東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○川井委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案まで、第百二十六号議案及び第百二十七号議案を一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る二月二十六日に議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 こいそ明理事の発言を許します。

○こいそ(明)委員 それでは、都議会自民党を代表いたしまして、予算特別委員会締めくくり総括質疑をさせていただきます。
 二期八年の石原知事は、まさに国何するものぞ、そして、東京からこの日本を変えていくんだと、この強烈なるメッセージを発出、首都東京を劇的に変革させてきた。さまざまな懸案の課題に果敢に取り組んで、政策を数々実現してきたというところであります。
 選挙が近づきますと、木を見て森を見ない、または、みずからためにする議論だとか、デマゴーグだとか、ネガティブキャンペーンが当然行われるわけでありますけれども、その中で、私はあえて、みずから省みてなおくんば、千万人といえども我行かん、この気概を持って、ぜひ石原知事、頑張っていただきたいと思うところであります。
 それでは、まず初めにオリンピック招致について伺います。
 昨日、東京オリンピック招致委員会がNPO法人の発足パーティーを開催いたしました。各界の著名人が多数集まる一方で、町会、自治会等々、都内の地域団体の代表の方々の顔ぶれも見られ、オリンピックの招致活動がいよいよ全国レベルから地域レベル、地元に至るまで、広く企業、住民を巻き込んで行われていくことを感じた次第であります。
 招致活動も、まさに旅立ちのときを迎えた。そこで、法人格を取得した新たな組織の意義、今後の決意につきまして、改めて知事に所見を伺いたいと思います。

○石原知事 東京オリンピック招致委員会は、先月末、NPO法人格を取得しまして、本格的に活動を開始することになりました。この資格を得たことで、政府にも正式な申し込みができますし、問題について、閣議了解、やがては閣議決定という手順を踏んでオリンピックの準備を進めていきたいと思っております。
 今後、このNPO法人を中心に、国や企業からのさまざまな協力を得ながら、国内における世論形成や国際的な支持獲得に努めていくつもりでございます。
 昨日開催しましたNPO法人の発足パーティーでは、安倍総理を初め、国、経済界など国内外のさまざまな団体の代表者にも出席いただきまして、国家プロジェクトにふさわしい、まさに国を挙げての姿勢を示すことができました。
 私自身も招致委員会の会長として、今後、東京オリンピックを実現するために懸命の努力をしたいと思っております。

○こいそ(明)委員 知事の意気込みを伺いまして、新組織が今後一丸となって招致に邁進することを期待するところであります。
 招致委員会は、国内外の招致機運の盛り上げ、さまざまなロビー活動を通じながら開催計画の策定、オリンピック招致の中心となる機関になるわけでありますが、機運の盛り上げは招致委員会が主体で行うと聞いておりますけども、都民、国民の世論形成に関していうならば、むしろ都がより一層力を入れていくべきではないかと思うところであります。
 知事も今議会において、オリンピック招致のPR活動に関して、世論形成が極めて重要であると答弁されています。
 そこで、世論形成の多様な方策やスケジュールにつきまして、どのように今後行っていくのか、所見をお願いいたします。

○熊野東京オリンピック招致本部長 お答えいたします。
 IOCは、二年後の二〇〇九年四月ごろに評価委員会の視察を行うとともに、開催国及び開催都市の支持率調査を実施いたします。その調査結果が開催都市決定に大きな影響を及ぼすといわれておりまして、したがいまして、その時期に向けまして国内世論の盛り上げを図ることが重要であると考えております。
 このため、先日、高い評価をいただきました東京マラソンを毎年実施することによりまして招致機運を盛り上げていくほか、国や他の道府県、さらには区市町村にもご協力をお願いいたしまして、東京オリンピック招致委員会と連携しつつ、広報、PR活動を積極的に展開してまいります。
 また、テレビ、ラジオといったマスメディアなども含めまして、あらゆるツールを活用いたしまして、オリンピック招致が日本全体を巻き込む大きな運動に広がるよう努めてまいります。

○こいそ(明)委員 次に、オリンピック招致を実現するためには、さまざまな分野で長期的な施策、戦略が必要だと思います。
 そこで、その財政負担の平準化のため、基金を積極的に活用していくべきだと思うところでありますけども、十八年度より、大会開催に関連した社会基盤の準備等のための基金を積み立てています。その他の分野への取り組みも重要と考えるところでありますけども、スポーツと文化の振興や国内外の交流を推進し、世界に向けてその活動をアピールすることは、都民、国民の招致機運を醸成するためにも重要だと思うわけであります。
 そのために、スポーツ・文化振興交流基金の有効活用が重要と考えますが、今後の方針について伺いたいと思います。

○渡辺生活文化局長 都民が文化芸術活動やスポーツに親しみ、参加できる機会を充実するとともに、スポーツ、文化を通じた国際交流を推し進めることは、都民が一体となってオリンピック招致に向けた機運を高めていく観点から、これまで以上に重要になると考えております。
 スポーツ・文化振興交流基金は、こうした状況を踏まえ、スポーツと文化の振興及び両事業を通じた国内外との交流推進を目的として設置するものであり、東京芸術文化評議会の提言のほか、オリンピック招致や東京国体開催準備と連動しながら活用を図ってまいります。

○こいそ(明)委員 次に、税制について伺います。
 先週、知事が発表されました個人都民税の減税案についてであります。これにつきまして、改めて知事の基本的な考え方を伺いたいと思います。

○石原知事 我が国はこの間、さまざまな構造改革を推進してはきましたが、しかし、十年前に比べて生活保護の受給者や非正規雇用者が非常にふえておりまして、特に東京都は、他県に比べて倍近い増加率でございます。
 全国の増加率を大幅に上回っている現況でありまして、もちろん、より多くの努力をした者がより多くの報酬を得るのは当然でありまして、格差がない社会などあり得ませんが、しかし、そのセーフティーネットが不十分な現況の中で、ゆがんだ税制を放置すれば、社会の安定と活力が失われかねません。
 こうした状況を踏まえまして、生活保護の対象となる程度の給与しか、年金しか受け取っていない都民の方々の税負担に配慮し、ならば生活保護を受けたらいいじゃないかという論もありますが、これはなかなか手続が厄介でして、簡単にいかないんですね。いろんな調査の必要もありまして。ですから、とにかく、そういう方々に、税法上の不均一課税という考え方を活用しまして、都独自の制度として個人都民税の軽減を行うことにいたしました。
 今後、都議会の賛同をいただくとともに、個人都民税の賦課徴収をお願いしている区市町村の理解と協力もいただきながら、二十年度から実施していきたいと思っております。

○こいそ(明)委員 今回の減税やことしの秋以降に検討が予定されている税体系全般にわたる抜本的な見直しを機に、東京ひとり勝ち論、東京富裕論、これらがあるわけでありますけれども、背景とした財源調整の動きがさらに強まるのではないかと考えるべきではないかと思うんです。
 このような動きに対して、都としてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○菅原主税局長 お答え申し上げます。
 税源の偏在性を殊さらに強調いたしまして、首都であり、また大都市である東京の膨大な財政需要を賄う財源を奪うことは、東京の、ひいては日本の活力を大きく損なうことになります。
 今回の低所得者の方々に対します軽減措置は、現行税制のゆがみを是正するために課税自主権の行使として実施するものでありまして、これをもって東京が富裕であるとするのは全くの的外れでございます。
 都といたしましては、引き続き、地方税制が不合理な財源調整の手段として用いられることのないよう、都議会の皆様方のご協力も賜りながら、他の大都市とも密接に連携いたしまして、不合理な国の動きを断固阻止する覚悟でございます。

○こいそ(明)委員 現在、都税収入は好調でありますけれども、これは景気回復だけではなく、徴税努力などさまざまな取り組みの結果でもあるというふうに認識をしております。
 先日、知事も現場を視察されたようでございますけども、広域化する不正軽油の撲滅作戦、これまでどのように展開して成果を上げてきたのか、伺いたいと思います。

○菅原主税局長 お答え申し上げます。
 都では、都内の路上等での軽油抜き取り調査の実施、あるいはまた、三局合同によります硫酸等の流通調査などによりまして、不正軽油の発見、そして脱税事案の摘発に取り組んでまいりました。
 さらには、都が提案いたしまして、全都道府県が参加いたします全国一斉軽油路上抜き取り調査を初めといたしまして、他の地方団体への職員派遣、あるいはまた共同調査の実施など、広域連携を積極的に推進してまいりまして、不正軽油の撲滅に努めてまいりました。
 これによりまして、不正軽油の検出率は、作戦開始当初の一四%から現在は一%に大幅に低下をしておりまして、環境の改善にも大きく寄与しているというふうに考えております。
 今後とも創意工夫を凝らし、状況の変化に的確に対応しながら、首都圏からの不正軽油の根絶に努めてまいります。

○こいそ(明)委員 今後とも、適正、公平な課税のために他団体との連携を図るとともに、不合理な財源調整の動きに対しては断固とした対応をするように求めたいと思います。
 次に、都有財産の利活用について伺います。
 都は、我が党との強力なタッグによりまして、未曾有の財政危機を乗り越えました。こうした都財政の回復を契機といたしまして、目先の財源対策にとらわれることなく、視野を広げ、中長期をにらんだ施策展開にじっくりと腰を据えて取り組むべき時期を迎えたのではないかと思うところであります。
 都有財産の利活用についてもこのことがいえます。財政難の時期には、売却により当面の財源確保が優先されました。その結果、平成十二年度からこの間、約二千億円の収入を上げ、財政再建に貢献されました。
 しかし、財政危機を脱した今、東京が福祉や環境、文化などさまざまな分野で、より成熟した持続可能な都市として発展していくためには、中長期的視点を持って、都有財産を最大限に活用する施策展開が求められると思います。
 少子化や事業の見直しによって、新たな未利用地が出てくることが予測される中、財産の利活用をどのように進めていくのか、所見を伺いたいと思います。

○谷川財務局長 財政再建を達成した今、未利用の都有財産につきましては、売却するだけではなく、十年後の東京を展望した施策の実現を図るため、より一層効果的に活用する方策を検討し、実施してまいります。
 また、各局が使用しております財産の現況を実地調査し、効率的活用を推し進め、その結果生じる未利用財産につきましても、新たな施策に積極的に転用していくことが重要だと考えております。
 これらの財産の活用に当たりましては、都がみずから使用するばかりではなく、緑化や省エネルギー対策など、都の施策に貢献することを条件とした貸し付けを実施するなど、民間の知恵や活力も取り入れて多様な手法を展開してまいります。

○こいそ(明)委員 次に、行政改革について伺いたいと思います。
 石原知事はこの間、我が党と力を合わせて、徹底した行政改革に取り組んできました。かつて鈴木知事は、美濃部都政下で大きく膨らんだ職員定数を、十六年間の任期中に一〇・五%削減をいたしましたが、一方、石原知事はこの八年間で、鈴木知事の実績を超える一一%もの削減を行ったわけであります。他の道府県の平成十一年度から十八年度までの削減率は五%にとどまっているところでありまして、都の取り組みは際立ったものがあるといえます。
 また、全国に先駆けての職員給与カット、監理団体の統廃合など、徹底した内部努力、さらに、新たな公会計制度の導入や経営の戦略性を高めるための監理団体改革など、質の面からもさまざまな改革を進めてきました。
 さて、今後とも都民の期待にこたえていくためには、国に先駆けて、さまざまな分野で新たな政策を打ち出していくことが必要であります。その下支えとして、行政改革は引き続き重要であることはいうまでもありません。
 そこで、これまでの八年間にわたる行政改革の総括と今後の決意を知事に伺いたいと思います。

○石原知事 八年間の業績といっても、私一人がやったわけではございませんで、これへの評価は、今度の選挙も近いことですから、都民がされることと思いますが、ただ、議会などの協力を得まして、非常に危機的な財政の時点から、内部努力として二万人の定員の削減や思い切った給与カットなども行いましたし、徴税努力など他県が見習うような新手法も講じまして、歳入の確保に努めた結果、都財政はほぼ回復を果たすことができたと思います。
 あわせて、都政運営の質を高めるためには、すぐれた実務感覚とコスト意識を備えた職員の育成が急務であるとも痛感しまして、職員にそういう意識改革を強く求めてまいりました。その手だてとして、当時、日本公認会計士協会の会長でした中地さんにお願いしまして、機能するバランスシートなどもつくりました。これは一部の幹部に研修しましたら、うれしいことに、中堅幹部の方々が私たちもぜひ勉強したいというので、多分、三度か四度にわたって庁内で研修しまして、その結果、欠けていた金利感覚とか時間コスト、そういったものも植えつけられてきたと思います。
 こうした量と質の両面にわたる行政改革を進めると同時に、政策面では、職員の創意工夫を積極的に取り入れて、時には私自身からいい出しまして、国に先駆けたいろいろな取り組みを展開し、都民が実感できる成果を上げてきたとは思います。
 具体的には、認証保育所の設置やディーゼル車の排気ガス規制、銀行に対する外形標準課税やインターネット公売など、国や他県に影響を与える政策を実施してきましたが、特に今回導入しました新たな公会計制度については、行政の体質やあり方そのものをやがて一変させるような改革をもたらす、大きな有益な道具になると思っております。
 今後とも、不断の行政改革を行いまして、十年後の東京の着実な実現に向けて全力で取り組んでまいるつもりでおります。

○こいそ(明)委員 次に、交通局の安全対策に関しましてお尋ねいたします。
 地下鉄などの公共交通では、事故等が発生した場合に、安全を確保しつつ迅速に復旧することが重要であります。鉄道がストップして復旧が長引けば、社会的混乱ははかり知れません。
 都営地下鉄では、列車の運行などをコントロールする指令がありますが、まずその現状と、指令が事故などの異常時にどのように指揮を行う仕組みになっているのか、伺いたいと思います。

○松澤交通局長 お話の鉄道事業における指令につきましては、列車の運行を管理し、異常時の対応の指揮を行うなど、お客様の安全な輸送を図る面からの頭脳部として重要な役割を担うものでございます。
 現在、都営地下鉄では、この指令機能としまして、運輸指令を三カ所設け、浅草線と三田線では同一の指令が所管し、新宿線と大江戸線はそれぞれ独自に指令を配置する一方で、電気の供給を管理する電力指令と連絡、調整を図りながら業務を行っているところでございます。
 事故等の異常が発生した場合につきましては、運輸指令が中心となりまして、電力指令などと十分な連携を図りながら、安全を確認し、電気の供給状態や車両の故障などについて情報を収集して、各列車や駅に的確に指示を行うことによりまして、速やかな運行の復旧を図ることとしております。

○こいそ(明)委員 都営地下鉄の運輸指令所は現在三カ所にありますが、また、電力供給の管理を行う電力指令も別にあると伺いました。
 一方、大手鉄道会社では、指令機能を一カ所に集約して、事故等への対応を効果的に行うという仕組みを導入しているようであります。
 都営地下鉄営業キロ数は、現在百九キロに及んでおります。大規模なネットワークには、それにふさわしい指令システムが必要であろうと思うわけでありますが、そこで、今後、都営地下鉄の指令機能の強化に向けた取り組みについて所見を伺いたいと思います。

○松澤交通局長 事故等の異常時におきまして、さらに安全確保への迅速な対応や運行の早期復旧を図るためには、ご指摘のように、都営地下鉄の大規模なネットワークに対応して、現在の指令機能を総合的かつ効率的な面から強化する必要がございます。
 そのためには、都営地下鉄全線において、運行状況をリアルタイムに把握しながら、お客様へのより正確かつ迅速な情報提供や、復旧に要する時間の短縮が図れるよう、指令としての一元的な指揮命令体制を構築していかねばならない、このように考えているところでございます。
 今回の新しい経営計画においては、こうしたことから、現在三カ所に分散している運輸指令を統合するとともに、電力指令などの機能をあわせ持つ総合指令の構築に着手していく予定でございます。

○こいそ(明)委員 次に、消防と市町村の連携について伺います。
 現在、多摩地域の消防団は、消防団本部が、消防署ではなくて、市役所や役場にいわゆる本部設置をされています。特別区とは消防団制度が違うにせよ、都民、市民が災害の発生時に消防署と消防団が協力し被害を軽減することを望んでいるのは、区部も多摩地域も同じだと思います。
 また、特別区と同様に、多摩地域でも消防署に団本部があれば、署員と団員とのきずながより深まり、一層有機的な協力体制が構築され、災害時の被害の軽減につながるのではないかと思うわけでありますけれども、そこで、東京消防庁は、都民、市民の安全を守るため、消防団の活動体制も含めて、各市町村とさらに連携強化を図っていく必要性があると考えますが、所見を伺います。

○関口消防総監 ご指摘のとおり、都民の安全を守るために、区市町村など他機関との連携を密にし、ネットワークをつくることは大変重要であります。このため、東京消防庁では、国民保護計画の策定を契機に、区や市に職員を派遣しております。
 多摩地域につきましては、現在、十の市へ職員を派遣しており、市や消防団と連携を密にして、市民の安全を守るため、積極的な提言や情報交換を行い、地域防災計画や国民保護計画の策定、各種訓練の実施等を通じ、各市の防災行政全般に大きな成果を上げております。
 今後も、市町村、さらには地元消防団と積極的に連携を図り、地域の防災体制の向上を推進してまいります。

○こいそ(明)委員 科学技術が発達しましても、消防の装備や救助資機材の性能がより向上しても、それを使いこなすのは、技術を受け継いだといいましょうか、いわゆる日ごろの訓練をしている消防官、消防職員、消防団員ではないかと思います。
 あの中越震災で三歳の優太君を救出した。連綿としてテレビのカメラもその場面を中継していましたね。あの大変な状況の中で、声をちょっと出しただけでも、いわゆる土砂崩れといいましょうか、小さな石からどんどんどんどん落ちてきて、隊員の安全が危機に瀕するような中でも生命を救ったということは、これはもう都民、国民が、まさにあの情景を見ても感動したということだと思うんですね。
 その後、国内外の大規模な自然災害にも人道的、国際的貢献をされているということの中、本当に関係者に頭の下がる思いでありますけれども、都民の安全・安心を守るために、消防職員や消防団員というマンパワーの増強が必要であると思います。
 我が党は、消防団員の待遇改善を強く求めてきましたが、復活予算案で二十四年ぶりに費用弁償額の引き上げが盛り込まれたことを高く評価いたします。今後ともマンパワーの確保を要望して、次の質問に移ります。
 東京の抱える慢性的な交通渋滞は、大きな経済損失や環境負荷の増大など、都市の存立にとって致命的な問題であります。
 「十年後の東京」では、三環状の整備による渋滞の解消、街路樹の充実による美しいまち東京の復活が示され、道路整備促進への知事の並々ならぬ姿勢を感じるところであります。
 知事は常々、首都圏の道路整備の重要性や財源確保について、みずからが先頭に立ち、国に積極的に働きかけをするなど、その取り組みについて我々は高く評価するところであります。
 今後、少子高齢化や維持更新の時期を迎え、それに伴う社会保障や更新費用の増加が避けられない中、オリンピック開催に備えるためにも、東京は円滑な交通確保や国際都市としての品格も備えていかなければならないと思います。
 そこで、今後十年における道路整備についての知事の基本的考え方と、整備による具体的な効果についてお尋ねをします。

○石原知事 ご指摘のように、世界に類を見ない集中、集積の進んだこの東京都の致命的欠点は、まさに交通渋滞でありまして、それを解除することで、この集中、集積の持つポテンシャルが生きてくると思います。ゆえにも、幹線道路などの都市インフラを整備して渋滞を緩和させ、二十世紀の負の遺産を解消することが重要だと思っております。
 とりわけ三環状道路の整備は、東京だけではなくて、首都圏、ひいては日本全体のダイナミズムの発揮のために必要不可欠であると思っております。
 また、オリンピック開催に向けても、成熟した都市を世界へアピールするため、都内の街路樹を百万本に倍増するなど、緑豊かな美しい道路空間の形成も目指していきたいと思っております。
 道路整備による具体的な効果として、十年後には、区部の走行速度を、マラソンランナーよりも遅い現在の十八・八キロから、お盆や正月の、あの閑散として優雅な東京の自動車の走行時速は二十五キロと聞いておりますけど、そこら辺に持っていけるんではないかと思っています。
 走行速度の向上は、時間短縮による多大な経済効果や環境改善など、さまざまな波及効果を生み出すと思っております。例えば、昨年五月に環状第八号線の最後の区間が開通いたしましたが、その経済効果だけでも年間三百億円と推定され、わずか五年で事業費千四百億円を上回ることになります。
 今後とも、次の世代へと受け継がれる都市基盤の礎となる首都東京の道路整備を積極的に進めてまいりたいと思っております。
 十年後の東京像では、横田基地の軍民共用化によって、多摩が首都圏の新しい中核として発展する姿を描きましたが、その実現には、多摩の貴重な緑の保全と活用も欠かせないと思っております。横田基地の軍民共用化の取り組みとあわせて、多摩サービス補助施設の返還についても、引き続き国に求めていきたいと思っております。

○こいそ(明)委員 知事の決意を改めて感じさせていただいたところでありますが、道路整備を着実に進めていくには、都民の理解が当然不可欠であります。整備箇所等をわかりやすく示していくことが重要であり、今後十年で具体的にどういった箇所がどのように整備をされていくのか伺います。

○依田建設局長 今後十年で都内の渋滞をおおむね解消するために、目標といたしまして、首都圏三環状道路については、中央環状線を平成二十五年度に全線開通させるなど、約九〇%を整備いたします。また、骨格幹線道路につきましては、環状第二号線や調布保谷線などを全線開通し、区部環状、多摩南北道路それぞれ九五%を整備いたします。
 さらに、連続立体交差につきましては、来年度着手する西武池袋線の石神井公園駅付近など八路線十カ所を完成させ、単独の立体交差なども含めまして合計百二十カ所の踏切の解消を目指してまいります。
 今後、この十年を道路整備の正念場ととらえ、オリンピック開催も視野に入れ、無電柱化や緑のネットワークの形成を図るなど、確実に成果が得られるよう積極的に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 先日、大成功で幕を閉じた東京マラソンも、参加者の皆さんが口々にいわれておりましたけれども、その中の一つとして、東京はとても走りやすいと。それはもう道路が、極めて走りやすい道路整備がされているというようなことだと思いますけれども、そのようなことをいろいろ聞きました。このような中で、今後も確実に整備を進めて、その効果を都民に還元していただきたいと思うところであります。要望いたしまして、終わります。
 次に、我が党の代表質問によって、「十年後の東京」の中で、多摩地域は、圏央道の全線開通、横田基地の軍民共用化に伴う都市機能の充実によって、広く首都圏の中核として発展していく姿が明らかになりました。今後、この近未来の都市像の実現に向けた各分野での計画的、積極的な取り組みに大いに期待をしているところであります。
 今、横田基地の軍民共用化は、知事の強いリーダーシップが日米両国を動かして、実現に向けて大きく踏み出しているところでありますけれども、ところで、知事にもご視察いただきましたが、この横田基地の第三七四空輸航空団が管理する米軍多摩サービス補助施設は、キャンプ場、乗馬、ホテル、レストラン、ディスコクラブ、ゴルフ場など、軍事目的とは直接関係ない、米軍の関係者のレクリエーション施設であります。これはいうまでもありませんけども、国の思いやり予算で運営管理されている。
 昨年は、一部、地元市、稲城市の緑地公園用地として使用が合意されました。依然として百九十五ヘクタールもの面積が米軍に占有され続けておりまして、許可なければ立ち入ることはできません。私も地元の関係者と一緒に、団体の方と一緒に中に入りましたら、あなたは、いわゆる公務員といいますか公の職を持っているので、横田の基地の司令官の許可がなきゃだめなんだ、即刻帰れと、出されそうになりましたけども、それをいったのが日本人なんですね。恐らく日本人、外見は日本人なんですけども。その中で、あなたは大変失礼じゃないか、あなたは同じ日本人として何をいっているんだと、大分いい争いましたけども、最終的には向こうが折れましたけども、そんなこともありました。
 いずれにしても、豊かな自然に自由に触れる、これは私はやはり都民共有のものにぜひすべきだと。百九十五ヘクタールという広大なところですからね、まだまだ原風景が点在しておりますので、このいわゆる米軍多摩サービス補助施設の返還へ、具体的な働きかけをさらに強めていくべきと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。

○石原知事 これは、就任早々、こいそ理事にご案内いただきまして、二人で、私、生まれて初めてあそこに行きました。横田は何度も視察しておりましたけども。
 ただ、あれがアメリカに占領されたまま、あそこにあの形であったというのは、ある意味で僥幸かもしれません。ですから、あれはあのまま日本人のためにも活用すべきだと思いますし、いろいろ調べますと、彼らがあそこで、要するに手放したくないのはゴルフ場ですね。これは何か米軍の変なバニティーで、虚栄心ですか何か知りませんが、空軍は空軍、海軍は海軍のゴルフ場を持つんだそうですけども、たまたまあそこは空軍のあれになっておりますが、空軍の関係者というよりも、東京にありますアメリカの大使館関係者が主に使っているんだと思いますが、これをあのまま使わせても、あとのスペースは当然返ってくると思いますし、今までの交渉の中でその可能性は十分感じておりますが、これはやっぱり、基地の共同使用からやがて返還という外交のゲームの中でカードの出し方がありまして、妙なタイミングで出しますと、あそこだけが返ってきて、肝心の基地が返ってこないということになりかねない。そこら辺のタイミングはこれからの交渉の中でしんしゃくしながら、結果としては、必ず両方が日本の領土として返ってきて日本人が使うということに持っていくつもりでございます。

○こいそ(明)委員 まさに石原知事でなければ、このさまざまな厳しい国際間の外交交渉も、さらに押していけないと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 次に、首都圏メガロポリスを支える中核拠点として、八王子、立川、青梅、町田及び多摩ニュータウンの五つの都市が核都市として位置づけられております。多様な機能集積が進められてはきておりますけれども、まだまだ十分とはいえません。
 東京都心部のいわゆるセンター・コアや、他県の核都市におくれをとらないように、核都市の育成、整備の道筋を改めて明らかにすべきと考えますが、所見を伺います。

○柿堺都市整備局長 都は、東京圏全体を視野に入れた環状メガロポリス構造の構築を目指しておりまして、その一翼を担う多摩地域の核都市の育成、整備が重要であると考えております。
 このため、立川基地跡地関連などの先導的整備プロジェクトによる機能の集積や、道路などの都市基盤整備を進めてまいりました。
 これまでに、核都市のある七市では、業務・商業機能を担う事務所、店舗などの床面積が、過去十年間で約二四%増加しております。
 都としては、本年六月に圏央道が中央道と接続するという好機をとらえ、広域交通ネットワークの強化や産学公連携などにより、業務機能や新たな産業機能の立地誘導を積極的に促進してまいります。

○こいそ(明)委員 次に、核都市の一つである四市にまたがる多摩ニュータウンについて伺います。
 多摩ニュータウンのまちづくりは、四十年間にわたり、多くの人的、技術的費用をかけて都市基盤整備が進められてきました。この財産を有効に活用して、多様な機能を集積させた都市づくりをさらに進めていくべきと考えますが、所見を伺います。

○柿堺都市整備局長 多摩ニュータウンは核都市の一つとして、水準の高い都市基盤や豊かな自然を生かし、人々が集う複合拠点として位置づけられております。
 都といたしましては、業務等の多様な機能の立地促進を図るため、駅周辺地区の未利用地を適切に活用することが重要であると認識しております。
 このため、宅地販売に当たっては、関係部局による横断的な検討会や地元市等との連絡会議を通じ、都市計画制度の活用や、産業施策と連携した企業誘致を図るなど、さまざまな取り組みを行っております。
 最近では、景気動向を反映し、この地域への企業の進出意欲が高まっていることを踏まえ、今後とも地元市等と連携し、多様な都市機能が調和した活気あふれる都市づくりに積極的に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 次に、都県境を越えた道路ネットワークについてであります。
 圏央道は、本年六月には中央道まで、さらに平成二十四年度には東名道まで開通が予定されております。神奈川県、埼玉県との結びつきは飛躍的に向上するわけであります。これにより、都内から隣接県のインターチェンジへのアクセスが増加するなど、都県間の交通は大きく増加し、都県境を越えた道路網の整備が重要となってきます。
 東京都は、本年一月に公表した多摩リーディングプロジェクトでもこの問題を取り上げておりますが、改めてこの施策の意義について伺います。

○柿堺都市整備局長 首都圏における交通の流れは、放射方向に比べ、環状方向が大きく増加しております。このうち多摩地域では、神奈川県や埼玉県方面との交通需要が十年間で約一・三倍に伸びており、都県境を越えて人や物の交流が活発化しております。また、圏央道の整備の進展に伴い、多摩を中核とした首都圏での都市間連携が求められてきております。
 このような状況から、都県境を越えた道路ネットワークの形成について、昨年四月に策定した多摩地域における都市計画道路の整備方針の中で、その重要性を位置づけたところでございます。
 今後とも、隣接県との連携を強化し、都市計画道路の整備効果を最大限発揮させるよう努めてまいります。

○こいそ(明)委員 都県境付近の道路網の形成は、物流の効率化など広域的な観点からも重要であり、都が積極的に取り組むべきと考えますが、今後の具体的な取り組みについても伺いたいと思います。

○柿堺都市整備局長 都県境を越えた道路ネットワークを形成するためには、都市計画道路を相互に整合させ、連携して整備を進めることが重要でございます。
 そのためには、交通需要の見通しや都市計画道路のルート、線形、整備時期などについて、広域的な観点から幅広い検討が必要であり、これまでも隣接県等と協議、調整を行っているところでございます。
 今後とも、これらの協議や検討を強化するとともに、必要に応じて都市計画の手続を行うなど、首都圏を見据えた道路網の形成に向けて積極的に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 多摩地域は、先端技術を持つ中小企業や大学、研究機関が数多く立地するなど、極めて高いポテンシャルを有しています。
 都は、産業振興に向け、技術、経営のワンストップサービスを行う支援拠点を平成二十一年度に開設することとしておりますけども、この拠点を核とした多摩地域の中小企業のニーズに応じた支援を充実させるべきであると思います。所見を伺います。

○島田産業労働局長 都は、平成二十一年度、多摩の都立短大跡地に産業支援拠点を開設いたします。ここでは、エレクトロニクス分野の支援機能や産学公交流センターの設置によるネットワーク機能などの強化を図り、多摩の産業特性を踏まえた技術支援、経営支援を充実してまいります。
 また、立川技術専門校の機能を強化し、地域の産業人材の育成拠点として設置する多摩職業能力開発センターが、平成二十三年度を目途に、同じく都立短大跡地に移転する予定であります。
 こうした支援体制の充実により、経営から技術、人材まで幅広い中小企業ニーズに対応した総合的な支援を展開してまいります。

○こいそ(明)委員 東京国体は六年後に迫ってまいりました。国体の成功は無論でありますけども、主な開催地域となる多摩地域のスポーツ振興や都市基盤の整備は、国体の三年後の東京オリンピックにつなげていく上でも大きな意義があるものだと思います。
 今後、国体を契機に多摩のまちづくりが大きく前進するものと考えますが、多摩振興を担う総務局に、国体の開催を通しての多摩振興についてどのように取り組むのか、伺いたいと思います。

○大原総務局長 平成二十五年に多摩・島しょ地域を中心に開催されます東京国体は、スポーツ振興のみならず、地域の活性化を図る上でも大きな意義があると考えております。
 都はこれまでも、国体開催に向けた準備を着実に進めてきておりまして、多摩のすべての市町村が競技会場地の選定の希望を表明するなど、大いに機運を盛り上げてきたところでございます。
 平成十九年度からは、国体の準備組織を総務局に移しまして、六年後の大会開催に向け準備を本格化してまいりますとともに、インフラ整備やまちづくりなどを推進するため、関係局や市町村と積極的に調整をし、総力を挙げて多摩振興に努めてまいります。

○こいそ(明)委員 さて、昨今、地球温暖化の危機的状況が、より科学的に明確にもなってまいりました。先月公表されました国連のIPCCの最新報告書では、二十一世紀末には、地球の平均気温が最大で六・四度上昇し、その原因は人間の経済活動による温室効果ガスの排出が主な原因であることを実証して見せました。
 この危機を回避するには、二十一世紀半ばまでに、世界全体で少なくとも五〇%、日本など先進国ではそれ以上の割合のCO2排出量を削減しなければなりません。一見、不可能に見えますが、最近の専門家の試算によれば、GDPの一%相当を温暖化対策に充てることで、二〇五〇年に七〇%の削減は可能であろうとしています。
 今回、都は、二〇二〇年までに二五%削減目標を立てましたが、対策を徹底的に行えば、十分達成可能な目標であると考えます。この目標の達成に向けて、東京の企業、都民を広く巻き込む大きなうねりをつくり出すためには、事業所や家庭、運輸、交通など、各分野でどのような取り組みをどの程度進める必要性があるのかをわかりやすく示し、目標を共有化する必要があると思いますが、所見を伺います。

○村山環境局長 東京のCO2発生量の大幅な削減を実現するためには、都民、事業者など都内のあらゆる主体が、地球温暖化対策の強化に向けて果たすべきみずからの役割を明確に認識し、それぞれの持つポテンシャルを最大限発揮して削減に取り組むことが必要でございます。
 このため、来年度に改定いたします環境基本計画におきましては、家庭や企業における省エネルギー化、再生可能エネルギーの導入など、都市活動のさまざまな局面で進めるべき新たな取り組み内容を具体的に明らかにしてまいります。
 改定に当たりましては、これらの内容が、お話しのように都民や事業者にとって明確でわかりやすいものとなるよう努めてまいります。

○こいそ(明)委員 次に、再生可能エネルギーの利用拡大について伺いますが、高いレベルを目指す上で実現しなければならないのは、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーの爆発的な普及ではないかと思うわけであります。
 都が行った調査では、都内の太陽光発電は三万キロワット足らずというのが現状であります。今後、太陽エネルギーの利用促進を図るには、「十年後の東京」で示した百万キロワットに拡大するために、今までと違った取り組みが必要であるわけであります。そのためには、これまで太陽光発電に比べて余り注目がされてこなかった太陽熱の利用に力を入れることが必要ではないかと思うところであります。
 太陽熱利用というと、日本では、メンテナンスに難のあった昭和五十年代の太陽熱温水器など、余り印象がよくない方もあろうかと思いますが、今日では、熱交換性能にすぐれて、デザイン的にも質の高いものが生まれてきております。
 三月に開催する太陽エネルギー利用拡大会議では、太陽熱の利用拡大も検討されると思いますが、今後どのような検討を行い、太陽熱の普及を図るのか、伺いたいと思います。

○村山環境局長 太陽熱を利用する機器は、我が国では、お話にもございましたように、一般に、旧来型の古い太陽熱温水器のイメージが強うございます。しかしながら、最新の装置では、給湯だけでなく、床暖房などの暖房用にも、また、さらには冷房用にも太陽熱のエネルギーを利用することが可能になっております。
 本来、家庭でのエネルギー需要の中では、余り高温ではない熱の需要が多いため、その意味でも、太陽熱を住宅で使うことは、エネルギーロスの少ない、理にかなった利用法でございます。
 今回設置した検討会におきましては、こうした太陽熱のメリットを生かした製品開発を促進する性能基準を明確にするほか、環境商品としてのイメージアップ戦略の構築、太陽熱機器メーカーや住宅メーカー、さらにエネルギー事業者等が有機的に連携する仕組みづくりなどを進めまして、太陽熱の利用拡大を実現してまいります。

○こいそ(明)委員 この会議での検討を、東京での太陽エネルギー利用の拡大にぜひつなげていただきたいと思います。
 次に、下水汚泥炭化事業について伺います。
 知事の施政方針演説にあったように、下水汚泥炭化事業は、民間と連携した手法により温室効果ガス排出削減を図っていくものであり、我が党もこれまで議会で取り上げ、事業の推進を訴えてきたところであります。
 そこで、この事業の取り組み状況と、下水道局の温暖化防止に向けた今後の取り組みにつきましてお尋ねしたいと思います。

○前田下水道局長 汚泥炭化事業は、下水汚泥からバイオマス資源である炭化物を製造し、発電燃料として売却する国内で初めての事業で、民間と連携して進めているものでございます。
 汚泥炭化施設は年内の稼働を予定しており、これにより、二酸化炭素に換算すると、一年間で約三万七千トンの温室効果ガスの削減が可能になります。これは、山手線内側の面積の約二倍に当たる森林が吸収する量に相当いたします。
 今後とも、下水道局の地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四に基づき、汚泥炭化事業や汚泥の高温焼却を推進するほか、省エネルギー機器などの新技術の開発、導入を進め、さらなる温室効果ガスの排出量の削減に向け、積極的に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 次に、自動車部門の温暖化対策も重要であると思うところでありますが、自動車部門のCO2排出量を大幅に削減するためにも、大規模事業者の取り組みとともに、大多数を占める小規模事業者の方々の取り組みが、より一層重要だと思います。
 そうした中で、経営体力などの面で厳しい状況にある小規模事業者を支えて、意識向上や研修に取り組もうとする自主的なCO2削減の動きがトラック業界の団体で生まれています。
 そこで、まず、こうした自主的なCO2削減の取り組みを都はどのように評価しているのか、伺います。

○村山環境局長 都内のトラック業界の事業者団体におきましては、昨年四月から、会員のCO2削減の取り組みを促すために自主的な取り組みを実施しております。
 この取り組みは、会員から所有車両の走行距離や給油量などのデータ提供を受けまして、燃費データを集約した成果を会員に送付するとともに、研修会などを行うものでございまして、小規模事業者を含め、事業者団体の会員経営者などの環境配慮意識の向上を図る上で大きな成果を上げつつあると伺っております。
 都といたしましては、全国に先駆けた事業者団体によるCO2削減を目指す自主的な取り組みとして、大変意義のあるものと認識しております。

○こいそ(明)委員 今評価をされましたように、大変関係者の方々も頑張っておられるところであります。しかし、これを永続的な取り組みにしていくためには、経営者や運転手個人の意識にとどまらない組織的な取り組みを行い、日常業務の中に定着をさせていくことが肝心だと思います。
 そのためには、教育訓練や検証等、目標を定めてシステム的に行うソフトの仕組みをしっかりと構築することが大切だと思います。経営体力の乏しい小規模事業者にとっては、そこが大きな壁になっているのが現状であります。
 他方、取り組みが進めば、その成果やノウハウは、自動車関連のさまざまな業界にも普及して活用できるなど、大きな意義があるわけであります。
 こうした自主的な取り組みを一層高めていこうとする動きを都としても積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。

○村山環境局長 事業者団体のこのような自主的な取り組みの今後の課題といたしましては、今お話もございましたように、意識の向上からさらに発展させていくために、CO2削減などの具体的な目標に向け、教育訓練や検証等を組織的に行うソフト面の仕組みづくりを、小規模事業者を含めて進めることで取り組みを確実に定着させていくことでございます。
 仮に、こうした課題が達成され、事業者団体のCO2削減に向けた新たな取り組みモデルが構築されるならば、これを他の業界や事業者などにも普及し共有することで、大きな波及効果が期待できるものと考えております。
 したがいまして、都といたしましても、現在の自主的な取り組みをさらに一層充実させる、こうした先駆的、組織的な取り組みへの支援に向けまして検討してまいります。

○こいそ(明)委員 ぜひとも積極的な対応をお願いいたします。
 一方、こうしたソフト面からの仕組みづくりに加えまして、最近、交通事故の防止や燃費効率改善、そしてCO2削減にも大きな効果があるといわれるドライブレコーダーなどの機器の開発が進んできております。現に大規模事業者の場合は、相当程度の普及が進んできているということのようでありますけれども、ただ、こうした機器の活用をする上で、データ分析や経営管理など高い水準の経営能力が必要で、また、規模のメリットが発揮しにくいなどのことから、小規模事業者への導入は余り進んでいないようであります。
 しかし、先ほども述べましたように、自主的な取り組みがしっかりと組織的に定着するにつれまして、小規模事業者の中にも、機器を使って一層のCO2削減などに挑戦をしようとする動きが盛り上がってくることは間違いないと思います。
 そうした運動が育つことは、他の業界を含めまして、東京のCO2削減対策の新たな原動力につながるはずだと思うわけでありまして、こうした自主的な、かつ新たな運動が業界の中に育ってくる中で、機器導入についても都として支援策を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。

○村山環境局長 交通事故防止等のみならず、CO2削減などにとっても、ドライブレコーダーなどの機器は有効でございまして、大規模事業者などでは導入が一定程度進んでおります。
 一方、多くの小規模事業者におきましては、導入の前提となります経営や運営の体制面などで、お話しのように種々課題もあることから、早急に導入するのが難しい状況もあると伺っております。
 しかしながら、今後、さきに述べた組織的な取り組みが充実、定着していく中では、小規模事業者の間にも、機器を導入し、これをCO2削減などに活用していく条件が整っていくものと期待しております。このようにいたしまして、機器も導入したCO2削減努力が小規模事業者を含めて普及していくことは、大きな意義を持つものでございます。
 したがいまして、都といたしましても、組織的取り組みの進展状況などを踏まえながら、自動車部門のCO2削減に向けた広範な運動の推進に資する観点に立ちまして、機器導入への支援に向けまして検討してまいります。

○こいそ(明)委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 大都市東京がパワーを持って地球温暖化対策に真剣に取り組んでいるわけでありますけれども、このことは国際的にも評価され始めております。国際的な交流を深めながら、あらゆる機会やメディアを通じて東京の環境政策を発信していくことが重要であると思います。
 これまでの国際交流や海外情報発信の取り組み状況について伺います。

○村山環境局長 都が取り組んでまいりましたディーゼル車対策など、先駆的な環境施策に対しましては、国内のみならず海外からも高い関心が寄せられております。
 これを反映いたしまして、この数年、ソウルや香港、台湾などアジアの各地域を初め、ドイツ、スウェーデンなどの欧州各国、さらにはアフリカ諸国に至るまで、世界各地から多くの調査団が訪れてきておりまして、都はこうした機会などを通じまして、環境施策の取り組みを発信しております。
 さらに、最近は、地球温暖化対策における海外連携を積極的に強化するため、イギリスやドイツの大使館との共同イベントの開催、政策協定に基づくロンドン市への調査団の派遣、気候変動に取り組む国際的なNGOとの連携など、国際交流や発信へのより積極的な取り組みを進めております。

○こいそ(明)委員 温暖化対策への世界の動きが加速していく中で、今こそ、東京の取り組みを世界に発信するチャンスであると思います。知事の所見を伺いたいと思います。

○石原知事 地球温暖化対策は、最大の二酸化炭素排出国が京都議定書を批准していないなど、自国の利益が優先されて、国家レベルでの足並みがそろわず、地球規模の取り組みにまだ至っておりません、残念でありますが。そのため、多量のエネルギーを消費する世界の大都市が先頭に立って、みずから手本を示し、国家、企業の行動を促す必要があると思います。
 こうした取り組みを進めるために、ロンドン市の提唱によりまして大都市気候変動グループが創設され、現在、ニューヨーク、パリなど、二十を超える大都市が地球温暖化阻止に向けて連携を始めております。
 昨年十二月には、東京都も依頼を受けましてこの連携に参加し、環境負荷の少ない都市の実現に向け、志を同じくする大都市との連携をより一層深めることにいたしました。
 ことし五月には、この大都市気候変動グループによるサミットがニューヨークで開催されます。私もこのサミットに都知事として参加し、都の先駆的な施策や取り組みを広く世界にアピールするとともに、これらの大都市との連携を通じ、二酸化炭素の削減に向けて積極的に世界に貢献していきたいと思っております。
 いずれにせよ、まず大都市が動くというにしても、ちりも積もれば山となるという言葉がございますが、小さな小さな積み上げが綿密に重なることが必要だと思います。
 私、非常に感動しましたのは、先週、皇居に伺いまして、年に一度の東京問題のご進講をいたしました。かなり部屋が寒いので、侍従長に、出てきた後で、あれで陛下はお寒くないんですかといったら、陛下はずっと二十度に室温を保っておられますと。天皇もそれだけ、つまり環境問題に配慮されているということを目にしまして、非常に強い印象を受けました。

○こいそ(明)委員 東京都が先進的な環境都市を目指す上で、特に緑は、生態系の根源をなすものとして重要な位置にあると思います。ヒートアイランド現象の緩和や生態系の保全など、多様な役割を担っています。
 「十年後の東京」では、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活が目標として掲げられており、今後、オリンピック開催をにらんで、世界に誇れるまち東京を実現するには、緑化の推進に官民挙げて取り組むことが必要だと思います。
 そこで、緑あふれる東京の将来像を実現するためにどのような緑化政策を推進していくのか、伺います。

○山口知事本局長 東京をさらに成熟した都市としていくためには、水と緑に囲まれた潤いのある都市空間を創出していく必要がございます。
 このため、さきに設置しました緑の都市づくり推進本部におきまして、街路樹の倍増、全小中学校の校庭芝生化などの実現方策を具体化するとともに、実施に当たりましては、新たに創設する地球温暖化対策推進基金も活用してまいります。
 また、こうした都の率先行動に加えまして、都民、区市町村、企業など、東京を支えるさまざまな主体と協働して、東京全体で強力に推進していくことが必要であります。
 このため、民間の都市開発事業者などに一層の緑化を求めるとともに、校庭の芝生管理に地域の力を結集する芝生応援団の創設などを図ってまいります。また、東京全体の緑を増加する広範な都民運動となるように、新たな募金の仕組みを構築してまいります。

○こいそ(明)委員 ただいまのご答弁の中でも、他のところでも聞いているわけでありますけれども、募金の活用でありますが、都民の参加意識を促しつつ、一体となって緑をふやしていくには、これも一つのアイデアだと思います。
 一方、現在、緑化の関係だけでも複数の募金が設けられていると聞いておりますけれども、今後、都民にわかりやすく、また効果的に募金活動を進めていくにはさまざまな工夫が必要だと思います。
 そこで、今後どのように募金による緑化を進めていくのか、伺います。

○山口知事本局長 募金による緑化を進めていくためには、都民、企業にとってわかりやすく、受け入れやすい募金の仕組みをつくっていくことが重要であります。
 具体的には、募金をする都民、企業にとりまして、実際の使われ方が明確になっていること、税法上の優遇措置が受けられること、都市緑化基金や花粉の少ない森づくり募金など、既存の募金との整合のとれた仕組みとなっていることなどが必要でありまして、現在、緑の都市づくり推進本部でそれらについて検討を進めております。
 こうした募金の仕組みを早期に立ち上げまして、例えば文化、スポーツイベントとタイアップを行うなど、さまざまな機会をとらえまして都民、企業に参加を募り、東京全体の緑のムーブメント創出につなげてまいります。

○こいそ(明)委員 新しい募金の仕組みが、都民を初め東京全体にムーブメントを巻き起こしていくために大きな役割を果たすものと期待をします。
 多摩の緑は、西多摩の森林と都市部の緑をつなぐ重要な役割を担っていますが、近年、開発などにより、大きく失われつつあります。東京では、平成十年からわずかこの五年間で、東京ドーム六百十個分の緑が失われているという危機的な状況となってきています。
 多摩には、極めて珍しい、また絶滅が危惧をされている植物が数多くありますが、環境省のレッドデータブックにも記されているその一例がタマノカンアオイであります。多摩丘陵とその周辺部にしか生息していないもので、故東京大学名誉教授の前川博士によりますと、分布速度は一万年に一キロメートルしかないという、大変繁殖力が弱い貴重な植物であります。悠久の時を超えて生息してきたわけでありますけれども、開発により絶滅寸前の状態であります。
 丘陵地などの緑を、量と質をあわせて保全するには、自然保護条例による保全地域制度が最も有効であると考えますが、ところが、この八年間、緑地保全地域の新規指定がなされていません。一方、地元自治体の中には、みずからが積極的な役割を担って、ぜひ緑を守りたいという強い意欲を持っているところもありますが、都は、こうした意向にこたえて、緑地保全地域制度を活用し、緑を保全する仕組みを検討すべきだと思います。
 今後の緑地保全地域の新規指定への取り組みについて伺います。
 ちょっと続きますけれども、無秩序な開発によって身近な緑が消失してしまう事例が多々見られるわけでありますが、緑をバランスよく誘導して、公園や緑地などの緑のネットワークづくりの観点から適切に確保し、秩序あるものにしていく必要性があると思います。
 多摩地域だけじゃありませんけれども、この緑化について、とりわけ多摩地域のまちづくりにおける緑の創出への取り組みはどのようにされるのか、伺います。

○村山環境局長 最初のご質問の方にお答えさせていただきます。
 市街化の波に洗われ、減少傾向が続いております多摩地域の緑を守っていくためには、都がさまざまな施策を重層的に展開する必要があるのはもとよりでございますが、同時に、地元の自治体や住民の強い熱意に裏打ちされた精力的な参画があることが非常に大切でございます。
 地元自治体の中には、そうした立場に立ちまして、みずから積極的な役割を担って地域の貴重な緑を守ろうという意欲を持っておられる団体もあり、こうした自治体との連携した取り組みを進めることが、これから緑の保全を進める上で重要だと考えております。
 今後は、地域の緑を継続的に守るために必要な用地取得や維持管理などにつきまして、意欲ある地元自治体に一定の役割を担っていただく新たな仕組みをつくることによりまして、緑地保全地域制度を有効に活用し、多摩地域などにおける緑の量と質の保全に一層積極的に取り組んでまいります。

○柿堺都市整備局長 二点目のご質問でございますが、これまで、多摩地域の特色を生かしつつ、過去十年間におきまして、公園事業や区画整理事業などによりまして六百ヘクタール以上の緑を確保するとともに、道路の緑化などを積極的に推進してまいりました。
 これからは、こうした個々の取り組みに加えまして、道路、公園等の緑と地区計画等で生み出される緑とを相互に連携させ、広がりと厚みのある緑のネットワークを形成する環境軸への取り組みが重要でございます。このため、その骨格となる幹線道路や公園を計画的、効率的に整備していくとともに、民間開発により生まれた緑や地域の緑とのつながりを強化してまいります。
 こうした公共と民間の取り組みにより、多摩地域の特色ある緑のネットワークを実現してまいります。

○こいそ(明)委員 この問題の締めといたしまして、東京の緑は時代の変化の激しい波を受け、危機に瀕しております。緑を守り、創出していくためには、思い切った方策を具体的に、かつ劇的に展開していかないと間に合わないと思います。
 知事が提示されている、緑と澄んだ空気の快適な東京を実現するためには、こうした観点に立って、東京全体で、地域の特質に即した緑政策を都政の総力を動員して実施していくべきと考えますが、知事のご決意をお願いいたします。

○石原知事 東京には、各地域にそれぞれ特徴のある緑が存在しておりますが、特に多摩地域では、丘陵地に点在する里山、市街地のあちこちに残る農地や雑木林など、人々の暮らしに沿うような緑が広がっておりました。
 しかしながら、戦後の急速な都市成長に伴う都市開発の中で多くの貴重な緑が失われてきておりまして、今、多摩地域に残されている緑も、里山で行われてきた農業の衰退や宅地開発などにより、消失の危機にさらされております。
 環境に十分な配慮を行い、多摩の緑を保全していくことは、「十年後の東京」が目指す緑豊かな東京の実現にとって不可欠な要因でございます。
 都は、規制、誘導、税制、都市計画など、みずから持てる知恵と力を総動員するとともに、地元の市や町ともしっかり連携して、多摩に残るすばらしい緑を確実に次の世代に引き継いでいくため、積極的な取り組みを進めていくつもりでございます。

○こいそ(明)委員 「十年後の東京」に示されたように、緑に囲まれ、水辺と共存した都市空間を創出することは重要であります。そのためには、緑の育成に資する水が不可欠となります。
 雨が森林や農地などに浸透して涵養され、時間を経て湧水などになり、川の流れとなります。しかし、都市化の進展により土地がアスファルトで覆われるようになり、水の浸透機能が低下して、多摩川の支流である野川や残堀川などでは水枯れが問題になってきています。また、流れる水の減少によって、魚などの生育する場や都民が親しめる水辺が少なくなるなどの影響が出てきています。
 こうした現象は、自然の水の循環が損なわれていることが原因であります。そこで、都として、望ましい水の循環についてどのような認識を持っているのか、伺います。
 続きますが、都市型水害をもたらす最近の雨の降り方に見られるように、水を取り巻く環境は、我々の予測を大きく超えて変化しています。このような状況に対応するためには、対症療法では間に合わず、予防的、戦略的施策展開を図ることが必要だと考えます。
 このことを踏まえ、環境局は速やかに、雨が降るとどのくらいの水が地下にしみ込み、どのくらいの水が川や下水に流れ込むのかなど、地域ごとにきめ細かく調査をして地図上で明らかにすることが必要であると考えますが、見解を伺います。

○柿堺都市整備局長 一問目のご質問でございますが、水は、絶えず循環することで生態系を支えるとともに、地面、水面や植物からの蒸発散によりヒートアイランド現象を緩和するなど、都市環境を支える大切な役割を果たしております。こうした観点から、都は、地下水の涵養、再生水の活用などに取り組んでおります。
 今後とも、快適な都市環境を形成するため、都内で新たに一千ヘクタールの緑地を生み出すことを目指し、雨水の浸透を図るなど、さまざまな施策を総合的に展開することにより、望ましい水環境を積極的に回復してまいります。

○村山環境局長 多摩の森林から都心の市街地まで多様な特性を持つ東京におきまして、水循環の総合的な対策に取り組む上では、雨水の地下への浸透の度合いやその影響を地域単位できめ細かく把握することが必要でございます。
 このため、来年度、当局といたしましては、東京全域を百平方メートル単位で区分いたしまして、その地域に降った雨のうち、地下に浸透する量、浸透せずに地表を流れる量、そのうち河川や下水道に流れ込む量などを明らかにする水収支調査を実施し、その結果を詳細でわかりやすいマップとしてお示しする予定でございます。
 このマップは、集中豪雨時における市街地への影響を予測する上で役立つほか、地下水の涵養状況など、雨水が東京の環境に及ぼすさまざまな影響を地域単位で明らかにするものでございまして、都政の各分野における水循環に関連する施策の基礎資料として有効に活用できるものと考えております。

○こいそ(明)委員 次に、下水再生水の活用についてであります。
 「十年後の東京」や知事の施政方針で、再生水は都市の貴重な水資源であり、今後とも活用を図るとされております。そこで、再生水の活用状況と利用の拡大に向けた今後の取り組みについて伺います。
 また、このように、自然の水循環回復の取り組みは各局にまたがっておりますので、施策の推進に当たっては、今後一層、各局の横断的な連携を強化し、戦略的な取り組みが必要であると考えます。自然の水循環を回復させる事業を「十年後の東京」の環境都市づくりのメニューとして強力に推進すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 また、古代ギリシャの哲人タレスは、万物は水から生成し、また水へ戻っていくと考え、万物の根源は水であると述べています。この地球上をさまざまな姿で循環し、あらゆる生命をはぐくむ水の重要性について知事はどう思われるのか、伺います。

○前田下水道局長 下水再生水の活用状況についてでございます。
 現在、当西新宿地区など五地区で水洗トイレなどの雑用水として供給しているほか、枯渇しました玉川上水や目黒川などの清流復活用水として年間約四千二百万立方メートルを供給しております。また、夏場には、ヒートアイランド対策として、都道などの道路散水用水にも供給しております。
 今後の利用拡大につきましては、平成十九年度には永田町及び霞が関地区、平成二十年度には八潮及び東品川地区にも供給を開始し、経営計画期間中に供給地区を七地区に拡大する予定でございます。この拡大に伴い、年間約九十万立方メートルの供給量の増加を見込んでおります。
 今後とも、都市の貴重な水資源である再生水を有効に活用するため、道路散水用水などの利用用途や供給先の拡大に積極的に取り組んでまいります。

○石原知事 かつて人間で初めて宇宙を飛びましたガガーリンは、宇宙船の上から、地球は青かったと申しておりましたが、先般いろいろなお話を伺った日本の代表的な宇宙飛行士の毛利さんも、地上三百キロの高さから眺めた地球は見事に青く美しく輝いている、あれは全部水のせいだといっておられましたが、いずれにしろ、この日本という国土は四方を海に囲まれて、日本人は広大な水の存在に対してある種の畏怖も感じているようでありますが、一方では、温暖湿潤な日本の気候風土が、四季折々のさまざまな水の変化の姿を見せてくれております。
 和歌山県の新宮の神社などは、まさにあの滝がご神体そのものとして祭られておりますけれども、この東京も、東京の都市活動はこうしたおっしゃるとおりの水の循環に支えられていることを忘れてはならないと思います。とりわけ多摩地域にはその大きな恵みが数多く存在しておりまして、水をめぐる貴重な環境をこれからも守り、はぐくんでいきたいと思っております。

○こいそ(明)委員 次に、産業政策について伺います。
 石原知事は、就任以来、斬新なアイデアと抜群の実行力で産業政策を推進してきました。ベンチャー技術大賞の創設、債券市場、CLO、CBOの創設、知的財産総合センターの設置など、中小企業の可能性を存分に引き出してきたのであります。
 ところが、共産党は、中小企業に冷たい石原知事といっており、中小企業予算の多寡や増減だけをもって政策を評価しています。しかし、政策は質こそ重要であり、いかに効果的、効率的な施策展開がなされたかということをもって評価すべきものであります。
 こうした点から、知事が打ち出した施策は、時代の変化を先取りした首都東京の産業力強化の礎となるものであり、我が党としても高く評価するものであります。
 こうした認識に立って、東京の今後の産業政策について幾つか伺います。
 企業の品質管理の国際標準としてISO九〇〇一がありますが、近年、特に欧米に輸出しようとする場合は、これを取得していることが前提となっているようであります。
 そこで、実はこれは中小企業のさまざまなパターンがあるのですけれども、例えば新規にどのくらいかかるか。一例でありますけれども、四百六十六万六千円、そしてこれを取得したとしますと、翌年は九十三万、その翌年は六十四万四千円、そしてその翌年は、更新でありますから百三十八万、そしてその翌年は九十五万と、取得時だけではないんですね、これは。
 非常に厳しい中小企業の、時には役所の中で、ポイント制並びに業種によってはそれを取得しないといわゆる指名参加もできない、こういう現状があるわけなんですが、これにつきましてどのように認識をされているかお聞きしたいと思います。

○島田産業労働局長 ISOの認証取得は、品質管理等の重要性の高まりを背景にいたしまして、海外取引のほか国内の取引においても重要なものとなってきております。また、企業みずからが品質管理体制の構築など業務の改善に取り組むきっかけとなるものであります。
 しかし、中小企業にとりまして、ISOの認証取得は、今、先生からご指摘ありましたが、人員や費用の点でかなりの負担になることも確かであると認識しております。

○こいそ(明)委員 確かに予算的な面、それから人的な面、さまざまに負担が重いんです。一回行って、一人で六十万、七十万、いろいろあるそうでありますけれども、これは、コンサルタントは大変いいと思うんですね。しかし、実際上、取得する、取得してからの中小企業は大変なんです、はっきりいって。
 それでは、都としてこのような状況に今後どう対応していくのか、伺います。

○島田産業労働局長 ISOの取得の支援についてでありますが、東京都中小企業振興公社におきまして、ISO審査員の資格を持つ専門家が、相談窓口で電話相談及び来所相談に対応するとともに、中小企業の希望に応じ、訪問による実地支援を行っております。
 また、ISOの認証取得にかかわる知識、ノウハウが容易に得られるよう、ISO取得支援セミナーを開催するとともに、申請料や審査費用等の助成を行っております。さらに、取得に必要な経費につきましては、制度融資による金融支援も行っております。
 今後、ISO取得に役立つ情報をわかりやすくコンパクトにまとめ、公社のホームページで新たに提供するなど、都内中小企業の支援を充実してまいります。

○こいそ(明)委員 いずれにしても、都内の中小事業者の実態をよく把握していただいて、調査して、今後の都内の中小企業者のためにしっかりと支援策を、ご判断もあろうかと思いますが、判断をしていただきたいと要望いたします。
 次に、平成十九年度重点事業であります重点戦略プロジェクト支援事業についてであります。
 波及効果の高い民間事業プロジェクトに対して、研究開発から事業化、販路開拓まで効果的な支援をタイムリーに展開する事業であり、その成果を大いに期待するところでありますけれども、プロジェクトを成功に導くには、高度な専門性や目きき能力による支援が必要とされることから、既存の行政による支援のみでは限界があると考えます。どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

○島田産業労働局長 ご指摘の重点戦略プロジェクトを成功に導くためには、専門分野に精通した目きき能力と経営や技術の支援能力が不可欠であり、こうした能力を持った民間の専門家等を活用してまいります。
 具体的には、プロジェクトの選定に当たって事業化の可能性評価を的確に実施し、また、プロジェクト開始後は、その進捗に応じた専門的な技術アドバイス等をタイムリーに行ってまいります。さらに、早期事業化を推進するため、制度融資による資金調達支援や販路開拓支援など、他の施策との連携にも取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 本事業の成功が、取引連鎖の発生や技術の応用、転用など、さまざまな経済波及効果につながるものと期待をしています。
 思い返してみると、石原知事就任当時、日本経済はバブル崩壊後の長期低迷という厳しい時代でありました。知事は、こうした危機をさまざまな施策によって打開し、大きな成果を上げてきたわけでありますが、この流れを確かなものとするために、知事にはぜひ、引き続き産業行政のかじ取りを担っていただきたいものであります。
 そこで最後に、今後十年後を見据えた知事の産業振興に対する決意を伺いたいと思います。

○石原知事 その国の力、国力を何をもってするかといえば、いろいろ論があるでしょうが、軍事力であるとか、金融力もそうでしょう。そして、文明の発展工学ということからすれば、私は技術力というものが圧倒的に大事な国力の一つだと思っております。
 東京は、先端技術を有する中小企業や大学・研究機関の集積、巨大かつ高感度な消費市場など、世界にも類を見ないさまざまな可能性を持っていると思います。こうした可能性を最大限に引き出すため、これまでも、CLO、CBOの発行やベンチャーファンドの創設、ナノテクノロジーセンターの開設など、国や他の自治体に先駆けて都独自の産業政策を打ち出してまいりました。
 さらに、三環状道路の整備、羽田空港の国際化、横田基地の軍民共用化などによりまして、産業を支える都市機能が飛躍的に向上すると思いますが、こうしたことを見据えて、多様な産業分野における交流を活発化させ、世界に通用する新技術や新産業の創出を図っていきたいと思っております。
 今後とも、現場感覚と大胆な発想で産業政策を展開し、東京の産業をより一層発展させていきたいと思っております。

○こいそ(明)委員 次に、福祉保健について伺います。
 これまでの八年間、石原知事と我々都議会自民党が一体となって、福祉保健政策の内容並びに予算の充実に努めてきました。しかし、ここに、「東京民報」二〇〇七年二、三月号外なるビラがあるわけでありますけれども、(資料を示す)そこにはこう書かれています。全国に例を見ない異常な切り捨て、福祉はぜいたくといって五百四十億円福祉関係費を削ると。
 このビラの五百四十億円というのは、平成十一年度と十七年度の決算数値を比較しているわけでありますが、本委員会の総括質疑で共産党の曽根理事は、同じ期間を比較して四百五十億円も福祉関係費を削ったと主張されましたが、このビラの五百四十億円と、代表質問での四百五十億円の違いは何なのか。仮に本委員会の方が正しいのならば、九十億円もの過大な数字を掲げた福祉切り捨てとの宣伝は、いかなる意図によるものなのでありましょうか。この一事をもってしても、このビラに書かれていることがいかに欺瞞に満ちたものであるのかを想像させるのに十分であります。
 そこで、確認のため、この決算の数字とビラの数字の信憑性について伺いたいと思います。

○山内福祉保健局長 平成十一年度と十七年度とでは、三位一体改革などによりまして比較の前提となる制度が大きく変わっていることから、決算額を単純に比較することは都民に誤解を与えるおそれがありますけれども、あえて比較いたしますと、平成十一年度に対しまして、十七年度福祉保健費の決算額は四百五億円の減、一般会計から病院会計への繰り出し金は四十五億円の減、合計では四百五十億円の減となっております。
 お話のビラに書かれた五百四十億円の減については、何をもって記載されたのか承知しておりません。

○こいそ(明)委員 ただいまの答弁にあったように、三位一体改革など比較する前提が大きく異なりますが、これらの影響を除くと、四百五十億円の減少は本当に福祉切り捨てなのでしょうか。どうですか。福祉保健局長の見解を伺います。

○山内福祉保健局長 平成十一年度と十七年度の間には、三位一体改革などの制度改革が実施されておりまして、これらの影響が五百二十五億円の減であることから、実質的には七十五億円の増となっております。
 なお、決算は予算を執行した結果であることから、政策の比較は、単純に決算額の比較ではなくて、予算の内容を吟味していただくべきものと考えております。
 都ではこれまで、時代にそぐわなくなった経済給付的事業の見直しや負の遺産の解消などを進めてまいりました。一方で、都民が真に必要とするサービスの拡充には重点的に財源を投入しまして、国に先駆け、認証保育所やグループホームの整備促進、小児救急医療体制の充実などに努めてまいりました。
 平成十九年度予算案は、これらの施策をさらに進めるとともに、区市町村包括補助など他の自治体にない制度を創設しまして、都民福祉の一層の向上を図る観点から編成されております。
 こうした一つ一つの施策の積み重ねの結果として、平成十九年度の福祉と保健の予算額は過去最大の七千九百三十一億円となっておりまして、一般歳出に占める割合も、過去最高の一八・三%となっております。
 平成十九年度予算の分類に基づいた形で整理した十一年度予算額と比較いたしますと、約三百億円ふえております。

○こいそ(明)委員 制度変更による減少が五百二十五億円ですから、本来は七十五億円の福祉の充実であり、共産党がみずからに都合のよい数字だけをつまんで、福祉の切り捨てと都民の不安をあおっていることがよくわかりました。
 そもそも福祉保健は、数字の多寡でよしあしを判断するものではありません。いいかげんに、ふえた、減った、全体の何パーセントを占めるという議論にもうそろそろ終止符を打ってもらってもいいのじゃないかと思うところでありますけれども、福祉保健は、予算額や増減額ではなく、真に困っている方々に対していかにきめ細かな対応をしているかということが肝要なのであり、こうした考えを基本に、何点か個別の施策について伺います。
 都は、昨年の第三回定例会における我が党の代表質問に対して、老人医療センターと老人総合研究所を一体化して設立する健康長寿医療センターは、最先端の研究などを通じ、さらなる健康長寿社会の実現を目指す新たな拠点であると、その役割を明らかにしました。
 医療、研究の一層の向上を図られることを期待しておりますが、その健康長寿医療センターで重点的に取り組む具体的な内容を教えていただきたいと思います。

○山内福祉保健局長 健康長寿医療センターは、医療提供機能と研究機能を一体化することによりまして、高齢者医療モデルの確立と普及、先端的医療への取り組みと老化に関する研究開発の推進、高齢者に対応した急性期医療の提供などの機能を発揮いたしまして、高齢期に特有の疾病の予防及び治療に重点的に取り組んでまいります。
 具体的には、動脈硬化症などの血管病に関する急性期からリハビリテーションまでの一貫した医療の提供、高齢者にとって負担の少ないがん治療法の実施、認知症の予防と早期診断、治療などを重点医療として考えております。
 健康長寿医療センターの取り組み内容については、今後さらに検討を進めまして、十九年度早期に公表を予定している基本構想において明らかにしてまいります。

○こいそ(明)委員 次に、事業所内保育施設について伺います。
 安心して子育てできる環境の整備は、社会全体が責任を持って取り組むべき課題であります。来年度の新規事業として予定している、仕事と子育てを両立できる職場環境を整備するための事業所内保育施設への支援ですが、既に国の財団の補助制度があると聞いています。さらに都として別の支援を行う意義とその具体的内容について伺います。

○山内福祉保健局長 お話のとおり、子育て環境の整備は、行政はもとより、企業も含め、社会全体で取り組むべき課題でございます。事業所内保育施設はこうした取り組みの一つでありますけれども、国の助成制度は定員を十名以上としているほか、単独の事業主による設置を基本とするなど、企業にとって活用しにくい制度であることから設置が進んでおりません。
 このため、都では、大都市東京の実情を踏まえまして、定員を六名以上とし、複数の事業主による共同設置の条件をより柔軟にするなど、中小企業も利用しやすい仕組みとしております。また、保育スペースの面積基準を国制度以上とするなど、質の確保にも配慮しております。
 今後、この制度を活用いたしまして、企業の子育て環境の整備に向けた取り組みが一層促進されますよう、都として積極的に働きかけてまいります。

○こいそ(明)委員 中小企業のこの制度は、事業者の意識づけにも有効でありますし、積極的な支援をお願いするところであります。
 仕事と家庭の両立支援について伺うわけでありますが、中小企業の人材確保難が進む中、女性の就業促進が喫緊の課題となっております。これに対応するため、都は、今年度、仕事と家庭の両立に積極的に取り組む企業を応援する、とうきょう次世代サポート企業登録制度を開始しました。
 さらに来年度から、中小企業を対象に両立支援の推進を図る助成制度を創設するとしていますが、そこで、都の新たな助成制度と今後の事業展開について伺います。

○島田産業労働局長 新たな両立支援の助成制度は、福祉・健康安心基金を活用いたしまして、平成十九年度から平成二十四年度までの六年間で助成総額三十五億円を確保し、両立支援の取り組みにおくれが見られる中小企業の雇用環境を重点的に整備してまいります。
 具体的には、中小企業の両立支援に向けた責任者設置や社内ルールづくりなどの体制づくり、一年以上の育児休業取得者が発生する際の代替要員確保にかかわる経費など、一社当たり最大五百五十万円を助成することにより、実効性の高い支援としてまいります。
 平成十九年度は、中小企業のニーズを把握する大規模な調査を行うとともに、助成制度の試行を開始し、平成二十年度からは本格的な支援を行います。
 さらに、労働相談情報センターに両立支援アドバイザーを配置し、相談、助言等により、中小企業の課題にきめ細かく対応し、両立支援の取り組みを推進してまいります。

○こいそ(明)委員 都は、広域自治体として、施設職員の資質の向上に関して、より積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

○山内福祉保健局長 近年、児童養護施設では、虐待経験、情緒障害等を有する児童が増加し、障害者施設では地域生活への取り組みが本格化するとともに、高齢者介護では新しい認知症ケアが導入されるなど、より高い専門性が求められておりまして、施設職員の資質向上は喫緊に対応すべき課題と考えております。
 また、東京都社会福祉審議会においても、昨年夏から既に福祉人材について審議をいただいておりますが、都のより積極的な関与の必要性など、施設職員の育成をめぐり、さまざまな議論がなされておるところでございます。
 このため、都としても、福祉にとどまらず、幅広く保健医療を担う人材を含めた育成のあり方について本格的検討を開始いたしました。
 今後、審議会での議論も踏まえながら、広域自治体として、効果的な人材育成策が構築できるよう、積極的に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 先般、都が策定した東京の福祉保健の新展開二〇〇七には、このほかにも数多くの施策が盛り込まれ、多様な課題に正面から取り組む知事の思いが伝わってきます。
 この知事の思いは、我が党の思いでもあります。世界に誇れる福祉健康都市東京の実現のために、我が党も全面的に知事を支えていく所存であります。
 次に、インフルエンザの治療薬であるタミフルについてお尋ねします。
 先月、インフルエンザにかかった中学生が転落死するという痛ましい事故が連続して発生しました。こうした異常行動がタミフルの副作用ではないかと心配する声も聞かれますが、先月末に、国は、タミフルの安全性を含め、適切な対応を求める緊急通知を出したと聞いています。
 この通知の内容と、通知を受け、都はどのようにされたのか、伺います。

○山内福祉保健局長 国の研究班が昨年取りまとめました、インフルエンザ患者二千八百人を対象に行った調査結果では、おびえなどの異常行動の出現率は、タミフル服用者と非服用者との間で有意の差はなかったということになっております。
 お話しの国の二月二十八日付の通知では、この調査結果も踏まえまして、タミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えておりませんとの認識を示しつつ、さらに詳細な調査検討を行うとしております。
 あわせて、特に小児、未成年者については、インフルエンザに罹患した場合は、タミフルの処方の有無を問わず、異常行動が出現するおそれがあることなどの注意事項を患者や保護者に説明するよう、医療機関等に求めております。
 都としては、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、この注意事項等を直ちに東京都医師会などを通じて、医療関係者に周知徹底を図ったところでございます。

○こいそ(明)委員 都立病院改革について伺います。
 昨年、松沢病院を精神医療センターとして整備する計画が公表されましたが、松沢病院は、百三十年もの歴史を有して、日本の精神科医療をリードし続けてきました。精神科医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、新たに整備する精神医療センターは具体的にどのような役割を果たしていくのか、伺います。

○大塚病院経営本部長 精神科医療における世界の潮流が入院医療中心から地域生活中心に移行する中で、早期かつ適切な治療と、患者さんの社会復帰に向けた取り組みがますます重要になってきております。
 これまでも、松沢病院は、急性期精神科医療や重度の精神科医療に対応するなど、日本の精神科医療をリードしてまいりました。
 こうした松沢病院の実績を踏まえて、新たに整備する精神医療センターにおきましては、急性期精神科医療を中心とし、精神科身体合併症医療や医療観察法に基づく医療など、一般の精神科病院では対応が困難な専門性の高い精神疾患に対応いたしますとともに、他の医療機関や保健福祉施設などとも連携いたしまして、患者さんの社会復帰を促進していくなど、東京都の精神科医療の拠点としての役割を果たしてまいります。

○こいそ(明)委員 このたびの精神医療センターの整備計画においては、医療観察法に基づく医療も提供していくとされておりますけれども、この法律は、重大な他害行為を行った精神障害者の社会復帰促進を目的として、一昨年に施行されました。
 現在、全国の国公立病院で整備が進められていると聞いておりますが、そこで、医療観察法に基づく医療を今回精神医療センターにおいて提供する意義についてお願いします。

○大塚病院経営本部長 心神喪失者等医療観察法の施行後、重大な他害行為を行った精神障害者に対しまして、入院中の専門的な手厚い医療と退院後の継続的な医療が提供されることとなりました。
 この法律に基づく専門病棟の設置は、国公立の精神科病院に限定されておりまして、提供する医療も行政的医療の性格が極めて強いことから、この法律に基づく医療は都が担うべきものと考えております。
 お話しのとおり、松沢病院はこれまで、百三十年にわたって専門性の高い精神科医療を提供し続けてきた実績を有しており、都民の信頼も厚いものがございます。こうしたことから、新たに整備する精神医療センターにおきまして医療観察法に基づく医療を提供していくことは、東京都として当然果たすべき責務であるとともに、精神科医療の拠点としての、このセンターへの都民の期待にこたえるものでもあると考えております。

○こいそ(明)委員 次に、都立豊島病院の東京都保健医療公社への移管に関連して伺います。
 保健医療公社、これまで都から三病院を受け入れてきて、豊島病院を加えると、公社病院全体の病床数は二千百床、職員数も二千三百名を超え、都の監理団体の中で最大規模の団体になりました。こうした急激な組織の拡大に対応しながら、地域医療のシステム化を推進するには、公社の財政基盤の確立だけではなくて、本部機能の充実など、体制強化が必要ではないでしょうか。
 そこで、公社が推進している地域医療のシステム化の取り組みについて、公社本部の体制強化も含めて、都はどのように支援していくのか、伺います。

○大塚病院経営本部長 保健医療公社の使命でございます地域医療のシステム化を推進していくためには、財政基盤の確立のほか、公社本部機能などの体制強化が必要であることは、ご指摘のとおりでございます。
 このため、十九年度は、救急医療や小児医療など行政的医療に対する予算を適切に措置しましたほか、本部組織の充実を図るとともに、大久保病院の脳卒中ケアユニットを整備するなど、具体的な医療機能の充実も予定しております。
 今後とも、地域医療機関との連携を通じまして、地域医療のシステム化の推進という公社本来の目的が達成できますよう、必要な支援、協力を行ってまいります。

○こいそ(明)委員 次に移らせていただきます。
 改正教育基本法では、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うことが規定され、職業教育の重要性が再認識されました。
 一方、団塊世代の大量退職、若年層の高い失業率等への早急な対応が求められている中で、再チャレンジ支援について、専門学校への期待は非常に大きいものがあります。
 平成十九年度予算案に、我が党の要望を取り入れ、専門学校への新たな補助が盛り込まれましたが、その内容と今後の支援について見解を伺います。

○渡辺生活文化局長 ニート、フリーター、一度職を離れた女性や高齢者の再チャレンジ支援を推進するために、平成十九年度には、専門学校に対する緊急的支援として新たな補助を行うこととしております。
 具体的には、専門学校が行う職業教育を体験する講座や、在学生に対する企業説明会等の就労促進に関する補助を行うほか、教育の質を高めるための自己点検、自己評価等に対する補助、生徒の安心・安全を図るためのAED設置、耐震化工事に係る経費への補助を行うこととしております。
 都としても、専門学校が都民の期待に十分こたえられるように、東京都の置かれている現状に即した支援を行っていきたいと存じます。

○こいそ(明)委員 今回の都の取り組みは、今日的な課題への迅速な対応として評価します。
 専門学校が今後とも、その機能を十分に発揮するためには、学校教育法第一条に明確に位置づけるとともに、大学など高等教育機関と同様、国が責任を持って財政的な支援を実施すべきと考えますが、所見を伺います。

○渡辺生活文化局長 専門学校が学校教育法上、その位置づけを学校教育体系の中で明確にすることは、今回の教育基本法の改正の趣旨にも合致し、必要なことと考えております。
 東京都としても、国に対して、大学や短大といった他の高等教育機関と同様に、専門学校を学校教育体系の中にしっかりと位置づけし、専門学校に対する新たな補助制度を創設することを強く要望してまいります。

○こいそ(明)委員 それでは次に、学校におけるキャリア教育について伺います。
 先日、都立産業技術高専と品川区の小中一貫校の連携について、都教育委員会が品川区教育委員会と協定を締結したと聞いています。
 この内容を見ますと、まさにキャリア教育推進の好事例だと考えますが、締結された内容と、その目指す理念を伺います。

○中村教育長 都教育委員会は、品川区教育委員会と連携いたしまして、児童生徒にものづくり教育を実施するための基本協定をこの三月の一日に締結いたしました。
 協定の内容は、品川区立八潮地区小中一貫校の児童生徒が、ものづくりを体験しながら、考える力とつくる力、この両方を身につけることができます教育プログラムを、都立産業技術高専と八潮地区小中一貫校が共同で開発しまして、実施することであります。
 この教育プログラムは、小学校一年生から中学校三年生まで、この間に、竹トンボや鉱石ラジオ、電動スクーターなどを、高専の教員や学生も参画しながら製作するものでございまして、児童生徒がものづくりを通じまして、生きる力、自立心、倫理観や相互扶助の精神を習得することを目指すものでございます。
 また、将来、この一貫校から都立産業技術高専、さらには産業技術大学院大学へ進学しまして、東京のものづくりを担う人材に育つための方策について検討してまいります。

○こいそ(明)委員 ものづくりを体験しながら、児童生徒が自立心、倫理観や相互扶助の精神を習得し、さらに高専、大学院に進学して技術者を志していく、これは全国で初めての試みとのことであります。
 このような先駆的なキャリア教育を東京から発信して、全国を引っ張っていく意気込みで推進していくことを強く要望いたします。
 キャリア教育を進めていく上で、パソコンや校内LANなど、IT関連の環境整備は非常に重要です。また、IT環境の整備は、地震などの災害時に避難者等の支援へ活用するなど、地域社会にも役立つものと考えます。環境整備に向けた一層の努力に期待するものであります。
 ところが残念なことに、都立学校では、他の道府県と比べてどうもおくれている状況にあるようであります。教育の情報化について、教育庁内で検討委員会を立ち上げ、議論を行っているとのことでありますが、都立学校におけるIT関連の環境整備にこれまで以上に力を入れて取り組む必要性があると考えますが、所見を伺います。

○中村教育長 情報教育を進めていくためでなく、ご指摘のように、都立学校の場合は住民の避難場所に指定されておったり、それから帰宅困難者の支援ステーションという位置づけにあります。そういった災害時の避難者への支援等に活用するためにも、都立学校におきましてIT関連の施設設備を充実させていくことは極めて重要であるというふうに考えております。
 現在、すべての都立高校にコンピューター教室を設置しますとともに、高速インターネットへの接続も行っております。また、校内LANにつきましては、現在、約四十校に整備し、今年度も引き続きその整備に努めております。
 しかし、ご指摘のとおり、他府県に比べましてIT関連の環境整備が極めておくれているのは事実でございます。都立学校のIT環境が全国のトップレベルとなるように、庁内に設置した検討委員会で検討を始めたところでございますが、今後精力的に検討を進めまして、IT環境を一層充実させるための整備のあり方を早急に取りまとめ、具体化に向けて取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 環境整備に向けた一層の教育庁の努力に期待するものであります。
 次に、去る二月二十七日、最高裁において、小学校の入学式で、校長の職務命令に従わず、国家斉唱時、ピアノ伴奏を拒否して処分を受けた教員が、ピアノ伴奏の強要は、思想、良心の自由を保障した憲法に反するとして処分取り消しを求めた訴訟で、教員側敗訴という当然ともいうべき最終判断が示されました。
 この判決を待たずとも、我が党がこれまで再三主張してきたとおり、そもそも全体の奉仕者である教育公務員には、法令等に基づき、子どもたちに国歌・国旗を尊重する態度を育てる責務があるのです。にもかかわらず、訴訟まで起こしているといった実態が理解できません。
 このような主張はまさに通らないわけでありますけれども、今回、日本の司法府を統括する最高裁という司法の場で明らかに判断が下りました。教育公務員は全体の奉仕者として、思想、良心の自由も、職務の公共性を理由に制約を受けるものです。このことは極めて当然なことであります。
 さて、ことしもいよいよ卒業式シーズンを迎えますが、東京都教育委員会は、この最高裁判決を重く受けとめて、学校教育のさらなる適正化を強く要望するものであります。
 次に、オリンピック及びパラリンピックの招致において重要な、文化振興の問題について伺います。
 文化の面で高いポテンシャルを開花させ、国内外に向けて魅力を発信していく必要性があります。都は新たに東京芸術文化評議会を設置いたしましたが、その顔ぶれは、各界を代表し、かつ今なお現役で活躍されている方々であります。
 知事は、この評議会を活用して東京の文化振興をどのように進めていくのか、所見を伺います。

○石原知事 東京芸術文化評議会には、我が国が世界に誇る当代の第一人者が各界から出そろったと思います。今後、世界を視野に入れた文化戦略や、オリンピックに向けた文化施策などについての議論をいただいて、実現していきたいと思っております。
 広範かつ多面的な議論が展開され、異なる視点や着想によって、斬新またかつ独創的な提言をいただくことを期待しております。
 都は、この提言を踏まえ、東京の芸術文化を発信し、世界の中で確固たる存在感を示していきたいと思っております。

○こいそ(明)委員 東京の文化を世界に発信するためには、その拠点の整備が求められます。特に、上野公園には文化施設や歴史遺産が集積し、海外からの来訪者も多いことから、ここを文化の森として再生し、発信拠点としていく必要があるのではないでしょうか。
 我が国でも最多の年間三百万人近い入館者を集める東京都美術館について、今回創設するスポーツ・文化振興交流基金も活用して、新たな魅力を備えた美術館としていくことが必要と考えますが、所見を伺います。

○渡辺生活文化局長 東京都美術館は、開館以来八十年の歴史の中で、美術団体等の公募展を通して、芸術家の輩出、育成に寄与するとともに、すぐれた企画展の会場として、多くの人々の鑑賞ニーズにこたえてまいりました。
 建物は、建築家前川國男氏の設計によるもので、上野公園と調和したたたずまいが親しまれてきましたが、築後三十二年が経過し、施設設備の更新時期を迎えていることから、今回新たに創設する東京都スポーツ・文化振興交流基金を活用して、リニューアルを施すこととしております。
 今回の整備を機に、従来の公募展、共催展の枠を超えた、多様で魅力的なプログラムを導入し、東京の顔となる文化発信拠点としてまいります。

○こいそ(明)委員 上野公園は、明治初期に誕生した日本で最初の都市公園の一つです。この歴史ある上野公園には、東京国立博物館や東京文化会館などの多くの文化施設があります。これら文化施設の集積を生かして、これまで公園の整備にどのように取り組んできたのか伺います。
 また続きますけれども、上野公園を世界に誇る文化の発信拠点とするためにも、国内唯一の文化施設の集積や公園の自然を生かした上野公園のグランドデザインが必要と考えます。今後どのように取り組むのか、あわせて伺います。

○依田建設局長 まず、これまでの取り組みでございますけれども、上野恩賜公園は、江戸時代から庶民の花見や行楽の地としてにぎわい、明治時代には、我が国初の動物園である上野動物園や博物館などが設置され、現在も多くの人々が訪れる、我が国を代表する公園でございます。
 都は、歴史ある上野公園の魅力を高めるため、再生整備計画を策定し、平成九年度から、歴史的な景観に配慮した樹木の再配置、園路の段差解消などのバリアフリー化、海外からの観光客にもわかりやすい案内サインの設置などに取り組んでまいりました。
 また、都と文化施設とが連携し、国立西洋美術館の前庭の一般開放や、国立科学博物館前の広場の拡張により、文化施設周辺のアクセスを改善するなど、上野恩賜公園を訪れる人々にとって、より魅力ある公園の実現に努めてまいりました。
 次に、今後の取り組みでございますが、上野恩賜公園は、豊かな緑に文化施設が溶け込み、文化と自然が一体となった魅力を有しております。その魅力をさらに発揮するためには、これまでの再生整備の成果を生かし、上野恩賜公園が文化、観光の拠点となるよう、歴史や環境、にぎわいなどの視点から総合的に検討することが必要でございます。
 このため、学識経験者や文化施設の管理者、観光連盟など、地元の関係者で構成する検討会を平成十九年五月に設置し、平成二十年度に上野公園グランドデザインを策定いたします。
 今後、この上野公園グランドデザインをもとに、上野恩賜公園を、文化と歴史が体感できる緑豊かな空間となるよう整備してまいります。

○こいそ(明)委員 次に、最後になりますが、我が国の安危、安全と危機に係る問題について二点質問させていただきます。
 第一は、卑劣きわまりない北朝鮮による拉致についてであります。
 知事は、こんな悲劇はない、自国の国民を救わずして何が国家だと、こう明確に述べられております。まさにそのとおりだと思います。
 十二月に都庁でパネル展が開催されましたが、その折、横田滋さん、そして早紀江さんご夫妻初め家族会の方々が、この都庁においでになられました。私たち議連もそこで対応したわけでありますけれども、その折、私たちは話し合いをさせていただきましたけれども、非常に謙虚で、そして非常にみずからを抑えるといいましょうか、そして私たちがその方々を見たときに、もう無力感というか、同胞をいまだ救えない、このもどかしさといいましょうか、この痛ましい現状に怒りを覚えたり、痛恨のきわみだと思ったり、いろんなことが錯綜いたしました。
 実は、昨日新聞で、この横田早紀江さんのことが書いてありまして、新潟の冬の空の下で、めぐみさんがいわゆる二十年間拉致された中で、めぐみさんと元気なときに歌った歌が「おぼろ月夜」だったということで、いつも泣きながらこの歌を歌ってめぐみさんのことを思われたということなんですね。この苦しみから放たれるなら死んでしまいたいということ、この心情は、我々察するにまさに余りあることでありまして、こんなに、人道的といいましょうか、これだけそのつらい思いを、何の罪もない、ましてや当時はめぐみさんは十三歳、そしてほかにも拉致された方々、特定失踪者としてさまざま、政府認定がされた方ありますけれども、まだまだ私たちは少ないと思っておりますけれども、その中で、やはりご家族及び当時若かった、二十前後の、これからの将来を元気いっぱいに夢を持って生きようとする青年の、いわゆる男女の人生を根底から踏みにじってしまった。そして二十有余年と、この数十年の月日がたつ中で、いまだ、まだまだ消息さえも知らされない、奪還もできない事実。
 そしてその中で、私はちょっと、これまた読ませていただきましたが、なるほどなと思ってはいけないんですが、例の一時帰国がありましたね、曽我ひとみさん初め五名の。そのときに外務省は、このムードを盛り上げて日朝平和友好条約を締結しようと思っていたそうでありまして、そして政府はあの五人を帰そうとしたんですね。そして必死になってとめたのは、当時の官房副長官だった現在の安倍晋三総理であります。そして中山参与であります。この方々が頑張らなかったら、あの五人はまた戻ってしまった。要するに強盗のところに、人さらいのところに、また戻そうとしたこの外務省のやり方に対しては、憤りも何物も私はもう感ずるものはありません。
 いずれにいたしましても、せんだって知事もご歓談されたいわゆる拉致家族の方々とともに、知事は、(パネルを示す)そのパネル、知事の提案だそうでありますけれども、この中にも、いわゆる政府認定の拉致の田口さん、久米さんがおられます。そしてまた都の職員もこの中にいるんですね。四十八名だったかな。その中で、私どもとしては、東京に、いわゆる結婚された、仕事をされた、そしてまた学んだというその人たちが、もっと東京という中で、私は特別に何かこの失踪者に対する認定的なものはできないかと思ったところであります。
 いずれにいたしましても、知事、このパネル、このような知事の思いの中でできましたけれども、今後、この東京からの「東京へ、帰せ」と、この強烈な思いですね、ぜひこれからもお願いしたいと思います。改めて私は拉致についての知事の思い、お気持ちを聞かせていただきたいと思います。

○石原知事 この委員会の中にも、かつては拉致などは絶対にないとおっしゃった方がいらっしゃるようでありますけれども、北朝鮮による拉致、誘拐については、私はインターポールのある高官と大分前に会ったときに、むしろ西洋人、ヨーロッパの人間でしたけれど、彼から、状況証拠からいったら相当な人がいなくなっているでしょうといわれて、改めて認識を強く持ち直したものですが、いずれにしろ北朝鮮による拉致、誘拐によって百人以上の同胞が連れ去られて帰ってこないのは、もう確かなことであります。
 前にも話しましたが、かつてセオドア・ルーズベルトのときに、アメリカ人の先生の一族がモロッコでシークに誘拐されまして、夫は殺され、ご夫人はハーレムに入れられた、それを聞いたセオドア・ルーズベルトが軍艦を送って即時に戦争を始めたという有名な話で、映画にもなりましたが、今やそんな時代ではございませんが、それにしても、あの閉鎖的な密室的な政治体制で、いまだにそれが存続している北朝鮮に、私たち同胞が拉致されたきり帰ってこないと、これはもう本当に国家の問題であり、私たち日本人全体の問題であると思っております。
 ゆえにも、そういうポスターもつくりました、直接北朝鮮の手にかかったかどうかわかりませんが、いずれにしろその疑いのある方々が東京から姿を消したというのは確かなことでありまして、これを取り戻す努力をどうしてよいか、まだ定かにわかりませんが、東京は東京なりにいろんな手を尽くしていくべきだと思っております。

○こいそ(明)委員 もう一点、もう時間も迫ってまいりましたが、私は、我が国の排他的経済水域における中国の海洋調査の実態について資料をいただきましたけれども、極めてこれは我が国の海洋、いわゆる排他的経済水域、この中で現在、竹島、そして、尖閣は我が国の固有の領土で確固としておりますけれども、さまざま我が国を取り巻く海域の中では、いろいろな問題が起きております。
 とりわけ我が東京都の沖ノ鳥島ですね、この中で、私は驚いたわけでありますが、外務省から中国の海洋調査船「科学一号」による海洋調査に関する東京都への意見照会がありました。これは私、驚きました。このいわゆる沖ノ鳥島は、これはもはや中国は日本の領土として見ていなかった。ですから、この近くの排他水域の中の二カ所ですかね、これを照会してきた。これをもし認めたならば、沖ノ鳥島は完全に中国の主張に沿う形になってしまった。これを唯一反論したのは、石原知事なんですね、明らかに。こういう中で、我が国のかけがえのない国家の領海主権をしっかり守るべきは、本来は外務省なんだけれども、これをしっかり守られたということは、これは大変なことだと私は思います。これで、よく理解をさせていただきました。
 今後とも、沖ノ鳥島は東京、我が国の、まさに今申し上げた我が国の固有の領土でありますけれども、これをぜひこれからもあらゆる実効的効果、石原知事はやられておりますけれども、今後ともぜひお願いをいたしたいと思います。
 最後に、都は、将来像を描いた十年後の東京を実現し、東京の魅力を世界に発信していくべきですが、あわせて、財政再建の努力によって生み出された財源を、まちづくり等、これからしっかりとそのあたりも考えていかなきゃいけないと思います。
 最後に、国を思い、日本を思う心人一倍の知事に今お話をいただきましたが、本予算特別委員会冒頭に、我が党の高島政調会長の問いに、知事は、都議会自民党との関係はこれからも不変である旨の答弁をされました。我が都議会自民党は、一千二百万都民のために石原知事との関係は不変であります。そこで、最後に、知事の三選を目指す意気込み、決意を改めてお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○石原知事 坂田三吉の歌ではございませんが、あした東京に出ていく限り、行った限りは勝たねばならぬ、選挙に出るからには勝たねばなりません。身命を賭して、また皆さんのご協力を、共産党を除いて皆さんのご協力を賜りたいとお願いです。
 ありがとうございました。

○こいそ(明)委員 ぜひ、先ほどからるるお尋ねもいたしましたし、思いも語らせていただきましたが、やはりこの日本の首都東京が、知事就任以来、冒頭申し上げましたけれども、まさに劇的な、いわゆる変化をした、そして存在感を内外に示したということは間違いないわけでありますから、今後とも知事のリーダーシップ、そして東京から本当にこの日本の、さっき私は外務省のことをちょっといいましたけれども、この日本をしっかりと東京から変えていく、そのためには、やはりこの国にも石原知事はなくてはならない。まさにこの東京がおかしくなったら、またリーダーが、そんなことはありませんけれども、万々が一のことがあったらいけませんけれども、知事にぜひ頑張って、我々も一生懸命、都議会自民党一丸となって応援をさせていただきますので、よろしくどうぞお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)

○川井委員長 こいそ明理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

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