東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○三宅委員長 斉藤あつし委員の発言を許します。
   〔委員長退席、大沢副委員長着席〕

○斉藤委員 それでは、先日は民主党の方からも新銀行東京について総論的な質問をさせていただきましたが、本日は一般ということで、私の方からは、この新銀行東京に関しての特に東京都への追加出資の要請に至るまで、東京都及び新銀行がそれぞれベストを尽くしたかどうかについて絞って伺います。
 そもそも、かつて新銀行東京は、自己資本千五百億円を目指していたのではなかったんでしょうか。十七年三月一日の本会議で、東京都は、開業年次に民間企業五十社程度の資本参加を含む五百億円を超える自己資本調達の見通しがつき、準備を進めていると答弁していました。
 結局、この話はどうなったんでしょうか。結果について改めて伺います。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京では、開業後に業容の拡大にも留意をしながら増資を行っております。現在、民間からの出資は三十七社、百八十七億円となっております。
 新銀行東京の資本政策につきましては、財務状況を踏まえまして、同行が判断をしているものでございます。

○斉藤委員 銀行の方の判断だということですが、では、その後、平成十七年八月三十一日には、都に報告もないまま百八十億円、そして十月二十七日には七億円の第三者割り当て増資が実施されていたようですが、この時期、これらの増資はなぜ行われたのか。そして、実施の経緯と引受先及び引き受けの条件について教えてください。

○佐藤産業労働局長 平成十七年八月、それから十月に行われました第三者割り当て増資につきましては、幅広い都民からの支持を体現するために、多様な企業からの出資を確保するため、普通株式の発行により実施をしたものでございます。
 これらの引受先についてでありますけれども、銀行法で義務づけられております上位十社以外の株主は、各株主の意向によりまして明らかにしておりません。

○斉藤委員 なかなか明らかにならない部分も事情によりありということですが、では、ちょっと改めて、その後です。
 今回の追加出資四百億円の根拠としては、新BIS規制が挙げられておりますが、新BIS規制の詳細については、平成十六年六月に既に発表されて、十八年度末から適用ということになっております。
 十七年の十月の増資以降に、新銀行東京は増資の必要性を感じていたんじゃないですか。増資の努力をしてきた場合に、どのような理由で増資ができなかったんでしょうか。詳しく教えてください。

○佐藤産業労働局長 先ほど申し上げましたけれども、新銀行東京では、開業後、会社自体の業容の拡大に留意をしながら増資を行ってきているわけです。その時点その時点での経営状況の判断の中で、そういう増資についての判断が当然行われるということになるわけであります。
 そういう意味では、先ほど申し上げましたけれども、当行の資本政策については、財務状況を踏まえた中で当然、今までも同行が判断をしながら経営をしてきたということでございます。

○斉藤委員 それでは、経緯についてはわかりました。
 では、今回、追加出資を提案する以前に、新銀行東京としても、都からの出資を前提としない民間金融機関との提携による再生や出資先の確保など、さまざまな交渉を進めてきたように伺っております。
 先日の民主党の総括質疑に対して、昨年夏以降、十一の金融機関等に業務の提携等や出資依頼を順次行ったと答弁をしていましたが、当時の新銀行東京のこうした行動については、東京都の意向が反映したものなんでしょうか。当然、このことを東京都は承知をしていたとも思うんですが、これについてもいかがでしょうか。

○佐藤産業労働局長 昨年の夏以降、新銀行東京では十一の金融機関等に対しまして、業務の提携等、また出資依頼、これを随時行ったわけでありますが、これはあくまで新銀行東京としての取り組みでありまして、都の意向というものを反映して新銀行が動いているということではございません。
 なお、都といたしましては、新銀行東京に対して、経営改善の取り組みを当然のことながら働きかけるとともに、ご案内のとおり、新銀行東京への支援ということでは、昨年の六月に前副知事、また執行役以下について四名を派遣するなどいたしまして、経営の立て直しに向けて可能な限りの支援を行ってきているところでございます。

○斉藤委員 では、提携先、そして出資要請先金融機関などからは、どのような理由でこういった交渉について、最終的には断られたのか、改めて伺います。
 また、東京都は当時、この断られた理由について承知をしていたんでしょうか。

○佐藤産業労働局長 調うに至らなかったという状況にありますけれども、その理由については、個々の金融機関の判断によるものでありまして、その個々の理由についてはつまびらかにされておりませんで、私どもとしては個々の事情を細かく承知はしておりません。

○斉藤委員 今二つ質問しましたが、一つ目は、出資先を求めた動きに対して東京都が承知をしていたか。次については、結局それはどういうふうな形で断られたのか、どういう理由で断られたのか、承知をしていましたか、いませんでしたかというふうに聞いたんですが、なぜ二つとも、承知をしていなかったとか承知をしていたとか、そういう形で答弁がいただけないんでしょうか。実際にはどうだったんでしょうか、改めて伺います。

○佐藤産業労働局長 当然のことながら、新銀行東京が他の金融機関等と提携等の動きをするということ自体は我々も承知をしておりました。ただ、その個々の、十一ありますけれども、そういう個々の金融機関等との間で調うに至らなかった、そういう理由について個々の状況をつまびらかにしていないと、そういう意味でございます。

○斉藤委員 細かい理由はわからなかったということですね。ただ、現実には結局全部に断られてしまったということですね。
 そうしますと、新銀行は昨年夏、つまり森田社長就任後から提携先探しに動き出したということです。
 私ども民主党は、既に平成十八年第一回定例会の時点で、民間への売却や東京都の撤退などを提案しておりました。当時、知事がどんな思いでそれを聞いていたかよくわかりませんけれども、今思えば、真摯に受けとめておけばよかったというふうに今感じているんじゃないでしょうか。ただ、今やそれは既に遅く、昨夕の読売新聞の記事で、舛添厚生労働大臣が、出資したことは重い、民と競合するならば民間の論理を貫くべきだったんじゃないかというようなコメントが載っておりますが、全く同感です。
 さて、この民間の金融のプロ、市場から新銀行はノーをいい渡されたわけだと思いますが、当然そのことを知事は理解をしておりますよね。知事の方から答弁をいただきたいと思います。

○石原知事 森田前代表は、旧経営陣が策定した新中期計画では経営の立て直しを行うことは困難であると判断し、営業店の統合など、一層の経営改善を進める一方で、他の金融機関との提携などさまざまな取り組みを進めました。ただし、他の金融機関との交渉は、都からの資本増強を想定、前提としていない時期の話であります。ゆえにも民間から新銀行東京がノーといわれたとは考えておりません。その後の展開により、他の可能性も現出しているわけであります。

○斉藤委員 大変難しくお答えをいただいたんですが、しかしながら、私が聞いたのは、知事は、今この状況を見ていると、結局市場は新銀行東京はもう無理だと、民間の形では、そういうことで皆さんが断ったという現実をよく理解をしていますよね。つまり市場の方からは既に、もうだめだからあきらめなさいというふうにいわれているということを理解していますよねという質問をしたんですが、いかがでしょうか。

○石原知事 ですから、森田さんの時代に他へ相談したときには、私たちは事態というものをまだ完全に掌握しておりませんでしたから、つまり四百億円の追資ということを考えていない時点で森田さんは相談したわけです。しかし、彼が引退した後、いろいろさらにものを精査しまして、これはこのままでは済むまいということで、四百億の追資というものを提案することを決めまして、要するにそれがかなった前提で、いろいろな他のセクターとも相談をいたしました。そこで返ってきた答えは、決してノーではありません。物事を段階を踏まえて考えていただきたい。

○斉藤委員 では、ノーでないというんだったら、私はてっきりノーと市場からいわれたので、しようがなく東京都の都民の血税にすがりついてきたというふうに解釈をしました。それだから真剣に審議をしようとしたんですが、今の前提ではまだまだ可能性がほかにもあって、決して税金を使うばかりではないというふうに理解できるんですが、いかがでしょうか。

○佐藤産業労働局長 前から、本会議等々からもご説明申し上げていますけれども、さまざまな相手と交渉して、現段階では調うに至っていないというふうに申し上げているわけです。
 経過につきましては、今知事からもお話がありましたけれども、いろいろな形での業務提携から始まりまして、それが新銀行の持っている経営理念、そういうものと相手方の経営理念、これが一致をしないというケースもあるでしょうし、経営理念のほかの具体的なビジネスモデル、どういう形でもって提携をするか、そういうような具体的なものについての条件が整わないということもあるでしょうし、そういう中で、出資をいただくというような形を相手方に求めるというのが次の段階にあったということで、前々から申し上げましたように、業務提携等の等のところには、ほかの企業からの出資を求めるという段階もあったということを説明申し上げてきております。

○斉藤委員 それでしたら、つまり業務提携は全く、民間の方に対してはまだ一縷の望みがあるというふうに理解をするんですが、だったら、私ども今、都議会の方といわゆる都庁の方が交渉している話のときに、都議会の方との交渉が不調なのか不調じゃないのかはどういうふうに思っているかわかりませんけれども、一方で、こういったことをしながら、もう一方では、民間の方との協議というものはまだこれからもチャンスがあると思ってやっていくということでしょうか。

○佐藤産業労働局長 ですから、業務提携等のものが過ぎて次の段階に入って、いろいろな出資を求めて、それが調うに至っていないということで、しかしながら、この三月、期末の決算見込みの状況はるるこの議会で説明を申し上げましたけれども、この状況では新しい年度で業務を継続することができない、こういう状況になったわけです。ですから、まずは新銀行東京の新年度に向けての新しい再建計画を立てて、それに基づいて着実な業務を遂行していく、これが今最も大事なことだと。そのためにはどうしても資本としての四百億円が必要になる、これは今必要になるという、こういう事情をるる昨日もご説明申し上げました。この四百億円を必要になるというのは、ほかの二つの方法に比べて最も都民に対する負担が少ない、この方法なので、今の時点で新銀行東京をつぶすわけにはいかない。その中で一番少ない方法を選ばざるを得ない、これが結論なんですね、我々のとった。ですから、それまでに行ってきたさまざまな協力支援を受けようとした行動、これがある意味ではこの時期にまとまっていないということは、次の方法を選ばざるを得ない、こういう時期に来ているわけです。そのことをぜひご理解いただきたいし、また、そのことをやらないと、きのうるる説明したような、都民、それから中小企業経営者、またそのご家族や従業員の方たちに多大な迷惑が及ぶんだと、このことを抜きにして今回の判断はできませんので、そこのところをぜひご理解いただきたいと思います。

○斉藤委員 それでは伺いますが、津島新銀行社長の方からちょっと聞いたところでは、提携先、出資先で断られた理由として、中小企業支援という理念で一致が見られなかった、ビジネスモデルの上での一致が見られなかったということを挙げております。津島社長はなぜこのビジネスモデルにこだわったんでしょうか。この堅持について東京都の意向というものがそのときあったんでしょうか、いかがか伺います。

○佐藤産業労働局長 ビジネスモデル、一体何を指してビジネスモデルというのかちょっといろいろ難しい部分があると思いますけれども、中小企業を支援するという設立目的、設立の理念があります。当然銀行も、これがために東京都が最大の株主として出資をして成り立っている銀行でありますから、この部分を変えるということは考えていないということははっきりしていると思います。ただ、この理念を実現するためにいろいろなビジネスモデルがあるわけで、そのビジネスモデルについて、東京都から特定のビジネスモデルをどうしても堅持しろというようなことをいったことはありません。
 また、実態としても、恐らくですが、交渉に当たって、その固定的なビジネスモデル、どういうメニューをどういうふうにそろえて、どういう商品をどういうふうにやっていくかというような、そういう具体的なビジネスモデルを新銀行があくまでも固執をしながら相手と交渉するということはあり得ないと思いますし、それについては恐らく柔軟な姿勢で交渉に臨んできたというふうに考えております。

○斉藤委員 ビジネスモデルは堅持をしろとはいったことはないけれども、ビジネスモデルは恐らくそのベースになるものは堅持をしていたんじゃないか、ただ、一方で、細かい部分では柔軟にやってきたんじゃないかということですが、ちょっとそういう意味では、どのあたりが本当に柔軟で、どのあたりが本当に堅持していたのかというのは、ちょっと答弁ではわからないと思います。
 それでは伺うんですけれども、中小企業支援といえば、設立趣旨が似ている東京都民銀行などを含め、無担保・無保証で貸し出す金融機関は少なくありません。基本モデルを重視するならば、当然そのようなところにもアプローチをしたと思いますが、どのように伺っているでしょうか、教えてください。

○佐藤産業労働局長 先ほどから申し上げておりますけれども、十一の金融機関に対して業務の提携等、また出資依頼を随時行ったというふうに聞いております。具体的な相手先については明らかにしておりません。

○斉藤委員 では、先ほど十一の金融機関に依頼したということですが、東京都は新銀行の努力がここまでである程度十分だと、時間的なものもあったんでしょう、十分だとして、これ以上の努力をしても全体的には無理があるということで判断したんでしょう。
 きのうの民主党の総括質問では、そもそも新銀行の株主たるNTTコミュニケーションズなどや日立製作所、あいおい損保などに対してさらなる出資を働きかけましたかと聞いたところ、既存株主については新銀行の判断で出資の働きかけを行っていないという答弁でした。これらにも頼みに行かずに真っすぐ都庁に向かったということですかね。私は、過去の答弁の不履行や、ほかの増資策の努力などを踏まえても、新銀行東京は都民の税金に頼り過ぎているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京は、限られた時間の中では精いっぱいの交渉を進めてきたというふうに私は理解をしております。これまで民間から出資を求めるに当たりまして、中小企業の資金繰りを安定化して、東京の経済活性化を目指す、こういう設立趣旨があるわけで、これを踏まえて、本当に数多くの相手先に声をかけて真摯な交渉を行ってきたというふうに考えております。そういう意味では、ご指摘のようなことは当たらないというふうに私は思っております。
 都におきましては、新銀行東京が今回の追加出資、四百億円という非常に大きな出資額になりますので、この重みを十分に踏まえて、今回策定をいたしました再建計画によって、本来の趣旨であります中小企業支援の継続という都の施策に沿った取り組みが確実に、本当に確実に実施されるように、私どもも積極的に働きかけてまいります。

○斉藤委員 今の前半の、それには当たらないというのも少し引っかかるんですが、もう一つ引っかかるところがあります。今の話の中で、中小企業支援の継続という都の施策に沿った取り組みが確実に実施されるように積極的に働きかけていくという答弁がありました。先ほど、ビジネスモデルの堅持を求めた、要請をしたことはないということでしたが、では、これからは東京都の施策に沿って新銀行が動くように縛っていく、そういうふうに聞こえるんですけれども、いかがでしょうか。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京は今でも一千億円の都費、公費で出資金の八十数%を占めているわけですね。もともとこの新銀行東京設立の趣旨、ちょっと今回もいろいろな議論が出ています。この趣旨を具体的に体現するのが新銀行東京の大きな役割であるのは当然のことでありまして、最大株主であります東京都がそれを求めていくのも当然であります。そういう意味では、今後も新銀行東京が中小企業の資金調達の円滑化を図るという設立の趣旨に沿って当然事業が行われなければ、都民の税金をここに注入するという意味は全くありませんので、そういう意味では我々はこれからも今までと同様、そういう目でずっと新銀行東京の経営を監視をしていかなければならないというふうに思っております。
 しかしながら、新銀行東京の経営を安定化させるための財政基盤の確立というものがもう一方で求められます。中小企業の支援だけでそこが十分に、経営的な部分が達成できるのかどうか。これは今回の再建計画の中にもありますけれども、今後どういう形で財政基盤の確立の面を図っていくか、これは新銀行東京が新しくまた背負った課題ということですね、今後十分な検討がされていくというふうに考えております。

○斉藤委員 今まで情報が余りにもなかった割には、大変、今聞いていると、これからどんどんやっていくんだ、どんどん入っていくんだというふうに受けとめました。ある意味、気概ととればいいんですが、余りにも今までの落差で、なかなかついていけないところが正直なところです。
 それでは続いて伺いますが、この間の新銀行東京と東京都が追加出資に関して交渉してきた経緯という資料を第177号としていただいております。それによれば、ことしの一月下旬になって初めて東京都と民間ファンドとの共同出資についての調整を行ったということです。この最初の調整について、いろいろとやりとりがあったと思いますが、いつ、だれに、どのような打診があって、東京都はどのような回答をしているのか詳しく教えてください。

○佐藤産業労働局長 これは東京都が出資を幾分かして、民間の機関が出資をする、こういう形での共同出資という形の方法がとれないかということでありまして、これは新銀行が相手方との交渉をしている主体になっているわけであります。民間ファンドとのやりとりにつきましては、先方方の投資戦略にもかかわることでありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

○斉藤委員 先ほどの答弁の気概があった割には、実際にはほとんど説明はできないことばかりというふうな気がいたします。
 ではこの場合、東京都と民間ファンドとの共同出資額については、それぞれ何億円ずつを想定したのか、また、基本とするビジネスモデルの内容についてはどのようなものだったのか、結果としてどうしてだめだったのか伺います。

○佐藤産業労働局長 出資をするかどうかということは、通常、業務提携の内容ですとか企業の体力ですとか、それから出資先の会社に対する経営参画意思、こういうものをいろいろなトータルの中で出資というものが判断されるわけであります。新銀行東京から都と民間による共同出資についての提案があった時点で、そこで具体的に出資割合が決まっていたということではありません。
 その他幾つかご質問がありますけれども、これも経営戦略にかかわるものであり、お答えはできません。

○斉藤委員 どうも聞いていても、審議に足りるような情報が表に出ない、出ないという話のような気がいたします。
 では改めて最後に伺いますが、予算特別委員会の資料第165号で、石原知事が新銀行東京への追加出資をすると判断に至ったもととなる資料を一式いただきました。それによれば、新銀行東京再建計画及びその説明資料、さらには平成二十年度三月期決算見込みを見た上で、知事は追加出資を判断したものだと思います。しかし、改めて考えてみれば、十日の調査報告書で新たにわかった情報が若干それなりにございます。そしてこれまで新銀行東京は、東京都も含めて交渉先に事実と異なるような資料を持って提携要請に行っていたということになるんじゃないでしょうか。
 また、きのうは監査法人の指摘についての報道や質問もありました。本当にこれについては、東京都がいうように問題がないならば、監査を通した後、最終決算も踏まえて、改めて再建計画と一緒に議案を出し直したらいいんじゃないでしょうか。これについて知事の見解を伺います。

○石原知事 今回追加出資を提案した背景は、過去の融資・保証におけるデフォルトがとまらない中、新たな出資を伴わない新中期経営計画を達成することが困難なことから、執行体制や規模を抜本的に見直し、新たな再建計画を策定したわけであります。直近での追加出資が行われなければ、平成二十年度の業務執行が困難となり、融資先などに多大な影響が出るということは再三申してまいりました。かつまた、銀行再建、拡大のための他のセクターとの協力の実現が不可能となるわけであります。ゆえに追加出資をお願いいたしました。

○斉藤委員 今一つちょっと気になるところがあるので、もう一つ局長に伺いたいと思いますが、今話の中で、私の方は、十日の調査報告書では新しい情報が若干あったという話をしました。つまりこの調査報告書を見る前につくった議案に関しては、十分な情報がない中でつくっている資料なので、安易に今回の分の中で--出し直した方がいいんじゃないか、もう少し新銀行の状況がしっかりとわかった部分で、我々に四百億円の審議を頼むというようなことの方がむしろ正しいのではないかと思っています。したがって、この議案については、新銀行東京が隠していたことを、隠した状態の中で議論をして、そして判断をして出したんだけれども、結局、新たに違うそのベースになっている情報が違っているままで提案をしたままでいいというふうなことでよろしいでしょうか。

○佐藤産業労働局長 ちょっとお尋ねの趣旨がもう少しはっきりわからないんですが、一昨日ですか、出ました調査報告書のことを指してのお話ですね。調査報告書の調査している対象期間は、旧経営陣が経営をしていたときの状況についてつぶさに検討をして、現在至ったこの経営不振の原因がどこにあるかを追及するためにやった調査なんですね。今回我々が判断をしたもととなる資料は、その後に就任をいたしました新しい経営陣たちが、足元の状況をしっかり見て、その中でいろいろなことを考えて、また将来の予測を立てて、その新しいメンバーが、これならばちゃんとできるであろうという再建計画を立てて、それで東京都に出資要請をしたわけです。ですから、調査報告書の中身が過去の経営陣が隠していたことをもって、その資料で我々が判断をしたんだから、改めて出し直したらいいんだというのは、どうもその趣旨が私には理解ができません。

○斉藤委員 これまでの報告の部分は結局直前に出てきました。この部分はいろいろな焦げつきの部分の額とかが微妙に新しくなっています。そうしますと、結果的には、現状の新銀行東京がそれまでわからなかったことが幾つかあって、そしてそれがわからないままになって、十日まで引っ張られてきた。その前に既に議案が出ております。新銀行東京についての正しい描写がなされていない中で議案が提出されているわけですが、それについては認めますか。

○佐藤産業労働局長 経営状況がここに至って、次期の経営が困難になるという状況に対しての今回の四百億円の出資要請、それを東京都としては必要ありというふうな判断をしたわけです。新経営陣になって、既に十九年度の中間決算が行われて、これは新経営陣のもとでの決算です。旧経営陣がやった決算ではございません。さらに昨年の十二月末の見込みなり、そういう経営状態を的確に新経営陣が把握した中での今回のさまざまな資料をもとにした我々の経営判断だと。判断をするまでに、今の調査報告--調査報告は、先ほど申し上げましたけれども、旧経営陣が経営を行っていた時点までのことを調査しているわけですから、そこを結びつけてのお話は私は今でも納得はできません。

○斉藤委員 もう時間がありませんが、少なくともきちんとした情報の順番と、そして議案の提出の順番が私は逆だと思います。少なくとも、そのほかについてはほかの議員からも別の角度で新銀行を追及してまいりますので、覚悟していただければと思います。
 それでは、別の質問に移ります。自立支援法に関してです。障害のある学齢児放課後活動事業について伺います。多少予定している質問を省略して質問させていただきます。
 包括補助事業で運営しているこの事業については、私の地元の小平では待機者四十人、近隣の清瀬市では二十人など、大変人気がある状況でございます。しかしながら、この新規事業所を、待機者がいるということで、もう一つ設立したいところでありますが、新規事業を今の制度では受け付けてもらえません。別法人での開設も、それなりに作業を要しますのでなかなか難しい。自立支援法施設に移行すべきというふうにはいわれますが、他の事業所同様に、日割りの収入になることが予測されると、正直二の足を踏む事業所が多いのは事実であります。待機児がいる現状を踏まえて、障害児の放課後活動事業の新規開設について所見を伺います。

○安藤福祉保健局長 区市町村が実施主体であります障害児放課後活動事業等は、法定外事業でございまして、経営の安定を図る上でも、障害者自立支援法に基づく新体系事業に移行し、国からの財政支援が行われる法内事業として実施していく必要があると考えております。このため、都は、新規に開始する事業につきましては、障害者自立支援法に基づく新体系事業として行うものを支援することといたしております。

○斉藤委員 なるほど。そろそろこの法律についても改正の話が聞こえておりますが、では、東京都はどのような国への要望をこれまで出して、そしてどのような対応を国から得ているのか、改めて伺います。

○安藤福祉保健局長 都では、昨年の十一月でございますが、大都市民生主管局長会議の国への要望の中で、就学前の障害児を主な対象としている児童デイサービス事業について、学齢期の障害児の放課後活動事業への支援ができるように要望いたしました。こうした中、国においては今般の緊急措置として、児童デイサービス事業において就学児童を多く受け入れる事業所へ補助を行う経過措置を講じたところでございます。

○斉藤委員 なるほど、東京都については、これまで都の単独でこの放課後事業を補助してきたので、恐らくその実績や現状を理解していると思っております。今後もこのような小規模事業の多くがスムーズな運営ができるように、制度、報酬の面で国への働きかけを頑張っていくよう要望いたします。
 それでは、同じく福祉関連について伺います。低所得者対策プログラム、今回、石原知事が選挙公約に盛り込んだ都税減税策を撤回したのは、選挙の判断材料になったものを変えたという点では問題でありますが、一方で、このプログラムについては、社会福祉士の私としても、生活保護以外のセーフティーネットの開発という点では評価するものであります。税収が全国一の東京都なればこそ、このような研究に取り組むべきだと考えます。
 しかしながら、気になるのは、市区町村での低所得者プログラムの窓口対応はどのようになっていくかということです。もともと市区町村は、雇用や経済に関しては余り専門部署を持っておりません。どのような基準で、事業対象になる人なのか否かを峻別していくのか。また、東京都との業務の引き継ぎ、境界線をどこに引いていくのかなど、相談に乗る技術、そしてスタンス、こういったものも安定していない中で課題が予想されますが、それについての対策を伺います。

○安藤福祉保健局長 今回のプログラムでは、その対象者について、所得が一定水準以下であることや資産を保有していないことなどの条件を設けております。区市町村の相談窓口におきましては、相談員がその対象条件とともに生活安定に向けた意欲を確認いたしまして、都の就業支援窓口での相談、あるいは東京都社会福祉協議会が行います貸し付けなど、必要な支援につなげていくということになっております。
 このため、都では、対象者や事務の流れなどを示しました相談事務マニュアルを整備いたしますとともに、相談員の資質向上に向けて必要な研修を実施するなど、区市町村と緊密に連携しながら円滑な事業実施を図ってまいります。

○斉藤委員 このプログラムについては、期待をすると同時に、こういった配慮は欠かせないものだと考えていますので、よろしくお願いします。
 さて、このプログラムのメニューの中には、介護資格養成、そして就労あっせんがございました。しかしながら、介護関連は、残念ながら国の報酬基準の低さゆえに、官製ワーキングプアといった報道もされている状態です。ニートをワーキングプアにするだけだったら意味がないというふうに考えられます。このような事業をするのでありますから、当然東京都は、介護保険など自立支援法などの報酬の底上げを真剣に取り組んでいただけると、国への働きかけを真剣にやっていただけるということを期待しております。
 しかしながら、この報酬以外でも、人手不足だから、主婦の人もやっているからと、安易に介護職をあっせんすることは大変心配です。なぜなら介護施設の職員でも、やはりチームを組んでやっていく、そしてまた単身で高齢者の方のところにお邪魔をするとしても、行った上で、そこの方たちとうまくいけるかという人間関係、そこがしっかりしていないと、この仕事は実際にはできません。
 しかしながら、人間関係ゆえにつまずいて引きこもってしまった人も実際には多いので、そのような人の適性として、果たしてこのような職業に従事できるか大変心配をしているということです。これについての対策を聞かせていただきたい。

○安藤福祉保健局長 今回のプログラムにおける雇用促進策は、介護人材の育成、確保にも資するものでございますけれども、就労支援に当たりましては、対象者一人一人の実情に応じた対応が必要というふうに考えております。
 このため、東京都福祉人材センターにおきまして、民間会社を活用した個別のカウンセリングによりまして本人の状況を十分に把握するとともに、就職時の不安の解消やコミュニケーションスキルの向上等、職場定着のためのさまざまなアドバイスを行っていきたいと考えております。

○斉藤委員 もとの選挙の公約のままですと、恐らく税金関係、税務関係、主税局あたりが担当だったんでしょうけれども、結果的に、急に福祉保健や産業労働局、区市町村に振りかえた感じがありますので、本来ならば、これは全局が知恵を絞って可能性のある仕事のあっせんを考えるぐらいの気概でいていただきたいと思います。政策を進化させて、後はお任せではいけないということを肝に銘じていただきたい。
 ところで、実行プログラムを読むと、介護人材育成以外に、訓練による実践的能力の付与があるが、生活安定を図るためには、介護人材以外にどのような訓練を行うことで、このようなより安定的な就業に結びつけることを考えているのか伺います。

○佐藤産業労働局長 今回の対策では、対象者のうち職業訓練を希望する方に対しまして、職業能力開発センターや民間教育機関によりますさまざまな職業訓練を実施いたしまして、就職を支援することとしております。
 職業能力開発センターでは、現在行っております電気関係や建築設備などのものづくり系科目、また財務管理などの事務系科目で職業訓練を実施いたします。
 また、現在、企業訪問による求人ニーズ調査を行っておりまして、新たに民間教育機関に委託して行う訓練におきましては、この調査結果を生かして実践的な科目設定を行ってまいります。こうした訓練を通じて、安定した就業の実現に努めてまいります。

○斉藤委員 よろしくお願いします。
 これにつきましては、三年という期限がついていますけれども、ぜひ内容によっては延ばしていただきたいと思いますし、また高齢者が世帯主で若い人が引きこもった状態になっているという家も多いですので、世帯主だけではない広がりも今後期待するところであります。
 では、最後に伺います。
 私の地元であります多摩の方で、東村山市の多摩北部医療センター、そして多摩市の多摩南部地域病院が、看護師不足による一部休止というふうになっております。このようなことは、二次救急医療でございますので、救急の受け入れにも影響しているのかもしれません。公社病院だから悪いと私はいい切るつもりはありませんけれども、一方で、二つもそういう状況があると、やはりそうではないかというふうに思われても当然でございます。柔軟な経営ができる公社病院ならば、ここで踏ん張ってそういった部分の休止を何とか防ぐよう頑張っていただきたいと思いますが、これについての対策についてお答えください。

○秋山病院経営本部長 多摩地域の公社病院におきましては、平成十九年一月から多摩南部地域病院、本年一月から多摩北部医療センターで一部病棟を休止しておりますが、その原因は、平成十八年四月の診療報酬改定で、いわゆる七対一の新看護基準が導入されたことによる全国的な看護師不足の影響などを受けたものと考えております。
 そこで、公社では、採用試験の工夫に加えまして、比較的離職率の高い新人看護師に三カ月間の臨床研修を試行するとともに、中堅職員のスキルアップのための認定看護師の資格取得支援などの定着対策を行っております。
 また、一部病棟では、二交替制の試行などを開始し、勤務体制の多様化も図っているところでございます。
 このように、公社みずからが看護師の確保に向けて、さまざまな努力を重ねているところでございます。
 なお、委員のご質問の中で、看護師不足とそれに伴う病棟の一部休止が救急診療にも影響を及ぼしているという、その可能性について触れられましたが、これら公社病院におきましては、救急業務に必要な看護師を配置するとともに、医師の救急当直体制も確保しておりますことから、直接の影響はないものというふうに考えております。

○大沢副委員長 斉藤あつし委員の発言は終わりました。(拍手)

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