東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○山下副委員長 東村邦浩委員の発言を許します。
   〔山下副委員長退席、石川副委員長着席〕

○東村委員 私は、都議会公明党を代表して、締めくくり総括質疑を行いたいと思います。
 初めに、知事が、二期八年の大きな成果の一つとして、明治から百年以来変わってこなかった公会計制度、これを改革した、東京都において初めて国に先駆けて改革したということ、よくおっしゃいます。そこで、この公会計制度改革について何点か質問したいと思います。
 この公会計制度改革、知事も先ほどおっしゃっていました、決して私一人の力ではなくて。我々議会も一生懸命この改革の提案をしましたし、さらには多くの職員の人が、これを導入して、そしてきちっとシステムに乗るまで賢明に献身的に努力をされてきた、このことも忘れちゃいけないと私は思うわけでございます。
 去る昨年の十月に、この東京都の公会計改革担当の副参事の蒲原さんが亡くなられました。私は本当に、あの蒲原さんが必死になって、これを何とか軌道に乗せて、東京都の改革の一つのツールにしたいという思いで取り組んでこられた姿を見ていて、何度も何度も議論をさせていただきました。心から蒲原さんに対して追悼の意をあらわしたいと思います。
 その蒲原さんとよく議論したのが、事業仕分けという問題でございます。
 実は、平成十八年五月二十六日、国におきまして、行政改革推進法なるものが成立いたしました。この法律の中に、事業仕分けの考え方が随所に織り込まれているわけでございますが、私はこの事業仕分け、多くの方、なかなかわからないと思いますけれども、自治体の職員と、そこに住民が入って、そしてさらにコンサルタント等の外部の参加者が入って、あくまでも議場でどんどん議論をしながら、ガチンコの議論をして、その自治体の仕事そのものが必要なのかどうか、必要だったらだれが行うべきなのかを、個々具体的に評価していく制度でございます。
 東京都の場合ですと、仕分けというと、都でやる仕事、そして区市町村がやる仕事、民間がやる仕事、そして廃止をすべきものという形で分けていくわけなんですが、蒲原さんも私も、よく議論している中でいったことは、この事業仕分けの概念、理念は理解できると、しかしながら、手法はこれはどうもなかなか感心したものじゃないということを二人で議論していたのを今でも覚えているわけでございます。
 今日もここに山加さんがいらっしゃるんですが、山加さんが財政委員会の委員長のときに、新潟県に視察に行ったわけでございます。そのときに、新潟県が、コンサルタントも入って、そして住民も入って、行政、自治体の人も入って、この事業仕分けをやった、その成果を見せていただきました。そして、その成果について、財政当局の人の意見も聞かせていただきました。その中でいわれたのは、例えば、県立病院への補助金や負担金も廃止しろという結論になっていたんです。さらには、私学の助成金も廃止しろと。到底行政としてこれは受け入れられるものじゃありませんと。せっかくつくってもらいましたけど、なかなかそう簡単には生かせません、こういう話もありました。
 さらには、横浜市の場合で、これもやはりコンサルタントが入って事業仕分けをやったそうなんですけれども、そもそもこの事業仕分けをやったときに、従来の現金主義会計の手法から抜け切れていない、こういう官の財務諸表では、しっかりとした本当の意味での事業のコストはわからないという、こういう事業仕分けの限界もこの中で明らかになってきたわけでございます。
 そこで、私はかねがね、事業仕分けをやる前に、個々の行政が行っている事業について個別財務諸表を作成して、そして事務事業評価をやらなければ、本当の意味での都、市区町村、そして民間、廃止といった、この真の意味での改革というものはできないんじゃないかと。そのためには、複式簿記と発生主義会計を導入して、企業会計のようなしっかりとしたバランスシートもつくり、行政コストも計算書もつくり、キャッシュフロー計算書もつくる、こういったことをやるべきだといってきました。
 そこで、今回の公会計制度改革で、まさに今いった個別財務諸表を作成して、事務事業評価をして、そして仕分けにつながっていくのか、この辺について財務局長にお伺いしたいと思います。

○谷川財務局長 財政再建を達成いたしました現在、この健全な財政状況を将来にわたって維持していくためには、現場の視点で自主的、自発的に事業の評価や見直しに取り組み、マネジメントサイクルを根づかせることが必要でございます。
 ご指摘のとおり、そのためにまず取り組むべきは、事業別財務諸表によって、効率性や採算性に関する詳細な状況を把握することでございまして、その結果を事務事業評価とあわせて活用することで、より主体的な改革が実現できると考えております。

○東村委員 続いて、耳の痛い話かもしれませんけれども、包括外部監査の結果が出ました。その中で、産業労働局の事務処理の誤謬という話がありまして、決算附属書類の財産に関する調書、ここで、制度融資貸付金残高が千二百七十一億円余り過大に記載をされていた。ほかにも三件ほどあった。これは決算の再認定というところまでは、決算書の数字自体は間違っていなかったんですけれども、それの附属明細が記載ミスがあったということでございました。私は決して責めるつもりじゃなくて、一つのこれは学習教材になっているんじゃないかと思って、ここでは取り上げさせていただいております。
 今後は、複式簿記・発生主義会計によって、そういったミスというのは起こらないんですけれども、大事なことは、財務諸表ができたからといって、それだけで、多くの人が誤解しているんですけれども、さまざまな課題が明らかになってくるということではないということなんですね。これをやはり分析していって初めて、さまざまな課題が浮き上がってきて、改革に結びついていくわけでございますが、その大前提として、バランスシートの残高と残高明細書の合計金額が一致しなければならない。これが大前提でございます。したがって監査人もああいう形で指摘をしたんじゃないかと思います。
 その上で詳細な、特に債権債務については、公有財産台帳については財務局、努力をして、この公会計システムと、新しい公会計システムとリンクをさせようとしました。今、債権債務については、やはりこれをリンクさせて詳細な内訳がないと、やはり分析できないんです。
 一番大事なのは、債権債務では、残高のうちどれだけ回収できて、どれだけ回収できないかということ、これをきちっと判断していくことが大事なわけでございまして、そういった意味で、今回の公会計制度改革の新しい都のシステムによって、この債権債務の詳細な内訳が明らかにされることになるのかどうか、これについて伺いたいと思います。

○幸田出納長 従来の官庁会計における財務会計システムでは、単年度の現金収支しか記録していなかったために、貸付金などの債権、あるいはまた都債などの負債にかかわります残高のストック情報を把握することはできませんでした。
 複式簿記・発生主義会計の導入に伴い再構築いたしました新システムでは、日々の会計処理におきまして複式簿記の仕訳を行うことになることから、例えば貸付金で申し上げれば、回収に当たって返済があれば、貸付金の減少が自動的に記録されますので、記載漏れなどの誤りを防ぐことができますとともに、歳出の目ごとに貸付金の勘定残高が記録されることになります。
 各局は、この勘定残高と、各局が管理しております債権や債務の台帳とを照合することによりまして、年度末における債権債務の現在額を正確に把握し、決算書類に計上することができるようになります。

○東村委員 今ご説明ありましたように、目別にできたやつを、各局が、局別にできていた管理台帳と照合しなきゃいけない。それによって分析が可能になるということなんですけれども、包括外部監査人がプレスに対するコメントで非常に大事なことをいっておりました。複式簿記はあくまでも公会計制度の道具立てで、改善に生かすためには都の努力が求められる、そういうことなんです。したがって、できたからじゃなくて、できて、それとしっかりと照合して、自分のところの、各局の皆さんが債権債務の中身をやはり分析していただきたい。それによって本当の意味での改革ができるんじゃないかと思います。
 そういう意味で、昨今マスコミも、この公会計制度改革を注目するようになってきました。その一つの事例が、私は、夕張市の財政再建団体への申請という問題ではなかったのかと思います。ちょうど昨年の今ごろだと思います。三月一日、財政再建団体への申請をしました。これは実は余りいいたくないんですけど、夕張市は粉飾決算をしていたわけなんです。ここは余り取り上げられていませんけれども、粉飾決算していたんです。
 具体的にいいますと、一時借入金という、つなぎ資金として金融機関から借り入れたものを決算日をまたがずに返済をしていたために、これは予算書、決算書には計上されないで、一種の隠れ借金として処理できる。これを利用して、夕張市は本来赤字なんだけれども、黒字に見せかけて、この隠れ借金を使って、さらに第三セクターを使って、うまくこれをやりくりしてきたんですね。したがって、もう数年前から、実は、正しい決算をすれば赤字だったんですけれども、それを黒字に見せかけてきたというのが夕張市の事例でございます。
 こういうのは実は非常に恐ろしいことで、なぜかといいますと、この一時借入金というのは、公会計制度改革によってバランスシートができても、期中に全部返されますから、期末に残高が残らないんで、財務諸表上、バランスシート上は計上されないんですね。載ってこないんです。
 そこで、都は今後こういう問題に対して財務諸表上どのように対応していくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○幸田出納長 今、先生お話しのように、夕張市におけます状況でございますけれども、おっしゃるとおり一時借入金と出納整理期間の制度を利用して、決算書上の赤字が出ないようにしていたということは事実でございます。
 今回の都の新たな公会計制度では、資産や負債などのストック情報が記録されていくため、仮にでございますけれども、こういうことはないわけでございますが、夕張市のような会計処理を都が行ったといたしましても、財務諸表で負債状況が示されることから、会計の不健全さが数値として明瞭に出てまいります。
 また、都の会計基準では、財務諸表の注記に一時借入金等の実績額等を表示することと定めておりますことから、夕張市のような不適切な会計処理が生ずる余地はございません。

○東村委員 今、わかりやすいように説明していただきました。こういう公会計制度をしっかりつくると。これ、バランスシートだけじゃなくて、今度はキャッシュフロー計算書もできますし、さらには、注記という形で明らかにしなきゃいけないことになってまいりますので、こういったことが公に出てくる。そういう意味で、この新しい複式簿記・発生主義会計による公会計制度って非常に有効でございます。
 そういう中で、私はぜひとも、この有効なツールであります、都が今回取り組んだ新公会計システムをぜひとも全国に広めていくべきだと思いますし、なかんずくおひざ元の二十三区、そして三多摩の各市に、これは積極的に都から普及させていくべきだと思いますが、出納長、いかがでしょうか。

○幸田出納長 都の公会計制度改革は、効率的、効果的な行政運営を展開し、金利感覚やコスト意識の涵養など、職員の意識改革を促すとともに、住民に対する説明責任を一層果たすことを目的としております。
 国や全国の自治体に、この制度の意義や効果などを広く提供するため、昨年七月と十二月の二回にわたりまして、大規模な説明会を開催いたしました。北海道から九州までの各自治体の財務・会計部門などから千名近い職員の参加がございました。加えまして、全国の自治体や団体等から、制度に関します説明依頼が多数寄せられまして、これまでに延べ八百団体に対し約六十回の説明会等を実施してきたところでございます。
 都内区市町村につきましては、複数回にわたり説明を行いまして、多くの区で検討が始まり、既に三区では組織横断的な検討会が設置されたと聞いております。
 また、多摩地域では、昨年の十二月に市長会が検討会を発足させております。
 都としては、これらの区市町村の検討会に対しまして、システムの提供を含め、全面的に支援、協力を行ってまいります。
 今後も、公会計が変われば行政が変わるとの信念を持ちまして、都の新たな公会計制度を積極的に全国に発信してまいります。

○東村委員 ぜひとも、三多摩の各市町というのは独立しておりますので、そういうところこそ私は有用だと思いますので、市長会で発足をしたという話を聞いて、ぜひともどんどん関与していただいて、進めていただきたいと思います。
 その上で、先ほどから一方的に、知事、責められていたんですけれども、今度、宮城県から東京にわざわざ乗り込んでこられるという方がいらっしゃると聞きまして、私、宮城県で、非常にマスコミの方も評価が高いわけで、どういうものをやってこられたのかということを私なりに調べてきまして、特に財政がどうなのかということが非常に行政にとって大事だと思いまして、ここを調べさせてもらいました。
 そうしたら、基金の残高が、その方が就任された平成五年度には五百五十六億あった。ところが、退任される平成十七年度には百四十億円に、四分の一に減ったと。さらには、借金ですね、地方債の残高は、平成五年度には六千七百六十五億円あった。ところが、これを逆に二倍に伸ばされまして、何と平成十七年度には一兆三千六百五十二億円になったと。宮城県の方の何人かに話を聞いてみたら、今ちょっと宮城県は、その後も八十億近くまで基金の残高が減ったんで、宮城はもう財政的に厳しくて、やはり財政改革をしなきゃいけないところまで来てしまったと。
 そういう話を聞いた中で、私は賛否があると思うんですけれども、知事は、まさに十年度の千六十八億円という単年度の赤字を、平成十七年度決算で五百二十九億円に黒字にされました。さらには、隠れ借金、平成十三年度の約一兆円あったものを、ほぼこの十九年度予算で解消された。さらに、平成十年度、同じように基金の残高、一千五百十七億円しかなかったものを、十九年度予算では九千二百六十一億円までふやした。これは余り地味な議論で目立たないかもしれないんですけど、行政にとって一番根幹の部分で、大事な点だと思います。
 そこで、私はさらに、この複式簿記・発生主義会計による財務諸表を活用して都の行財政改革を行っていくべきだと思いますが、知事の決意を伺いたいと思います。

○石原知事 従来、予算に関しては、幾ら取ったかということで、どうやって使ったかってこと、ほとんど問題になってまいりませんでした。そのいい例が国会でありまして、私も何度か閣僚しましたけど、内閣かわったばかりのときに、決算委員会に呼び出されて、前の前の内閣とか、三年前の決算の話聞いてもわからぬし、わからないというと、わからぬで済むかという随分非難も受けましたが、そういうこっけいな現象が今でもまかり通っていますけれども、東京はそれがなくなっていくと思います。
 今度の公会計制度の改革は、単なる会計システムの変更というよりも、技術的な問題にとどまらず、従来の財政運営の手法、さらには行政のあり方そのものまでにメスが入ると思います。私が手がけてきた中で最も本質的な改革ではなかったかと思っております。
 バランスシートなどのデータを正しく読み取ることができれば、時間のコスト、あるいは金利感覚、そういったものが今までほとんど意識されておりませんでしたけれども、実は非常に重要な問題であることが理解できるようになると思います。
 今後求められることは、職員の一人一人がこうした意識を持って、それぞれ持ち場持ち場で創意工夫を加えることでありまして、新しい会計制度を通じて、コスト意識や金利感覚を都庁に根づかせ、都財政の構造改革をさらに加速していきたいと思っております。
 先般も、先ほどご指摘があった包括外部監査人が、この会計制度ができたんで、ようやく、いかにこのお金が使われたかということが問題になってくると、私たちとしても非常に賛成ですと、ありがたいということをいっていただきました。交付税を思い出しました。

○東村委員 ぜひとも、本当に知事のリーダーシップを発揮して、さらなる改革を行ってもらいたいと思うんですね。
 その上で、新銀行東京について何点か質問したいと思います。
 若干ちょっと知事も耳の痛い話かもしれませんが、よく聞いていただきたいと思います。
 私は、この新銀行東京の問題、一方的に知事の責任、知事の責任といわれていますけれども、十六年の第一回定例会、ここで一千億の出資金の予算の議決をしたわけでございますが、民主党、自民党、公明党初め賛成多数でこの予算が可決されました。その際、民主党の名取幹事長が終了後の談話でこう述べられております。
 本会議、予算特別委員会、財政委員会の各段階において、論点並びに理事者側の答弁を整理し、慎重に検討してきました。その結果、一部に異論はあったものの、プロジェクトチームにおいて提出された懸念の多くが払拭されたことを評価し、付帯決議を付して、平成十六年度一般会計予算に賛成することとしましたと、こういう話をされました。
 そういう意味で、ぜひともそういう角度を、一期生の方はなかなかその当時のことをわからない人も多いと思うんですけれども、その辺の角度をよく理解した上で、議会も承認をして、やったということの、事の大きさを踏まえて質問すべきだと私は思いまして、私はそういう観点から、特に今回のこの付帯決議、そういう意味で付帯決議、議会が付したわけですから、議会が付した付帯決議がきちっと励行されているのかどうかということをチェックするのは、まさに我々議会の役目だと思いまして、何点か整理をいたしました。
 一つ目が、東京の産業を担う幅広い中小企業に対して、円滑かつ迅速な資金供給の実施と多様な手法を通じての支援。二つ目が、信用金庫、こういうところを含めた地域金融機関との業務提携などの連携。三つ目が経営の健全性。四つ目が、経営全般にわたる適切な監視ということなんです。
 一つ目の問題については、ポートフォリオ融資で、どんどん円滑で早い融資はされているんですけれども、多様な手法を通じての支援が、私はどうも不十分だと思っております。
 特に、新銀行東京の最大の目的は、東京の産業を担う技術力や将来性のある事業者を支援するということでございました。その理念を体現しているのが技術力、そして将来性重視型融資だったんですけれども、平成十九年の三月期の中間決算、これを見ますと、中小企業向けの融資、保証、これは一千六百九十五億円あります。ところが、技術力・将来性重視型融資は十億円しかない。〇・六%しかない。これは私はなぜいうかというと、現場の方からいわれたんですが、いわゆる技術力・将来性重視型の融資で申し込んだにもかかわらず、現地の会社にも来ないで、いきなり次の日、ポートフォリオ融資に回されたと。まさに、しっかりした目ききやっていないんです。こういうことがやはり不十分だから、こういう結果になったんだろうと思うんですね。
 片や保証によって中小企業を応援している東京信用保証協会、これ調べたら、平成十四年度の代位弁済額というのは二千五百二十八億あった。ところが、十七年度は九百四億円までに下がっているんです。さらに、代位弁済率も平成十四年度は四・二五%ありました。ところが、十七年度には二・三%、半減しています。私はやはり、こういう経済状況の変化もあるんですけれども、東京信用保証協会、かなり今、目ききに力を入れています。で、少なくとも保証協会は現場に足を運んで、しっかりその会社がどうなのかということを審査していますので、こういう力をやはり我々本当に評価しなきゃいけないと思いますし、新銀行東京の金融機関としての体力、どうなのかということを見たときに、預貸率が一つの指標になるんですけど、この新銀行東京の場合は四三・二%が預貸率です。これに対して都市銀行の場合は七〇・八%。そして地方銀行は七二・七%。これ、数字を見ればわかるように、まだまだ実は新銀行東京は体力はあるんです。体力はあるんですけど、貸すべき、しかるべきところに目ききをして貸していないという現状があるわけでございます。
 そこで、例えば、今私が例に挙げました信用保証協会などのこういったノウハウ、そしてさまざまな方法、こういうところと連携して、目きき機能を強化すべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。

○島田産業労働局長 ご指摘のありました技術力・将来性重視型融資につきましては、新銀行東京の主力商品であるポートフォリオ型融資と、商品性の差別化が必ずしも明確でなく、利用が進まない面があったと考えております。
 こうした状況を踏まえまして、新銀行東京では、融資限度額の引き上げとともに、申し込み受け付け、技術力等の評価を随時行うなど、中小企業者の利便性を高めるための改善を図っているところではありますが、一方で、融資先の技術力、将来性を見きわめる、いわゆる目きき力は重要でございまして、都としても、新銀行東京が専門的な知見、ノウハウを持った人材の確保や、行員教育の充実等を図るよう、働きかけてまいります。

○東村委員 ぜひともその辺をしっかりやることが、やはり秘策ではなくて、本来やるべき目ききをきちっとやることが、私は、今後立て直していく大事な点だと思います。
 二番目の信金との連携というのは、かなりこれはやっていると、私は逆にいえば評価をしているんですけれども、三番目、四番目、特に経営の健全性にはちょっと疑問があります。さらに、四番目の監視機能もまだまだちょっと十分じゃないなと、このように思います。
 例えば、この貸借対照表を見せていただきました。中身まで見れませんから、ああいう決算書の数字だけですけれども、十七年九月末に、資産の部にシステム関連費用としてソフトウエアが資産計上されています。これが百六億円。減価償却して、十八年九月末には八十八億円になっています。
 他方、これは比較対象にならないかもしれません、新銀行東京よりも規模の大きい、この首都東京、都庁です。都庁の、今回新公会計システムにかかった費用は幾らかというと、二十二億円なんです。しかも、ランニングコストは十三億円から八億円に減って、この減った五億円で、五年間ぐらいでこの開発費用が全部賄える。
 多くの人に話を聞いたら、この規模の銀行で百億近いこういう開発費用を出しているというのはちょっと異常だと。これは資産計上されているだけですけれども、費用もあります。こういうことを考えたら、もっともっと--これはよくある例なんですけれども、私も昔、監査をやっていて、よくある例なんですけれども、ある部署が独自にそこだけでシステム開発をしていくと、どうしてもいろんなところがやり出して、こうやってシステムの費用が膨らんでいくんです。組織立って全体でシステム委員会をつくって、きちっとどういうシステムを開発していくかということを検討してやっていけば、こういう問題にはならなかっただろうと。
 さらに、損益計算書を見させてもらって、これも数字の上ですけれども、百五十四億円の経常損失がある。これは必ずしも要因が、破綻懸念先、そして実質破綻先、破綻先に対する個別貸倒引当金の繰入額、これが四十九億円あるんですが、これだけじゃないんです。実はもう、繰り入れ前の業務純益の段階で四十五億円の損失を出している。この最大の原因は七十四億円という営業経費なんです。
 この中を、資料だけでございますけれども、見たら、業務委託費が二十八億円も計上されているんです。人件費は十六億円です。これを考えれば、二十八億という業務委託費はちょっと多いんじゃないか。むしろ、ここをしっかりとやっぱり分析すべきなんじゃないかと私は思うわけでございます。
 都はよく監視機能として、株主として株主総会に出席をして意見を表明している、または東京都出身の方を社外取締役として選任しているとおっしゃっています。私は不十分だと思います。
 先ほど議論で、新しいコーポレートガバナンスの、いわゆる委員会設置会社はおかしいんじゃないかという話がありましたけれども、むしろこれからの本当に日本がやっていかなきゃいけないのは、こういう新しいコーポレートガバナンスで、これを新銀行東京が目指したのは私は間違いじゃないと思うんです。
 いわゆる指名委員会、報酬委員会、監査委員会というこの三委員会、いわゆる業務執行と監督が分離するというのは、これからやっていかなきゃいけないわけでありまして、これは間違いじゃないんですけれども、やはり経営内容を強化し、そしてそれをチェックできる、そういう体制をつくらなきゃいけない。
 何も株主だから社外取締になっちゃいけないという法律はないんです。しかも、東京都は八四%という大株主です。普通、これだけの株主が物をいっちゃいけないということは何もないわけで、どんどんいわなきゃいけないんです。世間では当たり前です、これは。その株主の一言がその会社を左右するわけですから。だから、マスコミがああやって取り上げるわけなんですね。そういう意味で、支配株主であり、ある意味ではもう事実上の東京都の子会社ですから、もっともっと私は物をいうべきだと思っております。
 そういう意味で、監視機能をチェックする、そのチェックする仕組みをつくるべきだと私は思います。したがって、やはり逃げるんじゃなくて、東京都のしかるべき立場の、そして経営内容がチェックできる職員の方が、私は社外取締役で新銀行東京に行くべきだと思います。行って、もう中からどんどん提案し、改革をしていくべきだと思います。そういう意味で……(発言する者あり)ありがとうございます。そういう意味で、ぜひとも東京都は社外取締役を送り込んで、そして中からもっと入って経営改革をやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○島田産業労働局長 都は新銀行東京に対し、先生からご指摘がありましたが、株主総会への出席等を通じた意見表明、取締役会に対する申し入れ等により、新銀行東京が設立目的に沿った経営を行うよう、機会をとらえて株主としての意見を伝えてまいりましたが、今後とも経営の健全化に向けてしっかりと働きかけてまいりたいと思っております。
 なお、都職員の新銀行東京への派遣につきましては、大変貴重なご提案として受けとめさせていただきます。

○東村委員 ぜひともやっぱり、都は逃げちゃいけないと思うんですね。やっぱり責任を持ってやるべきだと私は思います。
 そういう意味で、耳の痛い議論をしたかもしれませんけれども、今までの議論を踏まえて、新銀行東京の今後の経営改革に対する知事の決意を伺いたいと思います。

○石原知事 大変鋭く的確なご指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 申し上げたいことはたくさんあるんですが、例えばこの間も、民間の、名前はいえませんけれども、非常にすぐれた金融の専門家に意見を聞きましたら、デフォルトのパーセンテージを見て、これじゃ一種の駆け込み寺だと。いいところを結局大手にさらわれて、中小企業でも、何かまずいカードをつかんでいるなという感じが否めない。
 それからまた、もう一つ、ポートフォリオの方式は結構なんですが、中身がちょっと、非常にかたいというんでしょうか、幾つか事例がございました。これもやっぱり、専門家に相談して見直した方がいいんじゃないかという気がいたしております。
 いずれにしろ、資金繰りに苦しむ中小企業に対して積極的な投資を行ってきたわけでございますが、本体自身がこけてはしようがないので、やっぱりこの経験というものを踏まえて分析し直して、都としても出資者の立場から、新銀行東京が中小企業にとって真に役立つ銀行として創生し、発展していくように努力いたします。

○東村委員 頑張れば、私はまだまだ改善できる余地がたくさんあると思います。外から見ただけでございますが、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、福祉、そして保健施策について何点か伺いたいと思います。
 共産党は「赤旗」で、十九年度の予算案の福祉と保健の予算が、都税収入に占める比率が一八・八%から一五・八%に減っている、こういうことを取り上げて、また福祉切り捨てだということを、ネガティブキャンペーンを張っているわけですけれども、どういう数字を挙げたのか調べてみたら、どうも十一年度と十九年度の予算を比較していっているらしいんですけれども、私は、個々の分野の歳出額が、変動の激しい都税収入に占める割合が幾らかという議論をしても、これは意味のない議論じゃないのかなと思っているんですね。
 そういうことについて、率直に財務局長に聞きたいと思いますが、いかがですか。

○谷川財務局長 結論から申し上げますと、そのような比較を行うことに意味があるとは思っておりません。
 税収についていえば、景気などの影響を受けるなど非常に不安定でありまして、都の意思により左右できるものではございません。一方、福祉の予算には都の意思を反映することができ、安定性、継続性を大切にしながら、これまでも充実に努めてまいりました。
 このように、性格の異なる二つを取り出し、その割合を年度間で比較することに意味があるとは、先ほど申したように思っておりません。
 例えば、平成三年度と、そこから一兆円以上税収の減った六年度で、福祉と保健の税収に占める割合を比較すると、一〇・五%から一五・八%にふえております。この数字をもって福祉が充実したとは、私どもは考えておりません。
 福祉と保健など、個々の歳出の割合について論じるのであれば、あくまで一般歳出との比較で論じるべきだと考えております。

○東村委員 まさにそのとおりなんですよね、一般歳出が政策的経費ですから。この明確な歳出額、それから政策的経費に占める、一般歳出に占める割合こそがやっぱり大事なわけで、もうちょっと私は財政のイロハというのを勉強された方がいいんじゃないかと思うわけでございます。
 続いて、中嶋政調会長が代表質疑の中でも行いましたけれども、この石原都政と青島知事を比較してどうだったのかという、これを結論として、先ほどもこいそ理事から話がありましたけれども、三百億と大幅に増加していると。今度、態勢が悪くなると、予算じゃなくて決算数字を持ってくる。
 先ほど同じようなチラシを出しておりましたけれども、私も持ってまいりまして(チラシを示す)どこも入っているんでしょうね。福祉はぜいたくといって五百四十億削ると、こう書いておきながら、実際、予算委員会の場では四百五十億という数字を出してきている。
 普通だったら、人間だったら、間違っていましたと謝らなきゃいけない。そういうことを、これはやっぱり、福祉はぜいたくだと、ここまでしっかり調べてやらなきゃいけないですよ。(発言する者あり)人間性の問題をいっているんです。(発言する者あり)人間性の問題をいっているんです。
 そこで私は、今回、この四百五十億の、見せかけの数字であるということも、これを分析していきたいと思います。先ほど詳しい分析はされなかったので、一つ一つ、どういうことなのかということを分析したいと思います。
 そこで、平成十一年度から十九年度、先ほど議論の中で出ていました。やはり、いろんな制度改革があった。いわゆる介護保険制度の導入や障害者自立支援法の施行、三位一体の改革による地方財政制度の見直しです。そこで、手順を踏んで、具体的に丁寧にやっていきたいと思います。
 (パネルを示す)まずはこの平成十九年度予算、これは扶養年金の廃止があります。これに伴う臨時的経費が八百億あります。さらには福祉・健康安心基金の積み立て、五百億あります。これを除けば、ここに書いてありますように七千三百七十九億円なんです。先ほど局長答弁でもありました。
 これに平成十一年度の予算を合わせると、つまり、福祉局と衛生局が分かれていて、さらに高齢者施策推進室が分かれていた。さらに公社病院は、これは当初衛生局にあった。この分を差っ引かなきゃいけない。そうすると幾らになるかというのをまず比較検討したいと思いますが、福祉保健局長、いかがですか。

○山内福祉保健局長 平成十一年度の当初予算額は、旧福祉局予算が三千百二十六億円、旧高齢者施策推進室予算が二千四百八十八億円、旧衛生局予算が一千五百九億円でございます。
 これらの合計から、現在病院経営本部が所管する地域病院等に係る予算百十億円を控除した七千十三億円が、平成十九年度の福祉保健局一般歳出予算に対応する十一年度予算額となります。

○東村委員 今ご答弁ありました。これを十一年度ベースで合わせてみると、七千十三億円になる。これと十九年度を比較すると、外形上、三百六十六億円の増がある。
 これだけじゃなくて、やはり大事なことは、制度改正があったということです。この制度改正の影響をきちっと議論しなければ、本当の意味での福祉の予算の比較というのは私はできないと思います。
 そこで、この十一年度と十九年度、この間にあった制度改正による、いわゆる当然ふえたもの、それから当然減ったもの、これはそれぞれ幾らになるのか、これについて聞きたいと思います。

○山内福祉保健局長 都区制度改革や三位一体改革など、この間の制度改革に伴い生じている予算における見せかけ上の増減、つまり当然増と当然減があるわけでございます。
 平成十一年度と十九年度を比較した当然増は、十七年度に創設された国民健康保険財政調整交付金や、十八年度から都道府県の負担割合が引き上げられた児童手当など、一千四十八億円でございます。
 また、当然減は、平成十四年度に行われた児童扶養手当の区市移管や、十六年度の公立保育所運営費の区市町村一般財源化など、八百七十五億円でございます。

○東村委員 今おっしゃったように、制度の影響による当然増が一千四十八億円、当然減が八百七十五億円、差し引くと百七十三億円当然増があるということなんです。これを三百六十六億から引くと、いわゆる十九年度の予算と十一年度の本当の比較をした場合、百九十三億円増加をする、こういうことがわかるわけなんです。
 もう少しこれを、違う角度からわかりやすく説明をしたいと思います。よく共産党がたびたび持ち出す施策の再構築の影響、これについて分析をしたいと思います。
 私はまず、この施策の再構築があったからこそ、都の財政再建の中においても、新しい認証保育所や介護予防、さらにはグループホーム、こういったことをどんどん国に先駆けて都が独自で開始をすることができたんだということをいいたいと思います。
 決して、石原都政は福祉切り捨てではないんです。美濃部都政というのは、まさに病状で例えるとメタボリックシンドローム状態の福祉だったんです。これを石原都政は筋肉体質の福祉に変えたわけなんですね。そこで、その再構築がどうなったか、説明したいと思います。
 そして、まずは、今いったように、再構築によって財源がどれだけ生み出されたか、これについて福祉保健局長の見解を聞きたいと思います。

○山内福祉保健局長 時代にそぐわなくなった経済給付的事業の見直しなどによりまして、九百八十億円の財源が生み出されていることになっております。

○東村委員 九百八十億円の財源がここに生み出されたわけでございますけれども、これが問題だと、さっき、何かやじが飛んでいましたけれども、これは具体的に、じゃ、新しい施策展開に使われたわけだと思いますけれども、どれくらいこの十九年度の予算に盛り込まれているのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。

○山内福祉保健局長 都は、生み出された財源を有効に活用し、これまで定員一万人を超える認証保育所の設置や、認知症高齢者グループホームの大幅な定員増のほか、急病の子どもに対して適切な医療を提供する小児救急医療体制の整備などを図ってまいりました。
 平成十九年度は、これらの施策をさらに充実するとともに、多重債務者などの生活困難者やウイルス肝炎通院患者に対し、国に先駆けて都独自の対策を講じるほか、地域の実情に応じた取り組みを支援する、総額二百億円の区市町村包括補助などを実施しております。
 これら新しい施策展開や充実に投入する予算額は、合わせて、見直し幅を大幅に上回る一千三百八十三億円でございます。

○東村委員 今、具体的にこういう施策展開をやってきた、特にウイルス肝炎対策や、さらには多重債務者対策、これは一番、今、大事なことなんですね。市民相談を受けると、大体この多重債務者の問題が出てくるわけでありまして、こういうところに新たな福祉の予算を展開していったという明快な答弁がありました。
 そこで、このほかにも、実は行革によって職員の人件費が縮減されております。こういった影響額なんかも、やはり調整しなきゃいけない。これは具体的に幾らぐらいかかったのかということを、この実質的な調整額をして、実質増は幾らになったのか、これを明快に答えていただきたいと思います。

○山内福祉保健局長 事務事業の効率化などに伴う人件費縮減など、その他の減が二百十億円ございます。先ほどお答えした経済給付的事業の見直しによる減、九百八十億円と合わせました一千百九十億円を活用し、一千三百八十三億円の新規・充実策を展開するものであり、実質的な増減は百九十三億円の増でございます。

○東村委員 実質的に、結論としては百九十三億円になった。こういう新しい施策展開から見ても百九十三億円増になったし、さっきの制度の影響の方から見ても百九十三億円になった。これは紛れもない、百九十三億円が、今回十九年度と十一年度を実質ベースに直しても、これだけ予算がふえているということが明らかになりました。
 私は、何も数字のみをもって福祉施策を語れるということは、すべてではないと思っているんです。ただ、共産党が毎度のこと、いろんな数字を持ち出してくるから、その数字を明らかにしないと、やっぱり都民は間違った認識をしてしまう。そういう意味で、きょうはこういう形で明らかにさせていただいたわけでございます。(発言する者あり)ありがとうございます。
 次いで、少子化対策について何点か伺いたいと思います。
 東京都の合計特殊出生率は、十七年度に一・〇と過去最低になりました。若干明るい兆しが見えてきたんですけれども、やはり依然、危機的状況にあります。
 確かに、子どもを産み育てることは、個々の人々の人生観、価値観に左右されるものですけれども、知事がよくいわれるように、これは行政がやることは一定の限界があるかもしれない。けれども、子育て支援という観点からは、可能な限り、やはり行政が打開策を打つべきだと思います。
 地球温暖化問題にしてもそうだと思います。東京都がすぐに取り組んだからといって、すぐにとまるというわけじゃない。けれども、知事がよくお話しされるように、たとえあす地球が滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるという、この言葉どおり、東京都の総力を結集して、温暖化対策だけではなくて、少子化対策についても同様に取り組んでいくべきだと私は思います。
 そこで、温暖化対策については、副知事をトップに、各局横断的な会議体を設置したということなんですけれども、都議会公明党は従来から、この少子化対策についても局横断的なこの会議体を設置し、都の総合力を上げ、そして各局の力を結集して、この少子化対策に取り組んでいくべきだ、こういうことを申してまいりました。
 そこで、この会議体を、ぜひとも私は少子化対策こそつくっていくべきだと思いますが、知事の見解を伺いたいと思います。

○石原知事 子どもが健全に成長できる環境を整備することは、親はもとより社会全体の責務であると思います。
 都は、次世代育成支援東京行動計画を策定し、認証保育所の推進や教育改革など、国に先駆けた子どものためのさまざまな取り組みを推進してまいりました。しかし、仕事と家庭生活の両立や、子どもの生きる力の育成、安心して子育てのできる基盤の整備など、子どもを取り巻く課題は広範囲にわたっております。
 「十年後の東京」で示した待機児童の解消、社会全体での子育ての支援施策への取り組みや、大都市の多様な課題に的確に対応して、次世代育成支援策を組織の垣根を越えて総合的に推進するために、副知事をトップとします局横断的な推進会議を早期に設置いたします。

○東村委員 知事みずから、この副知事をトップとした少子化対策に向けた局横断的な会議体を設置するという力強い答弁をいただきました。ぜひともこれをやって、東京が全国に先駆けてこの少子化対策を行っていただきたいと思うわけであります。
 そこで、この少子化対策の具体策として、ワークライフバランスという、つまり仕事と子育てを両立させるということが重要なテーマとなるわけでございます。その中で特に大事なことは、保育所の待機児童の解消の問題であります。
 「十年後の東京」、この「十年後の東京」において五千人の待機児童を解消するという目標を立てました。その中において、初めて潜在的待機児童の問題についても提起いたしました。二〇〇三年の内閣府報告では、都内に約七万人の潜在的待機者がいると推計されております。
 東京都の保育計画、十七年春に策定されましたが、平成二十一年度までに十八万四千七百人にこの保育サービス総量を増加させる、こういったことも織り込まれているわけでございます。しかしながら、ここには潜在的な待機児童の数は入っていないんです。
 そこで、この潜在的な待機児童のことも含めた保育全般の正確な実態を調査、そして精査した上で、認可保育所、さらには認証保育所、そして家庭福祉員、認定こども園など、いわゆる保育機能をフル活用して、さらには福祉保健局の体制も整備して、いわゆる抜本的なこの待機児童の問題、これに取り組んでいく必要があるのではないか、このように思いますけれども、福祉保健局長、いかがでしょうか。

○山内福祉保健局長 都はこれまでも、認可保育所や認証保育所、家庭福祉員など、さまざまな取り組みを推進することによりまして、保育サービス総量の拡充に努めてまいりました。
 認証保育所制度を創設した平成十三年度以降、認可保育所と合わせまして、約一万八千人分のサービス量を新たに確保してきましたが、待機児童数は、制度創設直後の平成十四年度からほぼ横ばいの五千人で推移しております。
 この状況は、お話のとおり、新たな保育ニーズが呼び起こされているためと認識しておりますが、現行の待機児童の把握は、認可保育所の利用申込者を調査対象としているため、潜在的保育ニーズを含めてとらえられたものとはなっておりません。
 保育所待機児童の課題に的確に対応するためには、こうしたニーズも含め、子育て家庭の意識やライフスタイルなどを詳細に調査、分析し、多角的な検討を行った上で対策を講じていく必要があると考えております。
 このため、平成十九年度は、これらの調査、分析を早急に行い、局の体制も含め、ご指摘の保育所待機児童解消に向けたさらなる取り組みについて鋭意検討してまいります。

○東村委員 ぜひともこれは、抜本的な対策を行っていくというお話がありましたから、大事な視点ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、具体的な提案をちょっとしたいんですけれども、保育所の整備の推進策として、私は都有地、いろんな局にもまだまだ遊休地があると思いますけれども、都有地を活用して保育所の整備をすることも有効な方策の一つだと思いますけれども、局長、いかがですか。

○山内福祉保健局長 都はこれまで、認知症高齢者グループホームなどの整備促進策の一環として、都有地を事業者に貸し付ける事業を行ってまいりました。
 ご提案の趣旨を踏まえ、保育所待機児童の解消に資するため、都有地の保育所への活用についても、今後、関係局と協議してまいります。

○東村委員 ぜひとも協議しながら進めていただきたいと思います。
 それからもう一つ、ワークライフバランスの一つとして、育児休業の取得促進、これがやっぱり大事だと思います。若い世代の人というのは収入が非常に低いんですね。したがって、女性の人が収入を失うことによって家計が厳しくなる、だから出産をちゅうちょしているという人も結構いるわけなんです。
 そこで、この育児休業取得率を調べたら、おもしろいことがわかったんですけれども、実はこの取得率というのは、すべてのものを分母にしていないんですね。実際は、出産に際して、約七割の女性が仕事をやめているんですけれども、やめた人の残りの人で育児休業取得率を算定しているわけでございます。非常にそういう意味で、これも、ただでさえ低いのに、実態はもっとお寒い状況だろうなと私は思っております。
 大企業は一〇〇%、ほぼ行動計画を立てて、担当部署をつくって育児休業をとらせようというシステムをつくっているんですけれども、中小企業というのはお金もありませんし、さらにはそういう責任者も設置できない、こういう状況でございます。
 国がいろんな助成制度をつくりました。公明党も提案して助成制度をつくってきましたけれども、どうも中小企業の利用者は少ないそうなんです。その原因の一つとして、やはりこういう支給申請するやり方が、なかなか煩雑で大変だと。そういった責任者があって部署があればできるのにという声があるわけですけれども、一人でやるというのは大変なんですね。
 そこで、都は、この福祉・健康安心基金を活用して、来年から新たな助成制度を創設するということなんですけれども、私は、何よりもこの制度の中で大事なのは、やはり中小企業の子育て、つまり両立支援をする責任者を明確にすることだと思います。そして、責任者がこの企業の中で体制をつくることこそが、本当の意味での両立支援につながるんじゃないかと思いますが、産業労働局長、いかがでしょうか。

○島田産業労働局長 中小企業におきまして、仕事と子育ての両立支援を進めるためには、まず社内に責任者を設置するなど、取り組み体制を構築することが必要と認識しております。
 このため、新たな助成制度では、平成十九年度からの六年間で中小企業二千社を目標といたしまして、責任者を設置する企業を支援することといたしました。
 さらに、この責任者が意識啓発、社内ルールづくりを進める段階ごとに助成を行い、実際に育児休業取得者が発生した場合には、代替要員の経費について、一千社を目標に支援いたします。
 また、責任者に対しては、労働相談情報センターにおいて研修会を実施するほか、相談等にきめ細かく対応するなどフォロー体制をつくり、中小企業における両立支援の取り組みを促進してまいります。

○東村委員 大事な点でございまして、これはやっぱり研修会を実施したり、フォローする体制をつくっていただくことが大事だと思います。
 もう一つ、その上で要望しておきたいんですけれども、この代替要員への助成が約千社、さらに体制づくりの助成が二千社やると聞いています。ところが、百人以上、三百人以下の都内の中小企業はまだ六千社あるんです。
 私は、ぜひとも十九年度、企業意向調査を都は行うということなんですけれども、この意向調査を行った段階で、ニーズがあるならば、この助成制度を、もっと企業の数をふやすべきだということを強く要望だけしておきます。
 次いで、いわゆる子育ての、また、子どもを産むに当たって大事な周産期医療体制の話をしたいと思います。
 母親にとって、安心できる出産環境というのが一番大事な部分であるんですけれども、近年、どうしても高齢化出産ということで、低体重児、超低体重児が生まれてくる数がふえてきています。そういう中で、NICU病床の整備というのはなくてはならない状況になってまいりました。
 ところが、これも大きな三多摩格差の一つといわれているんですけれども、出生千人に対するNICU病床の数、区部は二・四八です。これに対して、多摩は一・一二。二分の一もいかない。こういう状況が十八年度のいわゆる推計値で明らかになっています。
 これはさまざま問題があるんですけれども、課題として、私は大きく二つあると思います。一つは財政上の問題、もう一つは人的な問題があると思うんです。
 財政上の問題は、仮にNICU病床を九床整備したときに、整備費に二億二千五百万円かかる。さらには、運営費が六億四千五百万円かかる。これに対して、入ってくるお金は四億二千万円。約二億二千五百万円の大幅な赤字になるんだと。
 さらには、人的な問題も、実はこの八王子小児病院の統廃合問題で、八王子市が八王子の二つある中核病院にヒアリングを行ったら、やはり小児科、産科医、そして看護師等の人的体制を整えるのがなかなか難しい。これを解決しない限り、受け入れるということはなかなか難しいだろう、こういう話を聞いたそうでございます。
 そこで、私は、何度も十五年、十六年、十七年と、予算委員会や本会議、厚生委員会でこの問題を取り上げて聞きました。特に十六年の第一回定例会、ここでは健康局長は明確に、多摩地域における民間医療機関でのNICU整備に向けて、人的、財政的支援の具体策を検討するなど、周産期医療の充実を図るという明確な答弁をされています。
 確かにその以後、六床、多摩地域ではNIUC病床はふえました。けれども、まだまだ足りないわけなんです。そこで、やはり思い切って多摩地域に特化したこういう対策をこれはもうやっていくしかないんじゃないかと思うんですけれども、福祉保健局長、いかがでしょうか。

○山内福祉保健局長 お話しのとおり、NICUは区部に集中しておりまして、多摩地域における周産期医療体制の整備は課題であると認識しております。
 このため、都は、これまで、多摩地域周産期医療連携強化事業など独自の取り組みを進めるとともに、平成十八年の四月、武蔵野赤十字病院を新たに地域周産期医療センターとして整備するなど、多摩地域における体制の充実を図ってまいりました。
 現在、さらなる体制強化を行うため、都における周産期医療体制のあり方に関して、東京都周産期医療協議会におきまして、周産期医療ネットワークの構築や医療人材の確保、採算性など、実現に向けた課題などを多角的に検討しております。
 今後、この協議会での検討結果を踏まえた上で、都としても、関係局間で十分調整しながら、積極的に適切な方策を取りまとめてまいります。

○東村委員 これはできるだけ早く取り組んでやらないと、間に合わないと思いますよ、本当に。それだけはよろしくお願いいたします。
 次いで、知事が記者会見で一種の福祉だとおっしゃった、先ほどから話題に出ております個人都民税の軽減措置についてご質問したいと思います。
 平成二十年度から、約五十億円、六十万人、これは納税義務者の一割に当たるんですね、この人たちに軽減措置をやると。公明党は、かねてから低所得者への配慮が必要だということを指摘してまいりました。
 そこで、改めて都民に対して、知事がこの政策目的を明らかにすべきだと思いますが、どうでしょうか。

○石原知事 格差のない社会というのはどこにもないと思います。ただ、それが危機的なものになっていくことは国家にとっても非常に重要な問題ですし、また、現に存在する格差というものを、行政がある努力をすれば、部分的にでも是正することもできると思います。そういう意味で、今回の軽減措置を考えました。
 いずれにしろ、社会のセーフティーネットが不十分な現況の中で、公平かつ公正な競争社会を維持して、持続的に発展させていくためには、税制についても、社会情勢に的確に対応していかなきゃならぬと思っております。
 ただ、昨年末に改修されました個人住民税は、低所得者の増大という状況には全く対応していないと思います。そこで、今回、生活保護の対象となる程度の給与しか、あるいは年金しか受け取っていない都民について、均等割を除く都民税全額を軽減することにいたしました。
 これは、国税である所得税とかかわりなく、地方団体における基幹税目である個人住民税のあるべき姿を実現するものと思っております。結果として、東京の活力をすそ野から押し上げることにつながるものであるとも思っています。
 今後、都議会の賛同をいただくとともに、個人都民税の賦課徴収をお願いしている区市町村の理解と協力もいただきながら、二十年度から実現していきたいと思っております。

○東村委員 選挙目当てだろうが、何だろうが、都民にとっては本当に大変ありがたいことなんで、ぜひともこれは進めていただきたいと思うわけでございます。
 そこで、不登校対策について、何点か伺いたいと思います。
 先日、八王子市にあります高尾山学園に、二度にわたって視察してまいりました。これは不登校児を対象とした小中一貫校でございまして、現在、小学校十六名、中学校百九名、合計百二十五名、ここに在学をしているんですけれども、これは十六年四月に、いわゆる構造改革特区、教育課程の弾力化ということを使って八王子市が設置したわけでございます。
 基本理念は、生きることへの自信と、そして社会的自立の獲得、今一番子どもたちが失われている部分でございます。
 こういう中で、見ていただきたいんですけれども、この図表がありますとおり(パネルを示す)実は不登校の一番のきっかけは何かというと、知事、見ていただきたいんですけれども、友人関係をめぐる問題というのが一番多いんですね。これは友人関係と濁しておりますけれども、まあ、いじめが多いわけです。やはりいじめをきっかけに不登校になるという人が圧倒的に多いというのが、このマトリックスでわかるんです。
 これは百三十一名、十六年度に在籍した子どもたちを、先生がいろいろな場面で話を聞きながらまとめていったデータなんですね。アンケートでやったわけじゃないんです。個々に接しながら調べていった結果、こういうデータができ上がったんですけれども、こういう中で、この学校の特徴は、週二回の体験講座、ここではいろいろなことを、絵手紙や銀細工、囲碁、将棋、体験講座を週二回とっているわけです。非常にここで子どもたちがいろいろなことを身につけて、希望を持っているんです、将来この分野で頑張ろうという。
 また、プレールームが設置されていて、何かあったらそこに戻って、そしてまた友達と楽しく会話をして、また授業に戻ろうという。もともと不登校の学校なんで、いわゆる三人のスクールカウンセラーも配置されています。
 成果はどうなるのか。出席率が六五%です。何だ、六五%だという人がいるかもしれません。もともと登校しなかった人を対象につくった学校ですから、六五%まで来たこと自体、すごいことなんですね。こういう大きな成果があります。
 ただ、課題が幾つかありまして、教員が十五名。校長、教頭を除いて十五名。さらには、講師、指導補助者、これは市の嘱託や臨時職員なんですけれども、十三名いる。さらには、先ほどいいましたスクールカウンセラーを三名配置しなきゃいけない。どうしても手厚い体制のために多大な経費がかかる。
 学校教育法の施行規則の一部改正が十七年七月六日に行われました。構造特区によらなくても、不登校児童を対象とした小学校、中学校が設置できるようになったんです。ところが、いまだ全国的に見ても、東京都を見ても進んでいないんです。市でいえば八王子市だけだし、もう一つ、中学校は京都の方でやっています。なかなか進んでおりません。
 原因はどこにあるかということで、いろいろな人と話をして聞いたら、やっぱり多大な経費がかかる。ぜひともこういうところに不登校対策ということを、指導助言もありがたいんだけれども、やはり財政的な面から応援してもらうことが何よりも大事なんだということをおっしゃっていました。
 そこで、小中学校だから区市町村が本来の役割なんですけれども、こういう不登校児童生徒の問題を一生懸命取り組んで何とかしようとしているところに、都も支援の手を差し伸べるべきだと思いますが、教育長、いかがでしょうか。

○中村教育長 これまで東京都の教育委員会といたしましては、教育相談などに関します研修の実施、公立中学校全校へのスクールカウンセラーの配置、不登校対応としての中学校への教員加配など、区市町村教育委員会と連携し、学校におきます不登校への取り組みを支援してまいりました。
 今後は、これまでの支援に加えまして、不登校児童生徒を対象とした学校に対しましても、特別の教育課程に関する指導助言を行うなど、区市町村教育委員会の取り組みを支援してまいります。

○東村委員 ぜひとも、求めているのはやっぱり財政的な支援ですので、今後ちょっといろいろ知恵を絞って考えていただきたいと思います。
 それで、ちょっとこの表の二を見ていただきたいんですけれども(パネルを示す)、実は不登校は学校でいつから始まったかという表なんですね。一番多いのが中学一年生で、百三十一名中四十名、三〇・五%と圧倒的に多い。その次が小学校一年生。特に小学校一年生と中学校一年生では不登校の理由がこれも根本的に変わってきます。
 特に大事なことは、高尾山学園の進学状況を調べてもらいました。そうしたら、十七年度の卒業生五十名中四十七名が進学をしているんです。ところが、六カ月後、十二名がやめているんですね。これは原因はどこかというと、環境が変わったということなんです。
 小学校と中学校の不登校の理由は違うんですけれども、中学、高校というのはほとんど余り変わらないわけなんです。そういう意味で、中学から高校に環境が変化するというのは非常にデメリットだと私は思いまして、ぜひとも、東京都は今いいノウハウを持っているんです、チャレンジスクールという。東京都で五校やっています。今度、昼夜間、定時制のところにもチャレンジコースをつくろうとしてくれています。そこで、私は、このチャレンジスクールを母体として、いわゆる不登校の中高一貫教育をぜひとも設置していただきたい。それが大きな今後の対策になるんじゃないかと思うんですけれども、教育長、いかがでしょうか。

○中村教育長 都教育委員会では、チャレンジスクールの設置などを通じまして、小学校、中学校時代に不登校経験を持ちます生徒などに対します高校教育の充実に努めてまいりました。
 不登校の原因は多様でありまして、一人一人の生徒の状況に応じた対応が必要でございます。
 ご指摘の不登校生徒を対象といたしました中高一貫教育校を設置しますことは、小学校卒業段階での不登校状態を固定化することや、あるいは通学負担の問題など、さまざまな課題がございます。
 今後は、ご指摘のチャレンジスクールの趣旨を踏まえまして、中学校と高等学校の円滑な連携のあり方や接続のあり方について研究してまいります。

○東村委員 これは接続のあり方について検討していただけるということですから、研究するということですから、ぜひともこれは研究していただいて、できれば不登校対策の中高一貫校を設置していただきたいと思います。
 時間が迫ってまいりましたので、「十年後の東京」について、実は四点質問しようと思ったんですけれども、一問になるか、二問になるかわかりませんけれども、何点か質問したいと思います。
 最初に、千ヘクタールの緑の創出ということを「十年後の東京」に書かれていまして、特に三百ヘクタールの緑の創出を小中学校の校庭の芝生からやっていくと。これはヒートアイランドの対策だけじゃなくて、緑の創出や環境学習からも効果がありまして、非常に期待をされているところなんですけれども、問題は、芝生の維持管理、芝枯れ問題なんですね。
 これは天候や使用状況によって芝の状態を把握していかなきゃいけないし、適切な措置を講じなきゃいけない。非常に難しいんですけれども、かといって遊ぶなというわけにはいきませんから、ここには学校や子どもたちの取り組み、さらに地域の協力、そして専門家のサポート、この三つがそろってこそ適切な維持管理ができるといわれるわけでございます。
 ただ、学校には、詳しい芝生の維持管理の知識を持っている人がいなくて、予測していない事態が起きると対応できないんです。知事も杉並の和泉小学校を見に行かれたと思うんですけれども、ここに了解を得て出しているんですけれども(パネルを示す)、杉並の桃井第五小学校。これは十七年六月に芝刈りをしながら、一生懸命この地域の人たちとか保護者、学校の先生が芝刈りをやりながら、この芝をやったんですけれども、十八年の三月になったら、このようにもとのグラウンドに戻っちゃったんです。
 これは大変だということで、専門家に相談したんです、グリーンキーパーという。いわゆる芝に関する専門家のグリーンキーパーに相談して維持管理に努めていったらどうなったかというと、再びこのように、十八年の六月、よみがえったわけなんですね。物すごく専門家の助言というのが、グリーンキーパーの助言というのが大事なわけでありまして、芝生化の整備の支援とあわせて、学校や子どもたちの努力をむだにしないためにも、維持管理の面でグリーンキーパーを活用することが物すごく大事になるし、現場を支援していくことになると思います。
 これは松葉議員が一生懸命この資料を収集してくれて、本当に委員会でも一生懸命やってくれまして、ぜひとも知事の前で見せたいということで、きょう最後に質問させていただきました。環境局長の誠意ある答弁をお願いします。

○村山環境局長 芝生化の取り組みを継続的に成功させていこうとする場合には、教員や子どもたちの努力、あるいは保護者や町会など地域の協力が不可欠であるのに加えまして、今お話しの、それを支える専門家の存在も大切なポイントでございます。
 私どもがこの間ヒアリングを行った、既に芝生化に取り組んでいる学校の校長先生などからも、協力をいただいている専門家の方が、日ごろから芝生の生育状態などをチェックし、また、大雨が降った後の使用制限期間の程度などについて的確なアドバイスをしてくれるので、大変助かっているという声を伺っております。
 今後、校庭芝生化を推進するため、専門家や民間企業の知恵と力を芝生応援団として結集してまいりますが、その際には、サッカースタジアムなどの芝の管理の専門家、いわゆるグリーンキーパーの方々に登録をいただき、学校や地域からアドバイスを求める要望にこたえられるようにしていきたいと考えておりまして、こうした取り組みを通じて区市町村や各学校を積極的に支援してまいります。

○東村委員 「十年後の東京」に関連して、最後にもう一問だけ。
 昨年、私は予算委員会で、多摩のシリコンバレーの可能性を知事に聞きました。そこで、最後にもう一つ、試験研究機関とこれから連携していくことが何よりも重要だと思いますが、局長の見解を伺いたいと思います。

○島田産業労働局長 「十年後の東京」では、産業施策の方向性を示し、圏央道等の整備に伴い一層ポテンシャルが高まる広域多摩エリアを多摩シリコンバレーととらえ、研究開発、事業化拠点として発展させることを目指しております。
 首都圏には、都立産業技術研究センターのほか、神奈川県産業技術センターなど、各都県が試験研究機関を設置し、中小企業を技術面から支援しておりますが、都域を越えて活発化する産業交流を見据え、これらの機関がさらに相互に連携していくことは、広域多摩エリアの発展にとって有効な方策であると考えております。
 このため、新たに試験研究機関を有する関係自治体による協議会を設置するなど、首都圏の試験研究機関の相互連携を強化してまいります。

○石川副委員長 東村邦浩委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時十五分休憩

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