東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○山下副委員長 小磯善彦委員の発言を許します。
   〔山下副委員長退席、石川副委員長着席〕

○小磯(善)委員 震災対策についてお伺いをいたします。
 我が党はこれまで、地域防災計画の見直し、木造住宅への耐震改修助成制度の創設、また、新地域防災計画の学校の耐震化などさまざまな提案を行い、東京都もそれにこたえて新地域防災計画案をつくり、また、「十年後の東京」の中で、災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高めると、都としての強い意思を示しております。
 実は、この二月中に、間もなく東京都町田市の水道管と川崎市の水道管の連結の工事が終了し、来月には東京都と川崎市の両水道局長の調印式が行われます。この都県境を越えた水道水の相互融通は石原都政で初めて実現した事業で、都民なかんずく町田市民にとっては、災害でいざとなったら川崎市からの水道水の供給があるということで、大変感謝をしているわけでございます。
 きょうは、震災対策について、とりわけ東京都職員の初動態勢、災害情報、データバックアップシステム、備蓄についてお伺いをしたいと思います。
 都が今回発表した地域防災計画(素案)では、災害時における職員の初動態勢を抜本的に見直し、実効性のあるものにしたことを評価いたします。私がこのテーマを取り上げたのは、実は、都民生活に関する世論調査というものがございますが、その中で、防災対策についての具体的要望で一番要望が多かったのが、この災害時の活動体制の充実という項目でありまして、耐震などの要望を上回っているからでございます。地域防災計画(素案)での初動態勢の見直しについての考え方をお伺いしたい。

○大原総務局長 災害時に応急対策活動を効果的に実施いたしますためには、職員が迅速に参集をして初動態勢を確立することが重要でございまして、今回の地域防災計画の修正に当たりましては、初動態勢のあり方も見直しをしたところでございます。
 これまで、職員の参集場所は、原則として各自の住所地に関係なく勤務地としておりましたが、今回は自宅から勤務地までの距離を基準に参集場所を定めまして、職員が速やかに参集できるようにいたしました。
 具体的には、二十キロメートル以内の職員については、勤務地への参集後、応急対策業務を行い、二十キロメートルを超える職員につきましては、都税事務所などあらかじめ指定をされた最寄りの都の施設に参集後、現地機動班の要員として、被災地などにおいて各局の行う業務の応援に当たることといたしております。

○小磯(善)委員 今回新たに設置されました現地機動班の具体的な役割と、現時点で何人ぐらいの配置ができるのか、そのお考えを伺いたいと思います。
 また、多摩地域には都税の事務所が七市にしかないわけでありますが、他の都施設も考慮に入れ、早期に指定すべきであると思いますが、所見をお伺いします。

○大原総務局長 現地機動班でございますが、現地機動班は、参集場所である施設を活動の拠点といたしまして、被災情報の収集や帰宅支援ステーションの運営の支援、都の防災備蓄倉庫における搬出作業等、被災地で各局が実施をいたします応急対策活動の応援を行います。
 現地機動班に配置できる職員数でございますが、今回の見直しに当たりまして事前に調査をした結果によれば、約五千人程度と見込んでおります。
 また、多摩地域の参集場所といたしましては、都税事務所や立川防災センターのほかに、都立高校等を検討してまいります。本年四月の人事異動を待ちまして、配置職員や参集場所の指定を具体的に速やかに行ってまいります。

○小磯(善)委員 現地機動班とその地域の区市町村の連携が大変に重要である、このように思います。今お話しの任務以外に、現地の災害被害に即応した対処も必要であり、お互いの規模、動きがわかっていなければならないと考えるわけであります。区市町村との連携についての考え方をお伺いいたします。

○大原総務局長 現地機動班でございますが、これは各局の応急対策活動を応援いたします。業務の遂行に当たりましては、地域の被害ですとか、あるいは被災住民の状況の把握などが必要でございまして、ご指摘のように、区市町村との連携を十分に図っていく必要があると考えております。

○小磯(善)委員 災害時は何があるかわかりません。状況に応じて速やかな判断を求められることもあると思います。そういう意味で、現地機動班ごとに的確な判断のできる責任者を任命し、それぞれの指揮のもと、地域の被害状況に応じた応急対策業務を実施すべきであると考えます。
 また、発災時にも機動的に活動するためには、職員自身の安全確保が重要であり、自身の防災を呼びかけるべきであります。例えば、自宅の耐震化、また家具の転倒防止の備えなどの備えを表記したマニュアルの配布、また、各自の参集場所や作業内容、関係機関の連絡先などを記載したカードを常時携帯するようにしたらいかがかと思うわけでございますが、所見をお伺いいたします。

○大原総務局長 現地機動班の設置に当たりましては、組織的、機動的な活動が可能となりますよう、責任者である班長を指名して指揮命令系統を明らかにしてまいります。班長は活動拠点に最も近い場所に居住をします幹部職員の中から指名をし、来年度から現地機動班ごとに訓練を行い、災害対応力の強化を図ってまいります。
 また、職員みずからが被災することなく的確に応急対策に当たれますよう、災害発生時の安全確保や参集場所、業務内容等をまとめた手引を作成いたしまして、全職員に配布し、周知徹底を図ってまいります。

○小磯(善)委員 東京都を災害から守るのは、結局人でございます。発災時に十二万東京都職員がそれぞれの役割を果たすならば、都民の安全は格段に高まるものと思います。初動態勢の見直しに取り組む知事の決意をお伺いいたします。

○石原知事 大地震など一刻を争う緊急事態では、応急活動を迅速に開始することが極めて重要であります。都はこれまでも、全庁的な体制の強化を図るとともに、実践的な訓練を積み重ね、防災対応力を高めてまいりました。
 今回、地域防災計画を抜本的に見直し、十二万都職員が総力を挙げて速やかに応急活動に取り組めるよう、現実的な初動態勢を整備するつもりでございます。今後とも、切迫する首都直下地震などから都民の生命、財産を守るため、災害時の対応に万全を尽くしてまいります。
 たびたび申していることですけれども、災害のときはやはり自助、共助、公助ということですが、その自助をすべき地域に東京都の職員がいるなら、ただ一人の被災者としてではなくて、そういう自覚ではなくて、自分のいる現場の被害状況というものを都の職員の責任として詳細に都の災害対策本部へ報告する、そういう義務づけは絶対に必要だと思います。
 それから、加えて申しますと、町田は隣の相模原に接しておりますけれども、私、九・一一のときに向こうにおりまして、いわゆるFEMA、フェデラル・エマージェンシー・マネジメント・エージェンシーですか、あれが非常によく機能するのを見て政府に建言しましたが、政府は動きませんので、首都圏のFEMAをつくりました。ということで、例えば町田が被災地になったときに、首都圏を構成している川崎市なり、あるいは横浜市なり神奈川県そのものが、他人事ではなしに迅速に初動態勢をしいてくれる、そういう緊密な連絡網は一応つくってあります。

○小磯(善)委員 今、知事の力強いご答弁をいただきまして、大変ありがたいなと思っております。
 続きまして、大型ディスプレーの活用についてお伺いをいたします。
 避難者、駅滞留者、帰宅困難者、また帰宅可能者対策にとって大事なことは災害情報の伝達でございます。正確な情報をわかりやすく大勢の人に知らせることがポイントでございます。三月から災害情報提供システムが稼働し、都民に広く災害情報を提供していくとのことでございますが、パソコン、また携帯電話では、一人か二人しか同時に情報を得ることはできません。
 主要なターミナル駅周辺には、広告用の大型ビジョンが設置されております。そこでお伺いいたします。民間の大型ビジョンは都内にどれぐらい設置をされているのか、また、公共施設で広報用のディスプレーはどれぐらい設置をされているのか。例えば、災害時に多くの都民が情報を求めに来る都施設、区市町村施設、都営地下鉄の駅などにどれぐらい設置をされているのか、お伺いをしたいと思います。

○大原総務局長 民間の大型ビジョンでございますけれども、現在、都内に四十五カ所設置をされております。公共施設における広報用ディスプレーは、都や区市町村の本庁舎のうち二十八カ所、文化ホールなどの施設では、調査いたしました百十七施設のうちの四十施設に設置をされております。また、都営地下鉄では、今年度内に百一の駅、百七十三カ所に設置をされる予定でございます。

○小磯(善)委員 都営地下鉄についていえば、相互乗り入れの駅を除いた全駅にこうしたものを設置するということでございますので、これは高く評価したいと思います。
 こうした施設を利用して災害情報提供システムからの情報を提供することは非常に効果的であると考えますが、所見をお伺いいたします。

○大原総務局長 災害情報提供システムの情報を大勢の滞留者に提供するために、大型のビジョンや広報用ディスプレーを利用することは有効であると考えております。
 この場合に、大型ビジョンなどの設置者は、インターネットを通じまして災害情報システムにアクセスをして必要な情報を取り出して、これを大型ビジョンなどに表示することが必要になります。そのために、各施設においては、機器を操作する要員を確保して、状況に応じまして情報を選択して提供するなどの運用体制を整備する必要がございます。
 都といたしましては、今後、区市町村や民間事業者などと十分に協議をして、こうした課題の解決に努めてまいります。

○小磯(善)委員 ぜひともそうした課題を解決して、実行をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、ターミナル駅における滞留者対策についてお伺いをしたいと思います。
 震災時にターミナル駅には多くの滞留者が集まり、混乱が予想されております。警察や消防など防災機関の職員は応急対策で忙殺され、直ちに対応ができません。このため、鉄道事業者を初め地元事業者の協力による滞留者対策の仕組みが不可欠であります。
 都は、十九年度重点事業で、ターミナル駅での滞留者の混乱防止対策として、区市が中心となって設置する協議会が大規模な避難誘導訓練などを実施することを打ち出しており、滞留者対策を進める上で有効であります。
 今、石原都知事からありました、首都圏FEMAの機動がよく働いていたというふうにいわれました、町田駅でございますが、多摩のターミナル駅である町田駅には小田急線とJR線が乗り入れており、神奈川県からの通勤者など、ふだんから利用者が多いわけであります。直下地震の被害想定では、震災時に約十三万人の滞留者が発生する、これは何と都内で五番目という高い数値でございます。そして、約三万人もの帰宅困難者が発生するなど、町田駅周辺に多くの滞留者が予想されております。
 そこで、都県境のモデルとして、一つのモデルとして、町田駅についても早急に協議会を設置し、混乱防止対策に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

○大原総務局長 都は、来年度の重点事業といたしまして、区市と連携をして駅前滞留者対策のモデル事業を実施する予定でございます。この事業の実施に当たりましては、地元区市がそれぞれの駅の管理者や駅周辺事業者に理解を求め、協議会を設置するなど主体的に取り組むことが重要であり、都はこれに対して必要な支援を行ってまいります。
 今後、ご提案の町田駅がございます町田市も含めまして、ターミナル駅を抱える区市にこの趣旨を十分に伝えまして、モデル事業への参加を求めていく考えでございます。

○小磯(善)委員 ターミナル駅での滞留者の混乱を防止するため、地元の区市が中心となって駅ごとに協議会を設置し、対応することが重要でありますが、都としても支援を行うことが必要であると考えます。先ほどの現地機動班を活用して混乱防止対策への応援体制をしくべきと考えますが、いかがでございましょうか。

○大原総務局長 現地機動班でございますが、現地機動班は、被災情報の収集ですとか帰宅支援ステーションの運営支援など、被災地で各局が実施をいたします応急対策活動への応援をまず行います。
 今後、現地機動班の参集場所ごとの人数や、それに応じた具体的な業務内容などを各局と協議して定めてまいりますが、この中で、ご質問のございました滞留者対策に係る区市への支援につきましてもあわせて検討してまいります。

○小磯(善)委員 次に、都の情報システムにおけるデータのバックアップシステムについてお伺いをいたします。
 都では、その業務を行うに当たってさまざまな情報システムを使用しております。今や情報システムなしには都の業務は成り立たないといっても過言ではありません。このような状況で、もし東京で大規模な災害が発生し、これらの情報システムが被害を受け、そのデータに被害が生じるような事態になった場合、速やかに業務が再開できないことにでもなれば、都民生活に重大な影響を及ぼすことになるわけであります。被災後も行政機能を維持するための事業継続計画、BCPでも大事な課題であると思います。
 そこでまず、都の情報システムにおけるデータのバックアップの現状についてお伺いをしたいと思います。

○大原総務局長 都の大規模な情報システムにおきましては、システムの障害等に対応するために、定期的に磁気テープ等にそのデータを保存する等のバックアップを行っております。これらのうち、防災関連や都民情報を扱っております情報システムについては、その情報の重要性から、磁気テープ等を遠隔地の専用倉庫へ運搬するなど、安全な場所に保管をしているところでございます。

○小磯(善)委員 都の状況については、情報システムごとに方法は異なるにしても、既に一定の対策がとられていることがわかりました。
 そこで、最近練馬区では、遠隔地にあるデータセンターへ専用回線によるネットワーク経由でデータをバックアップするリモートストレージサービスを導入していると聞いております。
 これは、テープによるバックアップでは、データ容量の制限から全データがバックアップ対象にできないということ、また、毎日配送できないなど多くの課題があり、不測の事態にすぐに必要な各種証明書が発行できないということで、これに変えたということであります。このシステム導入で、業務を停止することなく、膨大なデータを数十キロ離れた遠隔地にある耐震性のすぐれたデータセンターへ毎日転送、保管することが可能となったわけであります。データも大量にふやすことができ、システム復旧に不可欠なメーンフレームのシステム関連データのバックアップも実現したということであります。
 費用対効果の問題もあると思いますが、都の情報システムの安全性を確保することは大変重要であります。そこで、今後とも災害時に的確に対応が可能になるように、より一層対策に力を入れていくべきと考えますが、取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○大原総務局長 都の情報システムにおけるデータの保管についてでございますが、情報システムごとに適切に対応しているところではございますけれども、今後、現在作業を進めております東京都情報セキュリティーポリシーの改定の中で、今お話のございましたデータ転送による方式も含めて、情報システムの重要度に応じた保管方法を検討してまいります。これによりまして、より一層データの安全対策を強化していく考えでございます。

○小磯(善)委員 災害時の食糧備蓄についてお伺いをしたいと思います。
 この災害時の食糧備蓄は、まず各区市町村で行うこととなっております。都においても、二十一カ所の災害備蓄倉庫を設け、さらに、各区市町村と保管契約を結んだ寄託倉庫を配置することで広域的な救援体制をつくっております。
 多摩川の南部地域、多摩川から南の地域におきまして災害が発生したときには、多摩川以北、また区部から救援することになっております。都の想定では、多摩川の橋梁への大きな被害の発生というのは想定はされておりません。しかし、万が一、橋上での車の損害による交通麻痺等、あらゆる被害も私は想定をしておかなければいけないと思います。多摩川南部地域の寄託倉庫の充実を図るなど、住民の安心を確保していく必要があると思いますが、ご所見をお伺いいたします。

○山内福祉保健局長 お話しのとおり、都の被害想定では、多摩直下地震が起こった場合でも、大きな橋梁被害の発生は想定されておりませんが、どのような不測の事態にも対応できるよう、救援物資の確保に万全を期していくことが重要でございます。
 仮に被害があった場合には、多摩川の南部地域にある都の寄託倉庫分及び地元関係五市が備蓄する物資、合計九十七万食を活用することとしております。あわせて、多摩川以北や区部に備蓄している物資を、通行可能な橋への迂回や水上経路により搬送するなど、広域的な救援体制を構築しております。
 今後、被害想定を考慮しながら、隣接県市との協力を一層強化するとともに、お話しのように、当該地域の寄託倉庫のさらなる拡充を検討してまいります。

○小磯(善)委員 この食糧備蓄に関しまして、食物アレルギーでございますが、食物アレルギーの症状はさまざまで、重篤な状況に陥る場合もあります。安全な食事のためにさまざまな工夫をされて、原因物質を摂取しないように、アレルギーの方は努めていらっしゃるわけでございます。災害時に避難所で提供される食物についても、アレルギーをお持ちの方に対する配慮をすべきだと考えます。
 食物アレルギーの原因物質は多様で、すべての方に対応できる食糧を備蓄することは困難でありますが、避難した方々がご自身のアレルギーの状況に合わせて安全に食事ができるよう、避難所において原材料等の情報提供に努める必要があると思います。ご所見をお伺いいたします。

○山内福祉保健局長 多様なアレルギー原因のすべてに対応した食糧の備蓄はなかなか困難でございまして、各家庭での備えが基本となると思いますが、しかし、都においてもきめ細かな対応が必要であると考えております。
 そのため、都が備蓄するクラッカーなどは、比較的多くの方に影響のある卵、牛乳を含まないものも用意しており、また、食物アレルギーをお持ちの方が適切に対処できるよう、備蓄食糧には原材料を表示しております。
 今後、アレルギー物質を含む食品と含まない食品をまぜて提供しない等の配慮についても、災害時に避難所を設置する区市町村に対しまして、リーフレット等により情報提供を行ってまいります。
 さらに、都の取り組みや備蓄食糧の原材料等の情報を都民にわかりやすくお知らせし、災害時に向けた各家庭での準備を促してまいります。

○小磯(善)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 災害じゃないんですが、関連しまして、住宅用火災警報器の設置について、都営住宅に関しましては、我が党の伊藤議員の質問で、都が平成十九年度から三年間で計画的に設置するという答弁がございました。
 ところで、東京都住宅供給公社の賃貸住宅についても、ぜひとも公社で設置をすべきと思いますが、いかがでございましょうか。

○柿堺都市整備局長 住宅は日々の生活の基盤でございまして、火災から生命や財産を守るため、安全対策を進めることは大変重要でございます。
 昨年三月の火災予防条例の改正によりまして、既存住宅にも火災警報器の設置が義務づけられることになりました。住宅供給公社の賃貸住宅におきましては、設置対象となる約六万戸について、建設年度の古い住宅などから、平成十九年度より三年間で計画的に設置してまいります。

○小磯(善)委員 続きまして、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
 地球温暖化対策では、業務部門、産業部門などでは一定の進捗が見られます。しかし一方、家庭部門についてはなかなか取り組みが進んでおりません。
 そうした中で、家庭部門対策として一定の成果を上げつつあるのがマンション環境性能表示であります。これは、環境確保条例に基づき、マンションの販売広告に環境性能の表示を義務づけるものであります。この効果は、環境配慮に積極的なマンションが市場で高い評価を得て、他の事業者を刺激し、全体のレベルアップにつながっていくところにあります。
 対象のマンションは、延べ床面積一万平米を超える、おおむね百戸以上の大規模マンションでありますが、中小規模マンションの中にも積極的な事業者がいて、環境性能表示を行いたいとの意向があると聞いております。
 そこで、こうした事業者を育成する意味からも、環境配慮に意欲的な中小マンション事業者が自主的に環境性能表示を行えるようにすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○村山環境局長 マンション環境性能表示制度は平成十七年十月に開始をいたしました。その後、まだ一年余りでございますが、既に、すぐれた環境配慮を行い、それをセールスポイントにしようというマンション開発事業者が目に見えてふえるなど、本制度が市場に及ぼす影響力が高まっております。
 こうした実績を見ますと、この制度の対象となっていない中小規模のマンションについても、事業者に意欲があれば自主的に環境性能表示を行えるようにすることは、お話しのように、マンション業界における環境配慮の取り組みを一層牽引していく効果が期待できると思います。
 このため、意欲ある事業者の参加を得て、義務づけによらない任意方式による中小規模マンション環境性能表示を、来年度、できるだけ早い時期に実施してまいります。

○小磯(善)委員 新築の省エネ対策に比べて、既存の住宅対策は取り組みがおくれております。住宅の場合、企業と違ってコスト削減というインセンティブは働きにくく、光熱費の削減だけを理由に省エネ対策が行われることはほとんどなく、住宅のリフォームも、子どもの成長など別の理由で行われることが多いのが実態でございます。
 一方、断熱対策は、省エネルギーだけでなく快適性の向上にも効果があることから、リフォームニーズをとらえて断熱対策を普及させていけば、既存住宅の省エネルギーが進むと思いますが、見解を伺います。

○村山環境局長 住宅のリフォームは、快適性の追求であるとか、家族構成の変化といったさまざまな理由を契機として行われるものでございます。したがいまして、既存住宅における省エネ対策を進めていくためには、こうした実際のリフォームニーズと、例えば断熱性にすぐれた内窓設置というような具体的な省エネ技法とを結びつけていくことが重要な課題となります。
 今後、こうした観点に立ちまして、住宅リフォーム業界やリフォーム相談を行う区市町村などの協力を得ながら、都民のリフォームニーズを実現する上で、省エネ対策の実施がいかに有効であるかについて、さまざまな機会をとらえて普及啓発し、既存住宅における省エネ対策を促進してまいります。

○小磯(善)委員 都議会公明党で、大阪の堺市にある、建設廃材によるバイオエタノール製造プラントも視察いたしました。そして、せんだっては、東京都内の高効率なヒートポンプ導入事例を視察したところでございます。
 きょうは、このヒートポンプについてお伺いいたします。
 ヒートポンプとは、例えば、熱を運ぶ冷媒の圧力を下げて冷たくして、また、この冷媒を空気の熱で暖めた後に、圧縮してさらに温度を上げ、これにより空気の熱をくみ上げて、必要な場所に熱を運ぶものであります。今、大変技術が向上いたしまして、最も高効率なヒートポンプは、一の電気に対して六倍以上の冷暖房ができるといいます。
 ヒートポンプのほかに、コージェネレーションなど、最先端の省エネ技術を駆使した高効率機器が開発されております。
 都は都内で最大のCO2排出事業者でもあり、都施設や都のオリンピック施設において高効率機器を積極的に導入していく必要がありますが、こうした都の率先行動を民間建築物に反映させていくことも重要であり、都施設における先進的な省エネ対策をメニュー化し、省エネ効果を示して、民間建築物の計画における省エネ対策の選択肢として提供していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○村山環境局長 民間建築物の省エネ対策を推進していくためには、民間建築物それぞれの用途や規模に応じて選択可能な省エネ対策の複数の組み合わせや、それらの省エネ効果を具体的に示していくことが有効でございます。
 東京都は、地球温暖化対策の率先行動の一つとして、来年度、都施設を新築、改築する際に最高水準の省エネ性能を実現することを目指しまして、お話しのような最先端の高効率機器等も取り入れた都独自の新しい省エネ仕様を作成いたします。
 この都が開発する新しいノウハウを民間の建築物でも利用できるよう、その活用によりまして、東京都省エネ建築モデルを作成し、民間建築物の新築等における最先端の省エネ技術の普及拡大を促進してまいります。

○小磯(善)委員 東京都省エネ建築モデルというのは大変すばらしいアイデアだと思いますので、ぜひとも、この実現方、よろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、メタボリックシンドローム対策についてお伺いいたします。
 この質問をするまでにやせようと思ったわけでございますが、無理でございました。
 メタボリックシンドロームという言葉が二〇〇六年流行語大賞のトップテン入りしたことは、健康に対する国民の関心がいかに高いかを証左するものでございます。
 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満の人が、血圧が高目、血糖値が高目、中性脂肪が多いのいずれか二つ以上あわせ持った状態をいい、いわゆる生活習慣病の予備軍を含む生活習慣病といえるわけでございます。
 ここで都民の健康状況を聞くつもりでございましたが、時間がございませんので……。
 生活習慣病に関する正しい知識や情報の提供は、都はもちろんのこと、区市町村や医療機関などが地域の住民に対して着実に行ってきたと思います。しかし、生活習慣改善のかぎは、個人の自覚を促し、実践に結びつけることが大事であります。今まで、一般的な普及啓発のやり方では十分ではないのではないかと思います。個人の行動変容を促す普及啓発を新たな戦略として取り入れるべきであります。
 生活習慣病を予防するためには、個人がその必要性を自覚し、実践できるように普及啓発を進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○山内福祉保健局長 生活習慣病の予防を推進するためには、正しい知識の理解に加えまして、個人の主体的な取り組みに結びつくような普及啓発が重要でございます。
 都はこれまで、区市町村と連携しまして、広く都民に生活習慣病に関する基本的な情報の提供を行ってまいりましたが、今後は、都民一人一人が継続的に生活習慣を見直すことができるような支援を図っていく必要があると考えております。
 このため、望ましい食事バランスや必要な運動量の目安を載せまして、取り組み目標や行動を記録できる手帳サイズの普及啓発ツールを開発いたしまして、これを用いて、健康づくり対策が十分ではない中小企業等を対象に重点的に普及啓発を進めてまいります。

○小磯(善)委員 ぜひとも、その開発するツールであるいわゆるメタボ手帳を都議会議員全員にも配布していただいて、都議会議員でモデル事業をやっていきたいというふうに思っております。
 個人の自覚と実践が図られるとしたら、次は、周りの環境を整備することが重要でございます。健康づくりのスタートは本人の自覚でございますが、継続、発展させるのは周りの応援が必要であります。
 例えば、働き盛り世代の男性が肥満傾向なのは、外食中心の偏った食事と運動不足が原因といわれております。生活習慣病予防には、健康的な食生活と適度な運動習慣を進めていくことが重要であると考えますが、まず、食生活について伺います。
 ある県では、大手コンビニエンスストアに協力を呼びかけて、連携して新たに健康重視のお弁当を開発したと報道されておりました。都民の健康的な食生活の環境をつくっていくために、例えば外食産業等にメタボリックシンドローム予防メニューを要請するなど、民間と協力して実践的な取り組みができないか、所見をお伺いいたします。

○山内福祉保健局長 都民の約半数は昼食で外食を利用しておりまして、都民の健康的な食環境をつくっていく上で、外食の場の活用が重要でございます。
 そのため、都はこれまで、外食関連団体と協議して、飲食店等における栄養成分表示を推進するとともに、都民に対しまして表示に関する普及を行ってまいりました。
 今後、栄養成分表示にとどまらず、都民が健康にとって望ましい食事の量やバランスを実感できるよう、お話しのようなヘルシーメニューの提供を推進するため、外食産業などの関係団体に働きかけてまいります。

○小磯(善)委員 この前、茨城県の健康プラザというところを視察に行ってまいりました。そこでは、介護予防のために、高齢者に体操指導員になってもらい、その指導員たちが地域に戻って高齢者に体操を教える運動を行っております。高齢者自身が体操指導員になるということで、その指導員を一万人養成しようと取り組んでおります。
 地域、職場を通しての運動の普及を行い、みんなで一緒に取り組むことが大事ではないでしょうか。一人では、結局、三日坊主になりかねないわけであります。運動を続けていくことの成功のポイントは、個人のレベルに応じ気軽に運動する機会と、仲間やよき指導者がいることだと考えます。
 そこで、次に、運動への取り組みについてお伺いいたします。
 都民が手軽に身近なところで運動を実践できるよう取り組みを進めていくとともに、多様なプログラムが提供されるよう、民間とも協力して対応していくべきと考えますが、お考えを伺いたい。

○山内福祉保健局長 だれもがみずから積極的に健康づくりに取り組むことが重要でございまして、そのためには、日常生活の中で継続して運動できる環境づくりが必要でございます。
 都は、区市町村の運動を通じた健康づくりの取り組みについて、新たな包括補助制度により支援してまいります。
 また、都民の健康づくりを支援することを目的に発足した、民間、行政、関係団体等の集まりであります東京都健康づくり応援団の活動の中で、都民が楽しみながら運動を続けられるよう、さまざまな運動の参加機会を広く提供してまいります。

○小磯(善)委員 続きまして、相原駅の大戸踏切についてお伺いしたいと思います。
 町田街道とJR横浜線が交わる通称大戸踏切は、踏切渋滞による地域環境の悪化を招くとともに、周辺まちづくりの支障となっております。JR横浜線との立体交差を含む町田街道の整備は、昨年、町田市が区画整理の断念を表明したことを受け、第三次事業化計画では、国道一六号までの一・二キロが都施行路線になったわけであります。
 地元では、それに合わせるような形で、昨年の十月に、まちづくりに関する協議会を市が主体となって立ち上げております。本路線の整備に当たっては、まちづくりとの調和が必要不可欠であり、道路整備だけでなく周辺環境も一体的にとらえ、幅広い視点を持って事業を進めていかなければならないと考えております。
 そこで、本路線の整備を進める上での課題についてお伺いしたいと思います。

○依田建設局長 町田街道は、多摩地域における東西方向の骨格幹線道路であり、このうち相原区間の一・二キロメートルは第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけており、早期に整備する必要性が高いと認識しております。
 本区間の整備には鉄道との立体化が不可欠であり、立体交差が可能な幅員への都市計画変更を必要といたします。道路整備を進めるためには、立体交差により本線を直接利用できなくなる地域住民の利便性の向上や、計画線にかかる地権者の土地の有効利用、また、近接する境川の都市計画線と道路に挟まれた土地の活用など、課題があり、今後、検討、調整が必要でございます。

○小磯(善)委員 まちづくりとの関係の中でも多くの課題があることがわかったわけでございます。都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○依田建設局長 本区間の整備に当たりましては、道路整備とまちづくりを一体的に進めることが重要でございます。このため、それらを検討する場として、市と地元が中心となって地元協議会を設置し、東京都もオブザーバーとして参加しております。
 協議会において立体化する道路構造を検討するため、昨年十二月に、西武線や京王線などの立体交差箇所の見学会が開催され、また、都は本年二月に、鉄道との立体化に関する複数の道路構造案を提示したところでございます。
 引き続き、協議会の場において複数案の検討を行い、道路構造を絞り込むとともに、立体交差に伴う町田街道への接道に関する検討や土地利用についての調整など、諸課題の解決に取り組んでまいります。
 今後とも、地元協議会などと連携して、まちづくりと整合を図りながら事業化を目指してまいります。

○石川副委員長 小磯善彦委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

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