東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○大沢副委員長 菅東一委員の発言を許します。
   〔大沢副委員長退席、委員長着席〕

○菅委員 それでは、質問をさせていただきます。
 私どもの城北地域は、都内でも有数の産業集積地でありまして、東京都全体の産業発展を支えてきた歴史を持つ地域であります。今でも多くの中小企業がこの地域で頑張っております。
 その城北地域には、産業技術研究センター西が丘本部があり、地域の中小企業は、身近な支援機関として依頼試験や技術相談等の利用をしてまいりました。まさに同センターは、城北地域の中小ものづくり企業の活性化にとって欠かすことのできない産業支援施設であります。
 既に平成十八年に都が発表している内容でありますけれども、産業技術研究センターの西が丘本部と駒沢支所を移転、統合し、平成二十三年度に区部産業支援拠点として江東区に整備することが予定されております。しかし、同センターの西が丘本部が江東区へ移転してしまいますと、板橋区や北区から試験を依頼するために往復一日がかりになってしまうなど、城北地域の中小企業にとって利便性の大幅な低下が危惧されます。
 そこで、産業技術研究センターの移転について幾つかお伺いいたします。
 まず、工業の製造品出荷額等で見ますと、板橋区が二十三区内で第二位、北区が第七位となっており、都内のものづくり産業にとって大変重要な地域といえます。
 これに加え、板橋区、北区で健康、医療、福祉関連産業の活性化を図るKICCプロジェクトを推進しており、新産業創出の拠点としても、その存在感を示しているところであります。
 東京都においても、ぜひこの城北地域を重要な産業集積地として戦略的に位置づけていただきたいと考えております。こうした城北地域のものづくり産業の地位や重要性について、都の認識についてまず伺っておきます。

○佐藤産業労働局長 城北地域におきまして、板橋区、北区の合計で都内の製造品出荷額の約一割を占めているとともに、精密機器、また健康関連産業など、付加価値の高い産業が立地をしております。
 また、城北地域には、工業系用地が連なって存在するなど、ものづくり産業の集積地域といたしまして重要であるというふうに認識をしております。

○菅委員 ただいまの答弁で、城北地域が東京のものづくり産業にとって重要な地位を占めているということであります。
 しかし、こうした中で、西が丘本部の移転計画が一方では着々と進められております。移転の計画としては、平成十八年度から既に基本設計、実施設計が進められており、平成二十年度からは工事を行い、現在地での業務は平成二十二年度で終了すると、こういうふうに聞いております。まさに城北地域での業務終了があと三年に迫っているという状況であり、このままでは城北地域に都の産業支援施設が全くなくなってしまうということであります。地元では、精神的な支えになっていた身近な支援機関がなくなってしまうということで、大変な危機感をさらに強く持つようになっております。
 城北地域は、都内有数のものづくり産業の集積地であるにもかかわらず、なぜこのようなものづくり企業の多い地域から移転しなければならないんでしょうか。改めて西が丘本部の移転の必要性について伺います。

○佐藤産業労働局長 ものづくり産業の国際競争が激化する中で、中小企業におきましても絶えず技術の高度化を図らなければその存続が困難な状況となっております。それに伴いまして、中小企業の支援ニーズも高度化、多様化をしてきております。
 こうしたニーズにこたえていくためには、老朽化した施設、また機器を一新しますとともに、人材や施設等を集約いたしまして、技術支援を抜本的に強化していくことが重要であるというふうに考えております。
 また、老朽化した現在の西が丘庁舎におきまして、事業を継続しながら、施設の更新のために長期にわたる工事を行う、こういうことは振動や騒音によりまして試験研究に支障を来すなど、こういった理由から困難でありまして、江東区の青海に移転することとしたものでございます。
 城北地域の中小企業者にとりまして、西が丘に比較して遠くなることは事実でございますが、新たな産業支援拠点におきまして質の高いサービスが提供可能になることで、メリットも大きいというふうにも考えております。

○菅委員 確かに、新たな産業支援拠点の整備によりまして、高度な技術支援、中小企業のニーズに合った支援が展開できるなど、東京都全体の中小企業振興にとって意義のあるということはよくわかります。しかし、地元にも一定の配慮をしてほしいというのが率直な意見であります。
 西が丘本部の移転後には、約一万坪の広大な跡地が発生いたします。城北地域の地元の産業団体や商工会議所からは、仮に移転統合が行われた場合でも、現在の場所に何らかの形で機能を残してほしい、城北地域の中小ものづくり企業への支援を継続してほしい、こういう強い要望が出ております。
 跡地については、地元の中小企業者や自治体の意見、要望を踏まえて、産業振興のために有効に活用すべきだと、こういうふうに考えます。現在、移転後の西が丘本部の跡地活用について、都ではどのように考えているのか、お尋ねをいたします。

○佐藤産業労働局長 産業技術研究センター西が丘本部の跡地活用について、これにつきましては現在のところ未定でございます。
 跡地につきましては、地域の特性に加えまして、周辺地域の状況ですとか、多様な行政ニーズを考慮しながら活用を決めていく、こういう必要があるというふうに考えております。
 なお、今年度、板橋区、北区と産業振興につきまして都との意見交換を実施いたしました。今後とも、こうした産業振興についての地元中小企業者、自治体等の意見を聞きながら、総合的に検討してまいります。

○菅委員 よろしくお願いします。
 実は三月七日に、私ども、地元自民党の板橋の区議団と蒲田にある中小企業支援センターというところに視察に行きました。私ども同僚が、本当にうらやましい、大変すばらしいと、よだれの出るような思いをしました。こういう話を区議会の連中がやっておりました。
 いろいろと経費の問題、いろんな問題があろうかと思いますけれども、ぜひ中小企業、知事さんも、中小企業は日本の宝だと、こういうふうにおっしゃっておられますので、ぜひお考えをいただきますように強く要望をいたしまして、この項を終わります。
 次に、水道事業についてお尋ねをいたします。
 昨年七月十六日に発生した新潟中越沖地震での被害はすさまじいものでありました。水道施設に与えた被害も大きく、柏崎市、刈羽村などを初め多くの市町村で水道管が破損し、長いところでは二十日間にもわたり断水が続き、被害住民の苦労は並大抵のものではなかったのではないかと思いました。
 東京都水道局からも七回にわたり復旧調査隊を派遣し、一日も早い水道復旧に向けて尽力をしたということでありまして、現場で作業に従事した皆さんに改めて感謝とねぎらいの言葉を送りたいと、こういうふうに思います。
 報道などによりますと、震災時に何よりも重要な役割を果たす医療救護活動において、水がないことから手術を見合わせたり、人工透析患者の対応を他の病院に依頼するなど、影響が大きかったということであります。
 そこで、医療行為にどのくらいの水を使うのかということを調べてみましたところ、人工透析では一回当たり約二百リットルもの水を使用いたします。また、手術では器材洗浄や消毒、室温管理まで多くの水が必要となるようであります。
 改めてライフラインである水道が、医療機関においても人々の健康を守る生命線として重要であると、今さらながら痛感をしたところであります。
 東京都地域防災計画によりますと、医療機関では、ライフラインの機能が停止した場合にも備えて、施設設備の拡充を図り、防災能力を向上させることになっております。しかしながら、仮に断水して水が不足した場合、区市町村など関係行政機関から都の災害対策本部を通じて、水道局へ水の供給に対する要請を行うこととしております。
 そこで、震災時において、緊急かつ要請があった場合の水の供給について、水道局ではどのように対応するのか、まず伺います。

○東岡水道局長 東京都地域防災計画では、医療機関は震災時におけるライフライン機能の停止に備え、施設設備の拡充を図り、当面の水を確保するなど、防災能力の向上を図るものとされております。
 しかし、仮に水道施設が断水して水が不足する事態になった場合には、関係行政機関等を通じ、水の供給について要請を行うこととなっております。
 水道局では、要請があった場合には、震災時の応急給水活動などについて定めた東京都水道局震災応急対策計画に基づき、水道局営業所の車両輸送班と水道特別作業隊が給水車などにより応急給水活動を実施することとしております。
 また、人員や車両が不足する場合に備え、輸送事業協同組合とも災害対策用車両供給協定を結んでおり、万全を期すこととしております。

○菅委員 応急給水により、医療機関などが水を確保できることはよくわかりました。
 しかし、震災時には、倒れたビル、家屋により道路が寸断されるなど、車両輸送による水の供給にも限界があると思います。
 震災時においても、入院患者や負傷者などに対する医療活動を続けるためには、配水管の被害を最小限度に食いとめ、水が供給され続けることが重要であります。断水を未然に防ぐことで、都民もより安心できるのではないでしょうか。
 私の地元である板橋区にも、三次救急医療機関に指定されている日本大学と帝京大学の二つの大学病院を初め、二次救急医療機関など多くの病院があります。こうした救急医療機関は、それぞれの役割に応じながら、震災時に救急患者を受け入れる非常に重要な施設であります。
 そこで、現在、水道局では、従来から進めている、都内全域を対象とした浄水施設や配水管網の耐震化に加え、救急医療機関等への供給ルートの耐震化を重点的に進めているとのことであります。これは、医療機関など施設の役割と重要性に着目した、今までの視点にない新たな取り組みといえると思います。
 そこで、この取り組みの全体計画と、本年度及び二十年度の実施予定を伺います。

○東岡水道局長 全体計画についてでございますが、供給ルートの耐震化の対象は、医療機関、首都中枢機関などの重要施設としておりまして、全体で三百六十五施設ございます。
 このうち、三次救急医療機関及び災害拠点病院六十六施設については平成二十三年度までに、また、二次救急医療機関百九十一施設については平成二十八年度までに供給ルートの耐震化を完了する予定でございます。
 計画初年度となる今年度は、四施設のルートに着手し、延長で二キロメートル、事業費として二億円を計上しております。また、平成二十年度には、三十四施設を対象に、延長十二キロメートル、事業費十四億円を計画しております。

○菅委員 道路の下に埋設されている水道管の耐震化工事に当たっては、周辺の道路交通への影響にも配慮する必要があるため、短期間に集中して実施するのは簡単でない、このことはよく理解できます。その中でも、二十年度は多くの施設を対象としており、水道局が非常に力を入れている、このことがよくわかりました。
 知事の施政方針表明にもありました、地震が怖くない東京の実現を強力に進めていくためにも、地震により一層強い水道システムを目指し、ぜひこうした取り組みを積極的に推進していただきたいと思います。
 ところで、水道局では、板橋区内に大谷口給水所を新たに整備しております。この場所には、以前、水道タンクと呼ばれた、中世ローマ風の外観を持つ非常に印象的な建物がありました。この施設は、昭和六年に完成し、高さ三十二メートルの円筒の上に大小二つのドームが重なった形で、長年地域のランドマークとして親しまれてまいりました。地域住民は、この歴史を感じる水道タンクが新たな給水所としてどのように整備されるのか非常に注目をされております。
 そこで、この給水所の整備目的を、確認のためここで伺っておきたいと、こう思います。

○東岡水道局長 水道局では、都内各所にある給水所の地域的な偏在や配水池容量の不足等を解消し、震災時や事故時等における給水安定性を向上させるため、給水所整備事業を計画的に推進しております。
 この一環として、板橋区及び豊島区の一部を配水区域とする大谷口給水所の建設を現在進めております。
 給水所が完成しますと、この給水区域には、東村山浄水場及び朝霞浄水場の二系統から給水が確保されるなど、バックアップ機能が強化され、区域内の十二万人の給水安定性がさらに向上いたします。また、震災時の給水拠点として、周辺住民に飲料水を供給する機能も備えております。

○菅委員 この施設が完成すれば、震災時や事故時における断水の不安も解消され、地域の住民がより安心して生活できるということがよくわかりました。
 また、バス停の名称ともなり、地域のシンボルであった水道タンクに対する住民の愛着は深く、水道局では、新たな給水所の整備に対する住民の強い思いを反映させるために、これまで取り組んできたものと思います。
 そこで、住民の要望をどのように反映させたのか、また、いつごろまでに完成するのか、この点についても伺います。

○東岡水道局長 大谷口給水所の整備に当たりましては、地元の方から、地域に親しまれていた水道タンクのイメージをできる限り残してほしいという要望が寄せられておりまして、計画段階から地元と協議を重ね、旧配水塔の重厚な外観を受け継いだデザインにすることといたしました。
 現在は配水池及びポンプ棟の築造を行っており、平成二十年度からは、ポンプ設備や電気設備の工事に着手する予定でございます。
 周辺地域の安定給水を支えるとともに、地域に親しまれる水道施設を目指し、平成二十二年度の完成に向け、着実に整備を推進してまいります。

○菅委員 あの施設の中に、板橋第五分団、消防の施設を置く場所を確保していただきました。大変地元の消防団も喜んでおります。この場をかりて厚くお礼を申し上げておきたい、こういうふうに思います。
 次に、地域力向上についてお尋ねをいたします。
 平成十九年度、東京都の重点事業として実施している、地域の底力再生事業助成、これは、我が党が、地域力向上を図るために、地域の担い手である町会、自治会が果たす役割の重要性について提言し、実現したものであります。
 また、平成二十年度の予算案においても、復活要求の結果、二千万円増の七千万円となるなど、積極的に取り組んできたところでもございます。
 しかしながら、私の地元板橋区の町会、自治会の会長さん方に聞くと、東京都がこのような事業を実施していることを知らない、こういう声も随分ございました。
 そこで、せっかくでありますから、町会、自治会の隅々までこの制度の周知を図るべき、こういうふうに考えますし、また、第三回定例会の際にもそういうご質問を申し上げました。都はどのように事業の普及に取り組んでいるのか、その考え方をお伺いしたい、こういうふうに思います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 今年度は、東京都町会連合会の会議や都のホームページを通して周知を図ってまいりました。
 平成二十年度は、これらに加え、新たに区市町村の担当部署の会議の場を通じたPRや「広報東京都」への掲載など、さらに周知の機会を設けて本事業の普及に取り組んでまいります。

○菅委員 地域底力再生事業助成の普及については、今、局長さんからお話がありましたように、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。
 次に、対象事業についてもお尋ねをします。
 平成十九年度の助成対象となった事業を見ますと、防犯、防災、あるいはまた町会加入促進、世代間交流など、多様な事業に助成されていることがわかりますけれども、地域力の向上をさらに進めるために、対象事業の拡大が強く望まれるところであります。
 一般質問の中で、平成二十年度の助成対象事業は、地域の新たな課題へのチャレンジ事業、他団体との協働事業に加えて、新たに、婦人部、女性部の活動を中心とする地域触れ合い・助け合い強化事業を対象にしたということを局長が答弁しておりますけれども、これは大変すばらしいことだと思います。
 これまでの事業対象は、新規事業のみが対象となっております。高齢者の見守り事業や地域の美化活動など継続して実施している事業であっても、地域力を向上させる有意義な事業については積極的に助成対象とすべきではないか、こう考えますが、ご所見を賜りたいと思います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 平成二十年度から新たに助成対象とする、婦人部、女性部を中心とした地域触れ合い・助け合い強化事業では、新規事業だけでなく、これまで取り組んできた継続事業であっても、その事業をさらに活性化させ、地域力の向上に資するものは助成対象とするなど、地域の底力再生が都内各地で活発に進められるよう、本事業の充実を図ってまいります。

○菅委員 町会、自治会が継続して実施している事業についても、さらに地域力向上を図る事業には助成していく、こういうことは適切と考えておりますので、この件もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 さて、町会、自治会が、新たな対象事業も含め、本事業助成制度を積極的に活用し、地域力向上に向けた多様な事業を実施していくには次の問題があると、こういうふうに考えます。
 一つは、町会、自治会の方々は行政の書類に詳しい方々ばかりではありませんので、事業の申請書類について、よりわかりやすくしてほしい、こういう要望がございます。
 二つは、事業を実施するには事業資金が必要であります。町会、自治会では資金面で余裕があるところは多くない、こういう事情もございますので、事業着手時の資金手当てをなるべく多くしてあげるということが必要ではないでしょうか、そんなふうに考えます。
 以上の問題点を踏まえて、町会、自治会の方々が積極的に地域の底力再生事業助成を活用してもらうためには、これをより利用しやすい制度へ改善することが必要と思いますけれども、見解を承りたいと思います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 平成二十年度におきましては、申請時の書類作成に当たって、よりわかりやすくするため、事業募集要項の中に、申請書類の具体的な記載例を加えることといたしました。さらに、電話での相談窓口を設置し、町会、自治会の方々の問い合わせにも対応してまいります。
 また、事業がより円滑に実施されるよう、助成決定当初の支払い額の割合を、平成十九年度は三割でございましたが、二十年度は五割に拡大するなど、本事業をさらに利用しやすいものに改善してまいります。

○菅委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 引き続きまして、次の質問、特別養護老人ホーム等についてお尋ねをいたします。
 「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八によりますと、都内の高齢者は、平成二十七年、二〇一五年でありますが、三百十三万人、都民の四人に一人が高齢者の超高齢社会が到来いたします。七十五歳以上の後期高齢者は百四十九万、要介護認定者は現在の一・五倍の五十四万六千人になると、こういうふうに見込まれているそうであります。
 要介護者がこれだけ増加すれば、施設の需要も大きく伸びるということは必至でありまして、都はこれまで以上に介護保険施設の整備に取り組んでいかなければならないと思います。
 そこでまず、確認のため伺いますけれども、介護保険施設の代表格である特別養護老人ホームはどのような施設なのか、その機能と役割について伺います。

○安藤福祉保健局長 特別養護老人ホームは、地域での生活が困難で、かつ常時介護を必要とする高齢者の生活の場でありまして、多様な介護サービス基盤の一つとして重要な役割を果たしております。
 都は、今後の高齢化の進展を見据えまして、区市町村が推計いたしました利用者見込み数に基づき、その着実な整備促進に努めているところでございます。

○菅委員 都は特別養護老人ホームの整備促進に努めているということはわかりますけれども、私の地元では、大変特養に入りたくてもなかなか入れない、こういう人々の声を多く伺っております。家族は在宅介護で大変苦労している、こういう実態もございます。東京は大きな人口を抱えておりますから、介護保険施設は高齢者人口に比べまだまだ不足しているという感じが否めません。しかしながら、東京の区部ではまとまった用地がなかなか確保しにくいという事情もございます。
 そこでお尋ねをいたしますが、東京都の区部とその他の地域で、特別養護老人ホームの整備状況に違いというものがあるんでしょうか。また、例えば小中学校の跡地などを利用して特別養護老人ホームを整備したらいいんではないかと、こういうふうに考えておりますが、そのような施設整備に対して、都はどのような支援を行うのか伺います。

○安藤福祉保健局長 ご指摘のとおり、区部は多摩地域に比べ地価が高く、まとまった土地の取得が困難な状況にありまして、特別養護老人ホームにつきましては、高齢者人口に対します施設定員数の割合で比較をいたしますと、平成十九年十月一日現在ですが、区部が一・〇五%、多摩地域は二・三四%と倍以上の差がございます。
 このため、都では、区市町村みずからが学校跡地などを事業者に貸し付けた上で独自に整備費を補助した場合は、包括補助事業によりその二分の一、最高で五千万円まで補助することで区市町村有地の活用を促しております。
 さらに、平成二十年度から、特別養護老人ホーム等について、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、地域バランスを勘案しながら整備の促進に努めてまいります。

○菅委員 都が特別養護老人ホームや介護保険施設の整備にこれまで以上に強化を進めているということは理解しますが、それでも施設が足りないというのが実情であります。
 今後は、都民の多様な介護ニーズについて、さまざまな事業者によるサービスを充実させ、受けとめていく必要があると考えます。
 例えば、都内では、介護つき有料老人ホームが急速に増加しておりまして、要介護者になっても安心して住み続けられる住まいとして、都民の認知度も高まっているように思います。
 多額の税金を投入する特別養護老人ホームと違って、有料老人ホームはまさに民間主導の介護基盤整備でありますが、都としてこのような民間活力をもっと積極的に活用するような方法はないものでしょうか。
 有料老人ホームといいますと、何千万という高額の入居一時金が頭に浮かんでまいりますが、最近では入居一時金不要のホームもあると聞き及んでおります。要介護高齢者を抱えるご家族にとりましても、特別養護老人ホームでなくても、こうしたホームがどんどん整備されるようであれば、都民の選択の幅も大きく広がり、利用したい、こういう人も出てくるのではないかと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、都として、有料老人ホームを利用した介護基盤の整備促進についての取り組み状況をお尋ねいたします。

○安藤福祉保健局長 平成十八年四月の介護保険法の改正によりまして、有料老人ホームの新たな類型として設けられました介護専用型有料老人ホームは、要介護者の受け皿として都民の有力な選択肢の一つとなると考えられます。
 このため、都は、これまでの補助制度をさらに拡充いたしまして、平成二十年度から、土地所有者がみずからの土地を利用して介護専用型有料老人ホームを整備し、運営事業者に貸し付ける場合にも新たに補助することといたしました。
 今後とも、高齢期の都民が安心して暮らすことができるよう、多様な事業主体によります介護専用型有料老人ホームの整備促進を図ってまいります。

○菅委員 次に、健康長寿医療センター(仮称)について、今般、基本計画が公表されましたので、何点か伺います。
 まず、健康長寿医療センター(仮称)の運営形態についてでありますが、これまで、健康長寿医療センターについては、さまざまな運営形態を検討してきたと思います。その中で、なぜ地方独立行政法人としたのか、まずこの点についてお尋ねをしておきます。

○安藤福祉保健局長 お尋ねのセンターの設立に当たりましては、高齢者医療モデルの確立と普及、さらには高度先端医療への取り組みや老化老年病の研究開発など、このセンターが担います役割を、効果的かつ効率的に実現していくための体制づくりが求められているところでございます。
 このことから、高齢者の医療課題に先導的に取り組むという行政的役割を果たすとともに、予算執行や人事配置などがより柔軟で機動的に対応できるように、運営形態を地方独立行政法人とするものでございます。

○菅委員 経営上の責任は、地方独立行政法人が担うこととされていますが、地方独立行政法人は公共性の高い事業であって、行政が直接実施する必要はありませんけれども、民間にゆだねた場合に実施されないおそれのある事業を実施する法人でもあります。
 健康長寿医療センターが、高齢者の医療、介護を取り巻く課題に的確にこたえていき、民間では実施困難な、公共性の高い、いわゆる行政的医療を提供していくためには、経営の責任を法人に任せ切りにしてはならないと考えます。
 そこで伺いますけれども、設立目的を確実に達成させるために、設立団体である都は運営に関してどのような関与ができるのか、この点についてもお尋ねをしておきます。

○安藤福祉保健局長 地方独立行政法人の運営に関しましては、地方独立行政法人法に基づきまして、設立団体の長であります知事及び議会が適切に関与できる仕組みとなっております。
 健康長寿医療センターについて申し上げますと、知事は、高齢者に対する高度専門医療の提供などの中期目標を、都議会の議決を経た上で定めます。また、センターはこの目標を実現するために、具体的な取り組みなどを盛り込みました中期計画を作成いたしますが、この計画の作成及び変更に当たりましても、あらかじめ都議会の議決を経た上で知事が認可をすることとなってございます。さらに、中期目標期間終了時には、業務の実績につきまして、知事の附属機関であります評価委員会の評価を受け、その結果は知事と都議会に報告が行われることとなっております。

○菅委員 基本計画では、健康長寿医療センターの建物は地方独立行政法人が整備することとなっております。
 板橋区の住民は、これまで、板橋キャンパスを区民祭りの広場として利用させていただき、また、緑の少ない地域であることから、キャンパス内が地域の高齢者の憩いの場になるなど、キャンパスを身近なものとして受け入れてきております。
 このことから、板橋キャンパスの再編整備には、地元住民は大きな関心を寄せておりますが、健康長寿医療センターを地方独立行政法人が整備することとなりますと、整備に当たりまして地域住民の意向が反映されなくなるのではないかという心配の声が上がっております。
 健康長寿医療センターの整備が、地域の住民にとって歓迎されるものでなければならない、こういうふうに思います。健康長寿医療センターはどのような点に留意をし、施設整備をしていくのか、また、整備に当たって住民の希望を反映することができるのかどうか、この点についても伺っておきます。

○安藤福祉保健局長 健康長寿医療センターの整備に当たりましては、緑化の推進など、周辺環境との調和を図るとともに、これまでと同様に、地域に開かれた施設を目指してまいります。
 また、災害時におきましても医療サービスを継続して提供できるように、防災面にも配慮したものといたしたいと思います。
 設立団体といたしまして、都は、平成二十年度に、建物の配置など施設整備の各種条件を検討することとしておりまして、板橋区など関係者へ適宜適切に情報提供を行ってまいります。

○菅委員 研究と医療の統合により、これまで老人医療センターが実施してきた高齢者の専門医療や、老人総合研究所が実施してきた老化、老年病に関する研究がさらに充実、向上し、都民のために一層飛躍することを期待しております。
 なお、今後の施設整備に関しても、地元、地域住民に十分な情報提供をしていただきますようにお願いを申し上げます。
 最後に、新銀行についてお尋ねをいたします。
 一昨日の、我が党川井政調会長を初め、多くの委員の方々からいろいろな角度で質疑応答がなされ、私自身も大変参考になりましたし、また勉強にもなりました。
 経営危機の大きな要因として、いろいろありますけれども、金融環境の劇的な変化、旧経営陣の放漫経営ということが大きな要因であったと、今までの質疑を通じて感じました。また、追加支援、これの理由にいたしましても、三つの選択肢、この中から、都民に最も損害が少ないこと、取引先の中小企業の支援を継続して行っていかなければならないということ、預金者の保護、あるいはまた清算、破綻処理の場合の影響等々であります。
 今、きょうテレビでもニュースでやっておりましたけれども、円が百円を割り込みました。大変な事態になるんではないか。原材料の高騰、輸出の減退、そしてまたアメリカのサブプライムローン、いろいろな問題が、今、日本の経済に押し寄せてこようとしております。
 私は、新銀行東京にも責任の所在ということもある程度あるかもしれませんけれども、今、政策的な目標として、どうしても、やっぱり中小企業の支援のために、新銀行東京の再生ということが政策目標として極めて重要ではないかというような気がいたしております。
 本当に知事も苦渋の決断だと、進むも地獄、引くも地獄と、こういう話をされておりますけれども、私はそのとおりだと思いますし、ぜひとも再建計画、一抹の不安はありますけれども、どうしても知事には、新銀行東京の再建を都民により深く理解してもらうためにも、ここで改めて再建にかける知事の強い決意をお伺いしたい、こういうふうに思います。

○石原知事 新銀行を設立しました志は、今でも間違っていないと思っております。しかしながら、四百億円の追加出資は、私としても極めて重い、苦渋の判断でございました。
 菅委員も地元の性格からして熟知されていらっしゃるでしょうけれども、過去も今も中小企業の資金繰りというのは大変厳しいものがございます。中小企業を支えていくために、より多くの政策手段を用意することは、東京と日本の今後の発展のためにも必要不可欠だと信じております。
 新銀行東京の行き詰まりは、数多くの中小企業の行き詰まりを意味すると私は思います。ゆえにも、新銀行東京を何としても再建しなければならないと思っております。ゆえにも、伏して都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
 再建に当たりましては、新銀行東京の血のにじむような努力が前提でありますが、都としても内外の知恵をかりて集めて、とり得るすべての手段を講じていくつもりでございます。渾身の力を振り絞り、不退転の決意でこの銀行を必ず再建させるつもりでおります。

○菅委員 それでは、以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

○三宅委員長 菅東一委員の発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、委員会を閉会するとともに、明日午前零時五分に委員会を開会し、委員六名の質疑を続行いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認めます。よって、明日は午前零時五分から委員会を開会いたします。
 なお、ただいまご出席の皆様には改めてご通知いたしませんので、ご了承願います。

○三宅委員長 次に、本日の傍聴券の有効期間を明日の委員会終了までといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時三十九分散会

ページ先頭に戻る