東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○川井副委員長 吉倉正美委員の発言を許します。
   〔川井副委員長退席、小磯副委員長着席〕

○吉倉委員 最初に、新銀行東京に関連して質問いたします。
 私も驚いておりますが、きょうの新聞報道の中に、減資案に都は反対しているとの記事が掲載されております。朝日新聞の夕刊です。こういうふうにあります。新銀行東京減資案、都は反対へ、予算措置難しい、こういう見出しのもとに、新銀行東京が累積赤字を減らすため検討している減資について、東京都が否定的な姿勢を示していることが十三日、わかった、こういう記事でございます。
 減資をするかしないかは新銀行東京の判断かもしれませんけれども、そもそも都に新銀行東京の方から、四百億円の追加出資の後に累積赤字を減らすために減資をするという話はあったのかどうか、また、それに対して都は反対をしているのかどうか、まず伺います。

○佐藤産業労働局長 銀行からは、減資につきましては今後の検討課題であるというふうに聞いております。したがいまして、反対するも何もございません。まずは新銀行東京がどのように対応するのか、これを注視してまいります。

○吉倉委員 今、答弁がありましたけれども、そうした話は聞いていない、都は聞いていないということがよくわかりました。
 次に、仮の話ですけれども、仮に減資となると約六百三十億円の追加負担となる、こういうふうに報道されておりますけれども、これは事実でしょうか、答弁を求めます。

○村山財務局長 事実ではございません。ただいまの産業労働局長の答弁のとおり、今後の検討課題であるというふうに聞いておりますけれども、仮に将来、減資の話が出てきた場合の当初の出資金の取り扱い、この出資金のうち、都債を充てているのは七百億相当分でございますけれども、それにつきましてもそのときに検討するということになります。
 仮にそういう場合にはどうするのかという、今お話しだというふうに思いますけれども、その場合には、この都債は公募債でございますので繰り上げ償還ということにはなりません。その場合の対応の仕方については、その際にいろいろ検討していくことになりますけれども、そのうちの可能性の一つとしては、減債基金の積み立て時期の前倒しということになりますけれども、その場合も、そもそも十年後の償還に備えまして毎年計画的に積み立てていくべきものを、単に支出時期を前倒しするものでございまして、それは追加負担と呼ぶべきものではございません。

○吉倉委員 さらに、報道では新年度予算での措置は難しいとされておりますけれども、仮に、仮にですね、減資の話があった場合、都はどのように対応するのか伺います。

○村山財務局長 先ほども答弁申し上げましたとおり、現時点においては今後の検討課題ということでございますので、将来、仮にそういうお話があれば、その時点で産業労働局長とよく相談をするということになろうかと思いますけれども、もし必要があれば、予算上の所要の措置をとるということになります。
 その場合にも、財政への影響を最小限にとどめまして、都民サービスの低下は招かぬよういたします。

○吉倉委員 ただいまの答弁のとおり、都は減資の話は一切聞いていないということ、また、仮に減資になると約六百三十億円の追加負担となるということ、これも事実ではないということがよくわかりました。
 新銀行東京に関連して、さらに伺いたいと思います。
 一昨日の我が党の代表質疑で、都は、新銀行の再建計画においても中小企業支援の理念は継続する、こういう答弁をいたしました。もしそうであるならば、金融と都の中小企業支援事業が連動するスキームを提示すべきであります。例えば、都が平成十七年度より実施している中小企業リバイバル支援事業が挙げられます。この事業は、事業再生に取り組む中小企業に対して、専門家による相談や企業ごとの再生方針の作成を支援するとともに、制度融資との組み合わせを実行しようとするものであり、一般的な支援策と金融を連動させる効果的な事業であるといえます。
 そこで、この中小企業リバイバル支援事業では、具体的にどのような再生事例があったのか、その成果を明らかにしていただきたいと思います。

○佐藤産業労働局長 中小企業リバイバル支援事業による再生事例でありますが、例えばバブル期の過大投資によりまして莫大な借金が残され、取引金融機関からも破綻懸念先に格付けられていた企業が、本事業の再生支援チームのアドバイスによりまして経営改善に取り組むとともに民事再生法を活用いたしまして、再生の道を歩み出したケースがございます。また、不渡り手形によって倒産危機に陥った企業が、本事業のアドバイスによりまして地域金融機関からつなぎ資金を受けるとともに、黒字部門だけを残して再構築を図りまして再生に踏み出している事例もございます。
 このように、本事業は着実に政策効果を上げているものと認識をしております。

○吉倉委員 今の答弁にあったように、中小企業リバイバル支援事業の的確なアドバイスや支援を早期に活用することができれば、厳しい状況に置かれた中小企業でも十分に立ち直りが可能であります。しかし、このリバイバル支援事業は、まだ十分には周知されておりません。中小企業振興公社が実施したアンケートによりますと、約四分の三の企業が知らないと回答しております。
 そこで、事業再生事例をわかりやすく紹介するパンフレットなどを作成して各方面に配布するなど事業の周知徹底を図り、経営難や過剰債務に陥る可能性のある中小企業の早期再生を促すべきであります。都の見解を求めます。

○佐藤産業労働局長 事業再生は、早期に着手すればするほど実行しやすくなることから、事業に変調が生じ始めた段階で問題を先送りすることなく、事業再生への取り組みを促していくことが重要であります。
 そのため、都は平成二十年度に、支援内容や支援再生事例をわかりやすく紹介した説明資料を作成いたします。この説明資料を活用いたしまして、中小企業振興公社の巡回相談員による周知活動を都内中小企業に対して展開するとともに、企業巡回によって中小企業の経営状況をタイムリーに把握いたしまして、問題を抱える企業に対して相談窓口の早期利用を働きかけてまいります。
 さらに、地域金融機関に加え、新たに東京税理士会とも連携をいたしまして、利用企業の掘り起こしに向けた普及啓発を強化してまいります。

○吉倉委員 今ご答弁いただきましたけれども、こうした金融と密接に連動した支援策こそ、販売不振や累積赤字で倒産の危機に追いやられた中小企業が心から待ち望んでいる事業だというふうに感じます。新銀行東京が事業を継続するというのであれば、まさにこうした事業展開を目指すべきであります。
 中小企業振興公社や都の制度融資と連動するスキームづくりについて、都の所見を伺います。

○佐藤産業労働局長 ご指摘のとおり、中小企業の事業再生には、リバイバル支援事業で行っております経営支援策、また、それと密接に連動をいたしました金融支援策が重要な役割を果たしております。今後、事業再生に取り組む中小企業に対する支援を一層強化していくために、都としましては新銀行東京が制度融資のさらなる活用を図るとともに、中小企業振興公社の経営支援機能を生かした新たなスキームの構築を図っていくことが有効であると、そのように考えます。

○吉倉委員 我々がこの予算特別委員会で新銀行再生の可能性を真剣に議論しているのは、ひとえに、額の汗をぬぐいながら懸命に働く中小企業の方々を応援するためであります。
 そこで、原油や資材の高騰にあえぎながら倒産の危機と闘い続けている都内の中小企業の方々に対して、支援事業にかける知事の決意を表明していただきたいと思います。

○石原知事 この日本の産業がここまで発展しましたのも、主に東京の中小企業が果敢に技術革新に挑戦したからでありまして、また、これからも中小企業の発展なくして日本の産業の発展はないと思います。
 私の代議士時代の選挙区でありました大田区は中小企業の密集地でありますが、そこでつぶさに日常を眺めますと、景気がよくなっていい風が吹いてくるのは、最後が中小企業、冷たい風が最初に吹いてくるのは中小企業でありました。本当にみんな歯を食いしばって頑張っておりました。あえて名前を挙げますが、岩井さんという夫婦二人でやっていらっしゃる、この方は物を削る名人だといわれておりますけれども、あるとき、そこへ行きまして、何を削っているんですかといいましたら、日本の原子炉の軸でありました。そういう下請の下請の孫請の会社が本当に歯を食いしばっていて、実は日本の原子力産業というのはもっているわけでありました。
 こういったものを眺めますと、本当に現在、原油価格の高騰や金融市場の低迷などを背景に、日本の経済は減速感を強めつつありますが、中小企業はこれから先、今まで以上に厳しい環境にさらされることが懸念されます。
 こうした厳しい環境の中で頑張っている中小企業に手を差し伸べ、希望を持って事業に専念してもらうことこそが、東京と日本の発展につながるかぎであると思っています。まさに都政の重要な柱ともいうべき中小企業支援においては、多様な、ご指摘のように、中小企業を支えるために、より多くの施策を用意することが絶対に必要だと思います。
 既に成功をおさめているローン担保証券、社債担保証券、あるいは種々の制度融資もございますけれども、こういったものを対象とするより、もっと低いレベルの中小企業がたくさんあるわけです。これは中小というより、むしろ零細企業である、超零細企業でありますけれども、それを私たちが救っていくこと、支えていくことが東京の政治の使命だと思っております。そういう意味でも、新銀行東京を必ず再建させまして、他のさまざまな支援策とともに、将来にわたって中小企業を支え続けていきたいと思っております。

○吉倉委員 知事の力強い決意をお聞きいたしまして、中小企業の方々が大いに勇気づけられたものと感じております。今後の都の取り組みを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、食の安全と安心について質問いたします。
 現在、中国産冷凍ギョーザの薬物中毒事件に端を発し、都民の間には、中国産輸入食品を初めとして、食品の安全性について不信や不安が広がっております。都は、公明党の提案を受けて残留農薬の緊急検査を実施し、三月五日にこの結果を発表しております。
 緊急検査の結果、残留農薬は一件も検出されなかったと聞いておりますが、これで万全とはいい切れません。今後とも一層の検査体制の強化をすべきであります。所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 都は、今回の冷凍ギョーザ問題に際しまして、都民の不安を解消するため、二月八日から二十九日までの間、都内のスーパー等で販売されております百二十品目の輸入冷凍加工食品について、メタミドホスやジクロルボスなどの有機燐系農薬二十八項目の緊急検査を実施いたしましたが、いずれの食品からも農薬は検出されませんでした。
 今後とも、必要があればその都度緊急検査を実施してまいります。また、ガスクロマトグラフィーなどの残留農薬の分析機能にすぐれました検査機器の整備を計画的に進めるなど、検査体制の強化を図ってまいります。

○吉倉委員 検査体制を強化するとお聞きいたしましたが、今、食品は本当に安全・安心なのかという都民の不安は解消されておりません。
 そこで、都の監視体制について伺います。
 まず、都内のスーパーなどの施設に対して日常的に行っている監視指導の取り組みについて伺います。

○安藤福祉保健局長 都民の食の安全を確保するために、毎年、食品衛生監視指導計画を策定しておりまして、平成十八年度は、都内の食品関係営業施設五十万件に対しまして、延べ七十二万回の監視を実施いたしました。
 このうち、都民が利用いたします身近なスーパーや飲食店などの施設に対しましては保健所が立入検査を行い、清潔保持や食品の衛生的取り扱いについて監視指導を実施いたしまして、食品に起因する健康被害の未然防止に努めているところでございます。

○吉倉委員 監視指導について答弁がありましたが、食に関する被害の拡大を防ぎ、適切な対応をするためには、被害情報の迅速な把握が求められます。今回の薬物中毒事件でも、年末年始を挟み、他県の市では情報がうまく伝わらなかったことが、事件の正確な把握をおくらせた原因となっております。
 そこで次に、食品による被害が発生した場合の情報の収集と一元化、さらに緊急対策を講じるシステムについて、都の対応を伺います。

○安藤福祉保健局長 医療機関や都民の方から寄せられます食中毒などの健康被害情報につきましては、まず都内の保健所が通報を受理いたしまして、速やかに都に報告することで一元的に集約をされます。その後、必要に応じまして国や関係自治体等に通報連絡する仕組みとなっております。
 また、夜間及び休日など保健所が閉庁時には、東京都保健医療情報センター「ひまわり」でありますが、ここがオープンしておりますので、ここが通報受理の窓口となっておりまして、緊急を要する通報があった場合には、直ちに所管保健所長などに連絡をとりまして迅速な対応を開始する仕組みを構築しております。
 今後とも、都、保健所等の関係機関が緊密に連携して情報を共有し、迅速かつ適切な対応を図ってまいります。

○吉倉委員 被害情報の対応についてはわかりましたが、都は食の安全の確保とあわせて、都民に対して食の安心を提供することが必要であります。食品に関する専門的な知識を持たない都民が漠然と抱く食への不安を解消することが重要であります。
 そのため都は、現在ホームページに都民向けQアンドAを載せておりますが、これを充実し、都民の率直な疑問に答える内容にすべきであります。例えば、賞味期限はどのように決めているのか、また、輸入野菜の農薬検査はどのように行っているのかなどについてわかりやすく解説し、だれもが理解できるようにすべきであります。見解を伺います。

○安藤福祉保健局長 都民の食への不安を解消するためには、食品の安全性に関します情報を正確、かつわかりやすく伝えることが重要でございます。都はこれまでも、食品の苦情や健康食品に関しますQアンドAを作成いたしまして、パンフレットやホームページを通じて正しい知識の普及に取り組んでまいりました。
 今年度は新たに、都民が日常の食生活において抱いております疑問や不安を把握するために、インターネットアンケートや、小さいお子さんを持つ主婦などを対象といたしましたインタビュー調査を実施いたしました。今後、この調査結果を踏まえまして、都民が抱く疑問について、易しい言葉で、図や写真などを用いてホームページで解説するなど、わかりやすい情報の提供に努めてまいります。

○吉倉委員 食品に関する専門的な内容がわかりやすく示され、都民の不安が解消されることを期待したいと思います。
 また、順次更新していただき、都民の新たな疑問にも答えるべきであります。
 ところで、公明党が平成十五年に提案し、平成十六年度から開始された東京都生産情報提供食品事業者登録制度があります。これは農産物などの生産情報、例えば、いつ、どこで、だれが、どのようにつくったか、さらに、農薬や肥料の種類、量や使用日などの情報の入手先を的確に都民に伝えるものであります。
 それを伝える登録マークがこれであります。(パネルを示す)パックンマークともいっております。この登録マークがあると、この店には適切に生産情報を提供している食品があります、あるいは、この食品は安心ですということがわかるわけであります。例えば、レタス、キュウリ、トマトに直接張る、あるいは売り場コーナーにこのマークを張るということであります。食の安全・安心が叫ばれている中で、これは非常に大事なことだというふうに考えております。
 ただ、私を含めて都民がこのマークを目にすることが、まだまだ少ない、制度の普及が足りないのではないかと感じております。今後とも、この登録マークの積極的な普及拡大を図るべきであります。
 そこで、食の安全と安心の最後に、現在の登録状況と登録事業者の拡大に向けた取り組みについて伺います。

○佐藤産業労働局長 この制度の本年二月末現在の登録数は、二千三百九十三事業者、四百三十三品目となっており、都民が安心して食品を選べるよう、さらに普及する必要があると考えております。
 都は、これまで、制度への加入を促進するため、生産者や流通、販売業者に対しまして、日常的に登録を働きかけるとともに、業界紙等への募集広告掲載や、団体が参加をする各種イベントでのPR活動を行ってまいりました。
 また、都内はもとより、他県の生産者団体に対しましても、現地での説明会等を開催し、登録を働きかけております。
 さらに、同様の制度を運営する静岡県や茨城県農協中央会など他県組織とも連携をいたしまして、制度への加入促進に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、都民の食の安心を確保するため、積極的に登録制度の普及拡大を図ってまいります。

○吉倉委員 現在の登録状況を伺いましたけれども、制度への加入状況がまだまだおくれているようであります。都民に食の安心を提供するこの制度の普及に一層の力を入れ、登録事業者の拡大に努力するよう、強く要望しておきたいと思います。
 次に、震災対策について質問いたします。
 六千四百三十四人の方々が亡くなった阪神・淡路大震災、その約八割が、建物倒壊が原因であったことなどを教訓に、切迫性が指摘される首都直下地震に備えて、公明党は、これまで再三、各定例会の代表質問、予算特別委員会等で、建物の耐震化を促進すべきであると訴えてまいりました。
 この公明党の提案を受けて実現したのが、木造住宅の耐震診断、耐震改修に対する助成制度であります。ところが、実際にはなかなか耐震改修が進まない、制度が利用されていないという実態があります。すなわち、平成十八年度の改修実績は、わずか二十二件、平成十九年九月末現在の実績は三十一件であります。
 どうすれば制度の効果を引き出せるのか、この問題意識を持って、私は先月、我が党の代表とともに、阪神・淡路大震災の復興現場である長田区、さらに震災資料館の、人と防災未来センターを視察してまいりました。
 そこで私は、十三年前の平成七年一月十七日、五時四十六分の大震災発生時の破壊のすさまじさを、迫力ある大型映像と音響で疑似体験をすることができました。この映像は、気分の悪くなる人が出るほど、大震災の瞬間をリアルに再現しており、改めて視覚に訴える映像の大切さを実感しました。こうした映像に直接触れることにより、震災を他人事としか思えない意識を大きく変えることができると感じた次第であります。
 都は、我が党の代表質問に答えて、防災意識の向上を図り、木造住宅の耐震診断、耐震改修を進めるために、震災対策のDVD映像を、ことし秋までに都独自に作成すると答弁をいたしました。
 そこで、このDVD映像については、大震災の恐ろしさと同時に、建物の耐震化を促す内容にすべきと考えますが、所見を伺います。

○只腰都市整備局長 震災対策のDVDでございますが、住宅の耐震化を促進するため、住宅所有者の意識啓発を図るとともに、耐震化に取り組む際に必要な基礎知識や情報の提供を行うことを目的とするものでございます。
 その内容につきましては検討を進めておりますが、地震による建物の被害映像などを効果的に活用しまして、耐震化の必要性を訴えるものにしたいと考えております。
 また、耐震診断や耐震改修の進め方を初め、耐震化に対する助成や優遇税制などの支援制度についても盛り込んでまいります。

○吉倉委員 今回、都は、新たなデータに基づく地域危険度の測定調査結果を公表しておりますが、危険度が高く、震災時の甚大な被害が想定される地域の方々にこそ、この震災映像を積極的に見ていただき、耐震化に取り組むよう強く働きかけるべきであります。所見を伺います。

○只腰都市整備局長 都は、地域危険度が高く、かつ老朽化した木造建築物が集積するなど、震災時の甚大な被害が想定される地域を整備地域に指定しまして、集中的に震災対策事業を実施しております。
 今回制作するDVDにつきましては、こうした地域の公共施設での上映を初めとしまして、地元区市と連携しまして、町会の活動などさまざまな機会をとらえて、積極的に活用してまいります。

○吉倉委員 さらに、都民の防災意識の向上を図り、耐震化への取り組みを促していくために、都が率先して都庁舎や都民ホールなどでこの映像を見せるなど、広く都民に周知していくべきであります。この点、いかがでしょうか。

○只腰都市整備局長 DVDの映像につきましては、都がみずから率先しまして都庁舎などの都有施設を活用するほか、各種施設やイベント会場でも上映するなど、より多くの方々にごらんいただけるよう努めてまいります。

○吉倉委員 また、都庁だけでなく、都内各地で多くの都民がこの震災映像を自由に見れるように工夫すべきであります。例えば、東京消防庁の施設である本所、池袋、立川のそれぞれの防災館、さらに新宿四谷の消防博物館などでも、一般の都民が自由にこの映像を見れるようにすることも重要であります。
 さらに、将来的な目標として、首都東京の防災対策を発信する、例えば仮称東京防災未来館のような防災館を建設するなど、積極的な取り組みも要請しておきたいというふうに考えております。
 また、都は、来年度五千万の予算を充て、建物の耐震化について、所有者の意識啓発と広報事業を積極的に行うと聞いております。とりわけ戸別訪問により、住宅所有者への意識啓発や耐震診断、耐震改修実施の要請、助成、税制等の支援制度の周知などを徹底して行うローラー作戦を、区市町村と連携して展開するとしております。これは積極的に進めるべきであります。
 そこで、震災対策に積極的に取り組んでいる静岡県を視察してまいりました。静岡県では、ローラー作戦の際に、建築関係のプロである耐震診断補強相談士と県の職員が一緒に戸別訪問をし、耐震診断と改修の必要性を訴えておりました。建築士等のプロが家のつくりを見て、心配な点をアドバイスする、診断を勧めるというのは、大変に効果的であるとお聞きしました。
 静岡県は、東海・東南海地震への対策として、県を挙げて、特に住宅の耐震化に力を入れております。耐震診断は全額無料で実施。その無料診断の執行率は、平成十三年より平成十九年一月末までで五万二千百四十一件であり、耐震改修まで行ったのは七千七百三十四件と、非常に高いことがわかりました。
 都は、来年度、住宅の耐震化の促進のために、戸別訪問などのローラー作戦を行うとしております。この静岡県の例を参考にして、ぜひ耐震診断補強相談士に相当する建築関係のプロを活用して、ローラー作戦などの普及啓発活動を展開すべきであります。見解を伺います。

○只腰都市整備局長 住宅所有者に対しまして耐震化への取り組みを促す上で、行政が建築関係の専門家や事業者と連携して普及啓発活動を行っていくことは、効果的であるというふうに考えております。
 都は、既に一定水準以上の耐震診断技術者がいる建築士事務所を登録いたしまして、都民に紹介する制度を実施しております。
 また、地元の建築関係団体が主体となって耐震化推進のための協議会を結成し、住宅所有者への働きかけを行っている区もございます。
 都といたしましては、耐震化に関する行政連絡協議会などを通じまして、こうした取り組みを共有化するとともに、各区市町村とともに専門家等と連携した普及啓発活動を積極的に推進してまいります。

○吉倉委員 ぜひ区市町村と連携して、積極的な住宅所有者への働きかけをすべきであります。取り組みの一層の推進を期待して、次の質問に移ります。
 次に、主要ターミナル駅における滞留者対策について伺います。
 ことし一月、首都直下地震を想定して、新宿駅と北千住駅の二つの駅で、それぞれ千八百人、八百人が参加して、滞留者対策訓練が行われました。これは公明党が提案して実現したものであり、大規模な避難誘導訓練が行われたことについて、高く評価しているものであります。
 この滞留者を適切な避難場所に誘導する訓練は、地域の企業、事業者が協議会を立ち上げて行う全国でも初めての試みであり、今後の継続実施が極めて重要であります。
 そこで、都は、今後モデル事業として、区市と共同で協議会による訓練を実施し、滞留者対策を拡大していくと聞いておりますが、来年度の予定とその後の計画について伺います。

○押元総務局長 来年度の駅前滞留者対策訓練は、新たに池袋駅と品川駅において実施をする予定でございまして、現在、関係者と調整を進めております。
 また、その後は、平成二十二年度まで、毎年二駅ずつ実施をする予定でございます。

○吉倉委員 ご答弁のとおり、明年は池袋と品川の二つの駅で実施するとのことでございます。協議会が主体となるこの滞留者対策の訓練は、ターミナル駅周辺の地域の連携を強め、確実に地域防災力を向上させるものであり、引き続き継続していくべきであります。
 次に、今後一層の訓練の充実を図るために、新宿駅に焦点を当てて質問いたします。
 都の被害想定によれば、大地震が発生した際、新宿駅には約十七万人の滞留者が集まり、そのうち八万人が徒歩で帰宅し、最終的に帰宅できない帰宅困難者は約九万人にもなるとしています。
 現実に大地震が起きた場合、これだけ大勢の滞留者を相手にして、協議会メンバーが避難誘導や介護をしたり情報提供を行うには、相当の人手を確保し、十分な訓練を積まないと、混乱を防ぐことはできません。
 そこで、都は、ターミナル駅の滞留者対策を推進するため、多くの事業者が協議会に加わり、従業員や学生が訓練に多数参加できるよう、働きかけを行うべきであります。所見を伺います。

○押元総務局長 駅前の混乱防止対策を推進していくためには、災害が起こったときに、避難誘導や災害情報の提供などを担う人手が必要となります。
 このため、こうした役割を担う、駅周辺の会社や学校に所属する従業員や学生の方々などがあらかじめ訓練に多数参加することは、重要であると認識をしております。今回実施をいたしました新宿駅の訓練でも、約千八百人の参加者のうち約四百人の方々に、避難誘導などを担当していただきました。
 今後、都は、新宿駅の協議会とも協力をいたしまして、隣接する渋谷区の事業者も含め、多くの事業者に協議会への加入を積極的に働きかけるとともに、多数の従業員等の訓練参加を事業者に求めてまいります。

○吉倉委員 今回、新宿駅の訓練を私も体験いたしましたが、現場の声を含めて、幾つかの課題について伺います。
 第一に、新宿駅の場合、誘導される滞留者のうち災害時要援護者について、周辺企業や事業者の協力を得て受け入れ訓練を行ったわけですが、施設が収容オーバーになった場合、野宿をせざるを得ない方々の対策をどうするのか、特に要援護者を含めた帰宅困難者対策が緊急の課題であります。
 そこで、一時的に待機できる施設を確保するため、公共施設を初め広く民間施設を対象として、収容可能な施設を都は指定すべきであります。見解を伺います。

○押元総務局長 災害時に帰宅困難者の安全を確保するため、帰宅可能となるまでの間、公共施設や民間施設を問わず、一時的に滞在する施設を指定しておくことが必要でございます。
 今回の訓練では、帰宅困難者のうち障害者や高齢者などの要援護者の一時待機施設として、都議会議事堂のエントランスホールのほか、受け入れについてご理解をいただいた事業者の高層ビルのロビーなどを活用させていただきました。
 今後、都は、訓練の結果を踏まえまして、区と連携して、公共施設を一時待機施設として指定いたしますとともに、民間施設につきましても、受け入れに必要な条件を各事業者と協議するなど、指定に向けた取り組みを進めてまいります。

○吉倉委員 さらに、都は、率先垂範する立場から、その解決策の一つとして、都民ホール、都民広場などの開放を検討すべきであると要望しておきたいと思います。
 第二に、滞留者対策訓練をもっと現実的、実践的な訓練にすべきであります。大地震を想定し、都内では毎年多くの防災訓練が実施されており、新宿西口にある約三十棟の超高層ビルや東口の商店街でも、それぞれに防災訓練を実施しております。しかし、ターミナル駅の対策訓練と各事業者の防災訓練を別々に実施することは、現実的ではありません。
 そこで、都は、新宿駅の対策訓練と各事業者の防災訓練を同一日に連動して実施するよう働きかけるべきであります。所見を伺います。

○押元総務局長 協議会に参加している事業者が、二つの訓練を同一の日に連動して実施いたしますことは、ご指摘のように実際に即しており、また、準備が一度で済むという利点もございます。
 このため、都は、新宿駅の協議会に、各事業者が行う防災訓練と駅前滞留者対策訓練を同一の日に合わせて実施することについて提案し、協議を行ってまいります。

○吉倉委員 時間の関係で、最後にお伺いします。自動二輪車の駐車場対策について質問いたします。
 自動二輪車の駐車場不足に対して、ライダーはもとより多くの都民より、駐車場を求める切実な要望をいただいております。違法駐車のために歩行が妨げられ、不便なだけでなく、特に高齢者や障害者、あるいは子どもを抱える母親にとって危険な状況であり、事故が多発しております。
 都における二輪車の保有台数を調べますと、自動二輪車が約六十八万台、原動機付自転車が約六十万台で、合計百二十八万台にも上ります。そのうち自動二輪車が一万六千台、原動機付自転車を含めると約四万三千台が路上に放置されており、まさに社会問題となっております。
 一方、受け皿である自動二輪車の駐車場は、平成十九年十二月現在で約四千百台分しかありません。絶対数が極端に不足しているわけであります。
 そこで、緊急課題である自動二輪車の駐車場対策について、都の取り組みを伺います。

○久我青少年・治安対策本部長 都は、自動二輪車の駐車場対策といたしまして、従来の区部における補助制度に加え、今年度、多摩地域におきまして新たな補助制度を創設し、駐車場の整備を支援しております。
 また、駐車場の利用促進のため、案内表示板を統一するとともに、駐車場における自動二輪車の盗難等を防止するため、駐車機器の開発を助成するなどの対策を推進してまいりました。
 さらに昨年三月、区の関係局、警視庁及び二輪車メーカーなどの関係者による官民一体となった自動二輪車駐車場整備促進検討会を立ち上げ、駐車場の整備促進と利用促進のための検討を進めております。

○吉倉委員 この官民一体の自動二輪車検討会に、地元メンバーが入っておりません。ぜひ今後とも、地元メンバーを加えていただくように検討をお願いいたします。よろしくお願いいたします。(拍手)

○小磯副委員長 吉倉正美委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後十時二分休憩

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