東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○川井委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 付託議案の審査に入る前に、委員長から一言お願いをいたします。
 当予算委員会、できるだけ品位と節度を持った上で進めていきたい、こう思います。特に、質問者、答弁者、気をつけていただきたいと思います。
 また、答弁に当たっては、簡略に的を得たご答弁をいただくよう、ご協力お願いをいたします。
 それでは、これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案まで、第百二十六号議案及び第百二十七号議案を一括して議題といたします。
 二十三日に引き続き総括質疑を行います。
 臼井孝委員の発言を許します。

○臼井委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 十九年度予算は、景気回復による都税の大幅な増収に支えられ、過去からの財政赤字を解消させることが進み、基金の積み立てもでき、都民生活の安定と都の将来への発展が期待される予算となっております。これまでの財政再建の努力によるところが大きく、知事の実績を高く評価するものであります。
 さて、十九年を新たな出発点として、東京を変える「十年後の東京」ビジョンが示されました。そこで、私は、多摩振興について幾つかの質問をさせていただきます。
 多摩地域の振興についての目安になる多摩リーディングプロジェクトは、このたび策定以来二年が経過し、都みずからが行う多摩重点推進事業をこれまでの二十事業から二十五事業にふやして、市町村総合交付金も市町村からの要望にこたえて過去最高の三百四十億円を確保するなど充実強化された内容が、我が党の宮崎幹事長の代表質問による答弁でも明らかになったところであり、多摩の市長会、町村会も大変評価をしているところであります。
 これまでも多摩地域の振興策についてさまざまな構想が示され取り組みがなされてきたところでありますが、多摩地域の活性化や市町村の自立発展に向けた都の都市機能の整備への取り組みは、残念ながらまだ不十分であります。多摩振興策は各局にまたがり実施されるものでありますが、今後も多摩リーディングプロジェクトの充実を図りながら振興策を確実に進めることを、多摩の窓口として多摩振興を担う総務局に、特に要望をしておきます。
 それでは、多摩振興の起爆剤として期待される多摩シリコンバレー構想についてお伺いをいたします。
 一月十七日、石原知事は、横田基地の軍民共用化に触れ、空港を利用するようになれば、広域多摩という首都圏が新たに拡大することになり、多摩地域は戦前から航空機産業が盛んで、先端技術を持った中小企業や大学、研究機関が集積している。愛知県が自動車産業のメッカといわれるように、多摩地域を航空機産業のメッカとして発展するように、東京都としても支援をしていきたいといわれました。
 昨年十二月に策定された「十年後の東京」においても、広域多摩エリアを多摩シリコンバレーとして発展させるという構想が掲げられております。これは二十一世紀の首都圏の新産業拠点として、また、三多摩の活性化、地域経済を支える力として、これからの公共交通など都市機能の整備が期待されるところでありまして、この多摩シリコンバレー構想は、ぜひとも実現させたい、させるべきと考えております。
 ここで、改めて知事の決意を伺います。

○石原知事 多摩地域には、電子部品や情報通信機器などの時代の先端を行く企業が数多く既に集積しております。また、大学や研究機関も多く、隣接県を含めた広域で多様な産学連携による新たな研究開発が盛んに行われるなど、非常に高い潜在力を示しております。
 今後、横田基地の軍民共用化や圏央道の全線開通により、多摩を中心として筑波から埼玉県、神奈川県に至る地域の交流がさらに活発化し、高度で多様な先端ものづくり産業の集積地として、広域多摩とも呼べる圏域が形成されていくものと思います。この機を逃さず、産業支援拠点のコーディネート機能や交流機能を強化し、異業種、異分野間や都域を越えた連携による新事業創出を促進することで、多摩シリコンバレーを形成し、アジアを代表する産業拠点として発展させていきたいと思っております。
 私もシリコンバレーに何度か行ったことがございますが、あれはIT技術の進展とともに、いわば、ある意味で瞬間的にできたまちなものですから、非常に住宅など不足しまして、住宅が高価ですけれども、こういったインフラはもう既に多摩地域では十分整備しておりますし、土地の余裕もございますので、そういう痛痒を感じることはないと思います。
 加えて、日本は久しぶりに純粋な日本の軍用機の開発を行いまして、ほとんどCX、PXは完成しておりまして、先般、私、岐阜に視察に行ってまいりましたが、その関係業者からも、これからの航空機産業というものが軍用、民用兼ねて発達していくだろう。そのために、多摩の話をしましたら、やっぱり非常に航空関係業者の多摩地域に対する期待は大きなものだということを感じて帰ってまいりました。

○臼井委員 新たな発展へ、大変期待の持てる話でございます。
 一月に策定されました東京都産業振興基本戦略においては、多摩シリコンバレーをアジアを代表する産業拠点に発展させる施策を掲げています。この中で、産業集積、企業立地を促進するためには、都市計画手法を活用することなどを内容とする区市町村の産業振興政策に対し、都の産業施策を重点的に適用するとあります。
 このように、都においては、知事が述べられたように、多摩シリコンバレーのようなすばらしい構想があるにもかかわらず、現在、多摩の郊外地域では流通産業の進出が著しく、自動車の交通公害が三多摩の郊外で拡大しております。これは東京都と多摩の間に産業の未来像や、あるいは産業振興策にミスマッチを起こしているのではないかと思わざるを得ないのであります。市町村の区域を越えているのであるから、広域的な役割を、産業振興基本戦略にあるように、市町村の計画に都の産業施策を重点的に適用するというような考え方ではなくて、広域的な役割は都が果たすことが期待されています。多摩シリコンバレーのような広域的な産業振興策は、都が市町村をリードすべき立場にあるべきと私は思います。
 特に、財政面から見ても、市町村は一生懸命過去にも工業団地を造成したり、開発して企業を誘致しても、期待されている税収においては、法人の場合には法人二税は都税のウエートが非常に高くなっていることから見ても、これは財政面からとらえても、都が主体的となって行うべきであると思うのであります。所見を伺います。

○島田産業労働局長 「十年後の東京」の実現を産業振興面から推進するため、このたび産業労働局におきましては、長期的な産業施策の展開の方向性を示す産業振興基本戦略素案を策定いたしました。この基本戦略では、圏央道等のインフラ整備に伴い、ますますポテンシャルが高まる広域多摩エリアを多摩シリコンバレーととらえ、この地域を研究開発、事業化拠点として発展させることを目指しております。
 今後、多摩シリコンバレーの形成に向け、具体的には平成二十一年度開設を目指す多摩の産業支援拠点の整備を進めるとともに、産学公連携の推進、国や地元市町村との連携した産業集積活性化など、積極的かつ多面的な取り組みを展開してまいります。

○臼井委員 ぜひ多摩地域の産業集積について、東京都のリーダーシップを期待をしております。
 それでは、次に進みます。
 さきの東京大マラソン祭りは、盛会のうちに終わりました。大変な好評で、東京の未来に希望を与えることができたと思います。次に多摩国体がどのような成果を上げられるか。そして、東京オリンピックと続くことに、新しい東京の風が起こったように感じたのであります。
 そこで、マラソンが大衆スポーツとして定着するためにも、また、多摩国体に向けてスポーツの機運を高めるためにも、多摩川をぜひ活用していただくことを提案をいたします。
 というのは、既に多摩川の遊歩道として整備されている箇所は、学生たちが練習している姿をよく見かけるんです。ロードレース用として十分ではありません。また、国立市や川崎市では、多摩川ロードレース、多摩川マラソンを多摩川堤や河川敷でやっていると聞いています。
 そこで、水と緑の多摩川に沿って都民ランナーがいつでも走れるように、マラソン文化を育てる場をここに提供できないか、見解を伺いたいと思います。

○中村教育長 東京マラソンを契機にマラソンが幅広い世代の都民に親しめるスポーツとしまして定着していきますことは、多くの都民がスポーツに親しむ生涯スポーツ社会の実現、さらに、東京国体に向けての機運の醸成にもつながると考えております。
 お話の多摩川沿いの都民ランナーへの場の提供につきましては、管理上の制約などがあることから、河川管理者、地元市などとの調整が必要であります。既に整備されております多摩川沿いのランニングコースなどにつきましては、より多くの都民ランナーが親しめるよう、関係機関や区市町村などと連携しながら、都民への情報提供を進めてまいります。

○臼井委員 よろしくお願いします。
 知事は、スポーツ・文化振興交流基金をつくり、東京版スポーツODAを展開し、青少年を世界平和の使者として育成することを述べています。そして、旧秋川高校の跡地について、中高一貫教育の場として構想を固めつつあるようでありますが、これは先進的なすばらしい試みであると思います。
 ところで、この旧秋川高校は、三宅の子どもたちが去った後、四月より全くの空き家となります。どの部署が当面の管理に当たるのか、大きな建物や広いグランドが利用されない、ゴーストタウンのような状況が続くと、地元は大変不安であります。その声が既に出ているわけでありますから、不審者の侵入や青少年対策など、管理体制をどのようにするか、お伺いをいたします。

○中村教育長 秋川高校の跡地につきましては、現在、利用構想を検討中でございます。当面の間、教育庁が責任を持って、建物、グラウンド等の管理を行ってまいります。

○臼井委員 ぜひ、立派な広大な施設でありますから、管理をしっかりしていただかないと困ります。
 ところで、多摩国体に向けたスポーツ振興の視点から、地元のスポーツ団体からいろんな声があります。この土地や体育館を利用することができないかどうか、便宜を図れないのかということでありますので、その地元スポーツ団体の利用ができるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○中村教育長 今お話のように、地元からグラウンド利用等につきまして要望があります場合には、スポーツ振興等の視点も考慮しながら、個別に検討してまいります。

○臼井委員 それでは、いろいろ地元の方から個別に当たらせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 次は、負の遺産についての考え方を、まずお尋ねいたします。
 昨年の財政委員会でも取り上げられたと認識しているのでありますが、多摩都市モノレール及び稲城大橋などを負の遺産と呼んでおります。(「地元、怒っているよ」と呼ぶ者あり)同じですよね。当初計画と実績が大きく乖離しているが、いまだに見直しに手をつけていないものを、そのように定義しているとのことですが、負の遺産と呼ぶには抵抗感があります。負の遺産を辞書で調べると、残す必要がないもの。全くよくない内容が書かれていますね。存在そのものを軽視するかのような意味が出てまいります。
 そこで、モノレールとJR中央線立川-三鷹間の高架複々線の促進、このことは三多摩市町村が広域的に取り組む事業として、プロジェクトとして、過去、国や都に働きかけてきたものでありまして、私たちにいわせれば、多摩の、三多摩の二大プロジェクトとして位置づけられており、私たち議員や政治を行う者にとっての大きなテーマになっているんですね。
 改めて伺いますが、三多摩におけるこの多摩都市モノレールなどの負の遺産をどのような存在として財務局はとらえているのか、お尋ねをいたします。

○谷川財務局長 私どもは、当初計画と実績とが大きく乖離することにより収支が悪化し、何らかの手だてを講じる必要がありながら、これまで抜本的な見直しを行ってこなかった事業を負の遺産と定義しております。ただし、決して事業そのものの意義を否定しているものではございません。むしろ経営面に着目し、事業スキームの修正を余儀なくされるものを負の遺産と呼んでおります。
 なお、お話の多摩都市モノレールについて申し上げますと、経営面では、建設費用の増加や乗客数の低迷などにより多額の債務超過に陥ったため、負の遺産としておりますが、事業に着目すれば、多摩地域の市民の足として定着し、南北を結ぶ都市インフラとして重要な役割を果たしているものと認識しております。

○臼井委員 わかりました。財務局長のいうことは理解できたということではなくて、答弁がわかりましたということですからね。
 そもそも多摩都市モノレールは、東京都が多摩振興の起爆剤として昭和五十七年の東京都長期計画を出発点に取り組んできた事業です。駅のない村山のようなね--三多摩、知っていますか--場所にも、これを延ばしていこうということで計画されたものであります。その後、第二次長期計画でも、りんかい線や日暮里・舎人線とともに、新交通システムの導入例として挙げられ、現在に至っております。今や三多摩のシンボルとしての価値ある存在になっているんです。多摩振興のために、これまで都が主体的、積極的に推進してきた事業であります。
 さきの本会議において財務局長は、都税の増収を好機ととらえ、負の遺産処理に本格的に着手し、ひよどり山有料道路事業などでも積極的に対応を講じた、多摩都市モノレール事業などについても抜本的な見直しが必要と認識し、必要な改善に取り組んでいくと答弁があったようでございます。
 財務局長に伺いますが、多摩都市モノレールと稲城大橋の事業の改善に取り組む際には、ひよどり山などと同じように、都として主体的に積極的な対応策を実施していくというスタンスで臨むつもりなのか、基本認識をお尋ねいたします。

○谷川財務局長 負の遺産への対応とは、単なる経営努力だけでは立て直しが困難な事業に対し、将来を見据え、関係者とも十分協議した上で責任のある取り組みを行い、都民にとってベストな対策を講じることと考えております。
 十九年度予算では、税収の増加を活用いたしまして、心身障害者扶養年金と、ひよどり山有料道路事業について積極的な対応を講じたところでございます。お話の多摩都市モノレール事業や稲城大橋有料道路事業につきましても、抜本的な見直しが必要であると認識しており、経営面からの検証と都民サービスの確保という視点から検討を進め、各局と連携しながら、機を逃すことなく、必要な改善に取り組んでいかなければならないと考えております。

○臼井委員 財政は都民の財産ですからね。都庁の財産というよりも、都民のものです。ぜひ都民のニーズに、都民の大きな要望に財務当局もこたえていくような予算措置を講じていただくことをお願いをします。
 ただいま財務局長から、多摩都市モノレールの重要性と抜本的な見直しが必要である、必要な改善に取り組んでいくという答弁がありました。
 そこで、多摩都市モノレールを所管する都市整備局としては、多摩都市モノレールの役割と見直しへの取り組みについて、どのように認識しておられるか、基本的な考え方を伺います。

○柿堺都市整備局長 多摩都市モノレールは、多摩地域を南北に貫く公共交通の軸でございまして、通勤通学を初め、一日十万六千人を運ぶ大切な足として、地域に大きく貢献しております。また、道路混雑の緩和や沿線のまちづくりの促進など、多摩の振興にとって重要な役割を果たしております。
 一方、多摩都市モノレール株式会社の経営については、債務超過の状況にあるなど、課題を抱えております。このため、多摩都市モノレールの役割の重要性から、将来にわたる経営の安定化を早期に図ることが不可欠と認識しております。所管局といたしましても、関係者と調整し連携を図りながら、抜本的な経営改善に取り組んでまいります。

○臼井委員 ただいまお二人の局長から答弁をいただきました。このモノレールに対して、両局とも同じようなスタンスで取り組むという答弁でありました。ぜひともこの機を逃さずに、抜本的な取り組みを本当にお願いをいたします。財務局、都市整備局には、中長期的効果を伴う腰を据えた解決策を実施してほしいと思います。昨年の財政委員会で財務局長は、そう答弁をしておりますね。やはり、時々の対応ではなく、この税収増という好機をとらえて、本格的な、資金不足のような状態が繰り返されないように、対策がとられることが必要と思います。そして、もう負の遺産などという言葉を使わなくて済むように、お願いをしたいと思います。
 今日、多摩モノレールは、先ほども答弁がありましたように、乗客数もふえ、十万人を超えております。営業収支は黒字になっていると聞いております。経常収支もバランスがとれつつあるわけでありますから、初期投資が、あれは問題なんです。インフラ外の設備に倍以上の初期投資が出てしまったというような見込み違いもあったわけでございますが、それを都は、これまでも経営支援を行ってきております。そして、何とかやってきたと思うんですけれども、平成十三年度に、次のような外部監査の指摘がなされてきております。
 それは、都における他の第三セクター方式による交通事業における車両基地の底地部分の例として、株式会社ゆりかもめの車両基地を挙げています。これは都が所有している。これとの均衡を考慮すると、土地を会社の所有とすることの必然性はないと。多摩都市モノレールは、車両基地の土地を持っている。買わされたわけですからね。買わされたといっちゃ失礼ですけども。その他もろもろ、監査は指摘しておりますが、そのような検討と会社の損益状況を考慮すると、当該土地及び借入金については、都に帰属させることによって行政財産の使用許可を得るという方法について検討されたい。検討されたい。これ、何年前ですかね、もう六年前だと思いますよ、この指摘は。その間、財政再建の途上で厳しかったから常に財政、財政ということだったんでしょうが、好転してきたこの機を逃さずに、そういう意欲がぜひとも必要だ、そういうことを強く申し上げたいのであります。
 それで、解決策を今後どのような形で作成するのか、ぜひ外部監査の意見もしっかりと受けとめていただいて取り組んでいただくようにお願いをしておきます。
 多摩都市モノレールは広域的な公共交通ですから、市町村のように個々に存在する自治体では、その仕事は及ばないんです。広域団体である東京都は、その広域団体としての立場上から多摩都市モノレール事業を先導してきた経緯があるのですから、今後、検討する際には極力沿線--今は沿線五市と連携をとりながら、市に過大な負担を求めないように配慮をお願いいたします。
 いずれにしても、多摩地域における多摩都市モノレールの重要性は、先ほど両局長の答弁でも示されたとおり、論をまたないところであります。さらに、多摩都市モノレールの計画は、先ほど申し上げた、知事さんの多摩シリコンバレー構想の人、物、情報の流通軸として不可欠であります。早期の経営改善を経て、次の計画策定に向けて議論を進めていただきたく、心から期待を申し上げます。
 次は、緑の東京づくり、緑の回廊についてお尋ねいたします。
 知事は、十年後の東京の姿を一言でいえば、緑と澄んだ空気の快適な大都市と表現されました。また、水と緑の東京のまちづくりのために、緑の回廊で水辺や緑地をつなぐとしています。緑の回廊は、人間だけでなくて鳥や昆虫も回遊するネットワークとなるはずです。
 さらに、緑の回廊の区域を都会地の狭い範囲に限定すべきではないと思います。東京全体に目を転ずれば、五万ヘクタールを超える広大な緑が広がっている多摩の森があります。
 森林は、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の阻止など、森から遠く離れた都会地の町の人たちの命も守っております。また森は、そこを訪れる人々があればストレスをいやし、命の洗濯をする場所ともなっています。つまり、多摩の森はすべての都民が共有する財産であります。緑の回廊がこの緑の源である多摩の森林へとつながり、人間や動物たちが行き来することを私は心から願っているものであります。
 昨年十月には、中央区と檜原村が都の仲介により協定を結びました。区民が村で自然体験や環境学習を行うなど、地域交流を進めていくことといたしました。私の地元のあきる野市も、市が独自に港区との協定を結ぶ予定だと聞いています。
 このようにして、多摩地域にある五万ヘクタールを超える森の中に、区民の森、市民の森ができれば、どこの区、どこの市も自分たちの森を持つことができ、これに親しむことにより、子どもたちの心の中にふるさと東京の森ができ上がると思います。
 また最近、緑を支えるマンパワーとしては、団塊の世代で退職される方々の中には、森林ボランティアなどとして積極的に緑地保全にかかわり、そしてかかわりたいという人たちがふえてきております。さらに、社会的責任の中で緑の保全に力をかしたいとする企業もふえております。
 町の人々を多摩の森にいざない、人々が自然に触れ親しむようになっていけば、多摩の森を自分たちのふるさとの森と呼べるようになるでしょう。森は人々の心をつくる力があります。かけがえのない子どもたちのふるさとの森、子どもたちの心をつくるのは、私は多摩の森ではないかと思います。東京全体が緑の回廊に包まれ、環境都市東京と世界に誇れるようになればいいなと願っているわけであります。
 ぜひ都では、このような動きをしっかりと受けとめていただき、水と緑の回廊づくりに当たっては、町の緑につながる多摩の森林が都民の森としてもっと親しめる美しい森となるように、森林の利活用を一層推進する必要があると思うのでありますが、所見を伺います。

○村山環境局長 多摩の森を都民共有の財産として守り育てていく上では、この森を、都民に親しまれる、お話のふるさとの森にしていくことが大変重要でございます。
 そのためには、多くの人々が多摩の森を実際に訪れ、レクリエーション、環境学習、ボランティアなど多面的なつながりをつくり、それを通して多摩の緑のすばらしさを実感する機会をふやすことが確実な道の一つでございます。
 都はこれまで、都民と自然との触れ合いの基盤づくりとして、荒廃した森をよみがえらせる森林再生事業や、地元住民、自治体等との連携による自然の力・東京事業などを進めてきております。
 今後は、これらを一層充実、発展させますとともに、多くの都民が森に親しみ、森の保全の主役になれる仕組みづくりの面においても、地元自治体あるいは他の区市町村、NPO、ボランティア、企業などと連携いたしまして取り組み、多摩の森の利活用の推進と保全、育成を積極的に進めてまいります。

○臼井委員 答弁を極めて簡潔にしていただきましたので、十一分時間を残して、後の同志にその時間を使っていただいて、私の質問はこれで終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○川井委員長 臼井孝委員の発言は終わりました。

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