東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○川井委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 昨日の理事会で、委員長から、多くの都民の期待に沿った形の中で、品格と節度を保った予算特別委員会を粛々と進めたい旨のお願いをさせていただきました。全委員さんにおきましてご協力をいただきたい、こう思います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案まで、第百二十六号議案及び第百二十七号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 きたしろ勝彦委員の発言を許します。

○きたしろ委員 知事は、せんだっての施政方針表明において、「十年後の東京」のあるべき姿について、一言でいえば、緑と澄んだ空気の快適な大都市東京の実現であると高らかに宣言されました。
 都市における失われた緑や澄んだ空気の再生については、だれもが大切と感じ、だれもが欲しながらも、なかなか具体的な実効性ある処方せんを描き切れなかった根源的な問題です。知事が、環境という、こうした難題について真正面から向き合い、十年間というタイムテーブルの中で、具体的な取り組みや、その達成目標を掲げられたことは、知事の並々ならぬ意気込みの表明であり、私自身、その発言内容に深く共鳴をいたしたところでございます。
 いわずもがなではありますが、四季折々の変化に富んだ我が国は、いにしえから、時代を超えて、山紫水明の美しい国として語り継がれてまいりました。このことは、日本人のみならず、日本を訪れた多くの外国の方々から見ても、緑に囲まれた山河の風景はもとより、都市における整然とした並木道や、路地裏の家々の軒先に植えられた樹木や草花が、四季の移り変わりによって色彩のコントラストを生み出し、そこで暮らす人々の営みや息吹と相まって、たぐいまれな風土を釀し出していることは羨望の的とされてきたところです。
 そうした風土は、人々の心を豊かにし、和をとうとぶ精神、自然を初め、森羅万象、さまざまなものに感謝する心、他者への気遣い、さらには惻隠の情など、日本人独特の感性、感受性をはぐくんできたものと思います。
 こうした自然環境や町並み、そこで暮らす人々の心は、現在の大都市東京ではどのような状況になってしまったのでしょうか。残念ながら、効率性、機能性のみを追求し、自然との調和を顧みずに無計画に開発された都市空間からは、せつなの利便性を享受できても、寂寥感しか残らないのではないでしょうか。結果的に、いつのころからか、そこに住み、働き、訪れる人々の心に、日本的美意識への無関心、無感動をはびこらせてしまったような気がしてなりません。
 現在、例えば治安対策、教育再生、地域力の復活など、大都市東京が抱えるさまざまな課題の解決に向け、さまざまな取り組みがなされていますが、問題の本質的な解決には、人が人として本来持ち得る優しさをはぐくむことができる、緑や水や空気といった自然と調和した豊かな都市空間の存在が欠かせないものと私は確信しております。
 私の地元港区は、大都市東京の縮図のような地域ですが、お寺や庭園、公園などがそこここに点在し、限られたエリアではあるものの、地域の中に緑や水辺といった自然が溶け込み、昔ながらの人情味あふれる生活実感も残されたまちでもあります。決して六本木ヒルズやシオサイト、東京ミッドタウンといった近未来的空間だけではありません。
 大都市東京の中で、こうした空間を着実に確保していくため、そのプロセスをどうやって具現化していくかが、まさに問われていると思います。単なる業務機能だけでなく、生活機能や自然環境と調和して初めて、質の高い都市空間をつくり出せるものであり、そこで暮らす人々の心や息吹といったものが感じられることが、大都市の誇りであるといえると思います。
 私は、初めて予算特別委員会の場で質問をさせていただきます。ふなれな面もあると思いますが、こうした問題意識から、これからの都市環境、都市空間のあり方、あすを担う子どもたちの教育の再生などを中心に、幾つかの具体的なテーマについて質問をいたします。ぜひとも、率直かつ明快なご答弁をお願いをいたします。
 最初に、都区財政調整について伺います。
 先日、我が党の代表質疑で、平成十九年度の都区財政調整協議について質問を行いました。平成十九年度から特別交付金の割合が拡充されますが、まずその趣旨についてお伺いをいたします。

○大原総務局長 特別区財政調整交付金には、特別区の標準的な財政需要に対応する普通交付金と、各区の特別な財政需要に対応する特別交付金がございます。これらは、いずれも地方交付税制度の普通交付税、特別交付税と同様の性格のものでございます。
 今日、各区は、基礎的自治体として自主性を発揮してさまざまな事業に取り組み始めており、今後、これら独自の事業への支援を強化することが必要でございます。しかしながら、普通交付金では、人口や学校数などを基準に一律に算定をするという性格上、対応に限界がございます。また、三位一体改革で大きな減収となる普通交付金の不交付区に対しまして、激変緩和措置を講ずる必要がございます。
 こうした要請に対応するために特別交付金を活用することといたしまして、財調交付金における特別交付金の割合につきまして、地方交付税の特別交付税が六%であることも勘案をいたしまして、現行の二%から五%に拡大することとしたものでございます。

○きたしろ委員 特別区が自主性を発揮し取り組む独自の事業などを支援するということですが、具体的にはどのような事業を考えていられるのでしょうか、お伺いをいたします。

○大原総務局長 特別交付金で支援する新たな事業といたしましては、例えば区立の高校ですとか病院、あるいは区が施行いたします鉄道連続立体交差事業などを予定しております。これらは、現在のところ、特別区の事業といたしましては一般的ではなく、普通交付金の算定対象となっておりませんけれども、いずれも幾つかの区で取り組みが開始をされておりまして、今後の積極的な展開が期待をされているものでございます。
 これらを含めまして、二十三区がそれぞれの地域の実情に応じて取り組みます先駆的な事業ですとか特色ある事業への支援を拡大、強化していく考えでございまして、今後、特別区との間で具体的な算定ルールについて十分に協議してまいります。

○きたしろ委員 我が港区では、三位一体改革で十八年度区税収入の二割以上に及ぶ百四十億円もの減収が見込まれ、財政運営上大きな課題でした。特別交付金の拡充は、これらの課題にも対応するものであり、港区としては大変助かっております。
 そのほかにも、特別区は二十三区それぞれにさまざまな課題があります。地域によっては治安や防災が重要課題であったり、教育や子育て、まちづくりが課題の区もあります。また、先日の本会議で我が党の服部議員から、歴史的建造物、五重の塔の復元に関する質疑が行われましたが、そのような課題を抱えている区もあります。
 今後、特別区と算定ルールについて協議していくということでありますが、こうしたさまざま行政需要に柔軟に対応できる算定ルールとなることを要望しておきたいと思います。
 これに関連して、特別区都市計画交付金についてお伺いをいたします。
 我が党の要望にこたえ、特別区都市計画交付金の予算額は百八十億円に増額されました。同時に、使いやすさの改善も必要と考えますが、どのような対応をされるのか、お伺いをいたします。

○大原総務局長 特別区都市計画交付金につきましては、交付金総額の増額のほか、交付対象の拡大などの要望が区から寄せられております。
 これまでも、都市計画交付金につきましては、平成十八年度より、市街地再開発事業における再開発組合等への助成を対象事業に追加するなど改善を図ってまいりました。平成十九年度には、都市計画公園の整備事業の対象面積を、従来の二ヘクタール以上から一ヘクタール以上に緩和をいたしまして、使途の拡大を行う予定でございます。
 今後とも、都市計画交付金が特別区の都市計画事業の推進に資するものとなるよう努めてまいります。

○きたしろ委員 ぜひ二十三区が自主的に取り組む事業に関しても、コントロールをするというような不安を持っている区もありますので、その辺のところは十分に配慮をしていただきたいということをお願いをしておきます。
 次に、これからの時代のキーワードは環境であり、その中で、特に水と緑が重要な要素です。都では、皇居の広さに匹敵する巨大な海の森を検討していますが、こうした広大な緑だけではなく、街路樹など四季を楽しめる身近な緑を保全、創出していくことも重要です。表参道のケヤキや絵画館前のイチョウなどは、だれもが楽しめる、東京を代表する緑といえます。こうした緑は、観光や商店街の活性化などに資するばかりでなく、都市の魅力ある景観を形成するものです。
 例えば、ガーデンシティー東京といったスローガンを示して、緑があふれ、魅力ある東京を目指していくことは、オリンピック招致を考えても大切なことだと思います。
 さらに、緑には、深刻化するヒートアイランド現象を緩和する効果もあることから、緑のネットワークを図るとともに、都民が憩い、楽しめる緑を都市のあらゆる空間に取り戻していく必要があります。
 「十年後の東京」では、都市の成長過程で失われた水と緑に囲まれた都市空間を再生していくことを目指して、大規模緑地を街路樹で結ぶ緑のネットワーク化が示されており、大いに評価できるものであります。この「十年後の東京」の実現に当たり、都市における緑の重要性について、まず知事の認識をお伺いいたします。

○石原知事 「十年後の東京」では、水と緑の回廊に包まれた東京という新しい近未来像を提示いたしました。かつての江戸は、まさにそうでありました。それが、近代化とともに人口もふえ、経済力の限界もあったんでしょうが、幾分の高層化もありましたけれども、要するに平建ての住宅がふえることで、土地から緑が奪われて今日のていたらくになったわけでありまして、都市における緑は、人間の感性にとって大切な存在でありまして、また風格のある都市空間をつくる重要な要素でもあります。
 私、環境庁時代に、日本で最悪といわれた阪神の四三号線の視察に行きまして、とにかく何とかしてくれ、せめて街路樹を植えてくれということで、建設省は三年計画しましたが、長谷川四郎さんでしたか、建設大臣を現場に呼び出しまして、路上で、とにかくこの惨状を見て、一年でやってくれということで、一年で街路樹を植えました。
 時間がたって行ってみましたら、現地の方々に、大気の汚染、騒音は変わらぬけれども、せめてこの緑があることで少し助かったと感謝されましたが、いずれにしろ、東京は、その成長過程の中で、高度な都市機能を集積させ、文明の便益を享受してきましたが、その一方では、かつての江戸のまちに広がっていた豊かな緑は、市街地の拡大とともに失われたわけであります。
 喪失された、この東京の緑を回復するために、都市づくりと連動しながら、重層的、複合的な施策を展開し、世界に誇れる美しい緑の都市を実現していきたいと思っております。

○きたしろ委員 ただいまの知事の答弁に、緑に対する認識を踏まえて、各局に具体的な質問をさせていただきたいと思います。
 パリが花の都と呼ばれるように、東京がガーデンシティーと呼ばれるような魅力的な都市を実現すべきと考えております。そのガーデンシティーを構成する重要な要素の一つに、歩行者が楽しく散策できる道の整備があります。緑あふれる散歩道は、都立公園などの緑の拠点や河川をつなぎ、水と緑のネットワークを構成するとともに、都市観光や地元商店街の活性化にも寄与するものであります。
 まず、都道の緑を充実させる必要があります。道路の緑は、景観に潤いを与えるばかりでなく、地球温暖化の原因となるCO2の削減やヒートアイランド対策にも有効であります。
 都は、昨年末に発表した「十年後の東京」で、街路樹を倍増することを表明されました。数をふやすことも大切ではありますが、緑あふれる散歩道とするためには、個々の樹木を大きく育てることも大切と考えます。今後、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○依田建設局長 街路樹には、都市の景観向上やヒートアイランド抑制などの機能があり、伸び伸びと育てることが大切でございます。しかし、根や枝の成長を妨げる地下埋設物や電線など、街路樹が生育する上での制約がございます。
 このため、歩道の改良や無電柱化にあわせて、これらの制約を取り除き、生育環境の改善を進めてまいります。
 また、幹線道路などの広い歩道において、大きくなる種類の樹木を植栽し、樹木本来の姿に育つように計画的に剪定を行い、例えば表参道のケヤキ並木のような、東京の顔となる街路樹を目指してまいります。さらに、狭い歩道においても、剪定に工夫を凝らし、道路に沿って枝が伸びるよう育成してまいります。
 これらの取り組みにより、個々の樹木を大きく育て、緑豊かな道路空間を創出してまいります。

○きたしろ委員 都道の緑豊かな街路樹育成の取り組みはわかりました。
 ただ、緑豊かにすればよいというものではないと思います。日本には四季があります。画一化した、変化のない単調な街路樹ではなく、今、答弁にあったように、東京の顔となるような街路樹、四季折々の季節感あふれる散歩道とするための工夫が必要であると考えますけれども、お考えをお伺いいたします。

○依田建設局長 道路の緑は、都民が季節の移り変わりを感じる身近な自然であり、歩行者が一年を通して楽しく散策できる道づくりは、魅力的な都市の実現につながります。
 都はこれまでも、花や紅葉を観賞できる街路樹を植えてきましたが、花の咲く樹木は、桜やハナミズキなど、春に花が咲くものが多く、四季を感じる道をつくるためには、他の季節にも花などが楽しめる樹木を植えていくことが重要でございます。
 このため、今後十年間に街路樹の倍増に取り組む際に、高木と高木の間に、花が咲き、実がなるさまざまな樹木を植栽し、季節感あふれる道づくりを行ってまいります。
 今後、内堀通りなどをモデル区間として、夏のアジサイや冬の梅など、花が咲く樹木を取り入れながら植栽を実施し、美しく魅力ある緑の東京の実現に努めてまいります。

○きたしろ委員 そういった緑あふれる、花や、あるいは実ができ、そして楽しめるような散歩道にぜひしてもらいたいなというふうにお願いしておきます。
 次に、都心部では高密度に市街化が進んでおり、新たに大きな緑地を確保することはとても困難であります。しかし、幹線道路などの公共空間に加え、その沿道の土地利用においても緑化を誘導していくことで、都市部に豊かな緑の散歩道が実現できると考えます。
 主要な幹線道路を管理する官と沿道の民が一体となって緑化に取り組むことにより、都心においても緑のネットワークを実現することが可能だと思います。
 そこで、まず、総合設計や再開発事業など、大規模な開発における民間事業者の緑化促進に向けて、都はどのように取り組んでいく考えなのか、お伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 都は、総合設計などの都市開発諸制度によりまして民間開発を誘導し、過去十年間で日比谷公園約七個分に相当するオープンスペースや緑を創出しております。
 さらに、都市防災やヒートアイランド対策など、緑が果たす役割の重要性にかんがみ、現在、都市開発諸制度の見直しを行っており、民間開発において、より一層の緑を生み出してまいります。
 また、昨年開催した緑の懇談会の参加企業に対し、積極的な緑化を要請したところ、多くの企業がこれにこたえ、既存ビルの屋上や鉄道線路敷の斜面などを生かして緑を拡充するとの申し出がございました。
 今後とも、公共による取り組みに加え、民間開発における緑化の機運を一層盛り上げ、あらゆる都市空間を活用して、緑豊かで快適な都市東京を実現してまいります。

○きたしろ委員 今、ご答弁にありましたように、ぜひ民間事業者の協力も得て、幹線道路沿道において、できるだけ多くの緑をつくり出すよう要望しておきたいと思います。
 次に、知事は今定例会の施政方針で、景観計画を策定し、新年度から新しい景観政策をスタートさせると表明いたしました。今回の景観計画の素案では、東京駅から皇居に向かう行幸通りとともに、私の地元にある青山通りも景観上重要な公共施設として位置づけられているわけです。地元も大変熱心に活動しており、景観に配慮して道路を整備していくことは大変結構なことだと思います。
 今後、景観計画に基づき、幹線道路とその沿道における良好な景観形成についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 お話の青山通りでは、沿道の商店街等が協定書を締結し、魅力的な街並みづくりに取り組んでおり、道路管理者も街路樹をケヤキで統一して、表参道の並木とともに緑のネットワークの形成を図ることとしております。
 都は、官民の協力による、こうした取り組みを支援するため、景観計画の素案では、青山通りについて景観重要道路としての整備方針を定めることにいたしました。
 今後とも道路管理者と連携し、景観重要道路を順次指定していくことにより、道路の緑化や修景と、建築物等における景観誘導を一体的に進め、東京を代表する風格のある景観形成に積極的に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 次に、道路におけるヒートアイランド対策についてお伺いをいたします。
 ヒートアイランド対策については、緑の充実だけでなく、道路舗装の対策も重要と考えております。都のヒートアイランド対策取り組み方針の中で、東京では、過去百年の間に、全地球平均の約五倍に当たる約三度Cの気温上昇が観測されており、東京における都市温暖化現象の進行が明らかであると指摘しているところです。
 都においては、平成十七年度から都心エリアなどの四地区をヒートアイランド対策推進エリアに設定し、保水性舗装などさまざまな対策を講じてきているところです。
 特に、アスファルト舗装の道路は、都心部の面積の約四分の一を占めており、夏の晴天時には路面温度が六十度Cにも上昇しているわけです。このことから、道路において路面の温度を下げる努力をすることがヒートアイランド対策には不可欠であると考えます。
 都道において、舗装内に蓄えた水分が蒸発することで路面温度を低減する保水性舗装などの新しい技術を実施していると聞いておりますが、これまでの実績と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○依田建設局長 都は、保水性舗装について、平成十三年度から試験施工を実施し、国や区と共同で温度低減効果等を検証してまいりました。その結果を受けて、国に先駆け、標準的な構造や施工方法について都独自の基準を定め、平成十七年度から本格的に実施してまいりました。
 現在、ヒートアイランド対策推進エリア内の丸の内や西新宿地区などで重点事業として実施しており、平成十八年度末までの施工実績は約十四ヘクタールでございます。
 平成十九年度は、港区の芝公園付近などの七カ所で約三ヘクタールの施工を予定しており、引き続き事業を推進してまいります。また、路面温度の低減効果が期待できる遮熱性舗装など、新たな技術についても、民間との共同実験を行い、今後の事業に反映してまいります。
 今後とも、国や地元自治体と連携し、道路におけるヒートアイランド対策に積極的に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 環境というか、地球温暖化というか、知事が取り組んでいる姿勢というのは非常に高く評価されていると思うんですよね。そういった意味で、各局の人たちも環境や地球温暖化対策について何ができるのかということを常に念頭に置いて、事業あるいは計画をしていっていただきたいということをお願いをしておきます。
 次に、沿道の緑化及び地域の活性化に関連して、少し違いますけれども、都営バスの新たなバス停留所についてお伺いをいたしたいと思います。
 バス停留所は、周辺の街路樹や建物と相まって、沿道の景観にも大きな影響を与えるストリートファーニチャーの一つです。斬新なデザインは、これまでのイメージを一新するものであり、オリンピック招致活動を進める首都東京の良好な都市景観の形成に大いに役立つのではないかと考えます。
 そこで、今回の新たなバス停留所はこれまでとどう違うのか、その特徴についてお伺いをいたします。

○松澤交通局長 今回の新たなバス停留所につきましては、デザインを首都大学東京との産学連携により行いまして、首都東京の景観や街並みにふさわしい停留所を設置していくものでございます。
 このため、既存のバス停留所と比較した主な特徴としましては、停留所に広告枠を設け、その広告料収入により設置費や維持管理費をすべて賄う方式であること。また、快適性、利便性の向上を図りつつ、ソーラーシステムやLED照明を採用し、環境に十分配慮する一方、多摩産材をベンチに活用するなど、都の行政施策と連携を図っていることなどでございます。

○きたしろ委員 次に、また緑に戻りたいと思います。文化財庭園についてお伺いをいたします。
 都内では、江戸時代につくられた大名庭園などが都立庭園として公開されており、歴史を探訪したり、美しい景観を堪能することができます。都立庭園は、かけがえのない歴史、文化遺産であると同時に、国際都市東京の顔としても大変重要です。また、世界からの来客に日本の文化を紹介する場でもあります。
 都立庭園の魅力をより高めていく取り組みが必要だと思いますけれども、まず所見をお伺いをいたします。

○依田建設局長 都立庭園は、小石川後楽園など九庭園あり、いずれも国または都の指定を受けた文化財でございます。平成十七年度には、国内外から二百四十万人もの観光客が訪れるなど、東京を代表する観光名所でございます。
 これらの庭園の魅力をさらに高めるためには、文化財としての適切な保存と活用を図るとともに、日本の文化を紹介する取り組みが重要でございます。
 例えば、これまで、浜離宮恩賜庭園では、主要な建築物である中島の茶屋や重要な鑑賞ルートの一部である海手お伝い橋などの修復や復元を進めるとともに、タカ狩りの実演やハナショウブやボタンなどの江戸園芸植物を展示、新内流しや神楽などさまざまなイベントを開催してきました。
 今後とも、修復や復元を進めるとともに、庭園の特色を生かした催しなど、都立庭園の魅力向上に努めてまいります。

○きたしろ委員 今、浜離宮恩賜庭園の話が出ましたけれども、実際現地に行ってみると、潮入りの池の中央にある中島の茶屋は、池と一体となった優美な景観が再現されているだけでなく、抹茶のサービスや池の中央からの庭園の眺望を楽しむ場として、多くの都民に親しまれている施設であると感じました。
 池の周辺には、数カ所にわたり、かつて茶屋が建っていた跡を示す解説板が設けられています。こういった茶屋を新たな観賞地点や休憩等の場として順次復元し、活用を図ることは、浜離宮恩賜庭園の魅力を高めるために重要であると思いますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○依田建設局長 浜離宮恩賜庭園の茶屋を復元することは、江戸時代の大名庭園の姿をよみがえらせ、江戸文化を今に伝える取り組みとして重要でございます。
 この庭園の茶屋は、戦災などにより、五棟すべてが焼失しましたが、これまで、その一つである中島の茶屋を復元し、庭園のシンボルとして活用を図っております。
 平成十九年度には、残り四棟の復元に向けて、宮内庁に所蔵されている歴史資料の収集や整理を行い、そのうちの一棟について、復元の方法、活用策を検討し、平成二十年度以降に設計及び復元工事を行う予定でございます。
 今後とも、茶屋などの復元とともに、この庭園の特徴である、海水を引き込んだ潮入りの池の護岸修復などを行い、浜離宮恩賜庭園の魅力をさらに高めてまいります。

○きたしろ委員 江戸時代の歴史などを今見るということは大変重要なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いをします。
 次に、水辺の観光資源としての海上公園の景観の向上についてお伺いをいたします。
 東京港の臨海部にはさまざまな形で海と触れ合える親水空間があり、その多くが海上公園となっております。このような水域は、東京では数少ない貴重な水辺の景観であるとともに、臨海部の重要な観光資源ともなっています。
 しかしながら、一部の海上公園の水辺は、良好な景観とはいえないところもあります。このような海上公園について、都民との協働で景観形成に取り組むべきだと考えます。
 そこで、具体的に都民協働での景観づくりとして、若洲海浜公園外周のサイクリング道路に沿ったコンクリート護岸を、都民参加によって装飾するなどをして、潤いのある楽しい場所に変えてはいかがでしょうか。また、中にはゴルフリンクスもありますから、緑と海とをつなぐような、そのコンクリート壁を潤いのあるような景観にしていただきたいと思うわけですが、いかがでしょう。

○津島港湾局長 海上公園は、昭和四十六年以来、東京港を緑豊かな親しみやすい港とするため、計画的な自然環境の保全と、都民が自然に触れ合うためのスポーツレクリエーションの場の確保を目的として事業を展開し、今日、七百八十一ヘクタールの規模にまで発展してまいりました。
 平成十四年の海上公園審議会で答申されました今後の海上公園のあり方についてでは、都民との協働をその基本的視点として位置づけており、この方針に沿って、これまで、城南島海浜公園の砂浜清掃や大井ふ頭中央海浜公園の植樹、花壇づくりなど、水辺の景観づくりに取り組んでまいりました。
 ご提案の、若洲海浜公園の外周部につきましても、地元中学生などの参加を得て、護岸に絵画を描く試みは、東京港の景観づくりに貢献するとともに、都民との協働による海上公園づくりともなることから、その実現に向けて関係者と積極的に調整してまいります。

○きたしろ委員 次に、レインボーブリッジの展望室の活用対策についてお伺いをいたします。
 この展望室は、レインボーブリッジの附帯施設であるアンカレッジの空きスペースを利用して、平成五年八月に、橋梁本体と同時に有料施設として供用開始されたものであります。その後、対岸の臨海副都心の開発の進展に伴って来訪者が減少し、都は、平成十二年度から展望室を閉鎖し、現在に至っているわけです。
 この展望室については、これまで、都においても、その活用対策に鋭意取り組まれていると聞いておりますけれども、各種の制約からなかなか実現に至っていない現状にあるそうです。
 レインボーブリッジ周辺では、近く、芝浦南ふ頭公園の整備が進められる計画となっており、公園利用者など新たな人の動きも期待できるなど、活用の前提となる条件も整いつつあると思います。
 このたび、監査委員からも、この展望室について、長期的な利活用の方針を検討していくべきとの指摘がなされたところでもあり、都民の貴重な共有財産でもあるこの展望室について、ぜひこの機を生かして、例えば、公園利用者も視野に入れた利活用方法を検討するなど、総合的な視点に立った対策を進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○津島港湾局長 レインボーブリッジの展望室につきましては、お話しのように、平成五年に供用を開始し、開設当初の一年間は三十七万人が訪れるなど、多くの人々に利用されてまいりました。
 その後、台場地区など、周辺地域における開発の進展による類似施設や集客施設の増加などを背景に、徐々に利用者が減少したことから、管理コストの増加を配慮し、平成十二年に展望室としては閉鎖するに至りました。
 その後、都としても、資産の有効活用という観点から、夜景レストランや事務所など、さまざまな利用形態を検討し、関係事業者などと調整を進めてまいりました。しかし、ちょうど橋の真下という施設のロケーションや相手方の収支採算性等の問題から、残念ながら利用の実現に至らないで今日に至っております。
 しかし、ただいまの委員のお話にもございましたとおり、周辺において、地元自治体と共同で新たな公園を開設する計画も進んでいることも考慮しつつ、本施設の利活用について幅広く検討を進めてまいります。

○きたしろ委員 次に、港区内を流れる古川の治水対策について、何点か質問をいたします。
 この川については、世間では余りご存じないようですので、少し紹介をさせていただきます。
 (パネルを示す)古川という場所、渋谷川から海に至るまでの間です。その間には、天現寺、三の橋、二の橋、一の橋があるわけです。こういう渋谷川--代々木公園の西側からは河骨川と、現在も渋谷に地名が残る宇田川が流れ、これらの川は宮益橋付近で合流し渋谷川となっていました。
 これら宮益橋より上流部の川は、昭和四十五年までにすべて下水道化され、地上からは見る影もありませんが、河骨川は、有名な唱歌「春の小川」のモデルであり、代々木八幡駅付近には当時の名残の歌碑があります。
 さて、港区内の古川ですが、川沿いには、上流から慶応の幼稚舎、北里大学、テンプル大学など教育機関、あるいは地下鉄の麻布十番、赤羽橋があり、また、周辺にはフランス大使館を初め、フィンランド、ハンガリー、オーストラリアなど、各国の大使館もあります。
 こうした重要な施設が建ち並ぶ都心ですが、多くの皆さんも商売し生活をしています。実は、この古川は、五〇ミリ対策が現在も未整備のままで、洪水の危険性が極めて高い河川なのです。
 そこで、建設局長にお伺いしますが、最近の十年間で、古川では浸水被害がどの程度あったのか、お答えいただきたいと思います。

○依田建設局長 古川流域では、最近十年間で二十回の浸水被害が発生しております。特に被害の大きかった平成十一年八月の集中豪雨では、約五百棟の家屋が被害を受け、平成十六年十月の台風二十二号では、十七棟の浸水被害に加え、地下鉄南北線の麻布十番駅が浸水し、二時間近く地下鉄が不通となり、利用者に大きな不便を与えております。

○きたしろ委員 東京のど真ん中でこういうことがあってはいけないと私は思っているんですよ。まして、二〇一六年、東京にオリンピックをというふうにやっていますからね。ぜひこれは実現をしてもらいたい。
 昨年の九月四日の夜、中野、杉並両区を中心に集中豪雨がありました。都内で六千棟にも及ぶ浸水被害が発生しました。ちょうど一週間後の九月十一日の日曜日の夕方、今度は、目黒、渋谷、港区に夕立があり(パネルを示す)この写真のように洪水の一歩手前で、川沿いの商店では土のうを積み上げ、水防体制に入っていました。このことはマスコミでは全く話題になっていませんが、ちょっとした夕立や集中豪雨で水害の危険の高い都心が存在することも、皆さんも十分認識していただきたいと考えます。
 我が党の高橋かずみ議員の一般質問で、区部中小河川の今後の取り組みについて、過去に水害が発生した箇所や大規模な浸水被害が発生するおそれのある箇所について、五〇ミリ対策を重点的に実施し、環七に囲まれた中小河川流域では、治水安全度一〇〇%達成を目指すという答弁がありました。
 港区内を流れる古川も、環七で囲まれた区域の内側で過去に何度も溢水被害を出している河川であり、当然対策が進められているものと理解しています。来年度の予算案では、設計費など総額六千万円が計上されていますが、古川について具体的にどのような治水対策を行うのか、お伺いをいたします。

○依田建設局長 古川は、水害の危険性が高いことや護岸の老朽化も進んでいることから、治水対策が急がれる河川でございます。
 しかしながら、ビルや首都高速道路の橋脚が護岸に接して立ち並び、拡幅による早急な河川整備が困難なことから、地下調節池による対策を検討してきました。
 その結果、河川の下に、環七地下調節池と同じようなトンネル式の地下調節池を整備することといたしました。この調節池が完成しますと、古川において、一時間五〇ミリ降雨の対策が完了いたします。
 この調節池の整備に引き続き、本格的な老朽化護岸対策を実施し、耐震性などの向上も図ってまいります。

○きたしろ委員 答弁がありましたけれども、こういうことが計画として位置づけられたこと、このことに関しては、港区あるいは港区議会あるいは港区の古川の沿川の人たちにとっては朗報だと思います。ぜひ一日も早い実現をお願いしたいと思いますけれども、ここで、古川調節池の規模、事業費及び期間についてお伺いをいたします。

○依田建設局長 規模でございますが、内径七・五メートル、延長約三・三キロメートル、貯留量は約十三万五千立方メートルであり、小学校の二十五メートルプールで約四百五十杯分に相当いたします。全体の事業費は約二百七十億円、事業期間は八年間を予定しております。

○きたしろ委員 古川沿川の人たちにとっては、今まで本当に心から願っていた事業ですので、一日も早い事業のスタートと、そして完成をお願いしておきたいと思います。
 時間の関係がありますので、次に移らせていただきます。
 心の東京革命についてです。
 昨年末に、我が国の教育の根本となる教育基本法の改正がありました。今回の教育基本法の改正は、公共の精神をとうとび、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進するために行われたものであります。
 しかし、なぜこのような法改正が必要になったかといえば、戦後の日教組による利己主義を個人主義と履き違えた無責任かつ偏向した教育が、現在の親の世代とその子どもに悪い影響を与え、日本人の心の荒廃や家庭教育の崩壊をもたらしたからであると私は思います。
 知事が就任されて二年目、今から七年前の平成十二年に、知事は先見の明を持って心の東京革命を提唱されました。これは、精神的な価値を軽んじてきた戦後教育に警鐘を鳴らし、日本人のあるべき姿を取り戻すためであったと思います。
 教育基本法が改正に至ったのは、偏向教育が招いた根強くはびこる利己主義の風潮を、国を挙げて駆逐し、美しい国を築くという決意のあらわれであると思います。
 自然破壊によって調和を失った都市景観を回復させることはもちろんのこと、戦後の偏向した教育により失った日本人の心を取り戻すことも、美しい東京をつくるために必要なものであると考えております。
 ここで、改めて、心の東京革命で考えている人間像とはどんなものか、知事にお伺いをいたします。

○石原知事 心の東京革命で考えている人間像は、社会の中で普通に生きていくための必要条件、例えば、普通に朝夕のあいさつのできるそういう人間でありまして、暑さや寒さ、つらい仕事にも耐えられる、普通のこらえ性を持った人間ということでありまして、それが人間の節度にもつながっていくと思います。
 そういう人間は、社会に出て人と協調する、あるいは思いやりをする、奉仕をするといった、今の社会では希薄化しつつある豊かな人間関係を築いていけると思っております。
 心の東京革命を通じて、心豊かな子どもたちを我々の後継者として育成したいと願っております。

○きたしろ委員 時間も迫っておりますので、まとめて質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、都費の事務職員は、都費負担職員であることから区市町村への帰属意識が薄く、区市町村の事業に協力的でない事例もあります。
 昨年八月に出された行財政改革実行プログラムの中では、区市町立学校の都費事務職員について、先行的に国へ任命権移譲について法改正を要望していくとしておりますが、都教委の考え方をまずお伺いします。
 次に、小学校の新規採用教員の早期退職が多いと聞いております。若い情熱のある教員を育成していくべきであります。その対応策として、豊富な指導経験を持つ退職者を新任教員のサポーターとして活用すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
 次に、改正教育基本法では、幼児期の教育が新たな条項として設けられました。幼児教育は、人間形成の基礎を培うものであり、幼稚園は幼児期の中で教育の中核を担っています。
 東京では約十八万人が幼稚園に通っておりますが、そのうち九割が私立に通園しており、東京の幼稚園教育は、私立幼稚園が公教育の重要な一翼を担っているといえます。
 そこで、都民から厚い信頼を得ている私立幼稚園教育の充実のため、都はどのような支援を行うのか、お伺いをいたします。
 石原知事も、心の東京革命で、行き過ぎた個人主義を戒め、古きよき日本の公私のあり方について、都民に問うてきたところです。教育再生に向け、都教育委員会は率先して教育改革を進めているが、我が国の未来を担う子どもたちの将来像をどのように見据えてこれからの公教育を進めていくのか、教育長の見解をお伺いいたします。

○中村教育長 今まとめられた四点の中で三点が教育庁でございますので、三点についてお答え申し上げます。
 まず、現在、区市町村立の小中学校等におきましては、教員と同様に、東京都が任命権を持ちます事務職員を約二千人配置しております。今後、地域に根差した学校づくりを進めていくためには、設置者であります区市町村が採用した事務職員を学校に配置することがより有効であると考えておりまして、昨年十一月に、国に対しまして、法改正を提案要求いたしました。今後も、法改正に向けまして、粘り強く働きかけてまいります。
 また、任命権の移譲が実現するまでの間、再任用職員の活用拡大や人事交流などを検討しまして、実現に向けて努力してまいります。
 次に、新規採用教員につきましては、新任者研修を実施して、校内の指導体制を確保するなどによりまして育成を図っておりますが、小学校の新規採用教員の多くは、初年度から学級担任することから、学級経営や保護者対応などさまざまな課題に取り組んでおり、ご指摘のように、少数ではありますが、早期退職に至る教員も存在しております。
 このため、平成十九年度より、区市教育委員会と連携いたしまして、学級経営、生活指導や保護者対応等、豊富な指導経験を持ちます再雇用職員を教育アドバイザーとして各区市に配置しまして、アドバイザーが各小学校を巡回するなど、新規採用職員の相談に応じながら、適切な指導をしてまいります。
 最後に、一つ飛びまして、都教育委員会は、子どもたちが、知性、感性、道徳心や体力をはぐくみ、人間性豊かに成長することを願いまして、互いに人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間、社会の一員として社会に貢献しようとする人間、みずから学び、考え、行動する、個性と創造力豊かな人間の育成を目指しまして、教育行政を推進しております。
 今後も、これまでの取り組みの成果と時代状況を十分踏まえまして、全国に先駆けた教育改革に引き続き取り組んでまいります。

○渡辺生活文化局長 私立幼稚園への都の支援についてでございますが、私立幼稚園に対しては、基幹的補助である経常費補助において、国の設置基準を上回る教職員数への補助や、きめ細かな教育のために行うチーム保育への補助を行い、教育の一層の充実を図っております。
 また、幼稚園が保護者のニーズに応じて行っております預かり保育や育児相談、園庭開放などの地域に対する子育て支援事業につきましても、補助を実施しているところでございます。
 このほか、私立幼稚園の新規採用教員の研修等も実施をしております。
 今後とも、私立幼稚園の重要性を踏まえ、経常費補助を中心に引き続き支援に努めてまいります。

○川井委員長 きたしろ勝彦委員の発言は終わりました。

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