東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○大沢副委員長 田中たけし委員の発言を許します。
   〔大沢副委員長退席、川井副委員長着席〕

○田中(た)委員 まず、道路特定財源に関してお伺いいたします。
 現在、国会では、道路特定財源に関しての議論が行われております。暫定税率廃止論の中には、必要のない道路の建設費をカットするべきだとの主張がありますが、少なくとも東京において、必要のない道路はないと考えます。また、道路特定財源を活用して行う事業のうち、必要のない事業はないと考えます。
 慢性的な交通渋滞やあかずの踏切の解消、危険度の高い木密地域の改善、電線類の地中化や交通施設などのバリアフリー化による優しいまちづくりなど、まだまだこの東京都には行う必要のある事業が多くあります。また、東京は地方と比較し地価が相当高いため、これら事業を行うためには、地方よりもより多くの財源が必要となります。
 このように、東京には、大都市であるがゆえの課題を多く抱えております。これら課題を解決していくためには、道路特定財源が必要であり、これまでも都議会で議論されてきているとおりであります。
 また、最近の道路特定財源廃止論の主張は、道路以外に対するむだ遣いを挙げていますが、これは道路整備特別会計の予算執行上の問題であり、一部国会議員や国土交通省の役人及びそのOBたちのもたれ合い、なれ合いの結果であり、地方自治体の道路整備に必要な貴重な財源に影響するようなことがあれば、大変迷惑な話であると思います。
 さらには、投機的資金の流入による原油高に伴うガソリン料金の値上げに対し、表面的に暫定税率の廃止論を主張するだけで、道路特定財源なしに東京で抱えているこれら課題をどのように解決していくかの代替案を明確に示さずにいるのは、大衆迎合的主張であるといわざるを得ません。
 また、地球温暖化が確実に進行している中、世界は化石燃料脱却社会を目指そうと努力しているさなかに、日本だけが化石燃料に対する減税を行うことは、国際社会の一員としての評価を下げることになり、国益を損なうことにつながることは火を見るよりも明らかであります。
 今後、良識の府といわれている参議院での議論を注視していきたいと思いますが、改めて道路特定財源に対する石原知事のご見解をお伺いいたします。

○石原知事 道路は、国民生活や社会経済活動を支える最も基礎的なインフラでありまして、その整備には道路特定財源を充当しております。
 首都東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、都市機能の向上や都市環境の改善を図るには、首都圏三環状道路を初め幹線道路ネットワークや連続立体交差などを早期に整備する必要がありまして、その整備効果は、日本全体に及ぶものであると思っております。
 このため、安定した財源の確保が不可欠でありまして、道路特定財源の意義は現在も薄れていないと思います。暫定税率を維持し、道路特定財源を真に必要な道路整備や関係施策に集中的に投入するため、関連法案の年度内可決を引き続き強く訴えていきたいと思っております。
 しかし、今後、本当に必要な道路のキロ数に関しては、担当の役所と与野党間の政調筋との認識に違いもありますが、いずれにしろ、これは前からいっておるんですけれども、道路の必要性が指数であらわれてくるような、あくまでも費用対効果というものを踏まえての一種の計算の方程式のようなもの、これは必ずしも緻密なものじゃなくてもいいですが、そういうものを一応想定してつくるべきではないかと私は思っております。
 まず、そういうことでふるいにかけて、その後さらに精緻な精査をしたらいいんですが、そういう意味では、今まで過去にもつくらなくていい道路を随分つくってきた例もございます。そういう意味で、本当の道路の必要性というものを優先順位を決めるための方程式のようなものが私は必要であるとかねがね思っておりました。

○田中(た)委員 ありがとうございました。
 ここは都議会でありますので、道路特定財源の中の地方税分であります軽油引取税に関して、特に一般財源化の問題点について触れたいと思います。
 軽油引取税は、道路特定財源全体の約一八・五%を占め、揮発油税に次いで主要な財源であります。この軽油引取税には、一部課税免除がなされておりますが、主にどのようなものがその対象となっているのでしょうか、お伺いいたします。

○熊野主税局長 軽油引取税の免税措置につきましては、事業の主体及びその用途によって法令で定められております。
 主なものといたしましては、船舶の使用者が船舶の動力源として使用する場合、農業、林業等を営む者が耕運機等の動力として使用する場合、鉄道事業等を営む者が鉄道車両等の動力源として使用する場合などでございます。

○田中(た)委員 軽油引取税には、今、免税措置があるわけですが、これはまさに軽油引取税が道路特定財源であるがゆえに、同じ軽油を使っていながら道路を使うトラックなどには課税され、道路を使わない船舶や農機具、鉄道には課税されておりません。
 現在、国会では、道路特定財源の一般財源化の議論も行われておりますが、そもそも道路を使用するドライバーに受益者負担の観点から課している目的税を、道路以外にも使おうとすることは目的外使用であり、目的税の課税根拠を失うこととなります。
 もし、道路特定財源である軽油引取税を一般財源化すると、課税根拠が失われ、これまで免税対象であった漁船や農機具、鉄道にも免税根拠を失い、逆に課税をしなくては、税の公平性の観点から矛盾することとなります。一般財源化の主張は、漁船や農機具、鉄道のために軽油を使用している方々への増税につながりかねない議論だと思っております。場合によっては、その分の価格転嫁がなされ、魚や野菜、地方での鉄道運賃の値上がりにつながる可能性もあります。
 私は、以上のような理由から、道路特定財源の一般財源化には断固反対するものであり、東京都としても、国に対してしっかりと道路特定財源の堅持を主張するよう改めて強く要望いたします。
 次に、徴収率についてお伺いいたします。
 現在審議中の平成二十年度予算案に示された都税収入は、総額で約五兆五千億円と見込まれ、一般会計歳入額の八割を占めております。都民福祉向上のための施策を遂行する上でも確実に貴重な税収を確保していくことが必要であり、そのためにも絶えず徴収率に関して注目しなくてはならないと考えます。
 昨年認定された平成十八年度決算での都税の徴収率は九七・八%であり、過去最高の徴収率を記録しましたが、これは、課税から徴収まですべての部門において数値目標を設定し、その進行管理を徹底するなど、これまでの努力の成果であると評価しております。
 しかし、平成十九年度は、個人住民税税率の一〇%フラット化等の影響もあって、都税のうち個人都民税の徴収率が低下しているとの報道がありました。現在の状況について、また全国の状況とあわせてお伺いいたします。

○熊野主税局長 直近の実績でございます本年一月末現在の個人都民税徴収率は六一・四%と、前年同時期に比べまして二・七ポイント低下しております。
 また、全国の道府県民税徴収率も平均で一・八ポイントのマイナスとなっておりまして、一団体を除く都道府県で昨年度実績を下回る状況となっております。

○田中(た)委員 それでは、現在の徴収率低下の状況を踏まえ、どのような対策を講じてきたのかお伺いいたします。
 また、現在、個人都民税の課税、徴収業務は区市町村で行っておりますが、都税収入の約一五%を占める個人都民税の税収確保のためにも、都としても、より積極的に区市町村への徴収業務支援を実施すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○熊野主税局長 ご指摘の徴収率低下の状況を踏まえまして、昨年十一月に主税局長を本部長といたします収入確保対策推進本部を設置いたしました。区市町村に一層の収入確保を要請するとともに、納税広報の集中実施や、主税局による直接的な滞納整理を追加して実施するなどの緊急支援を行ってまいりました。
 今後とも区市町村との連携を図りながら、主税局職員の派遣による滞納事案の処理や主税局による直接的な滞納整理を拡充いたしまして実施するなど、支援策を引き続き実施して、個人都民税の収入確保に努めてまいります。

○田中(た)委員 今後も区市町村と一体となって収入確保のため、引き続きご尽力いただくことを強く要望いたします。
 続いて、災害に強いまちづくりについてお伺いいたします。
 平成七年一月十七日に阪神・淡路大震災が発生しましたが、当時、私の両親は、神戸市の中心地から約十五キロほど離れた宝塚市に住んでおり、神戸市内ほどの被害は受けませんでしたが、家にはひびが入り、電気、ガス、水道、電話のライフラインは完全にとまるなど大震災の被害を受けました。
 学生時代に、関西の友人が、東京は地震が多いから就職は関西でしたいといっていた言葉が、いまだに印象深く残っております。恐らく震災以前の多くの関西の方々は、関西には大きな地震は来ないと思っていたのではないかと思います。仮定の話ではありますが、関西にも時々地震が起きていたら、地震に対する危機意識を強く持ち、もう少し震災被害を抑えられたのではと考えることもあります。
 間接的ではありますが、両親を通じて、阪神・淡路大震災を体験した者として、当時のことを風化させることなく、いつ起きるかわからない大震災に向けて、可能な限り備えをし、都民の生命と財産をしっかりと守っていくことが務めであるとの思いから、質問をさせていただきます。
 都は、先月十九日に、昭和五十年よりおおむね五年ごとに実施している地震に関する地域危険度測定調査を公表しました。これまでの公表では、五年ごとの危険度の公表のみであり、五年前と比較し東京の市街地が安全になっているのかどうか、都民にはわからないものでありました。
 今回の危険度調査では、初めて五年間で地域危険度がどの程度改善されたのかについてもあわせて公表されたことは、高く評価をいたします。
 そこで、改めて前回の平成十四年の公表と比較し、どの程度改善されたのかお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 地域危険度でございますが、東京都震災対策条例に基づきまして、おおむね五年ごとに市街地の変化を踏まえるとともに、新たな知見を取り入れて五段階の相対評価として測定いたしまして、公表しております。
 今回の調査におきましては、今お話がございましたように、五年前との比較を行うために同じ測定方法を用いまして、危険度の変化も算定いたしました。その結果、都内平均ですが、倒壊のおそれのある建物の面積当たりの棟数でございますが、一七%減少、また火災で延焼する建物の建築面積につきましては、約一四%減少するなどの防災面の改善が見られたところでございます。
 とりわけ市街地再開発事業が完了した地区あるいは都市計画道路の整備によりまして沿道地域の不燃化、耐震化が進んだ地区などで危険度が大幅に低下いたしました。

○田中(た)委員 危険度の改善のためには、多くの場合、地権者の理解や協力のもと土地の取得が必要となるため、大変時間のかかる事業であります。そのような中、一定の改善が見られたことは高く評価をしたいと思います。
 一方、私の地元品川区では、前回と比較しても豊町五丁目や二葉三丁目など、依然として火災危険度が大変高い地域であると指摘をされております。
 そこで、これまで東京都と品川区では、区内の地域危険度の高い木密地域を改善するため、どのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 都は、平成十六年に策定いたしました防災都市づくり推進計画におきまして、品川区の重点整備地域といたしまして、お話しの豊町五丁目などを含みます林試の森周辺・荏原地区を指定いたしました。
 当地区では、これまで都による補助二六号線の整備などのほか、区が戸越公園の整備やその周辺での不燃化促進事業を初め、戸越、中延、旗の台での木密事業などを実施してまいりました。
 また、豊町及び二葉でも住民の防災意識が高まりまして、区と住民によるまちづくり協議会が設立されました。昨年度からは、区が木密事業に着手いたしまして、新たな公園用地の取得や主要生活道路の測量などを行っております。

○田中(た)委員 木密地域の安全性を高める各種事業は、まず、地元区が主体となって進めることが大事であると認識しておりますが、都も地元区と連携し、積極的に支援すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○只腰都市整備局長 都は、重点整備地域、全部で十一地区ございますが、都と区の連携を強化いたしまして、防災都市づくり推進計画の整備プログラムに示す各種事業の総合的な調整や事業化に向けた技術的支援などに努めてまいりました。
 お話がありました林試の森周辺・荏原地区でも、ことしの夏には品川区と都区連絡会を設置いたしまして、こうした場を活用いたしまして、区が取り組む木密事業などのほか、防災公共施設を盛り込んだ地区計画なども活用しながら、地域の防災性の早期向上が図れるよう積極的に区を支援してまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも品川区としっかり連携をし、積極的に支援をしていただき、少しでも早く危険度の改善を実現していただきたいと思います。
 今も述べましたが、地域危険度の改善には大変長い時間がかかるため、改善までの間、災害危険度の緩和のためにも、ソフト面からの対応、人的対応が必要であると考えます。人的対応による危険度の改善は、まさに地域住民による防災力の向上が求められますが、中でも、地域防災のリーダーである消防団員の活動が期待されます。特に地域危険度の高い地区においては、その役割は大変大きいと思っております。
 また、消防団員の活動の拠点となる分団本部施設は、消防団活動のかなめともいえます。危険度の高いといわれている地元品川区において、現在の分団本部の設置が必ずしも十分とはいえません。
 そこでお伺いいたしますが、現在、分団本部を改築する際、どのように計画を作成しているのでしょうか。また、今後、地域危険度調査結果を重要な要素として考慮すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○小林消防総監 分団本部施設の改築に際しましては、地域危険度測定調査結果を重要な要素としてとらえまして、その結果を反映した防災都市づくり推進計画の重点整備地域を優先しますとともに、施設の老朽度、狭隘度等を勘案し、計画的に整備しております。
 今後とも、地域危険度測定調査結果や各分団本部ごとの実情等を考慮しまして、消防団の活動が効果的に行えるよう、地域の防災力のかなめであります消防団本部施設の改築に努めてまいります。

○田中(た)委員 消防団の分団本部は、地域危険度などを考慮に入れた配置により、より災害に強いまちづくりに貢献していただくよう強く要望しておきます。
 次に、スポーツ振興についてお伺いいたします。
 二〇一六年のオリンピック招致を何としてでもかち取りたいと思っております。来年の東京マラソンは、オリンピック招致機運を盛り上げる色彩の強い大会にすべきだと思います。
 また、二〇一三年東京国体での選手の活躍が、二〇一六年のオリンピックでの盛り上がりにつながると思います。今後、オリンピック、国体、マラソンなどスポーツイベントの開催が予定されておりますが、その大会での地元東京都民の、あるいは日本人の活躍がさらなる大会開催の成果につながるものと思います。
 そのような視点から、競技力向上についてお伺いいたします。
 都は、昨年七月に設置した東京都競技力向上推進本部において、東京都選手の競技力向上のための方策を検討し、三月下旬に検討結果を取りまとめた基本方針を発表する予定と聞いております。
 これまでも我が党は、ジュニア育成地域推進事業など、東京国体に向けて地域からジュニア選手を育成強化することの重要性を提言してまいりました。
 そこで、ジュニア選手の育成強化策について具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 ジュニア選手を計画的に育成強化していくため、平成二十年度から、競技団体によるジュニア強化事業の対象を二十競技から、国体の全四十競技に広げてまいります。
 また、将来有望なジュニア選手を東京都強化選手に認定するなど、東京育ちのアスリートを養成する施策を推進していきます。
 さらに、地区体育協会が実施するジュニア育成地域推進事業の種目数や参加人数の拡大を図るなど、引き続き地域におけるジュニア選手層の競技力の底上げにも取り組んでまいります。

○田中(た)委員 ぜひご尽力をお願いしたいと思いますが、ジュニア育成地域推進事業は、東京国体やオリンピックで活躍する世代である今のジュニア世代の育成が主眼でありますが、この世代以降の世代の競技力向上にも活用すべきと考えますので、要望しておきます。
 次に、スポーツ医科学の取り組みについて伺います。
 スポーツは、もはや根性や気合いだけで勝つことはできず、科学的なトレーニングや強化を戦略的に行うことが常識であります。
 そこでお伺いをいたしますが、今後、都は、医科学サポートによる支援について、具体的にどう取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 医科学サポートによる支援につきましては、来年度より、まず東京体育館の設備を活用して、国体候補選手などの体力測定を実施してまいります。
 また、スポーツ医科学分野の施設やスタッフが充実している体育大学やスポーツ系学部、学科を有する大学等と連携し、選手や指導者を支援してまいります。具体的には、大学等にサポート拠点を設け、選手や指導者が医科学的測定や助言を受けられる仕組みづくりに取り組んでいきます。
 さらに、スポーツドクターやトレーナー、管理栄養士等を強化練習や強化合宿に派遣し、選手が現場で専門家による指導を受けられる体制を整備してまいります。

○田中(た)委員 昔の全く根拠のない、精神論だけの指導ではなく、科学的根拠のあるトレーニング方法を積極的に取り入れ、トップアスリートの養成、正しいスポーツ指導の普及にぜひ努めていただきたいと思います。
 次に、東京マラソンについてお伺いをいたします。
 私は、幸運にも昨年に続きことしも東京マラソン出場の機会を得ました。これまで参加された方々と同様の感想でありますが、ボランティアの方や沿道の方々からの、頑張って、もう少しだからなどの心温まる声援に背中を押され、何とかゴールにたどり着けた思いがしており、多くの声援に感謝をしております。
 抽選で外れてしまった方が沿道から、自分たちの分まで頑張ってなどと声援を送りながら、ランナーに自分たちの思いを託している方もいました。コース上では、高齢者の方がマラソンを楽しみながらも必死にゴールを目指している姿に感動しましたし、障害を持った方も、伴走者と一緒に一生懸命走っている姿に勇気をもらいました。コース上で、必死に頑張っている高齢者の方や障害者の方からも励まされ、何とか走り切ることができた思いが強くいたします。
 マラソンという競技は一人だけで走る孤独な個人競技でありますが、この東京マラソンは、途切れることのない四十二・一九五キロの大声援のコースの中で、多くの方々の支え合いによって行われた大会であり、まさに東京が一つになった大会であったことを強く実感いたしました。
 東京のど真ん中を気持ちよく走れる舞台をつくってくださったスポンサーの方々、大会関係者、警視庁、東京消防庁など多くの方々、そして石原知事に改めて感謝を申し上げます。
 来年はオリンピック開催地決定の直前の大会となるため、より積極的に東京のよさを国の内外にPRする大会になることを期待しておりますが、今回の東京大マラソン祭りの成果と、来年がオリンピック開催地決定の年であることを踏まえ、今後の展望についてお伺いをいたします。

○渡辺生活文化スポーツ局長 東京マラソンの開催に合わせ、昨年の十四カ所を大幅に超える沿道の二十六カ所で、さまざまな演目による応援イベント、東京大マラソン祭りを開催いたしました。幸いにも晴天に恵まれ、応援イベントには五千人を超える出演者が参加し、心温まる応援をしていただきました。
 また、スウェーデン大使が十キロメートルの部に参加、完走いたしましたし、在京大使館のうち二十三カ国・地域が有明の大マラソン祭りのメーン会場にブースを出展していただきました。
 二〇一六年の東京オリンピックの招致機運を盛り上げていくためにも、沿道の商店街、町会、学校を初めとするさまざまな主体が参加できる新しい祭りとして、東京大マラソン祭りのさらなる発展を図っていきたいと思います。

○田中(た)委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 今回のマラソンでも、高校生が前回に引き続きボランティアやイベントに多数参加をしておりました。走りながら、高校生くらいの年代の若者が一生懸命ボランティア活動している場面を何度も見ました。大人にとっても大変有意義な大会であったと思いますが、高校生にとっても大変貴重な体験をしたと思っております。
 教育的効果が大変大きいと考えておりますが、多くの都立高校生が参加したことの成果と、今後の展望についてお伺いをいたします。

○中村教育長 東京マラソンの当日、都立高校生は、給水や手荷物預かりなどのボランティアに約三千四百人、それから吹奏楽、和太鼓などの応援イベントに七百人が参加しております。マラソンを走っていただいた方々から、多くの感謝の声が高校生に対して寄せられております。
 高校生に、ボランティア活動後、調査をいたしましたところ、大会を支えた自信と誇りを自覚し、社会貢献や奉仕の意識が一層高まった、それから、ランナーとの触れ合いによりまして、やっぱり努力が大切であるということを実感できたというふうな多大な成果があったというふうに考えております。
 都教育委員会は、今後とも、都立高校生のボランティア参加を奨励するとともに、スポーツ教育を推進いたしまして、スポーツに積極的に取り組むことの意義や、オリンピックが国際社会に果たす役割などを学習することによりまして、スポーツの振興に進んでかかわることのできる人材を育成してまいります。

○田中(た)委員 ぜひともお願いしたいと思います。高校生がボランティアやイベントに参加することは、教育的意義のあることであり、ぜひとも次回、希望する高校生には全員参加できるよう要望しておきます。
 今回、多くの有名人も参加をし、マスコミにも大きく取り上げられるなど反響が大きく、来年の大会を待ち望んでいる方が相当いると思われます。スポーツ振興、健康増進はもとより、教育、福祉の向上にもつながる一大イベントである東京マラソンの、ぜひ規模を拡大し、継続的に実施していくことを強く要望しておきます。
 次に、水道事業に関してお伺いいたします。
 先ほどの東京マラソンのゴール地点で、この「東京水」が配られておりました。(実物を示す)私もいただきましたが、普段からおいしく飲んではおりますが、フルマラソンを走り切った後の「東京水」は格別でありました。
 以前は、部活動の際、どんなにのどが渇いても水は飲んではいけないという根拠のない根性論もありました。しかし、現在では、スポーツ中やその前後に小まめな水分補給を行うことは、体調維持に欠かせないという科学的知見も得られております。
 そこで、より多くの都民に東京の水道水のおいしさを知ってもらうため、スポーツイベントの機会をとらえ、この「東京水」をさらに積極的に活用していくことが有効と考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○東岡水道局長 ペットボトル「東京水」は、これまで水道週間におけるイベントや、区や市、町が主催する地域の祭りなどにおいて配布し、お客様に東京の水道水の安全性とおいしさをPRしてまいりました。
 また、先日行われました東京マラソンにおいても、昨年に引き続き、スタート地点とゴール地点等で約五万本を配布し、参加者や応援の観客の中には、その場で一気に飲み干す人がいるなど、大変な好評を得ました。
 今後とも、地域の祭りやスポーツイベントなどさまざまな機会をとらえ、ペットボトル「東京水」を積極的に活用して、東京の水道水の安全性とおいしさをPRしてまいります。

○田中(た)委員 東京の水道水のおいしさを都民に知ってもらうため、引き続き効果的に活用していただきたいと思います。
 ところで、今年度もインフルエンザが流行いたしましたが、インフルエンザの予防には、水道水でのうがいや手洗いが十分効果があるとの報道もあります。清浄な水は健康の源といえるのではないかと思います。健康と水、スポーツと水など、水の活用の場面を「東京水」のPRの機会としてとらえるなど、東京水道の普及にぜひ努めていただきたいと思います。
 次に、気候変動が水道事業に与える影響に関してお伺いをいたします。
 石原知事は昨年九月に、地球温暖化の影響を受け、水没の危機に瀕しているツバルを視察され、機会あるごとに温暖化への危機感を表明されております。気候変動に関する政府間パネル、IPCCでの研究報告によると、予測シナリオの中で世界の平均気温は、二十一世紀末には一・八度から四・〇度も上昇するとのことであります。
 今、世界では、ハリケーンの頻発やヒマラヤの氷河が解け出しているなど、温暖化の影響による気候の変動が起きているといわれております。
 実は、東京においても温暖化の影響と思われる現象が起きております。石原知事もよくご存じの品川区内の屋形船を経営する方の話ですが、屋形船を係留している高浜運河から東京湾に出る際、天王洲橋をくぐって出ていますが、年々、屋形船の屋根をこする頻度がふえてきており、最近では、特注でポンプを船に積み込み、天王洲橋をくぐる際、ポンプで船に海水を入れ、その重みで船を少し沈めて橋をくぐり抜けております。我々の住む東京においても確実に海面が上昇しており、温暖化の影響が確実にあらわれてきております。
 今定例会の一般質問で我が党の崎山委員より、気候変動によって水道事業にどのようなリスクが想定されるかとの質疑がありました。答弁では、将来、利根川上流で積雪量が減少、ダムの水が枯渇する頻度が増加するとのことでありました。
 そこで、具体的にお伺いをいたしますが、積雪量はどれぐらい減少するといわれているのでしょうか、また、ダムの水が枯渇する頻度はどのくらいといわれているのでしょうか、お伺いをいたします。

○東岡水道局長 国土交通省では、IPCCで用いられた六つの予測類型のうち、環境への関心を相対的に低く見積もったA2、多元化社会シナリオに基づき、利根川上流域を対象として、水資源に与える影響についてシミュレーションを行っております。
 それによりますと、利根川上流域の積雪の深さは、温暖化の影響により、現在の最大百五十センチメートル程度から、百年後には五十センチメートル程度と、三分の一に減少するとされております。
 このような積雪量の減少や河川流出時期の早まりなどにより、将来、利根川上流八ダムにおいては、ダム枯渇の頻度が、二十年間のうちの五カ年で七十六日間に達すると予測されております。

○田中(た)委員 温暖化が進行する中、温暖化防止のための努力を最大限行うことが必要であり、また、予測されてしまっている将来の地球環境に対応した備えが必要であると、強く感じます。
 昨年は少雪による渇水が懸念されるとの多くの報道がありました。そのとき八木沢ダム付近の積雪量は、平年の三八%でありました。幸い昨年は、その後の降雨によって渇水にはなりませんでしたが、温暖化の進行により、五年間で延べ七十六日間もダムの水が枯渇してしまうとの答弁がありましたように、将来、渇水がふえることが懸念されます。
 オーストラリアでは急速な砂漠化が進行し、水源が枯渇しております。また、オランダにおいても、地下水の塩分濃度の上昇が懸念されているところであります。
 日本においても気候変動の影響がさまざまな面に出てくることが予想されますが、明らかなことは、水に関する影響が確実に出るということであり、まさに水道事業への影響が懸念をされます。
 そのため、こうした気候変動の問題も含め、東京水道が先導的に取り組むべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○東岡水道局長 気候変動につきましては、いまだ解明されていない部分が多くありますが、これまでの報告などを踏まえますと、水道事業への影響が懸念されます。
 当局は、国内最大の水道事業体として、こうした気候変動の問題に対して、他の水道事業体等とも連携して、情報の収集や影響の分析に努めてまいります。
 また、その他の課題も含め、積極的に対応し、将来にわたり安定的な給水を確保できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。

○田中(た)委員 千二百万都民が将来にわたって安心して生活を送れるよう、水道事業者として安定的な水道サービスの維持向上に万全を期すよう、お願いをしたいと思います。
 その上で、八ッ場ダムに関してお伺いをいたします。
 石原知事は、水はまさに政の根幹であり、水を治め、安定的に供給することは国や自治体の重要な責務であるといわれておりますし、これまでも八ッ場ダムの必要性に関しては、既に十分議論されているところではありますが、改めて首都東京における安定給水の責務を負う水道局として八ッ場ダムの必要性をどのように考えているのか、お伺いいたします。

○東岡水道局長 現在、都は日量六百二十三万立方メートルの水源を保有しておりますが、この中には、取水の安定性に問題のある、課題を抱える水源が日量八十二万立方メートル含まれております。
 また、水資源の確保は、我が国では、一般的には十年に一回程度の割合で発生する規模の渇水に対応する計画となっておりますが、現在、都の水源の約八割を占める利根川水系では、五年に一回の割合で発生する規模の渇水に対応する計画となっておりまして、渇水に対する安全度は、全国の主要な水系に比べ、低い状況にあります。
 さらに、国土交通省によりますと、利根川水系では、近年の降雨状況により、ダムなどからの供給量が、当初計画した水量よりも二割程度低下しているとされております。
 こうした状況を踏まえますと、首都東京の安定給水のためには、八ッ場ダムによる安定した水源の確保が必要不可欠であると考えております。

○田中(た)委員 今回の八ッ場ダムの工期延長は大変残念なことでありますが、現在でも課題を抱えている水源が日量約八十二万トンも含まれている上に、利根川水系の水源の供給能力が低下しており、八ッ場ダムの建設が必要であると考えております。
 一方、日本においても確実に温暖化の影響があらわれ始めている中、八ッ場ダムをつくらずに、いかにして東京都民への安定給水を将来的に確保していこうとするのか、疑問を感じます。
 いずれにしても、引き続き都民生活と首都東京の機能を支えるため、安定給水を確保するよう努力をしていただくことを強く要望し、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○川井副委員長 田中たけし委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

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