東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○三宅委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案まで、及び第百三十一号議案を一括して議題といたします。
 質疑に入る前に、委員会の開会時間がおくれたことにつきましてご説明申し上げます。
 本日の理事会において、資料要求及び参考人招致の申し出があり、協議を重ねてまいりました。
 なお、要求のあった資料について、理事者に確認しましたところ、提出が困難である旨の回答がありました。
 この際、産業労働局長から発言があります。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京調査委員会調査報告書本文についてご説明を申し上げます。
 新銀行がこれから訴えを提起する可能性のある訴訟には、損害賠償請求が含まれると思われます。本報告書は、その訴訟に勝つために極めて重要な資料でありまして、銀行としては、これを公表することはその有利さを失うことになるため、公表できないというのが銀行としての判断であります。
 都といたしましても、この訴訟は、現在の事態を招いた原因や責任を明らかにすると同時に、都民の財産を守るためのものであると考えております。この立場から銀行の考え方に同意をし、この資料の公表はできないという判断に至りました。
 本報告書の本文には個人名が記載されており、個人のプライバシーの保護の問題が生じます。また、個人名をA、B、Cなどに置きかえたといたしましても、その発言内容などから個人を容易に特定することができます。
 本報告書は、真実を包み隠さず明らかにするために、個人からの事情聴取に当たりましては、公表を前提とせずに行っているものであります。銀行といたしましては、個人が特定される可能性がある情報については公表できないと判断をいたしました。都といたしましても、銀行のこの判断を尊重いたします。
 本報告書のうち、訴訟上支障にならない部分につきましては、既に概要として公表をしているところでありまして、ご理解をいただきたいと思います。

○三宅委員長 発言は終わりました。
 本件につきましては、ただいま産業労働局長から説明がありましたとおり、資料の提出が困難であるとのことですので、理事会で決定したとおり、委員会の資料要求としないことにいたしたいと思います。ご了承を願います。
   〔発言する者あり〕

○大山委員 日本共産党として、二つの緊急動議を提出いたします。
 第一に、仁司泰正氏を初め旧経営陣の本委員会への参考人招致を求める動議です。
 第二に、新銀行東京の調査報告書の全文及び附属資料を本委員会に提出させることを求める動議です。
 以上二点について動議を提出いたします。

○三宅委員長 ただいま大山委員から動議がございました。
 まず、資料要求を求める発言につきましては、先ほどご説明のとおり、資料の提出が困難であるとのことですので、委員会の資料要求としないことにいたしたいと思います。ご了承願います。
〔「動議なんだから、だめだよ」と呼び、その他発言する者多し〕

○三宅委員長 さらに、参考人招致を求める動議が提出されました。
 本件につきましては、既に理事会で協議済みではございますが、お諮りいたします。
 本動議は、起立により採決いたします。
 本動議に賛成の方はご起立願います。
   〔発言する者、離席する者あり〕

○三宅委員長 ご着席願います。ご着席願います。ご着席願います。ご着席願います。
   〔発言する者多し〕

○三宅委員長 参考人招致を求める動議につきましては、起立により採決いたします。
   〔発言する者多し〕

○三宅委員長 参考人招致を求める動議につきましては、起立により採決をいたします。
   〔発言する者多し〕

○三宅委員長 参考人招致を求める動議につきましては、起立採決をいたします。ご着席願います。
   〔発言する者、離席する者多し〕

○三宅委員長 着席を願います。
   〔発言する者、離席する者多し〕

○三宅委員長 採決を行いたいと思います。着席願います。
   〔発言する者多し〕

○三宅委員長 再度申し上げます。参考人招致について起立採決を求めます。
〔「だめですよ、動議が出た以上は採決してくださいよ、資料要求についても。委員長が勝手に決められることじゃないんですよ、これは。動議なんですから。参考人招致の方だけでしょう。だめですよ、そんなことじゃ」と呼び、その他発言する者多し〕

○三宅委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○三宅委員長 速記を始めてください。
 自席にお戻りください。自席にお戻りください。自席にお戻りください。
 参考人招致を求める動議につきましては、起立採決といたします。
 本動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○三宅委員長 起立少数と認めます。よって、参考人招致を求める動議は否決されました。

○三宅委員長 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 矢島千秋委員の発言を許します。
   〔発言する者多し〕

○矢島委員 開会の時間から既に七時間を過ぎております。知事初め先輩の議員には、体調に十分注意をされましてこの時間を乗り切っていただきたい、このように思います。
 では、質問を始めます。
 本予算特別委員会では、新銀行東京をめぐる重い議論が重ねられております。しかし、説明によりますと、所期の目的に沿い、多くの事業者が融資を受け、事業を継続し、あるいは経営を軌道に乗せているのも事実であり、その意味では役割を果たしていることになりますが、しかし問題は、経営の根幹にかかわる莫大な貸し倒れが発生するまで、なぜ融資を続けたのか、何ゆえ審査が適切でなかったかが焦点であります。
 だからこそ、経営の再建について、都民の皆さんに十分な説明をしなければなりません。要望しておきます。
 しかし、石原知事の東京都政の運営には評価すべきところも多くあります。都財政は一般会計で六兆九千億円のボリュームであり、そのことを踏まえて、何点か知事のお考えをお伺いいたします。
 この七年間、石原慎太郎知事の大変興味深い取り組みを目の当たりにしてまいりました。そして、多くの取り組みが、現代日本の課題と将来を見据えた時代に切り込む戦略的思考、施策と理解する一人であります。
 しかしながら、これらは、従来の行政にイメージする、無謬と結果の知れている安全運転を大きく超えたゆえに、おのずから先導的施策展開となり、また、それゆえにリスクを内包し、必要とされるスピードがさらに拍車をかけていきます。だからこそ、しっかりした見直しと取り組みが必要ということになります。
 そして、気概ある知事の志は、多くの施策を通し、民を強く、公を豊かに、日本の方向性を見出していると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○石原知事 就任以来、私は私なりに、東京から日本を変えるべく試みを続けてきたつもりでございます。その点は都民の皆様にもご理解いただいていると思っております。
 しかし、極めて深刻な地球温暖化など、人間の存在を左右しかねない問題が起こってきております。歴史、文明の大きなうねりの中で、新しく多くの、大きな問題が山積してまいりまして、我々には、子どもや孫の世代に対する責任がありまして、こうした問題について決して安閑とはしておられないと思います。
 今、求められるものは、自分の未来は自分の手で切り開くという志、具体的な行動であると思います。ゆえにも、物事にその場限りの対処しかできない、現況の官僚支配のこの国家の体制というものを、私たちはやっぱり変えていかなければならないと思っております。
 例えば、地球温暖化の対策を進めることなどについても、都市の機能や魅力を格段にレベルアップして、真に豊かで成熟な都市へと東京を発展させることで日本を支えていけると思っております。東京都の気概と具体的な行動が、この国にやがてはまた日が上るという勢いを取り戻して、私たちが子孫に胸を張って暮らせる国へ再生できると信じております。

○矢島委員 現在、日本の国の形を決める道州制が、実現に向け協議されております。東京も一地方として俎上にのっているわけでありますが、財政規模もさることながら、経済規模と運営能力、首都機能など、地方としてくくるには、世界の大都市圏を超えるほどの内実を備えておるだけに無理があり、かえって誤解が生じている結果となっているのではないか、このように思います。
 国の基本機能が、外交と防衛、社会制度設計とするなら、国と地方の間に位置する、従来の国の事業を東京都が引き受ける特区として位置づけても、東京都は十分その役割を果たしていけると考えますし、かえって日本の将来を形づくる大きな可能性を導くのではないか、このように思います。
 また、このことは、道州制を開く先駆けとして重要と考えますが、この点について知事のお考えをお伺いいたします。

○石原知事 東京都民にとっては大変心強い、勇気づけられるご提案でありますけれども、いかにこの東京に多くの物事が集中、集積しているとはいえ、やはり国家は国家であり、地方は地方であると思うんです。ただ、やっぱりこの過剰な東京に対する集中、集積というものは、東京にとってメリットでもありますし、同時に、国全体にとってはある意味でのデメリットになっているのではないかという気がいたします。
 道州制ということがかねていわれておりますけれども、これだけ多くの物事が東京に集中、集積した現況で、しかも、この首都圏の機能、昼間人口の増加など眺めましても、東京だけじゃなしに、隣県の神奈川県、千葉県、埼玉県という有力な県がともにこの機能を果たしてくれているということを考えますと、道州制という、従来の東北とか関東とか四国、九州といったコンセプトでは、とてもこの問題はくくり切れないという気がいたします。
 いずれにしろ、この東京という、いつも申していることですけど、国家の頭脳であり心臓部でありますこの首都というものを、いかに日本の将来のために、より効果的に生かして活躍させていくかということは、これはやはり、我々だけではなしに、国もまた真剣に考えなくちゃいけない問題であると思っております。

○矢島委員 ヨーロッパの各国の例に見るように、戦争、社会の変革時など、時において民族のアイデンティティー、固有の文化、言語などの政策がとられ、危機を乗り越えた例はいとまがありません。しかし、グローバル化された現代は、交流と創造の時代であるだけに、そこから生み出される新しい文化、見直される伝統文化も、都市の活力の源、さらには都市を超えた国家ブランドとなります。
 つまり、現代における文化政策は、世界都市間競争のもとで大変戦略性に富んでいるということになります。この点について、知事のご見識をお伺いいたします。

○石原知事 一種の文明論でありますけれども、文明がいかに進み、技術がそれをいかに進めても、それが成熟した文化という形で収れんされなければ本当の発展とはいえないと思います。
 そういう点では、おっしゃるとおり、文化は人間に感動や精神的な安らぎをもたらすとともに、さらに、文化のもたらす新しい感性というんでしょうか、情緒というんでしょうか、そういったものにのっとってまちをつくり直し、また産業や、特に観光のような、そういう事業の振興にも大きな支えになっていくと思います。
 東京にも、まさに比類のない、近世においてあれほど成熟した江戸というまちはなかったわけでありまして、こういった江戸以来の伝統文化、しかもそれを踏まえた今日に至る最先端の技術、あるいは、この間、ミシュランが世界の中で認めましたように、「ニューズウイーク」にも、食の文化としては東京は既にパリを抜いたという記事がございましたが、そういった我々の持っている文化というものを見据え、踏まえて、さらに魅力的な文化を構築し、おっしゃるとおり戦略的にそれを造成し、発信していく必要があると思っております。

○矢島委員 知事への質問はこれで終わりますけれども、報道によりますと、知事は日曜日にイギリスのブレア前首相とお会いになるそうであります。文化施策で大きな成果を上げたというように聞いております。文化の問題につきましてもぜひ意見交換されまして、東京都の政策に少しでも生かしていただければと、これはお話だけさせていただきます。
 都市の魅力は、活力と創造性を触発する環境にあります。そして、東京は世界の中心都市として、たとえ極東という地理的ハンデがあっても、世界との交流の中心的役割を担い続けなければなりません。そのためには、文化的ソースに満ち、安全な東京が、さらに条件を整え、開かれた都市であることが必要となります。
 その状況の中、都は、平成二十年度新規事業に、昨日我が党の三原議員より質問のありました東京芸術文化評議会の提案を受け、今までにない予算規模、新たに十二億円を計上し、大規模な文化プロジェクトを行うとお聞きしております。
 そこでまず、音楽イベントでありますミュージックウィークス・イン・トーキョーについてお伺いをいたします。
 現在、東京では、東京文化フォーラムを主催者、会場に、ゴールデンウイークの五日間、毎年テーマを決め、午前から深夜まで四百公演が行われる、フランス・ナントに始まる熱狂の一日、ラ・フォル・ジュルネが四年目を迎え、多くの人々が音楽の楽しさを気軽に味わっております。
 そこで、東京都が来年度事業に予定しているミュージックウィークス・イン・トーキョーとこのフォル・ジュルネとの発展的関係はどのようになるのか、違いは何か、また、今後どのような事業として育てていくのか、お伺いをいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 ミュージックウィークス・イン・トーキョーは、音楽の分野で東京に国際的な発信力を持つフェスティバルをつくることを目指して実施する事業でございます。来年度は、秋を中心に、音楽で結ぶ心のきずなをテーマとして、プロやアマチュアの音楽家の幅広い参加によるジャンルを超えたコンサートを順次開催していく予定でございます。
 将来的には、世界的な音楽家の参加も得ながら、都内の各ホールや音楽団体が開催するさまざまな演奏会と連携して、多くの人々を魅了する音楽フェスティバルとしていきたいと存じます。
 春のラ・フォル・ジュルネ、秋のミュージックウィークス・イン・トーキョー、それぞれの特徴を生かし、音楽があふれる都市東京を目指してまいります。

○矢島委員 次に、新しい事業、国際舞台芸術祭についてお伺いをいたします。
 これは、東京芸術劇場を中心に、本年は、豊島区が新たに開場したプロ仕様の小劇場「あうるすぽっと」など、文化施策を推進する豊島区と連携して、池袋を中心に実施する事業とお聞きしております。
 東京の顔となる国際舞台芸術祭として育てるため、将来は、全都を会場とした東京芸術祭として発展させねばならないと考えますが、この事業の特徴とあわせ、お伺いいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 来年度から開催する国際舞台芸術祭は、新しい舞台芸術を東京から創造、発信することを目指すものでございまして、野田秀樹さんを芸術監督として迎える東京芸術劇場を軸とした池袋一帯を中心に、豊島区とも連携して開催することを考えております。
 事業の実施に当たりましては、劇場内での国際的な演劇や舞踊の公演に加え、屋外の公共空間なども活用して、これまでにない大規模な芸術祭としてまいります。
 さらに、都内にある劇場とも連携し、広がりを持った芸術祭とすることも検討してまいります。

○矢島委員 これらの事業化の中で重要なことは、世界に訴求できる事業のブランディング化と運営マネジメントと思います。しかしながら、これは、行政の最も苦手にするところであります。また、予算が結果として入場料軽減のための補助金に近いものであれば、従来の方法と何ら変わらない、発展と発明のないルーチンということにもなります。
 そこで、この文化施策の有効な運営主体、事業を発展させるマネジメントとスタッフの確保、アカウンタビリティーと事業評価が必要ということになりますが、これらの点についてお伺いをいたします。
 また、世界に発信する事業として活性化し、ブランド化するためには、作品が提供する価値のレベルの高い評価、出演者と参加者の交流企画、あるいはフリンジが必要と思いますが、あわせてお考えをお伺いいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 来年度から展開する大規模な文化プロジェクトは、世界における東京の文化面でのプレゼンスを確立することを目的として実施するものでございます。そのため、各事業の実施に当たりましては、演目の内容、事業のマネジメントや評価などについて、東京芸術文化評議会の評議員を初め、内外の専門家の知恵を結集して、民間における運営手法のノウハウも最大限に活用し、質の高いプロジェクトになるよう進めてまいります。

○矢島委員 石原知事のツバルでの地球温暖化に対する警鐘は、地球の将来にかかわる、足音の聞こえる重要課題として、また、東京都が積極的に取り組む方向を示したものとして、意義を認めるものであります。
 そして、今後の温暖化による海面上昇は、日本の都市圏も大きな影響をこうむることになります。政府間パネルの報告では、二一〇〇年の海面上昇五十九センチ、これを前提に、満潮時の高潮という最悪の事態で、水没の地域は、現在の関東地方のゼロメートル地帯をはるかに超え、東京はもとより、関東平野で山手線の内側の三・四倍に達し、四百十五万人が被害を受けるという試算もあります。場合によっては都市の移転まで必要となる、温暖化の影響があるということになります。
 この一例を見るまでもなく、温暖化への取り組みは、一つの部局の取り組みでは済まず、日本を主導する東京都が全体にかかわる課題として位置づけなければなりません。まさに、知事が示したすべてにかかわる課題であります。
 この環境問題は、先進的取り組みのEUでは、環境保護を通じた経済社会の持続可能な発展の総合課題として位置づけられております。東京は、生産と消費から持続可能な世界の中軸都市として、環境と経済を両立する方向を示さねばならない、このように思います。
 東京都の持続発展の方向と環境への取り組みの位置についてお伺いいたします。

○吉川環境局長 気候変動を初めとする環境の危機に対応していくため、都は「十年後の東京」におきまして、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現していくこととしております。
 このため、都は、世界に誇れる日本の省エネルギー技術や再生可能エネルギーの本格的活用などにより、必要最小限のエネルギーで豊かで快適な都市生活を送ることができる低炭素型社会への転換を図ってまいります。また、こうした低炭素型社会を目指していく中で、経済的にも活力を維持できる持続可能な都市モデルを東京に創出してまいります。

○矢島委員 日本のエネルギー消費は、ある推計によると、同じ生産性でヨーロッパの六割程度といわれております。そのような日本であっても、東京の事業にかかわる環境影響評価施策は、持続可能な東京の全体計画として進めなければなりません。
 しかしながら、現在の事業アセスは、大規模事業が対象であるだけに、特に人口の集積の高い東京では、影響の累積の大きさが課題となります。
 つまり、東京全体の都市としてのあり方を、いうところの戦略的事業アセスを活用し検討すべきではないか。それなくして、全体としての東京の環境問題に対応することができないと考えます。
 国では、平成十八年に、手法として戦略的環境アセス推進となりましたが、東京都では、既に、計画段階環境評価手続が平成十四年に大規模プロジェクトに取り入れられております。
 そこで、東京都は、戦略的環境アセスを東京の持続可能な発展の上位の手法として、東京全体の総合計画策定の基礎に生かすべきではないかと考えますが、お考えをお伺いいたします。

○吉川環境局長 戦略的環境アセスメントは、個別の事業実施に先立つ素案段階の計画や、より上位の総合計画及び政策を対象とする環境アセスメントでございまして、海外諸国でその導入が進められております。
 東京都は、全国に先駆けて、平成十四年度に環境影響評価条例を改正し、計画立案の早い段階から環境配慮を推進する計画段階アセスメント制度を導入いたしました。
 さらに、現行の環境基本計画の中に、都市づくりにおける環境配慮の方針を位置づけ、都のさまざまな計画や施策の策定と実施に当たりまして、環境基本計画との整合を図ることによりまして、東京全体の都市政策に、環境影響の回避、低減等、環境配慮の原則を徹底しております。
 今後とも、計画アセス制度や環境基本計画の一層的確な運用によりまして、環境配慮の原則を社会や経済を動かす基本的なルールとし、経済的にも活力を維持できる持続可能な都市モデルを創出してまいります。

○矢島委員 東京都のカーボンマイナス計画では、京都議定書基準年と比べ、CО2三三%の増加の対策が盛り込まれております。
 実際、国では、平成十八年施行のオフィスの環境対策規制があり、ここでは、オフィスの使用するエネルギー全消費の四〇%といわれる大事業所の空調機が最大の課題で、省エネヒートポンプの普及が削減のかぎといわれており、東京が生産拠点からサービス拠点へと構造転換したゆえに、これは東京都が重点的に進める課題であります。
 この千三百といわれる大規模事業所対策とあわせ取り組まねばならないのは、中小零細の対策であります。
 今計画では、この中小零細対策は、環境政策に対する理解を深める最初の段階だけに、いわば第一フェーズともいうべき内容と思います。今後の中小零細の環境対策は、大変厳しい経済経営状況の中で苦しんでいる中小企業であることを前提に、東京都の積極的な関与で取り組まねば、結果を生んでいかないことになります。
 そこでお伺いいたしますが、排出権取引を活用し、大企業が有する省エネ技術を中小零細に供与、削減された排出権を中小零細から提供した大企業に転換する方法は考えられるのではないか。既に民間ではそのような動きもあると伺っておりますが、中小零細対策の第二フェーズとして、東京都が積極的に関与した何らかの方策を具体化すべきではないかと思います。お伺いいたします。

○吉川環境局長 都が導入を目指す排出量取引制度におきましては、削減義務を負わない中小規模事業所が、設備更新などにより削減した実績を大規模事業所に売却することも可能とする予定でございます。
 この制度の活用によりまして、排出削減量が売買されるだけでなく、大規模事業所の保有する省エネ技術やノウハウが中小規模事業者に積極的に提供されれば、結果的に、都内の産業・業務部門全体のCО2削減を進める上で大きな意義がございます。
 このため、制度の具体化に当たりましては、大規模事業所の省エネ技術などの中小企業への移転が円滑に進むような方途を検討してまいります。
 なお、あわせて、都は、中小企業の支援のため、省エネ診断や設備の運用改善指導を拡充するとともに、中小企業制度融資を充実するなど、資金面での支援にも取り組んでまいります。

○矢島委員 平成七年一月十七日、午前五時五十分過ぎの揺れで目が覚め、スイッチを入れたNHKのラジオで、緊張したアナウンサーの声が、関西方面で大震災が発生した模様と伝えた短い第一声を聞いたときの驚きと不安は、今も心の奥底に強くのしかかっております。
 実際、阪神・淡路大震災被災地を直接ごらんになった方は、その被害の甚大さに、大きな衝撃として脳裏に深く刻まれていることであろうと思います。私も、現地に入りました一人で、ボランティアの活動する被災地をつぶさに調査してまいりました。
 直下地震が切迫している東京はそれを受け、大規模震災が発生した際の都市復興マニュアルを作成しており、大きな被害の出た地域は、重点復興地域として、行政が相当強力に新しいまちづくりプランを提示していくことになります。
 この阪神での教訓は、人口の集積する都市として、災害に強い都市構造とする必要を痛感させるものでありましたが、特に、東京には多くの木造密集地域があり、平均的にも、ニューヨークと数十キロ圏で比較して大変高い人口集積があるだけに、その中での木造密集地域は、平時にも喫緊の課題として取り組まねばならない重要な課題であります。
 この木造密集地域の防災性向上のためには、都市計画道路などを延焼遮断帯として整備する必要があり、現在、墨田区鐘ヶ淵と豊島区東池袋で取り組まれております都市計画道路の事業化と同時に、沿道のまちづくりを進める面的整備、沿道一体整備事業は効果的であります。
 この事業を都市整備局は先駆的取り組みとして進めておりますが、事業の整備方法、現況についてお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 お話の沿道一体整備事業でございますが、都市計画道路の整備に合わせまして、都と区が連携しまして、住民の参画を図りながら、組合再開発などのさまざまな事業手法によりまして、沿道建物の不燃化や合理的な土地利用を促進する事業でございます。
 現在、墨田区の鐘ヶ淵地区では、補助第一二〇号線沿道の二つの街区で権利者と検討会を設置しておりまして、合意の調いました一つの街区で着工に向けた準備を進めております。
 また、豊島区の東池袋地区でも、補助八一号線沿道におきまして、二つの街区において、組合設立に向けた検討や、具体的な建築計画の策定を行っております。

○矢島委員 しかし、この問題は、密集地域を一つ不燃化すればよいということではなく、防災と生活の質をともにクリアしなければなりません。生活圏としてのまちの形、また防災に有効な都市計画道路、防災道路と広幅員の歩道、オープンスペースの確保といったまちの骨格ビジョンを住民と共有することが前提条件であり、さらには、震災復興計画の事前事業の観点がなければならず、結果として、減分のない区画整理までも視野に入れなければ、都市計画道路に続く今回施策の木造密集地域は、従来の狭隘した道路形態をそのままに、単に四メートルに拡幅された道路を挟んで、あんこが密集したまちだけが残るだけとなり、土地利用、生活するまちの形、姿にも大きな禍根を残すことになります。
 鐘ヶ淵、東池袋は、今後の密集地域取り組みの試金石となる二地域であるだけに、この点についてのお考えと取り組みをお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 木密地域の防災性を早期に向上させるためには、お話にございましたように、延焼遮断帯の形成が重要でございますが、これに合わせまして、その後背地のまちづくりを誘導していく必要がございます。
 このため、区と連携しまして、道路整備と合わせた沿道建物の共同化、不燃化を促進するとともに、都市計画道路に接続する細街路なども、一体的な拡幅整備ができますよう、木密事業などの各種事業を重層的に活用してまいります。

○矢島委員 今後、都内に多く残る木造密集地域の整備あるいは今回の沿道一体型整備事業でも、快適で安全な都市生活のため、事業を主導する東京都の直接投資が不可欠と考えます。
 また、現在、事業化されている鐘ヶ淵、東池袋の整備は、今後引き続く整備事業のモデルとなりますので、事業の完成度を高めるためにも、連続する密集地域で整備事業を進める地元自治体と協力し、公園、オープンスペースの確保が必須の条件であります。
 さらには、整備地域で課題を解消するためには、地域住民のインセンティブを高める助成制度等支援策の充実や防災性向上を進める施策が必要と思いますが、お考えをお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 木密地域の整備の一層の促進についてでございますが、昨年いわゆる密集法が改正されまして、この改正を踏まえまして、容積移転を活用した建てかえ促進などの推進方策について検討いたしまして、来年度から見直しに着手いたします防災都市づくり推進計画に盛り込んでまいります。
 また、引き続きまして、木密事業によりまして、建物を共同化する場合の補助対象の拡充などにつきまして、制度改善を国に要望してまいります。

○矢島委員 この一番のポイントは、直接投資と工夫と発明ということになりますので、ぜひ努力していただきたい、このように思います。
 次に、水道事業についてお伺いいたします。
 水道局では、安全でおいしい水の安定供給のため事業を進めており、我が党でも、その推進を機会あるごとに主張してまいりました。現在、高度浄水処理の導入など、おいしい水への取り組みは実を結びつつあります。今後も工夫と努力で取り組みを進めていただきたいと思います。
 そこで、水道事業の震災対策についてお伺いをいたします。
 平成七年の阪神大震災の現地では、水の重要性と震災時に人の避難する基地としての学校の拠点性を実感してまいりました。
 東京都の被害想定によりますと、マグニチュード七・三の直下型地震の際には、水道の受ける被害は三割を超え、復興にも一カ月必要となります。水道の送配水管の延長は地球半周にも及ぶところから、被害ゼロを目指すとしても、現実は難しいということになります。
 そこで、水道施設の耐震化に向けたこれまでの取り組みをお伺いいたします。

○東岡水道局長 震災に強い水道システムを構築するため、これまで、浄水場や給水所、送配水管網の耐震化を計画的に進めてまいりました。
 特に、延長二万六千キロメートルの送配水管につきましては、重点的に耐震化を図ってきており、昭和四十年代以前に布設した経年配水管につきましては、平成十八年度末現在、約九六%の取りかえを完了しております。
 なお、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成十年度からは、取りかえに当たって、抜け出し防止構造の耐震性の高い継ぎ手を全面的に採用しております。
 また、配水管から分岐した給水管は、お客様の財産でありますが、耐震性の強化及び漏水防止の観点から、敷地内に設置された水道管のバルブまでは、水道局で取りかえを実施してきました。
 このうち、五〇ミリ以下の小口径の給水管につきましては、昭和五十五年からステンレス管への取りかえを行い、ほぼすべて完了しております。
 また、大口径の給水管につきましても、破損した場合、その周辺一帯が断水するなど、影響が大きいことから、配水管も全体の耐震性を高めるため、平成十年度から強度の高いダクタイル鋳鉄管への取りかえを水道局において行っており、全体件数一万六千件のうち七割の耐震化が完了しております。

○矢島委員 これまでの長年にわたる水道局のきめの細かい耐震化の取り組みを評価するものであります。
 これらのうち、経年管の更新は、十八年度末で九六%と着実に進捗し、さらに、小口径給配水管のステンレス化もほぼ完了しているとのことであり、このことは、漏水率三・六%という世界を驚かせた実績にもつながっております。
 しかし、大口径給水管については、さきの答弁でも、三割が耐震化されていないとのことであります。この大口径給水管は、配水管と一体となり、地域の配水管とネットワークを形成しておりますので、震災、事故が発生した場合は、地域全体の給水がストップするなど、被害が長期化、甚大化することが予想され、水道局の努力も、その成果を発揮できないことになります。
 そこで、積極的に進めなければならない大口径給水管耐震化の平成二十年度の予算内容、そして今後の見通しについてお伺いいたします。

○東岡水道局長 大口径の給水管は、小中学校や大学病院、大規模な集客施設などで使用されており、これらの給水管が耐震化されれば、震災時における被害を軽減することができます。
 このため、敷地内のバルブまでを対象として耐震化を積極的に進めており、平成二十年度は約七百件を対象として、十四億円の事業費を見積もっております。
 残り約四千件につきましても、平成二十五年度末までにダクタイル鋳鉄管へ取りかえてまいります。

○矢島委員 ぜひ積極的に推進することを期待いたします。
 しかし、水道局が大口径給水管耐震化を進めても、なおいま一つの課題が残ります。
 大震災時に多くの地域の方が避難する小学校、中学校の敷地内には、大口径給水管を使用しているケースが多く、そこには一時避難場所として多量の水が必要でありますが、この耐震化なくして避難された住民の水の確保はなされません。
 そこで、小中学校を管理する区市町に対し、給水管の耐震化の重要性について、水道局として積極的な注意喚起を図っていくべきではないかと思いますが、お伺いいたします。

○東岡水道局長 各学校敷地内のバルブから先の給水管につきましては、それぞれの設置者の判断で耐震化を図ることとなっております。
 このため、小中学校を所管する教育委員会などに対して、個別に訪問し、耐震化の重要性について具体的に説明するとともに、リーフレットなどを活用して、学校の敷地内にある給水管につきましても耐震化を図るよう要請してまいります。

○矢島委員 水道施設の耐震化の着実な進捗と、区市町との連携した幅広い施策を積極的に進めることを要望いたします。
 次に、消防団についてお伺いをいたします。
 昭和二十二年、消防組織法により新たに発足した消防団は、日々訓練を重ね、組織的に活動できる数少ない民間防災組織として活動し、また、団員一人一人は防災の専門家として士気高く、地域住民の信頼を勝ち得ております。しかし、その報酬はわずかで頭の下がる思いであります。
 このなくてはならない消防団は、地域によっては、その充足率がなかなか上がらず、高齢化の課題も多く、また原則的に本業を持っておりますので、たとえ充足率が高くとも、一朝有事の際の参集には、予想と違う現実となることも考えられます。
 そこでお伺いいたします。特別区消防団の年齢構成、充足率の現況、自営等の区分、また消防署は三交代ですから、災害発生時、ここは三分の一程度の人員となることになりますが、地域に所属する特別区消防団の大災害発生時の活動体制をどの程度確保できると想定しているのか、お伺いいたします。

○小林消防総監 特別区消防団員の年齢構成は、五十歳未満が五〇%、五十歳代が二九%、六十歳以上が二一%であります。本年二月末現在の充足率は九〇・七%であり、消防団員の就業形態につきましては、会社員などの被雇用者団員が年々増加するとともに、自営業者が減少しております。
 また、特別区消防団は、発災直後から一斉に活動することとなっておりますが、消防団員の職業や生活スタイルの多様化などから、消防団員が直ちに消防団活動に着手することは、曜日や時間帯などによって困難な状況にあると認識しております。

○矢島委員 一人一人の消防団員は、特別区共通の訓練を重ねた防災の知識と鍛錬した技術を身につけており、どこにいようとも戦力であり、幾つであろうとも、身がしっかり動く限り、地域にとって重要な力、頼りになる要員であります。
 そこで、大災害発生時に不足するであろう被災地域消防団の団員確保対策について、お伺いをいたします。
 大災害発生時、担当する地域を消防団各分団が中心となって災害対応に当たることになります。しかし、現実に本業を持つ消防団員は、常に担当地域近くで活動しているわけではなく、むしろそうでないケースも多いと考えられます。これは今、消防総監のご説明のあったとおりです。
 つまり、先ほどの答弁にありましたように、必要ある専門性を持った人員の確保に課題が生じるということになります。しかし、各消防団には、別途本団分団がありますので、そこに年齢は高いけれども、経験と専門性ではまだまだ実力十分のОB団員を本団分団予備役としてあらかじめ組織し、後方支援の体制を整え、また不足する地域消防団員の緊急時要員として、大規模災害発生時にたまたまその地域に仕事などで所在する現役の消防団員がおられる可能性が高いと思われますので、本人の意思があれば、現地消防団に組み入れ、担当地域を知悉している本団分団の幹部が指揮者となり、一人でも多く必要な、一秒でも早い災害救助活動に努めるべきではないかと思います。
 そのためには、関係装備、備品を本団分団内に確保し、また指揮、運用のため、自衛隊の机上訓練を応用した災害シミュレーションがあると聞いておりますので、その模擬訓練など、大規模災害発生時に消防団員が所属団区域外での活動ができる仕組みと、有効な活動につながる方策が必要と思いますが、お考えをお伺いいたします。

○小林消防総監 震災時の同時多発する火災や救助事象に対応するためには、早期にできる限り多くの活動人員を確保することが重要であります。
 このため、災害に関する豊富な経験や知識を有し、地域情報に精通されているОB団員は貴重な存在でありますことから、消防団本部などでの支援活動をお願いできればと考えております。
 また、特別区の消防団員の活動は、自己消防団の区域内での活動が原則であります。お話の自己消防団区域外で活動できる仕組みにつきましては、貴重なご意見であり、前向きに検討してまいります。

○矢島委員 東京都が進めた直近の財政再建は、膨らんだ歳出、高どまりの都債償還、そして歳入減に対応するため、基金を取り崩し、このため財調基金は、知事が就任された平成十一年度には底をつく十億ほどにもなり、また職員の退職金を都債で手当てするなど、資金繰りに窮し、必死の歳出減と内部留保金の借り入れなどでしのぐなど、現在の財政からは及びもつかない状況であり、この経験と学んだ英知を今後の健全財政を貫く姿勢と判断につなげなければなりません。
 実際、東京都は、潤沢の財政状況にあるわけではなく、平成十六年のデータで大変恐縮ですけれども、都民一人当たりの税収金額は一位でありますけれども、実質的租税配分額は二十二位、負担の還元率では最下位、または都市基盤の更新問題を抱え、直下型地震での甚大な被害が想定されるなど、多くの課題を抱えております。
 かような中での都の財政運営は、自主財源を中心に、依存財源である都債を活用し、年度間負担の調整を果たしつつなされていきます。そして、財政運営に必要な地方債の発行は、平成十八年度には国との許可制から協議制、また市場中心に移行しましたが、このことは、民間引き受け者と金利さえ合意すれば、超長期の償還期間が可能など、市場化により大きく状況は変化しております。
 不交付団体でありますから、東京都は自主的に協議制に移行している、市場化に移行しているといって、過誤はありませんか。協議制の移行が都債発行にどのような変化をもたらしたか、あるいはもたらさなかったのか、また新たな課題が生じたか、お伺いいたします。

○村山財務局長 地方債の発行は、平成十八年度から、それまでの国による許可制から自治体の自主性を重んじる協議制に移行いたしました。このことは、地方財政全体にとっては責任がより重くなることを意味しております。
 東京都の場合には、みずからが地方交付税の不交付団体であり、だれにも頼れない存在であるということを前提といたしまして、従来から自主的な発行に努めてきており、協議制への移行によっても、都債運営が大きく変化することはないと考えております。
 とはいいましても、都財政は、これから社会資本ストックの更新期を迎えるなど、中長期にわたって多額の財政需要に対応すべき時期を迎えており、財源としての都債の持つ役割はますます重要になっております。
 したがいまして、今後の都債運営に当たりましては、かつてバブル崩壊後の一時期、身の丈を超えた都債発行に依存した経験をも教訓といたしまして、ますます市場化の流れが加速する状況に適合した、機敏でかつ節度ある都債運営に努めてまいります。

○矢島委員 東京都の発表されるバランスシートでは、連結の負債は四十四兆七千億円、資産に対する負債の割合は三九%とありますが、資産は道路など換金性のない資産が多く、景気に左右されやすい歳入構造の都財政として、財政状況によっては積み増す基金でも長く支えることは容易ではありません。
 このバランスシートは、都財政の状況を示す情報公開として大変重要でありますけれども、財政運営には多くの財政指標が必要で、特に投資的事業を支える都債は、市場化が進んでいる状況では、市場に都債の償還確実性を示す必要が生じることになりますので、何よりも、しっかりした財政見通しと詳しい内部管理財政指標を活用した都債管理が極めて重要ということになります。
 これらの点についてお考えをお伺いいたしますが、時間の関係もありますので、引き続いてもう一問いたします。
 協議の調った地方債の発行は地方財政計画に入り、調わないものは、結果として国に保証されないということになり、自治体の財政運営判断の責任が重くなるわけでありますが、東京都は既に地方債の市場化に取り組んでおり、財政逼迫時でも滞りなく都債を発行してきた。つまり、引き受け手があったということは驚くべきことで、財政見通しと起債管理には、一日の長、大変な見識があるということになります。
 今後、市場化の進む地方債の起債能力、償還能力、管理手法など、債務の管理ノウハウの都内市区町村への移転について、求める自治体には、東京都は積極的に支援すべきではないかと考えますが、お考えをお伺いいたします。

○村山財務局長 二十年度予算の一般会計の都債発行額は二千六百六十六億円、借換債発行額は二千九百十三億円でございます。起債依存度は、都が三・九%であるのに対しまして、国は三〇・五%、地方財政計画におきましては一一・五%であり、東京都が国、地方と比べ低い水準にございます。
 都債の残高は、一般会計ベースで、十八年度、六兆六千九十一億円でございまして、十三年度をピークとして減り続けております。
 しかしながら、公債費負担比率は、十八年度におきまして一五・五%と、十年前の八・五%に比べ、相当高い水準にまだございます。これは、先ほど申し上げましたように、バブル崩壊後に年一兆円以上という多額の都債を発行した時期がありまして、その影響がなお残っていることによるものでございます。この間の都債発行の抑制によりまして、今年度以降、ようやく減少に転ずるという段階に到達したという状況にございます。
 今後の都債管理におきましては、こうした状況をしっかりと踏まえ、財政環境がいかに変化する中にあっても、必要な行政サービスを提供していくに足ります財政対応能力を確保できるよう努力していく必要がある、かように認識しております。
 また、区市町村に対する支援というお話でございますけれども、東京都は、財政再建期を通じまして景気変動に大きく影響を受け、多くの困難に直面してきましたが、都債を財政運営上の重要なツールとして活用しながら、これを何とか乗り切ってまいりました。
 その過程で、債券市場においていかにして都債の評価を高めるかを重要な課題として位置づけまして、都債格付の取得や海外IRなど、債券市場における都債の商品性の向上という観点から、先進的な取り組みを継続的に行ってきたつもりでございます。
 こうした都債発行についての都の経験は、今後、特別区債や市債などをより債券市場に適合させていこうという意欲を持つ都内の自治体に参考としていただける面もあるのかとは思っております。
 したがいまして、もし区市町村から要請がございますれば、都が培ってきたこうしたノウハウについて提供していくつもりでございます。

○矢島委員 以上をもちまして私の総括質疑を終わります。(拍手)

○三宅委員長 矢島千秋委員の発言は終わりました。

ページ先頭に戻る