東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○大沢副委員長 高橋信博委員の発言を許します。
   〔大沢副委員長退席、川井副委員長着席〕

○高橋(信)委員 初めに、緑の環境確保対策と都市農地の保全について伺います。
 知事は、東京が近未来に向け、さまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく姿を描き出した「十年後の東京」を策定し、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを施策の第一の柱に掲げられました。
 この中では緑の創出と保全が挙げられていますが、私は、緑を復活させるためには、とりわけ今ある農地や屋敷林などの緑を保全することが重要であると考えます。中でも都市農地の保全については、我が東京都議会自由民主党都市農政を考える議員連盟が平成十五年から取り組んでおります。この間、若い農業者の意見を聞き、都市での農業を続けていくためには、農地や屋敷林などを相続する場合の多額の税負担が大きな障壁となっていることが改めて明確になりました。
 この問題を解決するためには、現行の生産緑地制度や相続税納税猶予制度の改善が必要であり、私たちは、自由民主党国会議員の協力も得ながら、これら都市農地制度の改善を国に要請してまいりました。ここに来て、ようやく国においても農地制度の見直しに向けた議論が活発化してまいりました。東京都でも、緑地や農地の保全に関係局が連携して取り組んでいると伺いました。そこで、今回は農地保全に向けた都の取り組みについて伺いたいと思います。
 私は、先ほど申し上げたように、緑の創出はもちろんのこと、都市においてさまざまな役割や機能を担う身近な緑を守っていくことが重要と考えており、中でも都市農地の保全に向けた積極的な取り組みに期待するものでございます。
 こうした観点に立ち、今後、都市農地を含め東京の緑環境をどのように確保していくのか、知事の所見を伺います。

○石原知事 東京では、多摩地域を中心に市街地の中に農地や雑木林などが混在しているほか、丘陵地には里山が点在するなど、人々の暮らしに沿うような緑がかつては広がっておりました。
 しかしながら、戦後の急速な都市成長に伴う都市開発の中で、多くの貴重な緑が失われてきてしまいました。私の母校の一橋の前期の学舎がありました隣に津田塾大学がありましたが、その間に命の森という非常にロマンチックなすばらしい森がありましたが、これも残念ながら形を変えて消滅いたしました。今残されている緑も、相続などを契機とした農地の喪失や宅地開発などにより消失の危機にさらされていると思います。
 そうしたことから、「十年後の東京」では、緑あふれる東京の実現を目指して緑の東京十年プロジェクトを推進し、緑の創出、保全に多角的に取り組むこととしております。
 都は、規制、誘導、税制、都市計画など、みずから持てる知恵と力を総動員するとともに、区市町村ともしっかり連携して、東京の緑環境の確保に向けて積極的な取り組みを進めてまいります。
 あわせて、都市農地の保全に必要な制度改善を引き続き国に強く求めてまいります。特に、都市周辺の農地の問題は相続が一番バリアになっておりまして、これは気候変動の中で、もう数年先に世界全体の大きな飢饉というのは予知されていますので、この段階で、やっぱりそれを見越して法的な措置、法案を改正しなくちゃならぬと思っておりますが、これも国に強く求めていくつもりでございます。

○高橋(信)委員 都市農地は都市の緑の中でも大きな比重を占めております。こうした農地を保全することは都市計画の観点からも重要と考えますが、今後の対応について所見を伺います。

○只腰都市整備局長 都市の農地でございますが、本来の農業生産の場としての役割に加えまして、良好な都市環境を形成していく上で貴重な緑の資源であるというふうに考えてございます。
 これまでも市街化区域内の保全すべき農地につきましては、区市が行う生産緑地地区の指定を支援するなど、都市計画制度の面から適切な運用に努めてまいりました。今後とも、より多くの農地が保全できますよう、区市との連携を強化して生産緑地地区の追加指定に努めるとともに、指定の面積要件の引き下げにつきまして、引き続き国に提案要求してまいります。

○高橋(信)委員 私が住む小平市では、昔は青梅街道や五日市街道沿いに短冊状の農地が整然と並んでおりました。今では都市開発が進み、住宅や店舗がモザイク状に入り込んでおります。また、農業者の高齢化による農地の遊休化も見られます。このことは小平市のみならず、東京の農地ではどこも同じような状況です。
 東京の都市農地は、この十年間で一千四百ヘクタールも減少しており、このまま放置すれば、東京から農地がほとんどなくなってしまうおそれがあります。農地は、ヒートアイランド現象を緩和したり災害時の避難場所になるなどさまざまな機能がありますが、やはり農産物の生産を行う場として大切なものであります。
 そこで、農業振興の観点からどのように農地を保全していくのか、所見を伺います。

○佐藤産業労働局長 減少します東京の農地を保全していくためには、多方面からのさまざまな取り組みが必要であります。
 これまで農業の振興を通じた都市農地の保全策といたしまして、生産緑地保全整備事業によります農地の土壌改良ですとか、農業用水施設の整備などの支援策を行ってまいりました。また、今年度は、農地の遊休化を防ぐために、高齢化や労働力不足により耕作が困難な農家の支援策として、農作業の受委託制度を整備したところでございます。
 また来年度からは、地域住民と農業者の相互理解を深めながら、農業、農地の持ちます多面的な機能を都民生活やまちづくりに生かしていく区や市の取り組みに対して支援をしてまいります。
 今後とも、都市と農業が共存共栄するまちづくりを目指しまして、東京に残された貴重な都市農地の保全に努めてまいります。

○高橋(信)委員 食品の安心・安全、消費者に見える農業、地産地消、食糧自給率の向上のためにも、都市農地は大変重要であります。
 「十年後の東京」では、屋上緑化、壁面緑化、校庭芝生化など新たに千ヘクタール、サッカー場千五百面の緑の創出をすることを目標としております。しかしながら、一方で、相続により十年間で一千四百ヘクタールの都市農地、緑が減少しております。つくる緑も重要でございますが、減らさない、守る緑もさらに重要であります。東京都として都市農地の減少に歯どめをかける努力が足りないと思います。
 都民にとって大事な都市農地を残すためにも、都市農地制度の改善に向けて、もっともっと国に働きかけをするべきと考えます。さらなる取り組みを強く要望しておきます。
 次に、救急医療について伺います。
 ことしに入ってから、東京都においても、救急病院の選定に時間がかかり、残念な結果となった事例が連続して報道されました。また、昨日発表された国の調査では、東京都の救急搬送が極めて厳しい状況にあることが明らかになりました。医療機関や医師に比較的恵まれていると思われる東京都でこのような事例の発生に、都民の救急医療に対する不安が増しております。
 我が党の吉野幹事長の代表質問に対し、知事から、迅速適切な救急医療の確保は、都民の生命に直結する都政の最重要課題の一つであり、安心できる医療の実現に努めていくという答弁がありました。
 第一回救急医療対策協議会が二月一日に開催され、救急医療に対する都民の安心と安全確保に向けた審議があったと伺っております。救急医療の関係者や都民の代表者が一堂に会するこの会議においてどのような意見が出されたのか、伺います。

○安藤福祉保健局長 先般の救急医療対策協議会で出された意見を何点かご紹介いたしますと、医療資源を一層活用するためには救急医療情報システムの充実が必要であるという意見や、満床であっても緊急処置の必要な患者の一時受け入れについて検討すべきであるという意見が出されました。
 また、休日、夜間においても専門医を求める患者の要望がある一方で、これに対応する医師数には限りがあるという救急医療現場の実態についても言及がございました。
 さらに、診療報酬が都内の人件費や物価の水準に見合っておらず、病院経営が厳しいということも挙げられておりました。

○高橋(信)委員 今、答弁で触れられました救急医療情報システムについては、病院選定の重要な手段として従来から活用されていることは承知しております。病院選定を行う上で欠かせないこの救急医療情報システムをさらに充実させ、救急搬送に時間がかかるような事案の発生をできる限り防止していただきたいと思います。
 先般答申がありました東京消防庁の救急業務懇話会においても、救急医療情報システムについて検討されたと聞いておりますが、システムの運用は、消防機関のみの対応では実効性に結びつきません。今後、システムの運用に関し、消防や医療機関などの関係機関との連携を強化することが重要であると考えますが、東京都の見解を伺います。

○安藤福祉保健局長 都といたしましては、迅速適切な救急医療の提供のためには、関係機関が連携を強化し、救急医療情報システムを効果的に運用することが必要であると認識をしております。このため、救急医療対策協議会におきまして、消防機関と医療機関が密接に連携しながら、救急医療情報システムのリアルタイム入力などの運用方法の充実強化策について検討を行ってまいります。

○高橋(信)委員 救急医療の問題には医療をめぐるさまざまな問題が集約されていると思います。拙速な対応は問題の解決につながりません。救急医療対策協議会でしっかり議論し、実効性のある対策を検討してほしいと思います。
 しかしながら、都民の立場に立てば一刻も早い対策が求められます。局長は我が党の代表質問に対し、救急医療対策協議会における検討とともに、都としても対応可能なものについては緊急に取り組んでいくと答弁されましたが、例えばどんなことを行うのか伺います。

○安藤福祉保健局長 都では、二月二十六日でございますが、東京都医師会長と連名で、東京都指定二次救急医療機関二百六十四カ所に対しまして、診療情報のリアルタイム入力や院内各部門の連携によります救急搬送患者の円滑な受け入れについて、一層の取り組み強化を依頼いたしました。また、東京消防庁におきましても、地域の救急医療機関等から成る救急業務連絡協議会に対しまして、同様の要請を行ったところであります。
 さらに、一昨日の三月十日には、救命救急センターの代表者で構成する三次救急医療施設運営会議を緊急に開催いたしまして、受け入れ困難事例への対応など救急医療対策について協議を行いました。
 今後も関係機関と協議しながら、対応可能なものについては速やかに実施に移すという姿勢で取り組んでまいります。

○高橋(信)委員 この問題につきましては、都民の安心・安全のためにも一刻も早い改善を強く要望しておきます。
 先ほどは、建設局長が東村山三・三・八号線の整備に着手すると力強いお言葉をいただきました。そこで府中所沢鎌倉街道線の整備促進について伺います。
 多摩地域における主要な幹線道路は、交通渋滞を解消し、交通の円滑化を図るとともに、多摩地域の振興に寄与する重要な都市基盤であります。
 しかしながら、多摩地域の道路整備の現状は、都市計画道路の整備率も約五三%、いまだ道半ばであり、交通不便地域も数多く残されております。
 都では、これまでも部分的な現道拡幅や交差点の改良など局所的な対策を行い、渋滞解消に一定の成果を上げてきたと思いますが、依然として、通勤時間帯など渋滞は多摩地域の随所で見られます。
 交通渋滞は、移動に多大な時間と労力を費やすとともに、経済的な損失もはかり知れず、また、地域へ用のない車両が、裏道となる生活道路に入り込み、歩行者の安全を脅かしております。私の生活実感としても、やはり抜本的な対策として、骨格となる幹線道路の整備促進に尽きると考えております。
 昨年十二月に策定いたしました「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八においても、東京の最大の弱点である渋滞を解消する取り組みを一層加速させ、多摩シリコンバレーを支える都市基盤として調布保谷線や府中所沢線など多摩南北主要五路線及び新青梅街道や新五日市街道といった多摩東西主要四路線の整備促進を掲げております。
 私は、これらのうち、特に南北主要五路線の中でも、未整備区間が多く、神奈川県境から埼玉県境を貫く広域的な骨格幹線道路である府中所沢鎌倉街道線の整備を積極的に推進すべきと考えております。
 そのような立場から、府中所沢鎌倉街道線について何点か質問いたします。
 多摩南北主要五路線を初めとする骨格幹線道路の整備に当たっては、道路と鉄道との立体交差化が不可欠だと考えます。府中所沢鎌倉街道線においても多くの鉄道交差部があります。
 そこで、現在事業中の区間における鉄道との立体交差について都の取り組みを伺います。

○道家建設局長 府中所沢鎌倉街道線を初め骨格幹線道路では、渋滞を緩和し、交通の円滑化を図るため、鉄道との交差部を立体化することが必要であります。
 このため、府中所沢鎌倉街道線においては、現在事業中の多喜窪通りから五日市街道までの二・五キロメートルの区間で、JR中央線及び西武国分寺線との立体交差化に向け、鉄道事業者と協議を進めております。
 また、西武線小川駅付近の〇・八キロメートルの区間においては、交差する西武拝島線との立体化工事に着手いたしました。

○高橋(信)委員 ぜひ幹線道路の整備にあわせた鉄道との立体交差を推進してもらいたいと思います。
 また、幹線道路の整備に当たっては、沿道環境との調和に配慮することが必要と考えます。府中所沢鎌倉街道線のうち、私の地元である小平市内の未着手区間については、玉川上水と交差する箇所があり、江戸時代から刻まれる玉川上水の歴史や周辺環境と調和した道路づくりが必要であります。
 地元である小平市では、玉川上水交差部について、これまで地下案による整備を都に強く要望していましたが、昨年十一月小平市議会において、市長から、地下案が必ずしも唯一最良とはいえず、他の案も総合的に検討していくという見解が示されたと聞いております。
 私は、広域避難場所である小平市の中央公園への災害時のアクセスや沿道からの府中所沢鎌倉街道線への出入り、あるいは地域分断の少ない周辺のまちづくり等を踏まえると、玉川上水との交差部は、平面交差が一番望ましいと考えております。
 このような箇所を含め、府中所沢鎌倉街道線の小平市内の未着手区間の取り組み状況について伺います。

○道家建設局長 小平市内における未着手区間である五日市街道から青梅街道までの一・五キロメートルの区間につきましては、現道がなく、主に住宅地を通過することから、周辺環境や沿道利用などに配慮した質の高い道路として整備することを目指しております。
 このため、昨年五月に都と地元小平市で行政連絡会を設置し、早期事業化に向け、玉川上水との交差方法などの課題について検討を進めております。

○高橋(信)委員 ただいま、府中所沢鎌倉街道線の未着手区間について、地元小平市と行政連絡会を設置し、検討を進めているという答弁がありました。
 府中所沢鎌倉街道線の機能を十分に発揮させるためには、全線の早期整備が必要であり、その実現に向けて、地元市との連携が不可欠と考えますが、都の見解について伺います。

○道家建設局長 府中所沢鎌倉街道線は、多摩地域の自立性向上や都市間連携の強化に資する極めて重要な路線であります。
 本路線の整備に当たりましては、沿道の土地利用との整合や周辺道路との接続方法など地域の課題を解決することが重要であるため、地元市との連携が不可欠であります。
 今後とも、地元市とともに、地域住民の理解と協力を得ながら、事業中区間の整備を着実に進めるとともに、お話の未着手区間についても早期事業化を図ってまいります。

○高橋(信)委員 府中所沢鎌倉街道線の整備に当たっては、今後とも地元市と十分連携を図り、質の高い道路を着実に推進していただきたいと思います。
 これまで府中所沢線について幾つか質問してまいりましたが、これら多摩南北主要路線においては、広域的な観点からの取り組みが重要と考えます。
 近年、多摩地区では、地域内のみならず、隣接県との交通流動が大きく増加していると思われ、都内の骨格幹線道路の整備だけでなく、都県境を越えた道路ネットワークの形成が必要であると考えます。
 そこで、都県境を越えた道路ネットワーク形成に向けた取り組みについて伺います。

○只腰都市整備局長 多摩地域では、今お話もございましたように、近年、埼玉県あるいは隣接の神奈川県との間におきまして人や物の動きが活発化しておりまして、都県境を越えた道路ネットワークの一層の充実が必要となっております。
 このため、隣接県と都市計画道路を相互に整合させまして、効率的に整備を進めることが重要でございます。お話の府中所沢鎌倉街道線も含めまして、都はこれまでも関係する自治体と、都市計画道路のルートや構造などにつきまして、協議や調整を行ってきております。
 今後とも、これらの自治体との連携を強化いたしまして、首都圏を見据えた広域的な道路ネットワークの拡充に向けまして、積極的に取り組んでまいります。

○高橋(信)委員 ぜひ千葉県もよろしくお願いしたいと思います。やはり東京都が勝手に線を引いた東京都でございますので、首都圏としてぜひ考えていただきたいと思います。
 引き続き、積極的に他県とも連携して取り組んでいただきたいと思います。
 これまで申し上げましたように、府中所沢鎌倉街道線を初め、南北道路の整備が急がれているところでございますが、一方で、新五日市街道、新青梅街道などの東西方向の道路もまだまだ完成していない区間も多く残っております。
 多摩地域の道路ネットワークは、南北道路と東西道路双方の道路が整備されてこそ、体系的なネットワークが構築され、有効的に機能するものと考えております。
 多摩地域の自立的発展のため、ぜひとも南北及び東西道路の早期整備が実現されるよう強く要望し、次の質問に移ります。
 次に、多摩地域の鉄道に関して伺います。
 鉄道がもたらす深刻な課題の一つに踏切問題があります。踏切は、交通渋滞を発生させるばかりでなく、踏切事故の危険性や地域の分断などさまざまな問題を引き起こしております。
 こうした問題は、抜本的に解決するためには、連続立体交差事業により、数多くの踏切を同時に除却することが効果的であり、東京都では現在、中央線など都内十カ所で事業を実施しているところであります。
 また、先般、西武新宿線と京王線における都心側の二区間が、国から連続立体交差事業の新規着工準備採択の内示を受けたと聞いております。
 新たな区間が事業化に向け進んでいくことは、東京都全体の踏切対策を推進する上で、非常に価値あるものと高く評価しております。
 しかしながら、踏切問題は、区部だけの課題ではなく、多摩地域においても、残された多くの踏切により、交通渋滞や踏切事故の危険性などの問題が発生しております。
 中でも、私の地元小平市においては、西武鉄道などが縦横に走っているため、道路交通が東西と南北の両方向に阻害されており、渋滞や地域の分断を発生させております。
 このため、西武新宿線を初めとする鉄道の踏切を一刻も早く解消することにより、小平市、ひいては多摩地域全体の交通問題を解決していく必要があると考えております。
 そこで、多摩地域の踏切対策について、都の見解を伺います。

○只腰都市整備局長 多摩地域の踏切対策でございますが、都の定めました踏切対策基本方針の中で、西武新宿線など七区間を鉄道立体化の検討対象区間として位置づけております。
 道路と鉄道の立体化に当たりましては、地域のまちづくりと連携させることが効果的なため、地元市による取り組みに対しまして、都としても必要な技術的支援を行ってまいります。
 また、立体化には多くの時間を要するため、早期に実施可能な対策といたしまして、駅の改良とあわせた自由通路の整備や踏切システムの改善など、地域の状況に応じた対策を促進してまいります。
 今後とも、地元市、鉄道事業者など関係者間の連携を一層強化しまして、踏切対策に積極的に取り組んでまいります。

○高橋(信)委員 今後、多摩地域の踏切対策についても積極的に進んでいくものと期待しております。
 先ほど来、横田の軍民共用化の話が出ておりますが、私が思っているのは、いずれかの時期に必ず軍民共用化が決定されると思っております。
 やはりこの多摩地区の整備におきましては、横田の軍民共用化を視野に入れることもそろそろ必要ではないかと思っております。横田の軍民共用化を進める上では、踏切対策のみならず、輸送力の増強や都心へのアクセス向上などの観点も不可欠であります。
 このため、例えば西武新宿線の相互直通運転による都心部への乗り入れなど、今後の課題として積極的に検討していただきたいことを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、私の地元小平市を流れる玉川上水について伺います。
 玉川上水は、江戸時代初期に完成した延長四十三キロメートルに及ぶ導水路で、他に例を見ない貴重な文化資産であります。また、小平市から武蔵野市にかけての水路沿いには、名勝小金井桜を初め、貴重な緑地空間が形成され、身近で快適な水と緑の空間となっております。都民の散策や憩いの場として親しまれております。
 私も、年に何回ではございますが、時々よく水路沿いを散策いたしますが、緑が多く残されており、歩いていて非常に心が洗われます。玉川上水を訪れる都民は、皆同じように感じているのではないでしょうか。
 この史跡玉川上水を適切に保存管理し、後世に継承していくための指針として、平成十九年三月に史跡玉川上水保存管理計画が策定されました。この計画は、保存管理の基本方針や整備活用の方向性を示したものであり、土木施設、遺構の利用状況や残存状況、土地利用の状況に応じた保存管理を行うとともに、玉川上水の歴史的価値とその保存への理解を深めるために、史跡と名勝を積極的に公開していくこととしています。
 さらに、保存管理計画で示された保存の方針、方法や整備活用の方向性をより具体化した内容の整備活用計画を策定するとなっております。
 このため、都は、今年度に玉川上水の植生などの現況を調査し、ことし二月には計画策定に着手したとのことでございます。
 玉川上水の上流部は、現在も現役の導水路として活用されているばかりでなく、中流部では清流復活事業が行われていますし、名勝小金井桜や緑道などもあり、環境行政や文化行政などさまざまな視点から、関係局や地元自治体が関与することと思います。
 したがって、適切に玉川上水を保存し、活用していくためには、それぞれの関係局や地元自治体が連携していくことが大事であると考えますが、どのようにして整備活用計画を策定していくのか、またその進捗状況について伺います。

○東岡水道局長 平成十五年八月に玉川上水が国の史跡に指定されたことを受けまして、関係局が協力し、平成十九年三月に史跡玉川上水保存管理計画を策定いたしました。
 現在は、保存管理計画に示された保存の方針、方法、整備活用の方向性を具体化するため、整備活用計画の策定作業を進めております。
 具体的には、計画策定に必要な玉川上水の護岸、法面や植生等の調査を行い、本年二月に外部の学識経験者から成る玉川上水整備活用計画策定に関する委員会を設置いたしました。
 今後とも、関係局で協議を進め、地元自治体との意見交換も図りながら、平成二十年度内を目途に整備活用計画を策定してまいります。

○高橋(信)委員 関係各局との協力はもとより、地元の自治体とも意見交換は十分に行って計画を策定していただきたいと思います。
 整備活用計画を策定するに当たっては、名勝小金井桜をどのように保存、活用していくのかが大変重要な検討課題の一つとなります。
 この名勝小金井桜は、大和の吉野山などの山桜の苗を玉川上水の堤に移植したものです。都市化が進む武蔵野で、山桜の並木がこれほどまとまって現存しているのは極めてまれで、桜の名所として毎年多くの花見客でにぎわうなど、都民に親しまれております。
 また、その様子は、文豪国木田独歩の名作「武蔵野」を初め、数々の錦絵、絵はがきや写真などにも登場しております。
 私も、毎年桜の季節に訪れていますが、名勝小金井桜に対する住民の愛着を改めてひしひしと感じております。
 しかし、現在は、地域の幹線道路が並行しているため、付近の交通量が増加しており、またケヤキなどの樹木による日照障害も発生するなど、この貴重な山桜並木を取り巻く環境は年々悪化しており、さらに山桜の老齢化も見受けられます。
 これほど都民に愛着を持たれている山桜の並木が衰えることは大変悲しむべきことでございます。都民に心の安らぎを与える山桜の並木を復活し、玉川上水の水辺環境と一体となった憩いの空間として整備すべきと考えますが、整備活用計画の中ではどのような方策を講じるのか、伺います。

○東岡水道局長 名勝小金井桜は、武蔵野における桜の名所として、地元住民のみならず、ここを訪れる多くの人々に親しまれております。現在、都教育委員会が剪定や病害虫の防除を行うなど管理に努めておりますが、近年、交通量の増加やケヤキの成長など周辺環境が大きく変化し、桜の活力の低下が見受けられます。
 このため、整備活用計画の策定に当たっては、山桜の並木が、名勝として良好な状態に保たれるよう、桜を圧迫しているケヤキの剪定などによる日照の確保や補植による更新など、具体的な方策について関係各局等と検討してまいります。

○高橋(信)委員 私の住んでいる小平市には、グリーンロードという二十一キロにわたる散策路がございます。玉川上水、それから境緑道とか花小金井市、二十一キロあるわけでございますが、そして、玉川上水もその中に含まれるわけですが、毎年二十四時間にわたって散策している人がたくさんおります。
 そして、歩け歩けの大会やらいろんな大会がございまして、その散策路は、玉川上水の両側に散策路がちゃんとあるところはいいんですけれども、ないところがたくさんあるんです。そうしますと、どうするかというと、一たんまた反対側の道路の方に出て、またもとの散策路に戻ると、そういうような箇所がたくさんございます。
 これからの時代、自転車、サイクルロードもありますし、車優先だとか、そういう時代で今まで来ておりますので、やはり都民にとって親しまれております玉川上水の散策路をうまく、これからは歩きやすい散策路にしていかなければいけないと思います。
 そして、玉川上水にはいろんな橋やいろんな道路、鉄道がまとまっているわけでございますけれども、そういう意味で、やっぱり東京都が中心になって整備をしていく必要をつくづく感じております。
 最後に、五日市街道や市道など、今いいましたように、玉川上水にかかる橋について要望して終わりたいと思います。
 玉川上水の両岸には、自然に触れ合うことのできる散策路がたくさんございますが、多くの地元市民が利用しておりますし、そして、玉川上水には都道や市道、鉄道、多く橋がかかっており、橋と散策路が一体となっていない、散策する機能がない箇所が何カ所かあるわけでございます。
 このような中で、現在、小金井街道の小金井橋が東京都によりましておかげさまで拡幅整備をされております。新しい小金井橋は、散策路と橋の広い歩道が一体となり、玉川上水や名勝小金井桜を橋の上からも見ることができるようになると地元から聞いております。
 今後も、都や市も一体となり、橋の新設やかけかえを行うときには、小金井橋のような散策路と橋が一体となった整備をするよう要望し、私の質問を終わります。(拍手)

○川井副委員長 高橋信博委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね四十分間休憩いたします。
   午後六時十七分休憩

ページ先頭に戻る