東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○山下副委員長 野島善司委員の発言を許します。
   〔山下副委員長退席、委員長着席〕

○野島委員 過日、私と選挙区を同じくします民主党の山下副委員長の質疑では、昨年十二月に示された「十年後の東京」には具体性がないと、こういうご指摘もなされました。一方、夢物語、絵そらごと、絵にかいたもち、こんな指摘も、あるいは不規則発言もあったようでございます。
 都政は、都民の夢を形にするものであります。「十年後の東京」の都市像を明示するのは政治の責任、これを受け、財政フレームを加味した行政計画、財源を担保した実施計画、そして単年度予算、それを検証してのローリングという、地道、緻密にして精緻な、そして継続的な行政執行によって初めて都市像が具現化していくものであります。
 そういう立場に立ちながら、予算審査でございますので、抽象論を排しまして、通告に従って順次質問をさせていただきます。
 東京都は、手話を中心としたバイリンガルろう教育を可能にする構造改革特別教育計画の認定申請を行い、これが認定されますと、手話を中心とした授業をする全国初のろう学校が来年四月に品川区内に開設され、教育特区が実現するとのことです。
 私たちはイベントでの手話通訳等にも接しておりますし、当然のこと、手話も教育に取り入れられているものと、こんなふうに思っておりました。なぜ特区なのか、正直なところ理解ができなかったところでございます。
 コミュニケーションツールを取得する、それも大事な幼児期、学齢期のろう教育において、国の学習指導要領では手話を活用する教育はできないということです。
 さて、今回の特区計画は、これまで手話と書記日本語によるろう教育を実践してきたフリースクールが学校となることを可能にするものであり、このフリースクールも国や自治体に特区申請の要請行動を行ってきたと伺っております。
 今回の特区申請は、知事が直接フリースクールの関係者とお話をされたことが契機となったと聞き及んでおります。
 そこで、作家として表現力を大切にする石原知事に、手話による教育についてどのような感想をお持ちになられたのか、お聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 先般、フリースクールの関係者から、現行のろう学校の学習指導要領の中には手話の位置づけがないと聞いて、大変驚きました。
 その方の説明によりますと、今、一般的に普遍している読唇術、相手の唇を読む、これは非常にやっぱり限界があるそうであります。
 また、手話を言語とする教育は、北欧や米国では既に行われておりまして、一定の効果が実証されていると聞いており、日本においても、ろう教育の一つとして大きな可能性を持つと確信いたしました。
 このように、ろう教育の研究、実践は本来、国がやるべきことだと思いますが、今回、東京都が率先して特区計画の申請主体となり、新たなろう学校の設立が可能となるよう支援することといたしました。

○野島委員 実は私ごとなんですが、私は左の耳の聴力がゼロなんです。三十六歳のとき、市議会議員になって二年目に突発性難聴を患いまして、全く聞こえない、こういうことであります。私たちの仕事は、聞くこと、話すことが、これはもう基本ですから、もしこれで右もいってしまったらと、暗たんたる気持ちで入院していた、こんなことを思い出しております。そういうことがあって、実はこの問題に関心を持ちました。
 さて、今のろう学校は、先ほど知事のお話もありましたが、健聴者のように話せるようになるよう、補聴器を装着して読唇を行う聴覚口話法が教育方法の中心と、こんなふうに聞いております。この方法が必ずしもすべての子どもたちに有効な教育方法ではないのではないかとの指摘、さまざまな議論もあります。
 日本弁護士連合会は、手話による教育を受ける権利を選択する自由を認めるよう意見書を出しておりますし、自身の受けたろう教育の経験を踏まえて、現在弁護士として活躍中でございますが、手話教育の必要性を訴えた新聞への寄稿も拝読いたしました。
 要は、重要なことは、聴覚障害を持った子どもたちに合った教育方法をさまざまに工夫して提供する、子ども本位の姿勢だと、こんなふうに思います。
 そこで、確認の意味も含めて、今回の特区計画の目的、意義について伺います。

○山口知事本局長 お話しのように、日本のろう学校では長らく、補聴器と、口の動きを読むいわゆる読唇を用いた聴覚口話法を中心とした教育が行われてまいりましたが、重度の聴覚障害を持つ子どもなど、必ずしも十分に適応できないケースがございました。
 今回の特区計画の目的は、このようなケースにも対応できますよう、学習指導要領によらない、手話を活用した学校教育の実践を可能とすることにあります。
 具体的には、これまでフリースクールで実践してきました手話と、いわゆる読み書きの日本語、書記日本語と申しますが、これを言語とする教育を教育課程に取り込みまして、聴覚活用が困難な子どもに有効な教育方法として確立したものでございます。
 これによりまして、ろう教育の選択肢がふえ、聴覚障害を持つ子どもと保護者が、個々の障害の程度に応じた教育を選択できるようになります。
 また、今回の特区計画の成果が、聴覚障害を持つ子どもたちの新たなろう教育として全国に波及していくことを期待しております。

○野島委員 個に応じた教育の必要性は論をまたないわけであります。とりわけ障害を持つ方の自立、就労に向けては極めて重要でございます。今回の特区計画は、教育、福祉の両領域にわたるものでございます。計画の着実な推進を願うものですが、今後のスケジュールと課題についてお伺いをいたします。

○山口知事本局長 今回の特区計画は、この一月に内閣府に申請いたしまして、現在、関係省庁との調整を行っているところでございます。三月下旬に認定されると考えております。
 認定された後は、フリースクールを運営しているNPO法人が、東京都に学校法人の設立と学校設置の認可申請を行います。その後、東京都私立学校審議会での審議を経まして、十月までに認可されれば、新たなろう学校は来年四月の開校が可能となります。
 なお、学校認可に当たりましては、当該ろう学校が認可基準を満たすよう、管理運営体制の整備や経営資金の確保などが課題でございまして、また、開校に向けては、当該ろう学校の教育方法が既存のろう学校と異なることから、教育理念や教育課程の内容について、保護者等の十分な理解を得ていく必要がございます。
 今後も都は、当該ろう学校が適切に運営を行えますよう、必要な助言を行ってまいります。

○野島委員 この特区計画も、知事の東京から日本を変える、こういう思いの具体的な事例であろうかと解釈をいたしております。ぜひしっかりと推進をしていただきまして、ろう教育にかかわる皆さんの夢を形にしてほしい。と同時に、ろう者の皆さんに福音をお届けいただきたい、こんなことを願って、次の質問に移ります。
 福祉保健区市町村包括補助事業について伺います。
 福祉、保健、医療の具体的なサービス提供にかかわる分野の多くにおいては、介護保険法や障害者自立支援法にも見られるように、住民に最も身近な区市町村の役割がますます重要になってきております。補助金という財布を握り、はしの上げ下げまでといわれた時代から地方分権の時代へ、区市町村は地域の住民ニーズを的確にとらえ、工夫を凝らし、地域に密着したサービスを提供し、もって住民福祉の向上に資さなければなりません。そうであってこそ、市民の役に立つ所、こう書きまして市役所でございますので、そういう立場に立たなければならないわけでございます。
 そして都は、広域的立場から、地域の福祉保健行政の担い手である区市町村への支援を充実していく必要があると考えます。
 そこで、新たに福祉保健区市町村包括補助事業を創設する意義についてお伺いをいたします。

○山内福祉保健局長 近年、国においては、三位一体改革における税源移譲や障害者自立支援法による統合補助金の創設など、区市町村の役割を高める地方分権のためのさまざまな動きがございます。
 こうした状況も踏まえつつ、都は地域の実情に応じた、区市町村の自主的な判断によるきめ細かな福祉、保健、医療サービスの展開を促すため、予算規模を大幅に拡充した上で、これまでの補助事業を統合しまして、新たに高齢、障害、保健医療、基盤整備の四分野の包括補助を創設するものでございます。

○野島委員 区市町村が地域の実情に応じた施策展開を可能とするために補助事業を包括するという趣旨についてはわかりました。具体的には、これまでの個別事業を統合して再構築した、こういうご答弁でございました。
 そこで、今回の新たな包括補助事業のつくり立てと位置づけ、そしてもたらされる効果についてお伺いをいたします。

○山内福祉保健局長 本事業は、先駆的事業、選択事業、一般事業の三つの補助区分から成り立っておりまして、先駆的事業は、区市町村が独自に取り組む事業の中でも、特に試行的で先駆性が高い取り組みを支援するものでございます。選択事業は、都が目指す福祉保健施策の実現を図るため、糖尿病予防など、都が提示する事業の中から区市町村が選択しまして実施するものでございます。一般事業は、これまで各区市町村において普遍的に実施されてきた既存の個別事業を対象としております。
 このように、三つの補助区分を設けることによりまして、区市町村が地域の実情に応じて、普遍的な事業から先駆的な事業に至るまで、さまざまな事業を組み合わせた幅広い展開が可能となり、これまでより総合的に区市町村の主体的な取り組みを支援できるものと考えております。

○野島委員 なるほど、既存の個別事業において必要な水準を維持しながらも、選択事業や先駆的事業を設けることで、都としての政策誘導を図りつつ、区市町村の主体的な取り組みを促す仕掛けとする、こういう工夫がうかがえると理解をしております。
 私は、政策誘導は個別的事業で、そして一般化した事業については、より効率的、合理的、裁量権の高められる交付金化が適切だろう、こんなふうに実は思っているところもあるんです。ただ、実施規模等や地域での取り組みにばらつきがある、こういった事業については、その枠組みを維持しながら区市町村の裁量を拡大していこうということになりますれば、包括化という考えになるものと受けとめております。方向はわかりました。
 そこで、先ほどはしの上げ下げと申し上げたところでありますが、実務的にも区市町村が使いやすい補助制度にしなければ、はしの上げ下げと、こういうことになっちゃうと思いますので、その辺はいかがお考えでしょうか。

○山内福祉保健局長 先ほど答弁した三つの補助区分のうち、まず、先駆的事業では、最長三年間、補助率十分の十で補助することによりまして、区市町村が提案する先駆性の高い事業が展開可能となります。一方、選択事業では、都が提示する選択メニューにとどまらず、区市町村からの提案事業も対象とすることによりまして、地域の実情を尊重する仕組みといたします。これらにより、従来の補助制度とは異なり、区市町村の主体的な施策展開を強力に支援することが可能となります。
 また、約二十の既存の個別補助事業を統合いたしまして、申請手続を一本化することによりまして、都のみならず、区市町村の事務の効率化が可能となるものでございます。

○野島委員 ありがとうございました。財政負担割合も含めて、細かくご説明いただきました。
 実は、先日の日本共産党の曽根委員の質疑だったというふうに記憶しておりますが、福祉施策における都の全国順位にお触れになりまして、順位が低い、だから石原都政は福祉を切り捨てる、あるいは冷たい、こういう指摘があったのかというふうに拝聴いたしました。
 ほかの広域自治体に比較いたしまして、都民の福祉ニーズは多様であります。経済力、都と各府県との財政力、また、都内の各自治体の都市構造や財政力の違いもあります。こういう背景を無視しての決めつけは、大変失礼でありますけれども、ほとんど意味がない、そんな感想を持ったところでございます。
 冒頭にも申し述べましたが、分権の時代、これからの保健福祉行政は、各区市町村が主体的にさまざまな施策に取り組んでいく、いわば福祉の木の一本一本を育てていく、こういう役割を担っていくだろうというふうに思っております。
 一方、都はそのことを可能にする新たな仕組みづくりや指導助言などを行いまして、広域的、専門的立場から区市町村を支援していく、いわば福祉の森づくりの役割を担っていくべきだろう、こんなふうに考えております。
 今回の包括補助事業は、恐らくは全国的に見ても、福祉保健分野の独自施策の取り組みとしてはほかの団体にはないのではないか、こんなふうに思っておりますし、予算も増額をいただきまして、森づくりに必要な保水機能を整えていただきました。福祉に温かい石原都政と心から感謝を申し上げる次第でございます。
 ただ、こういう制度論はわかりづらいというのも実情なんですね。施策が切られた、施設が足りない、給付が減らされたという方がわかりやすいし、福祉に冷たいという印象づけができるわけであります。
 そこで最後に、今回新たな包括補助制度を創設し、都が区市町村と連携し、福祉保健施策を推進するに当たっての局長の決意を伺って、この項の質問を終わります。

○山内福祉保健局長 ご指摘のとおり、地方分権の時代においては、住民に身近な福祉保健サービスは、基礎的自治体である区市町村が、地域の実情に応じて、みずからの発想で創意工夫を凝らしながら展開することが重要であると認識しております。
 一方、都は、情報提供などの利用者支援や事業者の指導監督など、いわばレフェリーとしての役割に加えまして、区市町村の主体的な取り組みを広域的、専門的視点から支援していくことがますます重要になると考えております。
 今後とも区市町村との意思疎通を十分に図り、手を携えながら、新たに創設する包括補助制度を有効に活用することによりまして、大都市東京における福祉保健施策総体の向上を図ってまいりたいと思っております。

○野島委員 先ほどの高倉委員の質疑とも若干重複いたしますが、住宅施策について伺います。
 私の最初の職業は不動産流通業でした。昭和四十年代後半、当時は市場規模も小さく、流通情報の不確実さゆえに、千三つ屋とやゆされたこともありました。そんな経験もあって、住宅の履歴情報等を明確にし、商品としての住宅の質を高めることが売買の安心、中古住宅市場の活性化につながる、こんなふうに考えております。
 さて、先般都が示しました住宅マスタープランの素案では、重点施策として、中古住宅の流通促進と住宅リフォーム等の促進の取り組みの方向性が示されました。その具体的取り組みの一つとして、都民が安心して中古住宅を売買するためのガイドブックを作成中と伺っております。
 そこで、都の中古住宅流通の課題をどう認識し、ガイドブックの中で履歴情報をどう位置づけていくのかお伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 中古住宅の売買に際しまして、住宅の質や性能等の情報が提供され、安心して取引できるようにすることは、中古住宅の流通を促進する上で重要であると認識しております。
 このため、策定中のガイドブックでは、建物の劣化の状況やふぐあいなどに関する現時点での情報に加え、新築時の工事記録、竣工図など生産履歴や、その後の修繕記録などを住宅履歴として備えることの必要性を明らかにしてまいります。

○野島委員 一番いいのは、生産、要するにつくった段階から、経過の修繕等を含む一切の住宅履歴があればいいんでしょうが、ほとんど備わっていないというのが実情のようでございます。それでその代替策として、第三者機関による住宅検査によって現状の情報を明確にしておく、こういうことも重要だろうと思います。
 ここに、ある住宅流通事業者の住宅検査を推奨するリーフレットをいただいてきました。利用状態はどうなのとお伺いいたしましたら、極めて少ない、ほとんどゼロと、こういうことのようでございました。
 ガイドブックでは住宅検査についてどのように考えていくのかお伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 住宅検査は、住宅の状態や性能を確認するために実施するものでございまして、中古住宅を安心して売買していく上で重要と考えております。
 しかし、住宅検査を実施している機関は、検査項目や検査の方法について、それぞれ独自の基準により実施しており、住宅検査の制度自体も都民に十分知られていないことから、利用は少ない状況にございます。このため、ガイドブックにおいては、売買に際しての住宅検査の重要性を明らかにするとともに、標準的な検査項目などを例示し、住宅検査の実施を推奨してまいります。

○野島委員 正直なところ、これからということで、ぜひしっかりお取り組みをいただきたいと思います。
 先ほど、生産時点からの住宅履歴が一番望ましいと申し上げました。私は平成十六年十二月の議会で、住宅履歴を東村山プロジェクト--横山副知事、この間、現場視察されたそうでございますが、住宅履歴をこの東村山プロジェクトに導入すべきと提案をいたしました。いかがなりましたか、お伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 東村山市本町地区プロジェクトでは、七十年にわたりまちの管理を担当する東京工務店が、建築時の確認申請書の写しや設計図書等のほか、リフォームの実施記録等の情報を住宅履歴として整理し、適切に保管するとともに、必要に応じて提供していく仕組みを構築しております。

○野島委員 提案したことについて取り組んでいただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、この東村山プロジェクトの検証を踏まえまして、今後、一般の住宅が履歴情報を備えるための取り組みについてお伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 住宅履歴は、本来、新築時の生産履歴とその後の修繕履歴を加えて整備保管され、適切な維持管理の促進や中古住宅の円滑な流通に活用していくことが期待されております。このため、今後、ガイドブックの活用などを通じて住宅履歴の重要性を都民などに啓発し、その普及を図ってまいります。
 また、東村山市本町プロジェクトでの取り組みの検証も踏まえながら、住宅履歴の整備に向けて、関係団体等と連携し、積極的に取り組んでまいります。

○野島委員 中古住宅の活性化、こういうことでは、住宅リフォーム施策も重要だ、こんなふうに思っております。リフォーム市場も大分成長してきたようでありますが、一方、トラブルも生じやすい、こんなことも聞いております。
 そこで、都民が安心してリフォームをできるよう、リフォーム事業者に関するルールを示すべきだろう、こんなことを考えておりますが、ご所見をお伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 住宅が長く良質なストックとして使用され続けていくためには、家族構成や建物の経年変化などに応じて適切にリフォームを実施することが必要でございます。そのためには、都民が安心してリフォームを行っていけるよう、事業者の適正な事業活動の確保に向けたルールづくりが重要でございます。
 こうしたことから、都は、内訳を具体的に明示した見積書や工事打ち合わせ記録等の提出など、契約から工事アフターサービスまで、各段階で事業者が実施すべき事項を、来年度早期に行動基準として策定してまいります。

○野島委員 ルールを守り、信頼できる事業者の情報を提供することも大切だろうと思います。その際、地域振興という観点からも、比較的地場的な仕事になると思いますので、そういう地場の工務店を活用していくような仕組みづくり、こんなことも考えたらいいと思うんですが、いかがでしょうか。

○柿堺都市整備局長 住宅リフォームは増改築から修繕まで幅広く、また、個々の住宅ごとにきめ細かな対応が求められることから、地域に密着した工務店の役割は大きいと認識しております。
 そのため、都が定める行動基準を遵守する地域の工務店の情報を都民が容易に入手できる仕組みの構築に向けて、中小工務店等の関係団体と協議を進めており、行動基準の策定とあわせて、来年度早期に取りまとめてまいります。

○野島委員 都市整備局長、きょうの朝日新聞をごらんになりましたですか。ここに住宅改修履歴を一元管理すると題する記事が載っておりまして、国交省は昨今のいろいろな、一酸化炭素中毒など、住まいにかかわる事故、こういったふうなものも受けまして、個々の住宅の履歴情報を蓄積するデータベースをつくって、消費者の保護と中古市場の活性化につなげていきたい、こんな趣旨の記事でございまして、まさに今の私の質疑と局長からいただいた答弁がここに凝縮されているもの、こんなふうに思っております。
 そこで、都の取り組みは国に先行するものと、ぜひ国を先導する気持ちでこの課題に取り組んでいただきたい、こんなことを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 市町村総合交付金制度についてお伺いをいたします。
 多摩リーディングプロジェクトや「十年後の東京」に示された多摩の近未来を具現化していくためには、多摩の市町村に対しての都の財政面からの支援も重要です。現下の市財政は三位一体改革の影響下にありますが、昨今の景気回復に伴い、各市の税収は増傾向にあるやにも聞いております。
 しかし、これからの団塊世代の退職、総労働力人口の減少という担税構造の変化の一方、当然のことながら、義務的経費である社会保障費の増嵩という歳出増圧力も高まっていくわけでございます。そうした中、各市は創意工夫を凝らして、将来を見据えてのまちづくりや住民サービスの向上のため、安定した行財政基盤の確立に取り組んでおります。
 さて、十九年度の各市の予算案も発表される時期でございます。また、十七年度の決算も既に確定されているところでありますが、多摩二十六市の財政状況に対する都の認識をお伺いいたします。

○大原総務局長 多摩二十六市の財政状況につきまして、直近の決算でございます平成十七年度決算で見てみますと、住民税を中心として、税収が四年ぶりに増加に転じましたものの、過去十年の中では依然として低水準にとどまっております。また、投資的経費も十三年連続で減少を続けております。それから経常収支比率につきましては、平均して八九・一%という水準にございます。
 多摩二十六市の財政状況は、これらのことからして、依然として厳しい状況が続いているというふうに認識をしております。

○野島委員 財政基盤の健全性については、今さら私申すまでもなく、財政指標、特に経常収支比率に着目した方が適切だろう、こんなふうに思っております。予算は当年度--基金を取り崩して建設事業等をやれば膨らんでいくわけでありますから。
 多摩各市の十七年度経常収支比率を見てみますと、一番は武蔵野市の七九・〇%。北多摩北部ブロックの我が東久留米、あと清瀬なんですが、ともに九二%台でありまして、経年的にも同様の高どまりの傾向です。
 こうなってきますと、当然のこと、投資財源の確保に事欠く状況でございますので、住民一人当たりの普通建設事業費を見てみますと、武蔵野市の半分にも及ばない。都市生活の基盤が不十分にもかかわらず、必要な投資ができない、こういうような実情でございます。貧すれば鈍する、その日暮らしの財布、財政のやりくりとなりますれば、地域の魅力は低下いたしますし、都市間競争の負け組になってしまうわけであります。税の生みにくいまち、財政のさらなる悪化という、こういうスパイラルに陥ってしまいます。
 そこで、こうした悪循環を打破するために都として何ができるのか、お伺いをいたします。

○大原総務局長 ご指摘のとおり、財政状況が厳しい団体では、経常経費の負担が大きくて、投資的経費を抑制せざるを得ない状況にございます。こうした状況が続きますことは、長期的に見て地域の活力の低下をもたらし、好ましいものではございません。
 都といたしましては、まず、各市がより一層の内部努力に取り組むことを促しますとともに、使い勝手のよい財源補完制度として創設をいたしました市町村総合交付金を活用いたしまして、魅力あるまちづくりに取り組む各市を積極的に支援をしてまいります。

○野島委員 ぜひよろしくお願いいたします。ただし、都の財政支援の前提として、私は、市みずから汗をかく、こういうことが必要だろうと思っております。
 昨年の第一回定例会の私の質問に対しまして、都は、市町村の行財政改革への努力を総合交付金の算定に反映させ、各市の改革への取り組みを促したい旨答弁をなされました。
 そこで、総合交付金制度創設後の各市の行財政改革への取り組み状況についてお伺いをいたします。

○大原総務局長 経営努力割でございますけれども、人事給与制度等の適正化、徴税努力、歳出削減努力の取り組みを反映するものでございまして、市町村総合交付金の交付総額の一五%を配付しております。
 お尋ねの各市の行財政改革への取り組み状況でございますけれども、人事給与制度の適正化につきましては、特殊勤務手当の見直しが進みますとともに、住居手当を全職員に支給している市が減少するなど、前進が見られました。また、インターネット公売の導入などの徴税努力ですとか、民間委託の活用、補助金削減といった歳出削減努力が拡大しております。
 今日、自治体にとって行財政改革は不可欠でございまして、都といたしましては、経営努力割を一層活用しまして、各市のこういった取り組みをさらに促してまいります。

○野島委員 具体的な取り組みあるいは努力割の数値等もお示しいただきまして、大変参考になりました。歳入歳出、こういうことでそれぞれ努力していかなきゃいけないのは当然でございます。引き続き、流した汗に報いる制度運営をお願いしておきたいと思っております。
 中でも人件費なんですが、各市とも団塊の世代の大量退職の時期を迎えました。各市、人口増の中で行政需要が拡大する、職員を採っていく、それも直営事業でやってきた、こういう経過があるのが実は北北の特徴なんですね。したがって、この時期、指定管理者制度などを積極的に活用して、その削減に取り組むいい機会だろうと私は思っております。
 ただ、指定管理者制度の導入と同時に、同じ数の職員がぽんとやめてくれれば、これはすぐ効果が出てくるわけでありますが、ある時期、人件費と指定管理者への物件費、これがダブルトラックで出てくるということもあるわけですね。要するに、これは指定管理者にもう委託したから、あなたの仕事がなくなったから首を切りますといかないですね。これは公務制度の限界ですよね。もちろん職種変更なんかで適切な執行体制をつくっていくということでありますけれども、そういう限界があるというのも事実でございます。
 そういうことで、将来に向けての改革のレールをしっかりと敷いてある、そうした場合には、ぜひ各市の努力を無にしないような措置も要望だけしておきたいと思ってございます。
 今後とも各市は、その持てる経営資源を最大限に活用しながら、独創性を発揮し、自立的、計画的にまちづくりに取り組む必要があります。そのためにも、簡素にして効率的な行政運営と柔軟にして強固な財政基盤の確立に粘り強く取り組むことが重要です。
 そこで、市町村総合交付金を活用しての都の支援についても、単年度ごとの財政支援にとどまらず、より長期的な視点を加味していくべき、このように考えておりますが、ご所見をお伺いいたします。

○大原総務局長 市町村総合交付金でございますけれども、これは単年度ごとの財政支援にとどまらずに、各市における今後の事業動向も総合的に勘案をしながら支援を行うこととしております。
 ご指摘のとおり、各市がまちづくりを進めるには中長期的に取り組むことが必要でございまして、都は、今後とも、各団体の事業計画や将来にわたる財政負担などを適切に把握をいたしまして、地域のまちづくりと行財政基盤の強化に取り組むそれぞれの団体をより積極的に支援をしてまいります。

○野島委員 ありがとうございました。
 最後に、スポーツ振興について伺います。
 昨年十二月、私の地元、都立久留米高校のサッカー部が東京都代表として二度目の全国大会出場をなし遂げました。この四月からは都立東久留米総合高校として新たなスタートをいたしますので、部員は三年生だけ、三十二名ほどだと思いますが、特別なグラウンドもなく、練習していれば土ぼこりが舞ってくるような、そういう運動場でございます。
 そういう中での快挙だけに、私たち東久留米市民も大変感動いたしました。情報発信力の弱い東久留米の名を、全国にともいいませんが、高めていただいたものと思っております。また、この快挙を反映してか、先日の入学試験では、サッカー男子の推薦枠七名の募集に対して何と七十七名が応募された、こういうことでございます。
 さて、教育庁は、オリンピック招致や国体開催に向けた競技力向上等のスポーツ振興施策の一環として、学校体育、部活動との連携に取り組むとしております。私は、この快挙から、また、関係者といろんな意見交換もしたんです、壮行会なんかで。部活動の指導者、指導力の重要さ、こんなことを痛感いたしました。
 そこで、都立久留米高校サッカー部のように、こういうすぐれた指導者、実績を有する教員の学校配置についてお伺いをいたします。

○中村教育長 部活動の活性化は、指導教員の熱意や指導力によるところが極めて大きゅうございまして、すぐれた指導教員を学校に配置することが重要であるというふうに認識しております。
 教員の人事異動は、六年間同じ学校に勤務している場合は原則として異動するということにしておりますが、部活動指導にすぐれた実績を上げた教員や教育課程編成、あるいは進路指導等におきまして学校運営上不可欠な教員につきましては、校長の人事構想、あるいは後継者の有無などを総合的に勘案し、画一的ではなく柔軟に対応を行っているところでございます。
 今後、学校のシンボル的存在となり、学校の活性化に寄与しております部活動の指導教員につきましては、個々の状況を判断の上、より長期の継続勤務を認める一方で、仮に人事異動を行う場合におきましては、その後継者につきまして、当該部活動の伝統を引き継げる能力を有する教員の配置について特段の配慮を行ってまいります。

○野島委員 人事というのは僕は難しいと思うんですね。その方がどんなに優秀でも、やっぱりもっとスキルアップするためにほかに異動させてやらなきゃいけないということも出てくると思うんですね。ですから、ぜひ総合的に考えて、よろしくお願いしたい、このことしかいいようがないというのが実情なんですね。
 実は、こんな事例があるんですよ。私どもの市内の小学校で、金管クラブ、要するに楽器ね、あれで物すごく高いレベルの小学校があったんです。先生が物すごく熱心だったんです。東京でもトップクラスだった。先生がいるときに、私どもも市の方から、ぜひそういうものをもっとやってもらおうじゃないかということで、実は楽器もかなりそろえたんです。ところが、その先生が異動しちゃったら、だめになっちゃった、こういうことでございまして、やっぱり指導者の大切さ、人事の難しさというのはありますが、ぜひ、そんなことを取り組んでいただきたいというふうに思ってございます。
 先ほど、二度目の、こういうふうに申し上げました。平成四年に続いてでございます。そして、その当時のサッカー部のOBが中心的に実は市のサッカー協会等にかかわっておりまして、市内のサッカーチームはOBが結構構成しているんですね。市民サッカー大会は久留米高校を拝借して開催しておるわけでございます。きのうはそこで少年サッカー大会が開催されまして、私も激励に出向いてまいりました。少年たちもいずれはこの高校でサッカーをとの思いであったのではないか、今回の快挙がいい影響を与えたのではないか、こんなふうに思っております。
 これらのイベントやさまざまな平素の交流から、サッカー人口の底辺の、すそ野の拡大、技術力の向上、母校愛、ひいては郷土愛も育っていくもの、こんなふうに考えております。
 そこで、学校の部活動をより一層活性化していくためには、地域のスポーツ活動との連携をより一層進めていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○中村教育長 学校の部活動をより一層活性化していくためには、各学校が部活動を学校経営計画に位置づけまして校内の指導体制を整えることはもとより、学校と地域がスポーツ活動の場や機会を共有したり、あるいは生徒や指導者同士の交流等を行ったりすることが必要でございます。
 都教育委員会は、都立学校の管理運営に関する規則に、部活動を教育活動として明確に位置づけまして、部活動の指導を顧問教諭の職務として明確に、全国で初めて位置づけました。地域の指導者を顧問として委嘱したり、あるいは学校外の施設を拠点とすることもできるようにいたしました。
 今後は、地域の関係者や関係機関と連携いたしました部活動の活性化策につきまして、スポーツの普及と競技力向上、並びに部活動によります特色ある学校づくりを推進するための部活動振興基本計画を新たに作成し、部活動の振興を図ってまいります。

○野島委員 以上、都立学校の部活動という側面から質問を申し上げました。
 一方、競技力向上施策の推進という観点からは、十九年度新たに東京都競技力向上推進本部を設置し、都競技団体と運動部活動との連携の仕組みづくりにも取り組むとのことでございますし、ジュニア育成地域推進事業についても大幅にこれを拡充していくということだというふうに承知をいたしております。
 オリンピック招致や国体開催に向けてスポーツ振興施策を力強くキックオフしていただきたい、我が東久留米市の新生都立東久留米総合高校のサッカー部が三度目の全国大会出場、優勝というすばらしい夢が、そしてまたさっきグラウンドの話を申し上げましたが、ぜひすばらしいサッカー場が整備される、こんな私、夢を見ているんです。ぜひ取り組んでいただきまして、その形を実現していただきたい、こんなふうに思うんですが、後ろの方から知事いかがですかという話がありますので、もし知事、よろしければ--なければ結構でございます。

○中村教育長 私も久留米高校のサッカー、暮れの十二月三十一日、拝見いたしまして、大変感動いたしました。学校当局からいろんなご要望を受けておりますので、最善の努力をしたいと思います。

○野島委員 ありがとうございました。ちょうどタイムアップでございますので、これをもって競技を終了したいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

○川井委員長 野島善司委員の発言を終わります。

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