東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後一時一分開議

○川井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせをいたします。質疑持ち時間はお守りを願いたいと思います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いをいたします。
 なお、各局長に申し上げます。
 発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されるようお願いをいたします。
 これより順次発言を許します。
 鈴木一光理事の発言を許します。
 なお、高島なおき副委員長より関連質疑の申し出がありました。
 本件は、予算特別委員会実施要領第七項の規定に基づき、質疑委員の持ち時間の範囲内で認めることになっております。
 高島なおき副委員長の関連質疑を認めます。
 高島副委員長に申し上げます。発言は、鈴木理事の質疑の持ち時間の範囲内になっておりますので、あらかじめご了承願います。

○高島委員 質疑の冒預に当たって、私から、石原知事の基本姿勢についてお伺いをいたします。
 先般、我が自由民主党は、この春に実施されます東京都知事選挙の候補として、我が党の判断で石原知事を推薦いたしました。これは決して、ひとり自民党の知事をつくりたいがための狭い考えに基づくものではなく、本定例会でも、我が党の宮崎幹事長が代表質問で述べたように、東京はこれまで以上に石原慎太郎を必要としているという認識のもと、一千二百万東京都民、そして東京都政にとって、石原知事が一番ふさわしいということで推薦したものであります。
 しかも、私が昨年の第四回定例会で、命を都政に預ける覚悟で、ぜひとも我々と一緒に戦い抜いてほしいとの言葉に、知事は「首都東京のかじ取りを引き続き命がけでやっていきたい」と確固たる信念を披露されました。その言葉に大変感動もし、多くの都民も期待をいたしました。
 しかるに、今回、払たちは、石原知事が自民党の推薦を突然辞退されたと聞いて、何か拍子抜けの感もあり、そして何よりも困惑をしております。そこで、知事、今回の辞退に関しての知事の真意をお伺いをいたしたい。

○石原知事 自民党から私の推薦の声が上がって、都連でそれが問題にされているということは仄聞しておりましたが、しかも、その前、四定例会で高島さんから質問を受けまして、私も三選の決意表明をいたしました。
 ただ、自民党からの推薦は非常に心強く、またうれしく思いますが、私自身の信条として、首長の選挙というのは、そもそも政策を戦わせるものでありまして、私もこれまでずっとそうしてまいりました。政党の看板に支えられての選挙というのは、どうも私の考え方に合わない節がございまして、各界各層の幅広いご支持を得ての選挙こそ、首長たらんとする政治家にとってふさわしいと思っておりまして、今回も、従来どおり、私の選挙のスタイルで戦いたいと思っております。
 もちろん、自民党との関係は、これまでどおり不変でありまして、議会にあっては、自民党が最大の友党として各政策について私の支持をしてくださったこと、本当に感謝もし、評価もして、自民党の協力なくして都政の運営はなかったと思っております。ゆえにも、自民党との関係はこれまでどおり不変でありますが、当然、地方統一選挙だけではなく、夏の、恐らく国政の運命を左右しかねない参議院選挙においても、私と同じ考え方を持つ多くの方々を積極的に応援するつもりでおります。
 特に、私の選挙と同時に実施される都議会議員の補欠選挙では、ぜひとも私と行動をともにしていただける方が一人でも多く当選されるように力を尽くしたいと思っております。
 私の思いは以上のとおりでございまして、ぜひご理解をいただきたい。そして、来るべき選挙では、お力をかりながらともに戦っていきたいと思います。

○高島委員 知事、知事と自民党の関係は不変だ、そういうお言葉をいただきました。
 議会と行政との関係は、よく、車の両輪とか二元代表制という言葉であらわされていることはご承知のことと思います。これは、両者の関係は、交わることはないが、常に一定の距離と緊張感を持つ関係であると私は認織をしております。しかし、その原点にあるのは、議会と行政との信頼関係ではないでしょうか。
 我が党は、これらのことを肝に銘じ、本日から始まる予算特別委員会での質疑を通じ、知事と一体となって、しっかりと都政の発展に汗を流させていただく決意でございますので、ぜひご理解をいただきますようお願いを申し上げる次第でございます。
 以上をもって私の関連質疑は終了させていただきまして、鈴木一光理事にかわらさせていただきます。ありがとうございました。

○川井委員長 計測をとめてください。
 計測を始めてください。

〇鈴木委員 今の知事の答弁を、我々自由民主党としては理解をしたいというふうに思います。一部の野党や、最近、与党だか野党だかわからないような政党とでなく、我々自由民主党と一体となって、都政の進展のために力いっぱい頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくどうぞお願い申し上げます。
 引き続いて、都議会自由民主党を代表いたしまして総括質疑を行います。
 まず、この十八日に行われた東京マラソンについてお伺いをします。
 当日は、スタート時点ではあいにくの雨でしたが、ランナーの気持ちが通じたのか、午後からは回復をしました。マラソンに参加した三万人のランナーが楽しみながら走る姿を目の当たりにしましたが、まさに壮観そのものでありました。大変感動いたしました。
 また、同時に開催された東京大マラソン祭りにも多くの人が集まり、沿道からも心温まる応援が行われるなど、第一回目の大会としては大盛況だったと思います。
 そこでまずお伺いしますが、その前に、あの雨であれだけ集まったんですから、これが快晴だった場合に、人が集まり過ぎて混乱が起きるんではないかという余計な心配もしたわけでございます。
 そういう中で、まずお伺いをいたしますが、この記念すべき第一回大会を実施してみての知事の率直な感想をお伺いしたいと思います。

○石原知事 今回の東京大マラソン、私も眺めていて感動いたしましたし、お天気さえもっとよければと思いましたが、成功に入ると思います。
 ただ、委員ご指摘のように、銀座の方々、後から聞きましたら、あれは天気がよかったら、銀座は三倍か四倍、人が出て、多分混乱しただろうというような意見もございましたけれども、いずれにしろ、多数のボランティアの皆さんに支えられながら、支障なく大会運営を行うことができました。沿道にも、悪天候にもかかわらず大勢の方々が、応援だけではなしに、いろいろショーなども展開してくださいましたし、こうした方々の支えや励ましの中で、ランナーの皆さん方にも、東京の名所を随時めぐりながら楽しく走っていただけたと思っております。改めて、人間のかかわりのすばらしさを感じた思いがいたします。
 スタートのときも、大勢のランナーからありがとう、ありがとうといっていただきましたが、私にとってむしろもっと感動的だったのは、最後のランナーに握手をするつもりで戻りまして、七時間切るか切らないかでぎりぎり走ってこられた方が大分たくさんおられまして、その方々が着がえている展示場の石の広間に行きまして、皆さんビニール敷いて着がえていましたけれども、やっぱり走り終わった人たちの笑顔が全然違うんですね。これはもう、達成感に何ともいえず幸せそうな顔で、涙流してありがとうといわれたときには、私も本当に、思わず本当に泣きました。
 本当に人間の触れ合いというのはいいもんだなあという感じがしましたし、知らない人からありがとうといわれるのはうれしいですが、ランナーにしてみると、全く知らない人たちから頑張れという声をかけられるのも、とってもうれしいものだそうでありまして、いろいろトイレの数であるとか、来年に向けての課題は残っておりますけれども、そういったものを一つ一つ解決して、来年はよりよい大会、よりよい天気のもとでのよりよい大会にして、これを東京の新しいお祭りとして、東京の新しい伝統として育てていきたいと思いますし、今後、オリンピックの招致の弾みにもしていきたいと思っております。

○鈴木委員 大会が成功したのは、百七十八万人の沿道の応援、あるいは一万二千人を超えるボランティア、バス事業者や地元の商店街など、東京を愛する人たちが一丸となって協力してくれた結果だというふうに考えます。また、大会運営に携わった事務方や警備関係者などの裏方の献身的な努力があったものと思います。
 このように、都民皆がつくり上げた結果、大会が成功したものと考えますが、今お話にあったとおりかもしれませんが、改めて知事の感想をお伺いしたいと思います。

○石原知事 四十数キロをただ走る、プロに近いアスリートたちは、次の大会の出場権というのをかけて走っているんでしょうけれども、その他の人たちは、とにかく自分の健康のためといえばそうでしょうけれども、一種の無償の行為として、非常につらい距離を黙々と走られる。その途中に知らない人たちがいろいろ声をかけるということ、また声をかける方も、こんな人が走っているのかなという目をみはるような思いを随分したと思いますが、そういう一万二千人を超えるボランティア、これも随分数が多過ぎてお断りしたんですけれども、そういう人に加えて、警察官も五千人近く動員されまして、見事な交通整理をしてくれました。
 さっき申しました、上がってきて着がえている人たちの声の中で、いや、お巡りさんも声をかけてくれるんですよ、今、まだちょっと曇ってるけど、もうじき晴れますからとか、警察官からそんな声をかけられて、何かとても感動したという人もおりまして、後で私、それを含めて、総監に感謝のお電話をしたんですが、やっぱり立場を超えてみんなが何か、お祭りといえばお祭りですけれども、走るやつが走ってる、勝手にしろということでは済まずに、とにかくみんなで走る人も守り立てようという、ああいう連帯感というものが、久しぶりにこの日本の大都市の、何というんでしょう、このごろはアスファルトジャングルともいわれていますが、そういうまちの中で展開して如実に示されたということを本当にうれしく思いますし、お祭りを通じて見ますと、日本人ってやっぱり捨てたもんじゃないなという感じがつくづくいたしました。

○鈴木委員 あれだけの大規模な大会というのは我が国で初めてだったわけでありますが、終わってみていろんな方々の反応を聞きますと、生まれて初めて最初から最後までマラソンを見ちゃいましたよとか、あるいは、自分は走れないから、来年はぜひボランティアに参加したいとか、かなり、思った以上に反響の大きさ、関心の高さを私は感じました。
 そういう中で、いろいろな、大したトラブルはなかったと思いますが、完璧とはまだいかないと思いますが、このマラソン大会は、オリンピック招致に向けての起爆剤として大きな意義があるものであります。大会運営においても、オリンピック招致機運の盛り上げにつなげていくことを視野に入れながら、戦略的に取り組んでいく必要があると思います。また、東京の魅力や大規模なスポーツイベントの実施能力を対外的にPRしていく絶好の機会として、この大会を活用していくべきであります。
 そこで、この大会を今後のオリンピック招致活動の盛り上げに、よりつながるようにしていくために、次回の大会に向けて、どのような課題が残ったとお考えか、見解をお伺いします。

○熊野東京オリンピック招致本部長 オリンピック招致に向けましたマラソンの課題でございます。
 オリンピックのようなビッグイベントを招致するためには、何よりも都民、国民の理解と支持が必要でございます。そのために、東京マラソンの魅力をさらに高めまして、積極的に広報に努めることによりまして、広範な方々にスポーツのすばらしさを肌で感じていただくことが重要であると考えております。
 また、今回、延べ四十八の国と地域から千五百人ものランナーに申し込みをいただきましたけれども、今後、さらに多くの国と地域の方々に参加いただきまして、一層国際性の豊かな大会としていく必要があると考えております。
 さらに、東京大マラソン祭りのイベントにつきましても、より充実させていくとともに、観光施策との連携も一層深めまして、東京の魅力を強く内外にアピールしてまいりたいと考えております。

○鈴木委員 今後に残された課題も多いかと思いますけれども、ぜひオリンピック招致へのさらなる弾みにしていただきたいと思います。
 次に、東京都の人口についてお伺いをいたします。
 我が国の人口は、ついに一昨年から減少し始めており、予想以上に早く人口減少社会に突入しました。昨年末に国が発表した日本の将来推計人口では、少子高齢化が従来よりも深刻になり、五十年後には人口減少が一層進んで、九千万人を割り込むと予測されています。
 こうした中、今回策定された「十年後の東京」においても、都の長期ビジョンとして久しぶりに人口推計が示されました。社会経済状況の変化が著しい中、将来を見通して政策立案を行っていく上でも、人口のような基礎的な数値を根拠として明らかにすることは、何より必要なことだと思います。
 この「十年後の東京」では、我が国の人口が減少する中にあっても、東京都の人口は今後十年間はふえ続け、二〇一五年には千三百万人を超えるとしています。
 そこで、まず、このように予測した理由と最近の人口移動の動向についてお伺いをしたいと思います。

○山口知事本局長 東京都の人口でございますが、今後、少子高齢化の一層の進行によりまして、死亡数が出生数を上回り、自然減に転じてまいります。しかし、都外からの転入者数が都からの転出者数よりも多い、いわゆる社会増の傾向は継続し、自然減を上回ることから、今後十年程度は人口が増加していくと予測いたしました。
 団塊の世代が高齢期を迎えるため、十五歳から六十四歳の生産年齢人口は減少に転じますが、こうした社会増が続くとともに、元気な高齢者が社会を活性化することになることから、東京の活力は維持されると考えております。
 また、最近の人口移動の特徴といたしましては、一つは、かつてのように、十代後半に進学や就職のため地方から東京に転入し、二十代から三十代前半にかけまして就職や世帯形成などを契機に転出する構造が変化いたしまして、そのまま都内にとどまる傾向があります。
 もう一つは、地方から東京への転入者が四十年前に比べると半減いたしまして、埼玉、千葉、神奈川の周辺三県からの転入が半数程度を占めていることが挙げられます。

○鈴木委員 東京は、社会増によって人口増加が見込まれるということでありますけれども、これは、都が政府とともに進めてきた都市再生の成果とも考えられます。人口の流入は、少子高齢社会にあっても、都市としてのポテンシャルを高めることにつながります。以前のように全国から東京に一極集中した状況とは異なるとのことでありますけれども、最近は、地方においても拠点となる都市への人口集中は高まっていると思います。
 また、世界に目を広げてみても、かつて人口五百万人を超える大都市といえば、ロンドン、パリ、ニューヨークなど先進国の都市が主でしたが、近年、アジアなど途上国の地域でも大都市があらわれ、都市への人口の集中が見られるといった報道もされています。
 そこで、国内はもとより、世界における都市への人口集中の傾向についてお伺いをいたします。

○山口知事本局長 まず、我が国の人口移動の推移を東京、大阪、名古屋の三大都市圏で見ますと、大阪圏では転出超過が続いておりますが、名古屋圏では近年転入が急増し、東京圏では引き続き転入超過となっておりまして、全国に占める三大都市圏の人口の割合は、現在、五割を超えております。また、札幌や福岡などでも転入超過が続き、地方においても拠点都市への人口の集中が進んでおります。
 一方、世界の大都市の人口の動向につきまして、国連の推計でございますが、これは都市の範囲を、行政区域だけではなく、一定程度の集積が連続している地域としてとらえた推計ですが、例えばニューヨークでは、一九七〇年代に減少しましたが、八〇年代以降は増加に転じております。ロンドンでは、七〇年代から八〇年代におおむね横ばいで推移しておりまして、九〇年代以降増加しており、パリは一貫して増加傾向にあります。ニューヨーク、ロンドン、パリとも、今後も人口の増加が続くと見込まれております。
 また、人口一千万以上の大都市は、一九七〇年に東京とニューヨークの二都市だけでありましたが、二〇一五年には、デリー、上海、ジャカルタ、マニラなどアジアの大都市を初め二十二都市にふえまして、二〇三〇年には、都市の居住人口は約五十億人になり、世界人口に占める割合は約六〇%に達します。
 このように、都市への人口集中は、日本だけでなく、世界の潮流になっております。

○鈴木委員 人口の都市への集中は、世界の潮流であるということであります。そうだとすれば、これからはまさに大都市というものが国家を牽引する役目を負っているのではないかと考えられます。
 世界的に大都市に人口が集中する時代を迎えている中で、東京への人口集中、集積を見据えながら、それを生かして今後、東京をどういう都市にしていこうとしているのか、知事の所見をお伺いをします。

○石原知事 日本の人口が減少する中で、東京の人口がふえるという「十年後の東京」 のシミュレーションというのは、私にとってもいささか意外な感じがいたしました。やはり世界的に見ても、大都市に人口や諸機能が集中、集積し続けることは、都市の持つ文明工学的な意味合いから必然でもありまして、大都市が国家を牽引し、地球の未来をも決定する時代に私たちは生きているわけでございます。
 東京も、その世界に例を見ない集中、集積が進んだ大都市でありますが、その益というものを生かすためにも、三環状道路を初め都市インフラを整備し、渋滞など二十世紀の負の遺産を解消するとともに、多彩な人材や膨大な情報、先端的な科学技術の集積といった東京の持つ優位性を最大限に生かし、有形無形の大都市力を発揮することが必要であると思います。
 また、世界人口の六割が都市に住む時代になりまして、エネルギー使用量や二酸化炭素排出量の激増により、地球環境への負荷が加速度的に高まっております。東京は、地球と共存する新たな文明社会の推移に向けて「みどりと澄んだ空気の快適な大都市・東京」を目指すとともに、世界最強レベルの温暖化対策により世界の都市をリードしていきたいと思っております。こうした取り組みを、二十一世紀の新しい都市モデルにまで高め、東京から都市と地球の未来を開いていきたいと思っております。
 ついでに申しますと、ぜひ委員たちにもご視察願いたいんですが、つくば新線ができましたね。あれ、乗ってみますと、つくば市まで急行で四十数分。東京のベッドタウンで私も昔住んでおりました逗子、鎌倉というのは一時間かかりますが、あの沿線というのは関東平野で全然人が住んでいないんです、日本で一番大きな可住面積でありながら。これは茨城県の橋本知事にも話しましたけれども、やっぱり東京と向こうが話し合って、国も巻き込んで、人口の、要するに思い切った流動というものを、ですから東京に住むよりも、むしろ茨城県に住みながら東京で仕事してもらいたいという新しいベッドタウンの構想のようなものを二つの県で、やっぱり政治家の皆さんもひとつ交流し合って、そういう案を何か互いにぶつけていただきたい。そうすると随分東京も助かりますし、国も助かると思うんですけれども。

○鈴木委員 葛飾区も住むといいところで、まだあいているところがありますから、ぜひ葛飾区に住んでいただきたいというふうに思います。
 次に、平成十九年度予算について伺います。
 我が国経済は、緩やかながらも景気拡大を続けており、都の税収も顕著な伸びを示しています。こうした追い風に加え、職員定数の削減など財政再建に向けたあらゆる手だてを講じてきたことが相乗効果を生み、都財政は驚異的とも呼べる回復ぶりを見せています。
 都は昨年、「今後の財政運営の指針」を明らかにし、都財政が新たなステージに移ったことを宣言しましたが、平成十九年度予算は、その第一歩となる転換期の予算であります。
 そこで今回は、十九年度予算の特色や、今後どのように財政運営を行っていくのかという観点から質疑をさせていただきます。
 十九年度予算は、一般会計トータルの財政規模は久々に六兆円台後半となっています。この規模だけを比較すれば、かつて危機的な財政状況に陥った平成十年度、つまり石原知事就任直前の予算に匹敵する規模にまで拡大してきているわけであります。
 そこでまず、十九年度予算を十年度当時の予算と比較した場合、歳出構造にどのような違いがあるのかお伺いをいたします。

○谷川財務局長 平成十九年度と十年度では財政規模がほぼ同じでございます。ただ、歳出構造を見ると、政策的経費でございます一般歳出の構成比と金額は、十年度が七六%、五兆一千億円となっているのに対しまして、十九年度では六六%、四兆三千億円と、率で一〇ポイント、額では八千億円低下してございます。
 すなわち、十九年度は、十年度に比べ、格段にスリムな体に改善されているということができると思います。これは、この間、一貫して、内部努力や施策の見直しなど、財政再建を徹底して進めてきた結果であると考えております。

○鈴木委員 一見同じように見える予算であっても、その中身や質は大きく異なっているとのことですが、ここまで歳出構造の改革を推し進めてきた点に、国や他の自治体が追随できない、都の行財政改革の本質があります。
 また、歳入面においても、意欲的かつ先駆的に構造改革を進めてきたことも忘れてはなりません。その象徴が、平成十二年に導入したいわゆる銀行外形課税であります。東京から国を変えるという知事の言葉どおり、この取り組みは、全国統一の外形標準課税制度として見事に実を結びました。
 そこでお伺いしますが、都の歳入に大きな成果をもたらすとともに、国や全国の自治体を動かした先導的な取り組みには、他にどのようなものがあるのでしょうか。

○菅原主税局長 お答え申し上げます。
 都が全国に先駆けまして導入いたしましたインターネット公売は、税収確保の有力なツールといたしまして全国の自治体に広まるとともに、来年度からは国税でも導入されることとなっております。
 また、適正、公平な課税の実現という観点から都が問題を提起いたしました、いわゆる駅ナカ課税につきましても、十九年度から固定資産評価基準が見直されることとなっております。
 さらに、不正軽油撲滅作戦や、個人住民税の徴収の区市町村への直接支援など、都の取り組みが国や全国の自治体に影響を与えた事例は枚挙にいとまがございません。
 今後とも、知恵を絞り創意工夫を重ねまして、さらなる取り組みを積極的に推進いたしまして、唯一の歳入所管局に課せられた使命を全力で果たしてまいります。

○鈴木委員 これまでの質疑でも明らかなように、歳入、歳出両面にわたるきめの細かい取り組みが、都財政の体質改善を可能としたのです。これは、都がバブル崩壊後の苦境を忘れることなく、厳しい財政規律の保持に一貫して努めてきた成果でもあります。
 十九年度予算においても、隠れ借金の大宗を占める減債基金の積み立て不足を全額解消し、財政基盤のさらなる強化に努めている姿勢は、我が党も大いに評価するところであります。
 しかし一方では、税収の増加分は施策の充実に優先的に充てるべきだとの見解も一部では聞かれますが、なぜこれほど早急に減債基金の積み立て不足を解消する必要があったのか、お伺いいたします。

○谷川財務局長 減債基金は、都債の償還財源を計画的に積み立てることによりまして、財政負担を平準化する機能を有してございます。
 積み立て不足をこのまま放置することは、将来世代への負担を先送りすることにほかならず、また、財政の健全性を評価する指標である実質公債費比率の悪化要因になるなど、今後の財政運営の制約となる危険性があり、できる限り早くその解消を図る必要がございます。
 財政基盤の強化につながる今回の取り組みは、今後、安定的、継続的に施策を展開する上で必要な措置でありますとともに、オリンピック招致に向けた都財政の対外的信用力を一層高める効果があると考えております。

○鈴木委員 地方財政も熾烈な競争の時代に突入しています。いっときも早く過去の負債を清算し、将来に向けた体制整備を進めるべきであります。
 とはいうものの、財政基盤の強化とあわせて、やはり施策の充実を図り、財政再建の成果を都民に還元していくことも大切であります。
 我が党は、従来から、高齢者や子育て世帯など、社会的支援を最も必要とする人々に対するセーフティーネットの充実が重要だと主張してきました。規制緩和を進め、公正な競争を確保していくことも大切ですが、同時に、弱者への支援を積極的に行っていくことも必要だというのが、我が党の基本的な立場であります。
 現在、所得格差の拡大が喧伝されていますが、こうした課題を含めた新たな弱者対策として、今回の予算では具体的にどのように取り組んだのか、お伺いします。

○谷川財務局長 十九年度予算の新規事業を何点か申し上げますと、まず、生活再建への意欲を持ちながら、きっかけを見出せずにいる多重債務者などの生活困難者に対しまして、都独自に相談支援や資金の貸し付けを行う新生活サポート事業を創設いたします。
 また、おおむね二十五歳から三十五歳の、定職についていない、いわゆる年長フリーター等を対象といたしまして、委託訓練や合同面接会などを実施し、常用雇用の拡大に向けた支援を開始いたします。
 さらに、青少年・治安対策本部では、社会問題化しているニートやひきこもりと呼ばれる若年者の自立を支援する取り組みとして、相談窓口機能や関係機関の連携強化に取り組んでまいります。
 従来の施策に加え、これらの新たな施策も積極的に実施することで、いわゆる弱者対策を充実させているところでございます。

○鈴木委員 所得格差の拡大のような複合的な要因が絡んだ社会問題に対しては、対処療法ではなく、総合的な施策展開により打開を図っていくことが必要です。一朝一夕に十分な成果を得ることは難しいかもしれませんが、十九年度予算の中に盛り込まれたこうした取り組みは、都としての前向きな姿勢を鮮明に打ち出したものであります。
 都は、悲願ともいえる財政再建を見事に達成しましたが、皮肉なことに、今後は、これまで以上に東京ひとり勝ち論が高まることが懸念されます。
 そこで、最後に、今後の財政運営の課題と知事の決意をお伺いします。

○石原知事 財政再建を達成し、将来に向けた基礎固めは十分にできたと考えておりますが、今後の財政運営を展望しますと、課題も幾つか残っております。
 例えば、本格的な少子高齢社会の到来に伴う社会保障費の増加、あるいは老朽化が進む大規模施設の更新経費、上野の美術館もそうでありますけれども、さらに財政需要の拡大が認められる一方、都税の収入は景気の変動に極めて大幅に左右されやすいものでありまして、非常に不安定な構造にあります。
 また、東京から財源を奪う動きがますます強まるなど、中長期的に見れば決して安泰とは申せません。そのために、やみくもな歳出拡大に走るのではなく、今後とも締めるべきところはしっかり締め、財政の健全性を維持しながら、東京の魅力と都民福祉の向上に全力で取り組んでいきたいと思っております。

○鈴木委員 財政再建の成果を、都民福祉のためにさらに還元できるようにお願いをいたします。
 次に、都区の財政調整協議について伺います。
 平成十九年度の都区協議は、激しい議論もありましたが、都区双方の尽力と我が党の努力もあり、最終的に合意が得られました。
 そこで、まず、都区の合意内容がどのようなものであったのか、確認のためにお伺いしたいと思います。

○大原総務局長 今回の都区の合意内容は、大きく分けて二つございます。
 まず第一点は、調整税等の特別区への配分割合を、従前の五二%から三%引き上げまして、五五%といたしました。この三%の内訳でございますけれども、国の三位一体改革による特別区の減収の補てんといたしまして二%、それから都の補助事業の一部を特別区の自主事業に振りかえることによって一%でございます。
 第二点目は、特別区財政調整交付金における特別交付金の割合を、二%から五%に拡大をいたしました。これは、各区の特色ある取り組みへの支援を強化いたしますほか、不交付区に対し三位一体改革による減収の激変緩和措置を設けることとしたものでございます。

○鈴木委員 今回の合意により、長年の懸案であった都区の配分割合の議論に区切りがついたことは、意義のあることと思います。
 その中で、調整率の一%アップ分は都の補助金を財調交付金に振りかえるということでありますが、これはどのような考えによるものか、お伺いをいたします。

○大原総務局長 昨年十一月に、都区のあり方の検討についての基本的枠組みが合意をされまして、都から特別区へのさらなる事務移管等の方向が示されました。これを踏まえまして、都の補助事業の一部を特別区の自主事業に振りかえることといたしたものでございます。このことによりまして、特別区は、都が一律に定める補助基準等に縛られずに、地域の実情に応じて、より柔軟に事業を実施することが可能となります。
 また、補助金申請等の事務も不要となるなど、自治の拡充に資するものと考えております。

○鈴木委員 それでは、振りかえ対象となる事業は、どのような考えで選定したのか、お伺いいたします。

○大原総務局長 今回、調整率一%相当として財調交付金に振りかえる事業につきましては、次の三つの観点から選択をしております。
 一点目として、国庫支出金を伴わず、都区の協議で取り扱いを決定できるもの、二点目としまして、施策の継続の観点から、既に特別区の事業として同化、定着した事業、あるいは同化、定着する見込みの事業であるもの、三点目といたしまして、特別区の安定的な財政運営の見地から、年度による事業量の変動が少ない経常的事業であるもの、これら三点を考慮いたしまして、福祉関係の八事業を選定し、都区合意したものでございます。
 なお、財調交付金に振りかえた後は、基準財政需要額の民生費としてこれらを算定することで、都区合意をしているところでございます。

○鈴木委員 今回の決着は、三位一体改革への対応が適切に行われるほか、今説明を伺った特別区の自治の拡充に資する対応など、大変充実した内容であることがわかりました。
 今回の合意により、懸案であった調整税の配分割合が定まりましたが、今後の都区財政調整に当たっての都としての考え方をお伺いしたいと思います。

○大原総務局長 今回の合意によりまして、都区の配分割合は中長期的に安定的なものとして定まりました。
 今後の都区財政調整に当たりましては、社会経済情勢の変化に合わせた基準財政需要の適正な算定を行いますとともに、都民や区民にわかりやすい制度となりますよう、算定方法の簡素合理化等に取り組んでまいります。
 また、引き続き、誠意を持って特別区との協議に臨んでまいります。

○鈴木委員 次いで、会計制度についてお伺いいたします。
 昨今、民間企業におきましては、利益追求だけでなく会計処理の適正化が強く求められており、みずからの事業をチェックできる体制の整備に努めているところであります。
 地方自治体においては、この考え方が民間以上に求められて当然であり、専門的かつ客観的なチェック体制が何よりも必要であると考えます。都においては、こうした体制がいかに確保されているのか、お伺いします。

○幸田出納長 現在、都におきましては、出納長室が独立した会計機関として、個々の支出命令に関し、その原因となる契約等の支出負担行為から、請求、支払いまでの一連の手続につきまして、厳正に審査を行っているところでございます。
 こうした審査に加えまして、各局の会計事務処理に対し、きめの細かい検査及び指導を実施し、適正な会計事務の確保に努めております。
 さらに、監査委員による各種監査、公認会計士による包括外部監査など、専門的かつ客観性の高いチェックが行われているところでございます。

○鈴木委員 東京都は、多数の事業所を有する大きな組織です。二重三重のチェックを重ねても、見落としてしまうこともあるかと存じます。私は、会計事務の誤りは、ささいなものであっても見逃してはならないと考えています。軽微な誤りを放置すれば、いずれ重大な問題が生じ、都民の財産に深刻な影響を与えることになりかねないからであります。
 こうした、いわゆる割れ窓理論に従えば、日常の検査、指導を強化することが重要と考えます。出納長の見解をお伺いします。

○幸田出納長 都における会計事務の適正化を図るためには、ご指摘のとおり、検査及び指導の強化が特に重要と認識しております。このため、これまで以上に質と量の両面から強化を図ることといたしております。
 まず、検査の強化についてでございますが、新年度から、各局の事業所が主体となりまして、事業所相互間で検査をする新たな自己検査制度を導入いたします。事業所相互の切磋琢磨によりまして、職員の会計知識の向上や意識改革を促し、全庁的に会計事務水準の向上を図るものでございます。
 また、出納長室の検査担当以外の若手職員に対しましても、会計検査実務の訓練を現在行っておりまして、来年度以降、限られた人員体制の中でも、検査規模の拡大に対処できるよう準備を進めております。
 一方、会計指導の強化につきましては、これまでの指導、研修に加えまして、局あるいは事業所ごとの会計事務の特性を踏まえまして、オーダーメード研修を本年度より開始いたしております。来年度におきましては、その規模を大幅に拡大する予定でございます。
 今後とも、創意工夫を凝らしつつ、会計事務全般にわたりまして検査及び指導の充実強化に取り組んでまいります。

○鈴木委員 これまで出納長室は、公会計制度改革など先駆的な施策を展開してきました。この四月から、会計管理局として生まれ変わります。私は、住民の信頼を裏切るような事件が相次ぐ今こそ、より適正な会計事務を基本とする透明性の高い自治体運営が求められていると強く感じております。
 今後、会計管理局と新公会計制度という新しい体制や手法を使い、いかにこの重要かつ不可欠である適正な会計事務の執行を確保していくのか、知事の決意をお伺いいたします。

○石原知事 来年度から、会計管理局という新しい体制になりますが、検査の強化などによりまして、これまで以上に厳正な会計事務の確保に努めていくつもりでございます。
 また、適正な会計事務を制度的に担保するために、企業会計的な手法を今回取り入れました公会計制度改革を進めまして、真に必要なコストを明らかにするなど、会計の透明度を高めていきたいと思っております。
 これに加えて、恒例化しました外部監査なども新しい会計制度で一層その効果、見えにくいところが見えてくるという担当官のご意見でしたが、いずれにしろ、これまで都の新しくつくりました複式簿記・発生主義の会計制度について、都内区市町村はもとより全国の自治体や国などにも発信して大きな反響を得てきましたが、今後も我が国の会計制度をより適正な制度へ導くことができますように、他団体への惜しみない支援を行い、抜本的な改革を進めていきたいと思っております。

○鈴木委員 次に、危機管理対策ですが、知事がこれまで首都直下地震や大規模テロなどを想定し、八都県市の広域連携体制である、いわゆる首都圏FEMAを構築し、実践的な取り組みを進めてきたことを高く評価します。
 しかしながら、近年、新型インフルエンザや、これまで想定しなかった大型台風、集中豪雨など、新たな脅威に直面しております。
 これまで八都県市では、大地震やテロなどを前提とした連携体制を組んできましたが、今後、巨大化、広域化、複合化するさまざまな危機にも対応し得るよう取り組みを強化すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 我が国の心臓部であり、頭脳部でありますこの首都圏で、直下型地震などの大規模災害が発生した場合、個々の自治体が単独で実施する応急対策に、おのずと限界がございます。そのため、都が先頭に立って八都県市の連携強化に努め、いわゆる首都圏FEMAもつくりました。共通の広域防災プランの策定、実践に即した大規模な合同演習の実施など、相互応援体制を着実に整備してまいりました。
 ご指摘のような、新型インフルエンザや想定を超えた大型台風など、八都県市に共通する新たな脅威に対しては、情報の共有化はもとより、被害を最小限に抑えるための一体的かつ広域的な取り組みが欠かせません。
 今後とも、さまざまな危機に的確に対応していくため、こうした八都県市の連携をより一層深め、実効性のある具体的取り組みを充実強化していきたいと思っておりますが、先般、スペイン風邪ですかね、世界に猛威を振るった新しいインフルエンザがしょうけつしたときのアメリカのセントルイスと、もう一つ何とかという大きな都市の対処の仕方が、非常に対照的に違いまして、セントルイスは発生後三日間で、とにかく多数の人が集まる集会を禁止した、映画館も閉鎖した、そういう措置が非常に効果があったんです。片一方はどこでしたかね、シカゴでしたか、それがおくれて被害者がとにかく数十倍になったということでした。
 これを実際に例として過去に持っているわけですけれども、これをやるとなりますと、現行の法律は全部抵触します。最後には憲法を持ち出してくるやつもいる。そうすると、だれがこれを判断するかといったら、これはやっぱり行政の主体者と議会が、それこそ、要するに特殊事情にかんがみての相当な決心をしませんと、従来の既存の法律に縛られては何にも対処ができない。こういうことを、私たち、過去に歴史にあった事例でございますから、肝に銘じて心の準備をしておく必要があると思っております。

○鈴木委員 次に、建物などの耐震化について伺います。
 大地震の切迫性がいわれながら、住宅や建築物の耐震化はなかなか進んでいないというのが現状であると思います。震災から都民の生命と財産を守ることは、極めて重要な課題です。今こそ住宅や建築物の耐震化を都民や区市町村、建物所有者等、関係者が一丸となって取り組んでいくことが求められています。
 こうした中、都は、耐震改修促進計画を策定し、公表されましたが、この計画について何点かお尋ねをしたいと思います。
 公表された素案を見ますと、木造住宅密集地域に加えて、新たに幹線道路の沿道建築物の耐震化も重点的に促進していくということですが、まず、それのねらいについてお伺いします。

○柿堺都市整備局長 幹線道路の沿道建築物の耐震化のねらいについてでございますが、幹線道路は、震災時における避難や救急・消火活動、緊急物資の輸送等に大きな役割を担っております。
 このため、都といたしましては、大地震が発生した場合でも、建築物が倒壊して道路を閉塞することがないよう、あらかじめ沿道建築物の耐震化を進め、震災時における東京の道路ネットワーク機能の確保を図るものでございます。

○鈴木委員 万が一地震が発生したとき、被害を最小化するためには、避難や救急・消火活動、緊急物資の輸送の大動脈を確保することが必要であります。計画では、平成十九年度には、第一京浜、甲州街道、蔵前橋通りといった代表的な三路線の沿道建築物について、先行的に耐震化に取り組んでいくとのことであります。
 一方、民間建築物の耐震化は、費用負担の問題もあり、なかなか難しいかとも思います。こうした民間の建物所有者の主体的な取り組みを後押しして、早急な耐震化を進めるには、やはり財政的な支援も必要であります。
 都は、耐震助成も含めた取り組みを行うとのことですが、どのような助成の内容なのか、お伺いします。

○柿堺都市整備局長 耐震助成の内容でございますが、道路閉塞を防止する公共的な観点から、民間の建物所有者の主体的な取り組みを促すため、新耐震基準以前の建築物で、高さが道路幅員の二分の一を超えるものを対象に助成措置を考えているところでございます。
 具体的には、耐震診断と改修工事の費用のうち、国と自治体を合わせて、三分の二を上限に助成をすることとしております。平成十九年度は、防災拠点との連絡や、他県との連携に大きな役割を果たす三路線を先行的に指定しまして、こうした助成制度を活用するなど、民間建築物の耐震化に取り組んでまいります。

○鈴木委員 手厚い助成制度もあるとのことでありますので、建物所有者も前向きに取り組んでいただき、耐震化が促進することを期待したいと思います。
 また、先行する取り組みを踏まえ、平成二十年度以降、幹線道路の沿道建築物の耐震化に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 二十年度以降の取り組みについてでございますが、平成十九年度の先行的な取り組みや沿道建築物に関する調査を踏まえまして、地域防災計画に定める第一次から第三次までの緊急輸送道路を対象に、閉塞のおそれのある道路を早急に指定してまいります。
 指定後は、対象建築物の所有者に対して、耐震診断と耐震改修の速やかな実施を要請するとともに、助成や情報提供などの支援を行う予定でございます。
 また、耐震化の実効性を高めるため、必要に応じて、法に基づく指導及び助言を適切に行い、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を強力に進めてまいります。

○鈴木委員 次に、健康危機管理対策ですが、先般、宮崎で、我が国では三年ぶりに高病原性の鳥インフルエンザが発生しました。高病原性の鳥インフルエンザが、人から人へ感染する新型インフルエンザへと変異する危険性はますます高まっており、WHOは、各国政府に警告を発しております。
 都においても、行動計画の策定やタミフルの備蓄など、新型インフルエンザ発生時に備え、着々と準備を進めてはいます。しかし、新型インフルエンザがいつ、どのような形で発生するかは、だれにもわかりません。都内で新型インフルエンザの疑いある患者が発生した場合、感染拡大を防ぐためにどのような初期対応をとるのか、お伺いいたします。

○山内福祉保健局長 都内で新型インフルエンザが疑われる患者が発生した場合の初期対応でございますが、まず、昨年六月に構築いたしました東京感染症アラートを活用いたしまして、迅速に患者把握を行います。
 このアラートシステムは、医療機関からの疑われる患者の報告と、それに基づく保健所の疫学調査、さらに健康安全研究センターでのウイルス検査までの一連の対応を行うための仕組みでございます。検査結果については二十四時間以内に確定できる、全国で最も速い都独自の体制を整備しております。
 新型インフルエンザと確定した場合には、感染症指定医療機関へ速やかに患者を移送しまして、接触者には厳重な健康観察と外出自粛要請を行うなど、感染拡大の防止に向けた封じ込め対策を講じてまいります。

○鈴木委員 発生初期の段階では、封じ込め対策が最優先でありますけれども、新型インフルエンザが大流行、いわゆるパンデミックになった場合は、多くの患者が発生します。その場合、どのように医療を提供していくのか、お伺いをします。

○山内福祉保健局長 新型インフルエンザが万一大流行し、多数の患者が発生した場合には、感染症指定医療機関等のみでの対応は困難となります。このため、新型インフルエンザの外来医療を専門に行う施設として、区市町村や医療機関が発熱センター等を都全域に設置いたしまして、都が備蓄しているタミフルを使用して、患者の治療に当たります。
 発熱センター等の設置箇所については、受診者の利便性と未感染者への感染拡大防止の観点から、中学校区程度を単位として設置するよう、現在精力的に区市町村等と協議を進めております。
 また、入院医療についても、感染症指定医療機関のほか、都立病院、保健医療公社病院を中心に必要な病床の確保を図り、十分な医療の提供に努めてまいりたいと思っております。

○鈴木委員 都民の生命を守るため、万全の体制を早急に築いていただきたいと思います。
 都は、こうした感染症を初めとする都民の健康危機に対処するため、健康安全研究センターを見直し、平成二十四年度の開設を目指して、健康危機管理センターを整備することとしています。整備に当たっては、感染症の発生動向など情報をいち早く察知し、専門的な知識を結集して対策を講じる能力を備えることが不可欠と考えます。
 そこで、健康危機管理センターは具体的にどのような機能を担っていくのか、また、今後整備するセンターにはどのような設備が充実されるのか、お伺いをします。

○山内福祉保健局長 来年度から整備に着手いたします健康危機管理センターは、バイオテロや新型インフルエンザ、大規模な食中毒など、さまざまな健康危機発生時に、危害を早期に発見して、原因の究明と対応方針の立案を行うなど、健康危機管理の専門的な拠点機能を担います。
 あわせて、健康危機の発生に備え、国内外の情報を収集、解析し、都民や医療機関に対しまして予防対策や対処方法などの情報をわかりやすく発信する機能、関係機関の職員を対象とした危機対応力の向上を目的とする人材育成機能をも担います。
 今後、これらの機能が十分発揮できますよう、新型インフルエンザの大流行時にも対応可能な検査設備や関係機関を結ぶ情報通信設備など、必要な施設整備について早急に検討してまいります。

○鈴木委員 新型インフルエンザなど、健康危機はいつ発生するかわかりません。都民の生命を守るためには、あらゆる健康危機に二十四時間三百六十五日対応できる体制が必要であります。建物の完成を待たず、必要な体制の整備は進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○山内福祉保健局長 新型インフルエンザなどの発生に備えまして、これまでも迅速な検査体制の確保や感染症情報ネットワークの構築などに努めてまいりました。
 今後、健康危機管理センター整備を進めるに当たっては、ハード面の整備完了を待つことなく、二十四時間対応可能な検査体制や情報収集から対応方針の立案まで一元的に行う組織体制を整えまして、専門的対応力を強化して、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。

○鈴木委員 次に、子どもの通学路の安全確保対策ですが、地域では、PTAや町会、自治会などを中心に、子ども安全ボランティア活動が活発に行われています。都はこうした活動に対して、腕章やボランティア保険などさまざまな支援を実施していると聞いています。
 しかし、通学路が長く、ボランティアの活動だけではカバーできない地域があります。子ども安全ボランティアでカバーし切れない長い通学路などの安全確保をどのように図っていくのか、お伺いをします。

○舟本青少年・治安対策本部長 相次ぐ子どもの痛ましい事件を受けまして、地域の力で子どもの通学路などの安全を確保するため、子ども安全ボランティアの立ち上げ、充実を支援してまいりました。
 しかし、学校と自宅の距離がある地域では、そうした活動だけでは通学路の安全確保が難しいため、都は平成十九年度、公立小学校などにスクールバスの車両購入費を補助してまいります。
 さらに、機動的で広域的に効果の高い青色防犯パトロールへの補助事業も十九年度実施いたします。区市町村、町会、自治会などが保有する車に対する青色回転灯装備経費などを補助いたしまして、地域の青色防犯パトロールを充実強化してまいります。
 今後とも、子どもの安全確保のため、地域の防犯活動を強力に支援してまいります。

○鈴木委員 次に、その数は百万人を超えるともいわれる、いわゆるひきこもりの若者の問題について伺います。
 ひきこもりは、本人や家族に重い負担となるばかりでなく、長期化することによって、家庭内暴力へ発展するなど、問題がより深刻化するケースもあると聞いております。
 しかし、ひきこもりの問題は、社会との接点をみずから絶ってしまっているわけであり、その実態すらも明らかでなく、その効果的な対策も難しいと考えます。
 そこでお伺いをいたしますが、都はひきこもりの問題に関してどのような施策を講じてきたのか、お伺いをします。

○舟本青少年・治安対策本部長 ひきこもりは、長期化するほど回復に時間を要するといわれておりまして、早期における対応が重要であると考えております。
 しかし、ひきこもりは、自宅以外での生活の場が長期にわたって失われておりまして、本人に直接働きかけることが大変難しい問題でございます。
 そこで、都は、本人が相談しやすい環境をつくるため、電話や面接よりも抵抗感の弱い、インターネットを活用した相談事業を平成十六年十一月から開始しておりまして、これまで延べ三千件を超える相談がございました。このうち本人からの相談は五割を超えておりまして、一定の効果があったものと考えております。

○鈴木委員 ひきこもりの問題は、本人をいかにして社会に導くか、最終的には就労に導くことができるかが大きな課題と考えます。これまでの施策で、インターネットによる相談事業の効果は理解できますが、さらに一歩進めて、社会へ導くための仕組みも重要と考えます。
 また、長期にひきこもった若者は、社会経験不足から、職場での人間関係等に対する不安感も強く、直ちに就労につくことができないといったケースも多いと聞きます。
 都は、これまでの施策を踏まえ、今後どのような施策を講じていくのか、お伺いをいたします。

○舟本青少年・治安対策本部長 ひきこもりの問題解決は、就労や就学を通じて社会参加に導くことが目標でございます。
 しかし、ひきこもりの原因や状態はさまざまでありますので、その実態に関する情報はこれまで限られておりました。
 このため、都といたしましては、より効果的な支援策を検討するため、ひきこもりの実態把握に関する調査研究を十九年度に行ってまいります。
 また、これまでのインターネット相談に加えまして、直接会話による継続的な支援につなげていくため、新たに電話や面接による相談も実施したいと考えております。
 さらに、若者の自立支援を行っている民間団体と共同で、生活訓練や社会体験などを行う自立支援プログラムを開発するなど、ひきこもりから回復させ、社会参加を促す施策を推進してまいります。

○鈴木委員 次に、東京港の機能強化に向けた取り組みについて伺います。
 今日、上海港を初め近隣アジア主要港の躍進は大変に目覚ましく、コンテナ船の大型化に対応したコンテナふ頭を大幅に拡充強化する計画が進行中です。
 港湾の役割や規模の内容は背後圏の人口や経済活動等によって大きく異なり、東京港と他港を一概に比較することはできません。しかし、このまま国際競争におくれをとり、大型コンテナ船が直接寄港するメーンポートとしての地位が失われることになれば、物流コストの増大など、首都圏経済への影響も大いに危惧されます。
 特に最近、基幹航路を受け入れる港湾では、水深十六メートルを必要とする大型コンテナ船に対応できることが重要な条件となりつつあり、東京港においてもその対応を急ぐ必要があります。
 そこで、東京港のさらなる港湾機能の強化に向けて、今後どのような整備を進めていくのか、お伺いをいたします。

○津島港湾局長 東京港の港湾機能を一層強化していくため、昨年度策定した第七次改訂港湾計画では、中央防波堤地区にコンテナ船の大型化にも対応できる高規格のコンテナふ頭を新規に整備し、大井、青海とあわせ、本格的なコンテナふ頭の三極体制の構築に乗り出していくことといたしました。
 これを踏まえまして、来年度から、中央防波堤外側において新たなコンテナふ頭の整備に着手し、外貿ふ頭機能を拡充強化してまいります。
 また、ご指摘の急速な船舶大型化の進展等の環境変化に適切に対応していくため、現在、外部の専門家も交え、既存ふ頭も含めた東京港の国際物流機能の強化に向けて、調査検討を進めているところでございます。
 今後、こうした取り組みを通して、首都圏の生活と産業を支える東京港のメーンポート機能の維持発展を図ってまいります。

○鈴木委員 ところで、港湾機能を最大限発揮するためには、輸出入のバランスのとれた、効率のよい港にする必要がありますが、東京港は輸入超過となっています。首都圏四千万人の住民のための生活関連物資を中心とする輸入貨物の取り扱いが東京港で多くなることは理解できますが、輸出入のアンバランスを解消するためには、これまで以上に輸出貨物を集める取り組みが重要です。
 そこで、輸出貨物の誘致についてどのように進めていくのか、お伺いをいたします。

○津島港湾局長 港湾機能を最大限発揮していくためには、ご指摘のとおり、輸入超過の状態から輸出入のバランスのとれた港にしていくことが重要であると認識しております。
 東京港に輸出貨物を集めるには、東京港と背後圏とを結ぶアクセス機能の向上が不可欠でございます。このため、都は、幹線道路上のボトルネック箇所を把握するとともに、首都高などにおけるコンテナ車両の高さ制限の緩和や港湾周辺の橋梁の強度向上に取り組んでおります。
 また、東京港に対する輸出貨物拡大に係る課題や要望等について、荷主や海上貨物を取り扱う業者等を訪問し、ヒアリング調査を行ってまいりました。
 今後は、東北地方等に立地する企業に対しまして、東京港の利用を促進するポートセールスを積極的に展開していくなど、輸出貨物の拡大に向けた実効性ある方策について、港湾関係者等と連携しながら取り組んでまいります。

○鈴木委員 また、東京港の機能強化のためには、東京港の外貿コンテナ貨物の七割以上を取り扱う東京港埠頭公社の役割が重要となります。今後民営化されることにより、柔軟な経営判断のもと、一層のサービス向上が期待されますが、民営化後の公社をどのように活用していくのか、伺います。

○津島港湾局長 東京港埠頭公社につきましては、平成二十年四月に民営化いたします。民営化することで、これまでの認可などによる国の規制が緩和され、経営の効率化、迅速化が図られるとともに、出資等により関連分野への事業多角化が可能となるというメリットが生じます。
 具体的には、簡素で効率的な組織体制を構築し、柔軟な経営に努めますとともに、整備計画等に係る国の認可が廃止されることから、ヤードの改修やクレーンの機能向上などの利用者ニーズに、きめ細かく、かつ迅速に対応していくことが可能となります。
 また、民営化に伴い公共化したふ頭用地と既存の都有地とを一体的に活用することで、お台場ライナーふ頭地域を再編し、高機能物流施設を整備することや、民間企業との連携も視野に入れたコンテナやシャーシ置き場を整備、運営するなど、事業の多角化を図ってまいります。
 このように民営化後の公社を活用し、港湾コストの低減や一層のサービス向上を図ることで、東京港の物流機能の向上や国際競争力の強化を進めてまいります。

○鈴木委員 続いて、空港問題について伺います。
 我が国経済の活力の維持向上、国際競争力の強化を図る上で、首都圏の空港の役割は極めて重要であります。そのためには、羽田空港の再拡張、国際化とともに、横田基地の軍民共用化を早期に実現し、首都圏西部地域の航空需要への対応や首都圏の空港機能の補完を図ることが必要であります。
 横田基地の共用化による民間航空の導入は、多摩地域はもとより、広い地域の住民の利便性の向上や産業の振興、地域の発展にとって大きな効果をもたらすものと考えます。
 この横田基地の共用化は、平成十五年五月の日米首脳会談以降なかなか進んできませんでしたが、ようやく昨年十月に、日米両政府間の公式の検討組織であるスタディーグループが立ち上がり、協議が始まりました。
 スタディーグループは、在日米軍再編のロードマップにおいて、十二カ月以内という検討期限が定められています。残り八カ月の間に着実に協議を進展させ、軍民共用化の日米合意を得る必要があると考えますが、知事は今後どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いしたいと思います。

○石原知事 横田基地の軍民共用化は、国際関係での国力の維持の観点からも、国全体にとって非常に重大な案件でありまして、これを実現し、民間航空機を運転させるためには、積極果敢な取り組みが不可欠であります。
 小泉総理が電話してきて、外務省抜きでやるといってくれて、テキサスのクロフォードでブッシュとさしで話したときに、この話は一飛び、二飛びして俎上にのったんですが、その後、アメリカのトランスフォーメーションなるプログラムに巻き込まれて、それを口実に、非常に時間稼ぎされましたが、ようやくご指摘のようにワーキンググループの実質的な討論に入りました。
 安倍内閣発足後も、じかに、総理を初め国土交通大臣などに政府としての積極的な取り組みを働きかけてまいりました。先般も、都が設置した軍民共用具体化検討委員会の検討成果を十分に活用して、今後のスタディーグループの協議を迅速に進めるよう、官邸にも強く要請しております。
 ただ一方、先般もローレス国防副次官ですか、これは最高責任者ですけれども、あるいは在日米軍のライト司令官に会いまして、話しましたが、アメリカさんたちは非常にずるくて、ここになってきて、入間はどうだ、厚木はどうだ、百里はどうだというけれども、そんなばかな話はない。総理大臣と大統領がさしで話して、物事は要するに横田に限ったという話をしているんだから、余計なこというなといって突っぱねましたが、そういうふうに策を弄して、とにかく持っているものを放したがらない。
 いずれにしろ、これからさらに具体的な詰めに入るわけですけれども、相当政府も頑張ってもらいたいと思いますし、東京都はじかにその席に出られませんから、杉山委員会、一橋学長の交通経済学の泰斗の杉山さんを委員長にした委員会の報告をもって国の意見として政府レベルの会談でそれを押し通すように、後押しをしております。
 今後とも、日米両政府に対し、期限までに協議を終了させ、軍民共用化を一刻も早く実現するよう働きかけてまいります。

○鈴木委員 横田基地の軍民共用化を実現し、利用者にとって便利な空港としていくためには、道路、鉄道などの円滑な交通アクセスの確保や周辺地域の基盤整備の推進が不可欠であります。
 また、整備の効果が、多摩地域はもとより、近隣の三県も含めた広域的な振興にも結びつくよう進めていく必要があります。
 このほど取りまとめられた「十年後の東京」においても、広域多摩エリアを多摩シリコンバレーとして、首都圏にとどまらず、アジアを代表する産業拠点に発展させるとしています。こうした十年後の東京像を実現する上でも、横田基地の共用化と周辺地域の基盤整備を推進することが必要であります。
 今後、横田基地周辺の基盤整備にどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

○山口知事本局長 軍民共用化を進める上で、円滑な交通アクセスの確保や基地周辺の基盤整備は重要な課題でございます。
 また、ご指摘のとおり、「十年後の東京」におきましても、横田基地の軍民共用化などを契機に、広域多摩エリアを多摩シリコンバレーとしまして、首都圏の中核的産業拠点に育成することとしておりまして、この実現を図る上でも、基地周辺の基盤整備が必要と考えております。
 現在、スタディーグループにおいて、軍民共用化の具体的な条件や態様に関する協議が進められておりますが、この進捗状況を踏まえまして、今後、基盤整備の課題や対応についての調査検討を進め、国や地元自治体とも連携しながら、基盤整備の促進を図ってまいります。

○鈴木委員 次に、東京の鉄道計画について伺います。
 「十年後の東京」では、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するとの目標を掲げています。鉄道は環境負荷の少ない交通機関であることから、道路整備の推進だけでなく、鉄道ネットワークをさらに拡充することについても考えていく必要があると思います。
 特に、二〇一六年のオリンピックも見据えると、羽田空港の再拡張、国際化を踏まえた空港アクセスの強化は重要と考えます。
 そこで、空港アクセスとして運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられている蒲蒲線について、実現に向けた早急な取り組みが必要と考えますが、都の所見をお伺いいたします。

○柿堺都市整備局長 東急線蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ、いわゆる蒲蒲線についてでございますが、お話しの答申において、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線と位置づけられております。
 しかしながら、本路線には、空港アクセス機能としての必要性、多額の事業費、事業採算性、東急線と京急線の線路幅の相違など、さまざまな課題がございます。
 都といたしましては、こうした具体的な課題について引き続き地元区と議論を重ねるなど、必要な対応を図ってまいります。

○鈴木委員 次に、さきの代表質問でも取り上げた景観計画についてお尋ねします。
 景観計画の素案では、民間の事業における景観誘導と都が事業者となる道路、公園などの公共施設の整備方針があわせて提案されています。良好な景観は公共施設と周辺の町並みの調和により形成されるものであり、この点で素案の内容を評価しています。
 また、民間開発における景観を誘導していくために、色彩の基準など、これまでにない規制も盛り込まれました。
 基本的な方向はよいと思いますが、都民や事業者の理解や協力が不可欠だと考えます。
 まず、都は、これまで民間事業者などの意見をどのように聴取し、また、どのように素案に反映してきたのか、お伺いをします。

○柿堺都市整備局長 民間事業者などの意見の反映についてでございますが、今回の景観計画の素案では、色彩の変更命令など、強制力を伴う新たな施策を提案していることから、二度にわたりパブリックコメントを実施し、広く都民や企業などの意見を聴取いたしました。
 特に、屋外広告物規制や大規模建築物等の事前協議制度などについては、関連する業界団体とも意見交換を行い、適切に素案に反映させてまいりました。
 例えば、今後屋上設置の広告物が禁止される地区においては、既存の広告物も規制の対象となることから、一定の経過措置を認めることといたしました。
 また、地域で定めたまちづくり方針の尊重や基準の適用除外を求める場合の手続などについて、公正な運用が図られるよう素案を取りまとめております。

○鈴木委員 素案では、新たな施策の一つとして、景観に関する事前協議制度が提案されています。開発事業者の中には、この制度について、新たな手続が付加されたことにより、いたずらに時間がかかり、都市再生に貢献するプロジェクトもおくれてしまうのではないかと心配する声もあると聞いています。
 都はこの事前協議制度についてどのような運用を考えているのか、お伺いをいたします。

○柿堺都市整備局長 事前協議制度における運用についてでございますが、特定街区や総合設計など都市開発諸制度を適用する建築物は、大規模で周辺の景観に与える影響が大きいことから、統一感のある街区形成、歴史的資源の活用、緑化の推進など、計画を適切に誘導する必要がございます。
 このため、今回の素案では、大規模建築物等の事前協議制度を導入し、計画の早い段階において、事業者に対し景観計画に基づく方針や基準を示すことといたしました。
 事業者は、この方針をあらかじめ計画案に反映させることで、計画への配慮を含めて、協議や手続を迅速に進めることができ、町並みとも調和した、質の高い開発をより円滑に事業化することが可能となると考えております。

○鈴木委員 手続がおくれることのないよう留意して、ぜひ、景観にもすぐれた、質の高い開発を誘導するよう要望しておきます。
 また、実効性のある規制を行うためには、景観形成の基準や色彩の基準など、できるだけ客観化、定量化する必要があります。しかし、こうした基準は、一方で、運用次第では地域特性を軽視することにならないかとの懸念もあります。日本橋と六本木が同じようなまちになっては、都市の魅力もなくなってしまいます。
 景観計画に基づき、地域の特性を生かした民間開発をどのように誘導していく考えか、お伺いをしたいと思います。

○柿堺都市整備局長 地域の特性を生かした誘導についてでございますが、今回の素案では、地域特性をより重視して、多様な魅力が発揮できるよう、景観形成の基準等を具体的に定めております。
 例えば、国分寺崖線や玉川上水などの景観基本軸については、それぞれの特色ある自然や地形が生かされるよう、新たに建築物の高さの目安、色彩の基準等を示すことにいたしました。
 また、今回指定する景観形成特別地区におきましては、臨海部の水辺や文化財庭園等が地域の景観の主役となり、観光資源として引き立つよう、夜景も含め、良好な景観を形成するための方針及び基準を作成いたしました。
 今後、事業者の協力も得て、景観計画に基づく施策を展開し、自然、歴史、文化等の地域特性が反映された、魅力ある東京の実現に向けて取り組んでまいります。

○鈴木委員 次に、水と緑のネットワーク化について伺います。
 世界の代表的な都市を見ますと、歴史や文化に裏づけられた美しい町並みや潤いのある水辺や公園に感銘を受けます。東京がさらに成熟した魅力ある都市として世界にアピールするには、公園や河川を豊かな街路樹でつないで、水と緑のネットワークにしていくことが重要であると考えます。
 我が党の代表質問では、十年後の東京を見据えた都市基盤整備の目標と取り組みについて伺いました。
 そこで、その具体的な内容についてお尋ねします。
 まず、緑についてでありますが、都内には七十八カ所の都立公園や庭園があり、都民に親しまれています。都はこの十年で、日比谷公園十二個分に相当する新規開園を目指すとのことです。私も、緑のネットワークの拠点となる都立公園を、量質ともに着実に充実していくべきと考えますが、所見を伺います。

○依田建設局長 豊かな緑は、風格ある都市景観の形成やヒートアイランド現象の緩和など、都市環境の改善に寄与することから、緑の拠点となる都立公園の充実が必要でございます。このため、良好な自然の保全や緑の骨格を形成する水元公園や桜ヶ丘公園など、三十八カ所の公園で整備を進め、今後十年間で開園面積を約二千ヘクタールに拡大していく予定でございます。
 また、身近な自然を学び親しむための自然観察会の開催、都民、NPOなどとの協働による花壇づくり、花の名所づくり、だれもが楽しめる民間イベントの誘致など、公園をより魅力的な空間とするさまざまな取り組みも進めてまいります。
 今後とも、緑豊かな都市東京の実現に向け、地元自治体や地域の声を踏まえながら、都立公園の整備を着実に進め、都民から親しまれる公園づくりに努めてまいります。

○鈴木委員 公園整備の着実な推進をぜひお願いをいたします。
 しかし、こうした公園もばらばらに点在しているだけでは、東京全体の魅力としては不十分です。点在する緑の拠点を結ぶ道路空間をさらに緑化することが重要です。都は、街路樹の倍増などに取り組むとのことですが、どのように道路の緑をふやしていくのか、所見を伺います。

○依田建設局長 水と緑のネットワークを充実させるためには、緑の拠点である公園や水辺を結ぶ道路の緑を豊かにすることが重要でございます。これまで街路樹は、沿道の状況に応じて、防災や環境改善などの機能面や、地元の要望を踏まえ路線ごとに木の種類を統一し、高木を中心に植栽を行ってまいりました。今後、花や実が楽しめるシャクナゲやアオキなどの中低木を高木と高木の間に植栽するなどして、豊かな道路の緑を連続的に創出してまいります。
 整備に当たっては、緑のネットワークの軸を形成するために、環状第七号線などの環状道路や、新大橋通りや東八道路などの放射道路などで、豊かな街路樹づくりを重点的に推進し、引き続き、緑の拠点となる公園や水辺を結ぶ他の都道にも広げてまいります。
 今後、国や区市町村とも連携し、街路樹を積極的にふやし、公園と一体となった緑のネットワークの充実に取り組んでまいります。

○鈴木委員 さらに、東京を縦横に流れる河川もまた貴重な潤いの資源です。コンクリートの直立護岸は、水害から都民の生命と財産を守り、東京復興の礎となってきました。しかし、潤いがありません。近年は、スーパー堤防など、河川整備の手法も改良され、水辺と人々を結ぶ下町の文化や武蔵野の自然の魅力が河川に戻りつつあります。
 そこで、緑豊かでにぎわいあふれる水辺空間をどのようにつくっていくのか伺います。

○依田建設局長 河川整備においては、治水機能を確保しつつ、地域性を踏まえ、にぎわいあふれる緑豊かな水辺空間を創出していくことが重要でございます。そのため、東部低地帯では、隅田川などで水辺の散策を楽しめるテラスや、まちづくりと一体となった緑の空間を生み出すスーパー堤防の整備を進めてまいります。
 また、地元と連携し、防潮堤をギャラリーとして活用したり、オープンカフェを実施するとともに、舟運ネットワークの形成に向けた防災船着き場の平常時利用など、水辺の利用促進を図ってまいります。
 区部の中小河川では、石神井川などで河川管理用通路を緑化し遊歩道として活用するとともに、可能な箇所では水辺に近づける階段式の護岸を整備いたします。
 緑が多く残る多摩地域では、平井川などで、魚や昆虫、水鳥などにも優しい、多自然川づくりを進めてまいります。
 これらの取り組みによりまして、水辺景観を向上させ、人々が憩い、にぎわう水辺空間の創出に努めてまいります。

○鈴木委員 次に、再チャレンジ支援について伺います。
 国は、多様な機会が与えられ、何度でも再挑戦が可能な仕組みとして再チャレンジ支援を打ち出しています。都としても、フリーター等の若者に対してきめ細かな支援を行うなど、意欲あるだれもがチャレンジできる社会の創出に取り組んでいく必要があります。
 若者の採用については、いわゆる第二新卒の採用が活発化するなど、企業の中途採用に対する姿勢も大きく変わってきています。しかし、こうした中でも、就職氷河期で正社員になれなかったいわゆる年長フリーターは、職業に対する意識や基礎的な技能、知識が不足しているなどの理由で、正社員としての採用がいまだ厳しい状況にあります。都はこれまでも、しごとセンターや技術専門校において若者の就業を支援してきましたが、特に年長フリーターに対しては、今後どのような形で再チャレンジを支援する取り組みを強化していくのでしょうか、見解をお伺いします。

○島田産業労働局長 多くの年長フリーターはみずからのキャリアや能力に不安を抱えておりまして、また、企業側も採用に積極的でないことから、正社員としての就職は困難な状況にあります。
 都はこれまで、年長フリーターを含む多くの若者向けにしごとセンターで個別カウンセリング等の就業支援を行うとともに、企業向けには若者との交流会等を実施してまいりました。これらの支援を通じまして、四千三百人を超える若者が就業に結びついております。
 来年度からは新たに、年長フリーターを対象といたしまして、就業意識を高めるための導入セミナーを開催いたします。その受講者に対し、三カ月間の職業訓練を行い、その後、就業につなげる就職面接会を開催するなど、一連の支援プログラムを実施してまいります。
 今後とも、年長フリーターを正社員としての雇用に結びつけるため、総合的な支援をしてまいります。

○鈴木委員 人口減少社会を迎え、労働力不足が現実のものとなる中、意欲ある女性の再チャレンジを支援することも重要です。出産や育児のため退職する女性の多くは、子育てが一段落した後、安定して長く働ける職場に再就職をしたいという希望を持っています。しかし、離職によるブランクのため、正社員での再就職が難しいのが現実です。
 そこで、再就職を希望するこのような女性のための支援が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○島田産業労働局長 都はこれまで、しごとセンターにおきまして、本人の希望やキャリアに応じたきめ細かなカウンセリングなどを行い、女性の再就職を支援してまいりました。
 来年度からは、新たに女性の再就職サポートプログラムを実施してまいります。具体的には、正社員への再就職に重点を置いて、雇用を取り巻く環境に関するセミナーや、求人求職ニーズの高い経理事務や販売接客などのスキルアップ講習を実施するとともに、職場実習を行うなど、一連のプログラムを行ってまいります。
 さらに、経営者団体等に求人に関する情報提供などを求め、受講者を就職に結びつけるなど、一貫した支援を行ってまいります。

○鈴木委員 先般もちょっと申し上げたんですけれども、今深刻な看護師不足であります。そういう中で、資格を持っている人で就職しているよりも、資格を持って働いていない看護師さんたちがたくさんいる。現場の人に聞くと、三年も現場を離れると職場に復帰できない、もういろいろな医療が変わってきているので。そういった人たちへの支援というものが、私、すごく大切だというふうに思いますので、ぜひその点もお考えをいただきたいというふうに思います。
 次に、再チャレンジ支援の一つである多重債務者の問題についてお伺いをいたします。
 サラ金など複数から借金をし、苦しんでいる多重債務者が社会問題化しています。まさに国会においても重要な政策課題となっていますが、国は抜本的な打開策を見出せないでいます。そうした中、新たに創設する多重債務者生活再生事業は、まことに時宜を得た先進的な取り組みであります。
 しかし、マスコミ報道が加熱し、資金融資ばかりが注目され、この問題の根幹ともいうべきことが忘れられているような気がします。多重債務者はそれぞれ生活に課題を抱え、結果、借金がふえてしまったわけで、その根源的な問題を解決することが第一優先です。この事業の内容については既に本会議において質疑がありましたが、事業に当たっては、単に資金融資するだけではなく、きめ細かいカウンセリングを行い、自立に向けて生活全般の支援をしていくことが極めて重要だと考えますが、所見をお伺いをいたします。

○山内福祉保健局長 ご指摘のとおり、単に資金融資するだけでは生活再建は困難であり、本人の意欲を確認し、解決に不可欠な家族等の協力を得て、生活全般にわたる支援を行うことが重要でございます。このため多重債務者生活再生事業では、債務整理の相談や、返済の見通しが立つ場合に必要な資金融資を行うことに加えまして、福祉事務所等関係機関と協力し、家族も含めた精神的サポートやカウンセリングをきめ細かく行います。
 あわせて、就労面についてもハローワーク等との連携に努めてまいります。
 このような取り組みによりまして、多重債務者が自立できるよう幅広い支援を実施してまいります。

○鈴木委員 次に、高齢化が進む中、政策課題である介護基盤の整備について伺います。
 都はこれまで、在宅サービスの充実とともに、都独自の補助制度を駆使しながら、必要な介護施設等の整備促進に取り組んできました。この間、介護保険制度の創設を契機として、多種多様な事業主体が介護サービス市場に参入し、その層も厚みを増しています。
 一方、高齢者ニーズも多様化しており、従前のような特別養護老人ホームなどの施設志向から、最近は、居住環境等の快適性も含めた、より自分らしい老後を送りたいというように変化しているように思います。
 このような環境変化を踏まえ、高齢者の多様なニーズにこたえられるよう、施設整備費補助のあり方を積極的に見直し、再構築していく必要があると考えます。
 多様な民間事業者が集まりやすいという東京の特性を生かし、グループホームの整備では、国に先駆けて、民間事業者や土地建物所有者に補助対象を拡大し、着実な整備が図られているところであります。
 近年、都内では急速なスピードで有料老人ホームがふえています。これは介護保険により利用者負担が軽減されたことに加え、介護などの世話と住まいが結びついたサービス形態が高齢者のニーズに合致したものと思われます。
 そこで、介護を要する高齢者の受け皿として有望と思われる有料老人ホームについて、都は新たに整備促進に向けた仕組みを開始するとのことですが、その事業内容と決意のほどを伺います。

○山内福祉保健局長 近年増加の著しい有料老人ホームについては、昨年四月の介護保険法の改正によりまして、要介護の高齢者のみを入居させる介護専用型という類型が新設されました。この介護専用型有料老人ホームは、要介護高齢者の受け皿として都民の有力な選択肢の一つとなると考えられます。このため、都は、設置運営指導指針の遵守や中重度者の積極的な受け入れ等を条件に、施設整備費を補助するなどの設置促進策を来年度から実施することとしております。
 今後とも介護専用型有料老人ホームについて、サービスの質の向上を図りつつ、多様な事業主体による整備を促進することで、高齢期の都民が安心して暮らすことのできるケアつき住まいの充実を図ってまいります。

○鈴木委員 良質な有料老人ホームがより多く整備されるよう進めていただきたいと思います。施設整備費補助の再構築に当たっては、時代に合わなくなったものは見直し、有料老人ホームへの補助制度の創設のように、新たに必要とされているところに財源を重点的に配分し、施策の効果を上げていくことが重要です。
 そこで伺いますが、補助制度の再構築の一環として、特別養護老人ホームの用地費助成制度の見直しを予定していると聞いていますが、見直しの考え方についてお伺いをいたします。

○山内福祉保健局長 特別養護老人ホームの用地取得費助成事業は、約半数の区市町村で特別養護老人ホームが未整備であった昭和六十年度に開始したものでございます。当時は施設用地の自己所有が原則であり、また、用地取得費の資金調達が困難であったことなど、用地確保が大きな課題となっておりました。その後、国の規制緩和によりまして、民有地の貸し付けによる特別養護老人ホームの整備が明確に位置づけられ、現在は、定期借地権制度を活用することによって、土地を取得することなく、長期的に安定した用地確保が可能となっております。
 また、用地取得費に対する融資制度の充実が図られるなど、状況は大きく変化してきております。
 こうしたことから、用地取得費助成事業については、二十年度の着工分をもって終了することとしたところでございます。

○鈴木委員 用地費助成が所期の目的を果たしたので終了するという趣旨は理解しますが、この制度が果たしていた役割は大きいものがありました。これからも地価の高い東京で用地を確保するための知恵と工夫が重要となります。
 そこで、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備が停滞することがないよう、整備費補助を手厚くするほかにも、新たな取り組みが必要ではないかと考えます。都内の公有地は都民の貴重な財産であり、社会的意義の高い使途に優先的に使われるべきです。都有地や区市町村有地を積極的に活用することにより、介護施設等の一層の整備促進を期待しますが、所見を伺います。

○山内福祉保健局長 今後、公営住宅の建てかえに伴う高層化や学校の統廃合などにより、未利用公有地の供給が見込まれ、それらを介護施設の整備に活用することは非常に有効と考えられます。
 そこで都は、今年度から新たに、特別養護老人ホームの整備に対しまして都有地を減額して貸し付ける仕組みを導入し、具体的な協議を進めております。
 また、介護施設の整備促進には区市町村有地を積極的に活用することも効果的でございます。このため、区市町村が介護施設を整備する事業者に公有地を貸し付けた上で、独自に整備費を補助する場合については、来年度から創設する包括補助事業によりまして支援することとしております。
 こうした取り組みによりまして、今後とも介護施設の着実な整備促進に努めてまいります。

○鈴木委員 次に、東京の産業力の強化について伺います。
 都は先月、東京都産業振興基本戦略を発表し、今後十年の産業振興における施策の展開の方向性を示しました。基本戦略に示されているとおり、東京の産業が国際競争に打ち勝ち、都市の魅力をより一層高め、日本経済を牽引していくためには、ベンチャー企業支援や新産業育成だけでなく、それを支える東京の産業基盤の強化に向け、中小企業の事業承継の円滑化や商店街の振興などを図っていくことが重要です。
 そこでまず、中小企業の事業承継について伺います。
 近年、東京の事業所数は大幅に減少していますが、その要因の一つとして後継者難があります。二〇〇六年の中小企業白書では、自分の代で廃業したいと回答した企業のうち、約四分の一が適切な後継者候補が見当たらないことを第一の理由としています。この調査結果を前提として試算すると、都の事業所数は、平成十三年度から十六年度の三年間で、後継者難により一万社以上が減少していることになります。今後、経営者の高齢化に伴い、廃業する企業数はますます増加し、中小企業が持つ貴重な経営資源やすぐれた技術が失われていくことが懸念されます。
 そこで、このような事業承継問題について、都はどのように認識をしているのか伺います。

○島田産業労働局長 都の中小製造業を対象といたしました調査によれば、事業の継続を希望する企業のうち、約四分の一で後継者が決まっておらず、事業承継は円滑に進んでいないのが実情であります。
 また、都内中小企業の二割程度の経営者が七十歳以上となっており、今後、後継者難等により廃業する企業の数がこれまで以上に多くなることが予想されまして、このままでは、東京の産業基盤を揺るがし、東京の活力の減退を招きかねません。
 こうした状況の中で、中小企業の事業承継は個別企業における対応だけでは限界があり、社会全体として取り組む課題であると認識しております。そのため、都は、平成十九年度、社会的事業承継システムの構築について検討を行ってまいります。

○鈴木委員 都では、平成十九年度、社会的事業承継システムの構築について検討するということですが、具体的にどのような方向で検討していくのか伺います。

○島田産業労働局長 社会的事業承継システムの構築については、現在、事業承継問題の実態を把握するため、商工団体を通じまして、都内中小企業六千社に対するアンケート調査を実施しております。
 平成十九年度においては、学識経験者、弁護士、公認会計士等で構成する研究会を設置し、調査結果を活用しながら、事業承継問題の分析や事例研究を行うとともに、施策の方向性について意見交換を進めてまいります。
 こうしたアンケート調査の結果や研究会での議論を踏まえまして、商工団体や金融機関等との連携など、社会全体として事業承継を円滑に進めるための仕組みづくりを検討してまいります。

○鈴木委員 次に、商店街振興について伺います。
 地域にはそれぞれの顔があり、個性があります。商店街はそうした地域らしいにぎわいを演出し、住民や訪れる人たちが安心して生活や交流ができるよう、さまざまな取り組みを行っています。まさに商店街は地域の魅力と活力を生み出す源といえます。しかし、商店街は、売り上げや集客力の低下、空き店舗の増加、後継者不足など、困難な問題に直面しており、残念ながら商店街数も減少傾向にあるのが実情です。
 こうした中、基本戦略において、身近な生活圏を支える商店街の振興についての方向性を示したことは、まことに時宜を得たものと評価いたします。
 そこでまず、都民に身近な地域における商店街について改めて都の認識を伺います。

○島田産業労働局長 都内の商店街は、都民生活を支えるとともに、雇用の場となるなど、地域経済を活性化する上で重要な機能を有しております。また、お年寄りから子どもまで幅広い世代の交流を通じまして、地域の歴史、文化をはぐくみ、継承する場でもあります。
 さらに、本年度新規事業であります特定施策推進型商店街事業を活用いたしまして、防犯、防災等、都政の緊急かつ重要な行政施策に協力して取り組むなど、商店街は地域における行政のよきパートナーとして重要な役割を担っているものと認識しております。

○鈴木委員 商店街はさまざまな機能を有し、地域のコミュニティの核としてなくてはならない存在であります。商店街がその役割を十分に果たしていくためには、そこで事業を営む多くの人々が商店街の取り組みに積極的に協力することが必要です。今回の基本戦略の策定を機に、都は地域の事業者の参画、連携の促進に向けどのように取り組んでいくのか伺います。

○島田産業労働局長 商店街における事業者の参画、連携を促進するためには、それぞれの商店街が企画、経理面の強化を図り、組織の運営力を高めるとともに、商店街活動に対する事業者の理解を深めていくことが必要であります。そのため、都はこれまで、経営、会計の専門家派遣や、NPO等のノウハウを活用できるパワーアップ基金事業等により、商店街の組織運営力の強化を支援してまいりました。
 また、都の呼びかけで、東京商工会議所を中心に関係団体が参加してスタートいたしました協議会の活動を通し、相互理解に向けた自主的な取り組みが進みつつあります。
 今後とも、都は、事業者同士の相互理解を深めるための場や機会を設けるなどにより、地域の事業者の参画、連携を一層促進してまいります。

○鈴木委員 次に、観光産業振興について伺います。
 都は、石原知事が就任されて以降、観光産業振興に積極的に取り組んできました。世界的にも、二十一世紀における成長産業として観光が重視される中、オリンピック招致は観光を活性化させる絶好の機会です。また、「十年後の東京」では、世界の人々があこがれ、訪れる東京の将来像も示されています。オリンピックの開催都市決定を二年後に控え、招致活動を成功に導くためには、東京の魅力を高め、世界に向けてPRするとともに、多くの旅行者に開催都市として東京を広く認識してもらうことが重要です。
 このたび、観光産業振興プラン素案が発表されましたが、これからの東京の産業振興について知事の所見を伺います。

○石原知事 都はこれまで、経済波及効果が大きい観光を重要な産業と位置づけ、その振興に力を入れて、東京の経済の活性化を推進してまいりました。しかし、他の世界の大都市と比較しますと、東京を訪れる外国人旅行者は依然として極めて少ない。東京は、江戸以来の独自の文化、豊かな食、世界最先端の技術の集積などの多様な魅力がございまして、観光のポテンシャルが高いはずであります。オリンピック招致や羽田空港の国際化を契機に、今回策定する観光産業振興プランに基づく戦略的な取り組みの展開によりまして、東京の魅力を飛躍的に向上させていきたいと思っております。十年後には何とか外国人の旅行者が一千万人が訪れる、世界の都市の東京を目指していきたいと思っております。

○鈴木委員 オリンピック開催にふさわしい都市として、東京を旅行者が一人で安心して町歩きができる都市にしていくことが重要です。今日の旅行形態を見ると、観光スポットを見て回る団体旅行から、地域に根づいた歴史や文化に触れ、地域の人との交流を重視する個人旅行へと大きく変化しています。
 こうした旅行者のニーズに対応するために、今回発表された観光産業振興プラン素案においても、ひとり歩きが楽しめる案内サインの標準化を推進する施策を戦略的取り組みに掲げています。都は早急に、旅行者が不自由なく周遊できる、わかりやすい案内サインを整備すべきと考えますが、所見を伺います。

○島田産業労働局長 東京の観光がさらに発展していくためには、旅行者が迷わずに安心してひとり歩きを楽しめるよう、統一的な案内サインの整備を進めていくことが重要であります。
 都は、これまで、外国人旅行者が多く訪れる地域を重点的に、絵文字などを活用し、景観やバリアフリーにも配慮した歩行者用観光案内標識を整備してまいりました。しかし、道路や駅の構内では、日本語だけの表記であったり、表示内容がわかりにくいなど、いまだ不十分な現状が見受けられます。このため、平成十九年度には、わかりやすく、安全にも配慮いたしました案内サインの整備に向け、標準化指針を策定し、区市町村や鉄道事業者に協力を求め、一層の整備に努めてまいります。

○鈴木委員 東京の魅力を高め、外国人を含む観光客の誘致促進を図るためには、都営交通も積極的に役割を果たす必要があると考えます。
 かつて東京の陸上交通の主役だった都電は、昔懐かしいノスタルジックな交通機関として広く知られています。私は、都電荒川線を貴重な観光資源として活用することが有効であり、沿線地域の活性化にもつながると思います。
 交通局では、レトロ車両の導入などを予定していると伺っていますが、観光対策を含め、どのように荒川線の活性化に取り組んでいくのか、伺います。

○松澤交通局長 都電荒川線は、都内に残された唯一の都電として人気が高く、沿線地域にはとげ抜き地蔵や飛鳥山公園など多くの観光スポットがあることから、今後、観光振興の視点に立って活性化を図ることが必要と考えております。
 その具体化といたしまして、十九年度早々には、既存の車両とは別に、昭和初期の東京市電をイメージした新造車両の運行を開始するとともに、これに合わせまして三ノ輪橋停留所を全体的にレトロ調のデザインに衣がえする予定でございます。
 また、都電荒川営業所には、昔懐かしい都電車両の展示施設をオープンする一方、地元商店街などとともに各種のイベントなども実施することとしております。
 今後とも多くの観光客が訪れ、沿線のにぎわいが創出されるよう、地元区等とも連携を図りながら、こうした取り組みを着実に進めまして、荒川線の活性化を図ってまいります。

○鈴木委員 我が党の崎山議員からも、くれぐれもよろしくとのお願いをいただいておりますので、よろしくお願いいたします。(「北区も通っているんですよ」と呼ぶ者あり)北区も。高木さんからも、よろしくどうぞ。
 一方、バスは、身近で安心して移動できる公共交通機関としての特性を持っていますが、路線が複雑であるため、利用者は沿線の固定層が中心となっています。
 そこで、新たな発想で、国内外から観光客等の誘致を図り、都バスについても活性化を図っていく必要もあるのではないでしょうか。
 通常の路線バスとは別に、東京の観光スポットをめぐる路線バスの導入などに取り組むべきと考えますが、所見を伺います。

○松澤交通局長 これまで都営バスは、主に通勤や通学など都民の身近な足としての役割を担ってまいりましたが、今後はこれに加えまして、ご指摘のとおり、観光客の誘致や利用を促進するため、新たな路線バスの導入を図ることが必要と考えております。
 このため、江戸東京の伝統・文化を伝える下町地域や、首都として、また、国際都市東京の顔である都心地域におきまして、魅力あふれる観光資源をめぐるルートを創設していく予定でございます。
 その際には、外国人観光客や、初めて東京を訪れる方々にも一目でわかり、気軽に利用いただけるよう、車両や停留所などの色やデザイン、案内サインなどにも工夫を凝らしてまいります。
 今後、都の観光施策との連携を図りつつ、関係機関と十分調整をしながら、早期の運行開始に向けて積極的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 次に、教育について伺います。
 国会での教育基本法の審議や教育再生会議など、昨年来、国では教育再生に向けた議論が大いに高まっています。
 先般改正された教育基本法では、家庭教育について新たに規定するとともに、公共の精神、伝統・文化の尊重など、具体的な子どもの育成目的が教育の目標として明示されました。
 一方、教育再生会議においても、子どもの学力向上や教員の養成、処遇、教育委員会制度などについて活発な議論が交わされ、今日的な教育課題が示されたところであります。
 しかし、都では、これらの課題の多くが平成十六年に策定された東京都教育ビジョンにおいて問題提起されており、その取り組みの方法についても示されています。こうした点からも、東京都は全国に先駆けた施策が展開されてきたのだと改めて感じています。
 そこで、都教育委員会では、これらの教育課題を解決するため、先駆的な取り組みとして具体的にどのような施策を展開しているのか、伺います。

○中村教育長 都教育委員会では、子どもたちの規範意識、学ぶ意欲の低下、また、看過できない家庭教育の状況など、さまざまな教育課題を解消するため、お話しのとおり、平成十六年に時代状況や将来を十分に見据えました東京都教育ビジョンを策定し、全国に先駆けた教育改革に取り組んでまいりました。
 具体的には、児童生徒の学力向上を図るため、国に先行しまして都内全小中学校で実施している学力調査を初め、都立高校における都独自の教科・科目「奉仕」の必修化、また、「日本の伝統・文化」の設定や、家庭教育への支援策である子どもの生活習慣確立プロジェクト、また、都立学校の学校運営におきます部活動の位置づけの明確化、主幹職設置による学校の組織体制の整備など、多様な施策を展開しているところでございます。

○鈴木委員 それらの施策の中でも特に重要と考えるのは、学力向上のための取り組みです。いかに社会や時代が変わっても、学校は知、徳、体のバランスのとれた質の高い教育を提供し、安心して子どもを託すことのできる場でなければなりません。
 とりわけ基礎基本の徹底と思考力、判断力、表現力など確かな学力の定着と伸長を図ることは学校教育の責務であり、多くの都民のニーズにこたえていくことになります。
 東京では、国に先駆け、我が党が提案した学力調査を実施し、児童生徒の学力向上に取り組んできましたが、これまでの取り組みと成果について伺います。

○中村教育長 都教育委員会は、平成十五年度から学力向上を図るための調査を実施し、児童生徒の学力の現状と課題を明らかにすることによりまして、すべての公立小中学校における授業改善推進プランの作成によります授業改善を、区市町村教育委員会と連携して推進してきたところでございます。
 小学校六校、中学校六校の研究推進校を指定いたしまして、全都の教師を対象といたしました教科別協議会の開催、指導主事がチームで指導します特別訪問の実施、大学教授などによります授業改善アドバイザーの導入等を通しまして、各学校を支援してまいりました。
 こうした取り組みによりまして、教師の授業改善への意欲が高まり、児童生徒の学習意欲が向上するとともに、基礎学力の定着が図られてきております。

○鈴木委員 ところで、文部科学省は、平成十九年度から全国学力調査をスタートさせ、学力の把握と向上に取り組むと聞いています。
 また、政府の教育再生会議では、読み、書き、計算など基礎基本の反復徹底を図ることを最優先に取り組み、あわせて知識を生かす応用力を身につけることを目指すことや、学習指導要領の改訂の際に、最低限到達すべき目標を国民にわかりやすく明示することなどが提言されています。
 このような国の動向の中、今後、都は、児童生徒の学力向上にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

○中村教育長 お話しのように、都教育委員会は、国に先駆けまして、平成十五年度から児童生徒の学力向上を図るための調査を実施してまいりました。平成十八年度からは、児童生徒の問題解決能力等を把握する調査を実施し、教科等で学んだ知識や技能を効果的に活用して問題解決に当たる総合的な力の育成を図っております。
 さらに、平成十九年度からは、学力の定着が不十分な児童生徒の実態をより具体的に把握するため、新たに小学校四年生と中学校一年生を対象に、国語と算数、数学における基礎的、基本的事項の定着状況を把握する調査を実施いたします。この調査結果に基づきまして、小中学校の各段階で最低限、着実に身につけるべき学習内容を東京ミニマムとして示しまして、教師が指導の到達目標を設定する際に活用できますよう、区市町村教育委員会と連携いたしまして、児童生徒の学力向上に努めてまいります。

○鈴木委員 学力向上には、使命感あふれる優秀な教員の確保にもご努力いただきたいと思います。
 さて、都は、今月、二種類のバイオディーゼル燃料を都営バスに導入すると発表しました。自動車燃料へバイオ燃料の導入を進めることは、地球温暖化防止のために極めて重要であり、今般、国が規格化したバイオディーゼル燃料を早速六十五台の都バスに率先導入することは、民間の事業者に模範を示す意義ある取り組みと評価しています。
 さらに、先駆的な民間企業とともに、世界最先端の技術開発に挑み、国の規制の上限である五%を超えて使用できる第二世代バイオディーゼル燃料の実用化に取り組むことは、「十年後の東京」で示した都市像を実現していく意欲的な一歩であります。
 そこで、まず、交通局に伺います。
 都営バスで行われるこれらの取り組み、中でも世界最先端の第二世代燃料を用いた走行に当たっては、その意義が多くの都民、事業者にはっきりと伝わるように、効果的な工夫が必要と思いますが、いつから、どこの路線で、どのように走行させるか、伺います。

○松澤交通局長 都営バス事業は、公営交通としてCO2削減に先導的に取り組むことが必要であり、バイオディーゼル燃料につきましても、今後、積極的に導入を図っていく考えでございます。
 このため、国が規格化しました、いわゆる第一次世代バイオディーゼル燃料とともに、ご指摘の第二世代バイオディーゼル燃料につきましても、十九年秋から都営バス二両を使用いたしまして、実用化に向けた走行を実施する予定でございます。
 この路線の選定に当たりましては、多数の方々の目に触れる必要があることから、都心部を走行し、乗客数の多い、渋谷から六本木を経て新橋を結ぶ都の01系統で実施することとしております。
 また、この取り組みのPR効果を高めるため、バス車両にはラッピングを施す一方、さまざまな広告媒体を活用することによりまして、その普及を積極的に推進してまいります。

○鈴木委員 次に、環境局に伺います。
 CO2を大幅に削減できる第二世代燃料ですが、原料の調達など供給体制の確保が大きな課題であります。
 先日の発表によれば、第二世代の原料は植物油に限らず、動物脂肪や廃食用油も使えるということです。廃食用油のリサイクルルートなども含めた国内供給体制を整備すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○村山環境局長 第二世代バイオディーゼル燃料は、大豆、菜種、トウモロコシなど、そしてお話しの廃食用油からも極めて純度の高いディーゼル燃料を製造することができる世界初の技術でございます。それだけに、バイオ燃料の利用拡大が食糧需給に及ぼす影響を避けるという意味からも、現時点から廃食用油のリサイクル活用も含めて、多様な供給体制の検討を開始する必要がございます。
 今回のプロジェクトの発表後、従来から国内で廃食用油のリサイクルなどに取り組んでこられた方々からも、強い関心が寄せられておりますので、こうした方々の知見やご協力も得て、回収ルートの整備など供給体制のありようを検討してまいります。

○鈴木委員 原料が十分に集まらなければ、せっかくの最先端技術も宝の持ちぐされですから、国内供給体制の整備についても民間企業や都民の協力を集めて、ぜひ実現していただきたいと思います。
 パーム油などバイオディーゼル燃料の原料として世界的に注目が集まっている植物油の主な産地は東南アジアです。
 先月、フィリピンのセブ島で開催された第二回東アジアサミットにおいても、バイオ燃料の利用拡大が話し合われましたが、世界に先駆けて実用化に取り組む第二世代燃料の技術をアジア各都市に提供すれば、必ず歓迎されます。そういうつながりから生まれる都市間の信頼関係は、オリンピック誘致の観点からも有効と考えますが、都はこの技術をアジアに広めていくべきではないでしょうか、お伺いをいたします。

○村山環境局長 アジアでは多くの都市が、自動車の増加に伴う燃料需要の増大と大気汚染の悪化という問題に直面しております。
 第二世代バイオディーゼル燃料は、硫黄分を全く含まないため、CO2削減と同時に排出ガス対策上も大変すぐれておりまして、しかもアジアの都市にとりましては、原料となる植物油の産地が近いという利点を持っております。
 他方、実際に活用を進めていく上では、燃料製造技術をどう移転していくのか、人材の確保をどう図るかなどの課題もございます。都は、こうした課題を踏まえつつ、今回のプロジェクトの成果がアジアの都市に広がるよう、東京の持つさまざまな力を生かしながら積極的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 本日の質疑で、第二世代燃料が二〇二〇年に向けた大幅なCO2削減を可能にし、アジアの将来に大きく貢献できる革新的な技術であることがわかりました。
 先駆的な民間企業の技術力を集めて東京の問題を解決し、それを東アジアに広めていくことは、十年後の東京の姿そのものであり、このプロジェクトはぜひとも成功させていただきたいと思います。
 そこで、最後に、第二世代燃料の実用化など、世界一の温暖化対策を今後さらに進めて新たな都市モデルをつくり、世界に力強く発信していく、知事の決意を伺います。

○石原知事 「十年後の東京」の公表後、その中で提起した高い削減目標の実現に向け、多くの志のある企業が都との協働プロジェクトへの参加を申し出てくださっております。
 今回のバイオディーゼルプロジェクトも、そうした中で開始されるものでありまして、我が国の企業が有する高度な環境技術を都市活動の現場に適用し、その効果を実証するものとして、温暖化対策の強化にとって重要な意義があると思っております。
 都は、東京から地球を救おうという強い気概を持って、こうした先駆的企業との連携などによって得られたさまざまな知見、成果を世界に発信していきたいと思っております。

○鈴木委員 次に、安全でおいしい水の供給について伺います。
 最近、東京の水はおいしくなったという声を聞くようになりました。「東京水」は金町浄水場で生産しています。金町の水は大変おいしいです。皆さんどんどん飲んでいただきたいと思いますが、高度浄水処理や直結給水など、まさに水源から蛇口に至るまでの総合的な取り組みのたまものですが、つぶさに見ますと、まだまだ課題もあるのではないでしょうか。
 そうした中、平成十九年度重点事業には、貯水槽水道対策が盛り込まれております。貯水槽水道対策の難しさは、水を飲む使用者と貯水槽の設置者が異なることも一つの要因と考えます。管理が不備なところをフォローアップすることは当然ですが、直接給水方式の普及促進に当たっても、設置者に対して切りかえのインセンティブを働かせるような仕組みづくりが必要であります。
 また、水道事業は、水道局だけでなく、多くの民間企業によって支えられております。そこで、直結給水方式を一層促進するため、早急に仕組みづくりを行うとともに、民間の力を活用することが有効だと思いますが、見解を伺います。

○御園水道局長 直結給水方式については、設置者にとりまして、清掃などの維持管理が不要で、ライフサイクルコストの面でも有利になるとともに、浄水場でつくられましたおいしい水が直接届くことになります。こうしたメリットが、必ずしも設置者に理解されていない面がございます。既存建物での切りかえ促進が課題となっております。
 これまでさまざまな媒体によるPRに努めてきたところでございますが、ご指摘のとおり、直結給水方式を一層拡大していくためには、今後のフォローアップに当たり、民間活力を活用した新たな仕組みづくりが重要だと認識をしております。
 このため、指定水道工事店が加盟する管工事組合の協力を求めながら、直結給水方式のさまざまなメリットを個別に周知するとともに、切りかえ工事費用の見積もり及びその内容の確認や相談などを行うことを検討しており、直結切りかえ見積もりサービスとして早急に実施してまいります。
 こうした施策などを進め、直結給水方式への切りかえを設置者に対して積極的に働きかけてまいります。

○鈴木委員 おいしい水だけでなく、業界の活性化も期待できるなど多くの効果が見込める事業であり、ぜひ早期に実現するよう要望します。
 次に、下水道事業ですが、アメリカのアトランタなどでは、老朽化して破損した下水道管から汚水が流出したり、道路陥没が発生したりして、深刻な社会問題を引き起こしているとのことです。今後の十年間でさらに高いレベルの成熟した都市を目指す東京では、このような事態を招くことは絶対に許されません。
 そこで、まず、東京の下水道の老朽化の現状はどうなっているのか。また、どのような対策を講じてきたのか、まず一問お伺いします。
 時間がないので、続けてお伺いしますが、次に、限られた予算の中で、再構築クイックプランなどにより、効率的に老朽化対策に努力してきたことは大いに理解しますが、基幹的施設である下水道の幹線のうちで六キロしか再構築が実施されていないというのは、今後に対して不安を覚えます。
 そこで、下水道幹線の再構築にどのように取り組んでいるのか、お伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

○前田下水道局長 区部の下水道管約一万六千キロメートルのうち、一三%に相当する約二千キロメートルが建設から五十年を経過しております。これらの中には、ひび割れや腐食が生じ、こうした損傷などが原因で年間千件を超える道路陥没が発生しております。クイックプラン等を策定し、陥没原因の多くを占める取りつけ管や枝線などに重点化して、事業を実施してきたところでございます。
 一方、下水道幹線は、大量の下水が流れており、事業の実施が困難な箇所が多く、建設から五十年を経過した幹線約百二十キロメートルのうち、約六キロメートルを実施したにとどまっております。
 今後、幹線内の水量を減らすために、新たな幹線を整備したり、余裕のある既設下水道管に水の流れを切りかえるなどの事業手法の工夫を図り、優先順位の高いものから再構築を実施してまいります。
 将来にわたりまして安定した下水道サービスを提供するため、幹線のほか水再生センターやポンプ所などの基幹施設についても、耐震性などの機能向上を含めた再構築を着実に推進してまいります。

○川井委員長 鈴木一光理事及び高島なおき副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

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