東京都議会予算特別委員会速記録第五号

   午後三時三十三分開議

○山下副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 馬場裕子委員の発言を許します。

○馬場委員 急な世界的株安、円高の中で、今緊張が走っております。そんな中、本日、予算特別委員会締めくくり総括質疑、都議会民主党を代表して行います。よろしくどうぞお願い申し上げます。
 今議会において、都議会民主党は、都民生活の安全・安心を確保し、東京の未来に備える上で平成十九年度予算案に関する議論を行ってまいりました。ここで、我が党が今まで示してきました予算措置案を改めて都に問いかけ、平成十九年度予算の主要な問題点を明らかにしていきたいと思います。
 その前に、まず一点、お伺いいたします。
 財政委員会の質疑が終了し、いざ採決というその日、三月二日、石原知事は、都独自の住民税軽減措置を発表されました。これが予算議会が終了して、候補者としての石原慎太郎氏が発表されるのであれば、それはそういう議論になるのでしょうが、知事記者会見での発表ですので、本日、この件に関してまず伺っていきたいというふうに思います。
 二十年度から適用するこの案を、あえて先週の知事の記者会見で発表なさったということでございます。知事は、国から地方への税源移譲に伴い、生活保護基準程度の収入しかない人に新たな税負担が発生するのは気の毒で不公平、現行税制のゆがみを是正するとして、この軽減措置を発表されました。
 しかし、三位一体改革に伴う税源移譲にかかわる住民税、所得税間の調整は既になされており、税負担の増減、新たな税負担はないはずですが、主税局長のご見解を伺います。

○菅原主税局長 税負担の増減はないのではないかというお話でありますけれども、また、一部の経済日刊紙も社説の中で、同様に事実誤認があるなどと誤解しておられるようでありますので、改めてご説明申し上げたい、かように思います。
 いわゆる三位一体の改革に伴いまして行いました税源移譲では、確かに個人住民税と所得税とを合わせた個人所得課税の税負担が変わらないように制度設計をされております。しかし、地方税である個人住民税を見ますと、低所得者層においては、これまでの五%から一律一〇%の税率となるため、税負担がふえることとなるわけであります。
 生活保護を受給されていれば、非課税措置等によりまして個人住民税をほとんど負担しないということになりますけれども、同程度の収入でありながら、生活保護を受給されていない方につきましては個人住民税の負担がふえるということから、税制上の配慮が必要であるというふうに判断したわけであります。
 そもそも、地方団体における基幹税目でございます個人住民税の制度のあり方について、最終責任を負うのは地方団体でございまして、低所得者に対する今回の都独自の軽減措置は、個人住民税のあるべき姿を実現するものでございます。

○馬場委員 この住民税を軽減すると、自治体によっては国保税、国保料ともいいますが、これにはね返りが出ますし、徴収実務を行っている区市町村の事務にも大きな影響が出ます。財政力の弱い自治体はとても同調することはできませんし、仮に同調すると、地方交付税交付団体においては、交付金を削減されることにもなってしまいます。
 こうした大きな影響を受ける区市町村の同意は、それでは得られているのか伺います。

○菅原主税局長 今回の個人都民税の軽減措置につきましては、都が条例を定めることによりまして、都独自に実施するものでございます。
 しかしながら、実施に当たりましては、個人都民税の賦課徴収をお願いしております区市町村の理解と、そしてご協力が不可欠でありまして、今後、都として十分な説明を尽くしご理解をいただいた上で、二十年度から実施したいと、このように考えております。

○馬場委員 さきの知事答弁でも、東京の格差の存在を認められ、生活保護を受けた方がよいというような発言もございました。
 しかし、生活保護というのは、基本的にそうした考え方からできている制度ではないと私は思っております。
 問題なのは、住民税の課税最低限が生活保護基準以下であるということ、このことであり、生活保護基準以下の賃金も少なくない、生活保護基準以下の賃金で働いている方が少なくないというご認識が知事にあるということだというふうに思います。これは、我が国のあり方における重大な問題でもありますが、だからといって、このように税制をいじると、現行税制のゆがみを是正するといいながら、かえって税制をゆがめることになるとはお考えにならないのでしょうか。ご見解を伺います。

○菅原主税局長 地方分権の時代におけます地方税制は、地方団体みずからが課税自主権の行使として決定すべきものであります。地方独自の税制を否定することは、地方自治の本旨に反するものであります。
 個人住民税において、低所得者への配慮があって当然であるにもかかわらず、今回の税源移譲では配慮がなされておりません。
 とりわけ、都における生活保護受給者や非正規雇用者の増加率が、全国を大幅に上回っている状況をかんがみまして、都独自の税制といたしまして、生活保護の対象となる程度の給与あるいは年金収入しかない都民の方々に対して、均等割を除く個人都民税の全額を軽減することで個人住民税のあるべき姿を目指したものでありまして、税制をゆがめるものとは全く考えておりません。

○馬場委員 今のご答弁でもそうですし、また翌日の各報道でも、このように、もうこの案は決定されたような報道がされていたというふうに思います。
 しかし、この案、主税局も事前に相談には乗られていないというふうなお話も伺っております。もちろん議会も、この話は知らないことでございます。それも来年度、十九年度に間に合わせるということでなく、その先の、来年は来年で新しい制度になり、その後二十年度にこれを適用するという今回の案、つまりこれは知事の選挙用の公約であるというふうに受けとめざるを得ないというふうに思っております。
 個人住民税のあるべき姿を目指したものであるというふうに今ご答弁されましたが、そのことについては、今後、条例提案があった場合に、改めて議会としてもこの質疑をし、その折にきちんと私どもも対応していきたいというふうに思っております。
 次に、本題に入ります。
 予算化が不十分と考えている課題について、四点ほど伺います。
 さきの本会議における都議会民主党の代表質問では、十年後における都内住宅の耐震化率を九〇%以上とする目標達成の見込みについて伺いましたが、都市整備局長は、全力で目標を達成すると、その決意を述べられました。決意は決意で大変結構ですが、目標を達成できるのか、できないのかについては言及がありませんでした。
 「十年後の東京」では、都がみずからデータを示しています。都内住宅の耐震化の現状を踏まえると、老朽化による自然更新分を差し引いても、今後十年間で、一年当たり三万四千戸の耐震改修が必要な計算になるわけです。
 これに対し、「十年後の東京」を実現するための第一歩、初年度となる平成十九年度予算案では、木造住宅については耐震診断一千五百棟、耐震改修五百棟分、マンションについては耐震診断一千八百棟、耐震改修等改良工事利子補給五千戸分が計上されているだけで、いかにも不十分と考えざるを得ません。
 木造住宅とマンションの耐震化促進のための予算は、本当にこれで十分なのかどうか、今後十年間での予算化に対する考え方とあわせてご所見を伺います。

○柿堺都市整備局長 住宅の耐震化の目標を達成するためには、公共住宅の着実な耐震化はもとより、民間の所有者が主体的に耐震化に取り組むことが不可欠でございます。都としては、適切な情報提供や技術的支援を行うとともに、公共的な観点から、必要がある場合には助成制度等も活用し、住宅の耐震化を計画的に進めることにしております。
 都は、こうした観点に立ちまして、平成十九年度予算案において必要な経費を計上しており、区市においても助成制度を整備するなど、耐震化に向けた取り組みを強化しております。
 今後とも、目標を達成していくため区市と十分連携するとともに、国の補助制度を積極的に活用するなど財源の確保に努めてまいります。

○馬場委員 民間の所有者の主体的取り組みが不可欠だからこそ、重ねてお伺いしているのでございます。
 十分なのですかと単純に問うているだけなのですから、十分と考えている、あるいは、いや、まだ実は不十分だと答えてくださればいいと思いますが、まともに答えない。このような答弁では、都民の皆さんも理解できないと思います。あえて一言だけ苦言を申し上げておきます。
 先日も、岡崎委員、山口委員から質問いたしましたが、現在、都の子育て支援関係の予算は、認可保育所に偏重して使われております。認可保育所を利用できる人の数は限られており、待機児童も十八年十月現在で約八千人です。潜在的待機児童は七万人ともいわれています。認可保育所を利用している家庭以外の子育て家庭に対する支援を拡充し、未就学児童を抱えて苦労されている親たち全体への十分な支援を行わなければなりません。この点については先日申し上げましたので、繰り返しません。
 私からは、認証保育所について申し上げます。
 認証保育所については、いわゆる保育に欠ける要件を課しておらず、幅広い方が必要に応じて利用できるわけですが、保育料が高く、だれでも利用できるという状況にありません。
 そこで、私たちは、制度の違いで二倍以上にもなる保護者負担の格差を放置すべきでないと繰り返し主張してまいりました。十九年度予算に対しても、独自の試算に基づき、この保護者負担の格差是正のため、認証保育所保護者負担軽減補助を求めましたが、残念ながら知事は聞き入れていただけませんでした。この格差は、放置して何ら問題がないと本当にお考えなのかどうか、ご所見を伺います。

○山内福祉保健局長 認証保育所は、区市町村が入所を決定する認可保育所とは異なり、利用者と事業者との直接契約とするとともに、保育料金については、事業者が自由に設定するなど、事業者の競い合いを通じて質の高いサービスを提供する仕組みとしておるものでございます。
 こうした保育事業については、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて行うものでございまして、現在、幾つかの自治体においては、認証保育所の保育料金の保護者負担軽減が行われておりますが、これは、それぞれの自治体の独自の判断によるものでございまして、都として実施する考えはございません。

○馬場委員 事業者の競い合いを通じて質の高いサービスをということはわかりますが、この事業者の競い合いで、待機児童がいる限りは、なかなか料金が安くなるということにはならないというふうに思っております。自治体の財政力の差でサービスに差が出る、そんな状況は、地域間格差を大きくするものと懸念をいたします。
 それでは次に、若年者雇用について伺いますが、その前に、石原知事の穀つぶし発言について、一言述べさせていただきます。
 石原知事は、本会議での私たちの代表質問に対して、私たちが知事の言葉を歪曲したと決めつけ、卑劣だと述べられました。二〇〇六年三月十四日の予算特別委員会での石原知事の発言を読み上げます。「フリーターとかニートとか、何か気のきいた外国語使っているけどね、私にいわせりゃ穀つぶしだ、こんなものは。」こう放言していらっしゃるわけです。後ほどきちんと議事録でご自身の発言を確認していただきたいと思っております。仮に百歩譲って、穀つぶしとはニートのことだと開き直るのであっても、それはそれで、石原知事がニートの実態を知らないことの証左でしかありません。
 石原知事は、ニートのことを働く意欲も学ぶ意欲もない若者だと決めつけていらっしゃるようですが、この間急増しているのは、就労を希望しながら就職活動を行わない非求職型といわれるニートの方たちです。バブル崩壊や企業の新規採用抑制などの結果、就職したくても職につけず、就職をあきらめた人たちで、雇用環境が改善しつつある中にあっても、新卒や実務経験者を優先する企業が圧倒的な中で、彼らの再就職は極めて困難な状況にあるのです。こうした事実さえ正しく知ろうとしない石原知事が幾ら弱者対策を打ち出したとしても、それはせいぜい選挙向けのパフォーマンスとして、都民の耳にむなしく響くだけではないでしょうか。
 さて、私たちは代表質問において、若年者雇用の充実についても述べてきました。特に、年長フリーターといわれる人たちが学校を卒業して初めて社会に出るようになったのは、バブル崩壊後のいわゆる就職氷河期であることを考えるのであれば、社会や行政の責任で改めて彼らに対して就業機会を提供していくべきだと主張してきました。私たちは、具体的に、すべての教育機関、職業訓練機関でも活用できる奨学金制度の創設や他の自治体で実施しているような教育訓練給付金制度の創設などを提案してきましたが、東京都の答弁は、国に働きかけていくということでしかありません。
 改めて年長フリーター対策の充実を求めるものですが、ご見解を伺います。

○島田産業労働局長 都はこれまでも、都独自の取り組みとして、しごとセンターを設置し、個別カウンセリングや各種セミナーの手法を用い、また、技術専門校においてさまざまな科目で能力開発を行い、多くの若者を就業に結びつけてまいりました。さらに、経済的な支援策についても国に働きかけてまいりました。
 来年度はこれらの取り組みに加えまして、しごとセンターと技術専門校との連携による年長フリーターを対象とした導入セミナー、職業訓練、就職面接会などの支援プログラムを実施してまいります。

○馬場委員 事例をそろえて普及させるだけでは不十分であると思います。企業へのインセンティブの充実などを提案しております。
 次に、非正規労働者の雇用改善について伺います。
 私たちは代表質問において、非正規労働者の雇用改善に向けて、さらに踏み込んだ取り組みを求めてまいりましたが、東京都の答弁は雇用環境の改善に努めるとしたのみで、具体的なものはありませんでした。
 東京都が今年度から実施している事業の企業目標数は三十社でしかなく、経済的なインセンティブとして用意したチャレンジ融資も利用実績が見られないなど、メリットが小さいものとなっています。働く人の三人に一人が非正規労働者となり、格差是正が急務となっている今、東京都のこうした支援策では不十分だと考えます。
 私は、制度普及のために広報や相談体制を充実、あるいは企業へのインセンティブの充実などを含め、さらに踏み込んだ取り組みを改めて求めるものでありますが、ご見解を伺います。

○島田産業労働局長 都が今年度開始いたしました雇用改善支援事業は、非正規労働者の雇用環境の改善につきまして、企業のすぐれた取り組みを普及していくためのモデル事業として実施しております。本事業の応募企業には、例えば人事評価制度を確立するとともに、転換制度を設け正社員化を進めた例や、パートタイマーにも職務や能力に応じた賃金制度を導入して賃金改善を図る例などがございます。このように、応募企業は規模や業種等に合わせ工夫をしながら雇用改善に取り組んでいるところであります。
 今後とも、都としては、こうした事例をさまざまな機会で紹介し、波及すべく広げてまいります。

○馬場委員 今の答弁でもありましたように、東京都が国に対して働きかけてきた経済的な支援策について、私は都の独自事業として実施してはどうかと提案をしております。こうして、事業の中で給料の高い雇用を生み出していくことが結果的に、先ほどの税金の話もありました、こうしたことを解消する、格差解消になるというふうに考えております。巨大な雇用の場である東京都だからこそ、率先してこうした、実際に役に立つ施策にお金を振り向けていくべきだというふうに考えております。
 次の質問に移ります。次、情報公開についてお伺いをいたします。
 全国市民オンブズマンの行っている情報公開都道府県総合ランキングで、昨年三月発表分の第十回では失格とされました。これは手数料徴収についての考え方によって失格となっているわけですが、評価外とされたのは全国で東京都と香川県のみです。他の分野全般についても、全国レベルで自慢できる状況ではありません。
 そもそもランキング外ですが、得点を見てみると、満点の百二十ポイントに対して都の得点は三十ポイントです。全国で四十五位と非常に低い得点となっています。これは市民団体が独自の基準に基づいて行った評価ですが、知事ご自身の評価ではいかがでしょうか。

○石原知事 この情報公開ランキングは、閲覧手数料を徴収することのみをもって失格--これはかなり致命的な印象を与える認定であります。それのみをもって失格とするなど、市民団体が独自の考え方によって調査した結果と認識しております。自治体の情報公開状況を必ずしも正確に反映したものとは考えておりません。
 都は、例えば公開を要求してくる方々の五五%は都外の方でして、その多くは仕事の参入、あるいは展開のための資料要求ということのようですけれども、それをもって、私たちはあるフィーを払っていただいているわけです。
 都としては、保護されるべき企業経営ノウハウや捜査情報など、情報を一〇〇%開示することによって行政運営が阻害されるケースもあることから、非開示にすべきものは非開示とし、開示すべきものは開示しております。
 今後とも、都民への説明責任を全うし、公正で透明な都政を推進するために、都民が納得する情報公開を進めてまいります。
 なお、都の情報公開請求は--先ほど申しました、都の独自性については、依頼者の五五%以上が圏外者であるということ以上に幾つかの特性がございますので、詳細については局長から答弁します。

○渡辺生活文化局長 お話のランキングでは、閲覧手数料を徴収していることをもって、都を失格としております。
 都における公文書開示請求の状況でございますが、平成十七年度の実績を見てみましても、食品営業許可台帳、建築計画概要書、風俗営業許可台帳などに係る事業者関係の請求が上位を占めております。
 また、先ほど知事が申し上げましたように、都民以外からの請求が五五%という実情がございます。
 公文書の開示に当たりましては手間と時間がかかりますので、当然、行政コストがかかっておりますが、これは税金で賄われているものでございます。都の公文書の開示手数料は、開示請求者に公平な負担を求める観点から必要となる事務費、人件費など実費の範囲内で、東京都情報公開条例により徴収しているものでございます。
 なお、お話の情報公開ランキングの順位づけでございますが、その評価の対象となっている項目は、交際費、指定管理者、予定価格、政務調査費、捜査報償費、公安委員会議事録の六項目について、独自の基準で評価したものでございます。したがいまして、情報公開制度の全体像を対象にして評価したものではなく、総合的な評価というには多少の疑問が残っているところでございます。

○馬場委員 そもそも情報公開は市民が求めているものでありますので、それぞれの立場でそれぞれの情報がどういう形で出てくればいいのかということを、専ら市民側が考えていることです。
 そういう意味では、出す都側、行政側からすれば、大変だから出さないという理由はおかしいのであって、これからの都政について、その情報を提供することによってプラスになるというふうに考えるべきだと思っております。
 現在の情報公開制度の中では、知り得ない情報というのがまだあります。例えば副知事や参与に加え、特別秘書もまた知事の政治任用で、知事が給与を決め、税金によって支払われております。費用対効果を説明する必要があるのではないでしょうか。
 資料14号で指定職給料表を示していただきましたが、特別秘書にどの号給が適用されているのか、そしてどのような成果がそこで出ているのか、あったと認識されているのか伺います。

○大原総務局長 特別秘書の給与につきましては、指定職給料表を適用して、局長級職員と同程度であることは既に資料14号でお示しをしているところでございますが、お尋ねの個々の具体的な給料月額につきましては、個人情報に該当し、本来は公表の対象とならないものでございます。しかし、このたび両特別秘書から、ご自身の給与について公表の意思が表明をされたことから、その具体的号給をお示しすることが可能となりました。
 その内容を申し上げますと、兵藤特別秘書には指定職給料表の四号給、高井特別秘書には指定職給料表の二号給がそれぞれ支給されております。この指定職給料表の号給が適用されているというのは、別に石原知事になって突然始まったことではございません。過去から、そのような例がございます。

○山口知事本局長 特別秘書の仕事の成果についてのご質問ですが、両特別秘書につきましては、知事から直接命を受け、国との折衝や議会との連絡調整、マスコミへの対応に加え、政策形成にかかわる特命事項など、都政運営全般に関して、局長級職員と同等以上の立場で知事を直接補佐しております。

○馬場委員 今回の質疑に当たり、両特別秘書から公開の意思が表明されたということで、今、四号給、二号給という答弁がございました。さきにいただいているこの資料と照らし合わせますと、二号給一千五百七十万円、四号給一千八百四十七万円です。個人情報に該当するということで、これまではっきりわからなかったわけですが、ようやく明らかにしていただきました。しかし、知事が給与額を決めることができる政治任用ポストだから、こういう質問をさせていただいております。
 さらに、二人の特別秘書には公用車が一台ずつ、秘書課には四人の職員。特別秘書の秘書さんでしょうか。退職金も、知事、副知事と同様の計算式で支給されるとのことです。当然、天下り先のポストも用意されているのでしょう。
 公職につき、都民の税金でこのような厚遇を受ける方がどのような仕事をして幾らの報酬を受けるのか、今回はご本人から了承を得ての答弁ですが、原則として情報公開の対象と位置づけるべきだと考えます。
 民主党は、石原知事の身内優遇、側近政治について、今定例会でただしてまいりました。世間的に評価の定かでない人物を、経歴すら示さないまま重用するなど、都民から理解が得られないような人事が横行していることが明らかになりました。石原慎太郎氏個人の事務所ではなく、公職です。これまで費用と効果を説明してこなかったという責任は厳しく問われていると申し上げ、次の質問に移ります。
 次に、新銀行東京について伺います。
 新銀行東京につきましては、東京都はさきの予算特別委員会でも、融資の三割が赤字または債務超過の企業であると胸を張っているようですが、これら企業も含めた中小企業支援が新銀行東京の設立目的であったわけですから、当然といえば当然です。
 むしろ私たちが問題にしているのは、経営赤字が予想を大きく超え、出資に見合う効果が上がらないまま、一千億円という都民の税金が失われてしまうおそれが大きいということなのです。私は、石原知事がトップダウンで物事を強引に推し進め、無理に無理を重ねてきた結果が今日の経営危機を招いているように思っております。
 このような視点から、以下質問いたします。
 新銀行の創設は石原知事の二期目の選挙公約だったわけですが、十五年度予算案ではその調査研究費が計上されず、予算の流用や予備費の活用で無理やり費用を調達せざるを得なかった経緯があります。特に私は、このころ財政委員会にもおりましたので、まず、当時のことについて簡単に確認をしたいと思います。
 東京都は、新銀行東京の設立を検討するに当たり、東京税務協会に八億六千九百八十三万円の調査研究委託を行っておりますが、この費用は、予備費の二億八千万円に加えて、出納長室の経費の中から五億八千九百万円余りを無理くり予算流用という形で捻出をしています。しかし、東京都は、二〇〇三年七月四日の財政委員会での私の質問に答えて、この質問した当時はまだ五億円ということでございましたが、税務協会への委託料については、予備費の充当により対応すると明確に答弁しておられました。
 この事実関係について、まず確認をいたします。

○幸田出納長 出納長室は、平成十五年の六月十六日から平成十六年三月三十一日までの間、約八億七千万円の金額で財団法人東京税務協会と調査委託契約を行ったところでございます。当該経費の当初予算は計上していなかったため、まず、出納長室の既定予算を充てることとし、経費節減に努めながら約五億九千万円の流用等を行いました。その上で、なお不足する二億八千万円につきまして、予備費充当を行ったものでございます。

○馬場委員 この銀行の調査費、当初予算は計上していなかったという状況の中で始まったということでございます。つまり、そのために、最初は予備費の充当で対応すると答えていらっしゃいました。その方針を変更して、出納長室の予算から無理くり流用したということになると私は思っております。
 この調査研究委託費八億七千万円のうち六億五千万円については、銀行システムの設計など、新銀行の資産や各種ノウハウの構築のために費やされた経費として、結局のところ新銀行東京の会計上の負担とせざるを得ず、後日返金されたと聞いております。しかし、東京都は、同じく二〇〇三年七月四日の財政委員会での私の質問に答えて、会社が負担すべき経費ではなく、東京都が負担する方針であると明確に答弁していました。この事実関係について確認をいたします。

○島田産業労働局長 平成十五年の七月、財政委員会におきまして、馬場委員の質問に対し、調査研究委託については、会社が負担すべき経費ではないと認識しているとご答弁いたしまして、あわせまして、一般に会社設立に要する経費負担は関係者間の契約で決まるものであり、さまざまなケースがあることをあわせて答弁してございます。
 その後、都では、新銀行東京の設立に要しました経費負担の考え方について、監査法人など専門家からご意見をいただき、それらを踏まえ、平成十五年十月の財政委員会におきまして、都が負担すべきものと新銀行が負担すべきものとを整理した上で精算することといたしました。

○馬場委員 今ご答弁にあったように、調査研究委託費は会社が負担すべき経費でないと認識しているとお答えがありました。それが、その後、会社設立にかかわった経費をすべて会社が負担するという法律上の義務がないとして、今のご答弁にあったように、さまざまなケースという形で述べられました。当時から、こうした銀行をつくるに当たってのきちんとしたルールや原則がない中で、この新銀行東京の設立が進められてきたと思わざるを得ません。
 しかし、このことは監査法人から注意をされたというわけですね。どんな銀行に、お金をかけてつくろうかということについて、知事の思い入れが強かった。このことも含めて、ちまたで石原銀行というふうにいわれるゆえんだというふうに私は思っています。
 次に問題なのは、委員会等設置会社という会社の形に、経営の形にしたことです。新銀行東京の運営形態をめぐりましては、東京都がつくる株式会社なのだから、東京都が代表取締役に入って執行権も持ってやるという、そういう議論もありましたが、東京都は当初から新銀行東京の運営形態をあえて委員会等設置会社にして進めてまいりました。
 当時、東京都は、委員会等設置会社にすることで、中小企業支援という東京都の政策目標を踏まえつつも、銀行の自主性を尊重し、東京都の機関銀行とならないような形態にしたと答弁したと理解しております。であるなら、石原知事のこの間の発言は、ATMの撤去等を含めてですが、新銀行東京を委員会等設置会社にしたことを理解しない発言のように思われます。
 新銀行東京を委員会等設置会社にした理由について確認をいたします。また、東京都の機関銀行としなかった判断は今も正しいと思っていらっしゃるのか、ご見解を伺います。

○島田産業労働局長 新銀行東京につきましては、経営の健全性、透明性を確保するとともに、業務執行の迅速性、機動性を高めるために、取締役会が業務全般を監督し、執行役が実際の業務を執行する委員会設置会社の組織形態を採用いたしました。また、都が最大の株主として関与することで、新銀行東京は都の中小企業施策を補完する役割を担う一方で、民間銀行としての自立性を確保しながら業務運営を行っており、当時の判断は正しかったと思っております。

○馬場委員 新銀行東京の現在の経営状況や融資メニュー等の実績を示してこなかったことを考えますと、どうして経営の健全性、透明性の確保といえるのでしょうか。また、新銀行東京が経済の劇的な変化についてこれなかったというのであれば、どうして業務執行の迅速性、機動性といえるのでしょうか。むしろ石原知事の悪い意味での関与が民間銀行としての自立性を阻害していると考えます。
 その意味で、石原知事が新銀行東京の経営をお任せした代表執行役の仁司泰正さんの役割は極めて重要です。しかし、石原知事は予算特別委員会の田中良議員の質問に答えて、ふなれな仕事をふなれな人にさせたという嫌いはあると述べ、とにかく自動車のセールスのように物を売ればいいというような業務じゃございませんし、そこら辺のところに勘違いがあったなと述べておられます。
 石原知事は、少なくとも新銀行東京が開業間もない二〇〇五年四月十八日にも、この仁司社長--でよろしいでしょうか、を接待していらっしゃることが公表されました、先日。このころ、仁司さんの経営手腕についてどのように感じていらしたのか、お尋ねいたします。

○石原知事 仁司代表はトヨタの出身でありまして、国内外での競争やテンポの速い技術革新といった厳しい環境にさらされた産業界に長く身を置き、経営手腕を発揮されてきました。こうした経験を生かし、環境の変化にも十分対応できる安定的な組織運営や、既存の金融機関に欠けていた事業者側の視点に立った業務運営を期待し、経営のかじ取りをお任せいたしました。
 加えて申しますと、先ほどの私のフリーターとニートの発言ですけれども、あなたは何歩か譲って、フリーターとニートのニートだけにしておって、私、一年前の予算委員会でちゃんといっているじゃないですか。(馬場委員「委員長」と呼ぶ)いや、これはとにかく、あなた方はやっぱり、ネガティブキャンペーンも結構かもしれませんが、こういうレトリックをするのは卑劣じゃないですか。ですから、厚生省の定義で、ニートというのは非労働人口で……(「違うよ、質問に答えてよ」と呼ぶ者あり)さっきの答弁の続きですよ。(「質問に答えてください、質問に」と呼ぶ者あり)さっきの質問の続きですよ。足りなかった。非労働人口で以下に該当。学校卒業者、学籍はあるが実際は学校に行っていない、未婚で家事、通学をしていない、既婚者で家事をしていない。これは穀つぶしです。

○山下副委員長 知事、答弁は簡潔に願います。

○馬場委員 私は今、新銀行東京の質疑をさせていただいております。先ほどのご答弁であれば、また違う区切りのところでお話しいただければよろしいと思いますが、なぜこの新銀行のときにそういう前回の答弁をなさるのでしょうか。(発言する者あり)今、私は聞いておりません。今は新銀行東京のお話を続けている途中でございます。
 今、トヨタグループから仁司さんを招聘したのはどなただったのでしょうか。知事の人脈の中の方ということでございます。石原知事は、この予算特別委員会の答弁でも、先般も日銀との定期的な話をしたと述べ、その上で新銀行の立て直しに向けて、部外者の意見も聞いているし、立て直しの方策をこれからも講じていく旨述べられています。
 私が先日、新銀行東京を訪れた際も、担当者から、二月中には経営改善計画を策定したいという話を聞きました。日銀の考査などもあり、作業がおくれているようですが、いつごろ新銀行東京の見直し計画が発表される予定なのか、また、株主総会が六月下旬に予定されているようですが、東京都の意見はこの改善計画にどのような手順を踏んで生かされるのか、お伺いいたします。

○島田産業労働局長 今後の経営計画につきましては、新銀行東京がみずからの経営判断により策定するものであり、具体的な発表時期等は明らかにされておりません。
 なお、経営にかかわる重要な計画につきましては、取締役会が決定し、株主総会の場で報告されます。都としては、この策定過程において、取締役を通じ、中小企業支援の充実や収益面の改善などについて意見を伝えてまいります。

○馬場委員 つまり、東京都は取締役を通じて意見を伝えているということですね。具体的には、さきの我が会派の小沢昌也議員の質問に集約されております。では、この二年間、この取締役さんはどういう仕事をなさってきたのかというのが、今問われる現状だというふうに思います。
 一方で、石原知事は、昨年十二月一日の定例記者会見におきまして、新銀行東京の路線変更の必要性を問われ、それは銀行だから、何も中小だけの銀行じゃなし、どこかいい借り手があったら貸しますよなどと発言もしておられます。さらに、ことし二月十一日のテレビ番組の中で、新銀行東京をつぶすわけにはいかないので、てこ入れをしたなどと、何らかの策を講じたかのような発言をしておられます。
 私はこのような石原知事の発言は、東京都を代表する株主の立場として極めて不適切ではないかと考えますが、ご見解を伺います。

○島田産業労働局長 知事は、新銀行東京の出資者であります東京都の代表者であります。知事の発言は、その立場からの新銀行東京の経営状況に対する問題意識に基づくものと認識しております。

○馬場委員 今のご答弁にもありましたように、問題意識に基づくものというのはあると思いますが、ATMの撤去発言、こうした発言が株主権限を越えたものではないかと、そういう疑念もございます。石原知事がみずからのトップダウンによって無理に無理を重ねてきた結果であるということを省みずに、その責任をあくまでも他人に転嫁しようとする姿勢は納得ができません。
 平成十五年の七月四日の財政委員会で、当時の大塚出納長が私の質疑の最後に述べられております。この答弁の中で、都議会のご賛同をいただいて税金を投入してこの銀行をつくるわけですから、当然のことながら、都議会とつながる世界を、ひいては都民とつながる世界ということになりますけれども、それを統治スキームの中で、統治機構の中できちっと担保できるようなということでやっていきたいというふうに思っています、私ではなく、ちゃんとした適任者を手当てしたいというふうに思っておりますというご答弁をいただいております。
 今回、この新銀行東京の現状、中小企業対策という当初の設立目的で事業が立ち行かないというようなことであれば、民間への売却も含めて新銀行東京のあり方を早急に検討すべきと改めて主張し、次の質問に移ります。
 先ほどの知事のお話ですが、後ほど資料としていただければありがたいというふうに存じます。
 次に、観光振興についてお伺いをいたします。
 知事は、観光振興に大変大きく期待をされているというふうに私も思っております。そんな中、都は観光振興プランの改定を予定されておりますが、この観光産業は今後成長が見込める重要な産業であり、その一層の充実を図る観点から質問をいたします。
 プラン、改定素案では、プラン策定当時、二百七十七万人にすぎなかった訪都外国人旅行者数は、この四年間で四百五十万人へと着実に増加とあります。この二百七十七万人は、プラン策定時、平成十三年十一月の推計値とありますが、どのような調査に基づいて算出をなさったのか、調査方法を教えてください。また、同様の調査方法なら昨年の実績はどのようになるのか、回答をいただきたいと思います。

○島田産業労働局長 前回の観光プラン策定時でございますが、東京を訪れます外国人旅行者数について、東京都の独自調査を行っておりませんで、国際観光振興会調査による訪日外国人旅行者数に都道府県別訪問率を掛けまして、二百七十七万人との推計を行っております。仮にこの推計方法を用いますと、平成十七年は三百九十二万人となります。
 しかしながら、この訪問率の調査は、平成十四年度から羽田空港での調査を中止するなど、問題があると私どもは判断をいたしました。そのため、都は、国土交通省から示されました全国観光統計基準に準拠いたしまして、みずから調査を実施した結果、平成十七年四百五十万人との推計を行ったものであります。

○馬場委員 当初の目標が五年間で二倍という、だれが見ても過大な目標でありますから、そういいたくなるのでしょうが、果たしてそれでいいのでしょうか。それぞれに欠陥があるとしても、どちらがより信用できるかじゃないでしょうか。
 その四百五十万人の根拠となる実態調査結果の概要については、資料第143号に示していただいておりますが、この平成十七年度東京都観光客数等実態調査の目的、調査内容は、それではどのようなものなのか、伺います。

○島田産業労働局長 今お話のありました実態調査でございますが、東京都における平成十七年の観光客数、観光消費額及び観光の経済波及効果を推計し、観光行政推進の基礎資料とすることを目的にして調査したものでございます。
 この調査内容でございますが、国土交通省の示した基準に基づきまして、都内の約八百八十の観光関連施設、約千九百五十の宿泊施設等を対象に、年間の集客数を調査いたしました。
 また、都内の観光地点、宿泊施設等において、五千五百人を超える旅行者に対し消費額等のアンケートを実施いたしまして、この二つの結果に基づき、観光客数、観光消費額等を推計しているものであります。

○馬場委員 観光関連施設の入れ込み客数とか、お祭り、イベント入れ込み客数を調べていますが、主催者発表と実数が異なるのは常識ではないでしょうか。そこから推計したのでは、実態と大きく異なることになると思います。
 ともあれ、五年間で倍増という数値目標を実現するために、産業労働局はさまざまな努力をされておりますが、その一つに、シティープロモーションがあります。さきに示された平成十八年度包括外部監査報告書でも、海外シティープロモーション事業の効果測定を確実に行い、その結果を事業の概要とともに都民に説明していく必要があるとの意見が付されていますので、この意見も踏まえて伺います。
 資料第142号で実績を示していただいておりますが、平成十七年度以降の訪問地と今後の実施予定、また、一回当たりに要した経費についてお伺いをいたします。

○島田産業労働局長 お尋ねのシティープロモーションでございます。平成十七年度はイタリアとスペイン、アメリカで実施、平成十八年度は既にアメリカを訪問し、今後、オーストラリアで実施いたします。平成十九年度以降もヨーロッパなどを予定しております。
 一回のプロモーションでは二都市を訪問いたします。例を挙げますと、平成十七年度のアメリカプロモーションでは、観光に加えまして、ものづくり、アニメなどの商談会、セミナーなどを延べ四回実施しております。経費につきましては、商談会等の開催に当たりまして、事前準備、現地での会場費、現地の警備、スタッフの人件費、パンフレット、ポスター等の制作費など合計七千八百万円、さらに、テレビCMや新聞、雑誌への広告掲載などメディア広告費約五千万円、その他現地市民向けのPRイベント経費などを合わせまして、一回当たり平均経費は一億四千七百万円でございます。

○馬場委員 大変多額な経費をかけているということがわかりました。
 オーストラリアをオセアニア州とすると、これらの訪問地にアジアの国が入っていません。国際観光振興機構、通称JNTOが発表している訪日外客数の平成十八年十月までの累計では、韓国が対前年比二一・二%、中国が二四・三%に伸びるなど、ビジット・ジャパン・キャンペーンの重点十二市場のうち七市場、韓国、台湾、中国、タイ、シンガポール、カナダ、フランスで過去最高となったとされています。
 旧プランの年率二〇%近い目標を達成するためには、韓国や台湾、中国などアジアの国々に働きかけるのが当然と思いますが、どのようなお考えでこのシティープロモーションの対象地域を決定しているのか、お伺いをいたします。

○島田産業労働局長 外国人旅行者の誘致を図るためには、海外において東京が観光の目的地として認知され、東京向けの旅行商品が開発されることが重要と認識しております。アジアからは、距離的なメリットなどから、既に多くの旅行者が東京を訪れ、都内の観光事業者とアジア地域の旅行事業者との間では一定程度のビジネスが成立しておりまして、民間ベースでの交流が深まっております。
 一方、欧米等につきましては、距離も遠く、旅行目的地として東京に対する認知度も低く、民間だけで誘客を促進することが難しいため、行政の支援が必要と考え、シティープロモーションを行っているわけでございます。
 そこで、その対象国、都市の選定に当たりましては、都内観光事業者からの意見、要望、海外旅行に出る人数が多いが、訪日旅行者数の割合が低いこと、経済や人口規模等、総合的に判断しているものであります。

○馬場委員 基本的な認識に間違いがあると思います。欧米では九割以上が個人旅行で、ガイドブックとインターネットで情報を収集して旅をするといわれています。とりわけ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークなどは東京の情報が最もあふれている地域で、どうして巨額の費用をかけてシティーセールスをするのかわかりません。また、二度も訪問しているスペインは、平成十五年の数字では外国旅行者数は約四百十万人で三十二位の国です。ちなみに、日本は一千三百三十万人で十五位です。どうも選択基準と実際の訪問地が一致していないような気がいたします。
 さきの予算特別委員会の浜渦参与の海外出張にかかわる答弁、フィレンツェは一度行っているので、他の場所を選んだというのを聞いていますと、訪問地の選定は、団長であった浜渦前副知事の好みで決められているように思えます。
 JNTOの出版物に「訪日外客訪問地調査」という本があります。日本旅行を終えた外国人旅行者に対して、各地の国際空港出国ロビーで行った面接調査の報告書です。訪日外客がよく訪れる訪問地、滞在中の活動内容、滞在期間、旅行形態などについて居住国、地域別にデータを収録しています。このような詳細な調査に基づいて最も効果のある国を対象にすべきと思いますが、いかがでしょうか。

○島田産業労働局長 ご指摘のありました「訪日外客訪問地調査」は、訪日した外国旅行者の訪日動機や旅行形態などを調査しておりまして、各国旅行者のニーズ把握の参考にしてございます。しかしながら、より多くの外国人旅行者を誘致していくためには、東京をまだ訪れたことがない新たな旅行者を掘り起こす必要があると認識しております。そのためには、海外旅行に出る人数が多いが、訪日旅行者数の割合が低いなど、訪日旅行の潜在需要があるところを対象国とし、シティープロモーションを行ってございます。

○馬場委員 それでは、なぜスペインが入るんでしょうか。潜在需要があるなしではなく、どのくらいあるのかが問題じゃないのでしょうか。
 東京都観光客数等実態調査については、先ほどご説明がありました。この調査では、宿泊だけでなく、日帰りの外国人も調査されています。外国人といっても、見かけだけで判断するのは困難です。この調査では、どの国から来たのかなど詳細な情報を得ることができますか。

○島田産業労働局長 本調査におきましては、東京都における観光客数、観光消費額及び観光の経済波及効果を推計することを目的としておりまして、実際のところ、ご指摘にありました観光関連施設、行祭事、イベントの主催者等において観光客の国別調査を行うことは困難であると考えております。

○馬場委員 都の調査は、国別、訪問地等、内容の詳細なデータに欠けている、つまり裏づけがない、今の答弁では無理だということでした。都の調査によりますと、訪都外国人は四百五十万人で、全訪日外国人の数は約六百七十万人ですから、訪日外国人客の約七割近くが東京を訪れている計算になります。大阪、愛知、九州、北海道等にも訪問客がいることを考えても、信頼性が低いと見受けられます。
 また、プランを拝見しますと、外国人旅行者の情報収集手段として澤の屋旅館のアンケート調査結果が登場しています。澤の屋は、小さいながら外国人観光客を受け入れる大変すぐれた活動をしていると思いますが、一旅館の訪問客に対する調査をもとに都の全体の政策を決定するのは危険ではないのでしょうか。政策は、正確な調査に基づいて実施すべきではないでしょうか。
 新銀行東京に今日のような問題が生じたのも、正確な現状把握に欠けた点に問題があったのではないでしょうか。私は局長を責めるつもりはありません。五年間で二倍という到底達成できない数字を掲げて、都民へのアピールをねらう知事の政治手法にそもそもの問題があったのです。
 シティーセールスに話を戻しますが、訪日外客数では平成十七年の数字で、韓国百七十五万人、台湾百二十七万人、中国六十五万人に比べて、これまで訪問したイタリアは四・五万人、スペインは二・六万人にすぎません。韓国、台湾の方が東京都を訪れる率はそれぞれ四四・五%、四四・七%と全体外国人の訪都率平均の五八・二%に比べて低く、東京都としてはまだまだ高い可能性を持っている国と思います。また、欧米と違い、アジアでは団体客が多く、エージェントに働きかけるシティーセールスが有効ではないかと考えます。今後は、正確な調査分析に基づいて、アジアを含め、もっと有効なシティーセールスを展開すべきと考えますが、改めて局長の見解を伺います。

○島田産業労働局長 アジアからの訪日旅行者の割合でございますが、全体の約七割を占めまして、既に民間の旅行業者や宿泊業者がアジアへ売り込みを行うなど、民間ベースでビジネスが成立しつつあります。そのため、訪日旅行者が多いアジア地域につきましては、欧米のミッション派遣とは異なる手法によりましてシティーセールスを行っていく必要があると考えております。
 具体的には、東京の観光地をよく知ってもらうPRがまず必要であり、ウェブサイトの多言語化、関東知事会によるアジアの旅行博での共同出展などを行っております。また、ウエルカムアジアキャンペーンでは、海外の旅行会社が東京を訪問しまして、都内視察、都内旅行事業者との商談会を行う招聘事業も行っております。今後とも、アジア、欧米等に対し、対象国に合った手法でシティーセールスを展開してまいります。

○馬場委員 今のご答弁にありました対象国に合った手法といいつつ、今まではどう見ても逆の対処法を考えておられたように思えます。
 先ほども述べましたが、欧米では九割以上が個人旅行で、ガイドブックとインターネットで情報を収集して旅行しているわけです。いま一度冷静にお考えになられて、今後の観光振興策に努められるよう求めて、次の質問に移ります。
 次に、島しょ振興についてお伺いをいたします。
 一昨年、国と東京都は、小笠原返還以来の課題、交通アクセスの改善に貢献するとされたテクノスーパーライナー、TSL計画を断念いたしました。運航会社が、膨大な赤字の見込みから、公的な支援がない限り事業は不可能と表明したためです。そのため、都はTSL事業の推進を国に要望し、支援を求めました。
 この要望で軽油価格上昇分に対する支援策を求めたのは、高速船TSLの燃料消費量が「おがさわら丸」の三倍であり、燃料の軽油高騰によって運航コストがさらに上がったことによると考えますが、まず、この要望を行った理由を伺います。

○大原総務局長 TSLの就航につきましては、当初の試算では運航収支はほぼ均衡するものと見込んでおりました。しかし、平成十六年末からの世界的な原油価格の高騰などによりまして、収支は大幅に悪化する見込みとなり、TSLの運航そのものが危惧される事態に陥りました。
 都は、小笠原諸島定期航路の経営の安定と安全、確実な運航が不可欠であり、また国は、この事業を国策として推進した責任を果たすべきであると考えまして、平成十七年の六月に、平成十八年度国の施策及び予算に対する東京都の提案要求によりまして、国に対して抜本的な支援を強く要請をいたしました。このうち軽油価格の上昇に対しましては、燃料である軽油価格が高騰し、しかも下落の見込みがなかったことから、国の支援を求めたものでございます。

○馬場委員 このTSLは新しい船ということで、その船舶のリース料、また建造費、保守整備費を国が負担し、なお、建造費の負担が困難な場合は、当面のリース料を国が負担するということを求めたと思います。これは、その高額なTSL建造事業を保有会社に請け負わせ、また、非常に厳しい事業採算で銀行に出資させた負担と、運航会社に何とか受け入れさせた負担を少しでも和らげるためであって、TSL事業が既に相当厳しい採算状況にあったからだと考えますが、いかがでしょうか。

○大原総務局長 TSLは、「おがさわら丸」の約二倍の建造費を要するため、運航事業者である小笠原海運が負担するリース料も年間約八・五億円に上ると見込まれておりました。リース料等について国の負担を求めましたのは、厳しい収支見通しのもとで、TSL就航に関する経費を軽減させるためでございます。

○馬場委員 旅客数が想定より少ない場合の収入減に対する支援を次に求めました。これは、平成十二年当時、小笠原への旅客数が四万六千人だったにもかかわらず、国がTSL運航の想定旅客数を十万人、年間三千万円の赤字になると当初試算し、当時、都もこの十万人の数字を黙認していました。それが、平成十七年には想定旅客数を半数の五万人に変更し、航海数も三割減、燃料単価も高く見積もり、赤字額は年間二十五億円にはね上がりました。
 「おがさわら丸」との共用案でも、十八億円の赤字になっています。まさに収支の見込みは、国家プロジェクトの実現を図るための不採算計画だったといえるのではないでしょうか。
 この計画に従った都にも責任の一端があると考えます。ご見解を伺います。

○大原総務局長 TSLは、国が海運技術向上のための国策として開発をしたものでございまして、都も、小笠原諸島の観光振興や島民生活の向上に資すること、事業収支もおおむね均衡が見込まれることから、事業の推進に協力をいたしました。
 TSLを導入することを決定いたしました平成十三年における旅客数見込みでございますが、高速化とそれによる就航数の大幅な増加によりまして年間十万人になるとした、これは民間会社の調査結果に基づくものでございます。これは、当時としては適切な見積もりであったと考えております。
 しかしながら、平成十六年度末からの想定外の原油の高騰によりまして、多量の燃料を消費するTSLの就航回数を予定より削減せざるを得なくなるなど、事業環境は一変いたしました。国の計画が当初からの不採算計画という評価は当たらないのではないかと考えております。

○馬場委員 当初の計画、収支の計算が適切であったと、また知事はそのことをもって国と一緒にこの事業を始めたということになるというふうに思います。
 それでは、都が正式にこのTSL事業を受け入れたところに少し戻って質問をさせていただきます。
 この事業を受け入れたのは、平成十三年九月十九日です。この日、知事は、都議会においてTSL実現に向けた所信表明を行い、同日、国と都は、TSLに協力する確認書を交わしています。
 国が運航コストの圧縮に努め、都は観光振興を図る、欠損が生じたときはそれぞれ二分の一ずつ負担をする、「おがさわら丸」は伊豆諸島航路に配転するとしたものです。この確認書によって、事業断念まで四年、都は国に追随し、小笠原村民はTSLに振り回されることになりました。
 改めて都から、この確認書を交わした経緯とその拘束力について伺います。

○大原総務局長 お話の確認書でございますけれども、TSLの就航に向けて、都と国との役割分担を明確にするために取り交わしたものでございます。
 その後、平成十六年末に至り、世界的に原油価格が高騰するなど事業環境が著しく悪化し、導入決定時のスキームが維持できなくなったために、平成十七年四月から、都と国との間で、運航体制、旅客運賃等支援の方策について改めて協議を開始せざるを得ない状況となりました。
 この時点で、平成十三年の確認書の前提は失われたものと考えております。

○馬場委員 原油の価格が高騰という状況は想定できなかったというお話でございますが、そもそも最初の見込み額、この国の計算も含めて、こうした十万人の規模でこれだけ就航をするということでなければ、このTSLは運航事業として成立し得なかったという状況があります。
 その中で知事はこの国の計画に乗りました。そして、九月十九日に議会でこの計画を公表し、同日、確認書を国と都で交わしたわけです。そして、この確認書の中で、今も述べられたように二分の一の赤字の負担をそれぞれがするということがあったからこそ、先ほどもありましたこの高い船のリース料、年間一億……(「八億」と呼ぶ者あり)八億でしたでしょうか、それが十八年間の契約で運航会社は運航委託を受けるということで、初めてこの事業が出発をしたわけです。それが軽油の、原油の値上がりという状況の中で、差し迫って、十六年から十七年、国へこの対応方を申し入れしたというのは、さきに何点かお聞きしました。
 しかしながら、国はこの対応ができないということで、予算要望をしても、国の予算は、一億五千万程度の十八年度予算しか出せないということで、二十億、二十五億という赤字の残りを、じゃあ都が負担できるのか、できないということで、この計画が断念されたというふうに思います。
 この確認書、実は運航会社にとっては大変貴重なものだったというふうに思わざるを得ません。つまり、赤字のときの負担をどうするのかというこのことがあったからこそ、この計画が進んできたわけです。運航会社も、この間、委託をするということの中で事業計画を変え、さまざまな委員会設置をし、二億円以上を使ってこの事業に対応してきたわけです。それが原油の値上げという状況にあって、国も都もどうもできないというこの状況にあって、この運航会社は契約を解消するという行動に出ざるを得なかったのではないかというふうに私は推測をしております。
 都にとっては、負の遺産にならずに済んだという状況かもしれません。しかし、TSLは完成をしましたが、将来の見通しが立たない、つまり、どこにも今行く予定がありません。造船所に係留されたままということでございます。つくった船の経費、百十五億でしたでしょうか、これが今、海の上に浮いているわけです。さらにここにかかわるさまざまな投資をしたところについても、回収が不能という状況になっています。
 都にとって今負の遺産にならずに済んだと申しました。しかし、小笠原村では村長へのリコール運動が起き、そして村民には、都に対する、国に対する不信感が大変大きくあったというふうに聞いています。
 そして、村民には、兄島空港案撤回、時雨山空港案撤回、そして三度目になるTSLの運航の断念、この精神的に大きなダメージについて、小笠原村への都の対応はどんなふうであったかお尋ねいたします。

○大原総務局長 原油価格の高騰によりまして、TSLの就航は困難と判断するに至りましたので、都は、平成十七年十二月に小笠原村民に対する説明会を実施いたしました。
 また、村が十七年度に実施をいたしました、宿泊施設等への融資に対する利子補給率の上乗せや、緊急集客事業としての小笠原自然体験モニターキャンペーンに対し、その緊急性にかんがみ、財源補充を行っております。
 さらに、平成十八年十一月には、小笠原諸島振興開発計画を変更いたしまして、将来の航空路開設を目指した検討と観光客の増加に向けた振興策等に積極的に取り組んでいるところでございます。

○馬場委員 当初、国に同調し、収支の予測も国の試算どおり受けとめ、運航計画は運航会社に任せて、最後は将来に赤字を生まずに手を引けたという、そうした幕のおろし方でいいのかという思いがあります。
 今までの議論を踏まえて、TSL事業に対する現在の知事のご見解を伺います。

○石原知事 小笠原諸島は、本土から隔絶した離島でありまして、島民の生活の安定と観光振興を図る上で、交通アクセスの改善が大きな問題であります。
 TSLは、こうした課題を解決するため、小笠原航路への就航が計画されておりました。これにより小笠原諸島への所要時間が約十時間以上短縮されるなど、アクセスの向上が図られるものと期待しておりました。
 しかしながら、世界的な原油価格の高騰、これは一体だれが予測できたことでしょうか。しかし現実にそれが起こりまして、そういう燃料のコストの向上ということで、燃料を多量に消費するTSLは、巨額の運航赤字が見込まれる上、かつまたこれは基本的な問題だと思いますけれども、ある種の専門家の意見では、船の構造上からして、冬季の非常に荒い海には就航が不可能じゃないかということの就航率の確保にも問題が起こりまして、就航で断念せざるを得ない状況となりました。
 小笠原の方々には期待にこたえられず大変残念でありますけれども、やむを得ない結果だと考えております。

○馬場委員 石原知事は、以前、小笠原などを選挙区とする国会議員でいらっしゃいました。空港問題に随分取り組んだとして、就任後初の小笠原訪問時、運輸大臣のときに第六次空港整備計画で小笠原空港に調査費をつける手だてをしたと述べられております。そこで調べてみますと、知事が大臣退任後の海部内閣時代に、二階運輸政務次官らが関係機関との勉強会や現地視察を行うなど、空港採択に尽力したことがわかりました。
 知事は記者会見で、TSLに関して、こういう船をつくった責任は国がとらざるを得ない、税金のむだ遣いだと述べましたが、国や都、小笠原村、専門家を交えた小笠原諸島振興開発審議会の十二回の全会合すべてに欠席をし、TSLについて知事みずからが語った言葉はありません。
 TSLの断念後、知事は、小笠原に第三種空港が必要と述べていますが、知事に航空路開設に関する計画をそれではお伺いをいたします。

○石原知事 今ご指摘の会議には、私のかわりに副知事がずっと出ておりました。小笠原のアクセスに関しては私が一番精通している人間ですから、そのメンバーの方へ意見を伝えましたが、そういう資料の提出で彼らは参考にして議論をしたと思います。
 こうなりまして、やはり従来から考えていた洲崎の、かつて陸軍ですか海軍が使っておりました飛行場、あの跡地を活用する以外にないかと思いますけれども、一方では、小笠原を何とか世界遺産に登録しようという声がございます。可能だと思いますが、そうしますと、また環境の問題が出てきまして、結局兄島の飛行場が挫折したのも、かつての環境庁が非常に厳しい制約をしまして、一番の地形的に適地であった兄島の案がつぶれました。
 時雨山に関しては、これはもうほとんど不可能なことでありまして、結局私はやはり三種空港として、現にいろいろの緊急対策は自衛隊が着実にやってくれていますから、空のアクセスがないことで人命が要するに毀損されたという事例はないと思いますけれども、これから何が起こるかわかりませんが、それに備えて、観光の一因としても、私はやはり三種空港というものを積極的に考えざるを得ない。
 この場合に、適当の地はどこにあるかという問題になりますが、これはやはり後は内閣がどういうバランスをとって何を考えるか、いずれにしろ、私は、残された道は三種空港しかないという認識に立っております。

○馬場委員 このTSLの断念によって、国や都、小笠原村の計画などはすべて変更を余儀なくされました。
 昨年五月、都議会民主党の島嶼振興等調査会で村へ伺った折には、今の空港について村での空港調査報告をされたということで(写真を示す)ちょっと小さいですが、こんなペーパーもいただきました。洲崎のところに空港がこういう形でできる予想図でございます。これも村にとってはやはりこうした自然、山を削らなければならないとか、さまざまな課題がある。今回十九年度、調査費もついておりますが、こうした課題について、小笠原空港については、地域計画の中の交通アクセス、小笠原村が望んでいるということはよくわかりますが、その採算性、今TSLの話をさせていただきましたのも、最初、国も都も採算が合うという形で物事を進め、そして幾ら想定外であったとしても、今度巨額な費用をむだにして何にも使われないというようなこのTSLの教訓が、今回、これからの東京にとっても、国にとっても十分に生かされなければ、税金をむだに使ったことの意味がないではないですか。
 知事も、積極的に船が運航されたらいいとお思いになったと思います。進水式、そして命名も、石原夫人、奥様がいらっしゃって命名もなさったというふうに伺っております。そうした中でもこういう結果になりました。今後、このTSLを何らか使えないかとか、村でもさまざま検討しているというふうに思いますし、小笠原での世界遺産登録というこれからの観光振興もあります。
 そうした中で、実は今知事からも出た第三種空港という形の空港のつくり方ですが、先般も、全国各地で第三種空港というのが予定どおり就航されず、多額の赤字を抱えるようなことになってしまっているという、そんな報道がありました。せっかくつくっても利用されない、十何%というふうな空港もあったと報道がされていました。さまざまなそうした状況の中で、このTSLの、何度も申しますが、二の舞にならないような、そして責任を知事はきちんと、つくる、いいときだけいらっしゃるのではなく、きちんと島民、そして都民のために説明をなさる必要があるというふうに考えます。
 このことを強く要望して、次の質問に移ります。
 教育再生会議の件でお伺いをいたします。
 教育再生会議の第一次報告に対して、二月十三日に全国都道府県教育委員会協議会及び全国都道府県教育長協議会の連名で意見表明がされました。その中で、教育委員会制度等、地方分権の視点に立って議論がされるべきと述べられています。
 中村教育長は、この全国の教育長協議会の会長を務められていらっしゃいます。また、東京都の教育長として、この点について、東京都としてどのようにお考えか、まず伺います。

○中村教育長 教育再生会議では、五月に予定されております第二回の報告に向けまして、教育委員会制度の抜本的見直しという議論が進んでいるところでございます。その中で、教育委員会への文部科学大臣の関与の強化について検討をされております。
 国の地方公共団体に対します関与につきましては、現在、地方自治法の二百四十五条の五という規定がございまして、この中で地方公共団体に対します是正の要求の権限を各大臣が持っております。
 この二百四十五条の五に規定します以上の権限を新たにまた文部科学大臣に付与するということになりますと、これは十数年前からずっと議論されております地方分権の流れに全く反するということになりまして、まことに私、東京都の教育長としても遺憾だというふうに感じております。
 教育再生会議におきましては、先日、ご指摘がありました、意見表明したとおり、地方分権の歴史的視点に立った議論も十分に行っていただきたいというふうに考えております。

○馬場委員 また一方で、教育委員会制度というのが問題になっております。だれも責任をとらない教育委員会というふうな、そんな状況の中で、規制改革・民間開放推進会議などの答申においても、厳しい批判にさらされております。今の地方分権のこともきちんと置きながら、各自治体の首長の選択制に改めるべきとの意見がありますが、この点について知事はどのようにお考えか、伺います。

○石原知事 教育行政における政治的中立性や継続性、安定性の確保、また行政執行の多元化のために、教育委員会制度は重要であります。
 国における教育改革の議論は、一部の教育委員会における問題を、あたかも、すべての教育委員会でその傾向があるような一面的なとらえ方を前提としておりますが、問題の本質は、制度のあり方の問題ではなくて、運用の問題であると思います。
 現行制度において、東京は国に先駆けた教育改革を進めておりまして、制度改正の必要はございません。

○馬場委員 運用について、教育が今大変な状況の中にある、その東京都の教育について、私ども民主党もこれから責任を持って、その体制の改革も含め考えていきたいというふうに思っておりますので、総力を挙げてやっていくということを申し述べて、最後に知事に発言をさせていただきたいというふうに思います。
 知事の心ない発言は枚挙にいとまがありません。その中でもばばあ発言は、多くの女性のみでなく、心ある男性からも、高齢者への尊厳を踏みにじる発言として(発言する者あり)世界的にも有名になっております。先日の柳沢発言などがあると、比較の発言として、そのたびにクローズアップされる、都知事としての品格に泥を塗ることが繰り返されていると私は思っております。
 このばばあ発言の裁判の判決では、同発言は被告自身の有する見解ないし意思を表明したものと認定をされております。その上で、発言は、法のもとの平等について規定する憲法、男女共同参画社会基本法その他の法令や国際人権B規約、女子差別撤廃条約、その他の国際社会における取り組みの基本理念と相入れないと指摘をし、東京都知事という要職にある者の発言としては不用意であったとされています。(発言する者多し)
 今、この……

○山下副委員長 発言を終了してください。

○馬場委員 裁判に、さらに裁判が起こされております。知事のホームページについての……(発言する者多し)

○山下副委員長 発言を終了してください。

○馬場委員 番組の削除でございます。どうぞこのことについてきちんと意見を聞き、この裁判にきちんと対応されるよう……(発言する者あり)

○山下副委員長 発言を終了してください。

○馬場委員 心から知事に申し述べて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○山下副委員長 馬場裕子委員の発言は終わりました。

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