東京都議会予算特別委員会速記録第三号

   午後七時二分開議

○小磯副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 上野和彦委員の発言を許します。

○上野委員 初めに、事業継続計画、BCPについて伺います。
 近年、地震、風水害などの自然災害、またテロなどの人的災害、さらには、発生が差し迫っている新型インフルエンザなど、さまざまな危機が私たちの脅威となっているところでございます。
 このような危機が一たん発生すれば、行政サービスが中断したり、交通機関、ライフラインが麻痺し、経済活動が停滞するなど、まさに都民生活が大混乱に陥る事態が予想されます。
 こうした事態を避けるため、有事の際の事業継続と早期復旧を図るための対応策を事前に準備しておく、これが事業継続計画、ビジネス・コンティニュイティー・プラン、略してBCPといわれるわけでございます。
 このBCPは、二〇〇一年の米国での同時多発テロ以来、その必要性が国際的に注目されているところでございます。
 公明党は、昨年の第一回定例会におきまして、自然災害やテロなどに備え、首都東京の信用を高めるためにも、都庁や企業のBCP策定に本腰を入れて取り組むべきであると主張いたしました。
 それに対し、知事からは、危機を想定し、事前に備えることは極めて重要であり、都政のBCP策定に着手する、さらに、中小企業が事業を継続できるよう計画作成を支援していくとの答弁があったわけでございます。
 そこで、まず初めに、都政のBCPを策定することによって得られる効果を都民にわかりやすく説明していただきたいと思います。

○押元総務局長 都政の事業継続計画、BCPでございますが、迅速かつ的確な応急復旧業務が可能となりますよう、その実効性を確保いたしますとともに、災害のときにも中断することができない医療や介護などの通常業務を一定の水準で維持し、業務の継続と早期の復旧を図るための計画でございます。
 BCPを策定することによって得られる主な効果でございますが、優先すべき業務をあらかじめ選定し、職員の確保などの体制づくりを行うことで、迅速な初動の対応が可能となります。
 また、停電のときの対応や必要な物資の備蓄などの対策を事前に講じておくことで、災害のときにも円滑に業務が行えるようになります。

○上野委員 そうした効果を実現するために、都は現在、全庁を挙げて都政のBCP策定に取り組んでいると聞いておりますが、現在の検討状況と策定時期をお聞かせください。

○押元総務局長 BCPにつきましては、庁内に計画策定委員会を設置いたしまして、全庁的な取り組みを進めているところでございます。
 これまで、各局が所管をいたしますすべての業務について洗い出しを行いまして、災害のときにも継続すべき業務を特定しております。
 さらに、それらの業務につきまして、目標とする水準と、その水準に達するまでの時間を検討してきたところでございます。
 現在は、目標達成のために必要な人員の確保や、災害の対応の拠点となる庁舎などの機能の維持、情報通信手段の確保などの諸課題を整理いたしまして、対応策について検討しておりまして、来年度中に計画を策定する予定でございます。

○上野委員 都政の円滑な事業継続を確保するためには、東京都だけでは困難であります。都と応援協定を結んでいる各団体のBCP策定が不可欠であるとともに、住民に身近な区市町村ともしっかり連携が確保されてこそ、初めて適切な対応ができるわけでございます。
 そこで、東京全体の災害対応力を高めるために、都は、区市町村、関係団体においてもBCPの策定が行われるよう、強く働きかけていくべきと考えますが、所見を伺います。

○押元総務局長 ただいま上野委員ご指摘ありましたように、災害時におきます応急復旧と事業継続を円滑に進めますためには、区市町村や関係団体におきましてもBCPを策定し、都と連携をして迅速に対応できる体制を確保することが不可欠でございます。
 このため、都といたしましては、区市町村や関係団体が参加をいたします連絡会を立ち上げ、これまで蓄積してきた計画策定のノウハウや他団体の取り組み状況などの情報を提供し、BCPの策定を積極的に働きかけてまいります。

○上野委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 ところで、現在、最大の脅威は何かといわれると、大規模地震とともに新型インフルエンザでございます。
 厚生労働省は、世界的な大流行が発生した際の国内での被害を、感染者が三千二百万人とした場合、受診者二千五百万人、死者六十四万人と試算しており、まさにインフルエンザパンデミックに対する危機感が高まっております。
 行政は、これらがいつ起こるかわからないという意識ではなくて、近いうちに必ず起こるんだ、こういった認識で対処することが大事であると思います。
 新型インフルエンザは、感染拡大防止に国がどう取り組むか、これによって被害状況に大きな違いが生じます。したがって、東京都のみでの対応では難しいことは十分承知しておりますが、差し迫った危機でございます。
 過去にスペイン風邪で深刻な被害を受けた経験のある欧州では、既に、政府だけではなくて民間企業レベルでも、BCPの一環として、このパンデミック対策に取り組むところがふえていると聞いております。
 そこで、都は、自然災害、テロ対策に加えまして、この新型インフルエンザのパンデミック対策を強化するためのBCPを策定すべきと考えますが、新型インフルエンザ対策についての知事のご決意をお伺いいたします。

○石原知事 新型インフルエンザは、いつ発生してもおかしくない、差し迫った危機でありまして、最悪の事態を想定した対策を国を挙げて早急に講じる必要がございます。
 しかし、国の動きは鈍く、プレパンデミックワクチンの備蓄は不十分でありまして、また、感染の拡大防止に不可欠な外出や事業活動の規制についての法整備もおくれております。
 ただ、このプレパンデミックワクチンの備蓄がおくれた理由は、かつて集団ワクチンの投与というのが行われました。これは一種の強制措置に該当するものと思いますけれども、そこで、非常に数少なかったけれども、年によっては何人かの被害者が出ました。後遺症が残り、あるいは死亡する方もおられたようですけれども、それに懲りて集団投与というのはなくなったわけですね。
 その結果、それに甘んじたというか、迎合した形で、こういう事態が到来することを想定もせずに、結局、個人の任意に任せるしかないということで、かつてのスペイン風邪に相当する強力なインフルエンザがはやりそうな時期に来てもなお、その備蓄がおくれているわけでありまして、都は国に対しても、ワクチンの接種体制の整備や行動規制による徹底した封じ込めの実施などを強く求めてまいりますが、これはやっぱり国全体が、おっしゃるようにBCPに該当する法整備というんでしょうか、集団ワクチン投与がいろんな意味で難しいならば、任意接種も被害を増大するわけでありますから、その中間的な方法というものを考えていく必要があるんじゃないか。
 これは都としても、その案を皆さんと相談してつくって国に向かって提案することが、この新しいインフルエンザ対策の強化につながると思っております。

○上野委員 ありがとうございます。都民の大事な命と財産を守るために全力で取り組んでいかれることを強く期待いたしまして、次の質問に移ります。
 都内中小企業のBCP策定促進について伺います。
 昨年十二月、都の支援を受け、東京商工会議所は、中小企業でもBCPを比較的容易に策定できる東京版BCPステップアップ・ガイドというマニュアルを作成いたしました。こうした取り組みは、公明党がかねてより主張していたことでございます。そういう意味で、大変意義のあるものとして評価するものであります。
 さて、マニュアルはできたが、一向にBCP策定が進まないでは、これは絵にかいたもちになってしまいます。そうならないためには、昨年の第四回定例都議会でも指摘したことでございますが、地域の中小企業に近いところで経営支援を行っている区市町村の役割が極めて重要となります。
 そこで、中小企業へのBCPの普及啓発のために現在取り組んでいる内容と今後の取り組みについて伺います。

○佐藤産業労働局長 都は、本年二月に、区市町村の産業振興部門の職員を対象に、BCP策定の重要性を説明する機会を設けまして、域内の中小企業への普及促進を呼びかけたところでございます。
 また、今月十九日には、東京商工会議所と共催をいたしまして、東京版中小企業BCPステップアップ・ガイドを活用いたしましたBCP普及啓発セミナーを実施いたします。
 今後とも都は、中小企業がBCPの重要性を踏まえまして、みずから積極的に策定するよう、関係機関とも連携しまして普及啓発に取り組んでまいります。

○上野委員 ぜひともBCP作成の重要性、必要性の普及啓発に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 このたびガイドが作成されたことで、中小企業にとってもBCPの策定が可能なものとなりました。そこで、今後は、中小企業が策定したBCPに基づき、施設整備や設備改善などに取り組みやすいようにするため、東京都は金融面からの支援する仕組みを構築すべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤産業労働局長 現在、都では、耐震化等の防災対策を講じる中小企業者を、融資期間が最長十年で、かつ最優遇金利が適用されます産業力強化融資の対象とするとともに、災害に伴う復旧のための資金として、保証料の全額を補助いたします災害復旧資金融資を用意しております。
 このたびのBCPステップアップ・ガイドの作成によりまして、中小企業のBCP策定の促進が期待されますが、耐震補強や施設の整備等には多額な費用がかかることから、資金を借り入れる中小企業の負担を軽減する必要があると考えます。
 今後とも、都は、BCPに基づいて施設整備等に取り組む中小企業者を金融面から支援をしてまいります。

○上野委員 ぜひしっかり支援されることを期待し、次の質問に移ります。
 木造住宅の耐震対策についてお伺いいたします。
 我が党は、昨年第四回定例会におきまして、地震から都民の命を守ることを最優先にした施策の必要性を強く訴え、耐震シェルターや防災ベッドについて新たな助成制度を創設し、一層の普及促進を図るべきと主張いたしました。
 平成二十年度予算には、新規事業として、地震による住宅倒壊から高齢者等の命を守る助成事業が盛り込まれております。これは、耐震シェルターを設置する高齢者世帯等に対し、設置費用の一部を助成する事業ということであり、公明党の主張を全面的に取り入れたものと高く評価いたします。
 そこで、本事業を推進すべきとの立場から、二点質問いたします。
 まず、本事業創設の背景と目的について伺います。

○只腰都市整備局長 大地震の切迫性が高まる中、都はこれまでも、木造住宅の耐震改修を促進する一方、応急対策として、住宅の倒壊から命を守るための安価で信頼できる耐震シェルターにつきまして、展示会、これは今週初めにも新宿西口で行いましたが、この展示会で広く都民に紹介するなど、普及に努めてまいりました。
 昨年発生しました新潟県中越沖地震では、住宅倒壊による犠牲者が全員高齢者であったことが契機となりまして、迅速な避難が難しく、経済的にも余裕のない高齢者等へのさらなる支援が必要と考え、助成事業を創設いたしました。

○上野委員 耐震シェルターなどの普及を進める上で、助成は大変有効な方策だと思います。本事業は、区市町村と連携して、昭和五十六年以前の木造住宅に居住する低所得の高齢者、障害者世帯に対し助成を行うと聞いておりますが、区市町村への間接補助ということですので、区市町村が助成制度を設けないことには、せっかく都が予算を確保しても、執行できないということになってしまいます。
 昨年十一月には、渋谷区がいち早く耐震シェルターなどへの助成を開始しました。その後、ことし一月からは品川区でも助成を始め、来年度からは目黒区、新宿区、荒川区、八王子市など約十の区市が予定しているようでありますが、助成の実施に踏み切るところはまだ少ないようであります。
 そこで、耐震シェルターなどの普及に向け、都としても区市町村の取り組みを促進していくべきと考えますが、所見を伺います。

○只腰都市整備局長 耐震シェルター等の普及を促進するためには、住民に身近な区市町村が福祉施策等とも連携しまして、情報提供や助成などの支援に取り組むことが必要でございます。
 先月には、耐震化に関する区市町村との行政連絡協議会を開催し、耐震シェルター等に対する都の方針や助成制度の内容を示しまして、取り組みを促しました。
 今後とも、区市町村と十分な連携を図りながら、普及に努めてまいります。

○上野委員 次に、防犯対策について伺います。
 都内の侵入窃盗や十三歳未満の子どもへの強制わいせつ事件などの約四割が共同住宅で発生しております。住宅における犯罪の防止に関する指針では、都民が安全で安心して暮らすことのできる社会を実現するために、共同住宅の防犯カメラ設置を推進するとされております。
 これを受けて、都は、建てかえなどを行う都営住宅の新規エレベーター内に防犯カメラを設置していくこととされました。これは評価いたしますが、局長、事件は、今あるエレベーター、その現場で起こっているわけでございます。
 私の地元の江戸川区平井、ここでは、ことしの一月、エレベーターで放火事件がありました。また、臨海地域、臨海の住宅では、エレベーターに不審者が入ってきて、そして、携帯電話で何と盗撮、さらには暴行未遂が発生しております。子どもたちが被害に遭っているわけであります。
 都民の声は、こうした現実に起こっている犯罪を防ぐために、今ある都営住宅のエレベーターに防犯カメラを設置していただきたい、これが願いであります。
 局長、都民の声を実現するために、これが都民を守る石原都政であるというご答弁をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○只腰都市整備局長 エレベーターは密室性が高いことから、防犯カメラの設置は、居住者の安全・安心を確保する上で有効な手段と考えております。
 建てかえ等を行う都営住宅のエレベーター内には、既に今年度から防犯カメラを設置しておりますが、既存の都営住宅につきましても、来年度から順次防犯カメラを設置してまいります。

○上野委員 ぜひ防犯カメラの設置の推進をしていただきたいと思います。
 防犯カメラで大きな問題となるのが、個人情報の保護であります。
 そこで、都が設置する防犯カメラの維持管理はだれが行うのか、また、記録された映像データの管理方法についてお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 都営住宅に設置する防犯カメラの維持管理でございますが、エレベーターのメンテナンスの一環ということで都が行います。
 また、記録した映像データにつきましては、東京都が設置する防犯カメラの運用に関する要綱がございますので、これに基づきまして、防犯カメラの管理責任者を置くなど、個人情報の保護に留意しながら適切に管理してまいります。

○上野委員 防犯カメラのデータは都が責任を持って管理するということでございますが、個人情報保護の観点からも十分な注意をして管理してもらいたいことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 「十年後の東京」では、一番目に、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京の復活がうたわれております。都は、東京オリンピックの開催を視野に入れ、世界に冠たる環境都市を構築するため、街路樹百万本や東京湾の海の森の整備など、全庁的な取り組みを行っているところであります。
 こうした中、都民が身近な場所として潤いと安らぎを感じることができる貴重な空間である河川において、堤防護岸がコンクリート張りで無味乾燥の景観となっている箇所が存在しております。
 環境都市の象徴として、水辺と緑は最も重要であり、都市の潤いと安らぎの創出に極めて大きな役割を果たしております。
 そこで、都は、河川護岸の緑化整備の推進に積極的に取り組むべきであると考えますが、所見を伺います。

○道家建設局長 東京の河川におきましては、治水機能を確保しつつ、地域特性を踏まえ、緑豊かな水辺空間を創出していくことが重要であります。
 そのため、「十年後の東京」に基づき、河川の整備にあわせた緑化はもとより、既に整備が完了した区間においても緑化を推進し、平成二十七年度までに、河川延長に対する緑化率を九〇%に向上させることを目指してまいります。
 具体的には、隅田川などでは、まちづくりと一体となった緑の空間を生み出すスーパー堤防などの整備を進め、石神井川など区部の中小河川では、河川管理用通路を緑化し、遊歩道として活用するとともに、川沿いの公園と連携した水と緑のネットワークを充実してまいります。
 また、自然豊かな多摩地域の河川では、川沿いの緑を生かした川づくりを進めてまいります。
 今後とも、区市町村や多くの都民と力を合わせ、緑豊かな水辺空間の創出に努めてまいります。

○上野委員 私の地元、江戸川区の中川では、耐震工事によりまして、テラスがかなり整備されてまいりました。都民が水に親しめるようになってまいりまして、非常に喜んでいらっしゃるわけですけれども、堤防護岸は依然としてコンクリート張りのままであります。
 特に下流域は、葛西臨海公園や荒川の河口を望む広大な景色が広がっておりまして、多くの都民が散歩やサイクリングなどを楽しみながら健康づくりに親しむ、格好の遊歩道となっております。
 都民は堤防護岸の緑化を大変に望んでおります。そこで、中川の下流部における緑化整備の取り組みを実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○道家建設局長 中川左岸堤防は、最下流部で都立葛西臨海公園とつながっており、多くの都民に遊歩道として活用されております。眺望が開けたこの遊歩道からは、中川や荒川の広大な水面を望むことができ、堤防の緑化により、さらに快適な水辺の歩行空間とすることができます。
 このため、中川の清砂大橋から葛西臨海公園に至る二・五キロメートルの区間について、「十年後の東京」への実行プログラムに位置づけ、平成二十二年度の完了を目指し、緑化事業を進めてまいります。
 緑化に当たっては、堤防の斜面に芝を張り、管理用通路には花咲く木々を植えるなど、水と緑が調和した潤いのある水辺空間を創出してまいります。

○上野委員 潤いのある水辺空間の創出の実現に期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 高齢者の消費者被害の防止について伺います。
 高齢者をねらう悪質商法は、ひとり暮らしなど、社会的に孤立し不安を抱えて生活している高齢者にねらいを定め、これまでも深刻な被害を引き起こしてきております。
 認知症の高齢者姉妹に高額な住宅リフォーム契約を次々と結ばせ、老後の蓄えを根こそぎ奪うなどの大きな被害を与えた事件は、私たちを震撼させました。
 そこで、我が党は、平成十八年都議会第四回定例会におきまして、中嶋議員が代表質問に立ち、高齢者、特に認知症の方などが悪質な消費者被害に遭わないよう、地域、行政、家庭が一体となった特別の配慮が必要であると主張いたしました。
 これを受け、都は昨年三月、「高齢者の消費者被害防止のための地域におけるしくみづくりガイドライン」を作成したところでございます。
 都では、おおむね三年程度を目途に、都全域にわたるセーフティーネットを構築する目標であると聞いております。相当なスピードで進めていかなければならないようですが、現実に可能なのか。ガイドラインを策定して一年近く経過しておりますが、実際どこまで進んでいるのか、お尋ねいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 昨年の三月にガイドラインを作成いたしまして、それから各区市町村の方にガイドラインについての説明、普及の活動、取り組みを行ってまいりました。
 そこで、各地域におきまして、ガイドラインを活用した積極的な取り組みが進みました結果、この一年近くの間に、新たに六区五市で仕組みが完成いたしました。
 現在、都内全区市町村の約四割に相当する二十五の区市において、ガイドラインの示す基本的要件を満たす仕組みができております。

○上野委員 ところで、最近、二〇一一年に予定されております地上デジタル放送への移行をめぐり、高齢者をねらった悪質なトラブルが起きております。例えば、必要のないケーブルテレビへの加入を強引に勧めたり、不必要な工事を持ちかけて高額な代金を請求するなどのトラブルが発生しております。
 このようなトラブルを未然に防止するために、この地域の仕組みをこうした情報を伝達するルートとして有効に活用できると考えますが、所見を伺います。

○渡辺生活文化スポーツ局長 地域の見守りの仕組みが存在するところにおきましては、その構成メンバーによって、高齢者の方々に消費者被害防止に役立つさまざまな情報が提供されております。
 例えば、練馬区では民生委員を通じて、また板橋区では老人クラブなどが中心となり、区から提供される消費者被害情報などを高齢者に届けております。
 ご提案につきましては、それぞれの行政部署や関係団体などから、高齢者にも見やすく、わかりやすい資料などの提供がございましたら、この地域の見守りの仕組みを有効に活用できると考えております。

○上野委員 ぜひ高齢者が悪質な消費者被害に遭わないように、地域における仕組みづくりが計画どおり進むことを大いに期待し、次の質問に移ります。
 地上デジタル放送への完全移行に向けての対策について伺います。
 先日、地域を回っておりますと、こんな声が寄せられました。ケーブルテレビ会社の関係の人から、テレビ放送がデジタル化されると、今のテレビでは見られなくなる。ケーブルテレビに入ると見れるようになりますよと。今だと工事費も安いですよと加入の勧誘を受けたけれども、一体今入った方がいいのか、入らない方がいいのかよくわからない。こういった地デジ移行にまつわる不安の声が、特に高齢者の方に多いわけでございます。
 具体的に自分の場合はどのような方法がとれるのか、費用はどのくらいかかるのかなど、まだまだ地デジ移行への取り組み方などの理解が進んでおりません。
 そこで、地デジ完全移行へ向けての対応方法の正しい知識の普及について、都としても、都民の不安を解消するため、高齢者の方にもわかりやすい広報に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。

○押元総務局長 地上デジタル放送、いわゆる地デジへの移行は、国の政策として進められておりまして、国や放送事業者がさまざまなパンフレットなどを作成し、相談窓口を設けるなど、広報、相談活動を実施しております。
 都としては、都区市町村IT推進協議会などの場を通じて、この地デジに関する最新の動きを、国や放送事業者から区市町村へ直接説明してもらう機会を設けるなど、住民に身近な自治体である区市町村への情報提供に努めているところでございます。
 これに基づき、区市町村では、広報紙、ホームページでの周知や講座の開催など、地域の実情に応じた広報活動を実施しております。
 都としては、お話にございましたように、今後とも高齢者などにもわかりやすく情報が提供されるよう、国、区市町村と連携をして取り組んでまいりたいと存じます。

○上野委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 地デジ移行の大きな課題は、高価な地デジ対応受信機器の購入に伴う費用負担であります。年金に頼って生活をしている高齢者世帯などにとっては、地上デジタル放送を見るための機器の買いかえなどに要する費用負担ができない場合も予想されます。テレビを楽しみにしているひとり暮らしの高齢者が、急にテレビが見られなくなったということは、あってはならないことであります。
 こうならないように、既に八王子市では、低所得の高齢者世帯を対象に、地デジ対応の視聴機器設置に対する助成を二十年度から実施する予定と聞いております。また、アメリカでは、日本に先立ち、二〇〇九年二月の地デジ完全移行に向けまして、本年初めからチューナーを購入するクーポン券の配布を政府が開始したと聞いております。
 そこで、地デジ完全移行のための機器買いかえなどの負担が経済的に困難な世帯に対しては、都としても経済的な支援を検討すべきと考えますが、所見を伺います。

○押元総務局長 今や暮らしの一部ともなっておりますテレビを見る機会が確保できるよう、経済的弱者への配慮は重要な問題であると認識をしております。
 国では、現在のアナログテレビのままでもデジタル放送が視聴できる安価なチューナーの開発、販売へ向けて、メーカーを指導するとともに、経済的弱者への支援策について、本年夏に向けて具体策をまとめる予定と聞いております。
 都としては、こうした国の動きを注視してまいります。

○上野委員 地上デジタル放送への移行は、基本的には国の政策でありますけれども、都民が円滑に対応できるよう、都としても、できること、やるべきことは率先して行動すべきでございます。
 例えば、電波の届きにくい地域の受信確保の問題や、大量廃棄、リサイクルされるアナログテレビ対策などの課題も検討が急がれます。
 都では、本年一月、地デジ移行にかかわるさまざまな課題に対応するため、既に庁内の横断的連絡会議を設置したと聞いております。
 その点は評価いたしますが、今後、これまで述べてきた課題に対して、都は自主的、積極的な対策を打ち出していくべきであると考えますが、所見を伺います。

○押元総務局長 地上デジタル放送への移行を円滑に進めますためには、上野委員ご指摘のように、さまざまな課題を解決していく必要がございます。
 こうした課題につきまして、都の関係部局が連携して取り組むため、ただいまお話がございましたように、本年一月に庁内に地上デジタル放送移行に係る関係局連絡会議を設置したところでございます。
 都といたしましては、庁内各局及び国、区市町村などとの連携を密にし、地上デジタル放送への移行に当たって、都民の暮らしに支障を来さないよう、今後とも適切に対応してまいります。

○上野委員 次に、観光行政におけるITの活用について質問いたします。
 先日私は、都が行っております最先端のユビキタス技術を活用した東京ユビキタス計画・銀座の実証実験を視察してまいりました。銀座の観光スポットや沿道店舗の案内、解説、来訪者がその場所の魅力を伝え合う場所ブログなど、利用シーンに合わせて、まちの魅力を情報発信するシステムを体験し、大変に興味を抱いたわけでございます。
 特に外国からの観光客をサポートする上で、このユビキタス技術を活用する点に注目しております。こうした先端技術を観光振興に活用していくためには、行政と民間の連携が不可欠であることを平成十八年度の決算特別委員会でも主張してきたところであります。その意味で、今回の取り組みを高く評価したいと思います。
 今回の実証実験においては、民間のアイデアを募った初めての民間参画実験を実施したと聞いております。
 そこで、観光振興を図る仕組みを実用化するに当たり、先端技術を活用した今回の実験で民間が参画して得られた具体的な成果をお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 東京ユビキタス計画・銀座では、町中に設置いたしましたICタグなどから、その場所の情報を提供する仕組みについての実証実験を行っております。今年度の実験におきましては、民間企業十四社の参画を得まして、実用化を視野に置きまして、ハードウエアやサービス内容などを検証いたしまして、さまざまな知見を得ることができました。
 観光振興に関しましては、地元の観光情報などに加えまして、グルメ情報サイトと連携し、民間の持つ多様な情報を、利用者の属性やニーズに応じてリアルタイムに提供いたしました。
 こうした実験を通じまして、国内外の人々が、町中を散策しながら、その場所ならではの情報を楽しむ新しい銀ブラスタイルのツールとして、その有効性が確認されたと考えております。

○上野委員 今後、より楽しく、より便利なユビキタス社会を構築していくためには、さらなる民間参入を誘導する環境づくりが重要であります。そのためには、技術開発を支援するだけではなくて、ユビキタスインフラ整備の面的拡大が不可欠でございます。
 そこで、ほかの地区でも、こうしたインフラの構築を進めるべきと考えますが、所見を伺います。

○只腰都市整備局長 ユビキタス技術を用いたサービス提供を民間企業が実用化するためには、銀座などのほかにも、ニーズの高い地区でのインフラの構築が必要でございます。
 このため、「十年後の東京」で示されました十の重点整備エリアにおきまして、都市再生の動きに合わせまして、拠点施設のユビキタス化を民間事業者に働きかけ、周辺地区への展開を図ることとしております。
 来年度には、都庁の展望台で拠点整備のモデルを示すとともに、銀座地区との連携を図りまして、順次ユビキタス環境を拡大することで、東京の魅力を世界に向けて発信してまいります。

○上野委員 日本のすぐれたIT技術を活用して、ぜひ新しい観光行政に取り組んでいただくよう要望し、次の質問に移ります。
 昨年四月、ミシュランが初めて日本を取り上げたガイドブック、旅行ガイド「ジャポン」が発行されました。ミシュランはレストランだけではなくて、旅行ガイドもあるわけでございます。
 本ガイドには、星がついた地区や施設が掲載されておりますが、東京は、東京そのものが三つ星の評価を受けております。都内における三つ星の施設は九カ所、星のつかないものも含めますと、掲載施設数は何と百七十四カ所と、全国で一位となっております。
 この三つ星評価九カ所の施設に、何とここ東京都庁や国際フォーラムのガラス棟が三つ星に選定されているわけであります。これが余り知られていないようでございます。ガイドブックには、ほかの県は、神社仏閣などが多く取り上げられておりますけれども、東京は高尾山や明治神宮から、先ほどの国際フォーラムのガラス棟、そして都庁などの現代建築に至るまで、多種多様な施設が取り上げられております。これは東京が海外の旅行者にとっても十分に魅力的な観光地であるとの評価を受けたものであります。
 そこで、先ほどの世界に誇るユビキタス技術など、先進的取り組みも含めた東京の魅力を積極的に国内外へアピールして、東京のプレゼンスを高めることは、オリンピック招致への追い風ともなりますし、まさに千客万来の東京を創出する絶好のチャンスだと考えますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 日本人はもともと、自分の美点について、人に表明する、説明するのは苦手でありまして、今世界で大はやりになりましたすしも、決して日本人が宣伝した結果じゃなくて、むしろ非常に食生活の偏ったアメリカ人が、反省を込めて日本のすしを評価したために、ハーバード大学なんかは、学生の食堂にもすしバーができるようになりましたが、いずれにしろ、そういった現況等も顧みまして、私たち、もう少し積極的に、自分の美点がどこにあるかということを、これは何も自分自身だけじゃなしに、外国人の目の評価などもしんしゃくしながら正確にとらえて、それを正当な宣伝にゆだねるべきだと思っております。
 今ご指摘のミシュランの観光ガイドの星印など、私は精通しておりませんでしたが、高尾山が非常に高い評価を得ているというのはとても意外でしたが、考えてみますと、世界の大きな首都で、近くにあれだけの高度を持った山があるというのは珍しいことでありまして、そういったものも考えながら、私たちはやはり自分を正確にとらえて、自分のすぐれたところを積極的に外に向かっても喧伝していく必要があると思っております。
 都は、二〇一六年には外国人旅行者一千万人が訪れる世界的な観光都市を目指しております。その実現のためにも、東京の魅力を積極的に国内外にアピールしまして、東京のプレゼンスを高めていくことが重要であると思っております。
 今般、新たに東京の魅力をPRするDVDを非常にすぐれたスタッフに依頼しました。シティーセールスやオリンピックの招致に活用していくつもりでございます。また羽田空港の国際化を契機に、大幅な増加が見込まれる東アジアからの旅行者誘致に向けたPRを行うなど、東京からの情報発信をさらに強化していきたいと思っております。

○上野委員 私たちも知事と一緒になってアピールしてまいることを決意いたしまして、私の最後の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○小磯副委員長 上野和彦委員の発言は終わりました。

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