、新銀行東京が何のために再建しようとしているのか、都民には大変わかりにくいのではないかというふうに思いますけれども、知事、違いますか。新銀行東京の質問については、これで終わりたいと思います。
 次に、社会的養護と法人監査についてお聞きをしたいと思います。
 十八年に児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は三千二百件に上り、年々増加の一途をたどっております。
 私は、昨年の第二回定例会の質問において、一時保護所の入所率を取り上げました。現在も、この一時保護所は満員状態が続き、百名以上の待機児童がいるといわれています。一時保護所に入らなければいけない緊急的な子どもが、東京に百名もあきを待っているという状況であります。
 来年度予算には、緊急整備としてのこの一時保護所の予算化がされていますが、一刻も早くもっとふやすべきだということを申し上げ、さらに、この一時保護の後に、家庭に戻らず児童養護施設や養育家庭で暮らす、社会的養護を必要とする子どもたちも増加をしています。
 子どもたちは、心に深い傷を受け、情緒的な問題を抱えている場合が多いといわれておりますけれども、こういった子どもたちに、家庭的な雰囲気で自立ができるよう、養育家庭やグループホームなどの家庭的な養護は大変効果的といわれています。
 しかし、一方で、少人数制のグループホームは、さまざまなトラブルが生じた際に、職員が一人で対応しなければなりません。大変苦慮することが多いと聞いておりますけれども、都として、グループホームの整備を進めるとともに、グループホームのバックアップ体制を強化すべきと考えますが、まず所見をお聞かせください。

○安藤福祉保健局長 虐待など、さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない子どもたちは、できるだけ家庭的な環境のもとで健やかにはぐくまれることが望ましいものであります。
 都では、グループホームや養育家庭などによります家庭的養護を推進しておりまして、来年度末には、グループホームを百十三カ所まで整備することとしております。
 また、児童へのきめ細かなケアや、職員への指導、助言を行うために、来年度予算案におきまして、グループホームを三カ所以上設置する児童養護施設に対しまして、グループホーム支援ワーカーを配置することといたしております。

○今村委員 グループホームへのサポートをぜひ強化していただきたいと思いますけれども、家庭的養護のもう一つの柱であります養育家庭の推進も重要です。
 都は、以前より養育家庭制度、ほっとファミリーの愛称をつけておりますけれども、これを推進しています。制度の拡大には、登録していただく家庭をもっとふやさなければなりません。
 いよいよ来月からは、養育家庭を舞台にしたNHKの朝のドラマがスタートいたします。大きな効果が期待できますけれども、ぜひこのPRについては積極的に取り組んでいただきたいというふうに申し上げまして、答弁は結構でございます。時間がありますので、次の質問にいきたいと思います。
 養育家庭の啓発活動とともに、養育家庭への支援体制も大変充実しなければなりません。来年度予算では、国の里親支援機関事業も予算化されています。新規登録家庭の掘り起こし事業や養育家庭への委託促進、さまざまな支援事業を再構築して一つにまとめた事業でありますけれども、児童相談所で行うことができるほか、乳児院などの施設やNPO法人への委託も可能とされています。
 私の選挙区の町田市では、八王子児童相談所の管轄でありますけれども、町田の養育家庭は児童相談所まで大変遠いので、相談を受けるのも大変です。里親を支援する機関は、身近にあった方がいいのではないでしょうか。
 里親支援機関事業については、養育家庭の方々の立場に立ち、より効果的な支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 養育家庭の支援につきましては、都はこれまでも、児童相談所におきまして、養育家庭担当の児童福祉司や養育家庭専門員等を配置いたしまして相談支援を行うとともに、子育ての悩みなどを話し合います里親サロンを実施してきました。
 来年度予算案におきましては、養育家庭の負担を軽減し、安心して子育てが行えるよう、里親支援機関事業を行うこととしておりますが、実施に当たりましては、都の社会的養護の中で力をかしていただいていらっしゃいます養育家庭の方々の声も、もちろん参考にしてまいります。

○今村委員 さて、こうした社会的養護のもとに育った子どもたちは、施設などを退所し、自立するに当たって、保護者から支援を受けられない場合が多くあります。その結果、さまざまな困難に直面することが多く見られます。就職や通学半ばで挫折するなど、困難に直面し、生活の場を失う場合も考えられます。自立した後、引き続き子どもたちを受けとめ、支えとなるようなセーフティーネットを充実させなければなりません。
 こうした子どもたちの再出発を、都が責任を持って支援していくことも必要と思いますが、所見をお伺いします。

○安藤福祉保健局長 施設から退所いたしました児童が、社会に適応できず生活の場を失った際に、再度の自立に向けて支援する仕組みは重要でございます。
 このため、来年度予算案では、高等学校への再入学や再就職に向けた資格習得の支援などを行うグループホームといたしまして、再チャレンジホームを創設することといたしております。

○今村委員 施設から一たん退所した児童は、再び施設に戻ることは難しいので、ぜひ大きな支援となるように期待をしたいと思います。
 また、既に自立をしている十八歳以上のこういった子どもたち、もう成人かもしれませんけれども、同じように自立に悩み、迷っている他の子どもたちの相談などを受けられれば、実体験に基づいたアドバイスが受けられる、そんな場所があれば大変大きな力になると思いますけれども、このような取り組みについても支援を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 施設等を退所した人々が地域において孤立することなく、健やかに自立することが重要でございます。
 このため、来年度予算案におきまして、児童養護施設等を退所した人々が同じ悩みを抱える者同士で気軽に集い、交流でき、さらにグループ活動の拠点としての役割を果たします、ふらっとホーム事業を開始いたします。

○今村委員 ぜひ期待をしたいと思いますけれども、場所が新宿であります。ぜひ今後は多摩地域での実施も含めて、取り組みを拡大していただきたいというふうに思います。
 次に、社会福祉法人の財務分析事業についてお聞きをしたいと思います。
 都は、来年度予算に、社会福祉法人の財務分析結果を活用して、法人の経営上の問題や不適切事例の早期発見と迅速な改善を法人とともに行い、法人運営の安定化を図るとしています。
 この事業について、昨年、ある新聞が、社会福祉法人の財務内容を東京都が公開する旨の報道を行いました。法人への改善指導なら理解をできますが、公表して利用者の選択に資することは、事業規模により、その収入の多寡が根本的に異なる法人の不利益になるのではないかと考えます。
 そこで、財務分析結果の活用方法についてお答えをいただきたいと思います。

○安藤福祉保健局長 社会福祉法人の財務分析強化事業は、毎年度、社会福祉法人から提出されます決算状況報告書によりまして財務状況等を調査、分析し、経営上の問題点や施設運営に係ります不適正事例の早期発見と迅速な改善を行うものでございます。
 財務分析の結果、早急な改善が必要と認められる場合には、効果的な指導検査を実施するなど、法人運営の健全化とともに、サービスの質の向上につなげていくものでございます。

○今村委員 次に、防災対策、耐震診断、耐震補強だけではなく、まちづくりの視点も含めて質疑をしたいと思います。
 東京都では、二〇〇六年より、分譲マンションなど集合住宅への耐震診断助成を開始しています。対象となる新耐震基準前に建設された集合住宅は、都内に推計約二十二万戸とされています。昨年度は、この助成制度を利用したものが二千戸とのことですが、このペースでは、とても二〇一五年までに耐震化率九〇%の目標には近づけません。
 先ほど、木造住宅を中心とした耐震化の促進を求める質疑がありましたので、私は、この質問については答弁を省略させていただきますけれども、この集合住宅については、今年度見込みが五千戸であります。二年間の耐震化率、これがたったの三%でありますので、いかに厳しいかというのがよくご理解をいただけるかと思います。
 旧耐震基準で建設された集合住宅は、建物自体が老築化しているだけではなくて、設備なども陳腐化しており、単純に耐震化を図るだけでは居住者の満足は得られず、さらに区分所有者の経済的事情などがあり、建てかえへの合意形成を図ることも大変厳しいものがあります。
 特に、かつての住宅・都市整備公団、現URや住宅供給公社などが分譲した大規模団地は階段型と呼ばれ、エレベーターの新設もしにくく、区分所有者の数も多く、耐震化どころではない状況にあります。都の改修事業への利子補給や都市居住再生促進事業では、改修費負担が重たくなり、利用しにくいものになっているのではないでしょうか。もちろん、改修にあわせ、エレベーターの設置などにも補助を出さないと有効な対策にならないと考えます。
 このままでは、ますます居住者は高齢化し、団地全体の活力がなくなってしまいます。URや公社の団地については、国策など公が主体となって推進された経緯もあり、単純に私有財産だからと自助努力に任せていては、いつになっても問題は解決しないでしょう。被災者生活再建支援法では、個人の住宅本体への給付が可能となっています。大規模ゆえに周辺のまちづくりにも多大な影響を与えかねないこの問題についても、何らかの公的支援が必要と考えます。
 都はこうした視点を視野に入れて、大規模団地などの集合住宅の建てかえに向け、国への働きかけも含め、どのような支援を行っていくのかお伺いします。

○只腰都市整備局長 大規模団地でございますが、区分所有者の数が多い上に居住者の高齢化も進むなど、建てかえに当たりまして合意形成等の課題がございます。
 そのため、都はこれまでも、建てかえアドバイザー制度等によりまして、管理組合に対しまして建てかえのための情報提供等の支援に努めるほか、一定の要件を満たす場合は、建てかえ費用の一部を区市等を通じて補助をしております。
 今後とも、良質な住宅ストック等の更新と良好な住環境の形成に向けまして、施策を重層的に推進するとともに、合意形成の促進に向けた法整備につきまして国に要求してまいります。

○今村委員 次に、障害者雇用について質疑をしたいと思います。
 資料をお配りしたいと思いますけれども、ここにある表をごらんいただきたいと思います。(パネルを示す)障害者雇用促進法は、法定雇用率を達成していない団体に対して採用計画の義務づけをしています。この計画の達成度が低い場合には、国は任命権者に対し適正な実施勧告を出しますが、警視庁、消防庁、教育庁、この三庁は、残念ながらこの勧告を受けています。知事部局とこの三庁には、法定雇用率、この差で大きな差があるのがご理解いただけると思います。警視庁、消防庁の現場を支える職員は法定雇用率に含まれておりませんけれども、三庁とのヒアリングを通し、改めて、知事部局と違い、雇用率達成は大変困難であることを実感いたしました。
 そこで、今回は、直接の法的義務はありませんけれども、法の推進を行う産業労働局、福祉保健局、そして総務局に、この警視庁、消防庁、教育庁の現在のこうした現状をどう認識してきたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 それからまた、これまでどのような連携があったのかなかったのか、お伺いをいたします。

○押元総務局長 東京都職員の採用につきましては、警察職員は警視総監が、消防職員は消防総監が、教職員は教育委員会が任命権者として、それぞれの職員を採用する権限を有しております。
 ご指摘のありました障害者法定雇用率を達成していない各任命権者におきましては、身体障害者の方を対象とした採用選考や、障害の種別に応じて受験の際に必要な配慮を行うなど、法定雇用率の達成に向け、鋭意取り組んでいるものと認識をしております。

○安藤福祉保健局長 ただいま総務局長からご答弁申し上げたとおり、警視庁、東京消防庁、教育庁におきましては、法定雇用率の達成に向け、鋭意取り組んでいるものと認識をしております。

○佐藤産業労働局長 ただいま両局長からご答弁申し上げたとおり、警視庁、東京消防庁、教育庁において、障害者法定雇用率の達成に向け、鋭意取り組んでいるものと認識しております。

○今村委員 皆さんお聞きしたとおりであります。何が聞きたかったかといいますと、法的な義務があるわけではありませんけれども、一般の都民から、またはその指導を受ける企業から見たら、この三庁と知事部局、この東京都庁は同じ一つのものに見えるのではないでしょうか。
 先ほど示したとおり、この知事部局、これは障害者の実質雇用率が三・〇九であります。昨年は全国トップ、現在は全国でも二位であります。それに比べて、このように国から勧告を受けるという、大変不名誉なことではないですか、知事。違いますでしょうか。
 同じ仲間として、ぜひこの問題については、知事の強いリーダーシップがあって、お役所の縦割りの仕事ではなくて、同じ仲間として--この仲間の皆さんが一生懸命働いて障害者の雇用について努力をしているわけですよ。でも、なかなかそれが達成できないということに、どうして助けることができないのでしょうか。知事、どう思いますか。不名誉なことではないですか。

○押元総務局長 東京都職員の採用については、先ほど申し上げましたとおり、各任命権者にそれぞれの職員を採用する権限がございまして、各任命権者において、先ほど来、今村委員がご指摘のような障害者法定雇用率の達成に向け、鋭意取り組んでいるものと認識をしております。
 特に警視庁と消防庁につきましては、間もなく法定雇用率を達成できると聞いております。

○今村委員 この役所の縦割りの機構ですね、これをやっぱり、問題解決のためには協力していかなければいけないんじゃないですか。鋭意努力していると思います、それで本当にいいんですか。仲間たちがこうやって国から指摘されているんですよ、知事、この東京の警視庁が。しかも、皆さん一生懸命頑張っているんですよ。よくそれはヒアリングでわかりました。
 それでは、次の質疑に移りたいと思います。
 モータースポーツ、自動車文化についてでありますけれども、ことしはトヨタが生産台数でGMを抜き世界一位になるなど、マスコミをにぎわせたのは記憶に新しいところであります。
 東京都においても、三宅島の復興支援としてですけれども、モーターサイクルフェスティバルの支援を行いました。
 私は、昨年の都議会二定で自動車文化への支援の検討を提案いたしましたが、生活文化スポーツ局はできない、また、今回、産業労働局にこうした自動車関連事業への支援を行えるかどうか聞きましたけれども、そういった事業はないというお答えがありました。
 そこで、少し視点を変えて、自動車税のグリーン税制について注目をしてみたいと思います。
 先ほども質疑がありましたけれども、東京都においては十年を超えると重課が課せられます。これは新しい車との性能を見れば理解をするものであります。しかし、自動車は二十年や三十年、こういった過ぎたものは、商用というよりも、どちらかというとファーストカーよりも趣味的なセカンドカー的な使われ方になります。最近は環境問題の高まりで、フードマイレージ、ウッドマイレージなどという言葉もよく聞かれるようになりました。今の時代は、温暖化防止のためにどれだけCO2を出さないのかが大切な視点になります。
 このことによって、主税局に、例えば私が、この重課を軽課にすることができないのかということをお聞きいたしますと、二定でお答えがあったとおり、それはできません。これも当然ですよね。先ほどの議論と同じです。つまり主税局は、その決められた税額をユーザーから徴収をする、その義務を負っています。グリーン税制は、いわゆる環境対策に対しての政策でありますので、こうした問題は、知事、まさにこの知事部局含めて東京全体でどう持っていくのか、政策的な判断であるというふうに思います。
 私は、こうしたことから、例えば二十三年とか三十三年過ぎたようなこんな自動車に対する軽課を行ってもいいのではないかというふうに思いますけれども、最後に知事にお聞きしたいというふうに思います。
 この国は、世界のトヨタを生んだにもかかわらず、自動車文化、モータースポーツへの理解などがおくれているのではないでしょうか。私は都においても何らかの支援を検討してもいいのではないかというふうに思います。
 最後になりましたので、ここで、先ほど生活文化スポーツ局が、そういった支援はできないというふうにいいましたけれども、その後、昨年二〇〇七年九月二十三日から二十四日、これはお台場ですね、モータースポーツジャパン二〇〇七フェスティバル・イン・お台場という事業が開かれました。これについては東京都港湾局が後援していますね。生活文化スポーツ局長、知っていましたか。警視庁も後援、協力をしているんですよね。私はいいというふうに思いますけれども、知事、こうしたことも含めてご答弁をいただきたいというふうに思います。

○熊野主税局長 自動車のグリーン税制は、都が国に先駆けまして平成十二年に導入いたしまして、平成十四年から国の制度として実施されております。この制度は、低公害車の普及促進を図るために、環境負荷の小さい自動車の税負担を軽減するとともに、新車新規登録から十年を超えるディーゼル車、十三年を超えるガソリン車につきまして自動車税の一〇%重課を行っているものでございます。
 一般的に、一定年数を経過した自動車は環境負荷が大きいということから、このような措置がとられているものでございまして、ご指摘の二十三年、あるいは三十三年を経過した車と走行距離の関係も必ずしも明確でない中で、こうした車のみ重課の対象から除外することは適当ではないと思っております。
 また、ご指摘のように古い車を趣味でお持ちの方ということもあろうかと思いますけれども、そういった方々は担税能力がある方々でございますので、ぜひ応分の負担をいただくことがいいのではないかと思っております。

○今村委員 知事、今の言葉を聞いて、もう一度ご答弁いただけませんか、自動車の文化について。

○石原知事 サッカーも野球も文化とされておりますが、文化なるものの規定というのは非常に多様だと思いますけれども、私はやはりモータースポーツも一つの文化だと思います。私が長年手がけてきましたヨットも同じだと思いますが、なかなか文化として定着しないうらみがございます。

○大沢副委員長 今村るか委員の発言は終わりました。(拍手)

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