東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○高島副委員長 高倉良生委員の発言を許します。
   〔高島副委員長退席、石川副委員長着席〕

○高倉委員 先週の第一回東京マラソンは、大成功であったと思っております。私はことしの二月八日、五十歳になりまして、五十の大台で十キロコースに出場しまして、完走することができました。
 都民に大きな夢を贈っていただきました石原知事、また陸連の皆様、また警察、消防を初め関係者の皆様、また、雨の中、大会を陰で支えてくださった多くのボランティアの方々に深く感謝を申し上げたいと思います。
 私は、最後尾から走り始めました。スタート地点の知事の前を通過するまで二十分ほどかかりましたので、アジア最大級のマラソンの壮大さというものを感じた次第であります。
 ふだん車であふれる東京の道路を走るのは、大変に気持ちのいいものでありました。東京に新しいお祭り、新しい文化が生まれた日になったということを実感いたした次第であります。
 沿道では、歌舞伎町商店街による東京六大学応援合戦などが繰り広げられておりました。雨の中、私たちランナーを応援してくれる都民の姿に、大変心を打たれた次第であります。
 知事は、スターターとして号砲を鳴らした後、沿道での応援風景をつぶさにごらんになったと思います。
 そこで、まず、知事にお伺いいたします。今回の東京マラソンにあわせ、ランナー応援イベントとして東京大マラソン祭りが行われました。今後、さらに沿道での応援を充実させ、東京の新しい文化となるよう、東京マラソンを盛り上げていくべきと考えますけれども、いかがでありましょうか。

○石原知事 東京マラソンの開催にあわせて、沿道の各所各所でいろいろなイベントを行いまして、都民とランナーが一体になって盛り上げていく、そういうお祭りとして、東京大マラソン祭りなるものを開催いたしました。これによって、東京から新しいマラソンのスタイルを発信することができたと思っております。
 あいにくの天候にもかかわらず、ほとんどの出演者が会場に集まり、心温まる応援をしてくださいました。天気がよければ、繰り言になりますけれども、浅草にしろ銀座にしろ、もっと倍の倍の人が出たと思うのですが、むしろ出ない方がよかったという人もいまして、整備の方は大変だったと思うのですけれども、いずれにしろ、ああいう天候にもかかわらず、沿道の方々も、それから特にボランティアの方々も、その場を動かずに心温まる声援と支援をしてくださいました。また、コースの沿道の観客の方々も一緒になって熱心に声援を送っている姿を見まして、主催者の私としても、心打たれるものがございました。
 ただ、沿道のお祭りといいますか、イベントに関していいますと、これはニューヨークよりもはるかに東京の方が多かったと思います。ニューヨークは、場所によったらかなり閑散として、見る人もほとんどいないようなところがたくさんございましたが、いずれにしろ、東京マラソンを東京の新しい伝統にしていくためにも、東京大マラソン祭りのさらなる充実発展を図りまして、沿道の商店街、町内会、学校を初めとするさまざまな主体が参加できる新しいお祭りとして、これから一層盛り上げていきたいと思っております。

○高倉委員 私の母校であります茨城県の水戸第一高校では、全校生徒が二十四時間かけて七十キロ前後を歩くイベントを、現在も毎年続けております。五十キロ近くを集団で歩いた後、残りをマラソンをするということでありまして、今回の東京マラソンを走りながら、私は、当時の走る達成感というものも思い起こしておりました。
 走る、あるいは歩くといった身軽にできる運動は、身近なところにコースがあると大変にうれしいものだと思います。段差が少ない、あるいはトイレや休憩場所もある、そうしたコースでございます。
 先日、私は、介護予防で大きな効果を上げている茨城県の取り組みを見てまいりました。その際、ランニングやウオーキングを気軽に楽しめるヘルスロードというものを各地に設置している取り組みを伺ってまいりました。
 都内でも、身近なところでランニングやウオーキングを安全に楽しむことのできるコースを設定していくことが重要ではないかと思います。
 そこで、提案をいたしますけれども、そのようなコースを一つにまとめ、都民にわかりやすく紹介すべきと考えますけれども、所見を伺います。

○中村教育長 幅広い世代の都民が身近な場所で日常的にスポーツを楽しむことができる、そういう環境づくりは、地域におきますスポーツ実践者のすそ野を拡大することにつながりまして、特にランニング、ウオーキングは、いつでも手軽にできる代表的なスポーツといえます。
 お話のコースの紹介につきましては、現にこうしたランニングやウオーキングを愛好している都民ばかりでなくて、これから始めようかと思っている方々へのきっかけづくりとなるというふうに考えておりまして、今後は、既に実施しております取り組み事例などを参考に、関係機関や区市町村と連携しながら検討を進めてまいります。

○石原知事 今のご提案にかかわりますけれども、先ほど臼井委員から申されましたが、多摩川に沿ってのマラソンコースをつくるということは、そう難しいことではないと思います。
 先ほど都市計画局長に、一回試案をつくって持ってこいと申しました。夏までには、素案なるものができるのではないかと思います。

○高倉委員 今、知事から大変具体的なお話もありましたので、ぜひ実現に向けて推進をしていただきたいと思います。
 我が党の提案によりまして、東京大マラソン祭りの一環として、フォトコンテストが実施をされることになっております。東京観光財団が主催して実施をするということでありますけれども、速やかな対応に感謝をしたいと思います。
 マラソン当日はあいにくの雨でありましたけれども、沿道にはカメラを持ったたくさんの都民がいらっしゃいました。すばらしい応募作品が集まるものと期待をいたしております。
 このフォトコンテストを、東京大マラソン祭りのアフターイベントと位置づけ、盛大に開催をしていただきたいと思っております。今後の事業予定について明らかにしていただきたいと思います。

○熊野東京オリンピック招致本部長 お尋ねのフォトコンテストにつきましては、東京観光財団の募集要項によりますと、応募の締め切りは三月十八日、それから四月下旬には入賞作品を決定の上、五月下旬から六月上旬ごろに展示会を開催することになっております。
 都といたしましては、この事業の共催者といたしまして、広報あるいは展示場所の提供などを行いまして、東京マラソンへの関心を継続して盛り上げていけるよう努力してまいります。

○高倉委員 今回、トップランナーと市民ランナーが、銀座、浅草など東京の名所を走り抜ける姿が内外に発信されました。東京がオリンピックのような大イベントを開催するにふさわしい都市であることを、世界にアピールできたと思っております。
 オリンピックやパラリンピックの招致活動は、招致委員会を中心にいよいよ本格的に始動いたします。その際、都民や国民の機運の盛り上がりが何よりも重要であり、IOCの評価にも影響すると聞いております。
 平成十九年度予算案においては、都は、スポーツ振興による招致機運の盛り上げの一環として、国際スポーツ競技大会への補助、七億円を計上しております。ぜひとも都民、国民がトップアスリートに直接触れる機会、あるいは障害者スポーツに触れる機会をふやし、オリンピック、パラリンピックの東京開催を引き寄せるべきであります。
 そこで、今回予算計上されている補助の内容についてお伺いいたします。あわせて、障害者の主要な国際スポーツ競技大会の東京での開催についても、同様に補助の対象にすべきと考えます。見解を伺います。

○熊野東京オリンピック招致本部長 今回、都が行おうとしております国際スポーツ競技大会への支援事業の目的は、国際スポーツ競技大会を支援しております都の姿勢、あるいは大会開催実績をアピールするとともに、トップアスリートを間近に見ることで、都民、国民のオリンピック招致機運を盛り上げ、オリンピック及びパラリンピックの東京招致につなげていくことでございます。
 補助の仕組みといたしましては、原則として、都内開催の国際スポーツ競技大会を対象にいたしまして、その運営費の一部を補助することを考えております。
 どの大会にどのような補助を行っていくかにつきましては、日本にオリンピック及びパラリンピックを招致する上で効果が見込まれるかどうかなどの観点から、障害者の国際スポーツ競技大会を含めまして、個々に検討してまいります。

○高倉委員 オリンピックの東京招致に向けては、身近な地域スポーツの振興を図ることも大切であります。
 現在、都は、東京国体開催の平成二十五年までに、すべての区市町村での地域スポーツクラブの設立を目指しております。現在の設立状況は、二十二区市町村で四十五クラブと聞いております。
 都は、十九年度から二十一年度までの三カ年、地域スポーツクラブの設立支援を重点事業に位置づけております。重点事業三年目の平成二十一年は、二〇一六年オリンピックの開催都市が決定をする年でございます。これを視野に入れ、なお一層の力強い取り組みが必要と考えますけれども、所見を伺います。

○中村教育長 現在、都教育委員会では、オリンピックの開催を見据えまして、子どもの体力向上から高齢者の健康づくりの実現まで、都民全体が、いつでも、どこでも、いつまでも幅広くスポーツを楽しむ生涯スポーツ社会の実現を目指しまして、地域スポーツ活動の支援に取り組んでおります。
 お話の地域スポーツクラブの設立は、生涯スポーツ社会の実現に欠くことができないものでございまして、地域の日常的なスポーツ活動の場の整備といたしまして、スポーツ実践者のすそ野の拡大や、スポーツの機運の醸成につながっていくものと考えております。
 平成十九年度からの地域スポーツクラブの設立支援事業につきましては、ご指摘のように、都の重点事業として実施することといたしまして、東京都地域スポーツクラブ設立支援協議会を設置し、クラブの設立方法や普及啓発方策等の開発、検証、その検証した情報の発信などを行うとともに、地域スポーツクラブを段階的に育成していく新たなモデル事業も実施いたしまして、全区市町村におきます地域スポーツクラブの設立に向けて積極的に支援してまいります。

○高倉委員 先日、私は、NHKの「その時歴史が動いた」という番組を見ました。大変感動いたしましたので、少し紹介させていただきたいと思います。東京オリンピック招致の中心人物として活躍した日本水泳界の指導者、田畑政治氏のお話でございます。
 当時は、まだアジアの国々に反日感情が根強く残っていた時代でありました。田畑氏は、アテネで採火した聖火を、かつて戦場にしたアジアの国々でリレーして東京に運んでくることで、平和国家日本をアピールしようと考えたようであります。
 そして、十万人ものアジアのランナーによる聖火リレーが実現をいたしました。そのリレーの中で、沿道からシュプレヒコールが上がり、ニッポン、平和万歳などと、日本に対する声援が沸き起こったということでありました。
 番組は、次のようなナレーションで終わりました。
 二〇〇八年、中国・北京で次回オリンピックが開催されます。その第一歩を後押ししたのが田畑でした。実は、田畑には東京オリンピックで思い残したことが一つだけありました。それは、国交がなかったからとはいえ、聖火リレーが中国と朝鮮半島を通ることができなかったこと、とりわけ、中国をオリンピックに招けなかったことでした。昭和四十六年に日本で開かれた世界卓球選手権、田畑もその実現に尽力しました。日本卓球連盟の招きで、国際大会から遠ざかっていた中国選手団が参加、中国のオリンピック復帰に道を開きます。まだ日中が国交回復していない時代のスポーツを通した交流、後に来日した中国のIOC委員は、目を真っ赤にしながら、何度も田畑を抱き締めました。このようなナレーションでございました。
 来年の北京オリンピックをきっかけに、知事にはぜひ中国にも行っていただきたいと思いますし、スポーツを通じた交流は、東京招致にも大きな弾みになるものと思います。
 ご承知のように、中国や韓国を初め、アジア諸国でもさまざまなマラソン大会が開かれております。東京マラソンを機に、アジア諸国とマラソンを通じて交流を行っていくことは、今後、オリンピックの招致活動を進めていく上においても非常に意義のあることだと考えます。見解をお伺いいたします。

○熊野東京オリンピック招致本部長 今回のマラソン大会におきましては、アジア大都市ネットワーク諸国の首長の皆さんに視察をいただきました。また、東京大マラソン祭りのイベント会場では、クアラルンプールマラソンのPR、あるいはフィリピン大使館のPRブースの出展などが行われました。
 こうしたアジア諸国との交流は、東京マラソンを国際的なものに発展させていく上でも、また、先生お話のように、オリンピックの招致活動を進めるためにも大変有意義であると考えております。
 今後とも、マラソンを通じたアジア諸国との交流の充実、拡大に努めてまいります。

○高倉委員 次に、三宅島オートバイレースについて伺います。
 私は、大型バイクでツーリングをしていたバイク愛好家の一人であります。オートバイの楽しさ、安全性とリスクは、自分なりに理解をしているつもりであります。
 モータースポーツも大好きでありまして、これは四輪でありますけれども、F1の日本グランプリを見に、鈴鹿にも出かけました。公道レースといいまして私が思い浮かべるのは、モンテカルロの市街地を走るF1のモナコグランプリであります。地中海の太陽のもと、クローズドサーキット観戦では味わえないレースでございまして、あのアイルトン・セナが得意としたコースであります。
 十一月に予定されている三宅島オートバイレースは、マン島で長い歴史を持つ公道レースのうち、TTスーパーバイクとは別の、前座のプレTTクラシックレースを参考にするという趣旨の知事のお考えが先日も示されました。つまり、スピードを競うよりも、市街地を楽しんで走るようなレースを想定しているものと私は理解したところであります。
 局長答弁によれば、MFJを初め専門家も協力や指導を惜しまないということ、そして実際にレースを開催する三宅村の総意に基づいたものということであります。
 公道であれクローズドサーキットであれ、レースである以上、リスクは存在すると思います。都は、万全の準備をしていくとしておりますけれども、国内における本格的な公道レースとして期待も大きく、都として独自の対策も含め、最大の安全対策を施した上で実施をすべきであります。
 先週の東京マラソンは、新たな東京の可能性を感じさせるものでありました。ボランティアの皆さんも含め、参加する喜びというものがあったと思います。今回のレースは、三宅島の復興に向けたムーブメントの大きなきっかけになる可能性を秘めていると私は思っております。できれば私も三宅島を走りたい気持ちでございます。
 そこでお伺いいたします。最近は、女性ライダーも大変ふえております。競技としてのレースのほかに、観戦に来た一般のバイク愛好家や島民もみずから参加してレースの気分を味わえるプログラム、あるいはアトラクションの設定が有効であると考えます。レース全体を盛り上げていくための工夫について明らかにしていただきたいと思います。

○大原総務局長 この三宅島オートバイレース大会でございますけれども、ご指摘のように、競技としてのレースのみならず、島の観光、産業を復興し、全島を挙げて噴火災害から力強く立ち上がるための取り組みでございまして、この大会をシンボルに、島の未来像を積極果敢に切り開いていこうとするものでございます。
 このために、レースとあわせまして、まず一点目には、クラシックバイクの走行ですとか、一般のバイク愛好者、島民が参加できますパレード、二点目に、国の内外の著名なライダーを招聘いたしましてのスーパーバイクによるエキシビション、三点目には、島の食材を使った屋台村ですとかショー等も行います前夜祭、こういったものを開催いたします。これによりまして、島民と来島者の全員が楽しめるイベントとなるよう、計画をしております。
 また、レース大会の開催前におきましても、東京モーターサイクルショーへの参加ですとか、あるいはバイクフェスタの開催、三宅島へのツーリング等、島の内外において多様なプレイベントを実施いたしまして、島民と島外の人々との交流等も進めまして、レース大会全体を盛り上げてまいります。
 都といたしましては、三宅村及び三宅島オートバイレース実行委員会と協力いたしまして、こうした取り組みを成功させ、三宅島の復興への機運を盛り上げていきたいというふうに考えております。

○高倉委員 次に、都債についてお伺いいたします。
 我が党の代表質問により、石原知事は、予算編成を行った年度における起債依存度が美濃部知事以降の歴代の知事の中で最も低く、都債残高の抑制に努めてきていることが明らかになりました。
 都債の持つ機能の一つは、社会資本の整備に要する経費などの財源として、現在と将来の納税者の間の負担の均衡を図る機能でございます。
 昨年七月にゼロ金利が解除され、先週、日銀でも利上げが決定されました。今後、地方債の利率が上昇し、都債の利子負担が増加をすることも十分に考えられる状況にあります。そのようなことを踏まえれば、今後も都債に過度に依存することなく財政運営を行っていくことが強く求められます。
 そこで、まず、石原知事が就任してからの新規債の発行額の推移について明らかにしていただきたいと思います。

○谷川財務局長 知事が就任した時点の平成十一年度決算では、七千二百六十五億円の都債を新規に発行しておりました。石原知事が予算編成を行った平成十二年度から十六年度の発行額は、三千億円台から四千億円台で推移しております。
 さらに、平成十七年度の新規の発行額は二千七百一億円と、三千億円台を下回り、平成十九年度予算においても同水準となってございます。

○高倉委員 知事が就任する前に編成された予算によって七千億円以上も発行されていた新規債の発行額を半分程度にまで減少させ、そのことが、都債の残高の抑制につながってきたことが明らかであります。しかしながら、その過程は決して容易なことではなかったと思っております。
 そこで次に、石原知事がみずから予算編成を行った平成十二年から、新規債の発行額がそれ以前に比べて減少した理由について明らかにしていただきたいと思います。

○谷川財務局長 平成十一年度に財源対策債として減収補てん債を一千五百億円、退職手当債を三百億円発行いたしましたが、平成十二年度以降は、こうした特別な起債の抑制に努めてきたことに加え、またこの間、起債が主な財源である投資的経費の拡大を抑えたことによりまして、平成十九年度予算では、平成十一年度決算の四割以下である二千七百九十九億円まで圧縮することができました。

○高倉委員 今の答弁を聞きまして、国が、都のような厳しい歳出削減に取り組むことなく国債の発行額をふやし続けた結果、その残高が税収の十年分もの膨大な規模にふくれ上がり、金利上昇に過敏な財政運営をせざるを得ない状況に陥っていることを考えると、その差は歴然たるものがあると思います。
 都は、この状況に安住することなく、今後も都債の負担を抑えていく取り組みが必要であると思います。
 今回の平成十九年度予算では、借換債の発行を抑制しております。今回の借りかえ抑制の内容と効果についてお伺いいたします。

○谷川財務局長 十九年度予算では、強固な財政基盤や税収増を背景に、過去に財源対策として発行いたしました臨時税収補てん債について、約三百四十億円の借りかえを抑制いたしました。
 その効果は、一時的に公債費が増加するものの、利払いや後年度の償還など、将来の財政負担が軽減されてまいります。
 直近二月の十年債の利率で試算した場合、約六十三億円の利払い負担が軽減されるようになります。

○高倉委員 ただいまの答弁で、六十億円を超える確かな効果があるということであります。税収が伸びている中でも、こうした取り組みを行っていく意義は、大変に大きいと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、今後も都債の借りかえ抑制を行っていけるものであるならば、積極的に行うべきと考えますけれども、いかがでございますか。

○谷川財務局長 借りかえ抑制は、ご指摘のとおり、利払いや後年度の償還など将来負担が軽減されまして、今後、金利が上昇する局面におきましては、さらに効果があるものと考えております。
 今回の借りかえ抑制は、過去に都税の減収分を補てんする目的で、平成九年度に限り発行した都債を対象に行ったものでございます。同様の性格を持つ都債につきましては、借りかえ抑制の対象となると考えており、各年度の財政状況や税収動向などを踏まえ、実施に向け、検討してまいります。
 投資的経費などの財源としている都債につきましても、地方債の本来目的である世代間の負担の公平性を確保する観点や、公会計における事業別バランスシートなどにも配慮した上で、適切に検討してまいります。

○高倉委員 都債は、利払いなどの負担をふやす一方で、安定的に事業を実施していくためには欠かせない財源でもあります。将来負担の軽減も視野に入れながら、こうした取り組みについても着実に進めるよう強く要望いたしたいと思います。
 都債に関連しまして、共産党に一言申し上げておきます。
 共産党の小竹議員は、二月二十一日の本会議中途議決の討論において、来年度で六兆七千六百億円となる都債残高の半分は石原知事のもとで借り入れてきたものと発言をしております。
 知事就任九年目で半分ということでありますけれども、そこで美濃部都政と比較をしてみました。知事九年目の都債残高に占める石原知事が発行した都債の割合は四七%であります。一方、美濃部知事は倍の九四%となっております。石原知事がこの間、いかに借金を減らす努力をしてきたか、一方で、共産党が支持した美濃部都政がいかに借金漬けであったかが明らかでございます。
 さらに、共産党はその討論で、石原知事が都債の発行額を一九九二年度水準に抑えていれば、減債基金の不足は発生しなかったと発言をしております。これはあたかも、石原知事が誤った財政運営を行っているかのような印象を与えますが、事実関係に大きな誤認がございます。
 東京都の一般会計における一九九二年度、平成四年度でありますが、この都債発行額は、当初予算額が三千六百六十八億円、決算では七千八百十五億円となっております。これに対して、平成十九年度当初予算の都債発行額は二千七百九十九億円、平成十一年度以降の発行額の平均でも三千九百九十五億円であります。
 すなわち、石原知事の都債発行額は、平成四年度当初予算額とほぼ同規模でありまして、決算額と比べると大幅に低く、石原知事の都債発行額が平成四年度と同じ水準であったとしても、減債基金の積み立て不足は発生をしていたのでございます。
 そもそも共産党の論理構成自体おかしなものでありますけれども、それ以前の問題として、事実関係に大きな誤りがあることを指摘しておきたいと思います。
 次に、納税制度についてお伺いいたします。
 私は、財政委員会で、マルチペイメントネットワークのような電子決済網を活用した納税、コンビニでの都税納付の拡大、相談体制の拡充など、納税しやすい環境づくりについて提案してきたところであります。
 新年度から、私どもの提案を受けて、都税の問い合わせに関するサービスを充実させるということでありますけれども、その内容と効果について明らかにしていただきたいと思います。

○菅原主税局長 現在、都税に係る納税者からのご質問、そして問い合わせにつきましては、インターネットによるホームページを開設してございますけれども、パソコンの扱いにふなれな都民の方々もおられるということから、電話の自動音声によりまして、自動車税について早朝、夜間、休日のサービスの提供を行っているところであります。
 来年度から、一層の納税者サービスの向上のため、その他の主な税金につきましても、二十四時間、電話回線を使用いたしまして、都税に関する手続等のよくあるご質問につきまして、テレホンサービスを実施する予定でございます。

○高倉委員 次に、都税の納付方法について伺います。
 都はこれまで、多様な方法に積極的に取り組まれ、納税者の利便性向上を図ってきていることについては評価をするものであります。今後は、クレジットカードを活用した新たな税の納付などにも取り組んでいく必要があると私は考えておりますけれども、改めて、これまでの納付方法の拡大の取り組みと実績についてお伺いいたします。

○菅原主税局長 平成十六年度より、都道府県で初めてコンビニエンスストアでの自動車税の収納を開始いたしまして、平成十六年度は約六十八万件、平成十七年度は約八十一万件の利用がございました。
 平成十八年度には、新たに賦課税目でございます固定資産税、そして個人事業税などを対象税目に加えるとともに、滞納となった場合には全税目を対象に取り扱うことといたしまして、一月末現在で二百万件を超える利用がございます。
 また、今年度からは、パソコン、携帯電話及びATMで納税できますサービスを開始いたしまして、一月末現在で約十六万件の利用がございます。
 さらに、本年四月からは、都税収納コンビニエンスストアを、現在の五法人から十二法人に拡大いたしまして、納税者の方々の一層の利便性向上を図ってまいる所存でございます。

○高倉委員 都は、公明党の提案を受けまして、水道料金のクレジットカードでの支払いを開始する方向であります。三重県の玉城町では、四月からクレジットカードによる税の収納が始まります。厚生労働省では、二〇〇八年から国民年金の保険料をクレジットカードで支払えるようにする、こうした方針を打ち出しております。
 都におかれましても、例えば、手数料をクレジットカード会社に負担してもらう方法でありますとか、あるいは、まず自動車税についてカード納付をできるようにする、こういったことも検討されて、ぜひ都税のクレジットカードでの納付ということについて先駆的に取り組んでいただけるよう強く要望しておきたいと思います。
 次に、住宅施策について伺います。
 民間賃貸住宅においては、高齢者の健康や入居中の事故などに対する家主の不安があり、高齢者が入居の選別を受けやすい状況があります。また、民間賃貸住宅のバリアフリー化率も低い状況であります。
 そのため、都議会公明党は、さきの第四回定例会における改正住宅基本条例の審議の際に、高齢者の居住の安定策を提案したところであります。
 現在、その新たな仕組みを検討していると思いますけれども、具体的な内容を明らかにしていただきたいと思います。

○柿堺都市整備局長 高齢者の居住の安定を確保するためには、入居に当たって制約を受けることがなく、バリアフリー化された民間賃貸住宅の供給をさらに促進する仕組みを構築していくことが重要でございます。
 そのため、都は、高齢者の入居を拒まない住宅としての登録や、手すりの設置等のバリアフリー化などを盛り込んだ、ソフト、ハード両面にわたる基準を策定しているところでございます。
 同時に、こうした基準に則して供給される住宅に対して、民間金融機関が優遇融資を行う制度の検討を進めておるところでございます。

○高倉委員 今説明がありましたこの新たな制度について、早期に立ち上げるとともに、実際の活用を促していくために、賃貸住宅経営者への普及を図ることが欠かせないと考えております。
 具体的な立ち上げの時期を含め、取り組みを明らかにしていただきたいと思います。

○柿堺都市整備局長 現在、制度の具体化に向けまして、金融機関や住宅建設事業者等と優遇融資やバリアフリー化等の条件について精力的に協議を行っておりまして、新年度早期の実施を目指しております。
 また、制度が普及し、市場において活用されるよう、ホームページや講習会などの場を通じて、賃貸住宅経営者等に対し幅広く制度の周知を図り、高齢者も安心して居住できる民間賃貸住宅の供給促進に取り組んでまいります。

○高倉委員 次に、中古住宅の流通促進についてお伺いします。
 子育て世帯の居住に適した住宅供給として、良質で低廉な中古住宅が市場で流通することが重要であります。特に、適切な品質情報の提供を促すことなどにより、中古住宅の流通を活性化していく必要がありますが、都市整備委員会での私への答弁で、都は、中古住宅を売買するためのガイドブックを策定中としております。
 中古住宅の取引に当たっては、土地や建物の状態について確認することが不可欠でありますけれども、このガイドブックではどう確認しようとしているのか、お伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 中古住宅の流通を促進するためには、土地や建物の状態等にかかわる情報を適切に売り主から買い主に提供していくことが重要でございます。このため、ガイドブックでは、中古住宅の売買に当たっての確認事項をチェックリストとしてまとめていくところでございます。
 具体的には、土地や建物の権利関係、建物の基礎や壁などの状態に加え、検査済み証や建築設計図書等の書類の有無などを盛り込むこととしております。

○高倉委員 中古住宅の売買契約時に気づかなかった雨漏り等のふぐあいが発覚する、こういったことで都に相談が寄せられる、そうしたケースがあるというふうにも聞いております。
 このような契約上のトラブルの防止に関して、ガイドブックで示す具体的な対応というのはどういうものであるか。また、ガイドブックの普及を今後積極的に図っていく方策について伺います。

○柿堺都市整備局長 中古住宅の取引は、売り主、買い主がともに個人である場合が多いことなどから、売買契約に当たって新築住宅と異なるさまざまな留意事項がございます。
 現在策定中のガイドブックでは、売買契約書等の参考例を示しながら、瑕疵担保の対象や期間、修繕の範囲など、特に注意すべき事項についてわかりやすく説明してまいります。
 今後、このガイドブックの普及に向け、ホームページの活用などにより都民への周知を図っていくとともに、不動産流通団体等で構成される中古住宅流通促進連絡会を通じて、取引の際にガイドブックを活用するよう、関係事業者に働きかけてまいります。

○高倉委員 次に、都営住宅の使用承継制度について伺います。
 都営住宅の使用承継の見直しに当たり、都は我が党の要請を受け、高齢者、障害者、病弱者のほか、未成年のみ残された世帯について例外規定を設けたほか、猶予期間を三カ月から六カ月に延ばしたところであります。この見直しがことしの八月から実施されますが、低所得者の方々や高齢に近い方々にとっては不安も強いと思います。
 使用承継ができない皆さんからの相談に対し、転居が円滑にできるように、情報提供も含め、できる限りきめ細かな対応に万全を期していくべきであると考えております。見解を伺います。

○柿堺都市整備局長 今回の使用承継制度の見直しは、都営住宅の利用機会の公平性を確保する観点から行ったものでございまして、高齢者などの居住の継続に配慮しつつ、使用の承継を配偶者に限ることといたしました。
 本年八月からの円滑な実施に向けまして、十分な周知を図るため、一年間の周知期間を設け、居住者向け広報紙などを活用し、わかりやすくPRするとともに、窓口において居住者の問い合わせにも応じているところでございます。
 今後とも、広報紙、ポスター、チラシなどによる制度の周知や、住宅供給公社、都市再生機構などの賃貸住宅の募集情報の提供、相談、区市町村の福祉窓口の紹介など、丁寧な対応に努めてまいります。

○高倉委員 次に、子育て支援について簡潔にお伺いしたいと思います。
 都は、平成十八年度から予算総額三十億円の子育て支援基盤整備包括補助制度を創設いたしました。十九年度予算でも、今年度と同じ三十億円を計上しておりますけれども、都として力点を置いているものについてお伺いいたしますとともに、他の自治体の特色ある施策を知るという観点から、このさまざまな独自の取り組みについて、都として積極的に公表、紹介をしていく、こうした取り組みはどうかと、このようなことについて所見をお伺いしたいと思います。

○山内福祉保健局長 平成十九年度の事業執行に当たりましては、地域の実情に応じた主体的な取り組みのほか、都が力点を置いて区市町村の実施を促すものとして、新たに創設された認定こども園の設置を支援するために、国庫補助の対象とならない認可外保育施設部分の施設整備について補助を行うこととしております。
 また、東京の保育全体のレベルアップを図るため、これまで、保育室から認証保育所B型へ移行する際の改修経費の補助を実施してきましたが、新たに認証保育所A型への移行についても補助対象に加えることといたしました。
 今後とも、区市町村が本事業を十分に活用し、子育て支援基盤整備に一層取り組むよう、積極的に働きかけてまいります。
 次に、公表の関係でございますが、お話のとおり、創意工夫にあふれた子育て支援の取り組みを積極的に都民に情報発信することは、社会全体での子育て支援の機運を盛り上げる上で有効でございます。
 今後は、ご提言を踏まえ、区市町村における子育て支援に関するハード、ソフト両面の取り組みについて、都のホームページに掲載するなど、都民に対して広く情報発信をしてまいります。

○高倉委員 石川県では、二〇〇六年からプレミアム・パスポート事業というのを進めておりまして、子育て世帯に対して、会社、商店、飲食店などが割引サービスをするという事業でございます。子どもが三人以上いる多子世帯にパスを発行しているようであります。これに似たような事業が、現在、十二の県に広がっているようであります。こうした財政支出をほとんど必要としない少子化対策は、大変に効果のある取り組みと考えますけれども、都の所見をお伺いいたします。

○山内福祉保健局長 企業や商店街、各種団体など民間の力を十分に活用しながら、知恵を尽くして子育て家庭を支援する新たな仕組みを構築することは、社会全体で子育て支援を行う機運を高める点からも、極めて意義あることと考えております。
 お話の、商店や飲食店などの協賛を得ながら、子育て家庭が商品を購入する際などに割引などの特典を与える取り組みについては、国においても平成十九年度に調査研究を行うとしておりまして、都は、こうした動向も見定めながら適切に対処してまいります。

○石川副委員長 高倉良生委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

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