東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○川井委員長 宇田川聡史委員の発言を許します。
   〔委員長退席、高島副委員長着席〕

○宇田川委員 まず初めに、築地市場の移転整備について伺います。
 先日も豊洲移転について質疑があったところですが、反対のための反対といった不毛なる議論でありました。いたずらに都民の不安をあおるような発言はいかがなものかと思います。
 都は、築地市場の移転について、市場関連団体との検討を経て、平成十三年十二月、第七次東京都卸売市場整備計画において築地市場を豊洲地区へ移転することを決定いたしました。豊洲新市場の整備に当たっては、これまでに、基本構想から始まり、実施計画を進め、昨年秋には基本計画を取りまとめ、今後、これらをもとにPFI手法により整備を進めていくと聞いております。
 しかし、その一方で、テレビ、週刊誌などのマスコミ報道や十月の反対デモなど、移転反対の声が聞こえてまいりますが、むやみに無視することはできないと思っているところです。何ゆえ反対が起こっているのか、時には反対者の声に耳を傾け、時には不安を払拭するための話し合いの場を設けるなど、関係者の納得を得る努力が不足していたのではないかと考えます。
 各委員会等の経緯もありますが、なぜ築地を移転させ、新市場整備を行うのか、昨今の反対の声の高まりを受けて、改めてお伺いをいたします。

○比留間中央卸売市場長 築地市場は開設から七十年がたち、施設の老朽化が著しく、また取扱量もおよそ三倍に増加し、施設の狭隘化が深刻な状況になっております。また、場内物流が鉄道による輸送を前提に構築されておりまして、トラック輸送など今日の物流に十分対応できておりません。
 このため、現在地再整備を検討いたしましたが、ローリング工事用の種地が乏しく、完成までに二十年以上かかるとともに、多大な工事費を必要とすること、現行の敷地面積では再整備を行ったとしても場内の混雑や市場周辺の路上駐車を解消できないこと、工事期間中、市場の営業活動に深刻な影響を及ぼす可能性のあることなど、現在地再整備を行ったとしても基幹市場としての役割を十分に果たせないことから、平成十年四月の市場業界六団体からの臨海部への移転を検討してほしいとの要望を受けて検討に着手し、交通の利便性、営業の継続性、必要な敷地規模の確保等を考慮いたしまして、平成十三年十二月に豊洲への移転を決定したものでございます。

○宇田川委員 私の地元は江戸川区なんですが、区内や隣町の浦安市には市場に携わっている人たちが数多くおります。当然に親しい方々も多くおりまして、事あるごとに移転に対する不安や不満を耳にしております。一部では合意形成のために説明会などを開催していると伺っておりますが、市場関係者の中には詳しい説明をほとんど受けていないという声もあります。
 移転反対の声をきちんと認識しているのか、また、関係者への説明や合意形成に努めてきたのか、お伺いをいたします。

○比留間中央卸売市場長 築地市場の移転には、業界団体との合意形成が重要であると認識しております。豊洲新市場の整備につきましては、業界と都で構成する新市場建設協議会で合意形成を図るとともに、懇談会、検討会などさまざまな場を通じて情報の提供や意見集約を行っております。
 また、こうした会議以外にも、市場業者に理解を求めるため、昨年暮れに、水産仲卸組合及び青果仲卸組合の全組合員を対象に説明会を開催するとともに、業界広報誌への情報提供、中央卸売市場のホームページへの掲載など、あらゆる機会を通じて関係者への説明に努めてきているところでございます。
 次に、移転反対の内容といたしましては、豊洲新市場予定地には東京ガスが操業していたころの土壌汚染があり、安全性に不安がある、新市場に希望どおり移転できるのか、使用料を初めとして、新市場での経営上の負担がどうなるかなど、事業継続に対する懸念がある、長年にわたる築地市場での商売を通して、築地ブランドを自分たちの手で築き上げてきたことへの愛着があるなどが主なものであると認識をしております。

○宇田川委員 細かいことはほかにもあるんですが、反対の声の多くはそのとおりでございます。
 土壌汚染については後ほどお伺いするといたしまして、それ以外の点について、今後、どのように対応をしていくのか、どのように理解を求めていくのか、関係者の意見をしっかり受けとめ、誠意を持って対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○比留間中央卸売市場長 事業継続の懸念につきましては、豊洲新市場は、築地市場の移転であることから、できる限り多くの市場業者が移転できる環境を整備していくことが重要であると認識をしております。このため、PFI事業者が決定をいたします本年十一月を目途に、使用料や光熱水費の負担につきまして、極力抑制する努力や工夫をした上で試算値を業界に提示する予定でございます。
 築地市場への愛着とは、新鮮で豊富な食材と、活発な取引や場外市場と一体となったにぎわいなど、築地の持つ伝統と活力への強い思いであると考えております。豊洲新市場では、品質管理の高度化や効率的な物流を実現いたしますとともに、千客万来施設と一体になって新たなにぎわいを創出していくことで、築地の持つよさを継承、発展させ、新たな豊洲の魅力、価値を築いてまいります。

○宇田川委員 さて、過去にも数度にわたり質疑が行われたことですが、豊洲地区の土壌汚染について伺います。
 今月の十一日には、日本環境学会などの主催により、移転を考えるシンポジウムが行われました。土壌汚染に対する不安が払拭されない限り反対の声は高まる一方です。このことは、市場関係業者のみならず、消費者にとっても同様なのはいうまでもありません。
 ここで個別の汚染物質については一々問いませんが、そのすべての汚染物質はきちんと除去され、だれもが安心できるレベルなのか、しっかりとした対策が講じられているのか、お尋ねをいたします。

○比留間中央卸売市場長 東京ガスの調査によりますと、豊洲新市場予定地三十八ヘクタールのうち、東京ガスの操業が原因の汚染物質がある区域が四ヘクタール、操業にかかわりのない自然由来の汚染物質がある区域が十八ヘクタール、汚染物質が未検出の区域が十六ヘクタールとなってございます。
 操業に由来する汚染区域につきましては、東京ガスが現地盤面から二メートルまで土壌を掘削し、健全土に入れかえるなどの処理を行った上で、その上に二・五メートルの盛り土をすることとしております。
 自然由来の汚染物質がある区域につきましては、土壌汚染対策法や環境確保条例の対象外でございますけれども、生鮮食料品を扱う市場用地ということを踏まえ、都が独自に東京ガスと同様の対策を講じます。
 汚染物質が未検出の区域につきましても、建物建設地以外の部分は、地盤改良工事などにより同様の対策が行われます。
 建物が建設される敷地内の未検出区域は、二・五メートルの盛り土がされた上で堅固なコンクリート床で覆われます。
 豊洲新市場予定地は、その大部分が建物建設及び道路、駐車場予定地でございまして、厚さ二十五から四十センチメートルのコンクリート床ないし三十から四十センチメートルのアスファルト舗装で覆われます。
 このように、豊洲新市場予定地の全敷地にわたって二重三重の対策、すなわち平成十五年に施行された土壌汚染対策法や改正された東京都土壌汚染対策指針に照らしても十分な対策を講じるため、安全性に問題はございません。

○宇田川委員 今、安全性に問題はないとの明快なる答弁があったんですが、二〇〇三年二月に施行された土壌汚染対策法による調査方法にのっとったものではないとか、処理方法がリスク管理よりも開発を優先したもので、十分とはいえない等の意見もあります。
 一部の団体やマスコミは、汚染されていた土地への移転などとんでもないと一方的に報じてはおります。しかしそれらは、残念ながら市場関係業者の意を酌んだものではなく、責任ある発言でもございません。もし何らかの被害が生じた際に、一番の打撃を受けるのは、ほかならぬ市場関係業者、河岸行きの人たちなんです。死活問題です。彼らの不安を払拭することなく移転を行うことだけは避けなければならないことを、声を大にして申し上げておきます。
 土壌汚染対策については、広く周知されておりません。あらゆる面で都民や関係者の理解と協力を得ることは不可欠です。疑問、不安に対しては、わかりやすく何度でも説明を繰り返し、合意を図る努力を惜しまず行っていくべきであります。今後、どのように皆さんに説明をしていくのか伺います。

○比留間中央卸売市場長 卸、仲卸、関連事業者等の市場業者につきましては、引き続き協議会等において合意形成に努めるとともに、移転に反対する人々も含め、きめ細かく説明会を開催し、情報提供や話し合いを行うことにより、理解と協力を求めてまいります。
 市場に仕入れや買い出しに来る市場利用者につきましては、今後、業界団体等に呼びかけ、必要な説明会を開催していくことなどにより、一層の理解が得られるよう努めてまいります。
 また、広く都民に移転の内容について周知するため、わかりやすいパンフレットを作成するとともに、ホームページ、「東京都広報」などを活用して積極的に情報提供を行ってまいります。

○宇田川委員 昨今、食の安全・安心に対する関心は非常に高まっております。こうした世論の動向の中で、知事は、食の安全・安心についてどうお考えなのでしょうか。先ほどの答弁にあった対策で新市場予定地の安全・安心が十分に確保されたとお考えなのか、ご所見を伺います。

○石原知事 もとより食の安全・安心を確保するのは、生鮮食品を扱う市場の基本的、もう絶対的な使命であります。
 築地市場は老朽化、狭隘化が進み、消費者が求める食の安全・安心にこたえられる施設とはちょっといいがたいと思います。
 先日の質問では、この移転は私のトップダウンで決まったような発言がありましたが、これは違いまして、私の就任前、もう二年近くかけて検討されて、基本的にそういうことになったようですが、それを受けて、私、視察いたしましたが、まさにやはり古くて、狭くて、危ないという感じがいたしました。
 そういう意味で、このため、築地市場を豊洲地区に移転し、高度な品質管理を実現することで食の安全・安心を確保していくつもりであります。
 豊洲の市場用地の土壌汚染については、これは敷地全面にわたって手厚い土壌処理を施し、万全の対策を講じてまいります。もう既に専門家が調査、分析し、その判断では大丈夫だということでありますが、さらに疑問の点がありましたら、それを解明し、都民全体の方々に安心していただくような説明をしていきたいと思います。
 いずれにしろ豊洲新市場は、こうした対策とあわせて、効率的な物流システムの導入、緑化や太陽光発電など環境対策への積極的な取り組みによりまして都民の期待にこたえ、これからの時代のモデルとなる基幹市場として整備していくつもりでございます。

○宇田川委員 知事から、安全・安心を確保するため万全を期すとの責任あるご答弁をいただきました。事実や対応の周知徹底が必要であり、情報不足が過度の誤解を助長させていることにつながっているともいえます。
 今や築地ブランドは、国内にとどまらず、世界じゅうに知れ渡っております。したがって、世界に向かって安全・安心を発信する必要があるといってもいい過ぎではないでしょう。今後とも、知らしめる努力とともに、市場関係業者と密接に連絡をとり、彼らの声に真剣に耳を傾けることを決して忘れずに基幹市場の確立に努めていただきたいと思います。
 次に、水源地の現状と、ことしの夏に向かっての水事情について伺います。
 ことしの冬は記録的な暖冬となり、各地に影響を及ぼしました。特に山間部では積雪量が極端に少なく、スキー場などにとっては厳しい冬であったことと思います。
 水源地の積雪量の多寡が夏の渇水へと結びつくわけで、給水の確保がなされるのか危惧しているところです。四国や中国地方においては、既に渇水による取水制限が始まっているとの報道もありました。水道は都民生活と都市活動を支えるという重要性を持ち、欠いてはならないものであり、安定給水の確保は水道事業者の責務ともいえます。
 そこで、矢木沢ダムなどの現時点の水量と、水源地の積雪状況を伺います。また、夏の需要期に向けての水事情をどう予測しているのか、あわせて伺います。

○御園水道局長 都の水源の約八割を占めます利根川水系の八ダムの二月二十六日九時現在の総貯水量は、昨年末の降水量が多かったこともございまして、平年より約三〇%多い状況でございますけれども、利根川上流域の積雪は矢木沢ダム地点において平年の約三八%でございまして、極めて少ない状況であります。
 今後の水事情につきましては、積雪量が近年になく少ないことから、降水状況等によっては雪解けによる流出が少なく、この夏の給水が厳しくなることも予想されます。

○宇田川委員 これから梅雨や台風など降雨量の多いシーズンを迎えますが、近年の異常気象は予測がつかないわけで、策を講じることなく指をくわえて眺めているわけにはいきません。
 新聞報道によると、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第四次報告書案では、今後も化石エネルギーに頼り、高い経済成長重視の社会が続けば、二〇五〇年ごろには世界で水不足に見舞われる人口が最大二十億人を超え、二〇八〇年ごろには三十二億人に増加すると予測しております。また、温暖化による熱波や干ばつといった異常気象も頻繁に発生すると伝えておりました。
 日本の河川は急峻であるため、一時的な降雨はすぐに海へと流出してしまう特異性があり、一たび干ばつになれば、すぐに渇水に結びつく事態を招く宿命を背負っております。だからこそ、首都東京の安定給水の確保には万全の備えが必要です。
 危機管理の観点から、渇水の可能性が出てきた際には、都民にはもちろん、水を大量に使用する企業などへの周知の徹底や、節水の普及に取り組む必要があると考えます。水道局としての具体的な対応策、取り組みについてお尋ねいたします。

○御園水道局長 水道局では、日ごろから、節水意識の高揚を図るため、ホームページやパンフレットなどのPR活動、小中学生向けの副読本の配布など、さまざまな媒体を活用いたしまして、水の大切さについて都民に周知しているところでございます。
 また、大規模ビルなどの給水開始の申し込みの際には、雨水利用や循環利用につきまして指導するなど、水の有効利用を推進しております。
 一方、渇水時には、これまでも、新聞広告などの各種広報媒体の活用に加えまして、車両巡回による地域広報などを通じて節水の呼びかけを強化するとともに、企業等の多量使用者に対しましては、節水の協力を個別に依頼をしております。

○宇田川委員 都民一人一人の協力が不可欠ではあるんですが、それにも限界がございます。首都圏全体の水源は、利根川水系への依存が大きく、利根川水系での渇水は広範囲に影響を与えることとなります。他の水系との連携など、より広域的な視点に立った対策を行っていかなければならないのではないでしょうか。行政域を超えた取り組みには多くの課題もあるとは思いますが、安定供給のためには、他の水系との流域間連携を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○御園水道局長 水道局では、渇水時の対策といたしまして、利根川水系の朝霞浄水場と多摩川水系の東村山浄水場を結ぶ原水連絡管を効率的に運用いたしまして、水系間の融通を図るなど、給水の確保に努めております。
 また、他の水系との流域間連携につきましては、現在、震災時や事故時などの非常時対応といたしまして、埼玉県や川崎市との間で水の相互融通を推進しております。しかしながら、渇水時の水運用については、明確なルールがまだ確立されておりません。このため、利水者間の話し合いで、その都度、取水制限率が決められている状況でございます。
 ご指摘のように、他の水系との流域間連携は、渇水時にも有効であると認識をしておりまして、今後、近隣県などの関係者と情報交換を行うとともに、連携について働きかけてまいります。

○宇田川委員 次に、災害時などの対応について伺います。
 先日、北海道の北見市で、ガス管の亀裂による事故がありました。阪神・淡路大震災の際には、ガスよりも水道の被害の方が大きく、断水が長引いたと記憶をしております。安定給水の危機管理といった観点では、渇水時と同様に、災害や事故が生じた場合の給水確保もまた重要です。災害時等における水の確保はもとより、事前の予防対策などの危機管理対策にも万全を期す必要があると思います。水道局はどのような対策を講じているのか、伺います。

○御園水道局長 水道局では、災害のうち、最も甚大な被害が予想されます震災対策を最重要課題の一つとして位置づけ、予防的な対策はもとより、発災時に備えた対策も整えております。
 予防的な対策といたしまして、平成二十五年度までに経年管の解消を目指すほか、初期ダクタイル管の耐震継ぎ手管への取りかえ、浄水場などの耐震化を計画的に推進するとともに、応急給水槽など給水拠点の整備に努めております。
 また、発災時に備えた対応といたしまして、水道施設の復旧や応急給水の体制などについて具体的に定めるとともに、定期的な訓練を行うことにより、体制整備に万全を期しております。
 さらに、事故時のバックアップ機能を強化するとともに、発災時に復旧日数を短縮するため、送配水管ネットワークの整備にも取り組んでおります。
 今後とも、こうした危機管理対策を一層推進し、首都東京の給水安定性の向上に最大限努力してまいります。

○宇田川委員 今まで伺った話では、真に安定した水の供給のために、十分なる水源確保がなされ、しっかりとした対応策が講じられているとはまだまだいいがたい状況のようです。近隣県や区市との連携を密にし、相互の給水体制を確立することも必要でありますし、耐震化等の整備を早期に進めることも重要です。加えて、八ッ場ダムなどの必要性を再認識し、早期完成に向けた強い働きかけを続けるべきとも考えます。
 今般、アジア・太平洋地域の各国が参加し、水問題解決に向けたアジア・太平洋水フォーラムが本格始動したとのことです。年内には、別府市において第一回アジア・太平洋水サミットが開催され、幅広い分野で水対策の議論がなされると聞きました。
 知識と経験を生かし、水のリーダーとして各国に範を示すためにも、国内の課題解決に取り組み、給水確保に万全を期していただくことをお願いし、次の質問に移ります。
 「十年後の東京」について伺います。
 「十年後の東京」の中で、スポーツの振興を通じて、競技力の向上と世界の子どもたちの健全育成に貢献し、生涯を健康的に過ごせる社会を実現することが示されました。昭和三十九年の東京オリンピック開催では、日本も、あらゆる面で世界に追いつくことを目標とし、開催を契機に大きな発展を遂げました。アジア初の二回目の開催を目指すに当たり、東京が積み重ねてきた成果をアジアのスポーツ発展へと還元していくことが重要だと考えます。東京がアジア地域でのジュニアスポーツ振興の先駆的役割を果たし、次世代の子どもたちに夢を与えることは、アジア全体の発展にも大きく寄与することとなります。
 都は、先般、ジュニアスポーツアジア交流大会をことしの八月に開催することを公表したわけですが、この大会では、中学生を中心とするジュニア世代の交流試合や指導者交流の場を提供する予定であると聞いております。こうしたことの意義について、まず所見をお伺いいたします。

○中村教育長 お話の第一回ジュニアスポーツアジア交流大会は、アジアの十を超える都市から、中学生を中心とするジュニア選手の参加を得まして、アジアでの競技水準が高く、幅広く普及しておりますバドミントンを競技種目として、本年の八月に開催いたします。
 この大会の意義といたしましては、将来、オリンピックでの活躍を胸に抱きますアジアのジュニア選手が、競技を通じて技術的、精神的に向上するとともに、国を超えた相互理解を深めることによりまして、生涯を通した人格形成や健全育成を図るなど、スポーツの振興を通じて、アジアの次世代育成に大いに貢献するものと考えております。
 また、指導者交流では、ジュニア選手の強化戦略についての報告、討論を行いまして、その成果をアジアの競技力向上に還元し、各国競技団体との連携強化を推進してまいります。

○宇田川委員 準備段階が大切でありますので、周到に進めていただきたいと思います。
 アジア各都市の積極的参加を促し、交流試合や指導者交流を行うこの大会は、スポーツ国際都市としての東京をアピールする上で大いに意義あるもので、しっかりとリーダーシップを発揮してほしいと願っております。
 こうした意義をさらに高めていくためには、今後も継続的に開催を行い、多様なる競技種目を展開すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○中村教育長 お話のとおり、スポーツ国際都市東京を、アジアを初め世界に強くアピールするため、平成二十年度以降もジュニアスポーツアジア交流大会を継続して実施するとともに、アジア全体を視野に入れまして、複数競技種目によります大規模な交流試合や、アジア各国の競技団体指導者によりますジュニアスポーツ交流サミットの実現を目指しております。
 また、競技種目の選定に当たりましては、アジアにおける各競技の水準や普及状況、次世代育成への貢献という大会趣旨等を踏まえまして、競技団体関係者と十分に意見交換を行いながら、検討を進めてまいります。

○宇田川委員 さて、「十年後の東京」の中では、二〇一六年の東京オリンピック開催は、成熟を遂げた東京をさらに機能的で魅力的な都市につくり変える大きな契機となるとも示されました。
 臨海地域、特に臨海副都心は、オリンピックの主要会場にも予定をされており、都内で最も重要な地域の一つであるといっても過言ではありません。昨年は、「ゆりかもめ」の豊洲延伸や晴海通りの全線開通などの交通インフラ整備が進み、アクセスの利便性が向上した一方、ビルやホテル、マンション、学校などが次々と完成し、開発は目に見えて順調に進んでいることがわかります。
 こうした中、都は、昨年三月、開発総仕上げの十年を迎えるに当たり、青海地区北側と有明北地区の重点的開発着手と、開発の基本となる財政基盤を強化し再構築するためのさらなる方策の取り組みという二つの方針を打ち出しました。
 そんな状況下、今後の臨海副都心開発についてお尋ねいたします。
 まちづくり総仕上げの十年に向け、今後の事業予定がどうなっているのか、そのために投資する事業費はどのくらいなのかを伺います。さらに、臨海副都心開発全体の総事業費と一般会計からの投入額及びその比率なんかもあわせて教えていただければと思うんですが。

○津島港湾局長 臨海副都心開発において今後予定している残事業は、環状二号線などの広域幹線道路や、有明北地区における埋立地の地域内道路などがございまして、今後の事業費は二千八百億円を想定しております。
 次に、開発全体の総事業費でございますが、これまで二兆三千六百億円とお示ししてまいりましたが、今回、広域幹線道路等の事業費を縮減した結果、二兆一千八百億円と試算しております。
 また、この総事業費のうち、一般会計からの投入額は約三千億円で、比率としては全体の一四%でございます。

○宇田川委員 今のご答弁から、まさに総仕上げに向かって着実に進行していることと、一千八百億円の事業費圧縮という計算になるんでしょうか、決してむやみに資金投入しているわけではないということがわかりました。
 さて、臨海副都心には、現在、年間四千万人を超える人々が訪れるまちとして、にぎわいを見せており、交通インフラ整備や新規施設のオープンなどにより、活力に満ちたまちへと成長してきております。
 開発から十八年が経過し、これからなお一層の成熟を迎えることと思います。成長の成果をはかる上での一指標でもありますが、現在、来訪者数はどの程度なのか、伺います。

○津島港湾局長 臨海副都心は、着実に進出事業者が増加するとともに、さまざまなイベントが開催されるなど、国内有数の観光スポットとしても成長してまいりました。同時にまた、「ゆりかもめ」の豊洲延伸や晴海通りの全線開通等により、交通利便性が格段に向上してきております。
 こうした中で、年間来訪者数は、平成十八年には過去最高の四千二百八十万人を記録したところでございます。

○宇田川委員 アクセスの向上などが、結果としてきっちりあらわれているということなんでしょうかね。
 さて、いよいよ青海地区北側開発に本格的に着手する段階となるわけですが、三月末の公募、七月応募受け付けの開始と聞いております。今伺ったにぎわい状況などを踏まえて、今回公募の青海地区北側の処分見込みはどうなのか、お伺いいたします。

○津島港湾局長 不動産市況が好転し、都心部を中心に大規模な土地が不足する中で、臨海副都心におきましては、今年度、公募区画におきまして三件の進出事業者が決定したほか、さらにもう一区画で応募があるなど、この地域の持つポテンシャルが一段と注目されております。こうしたタイミングをとらえまして、臨海副都心の中核に位置する青海地区北側の処分を開始していくことといたしました。
 この地域の公募開始に当たりましては、これまで業務・商業を中心とする土地利用等の一部見直しを行うとともに、より事業者ニーズに対応した弾力的な処分方法を新たに導入することといたしております。
 昨年九月に青海地区北側の公募を予告して以来、数多くの事業者からさまざまな引き合いや提案が寄せられておりまして、十分な手ごたえを感じておりまして、応募も順調に進むものと期待しております。

○宇田川委員 土地の処分も着実に進行していることが確認できました。
 臨海副都心のまちづくりは、オリンピックの開催、そしてその成功に直接的に結びつくものであります。「十年後の東京」にも欠かせないものであり、首都東京の活力の起爆剤となるよう、今後も開発をしっかりと進めていくよう期待をしております。
 最後に、東京マラソン二〇〇七について伺います。
 第一回開催のため、多くの不安を抱えた大会だったと思います。私も総務委員会において何度か発言をし、ボランティアの一般公募などを提案してまいりました。この大会の成功を最も願っていた者の一人であります。結果、走る喜び、応援する楽しみ、支える誇り、これを見事に全うしたすばらしい大会でありました。
 我が党からは、山田忠昭議員が十キロに、田中たけし議員とともに、私はフルマラソンに参加をさせていただきました。フルマラソンの完走メダル、ちょっと持ってきたんですが、(実物を示す)このメダルとビッグサイトでのゴールの感動は、私にとってかけがえのない宝となりました。
 大会を盛り上げ、成功へと導いてくれた沿道での応援の皆さん、ボランティアの方々には、厚く御礼を申し上げます。また、みずからのレースを中断し、心肺停止したランナーの命を救った横浜市の消防署員の方には、心から敬意を表します。
 さて、このマラソンは、オリンピック招致機運の向上を図るためのプレイベントとしての位置づけがあったはずです。私は、委員会において再三、オリンピック招致PRを主張してまいりました。しかし、走った私の目線には、自民党の同僚が招致本部に借りたのぼりでPRしながら応援してくれていた以外は見当たらず、非常に残念に思っております。また、前日までのEXPO会場においても、ブースは設置されていたものの、悲しいかな、インパクトがなく、注目を浴びるものではありませんでした。
 もちろん、このマラソンにおいては、看板などにスポンサーやIOCの制約が極めて厳しく、沿道などでのPRがままならないということは百も承知しております。しかし、その制約をいかにかいくぐり、PRをしていくかが、招致にかける意気込みともいえるのではないでしょうか。二〇〇九年の決定までの開催二回については、もっと知恵を絞り、PRを積極的に打ち出すべきと考えますが、知事のご所見をお聞かせください。

○石原知事 何しろ最初の試みでありましたから、特に参加していただいた方々にはいろいろご不満もあったと思います。しかし、雨だけは、これは東京の力ではどうにもなりませんで、ご容赦願いたいんですが、いずれにしろ、今回の東京マラソンを通じて、都民の皆さんにスポーツの楽しさ、すばらしさを十分味わっていただけたと本当に思います。
 また、招待した各国の大使や大都市の首長さんたち、あるいは海外のレースディレクターの皆さんからは、大会運営に対して、非常に高い評価の声をいただきました。東京の底力を示すことができたと思います。
 あのマラソンのあった夜のレセプションでも、いろんな方から、外国の方から非常に高い評価を受け、かつまたいろいろ感謝までいただきましたが、しかし、何よりも私が感謝したいのはボランティアの方々ですね。本当に、ボランティアも応募が多過ぎて、お断りする人が多かったんですけれども、そういう方々が本当に献身的にきめの細かいサポートをしていただきました。
 こうした取り組みによりまして、国内外の理解と支持が高まり、オリンピック招致機運に一層弾みがついたと思います。
 今後は、東京オリンピックの招致委員会において本格的なPR活動が行われることになりますが、都としても、あらゆる機会を通じて、きめの細かい招致運動を展開していきたいと思いますし、一番懸案といいますか、心配なのは、IOCが行います世論調査ですね。これに東京の都民がいかに反応してくれるか。大阪の場合は、実に四〇%の人が反対だったそうでありまして、こういう機運というものは、このマラソンを繰り返すことで大分違っていくんじゃないかと思っております。
 これもおっしゃるとおり、来年のマラソンもフルに利用しまして、都民の意識を高めていきたいと思っております。

○宇田川委員 二〇〇九年に向け、我々招致議連も努力を惜しみません。ぜひ、より積極性を持って招致機運向上に努めていただきたいことを要望しておきます。
 今回の自分の参加経験や、友人、一緒に走った人たち、コミュニティサイト等の情報での多数意見の一部をここで申し上げさせていただきます。ぜひ知事にもしっかり聞いておいていただきたいと思います。
 まず、スタート時についてです。あいにくの天候が災いしたこともありますが、荷物搬送トラックの場所で混乱がありました。スタート地点を示したのと同様、事前に番号や位置を告知すべきだったのではないでしょうか。また、地方からの多くの参加者にとっては、都庁周りの地理の把握がなく、各スタート地点への動線が不明確で、迷っていたようです。後方スタートのランナーには、私もそうだったんですけど、スタート前のセレモニーや、知事のスターターの様子などをうかがい知るすべもなく、いつスタートしたのかもわからない状況で、大半が不満を語っておりました。
 コース上では、既に指摘されておりますが、トイレの絶対的な不足と食料の枯渇は、ほぼ全員の不満でありました。ただ、不幸中の幸いといいますか、食料がなくなったことを気遣った沿道の応援の方が、チョコレートなどをみずから配る姿がありました。こうした人情味に触れたことは、ゴールでの感動同様、涙が出るほどうれしいものでありました。
 ゴール地点でも、荷物の受け渡しに多少の混乱があったようです。
 細かい点を挙げれば切りがありませんが、次回開催に当たり、改善の一助としていただきたいと思っております。
 また、蛇足でありますが、ハーフマラソン開催の要望も数多くあったことを報告しておきます。
 国内初、空前の規模で行われた大会でしたから、二回目以降に改善を要することは事前にわかっていたはずです。だとすれば、ゴール後のランナーに簡単なアンケートを実施し、生の声を吸い上げるような努力が必要だったのではないかと、今さらながらに感じております。
 今回の成功を受け、来年の申し込みはますます膨れ上がることが予想されます。全国から集まってくる市民ランナー、ボランティア、沿道応援の皆さんに一層の喜びと感動を与えられる、そして世界の市民マラソンと肩を並べられる大会になることを願っております。
 今回の反省なども踏まえ、次回へとつなげていくための今後の改善への取り組みなどについてお伺いいたします。

○熊野東京オリンピック招致本部長 ボランティアを初めとする関係者のご尽力によりまして、総体的に見れば、第一回目の大会の運営としてはおおむね成功ではなかったかと考えております。
 しかしながら、先生ご指摘いただいた課題など、まだまだ細かい点で改善の余地があることは事実でございまして、今後、東京マラソン組織委員会で詳細な分析がなされ、次回大会に向けて改善がなされていくことになろうかと思います。
 都といたしましても、現在、参加されたランナーなどからさまざまな声をいただいております。それらを参考に、よりよい大会運営になるよう、東京マラソン組織委員会とも連携しながら、最善の努力を重ねてまいりたいと思います。

○宇田川委員 ちまたでは、終了直後から次回開催への期待の声が高まっております。また、参加された方々からは、感動と感謝の言葉であふれております。この大会は、まさにスポーツを通じて夢と希望を与えたものであり、東京の魅力を存分にアピールしたイベントとしても大きな成功をおさめました。今後も一層成長したイベントになるよう、期待をしております。
 まだ少々時間がありますので、今、私の経験などから指摘をさせていただいたことを聞いて、知事の印象なりご感想なりありましたら、一言いただければありがたいと思うんですが。

○石原知事 ハーフマラソンの要望というのは、これは一聴に値するご意見だと思います。
 それから、参加した方々のアンケートは、どういう方がどこにいらして、どこから参加されたか、わかっておりますから、今のご指摘も受けまして、きめの細かい質問状などをつくりまして、参加した方々の意見を聴取して、それをまとめて、来年の改善に役立てたいと思います。

○宇田川委員 マラソンを英断された知事に改めて感謝を申し上げます。私も、いま一度鍛え直して、来年また挑戦できればと思っております。
 これで私からの質問を終了いたします。
 ありがとうございました。(拍手)

○高島副委員長 宇田川聡史委員の発言は終わりました。

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