東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○三宅委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案まで、及び第百三十一号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 三原まさつぐ委員の発言を許します。

○三原委員 久しぶりに質問席に立たせていただきまして、知事と討論ができるのも脱法ドラッグ条例以来でございますので、少し勘が鈍っていて、鋭く切り込めなくて脱線するかもしれぬが、お許しをいただきたいと思います。
 目下、東京都政の最大の課題は、四百億とか一千億とかという議論がされております。もちろんこれは今の都政にとって大変重要な課題だと私も認識をいたしておりますが、都政は申し上げるまでもなく、それだけではないわけでありまして、各方面多岐にわたった課題がたくさんあります。
 特に私は、知事とか、副知事とか、あるいは局長さん方がご存じないというと失礼なんですが、ああ、それはうっかりしていたなというような案件をちょっと幾つか考えて質問をさせていただこう、こう思っております。
 それは皆さん方から見ると、ほんのささいなことというふうに感じられるかもしれませんけれども、都民から見ますと、それはもう、そのことが解決することで、何千人、何万人という人がよかったなと、東京都はいいことをやってくれるというふうに思っていただけるような案件も当然あるわけでございますから、ぜひ局長さん方にも積極的によいお答えをいただくようお願いを申し上げたいと、こう思うわけでございます。
 そこで、今、世の中で、特にマスコミを通して、いろいろ議論をされております案件を幾つか知事にお尋ねをしてみたい、こう思いますので、それはまた、私がこれから都政活動をしていく上の大いに参考にしようと思っているわけでございます。
 けさの新聞にも出ておりましたが、法務大臣が法制審議会に成人年齢の引き下げが是か非かということの審問をされて、法制審議会が昨日審議を始めたと、このように出ておりました。
 これは申し上げるまでもなく、憲法改正に伴う国民投票の法律ができて、その中で、投票権を原則十八歳以上というようなことを決めたものですから、平成二十二年の五月の国民投票法の施行前に、法律とか省令とか、いろいろ手直しをしなきゃいけないということになった一端なわけでございますけれども、新聞報道なんか見ますと、法律や政令や省令は全部で三百八件ほどあるそうでございますから、直すといっても、そう簡単な議論ではないという気がいたしますが、一番基本の問題として、法律上、何歳が成人か。今はもう二十歳でございますけど、法律上の成人と、そして精神的あるいは肉体的な観点から見た成人と、議論はいろいろあると思いますが、まず石原都知事は何歳をもって成人というふうにいうのがいいのか。今の法律がどうということではなくて、知事のお考えで聞かせていただければありがたいと思います。

○石原知事 私自身の見解として、何歳をもって成人と考えるかというのは非常に難しい問題でありますが、昔はそれぞれの自覚を持って、男子は十五歳で元服し、女性も十三、十四歳でお嫁に行きました。それぞれの社会人というんでしょうか、そのころは封建時代であったと思いますけれども、それぞれの自分の属しているコミュニティーの中での自覚の濃淡というのはよくわかりませんが、ただ、今日、成人とされている二十歳の実態を見ますと、とても成人と思えない現象があちこちにございまして、現に国家がやっている、自治体がやっている成人式にいろいろハプニングが起こるものですから、このごろは成人式に親が同伴するというようなこっけいな現象が起こっていますが、これをもってしても、私はやっぱり二十歳という成人の規範というのは、首をかしげざるを得ない感じがいたします。
 私と非常に親しい斎藤環さんという、非常に新進気鋭の精神病の学者がこの間あることをいいまして、私は驚きましたが、彼らの見地、精神病学者の見地からいうと、今、日本に起こっている若い人たちの現象を眺めると、成人というのは三十歳過ぎだろう、三十一歳だろうということでありました。これはある意味での一つの大きなサジェスチョンじゃないかと思います。

○三原委員 ありがとうございました。大変参考になる意見でございますが、それ以上に我々が関心を持つのは、選挙権を十八歳で与えるのがいいかどうかという議論が当然出てくると思いますので、選挙権に限って、十八歳で選挙権を与えるということについて、知事のご意見があれば聞かせてください。

○石原知事 私が初めて政治家を志しましたときに、参議院の全国区に立候補いたしまして、既にもう中央の議員で実績のある同世代の方々がいろいろ協力をしてくれました。そのときに、皆で合議して、日本の新しい世代の会というような会をつくりまして、その一つの政策として、選挙権を十八歳までに下げようじゃないかということを主唱いたしました。
 当選した後、あれは佐藤内閣のころ、まだ田中角さんが幹事長でしたが、そのことのキャンペーンで、日本じゅうから仲間集めて、ひとつ自民党のあのホールを借りて、そのキャンペーンをしたいんだということを幹事長の田中さんに申し出ましたら、一喝されまして、何をとぼけたこというんだと。大体二十歳で選挙権は早過ぎると。そんなものは、十八歳、論外であると、二十五歳でいいんだというおしかりを受けまして、私はそのホールを借りることはできませんでしたが、しかし、これまた、さっきの斎藤環さんの言ではございませんけれども、ある意味で、今になってみると、非常に重い意味合いを持つ田中角栄さんの一つの見識であったんじゃないかという気がいたします。
 人によって意識の濃淡がありましょうが、まして十八歳という者が成人としてその是非を問われるような現象がはんらんしている中で、私は選挙権を十八歳に下げるということは、昔の説を、要するに曲げるわけじゃございませんけど、非常に疑義を感じているわけだし、反対であります。

○三原委員 最後の的確なご答弁でありがとうございました。私も個人的にいえば、反対だということを表明しておきたいと思いますが、選挙権ということになると、今、国会の方でも永住外国人への地方への参政権ということが議論されているようでございます。
 これはかねてからいろいろ議論がありまして、平成七年に都議会でも意見書を決議した経緯を私も覚えておりますけれども、まだまだ十分に議論をされていないのではないかという気がいたしますが、何か国会の方が一足早くいろいろ議論されているという感じがしてなりません。
 そこで、知事はいわゆる永住外国人への地方参政権についてどうお考えか、お聞かせください。

○石原知事 私も長く国会におりましたが、経験を経れば経るほど、長くいればいるほど、特に小選挙区になって以来の国会を眺めますと、政治家が小ぶりになったといいましょうか、国家というものの全体を踏まえた現実感覚、現場感覚がなくなって、非常に空疎な議論を繰り返しているような気がいたします。
 この問題もそうでありまして、いかなる人がいかなる論拠で主張しているかつまびらかにしませんが、私はこれ、基本的に反対です。例えば、地方といったら--まさに地方の時代でありまして、地方の持っている機能というものが国家の命運を左右する問題、多々あります。
 例えば、原発の設置であるとか、あるいは、これも随分論議がありましたけど、再処理のために下北半島の本当に田舎の六ヶ所村がこの対象になりまして、これは賛成が通って、何とかあそこでIAEAも感心するような作業が行われていますけれども、こういう問題に、国政というものに対する参政権を持たない外国人が地方に居住するということで、その地方の利害というものをどうしんしゃくするかわかりませんけれども、しかしそれが国家にはね返ってくるという問題について、限られた利害感覚で投票するということは、私は非常に危険だと思います。私は基本的にこれは認めるべきでないと思います。ならば、その方たちが国政にも意思を通したいというならば、帰化すべきであると私は思います。

○三原委員 今、知事のお話の中にもありましたけど、国と地方と両方に参政権あげるというならいいんだと思うんです、理屈が合いますから。ただ、地方にだけといわれるのがどうも私も納得いかないなと。都政の中でも外交案件と、あるいは防衛案件ともいえるような横田基地の軍民共同化とか、北朝鮮施設の非外交施設についての課税とか、これも全く外交案件、防衛案件でございますから、そういうのがあるのに、地方にはいい、国の方は関係ないんだよという感じは、私は極めて遺憾だと。
 したがって、これはもっともっと全国の知事さん、あるいは市区町村長さん、さらには我々地方議会の議員である都議会、県会議員、あるいは市区町村会議員というような人たちがもっと真剣に議論をして、その結果を国会議員さん、我々地方議員、あるいは地方はこう考えていますから、こうしてくださいよというふうに持っていって、国会で審議していただくのが手順だと。
 だから、もっと地方で議論をすべきだと思うんですけど、知事さんなんかも全国知事会なんかお出ましでございますが、もっともっとそういう場で喚起をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。

○石原知事 まさに世界だけじゃなしに、日本もそうです。時間的、空間的に狭くなりまして、地方というものの意味合いがかつて以上に大きくなっているときに、この問題はおっしゃるとおり、地方でも議論し、あわせて国でも議論をすると。そういうものが折衷されて結論が得られるべきものだと思います。
 一つ、先ほど申し忘れましたが、私はこういう時代に、日本はやっぱり移民法を考えるべきだと思います。日本人のルーツは周りにたくさんあるわけで、例えば、ドイツがトルコというかなり異質な民族の方々が労働力を提供することにいろんな混乱があるというのはわかりますけれども、しかし日本の場合には、これは本当に多岐にわたるルーツがあって、今日の日本人はできているわけでして、江戸時代にそれが収れんされたわけですから、私はそういう意味では、労働力の問題も勘案して、新しい移民法というものを考えるべきだと思います。
 この間、鳩山法務大臣がほかの用事で来られて、話を聞きましたときに、随行して来ている若い法務省の役人にこれをいいましたら、みんなそれぞれエリートを任じているんでしょうけど、全くぽかんとして全く反応がなかったんで、いささか私は失望いたしました。

○三原委員 いろいろ貴重なご意見で、これからまた参考にさせていただけると、こう思いました。
 さて、ちょっと話変わりますが、去る二月の知事の施政方針演説を拝見していて、東京のすぐれた芸術文化を、大きな魅力であり、さらに発展させ、戦略的に発信していく云々の芸術文化に対するご発言が出ておりました。
 私はこれを見て、知事が作家でいらっしゃって、今度副知事にお迎えしている猪瀬さんも、作家あるいは評論家というご活躍で、全国の都道府県でも、知事と副知事が文士であるというのは極めて珍しい例で、地方の県会議員なんかに会いましても、うらやましいなと。石原知事や猪瀬副知事と大激論ができるのは全く地方から見るとうらやましいと。うちの県知事なんか、だれも知っている人いないんだよなんていいますから、そういう意味では我々は非常にすばらしい立場に立たされていると、こう思うわけであります。
 その芸術文化に精通しておられる知事、副知事にお尋ねしたいと思いますけれども、その前に、実はこの中にも出てきますが、東京都は東京芸術文化評議会という会をつくって、そこで芸術文化の振興について議論をしていただいているというんですが、生活文化スポーツ局長、この評議会の内容はどんなでしょうか。

○渡辺生活文化スポーツ局長 東京芸術文化評議会は、東京の文化振興の基本的な方針、政策に関する事項について、専門的な観点から調査、審議するために平成十八年度に設置された機関でございます。
 評議員は演出家の蜷川幸雄氏、デザイナーの三宅一生氏などの方々でございまして、世界文化都市東京を実現するための文化戦略や芸術文化活動に対する支援のあり方、都立文化施設のあり方などについてご検討いただいております。
 現在は、特に喫緊の課題であるIOCへ提出するオリンピック立候補ファイルに盛り込む文化プログラムなどについて議論しているところでございます。

○三原委員 ひところは行政の文化化というようなことをいいまして、全予算の一%を文化的な事業に振り向けるべきだというのがちょっと各自治体での一つのポイントになっていたような時代もあります。最近そういうことをいわなくなってきたんですけれども、こういう芸術文化についての専門的な議論が交わされているということは大変有意義だと思いますし、知事ももちろんご出席で、去る二月の議会には猪瀬副知事もご出席だったというふうに新聞報道で拝見をいたしました。
 そこで、せっかくですから、作家である猪瀬副知事さんに聞いてみたいなと思うんですけど、脚本家で市川森一さんという方がおられるんですが、ご存じでございますか。

○猪瀬副知事 市川森一さんは日本放送作家協会理事長であります。脚本家ですね。一九四一年、長崎県諫早市生まれで、だから今、ちょうど大御所みたいになってきましたけれども、昔は「ウルトラセブン」とか「太陽にほえろ!」とか、それから「傷だらけの天使」って、これ、一部に根強いファンがありました。最近はもう文芸色が強くなっておりまして、「長崎ぶらぶら節」とか「異人たちとの夏」、それで日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞しています。人格的にも立派な方で、実績もある方です。

○三原委員 その市川さんと私もちょっと親交がありまして、いろいろ教えていただいたことがあるんでございますが、市川さんの言によれば、いろんな舞台、あるいは映画、あるいはまたテレビのドラマ、そういったものもまさに脚本によって、もちろん演出家とか監督とかいろいろあるでしょうが、脚本によってすべてが決するといってもいいぐらい脚本の重要性はあると。
 ところが、映画の撮影が終われば、脚本はもう終わったから要らないよと。あるいはテレビのドラマが終われば、もう要らないよというんで、やや、せっかくの文化財なのに、脚本を捨ててしまっているというようなイメージがあるので、これはもったいないと。これこそ文化的な資産の一つなので、戦後、特にテレビの放送などが活発になりましたから、脚本がたくさんあるわけで、それをぜひまとめて後世に残して、文学的な価値、あるいはまた、それを勉強しようとする皆さんに資産として公開していくべきだということを強く主張され、みずからも行動されて、日本じゅうには千人ちょっと脚本家がおられるそうですが、そういう人たちの協力を得て、脚本の資料館みたいなのをつくろうと。脚本アーカイブスという名前だそうでございますが、今それを努力してやっておられますが、文化庁も支援したり、たまたまご縁があって足立区が少し部屋を貸したりしているようでございます。
 東京都はまだ何もそこへご協力するチャンスがなかったようですけど、せっかく猪瀬副知事、お親しいんであれば、何か東京都がこういう芸術文化的なものに力を入れようという姿勢の中の一つとして、協力するような手段を考えてみていただくチャンスにならないかなと思ってきょうご質問してみたんですが、いかがでしょう。

○猪瀬副知事 大変重要なご質問で、東京都議会として皆さんも知っておいていただければというふうに思うんですが、テレビの歴史というのは、VTRがない時代、全部記録が消えています。つまり一九七〇年代後半ぐらいに、ご存じのように、いわゆるVHS、ベータ戦争というのがありまして、今、ブルーレイとHD-DVD戦争というのがありますが、ブルーレイが今、勝ったということになっていますが、当時はベータとVHSで、VHSが勝ったということで、普通の家庭にVHSのビデオが普及するのが大体一九八〇年ぐらい、昭和五十年代ぐらいですね。五十年から、五十五、六年からやっと、普通の家庭に入るのは昭和五十五年ぐらいですね。
 そういうことで、テレビの我々が見たドラマとか、あるいはドキュメンタリーとか、そういうものの記録というのはほとんど残ってないです。番組はね。もちろんテレビ局自身にテレビの記録、ビデオが入るのは、我々家庭用に入るのと余り変わりませんからね。
 そうすると、一九六〇年代ぐらいのおもしろい番組、皆さん、覚えていらっしゃると思いますが、永六輔と坂本九がいた「夢であいましょう」とか、あるいは井上ひさしさんが脚本を書いていた「ひょっこりひょうたん島」とか、ああいうのというのはほとんど残ってないんですよ。映像的にも、わずかな映像が残っているだけで、フィルムで撮った部分が残っていて、ビデオの映像がないんですね。
 そうすると、脚本だけが唯一の記録になるんですよ。その脚本というのは、当時はガリ版刷りです。ガリ版刷りで、実は脚本家の地位って非常に低くて、ちょっとメモを書いたぐらいの程度に扱われたりしたこともあったんですね。だから、そういう脚本のメモとか、脚本そのものですね、ガリ版刷りの脚本、そういうものは全部散失しています。
 ですから、一九六〇年代にどういうテレビがやっていたんだろうなというふうなことを振り返るに当たっては、脚本がないと、再現できるのは一部残った記録フィルムと脚本だけなんですね。NHKは大分残していますけれども、それでもVTRがないので、番組のほんのわずか一部しか残ってないんです。
 そういう意味では、もう一つ申し上げたいのは、日本でテレビの技術というのは、世界で一番最初にブラウン管に、画面、テレビが映るんだよということを発明したのは日本なんですね。これは昭和の始まる時期です。昔はいろはにほへとですから、あいうえおじゃないんですね。「イ」という字を映した。それは高柳健次郎という研究者ですが、日本は世界一だった。
 そして昭和十五年、一九四〇年ですけど、東京オリンピックをやる予定だった。それが戦争で流れちゃった。そのときに生中継やる予定だったんですよ。それで、日本の技術はそこで戦争で一回崩壊して、それから昭和二十八年にテレビが始まって、ご存じのように力道山、シャープ兄弟とか、ああいう街頭テレビから始まって、それで、ずっとその流れの中で残っている記録というのは、だから、フィルムに残っている記録なんで、ビデオ映像はないんですね、ほとんど。ないというか、存在してないわけです。
 そういうことで、東京芸術文化評議会で議論してもらって、東京だからこそ、これ、残すべきだということで考えてもらえたらおもしろいなと思います。
 以上です。

○三原委員 副知事、ありがとうございました。局長、芸術文化評議会で議論してもらいたいと、こういうお話ですから、ぜひひとつよろしくお願いします。
 それでは、ちょっと観点を変えまして、公務員の懲戒処分のことでちょっとお尋ねしたいと思います。これは、懲戒処分というと大げさに聞こえるんですけど、実は局長さん方も、えっ、そんなことあったのとかいう話ですから、よく聞いておいてくださいね。
 まず、公務員の非行、あるいは違反行為があれば懲戒処分というのは当然でございますが、それ以外にも人事上の措置みたいのはあるというんですけど、総務局長、それはどういうことでしょうか。

○押元総務局長 お答えを申し上げます。
 職員に対する懲戒処分は、任命権者が職員の一定の義務違反に対しまして道義的責任を問う処分でございます。地方公務員法におきまして、免職、停職、減給及び戒告の四種類が定められております。
 さらに、懲戒処分ではございませんが、各任命権者が必要に応じて、みずからの判断によりまして、人事管理上の措置を行うことができるとされております。
 都におきましては、非違行為の社会的重大性の程度などを勘案いたしまして、訓告及び口頭注意などの人事管理上の措置を行っております。

○三原委員 教育長さんにお伺いしますけど、本当はある区でといおうと思っていたんですけど、質問趣意書に足立区ってもう書かれちゃいましたから、足立区で、出向していた教員の方が任期が終わってまた都に帰られた。そこでちょっと不始末が発生していたことがわかったんですけど、それについてどういう処置をされたのか伺います。

○中村教育長 東京都の職員であった、教員であった者が、今ご指摘がありましたが、足立区の行政職である前指導室長という職につきまして、いろいろ事件といいますか、不始末があったということでございます。
 その前指導室長は、都を一たん退職いたしまして、引き続き特別区、足立区に採用されました。その後、またその足立区を退職いたしまして、再び東京都の教育委員会が任命権を持つ校長職に戻ったというものでございます。
 地方公務員法上、職員に懲戒処分を行うことができるのはその任命権者に限られております。本件の行為が行われた当時、当該前指導室長は区の職員でありました。したがいまして、東京都教育委員会は任命権を持っておりませんでした。したがって、懲戒処分を行うことはできませんでした。
 しかしながら、制裁としての法的効果を伴わない訓告あるいは注意などの人事管理上の措置を行うことは、地方公務員法上、今、総務局長から答弁ありましたように可能でありますことから、都教育委員会は区教育委員会から提出されました調査報告書に基づきまして検討を行い、前室長の行為が当時の学力調査において混乱を招きまして、注意指導が必要と認めたために、厳重注意の措置を行ったところでございます。

○三原委員 今、具体的に説明がありましたけど、これ一口でいうと、退職派遣だということだそうでございます。
 そこで、総務局長に伺いますが、今、退職派遣というお話ですけれども、そのほかに、派遣にはいろんなパターンがあるということだそうですし、派遣の形によっては、懲戒処分を出せる人、出せない人みたいなのがあると思いますが、その辺のことをご説明してください。

○押元総務局長 地方自治体間で職員を派遣する形態につきましては、派遣先団体からの求めに応じて派遣をいたします地方自治法に基づく派遣、それから、研修を目的に派遣いたします研修派遣、そして、派遣元団体を一たん退職して派遣先団体で採用する、ただいま三原委員がご指摘になっておられますいわゆる退職派遣、この三つの方法がございます。
 派遣先での非違行為に対する懲戒処分権につきましては、自治法派遣及び研修派遣では、派遣元と派遣先双方の身分をその職員があわせ持っておりますために、派遣元、派遣先のいずれでも懲戒処分を行うことができます。
 一方、退職派遣の場合では、派遣先においての非違行為につきまして、派遣元は処分する権限がなく、また、既に派遣期間が終了して派遣元に復職をしている場合には、派遣先での勤務関係が既に消滅をしておりますために、派遣先にも処分権限がないということになります。

○三原委員 ご説明がわかる方もあると思いますけど、もっと簡単にいいますから、ぜひ知事さん、聞いておいてください。
 都の職員で、退職をして区に派遣する。また、区を退職して都に復職すると。これも我々から見ると妙だなと思うんですけどね。二十三区の場合は都区人事交流制度というのがあって、そういうシステムになっているそうです。
 ちなみに、市とか国へ行く場合は、都から市へ行く、あるいは国に行く、それからまた都に戻るという場合は、国に行く場合は研修派遣というそうですし、それから市町村へ行く場合は自治法上の派遣で行くんだそうですが、この場合は身分を両方持っていると。併任しているということですかね。だから、都の身分も持っていますから、派遣先で何か不始末を起こせば都知事が処分することができると。あるいはまた、その派遣先の市とか、あるいは国の方でも処分することができる。どっちでもできる。
 ところが、今の二十三区の人事交流制度でいくと、都を一たん退職して区に行った。区で何か不始末したけど、わからないうちに都に戻っちゃったというと、その区にいて、一緒に不始末をした人は免職にだってなりますし、それは減給とか停職とかという処罰を受けます。でも、都に帰っちゃった人に対しては、区長は処分できないんですよ。
 じゃ、都の方はできるかというと、知事は、いや、それは足立区に退職して行っていた人だから処分できないんだよと。この人は不始末があっても懲戒処分は受けないという妙な形になるんですね。
 でも、一般の都民から見れば、都におられようが、区におられようが、また都に帰ってこられようが、これはもう公務員じゃないか。何で区に行ったとき不始末があったのに、都に帰っちゃったら始末できないの。まるで逃げちゃったと一緒じゃないかと。こういうふうに都民は思いますよ。
 ですから、そういう二十三区との人事交流制度そのものをもう変えなきゃならない。やめちゃうか、もしくはもっといい制度に変えるか。あるいは、今の都区人事交流制度が非常に有効活用されているんならば、少なくとも懲戒処分についてはちゃんと処分できるという何かを担保しないと私はだめだと思うんです。
 もちろん、今、人事管理上の措置とかいって、これ、処分じゃないけど処分なんですというわけのわかんない処分制度があるんですけど、これは裁判でも処分という形にしちゃいけないということになっているそうだからやむを得ませんけどね。少なくとも、そういう不自然な二十三区との人事交流制度は変えなきゃだめと私は思いますけど、総務局長が担当ですから、局長、どうぞ答えてください。

○押元総務局長 特別区への退職派遣でございますが、都区交流制度は、二、三年という比較的短い派遣期間だけではなく、退職までの長期間にわたる派遣が可能な仕組みとなっておりまして、人材の有効活用を幅広く行うことができるという点では、都区双方にメリットのあるものであると考えております。
 しかしながら、退職再採用という形をとりますため、三原委員がただいまご指摘になったような問題があることは事実でございます。この点も踏まえまして、今後、都区交流のあり方について検討してまいります。
 また、万が一にも、現在行われている都区交流におきまして、ご指摘のようなケースが生じた場合には、訓告、口頭注意などの人事管理上の措置を発動するなどしまして、適切に対応してまいります。

○三原委員 甘いといえば甘いし、お役人体質といえばお役人体質で、残念な気はしますが、これ、処分できるようにするには法律事項にまで及ぶそうですから、ここでどうしましょうと結論は出せないと思いますが、少なくとも、そういうことだから大丈夫なんだというような気持ちがあっちゃ絶対だめなわけで、二十三区に出ていった場合は処分されないんだなんていう感覚は絶対起こしちゃだめですから、きっちりとやってもらうと同時に、人事管理上の措置というのは処分じゃないそうですけど、我々素人から考えると、じゃ、その人は左遷されるのかなと思いますけど、必ずそういう処置できちっと人事管理をしていくということをこれからもお願いをしたいと思います。少なくとも処分のエアポケットがあるということは絶対許せないと私は思いますから、よろしくお願いをいたします。
 次に、ちょっとまた話題を変えますが、時間が押していますから、港湾局長さん、ちょっと一問で答弁をいただきたいと思いますけど、実は昭和五十九年から、東京湾をにぎわいの地域にしようというので、海浜レクリエーション施設というのを三つの地域につくろうというんで、葛西とお台場と十五号埋立地、夢の島ですね、ここでつくろうということで、昭和六十三年には知事も出席されて、起工式までやって、できたのは若洲のゴルフ場で、そのほかサイクリングロードとかヨットの訓練場所はできましたが、かなり都民が期待した海釣り施設というのはできないまま、今日ずっと来ています。
 途中でいろいろ弊害があったとは思いますけれども、暫定的に東防波堤の内側に釣り場をつくっていただきましたが、残念ながら、どうも専門家にいわせると、堤防の内側というのは魚が寄ってこないらしいんですね。だから、つくってはもらったけど、余り釣れない。そんなことじゃだめなんで、この際、本格的なものをつくろうとすると、またオリンピックの予定があったり、道路の計画があったり、なかなか難しいというのはわかるんですけど、そうなるとオリンピックが決まるまでまた待っていなきゃいけない。決まったら、またオリンピックが終わるまで待たなきゃいけない。
 だんだん、どこかでやっている暫定税率と一緒で、暫定が十年も二十年も三十年も続きますから、私は東防波堤の外側にきちっと釣り施設などをつくっていただくということが必要ではないかと思いますが、港湾局長、まことに済みません、一言で答えてください。

○斉藤港湾局長 若洲の現在の海釣り施設では、年間六万四千人、一日最大で千人の方々が釣りを楽しまれておりまして、良好な釣りポイントになっております。釣りを愛好する都民からの本施設についての拡充の要望もまた寄せられているのも事実でございます。
 このため、海釣りの専門家や愛好家のご意見を聞きまして、同じ水域に計画されてございます二〇一六年東京オリンピックのセーリング競技施設計画等を考慮いたしますとともに、ご提言の東防波堤の外側も含めまして、スズキやクロダイなど大型魚の釣果が期待できます安全な海釣り施設の整備に向けまして、平成二十年度に計画調査を実施しますとともに、早期の施設整備着工に向けまして努力してまいります。

○三原委員 ありがとうございました。二十年度で調査したいと、こういうことですから、調査して終わらないように、二十一年で着工すると、そういう決意で私も見守っていきますから、よろしくお願いをいたします。 
 それでは、また観点を変えまして、今、都市整備局の都営住宅部門の方があちこちで建てかえ事業を計画していただいております。ひところはスーパーリフォームがすべてという感じでしたが、今、建てかえにシフトされつつあるようで、これもまた結構だと思います。
 その間に、建てかえを計画すると、余剰地が出るようなことがあるわけでございますが、その余剰地について、都市整備局は公共住宅建設に関する地域開発要綱というのを持っておられるそうですけど、この内容についてご説明してください。

○只腰都市整備局長 都営住宅の建てかえに当たりましては、老朽化した住宅を更新するとともに、地域のまちづくりに配慮して住環境の整備などを図ることが重要でございます。
 このため、都営住宅建設に関連する、今お話がございました地域開発要綱を設けまして、地元区市と協議を行いまして、地域の課題に配慮しながら、公共公益施設の整備を支援してございます。
 この要綱によりまして福祉施設を整備する際の用地につきましては、区市町村が事業主体となる場合につきましては、無償貸付または無償使用許可、また、民間団体である社会福祉法人が事業主体となる場合につきましては有償貸付としておりまして、借地権利金と貸付料が発生いたしますが、事業の公益的性格などから、三〇%減額の優遇措置を講じて対応してまいります。

○三原委員 同じように福祉保健局も都有地の活用に関する福祉インフラ整備事業の要綱というのをお持ちだそうですけど、どういう内容でしょうか。

○安藤福祉保健局長 お話の要綱は、都有地等の活用により地域に密着した福祉インフラの整備を図ることを目的として定めたものでございまして、対象となる施設は、現在、認知症高齢者グループホーム、特別養護老人ホーム、共同生活介護事業所、共同生活援助事業所、重度身体障害者グループホーム等となってございます。
 貸し付けに当たりましては、土地の場合ですと、五十年間の定期借地権設定契約、建物の場合には、個別に貸付期間を設定いたしました定期建物賃貸借契約としておりまして、貸付料は五〇%の減額とし、貸付金額の三十カ月分を保証金としております。
 また、貸付対象となる民間事業者は、区市町村と連携した上で、公募により選定をしてございます。

○三原委員 都市整備局も福祉保健局もなかなかのご配慮なんですけど、事例を挙げていわないとぴんとこられないと思いますから、あえて申し上げますが、足立区で千六百平米ぐらいの、約五百坪ぐらいの都有敷地の空き地が出そうだと、こういうことになりました。
 ですけども、区や社会福祉団体がそれをお借りして事業をやりたいなと思いますが、区に貸す場合はただというんですから、これはいいですね。そのかわり区がやらなきゃいけません。たまたま社会福祉法人が、ぜひそこを借りて何かやりたい、こういうことで、減額措置はありますというお話でございましたけど、数字ですから、ちゃんと申し上げなきゃいけないと思いますが、都市整備局のでいきますと、貸し付けに伴う権利金が三億四千万円、貸付料が年間一千三百五十万円というんですから、大変、営利をやるのならそういう金額でもいいでしょうけど、社会福祉事業でやろうというのに、それだけのお金をちょうだいっていったんじゃ、余り親切に貸してもらえるといえないなと、こう私、思うんですよ。
 じゃ、福祉保健局の方でいくとどうかというと、保証金が三十カ月分というんで、一千九十万円、貸付料は年に四百四十万円、これもかなり安くはなっていますが、それでも建物については若干、こういう施設だけですよというような制限もあったりしているんですが、どうでしょう、これ、対象施設をもうちょっとふやすとか、保証金とかは余りなくてもいいんじゃないかなという気がしますが、福祉保健局の要綱の方が利用勝手がいいような気がしますけど、さらにそれを改善することできませんか、局長。

○安藤福祉保健局長 この事業は、私どもが所管いたします福祉施設整備の必要性、重要性とあわせまして、都有財産運用の効率性、あるいは公平性等を勘案して制度設計したものと認識をしてございます。
 これまで、グループホームや特別養護老人ホームの整備など、着実に成果を上げてきているところでございます。
 今回、介護老人保健施設やケアハウスなどに対象施設の拡大を図ることといたしております。
 今後とも、利用予定が定まっていない都有地につきまして、関係局との間で情報の共有化を図りまして、区市町村とも緊密に連携するなど、必要な福祉施設の整備を推進してまいります。

○三原委員 ぜひ使い勝手がいいように、喜んでもらえるようにしてもらいたいと思いますが、何といったって、財務局長がうんといわなきゃだめなんですが、局長、どうですか。

○村山財務局長 東京都の条例等におきましては、都有地を減額して貸し付ける場合の対象は、区市町村や都の監理団体等が原則となっておりまして、これ以外の者については、特に必要が認められる場合に例外的に減額を行うこととなっております。
 このため、福祉保健局では、福祉施策を推進する観点からこの要綱を制定いたしまして、社会福祉法人に対して特別な減額措置を定めております。
 その減額率につきましては、区市町村に公共用に貸し付ける場合などと同レベルに設定されておりまして、当局といたしましても、民間事業者による福祉施設の整備促進に積極的な配慮をしたものというふうに考えております。
 今後とも、事業の重要性、他の施策との整合性、区市町村との役割分担などを総合的に考慮しながら、都有地を活用した民間事業者への支援に対応してまいります。

○三原委員 局長のなかなかまじめなお答えでございますが、ひとつ、今、急に、じゃ、幾らおまけしますということをいえるわけではありませんが、東京都が東京都障害者計画というのを昨年出されました。こういうものを、福祉施設を充実していきますよということがいっぱい書いてあります。非常にいいことです。そういうときに一緒に要綱も見直そうとか、手直ししていこうというふうにしないから、うまく連携していかないんですから、ぜひそういうときには、こういうものを出したときには、そういう要綱も各局が全部出してきて--区ならただだけど、民間ならばっちりいただきますというんじゃ、全然こういうものは生きてこないんですよ。仏つくって魂入れずといっては失礼かもしれませんが、ぜひ各局ともそういうところまで目くばせをしてやっていただきたい、こう思うわけでございます。
 最後に、もう時間がありませんから、知事や、そして総務局長や財務局長にぜひ聞いてもらいたいと思いますし、時間があればお答えいただきますが、実は私、今、警察・消防委員になっておりまして、事務事業の説明を受けまして、あれっと思ったことが一つあるんです。
 というのは、警視庁の警察官は、この十年間で千二百六十人ぐらいふえまして、今、四万二千百人ぐらいでございますね。これは国が定数を持っていますから、いろいろ都が、ああしろ、こうしろということじゃありませんが、知事も大変お力を入れていただいて、今、刑法犯の認知件数なんかも下がってきていまして、都民の安全・安心にかなり期待にこたえていただいていると、こう思います。
 ところが、消防庁の方は、この十年間、一万七千五百三十七人で一人もふえていないんですよ。十年間全く同じ人数なんですね。同じように安全・安心に向かって一生懸命頑張っていただいているわけで、その間、よく説明を聞いてみると、消防署をつくったり、出張所をつくったりいたしましたが、ハイパーレスキュー隊というようなのを二部隊つくったり、今、都民が最も要請の多い救急車は、この十年間で三十七台ふやしているんですね。これは当然、九人ぐらいで勤務をシフトしていきますから、それだけでも三百五十人ぐらい必要なわけですよ。
 ところが、よく聞いてみると、一万七千五百三十七人の中でやりくりしていましてというんで、四、五百人分をやりくりしているんですね。新しい機材と、そして新しい人たちとでつくっても、本体がだんだん減ったんでは、結果的に私は戦力が落ちちゃうんじゃないかなという心配がしてなりません。
 そこで、時間になってしまいましたから、これを改めて本会議での質問などによってお答えをいただき、消防力についてもさらに力をつけるように、各局ともご協力をいただく必要があるんではないかなということを感じましたので、改めて本会議で質問することを申し上げておいて、きょうの答弁はなしで、私の質問は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

○三宅委員長 三原まさつぐ委員の発言は終わりました。

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