東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○大塚副委員長 東村邦浩委員の発言を許します。
〔大塚副委員長退席、鈴木(貫)副委員長着席〕

○鈴木(貫)副委員長 引き続き、東村邦浩委員の発言を許します。

○東村委員 まず初めに、財政改革について何点かお伺いします。
 知事は、二つ、知事になってやり遂げたことがあるということをこの前おっしゃっていました。その一つは、徳俵に足がかかっていた東京都の財政をここまで立て直した。特に、隠れ借金を上回る基金の残高をここまで東京都は持ってきた。国がどんどん借金がふえていく中で、東京都はここまで財政を立て直した。もう一つは、百年間変わってこなかったいわゆる行政の公会計制度、これを東京都が国に先駆けて変えることができた。こういうことを二つおっしゃいました。
 この二つはともに連動しているわけでございまして、私は長年公認会計士をやっていましたけれども、これは本当に革命的なことなんですね。なかなかそれを理解してくれる人は少ないんですけれども、そういう意味で、いわゆる公会計制度の改革と、そして財政改革について最初に伺いたいと思います。
 知事は、平成十一年度に機能するバランスシートというのをつくられました。これも私はすごいなと思ったんです。ただ、この機能するバランスシートは、従来の公会計制度の枠組みを出なかった。したがって、公有財産台帳や決算統計資料をもとに作成したために一定の限界があったんですね。
 私は、十四年度のこの予算委員会で、知事に対して、そのためにはやはり複式簿記と発生主義会計を導入しなきゃいけないという話をしました。知事は、おっしゃるとおりで、とにかく会計の発想、方法というものを絶対に変えていくことが急務だと認識していますという、私はこの答弁を聞いて、すごいなと、こういうことを本当に感動したわけでございます。外野の方からやじが飛んできまして、腹式呼吸だったら知っているけど複式簿記なんか知らないというやじが飛びました。それがあの当時の都議会の現状だったんです。
 そういう中で、改めて、機能するバランスシートの限界と、その限界を克服するためになぜ複式簿記と発生主義会計の導入が必要だったのか、確認の意味で伺いたいと思います。

○谷川財務局長 これまでの単式簿記・現金主義によるいわゆる大福帳方式の官庁会計において四つの欠如、一つはストック情報の欠如、コスト情報の欠如、アカウンタビリティーの欠如、マネジメントの欠如、これらのものが指摘されてまいりました。
 例えばストック情報ということでは、道路のように価格すら把握できていない財産が存在すること、またコスト情報ということであれば、減価償却費が計上されていないこと、金利が事業ごとに把握できていないことなど、現行の官庁会計の欠陥として指摘されておりまして、正確なコスト情報に欠けることから、事業の詳細な検証、評価が困難な状況となってございます。
 そのため、委員ご指摘のとおり、平成十二年度から、これまでの現金収支を示した決算に加えまして機能するバランスシートを作成し、負債も含めた資産やコストなど、都財政の総合的な状況を発表しているところでございます。この機能するバランスシートは、先ほど申し上げました四つの欠如を克服するものとしてすぐれたものでございます。
 しかし、一方で、その作成方法は、現行の官庁会計による決算終了後にそのデータを組みかえるものであることから、財務諸表の作成に非常に時間がかかる、必要なデータが蓄積されない、財産に関するデータとのリンクがない、事業別に財務諸表を作成するのが困難といった限界がございました。こうした限界を克服するために、複式簿記・発生主義会計を導入するものとしたところでございます。
 新たな公会計制度においては、会計データは日々の処理から複式で処理されることになり、その結果、一つの改善点を申し上げれば、これまで年末にようやく完成した財務諸表が八月にはお示しできるようになって、大幅なスピードアップを図ることができるようになってございます。

○東村委員 今ご丁寧にご説明がございました。特に、日々の処理の段階から複式簿記だと、きちっと借方、貸方で資産、負債、そして経費、そして収入に分けることができる。決算で改めてこれを組み直す必要がないということが複式簿記の最大のポイントであり、発生主義会計に至っては、従来、金利や減価償却といった、こういった最も大事な考え方が把握されていなかった、これも明らかに把握することができる。したがって、貸借対照表、損益計算書という、今は行政コスト計算書と呼んでおりますけれども、さらに資金収支計算書、この三表が一挙にできることになる。それによって、今までわからなかったさまざまな事業の中身がわかるようになる、事業別財務諸表もつくることができる、これが最大のメリットでございました。
 ただ、当時、残念だったのは、今の財務局長ではありませんよ、当時の財務局長が、私が提案したときにこうおっしゃったんですね。都独自で導入した場合、重複した業務となるので、ある意味で非常に非効率だ、こういわれました。悲しかったですけどね。また、新規システムの導入に際しては莫大なコストがかかるというご意見も幾つかございました。そこで、このシステムを立ち上げた出納長に伺いたいと思います。
 平成十八年度からの複式簿記と発生主義会計の導入によって、財務諸表の作成業務が本当に重複した業務になったのか、また、新規システムの導入によってどれくらいのコストがかかり、特に開発経費と今後の運用経費についてもどれくらいかかるのか、明確にお答え願いたいと思います。

○幸田出納長 今回の公会計制度改革は、現行の官庁会計に加えまして複式簿記・発生主義会計を導入するものでございまして、そのために新たな財務会計システムを開発したわけでございます。
 このシステムでは、官庁会計の処理に連動いたしまして、自動的に複式簿記・発生主義会計のデータが蓄積されまして財務諸表が作成されるように相なります。検討開始当初は、事務処理が増大するのではとの懸念もございましたが、創意工夫を重ねまして、官庁会計の決算書の作成作業と重複する作業はほとんどございません。
 また、コストでございますけれども、新たな執行系システムの開発には約二十二億円要しました。一方、その運用経費を見ますと、当室の試算では、従来、年間十三億円であるのに対しまして、新たなシステムでは年間約八億円と見込んでおりまして、毎年約五億円の削減と相なろうかと存じます。これは、使用するコンピューターを小型化するなど、近年の技術革新を活用したことによるものでございまして、今後数年間で開発経費を上回る効果が出るものと考えてございます。

○東村委員 一つは重複作業がなくなった。さらには、一般的に新規システムを導入すると、当初のいわゆるイニシアルコストがかかるわけなんですけれども、今おっしゃったように、新技術が開発されて運用経費がどんどん今下がっていくんです。したがって、新システムを導入することによって、イニシアルコストがどんどん回収されて、それを上回る効果が生まれてくる。これはほかのいろんな事業でもいえてくるんじゃないかと思います。
 その中で、私はもう一つ東京都を評価したいんです。実は、公会計基準を東京都はつくってくれました。恥ずかしい話ですけれども、日本公認会計士協会、この公会計基準をつくろうということでやったんですけれども、皆さんに意見を聞くという段階で、案の段階でずっと終わっていました。その中で東京都が、これは日本で初めて公会計基準をつくったということは、私は称賛に値すると思うんですね。これはすごいことだと思います。よく出納長室、みんな頑張ってくれたと思います。
 特に私は非常に、意見を求められたのでいろんな意見をいってきましたけれども、例えば何でも減価償却じゃなくて、道路なんかは、ある意味で毎年毎年、維持メンテナンスをやる。道路の形状が変わるということは、一回つくるとないわけですから、これは何も、会計基準そのまま、従来の会計手法を導入して減価償却しなくても、取りかえ法的な維持メンテナンスでもできるんじゃないか、こういう話を提言したら、早速いろんなところへ行って調べてくれて、そういうやり方でやりましょうということで会計基準もつくってくれました。
 ある意味で東京都の実態にマッチングした会計基準でございます。本来、包括外部監査も、この公会計基準ができてから用意ドンでスタートしたら、本当はある意味でいい監査ができたんですね。そういう意味で、私はこれは非常に本当に絶賛に値する、今回の東京都のある意味で業績だと評価をしたいと思います。
 数字というのはうそをつかないんです。しかしながら、その数字を使ってうそをつこうとする人がおります。特に、粉飾決算なんかをやってライブドアの事件なんか起きていますけれども、数字はうそをつかないんですけれども、それを利用する人が、それを使ってうそをつこうとする。だから、会計基準という変わらない基準というのが必要なわけでございまして、これを東京都がまずつくったということは非常に評価をしたいと思います。
 その上で、東京都は局別の財務諸表をこれからつくっていくことになります。しかしながら、福祉保健局とか都市整備局、物すごい大きい局なんです。あの一つの局で財務諸表をつくっても、できました、はい皆さん、これで改革ができますよといっても、見ただけではわからないんです。ある意味で、そこに管理会計的な手法を導入しなきゃいけない。
 自治体の管理会計には三つございまして、事業別の財務諸表をつくるということと、もう一つはやっぱり原価計算の導入、三つ目が成果会計の導入。いきなり成果会計の導入までいけといっても無理なので、まずは第一段階の事業別の財務諸表、これをつくらないと本当のことがわからない。
 そこで、私は、昨年の予算委員会で都市整備局に、多摩ニュータウン事業会計が一番わかりやすいから、十八年度から導入する前に、先に多摩ニュータウン事業会計をつくったらどうかということをいいました、事業別の財務諸表。そしたら、事業別までいかなかったんですけれども、多摩ニュータウン事業会計という特別会計の財務諸表を、十八年度から導入する以前に都市整備局はつくってくれたんです。昨年の十二月でした。私、資料をもらいました。よくつくったなと思いました。
 そういう意味で、できた段階で、ここまでやったんだったら、多摩ニュータウン事業会計というのは二つあるじゃないかと。いわゆる昭和四十四年ですか、新住宅市街地開発法に基づく事業をやってきたのと、それからその後、相原小山地区の土地区画整理法に基づく事業をやってきた、この二つがあるじゃないかと。この二つの事業を明確に分けて財務諸表をつくったらどうか、こういう話をしました。何だったら、数字だけいただければ私つくりますよといったんです。そしたら、一日下さいといわれました。一日たったら、物の見事に(パネルを示す)この多摩ニュータウン事業会計、いわゆる新住宅事業会計分と相原小山分を分けてつくってきてくれたんです。局長、ぜひとも褒めてあげてください。優秀だと思いました。これを一日でつくるというのは、ニュータウン事業室の皆さん、確かに努力されて大変だと思いますけれども、非常に優秀だと思いますので、ぜひとも戻ったら褒めてあげてください。
 その中で、これを見てわかることが幾つかあるんです。全体の多摩ニュータウン事業会計というのは百十二億七千五百万円の大赤字です、一年間通したら。これを二つに分けて見えたことは、これだけ全体で見ると、事業損益も七十五億八千五百万円の大赤字です。事業損益も大赤字です。これを見ると、じゃ、売れば売るほど損するだけなんじゃないかと、こういう話になるんです。そうじゃなくて、これを分けて見ればわかるように、新住宅事業分は、事業損益は五億七千五百万円の黒なんです。これに対して、相原小山地区の区画整理事業のこれが八十一億六千万円の大赤字なんです。だったら、この相原小山をどうするかということを考えなきゃいけない。今は事業用地ばっかりやっているけれども、今人気の高い住宅用地に転換するという一つの政策転換もあり得るでしょうし、こういうところを分析していくというんです。
 もう一つは、金利の問題があるんです。今、都債と借入金でこれは賄われておりますけれども、ここのいわゆる事業外費用、これが大きいんです。これが実は、十七億三千二百万が新住宅事業分で、相原小山分が二十一億、これがまた相当収益を圧迫しています。私は、期首の残高と期末の残高で簡便的に概算計算で、金利はどれくらいで回っているのかということを調べました。そうすると、新住宅の都債は一・五%、相原小山は二・八%。借り入れの利息が大きいなと思って見たら、何と借り入れの利息は四・五%なんです。この時代に四・五%の借り入れの利息の相手先はどこだといったら、一般会計だといわれました、財務局長。一般会計がこんな利息を取っている、四・五%。
 で、払っているのかなと思って見ましたら(パネルを示す)こちらを見ればわかるんですけれども、払っていないんです。借入金が実は三百五十億あるんです。この借入金に対して、長期未払い金が何と二百十億あるんです。これは何だと聞いたら、払えない利息をずっとここに計上しているだけだというんです。これじゃ意味がないだろうと。こういうことをやるんだったら、例えば首都高速なんかは無利子貸付をやっているんだと。私は何も採算性だけでやれといっていないんです。行政の会計というのは、公共性をまず第一に優先するということなんです。したがって、公共性を優先するということで首都高速は無利子貸付をやっているわけですから、だったら、払えないものを、しかもわざわざ負債で膨らますものを金利を取るのもばからしいだろうと。もうちょっとこういうところを考えて、事業というのはやらなきゃいけないんじゃないか。
 こういうことが、ほんの一部ですけれども、事業別の財務諸表をつくることによって見えてくるんですね。こういうことを都はぜひとも各局やっていただきたいんです。きょう、局長の皆さん、申しわけないんですけれども、やっていただきたい。
 そういう中で、ぜひとも管理会計的な手法による事業別財務諸表をこれから東京都としてつくっていくことが、何よりも財政改革の大きなツールになると思いますが、財務局長はいかがでしょうか。

○谷川財務局長 個々の事業につきまして、資産、負債の状況、コスト情報、さらには事業経営の効率化、採算性などを詳しく把握するためには、ご指摘のとおり、局別財務諸表だけでは不十分でありまして、個別の事業ごとに財務諸表を作成する必要があると認識しております。
 今後、庁内での合意形成を図りながら、管理会計的手法の一つである事業別財務諸表の導入とその活用策を積極的に検討してまいります。

○東村委員 もう一つ、発生主義会計、この発生主義会計の最たるものが減価償却。建物というものは、時の経過により価値が下がっていきますし、また、使うことによって価値が下がっていく。車もそうです。車も、一回乗れば価値は半分だといわれています。この価値を明らかにするのが減価償却なんです。減価償却は要らないという議論、この前たしか、何かこの代表のところでいわれていた方がいたと思うんですけれども、そうじゃなくて、正しく認識するためにはやっぱり減価償却が必要なんです。
 企業は、減価償却をやることによって、利益を獲得することを目的としていますから、資金が内部に留保されるんです。ところが、行政は利益目的じゃありませんから、利益獲得が目的じゃありませんから、資金が内部留保されない。そのためには、減価償却というのは、何年後にその建物を取りかえなきゃいけないかというコストを把握していってくれているわけですから、そのコストに見合う分をきちっと積み立てておけば、大規模改築なんかはこの基金の積み立てで行うことができる。そうすると、その年度の予算、大規模改築のために莫大なお金を使わないで、もっと別な戦略的な予算を執行することができるわけなんです。
 今、東京都の行政財産の建物の減価償却累計額は一兆二千四百三十六億円なんです。一兆なんです、行政財産。これに対して、社会資本整備基金は千二百七十三億円なんです。一けた違います。ただ、行政は、都債の発行というウルトラCを持っています。都債の発行をどこまで抑制するかというバランスとともに、減価償却の見合う分の積み立てをやっていくかという、これが行政のまさに手腕になると思います。
 私は、全部積み立てろといっていません。都債という行政の資金調達方法がありますから、ある意味でこのバランスを考えながら社会資本整備基金を積み立てていく、こういうことをこれから真剣にやはり東京都は取り組んでいくべきじゃないのかと、こういうように思うわけですけれども、財務局長いかがですか。

○谷川財務局長 都が保有する施設に関しまして、新たに作成される財務諸表により明らかになる減価償却費は、維持更新経費の一つの目安として意義あるものと考えてございます。
 今後、バブル期に計画、建設された大規模施設等が続々と設備更新や大規模修繕の時期を迎え、新たな財政圧迫要因になると見込まれております。そのため、減価償却費の考え方を参考に、こうした経費の一部をあらかじめ基金に積み立てておきますことは大切な視点でございます。
 財政当局といたしましては、その必要性を十分に認識しつつ、税収の動向などを踏まえながら、将来に備えた基金への積み立てを積極的に行い、安定的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。

○東村委員 税収の動向ということはやっぱり補正予算でやるということだと思うんですけれども、補正予算じゃなくて、本当は本予算で継続的に一定額を積み立てていくというのが一番ベストなんですけれども、いきなりそこにいくのは大変だと思うので、徐々に検討していただければと思います。
 その上で、実はこれから東京都は大量退職時代を迎えまして、十九年度以降、退職金が約二千億を超えるわけでございます。これは結構財政的に圧迫されるわけでございまして、負担の平準化を図るためにも、今回、公会計制度改革で退職給与引当金というのが明らかになります。この退職給与引当金というのはまさに--企業だと今リストラとかあって、なかなか退職給与、今、退職給付といっていますけれども、この給付引き当てをするのは難しいのですが、行政は首切りがありませんから、ある意味で退職給与引当金をきちっと正確に計算できます。そういう中で、これから退職給与引当金に見合う分も私はやはり積み立てていかなきゃいけないと。
 ただ、行政は単年度でそれを、東京都は規模がでかいですから、吸収できる可能性もあるので、退職手当債をもし発行するような水準にまでなるんだったら、その分は退職給与引当金として積み立てた方がいいんじゃないか。税法なんかは、あれは形式なんですけれども、四〇%という基準も設けています。行政は行政の中で一定の基準を決めて、退職手当債を発行しなきゃいけないのか--発行するということは後年度世代に対する負債を残すということですから、そういうことをしないためにも、きちっとやはり、発行しないまでの水準を積み立てる必要があるんじゃないか、このように思うわけですけれども、局長いかがでしょうか。

○谷川財務局長 委員ご指摘のとおり、目前に控えております団塊の世代の大量退職による退職金の急増は、都財政にとって大きな課題でございます。
 一時的な財政負担の増加や年度間の不均衡に備えますことは、都財政の安定化という面から非常に重要でございまして、そうした事態に対し、都にとってどのような方策が必要か、基金の活用も含め、さまざまな角度から検討を進めてまいります。

○東村委員 減価償却も積み立てなきゃいけない、退職金も積み立てなきゃいけないと、なかなか両方大変だと思うので、できるところからで結構ですから、徐々に改革をやっていただければと思うわけでございます。
 その上で、今回の取り組みはまさに、先ほどもいいましたけれども、ほかの地方団体のモデルとなります。これ、国も本当は変えなきゃいけないわけでございまして、私がこれを質問したときに、後で知事から、ぜひとも国に行ってこの話をしてくれよという話をされまして、当時、総務副大臣が我が党の若松副大臣で、公認会計士の人でしたから、若松副大臣に、知事のアドバイスもあり、この話をしたら、じゃ研究会を立ち上げようということで、総務省の中で研究会を立ち上げてくれました、公認会計士協会からも派遣され、財務省からも総務省の中からも。君も来たらどうかといわれまして、私も二週間に一回、総務省まで通ってこの勉強会に参加しました。
 そしてでき上がったのが、財政会計改革基本法案というのができました。この中で、国は実はもうちょっと進んでいまして、あの中の内容は公会計制度の改革だけじゃなくて、これを織り込んだ予算編成のプロセス改革、ここまで踏み込んでいたんです。いいものができたなと思いまして、これを小泉さんに出すんだという話でした。で、出したんですかといったら、出したというんです。出したんですけれども、その後音さたがないんですね。聞いたら、若松副大臣、その後、仕事を一生懸命頑張り過ぎて、地元に帰れなくて落選しちゃいまして、なかなか政界復帰できなかったものですから、今これがストップになっているんです。ぜひとも知事から国に後押しをしていただいて、ある程度もう枠組みはできていますので、これをあと決断するだけだと思いますので、後押しをしてもらいたい。
 もう一つは、活用法について、きょうは何点か指摘をいたしましたけれども、ぜひとも知事から各局の局長にお話をしていただいて、どんどんこれを活用しろ、宝の持ちぐされになるなと、公会計制度が改革されて財務諸表ができて終わりじゃないんだということを各局の局長にお話をいただき、改革を活用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石原知事 今ご指摘の、各局の幹部はみんなそれぞれ意欲が十分あると思います。さきに、未熟なものでありましたが、機能するバランスシートをつくったときにも、あのとき、日本会計士協会の中地会長、非常に親しくしておりますが、彼がその発表を限られた四、五十人の幹部にしましたら、もっと多くの人たちがぜひ自分たちもそれを勉強してやりたいということでありましたが、当然こういう体制ができまして、これを活用するために、やっぱりつかさつかさで、宝の持ちぐされにならないように頑張ってもらうよう指導していきたいと思っております。非常に具体的にいいご注文、示唆をいただき、ありがとうございました。
 今の総務省のスタッフが出したレポートですけれども、私、初めて聞きましたが、実はこの問題、東京都が始めましたので、政府を少し動かしてやろうと思って、私の息子の非常に親しい、同輩であります、今衆議院の財務金融委員会の委員長をしている渡辺喜美君、彼自身も税理士ですけれども、この話をしまして、何かとにかく国に持ち込めよという話をしましたら、彼、仰天しまして、それは石原さん、とんでもないことをやったんですな、これはまさに革命ですよといってくれましたが、既に総務省の方にそういう案があるならば、これまた力を合わせて、国に実現するよう--ちょっと今の総理大臣は大蔵省になかなか頭の上がらない筋がありますので、代がかわったときにこれを押し込んでいきたいと思いますが、いずれにしろ今、例えば政調会長をやっている中川秀直君、のみ込みの早い男ですけど、彼は非常に大蔵省と今、ある意味じゃ険悪な仲になって、例えば例の百十二兆の要するに国有財産ですか、こんなものも大福帳になっていて、実はもっとあるでしょうし、大蔵の管財というのは抱えて出さないで有名だったんですけど、こんなものも活用しないと、もう火の車になっている国の財政はもたないと思いますが、こんなものの要するに分析、明示も含めて、まあ東京都が引き金を引いたことでありますから、これはもう本当に、これをやっていない先進国というのはほかにないぐらいの話でありまして、ひとつお力添えいただいて、都議会からも国に働きかけていきたいと思っております。

○東村委員 まさに今おっしゃったとおりでありまして、これをやっていない先進国はないんですね。もうほとんどの国がやっておりまして、本当に日本は百年間変わってこなかったという、申しわけないですけれども、どうしようもない国だなということを本当に思いました。
 知事からもぜひとも力添えいただいて国を変えたいと思いますし、そういう意味で、知事だからこそこの改革ができたんだということを私は本当に高く評価したいと思います。
 この財政改革の中で、もう一つ、コスト削減の話をしたいと思うんです。
 実は、昨年の予算委員会で、私、IP電話--IP電話というとよくわからないといわれたんで、簡単にいいますと、インターネットを活用した電話ということでございます。このインターネットを活用した電話が実は利用範囲が非常に拡大されて、都内のほとんどの地域で今、対応できるようになりました。
 サービスの一例を示しますと、市内通話料金、普通の電話の場合、三分八・五円、また、これをIP電話にかえると、都内では三分六円、他県へは三分十円、全国一律三分八円となるというサービスも中にはあるんです。
 私は、これはいずれも本当に大事な視点で、大幅な経費節減ができるんじゃないかということで昨年取り上げました。そうしたら、IP電話システムの導入については二つ問題があると。一つはセキュリティー対策、もう一つは非常時の対応策がとれるのかというこの二つの問題があるということで、この課題を見きわめなければなかなか導入ができないという話、ただ、これを見きわめたらすぐに導入をしたい、こういう話がありました。
 そこで、その後の検討結果と、今後のIP電話システムの導入についてお伺いしたいと思います。

○高橋総務局長 IP電話の導入につきましては、一つのネットワークに情報系と電話系の通信が混在することによります情報漏えいやウイルス感染といったセキュリティー上の課題と、非常時の停電による機能停止という課題がございました。このうち、セキュリティー対策につきましては、情報系と電話系の通信を論理的に分離するソフトウエアを用いまして、これまでと同等以上のセキュリティーを確保できる見通しとなりました。
 一方、非常時の停電対策につきましては、長期間停電しても通話できる直通電話回線を所定の部署に設け、通話手段を確保できるようにいたします。
 また、本庁舎へのIP電話の導入によりまして、年間約三千万円の経費節減も見込まれます。
 こうしたことから、平成十八年度末に予定しております本庁舎の電話設備の老朽化に伴う更新にあわせまして、IP電話を導入してまいります。

○東村委員 まずは本庁舎はIP電話を導入すると。本庁舎だけで三千万円のコスト削減ができると。ただ、IP電話の最大のメリットは、事業所とつながなきゃいけない、また、双方、通話先もIP化していなきゃいけない、それによって無料化できるということなんです。
 そういう意味で、この都庁舎をIPにした後に、ぜひともこの事業所、東京都のこの出先の機関とのIP化のネットワークをつくってもらいたいと思うんですけれども、このネットワークをつくった場合、このコストメリットはどれだけあるのか。もっといえばコスト削減はどれだけできるのか、これについて伺いたいと思います。

○高橋総務局長 現在、IP電話につきましては、通信事業者がさまざまなサービスを提供しております。このうち、通話品質の確保、既存電話番号の継続使用、一一〇番等緊急通報にも対応可能という都の条件を満たすのは、光回線専用のIP電話のみでございます。このサービスは、本年三月に都内のほぼ全域で提供されるようになり、都の事業所へも導入できるようになりました。
 仮にこれを用いまして事業所の電話をIP化いたしますと、経費は年間約一億円削減され、IP化に要する初期費用も一年強で回収できると見込んでおります。

○東村委員 初期費用が一億円で、たった一年でもうこれは回収できていく、あとは毎年毎年一億円削減できると。セキュリティーも、また非常時の対応も確保されるようになった。ここまでもうわかっているんだったら、いつまでも待たないんで、ぜひとも早急に、事業所を含めたIP電話導入をしてもらいたい、これを切に望むんですけれども、いかがでしょうか。

○高橋総務局長 事業所の電話のIP化に当たりましては、事業所を所管する各局等と連携を図りながら、電話設備の変更方法やスケジュールなど、具体的な調査を実施する必要がございます。
 この調査結果を踏まえまして、ご指摘の事業所におけるIP電話の早期導入に向けまして積極的に検討を行い、さらなる経費の節減に努めてまいります。

○東村委員 積極的に導入を検討していくということでございます。一刻も早く、これはやればやるほど効果があるわけですから、やっていただきたいと思います。
 その上で、次に危機管理対策について伺いたいと思います。
 我が党は、去る二月、ハリケーン・カトリーナによる高潮災害、テロ対策の調査をするために、都議会自民党の諸先生方と一緒に訪米しました。シカゴ、ニューオーリンズ、ワシントン、ニューヨーク、この四カ所を訪米させていただきました。私は、この調査団の一員でありますので、今回、現地の調査を踏まえて、この災害対策並びに危機管理対策について何点か伺いたいと思います。
 ニューヨーク、シカゴにおいては、テロ対策の危機管理についても調査させていただきましたし、ニューオーリンズ、ワシントンDCでは、被災地の現地調査、いわゆるFEMAと呼ばれている連邦危機管理庁のヒアリング調査も実施いたしました。特にニューオーリンズ、ワシントンDCの調査は、都庁の総務局、建設局、港湾局並びに警視庁、消防庁、この五つの機関と一緒に同行させていただき、専門的なアドバイスやいろんな意見をいただいて、非常に我々も勉強になりましたし、有意義な視察でありました。私は、行政と一緒に行く視察というのは大事だなということを本当に痛感したわけでございます。
 そこで、ニューヨークを視察したときに最初に驚いたのは、ニューヨーク危機管理室というのがございます。これは、危機管理をやってきたジュリアーニが一生懸命進めてきたやつなんですけれども、このニューヨーク危機管理室、ニューヨーク市庁舎の中にあるのかと思ったら、離れたところにあったんです。離れたところにないとテロ対策はできないんだといわれました。
 ニューヨークはかなり危機管理が進んでおりました。市庁舎や市議会の建物に入るのにセキュリティーチェックが本当に厳しかった。我が同僚議員も、たばこの銀紙ですね、あれが毎回毎回引っかかっておりまして、ここでも引っかかっておりました。本当にそれくらい厳しかったんです、空港並みのセキュリティーチェックをされていました。市議会ですよ、それから市庁舎。そして、この危機管理室が近くにありました。余り離れていてもいけない、近くにあることが大事なんだけれども、一緒じゃだめなんだといわれました。
 そういった中で、都は、災害時にまず第一順位で東京都のこの都庁の防災センターが対策本部になります。ここに通信機器も全部そろっております。都庁は恐らく地震と水害は大丈夫だと思うんです。ただ私は、懸念しているのはテロ、テロはちょっと危ないんじゃないかと思うんですね。テロは、なかなかこれ、防ぎようがないだろうと。
 万が一やられたとき、立川が実はそのバックアップ施設としてあるわけなんですけれども、ここに通信機器が全部きちっとあります。ただ、二十キロ以上離れているわけなんですね。知事がヘリコプターで行けばいいじゃないかというかもしれませんけれども、知事だけじゃなくて多くの本部員が参集しなきゃいけない。やはりある程度の距離で、離れていて近いところになければならない。
 そのために私は、一番いいのは知事公館じゃないかと思っているんですね。あそこは知事は使われていないんですけれども、あの知事公館は無線もきちっと入るようになっていますし、いざあそこで知事が指揮をとっても、私邸もありますから、ゆっくり落ちついて指揮をとってもらえるんじゃないかと思うんです。
 そういう意味で、私は、この立川は立川で無線そして通信システムのバックアップ体制として起動させながら、対策本部は知事公館が非常に有効に活用できるんじゃないかと思うんですけれども、総務局長いかがでしょうか。

○高橋総務局長 東京都国民保護計画案におきましては、都庁防災センターの代替施設といたしまして、立川地域防災センター、旧知事公館、東京国際フォーラム等を順位をつけて定めております。都庁がテロにより被災した場合には、速やかに都庁防災センターにかわる要員と設備を保有しております立川地域防災センターを開設し、必要な通信機能を確保いたします。
 一方、テロの規模や場所などの状況に応じまして、対策本部を置く施設を選定することとなりますが、都庁からの距離等を考慮いたしますと、旧知事公館は有力な代替施設になると考えております。

○東村委員 あそこはあけっ放しにしてもったいない、もったいないといわれるんですけれども、でもあれは本当に大事な施設ですよね、渋谷の村上先生がおっしゃるぐらいですから。あけていて、やっぱりいざというときに使えるようにしておかなきゃいけないと思いますので、私は、あれはあのままで、いざというときの対策本部として使えるんじゃないかと思います。
 その上で、今回、この八月二十九日に大統領の連邦大災害宣言というのが出されたんです。それで、知事が行かれたころのあの九・一一のFEMAだったら、ここでもうすぐに動いてくれたと思うんですけれども、国家安全保障省の中に組み込まれてしまったために身動きがとれなくなっちゃって、そしてもう一つ大きな原因として、このFEMAのトップやマネジャーに災害経験者がいなかった。これは向こうで専門家にいわれました。それで意思決定や判断能力が落ちたんだ、こういうこともいわれました。
 そこで私は、東京も、この直面する危機、災害に対応していくために、危機管理監を中心に総合防災部は頑張られていますけれども、やっぱり机上じゃだめだと思うんですね。専門家や経験者による教育研修訓練をやはり受けて、重点的にこれに取り組んでいかなきゃいけないと思うんですけれども、総務局長はいかがでしょうか。

○高橋総務局長 あらゆる危機に迅速的確に対処するためには、職員に正しい知識を付与するとともに、実践的な判断力を養成することが必要でございます。
 このため、都はこれまでも、危機管理担当職員を対象に、自然災害からNBCテロなどの人為災害に至るまで、専門家や自衛隊等の実務者による教育研修やさまざまな訓練を行ってまいりました。今後とも、こうした研修や訓練の充実を図ってまいります。
 さらに、来年度から、新たに職員を消防訓練所の宿泊研修に参加させるなど、指揮命令能力や救急救命技術の習得など、実践的な対応能力の強化に努めてまいります。

○東村委員 来年度から消防庁に派遣をするということなんですけれども、これは私、職員の人は大変かもしれないけれども、やっておいた方がいいと思います。いざというときに体が動くようにしておくことが何よりも大事だと思います。
 このハリケーン・カトリーナの水害被害とともに、昨年九月四日には、東京都で、先ほどもお話がありました集中豪雨による被害がありました。このとき、市区町村の参集態勢が非常におくれました。特にある区では、区民が何度電話してもだれも出なかった、またある区では、苦情処理が殺到していて現場の対応策は何にもできなかった、こういう区もあったそうであります。
 米国のハリケーンでも、被災地であるニューオーリンズ市の初動対応の不備が被害を拡大させたといわれております。特に強制避難命令が出たのは前日なんです。前日になってぎりぎり出ても、なかなか避難はできないわけなんです。結局、お金がある人だけが逃げた。亡くなった千三百人のうち、七〇%近くは六十五歳以上だったというんです。これが大きな被害を拡大したといわれております。そして、参集した職員もニューオーリンズ十名だけだった。これじゃ何の対応もできない。
 そこで、市区町村を広域的に支援する立場である都として、やはり積極的に市区町村の初動態勢を支援していく、これが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○高橋総務局長 昨年九月の集中豪雨の後、速やかに区市町村と水防連絡会や危機管理担当部長会などを開催いたしまして、初動態勢や連携のあり方などについて協議をいたしました。これをもとに、大きな被害を受けました杉並区では都市型災害対策緊急部隊の設置、中野区では初動要員の増員などが行われました。
 都では現在、集中豪雨の被害を受けた区市や防災機関などとともに、気象庁予報官との連携体制の確立や、避難勧告の判断基準の作成などについて検討しております。
 今後は、集中豪雨初動行動要領を作成いたしまして、区市町村に提供することにより、都市型水害への迅速な対応がとれるよう支援してまいります。

○東村委員 今後は、集中豪雨初動行動要領を作成して、とにかく市区町村のレベルを均一化していく、こういう今答弁がありました。これはぜひともやってほしいんですね。本当に、住んでいる人は、みんな東京都だから同じだと思っているわけですから、これはお願いしたいと思います。
 それから、カトリーナのこの高潮被害、日本でもテレビのニュースや報道がされました。当初はミシシッピ川がはんらんしたという報道をされていたんです。ところがその後、実はそうじゃなくて、そのそばのポンチャートレン湖という湖の水が運河に大量に逆流してきて、そしてその運河の堤防が決壊してあれだけの被害になったということがわかったんです。ただ、その話を聞いただけじゃ、何でそうなったのかということはやっぱりわからなかった。これはやっぱり現地調査が必要だということで調査団を派遣したわけでございます。
 被害を大きくした要因の一つとして、これは東京都では考えられないかもしれませんけれども、ポンプ場が水没しちゃったんです。それから排水機能が、いわゆる逆流防止装置というのが一部ついていない排水機場があったんです。こういうのが大きな被害を拡大した。実際に調査を行わないとわからない、現場に行かなければわからない、百聞は一見にしかずだということを感じたわけでございます。
 翻って、東京都の東部地域、東部低地帯、いい方は失礼かもしれませんけれども、東部低地帯、こういう地域もニューオーリンズと同じような状況があります。ただ東京都は逆流防止装置もついているし、伊勢湾台風級の台風が来ても水没しないといっています。これはすごいんです。
 ただ、この水門なんかは、導入してからもう十五年から二十年近く経過している。大丈夫だというんですけれども、やはり機器の老朽化というのは、ほうっておけば命取りになる。そこで、より万全を期すためにも、機器のみならずシステムも最新鋭に、特にニューオーリンズは、もう来た瞬間、何か排水機場の人が逃げちゃったらしいんですね、職員が。やはり怖いわけです。だから、遠隔監視、そして遠隔できちっと操作できるようなこういった最新鋭のシステムの導入も含めて検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○岩永建設局長 水門のお話でございますが、いうまでもなく、高潮や津波から都民の生命と財産を守る重要な施設でございます。これまでも、緊急時に水門が確実に機能するよう管理基準を定め、施設の点検を定期的に行うとともに、二十四時間体制で監視制御するなど、万全を期してまいりました。
 今後は、老朽化の進んだ現在のシステムにかえ、最新のIT技術を活用した遠隔監視制御システムの導入を図るなど、より安全で確実な水門管理に努めてまいります。
 なお、先ほどご紹介ありました排水機場等につきましては、ニューオーリンズと違いまして、都の排水機場につきましては、ポンプや自家発電機などの主要設備を伊勢湾台風級の高潮でも浸水しない位置に設置するとともに、排水ゲートからの逆流を防止する装置を設け、十分な安全性を確保しております。

○東村委員 ぜひともこの最新鋭の遠隔操作ができるようにした方がいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、ちょうど我々が行ったときは、被害から五カ月たっていました。被害から五カ月たって現地を見に行ったら、この状況でございました。(パネルを示す)このように、もう全く復興がされていない状況でした。日本じゃ考えられないわけなんですね、このままほうっておくなんて。帰ってきて、テレビの報道で、屋根裏からまた死体が一つ発見されたという報道をされていました。そう考えたら、まだあるかもしれないんです。そこまで本当に復興がされていない、これを本当に痛感したわけでございます。
 そこで、本来、復興計画というのは、ニューオーリンズでつくらなきゃいけないんですけれども、なかったんです。今になって一生懸命住民とやっているんですけれども、まとまらないから、ずっとまとまらないでこの状態なんです。本当に住民がかわいそうです。まだ三〇%しか帰ってきていない、四十八万人いた人口のうち、三割しか帰ってきていない、これが今のニューオーリンズの状況です。
 そういった中で、東京都としてもやはり災害復興マニュアルを作成されているんですけれども、これは、基本的に復興計画をつくっていくとなると、いろんな反対運動とかがあるんですけれども、先にきちっとやっぱりこれはつくっておいた方がいいだろう。特に、これをつくるのは基礎的自治体である市区町村なんですね。この基礎的自治体がつくれるように、やはり東京都としても応援すべきだと私は思うんです。
 それで、今回、地震の被害想定で二百五十メートルメッシュのきめ細かいデータが間もなく示されると聞いております。このデータが示されれば、地域によってどういう被害が起きるからどういう復興をしていかなければならないかということが明確になってきます。いつまでも逃げないで、やっぱりこれは取り組んでいかなきゃいけない大きな課題です。
 実は三月八日、私の地元の八王子市で、東京都の震災復興マニュアルをもとに復興を考える模擬訓練をやりました。これは非常に好評でございました。そういう意味で、きちっと地域住民そして基礎的自治体である市区町村を応援するためにも、東京都がしっかり支援を積極的に行っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○高橋総務局長 地域の復興に当たりましては、被災住民の主体的な取り組みが重要でございます。このため、都は、区市町村と連携して、発災後の復興に備え、町会、自治会等を対象に、復興プロセスやまちづくり計画等を検証する地域の復興訓練を実施しております。
 二百五十メートルメッシュデータは、建物の倒壊や火災の状況などを詳細に示すなど、地域の弱点を明らかにできますことから、住民が被災状況をイメージしやすくなり、より効果的な訓練が見込めます。このデータは、最終報告後に整理することになりますが、まとまり次第、区市町村や住民とともに活用し、実践的な訓練を行ってまいります。
 今後とも、都は、区市町村と連携し、住民の協働復興の取り組みを支援してまいります。

○東村委員 この危機管理の最後に知事にお聞きしたいんですけれども、去る三月十五日、アメリカの大統領候補にもなっております前ニューヨーク市長、ルドルフ・ジュリアーニ氏の表敬訪問を受けられました。会談後、ジュリアーニ氏は、記者団の取材に対して、経験談を分かち合いましたと述べられておりました。
 この会談で、知事とジュリアーニ氏の間で危機管理について具体的にどんな話がなされたのか、またジュリアーニ氏との危機管理をめぐる話の中で、知事はどんな感想をお持ちになったのか、お聞きしたいと思います。

○石原知事 これはもう率直にいってあんまり内容のある会談じゃなかったですね。あの人、今度は危機管理をする会社をつくられたみたいで、そのお披露目というか売り込みというか、日本人のスタッフも連れてこられまして、むしろ私の方が、ビッグサイトでやった危機管理のためのエクスポジション、万博ですか、あれで、二つ三つ、すばらしい日本ならではの要するに危機対策のこういう機材があったといったら、向こうの方が目を丸くしてびっくりしていましたけれども。
 ただ、彼がやった割れ窓理論というのはそのとおりだと思いましたが、日本の場合には警察は民事不介入という形で立場をとっていますけれども、それにしても、お巡りさんは本当に机に縛りつけられて、デスクワークで外へ出られない嫌いがありますので、都の職員、百五十人差し向けましたし、また、特に入国管理の方は人が足りないって、これは二十人ほど送りましたら、これは非常に参考になりましてね。向こうも喜んでくれましたし、ちょっと話が別になりますけれども、報告も非常に気のきいた、さすがにみずから望んで行ってくれた、都の若い職員ですけれども、恐らく法務大臣が全く知らぬだろうというような実態が報告されましたので、これも法務省に取り次いで、恐らく改善されると思っています。
 ジュリアーニの方はその程度でございました。

○東村委員 アメリカの政治家って、本当に商売人が多いんですよね。ニューオーリンズの市長も商売人でした。本当にそういうことを感じたわけでございます。
 そこで、関連して、耐震助成、そして、いわゆる知事がよくいわれている安心で安価な耐震改修工法、これを普及していくことが大事だと。この日曜日、土曜日も、都庁の都議会の一階の都政ギャラリーで、安価で安心な耐震改修工法が行われておりました。知事も、継続的な取り組みとして積極的に行うべきだということを答弁されておりました。
 そこで、もっといろいろな場所で私はこれを展示すべきだと思うんですね。例えば、ここにパンフレットがあるんですが、消防庁の防災館、都内に三カ所あります。池袋、本所、立川。こういうところで巡回的に展示するのも一つの方法じゃないかと思うんですけど、消防総監、いかがでしょうか。

○関口消防総監 お話のように、東京消防庁には、池袋、立川、本所の三カ所に防災館がございます。来館者数は三館合わせまして年間約二十六万人に上り、都民の防災意識、行動力の向上に大きく寄与しております。
 今回の耐震工法につきましては、地震に対する都民の安全対策を進める上で極めて有効であると考えられますことから、積極的に展示してまいります。

○東村委員 ぜひともこれは、今度は三館終わったら、二十三区、そして多摩全域で展示できるような態勢も考えていただければと思います。
 続いて、応急救命対策について何点か伺いたいと思います。
 先ほどからAEDの話が出ておりました。私は、昨年からAEDの有用性を一貫してずっと訴えてきまして、特に鉄道事業者、なぜ鉄道事業者かといいますと、やはり心臓発作なんかで倒れる人は、あの満員の電車とか満員バスに乗ってて倒れる人が多いわけなんですね。今回の都営地下鉄のあの事例も、ああいう閉ざされた空間の中でずっといて、ぎゅうぎゅう詰めになって、倒れたわけでございます。
 そういう中で、私は、公営企業決算委員会で、この都営地下鉄はAEDを設置しているのか、こういう話をしたら、今のところ一つもやっていませんと。これじゃだめじゃないか、メトロはもうやっているじゃないかと。そこで、ぜひともこれを、AEDを一刻も早くつけないと、人命救助できないよということを交通局長にいいました。そうしたら、交通局長は、実施に向けて十分検討してまいりますという答弁がありまして、十八年度予算で、このAEDを全駅設置する、こういう予算が計上されたんですね。
 その後、年が明けて、交通局長は、わざわざ来ていただきまして、東村さん、試験的に二カ所つけますよと。都庁前駅と新宿西口駅に二カ所つけて、そこに職員もきちっと対応できるようにしますよと。こういう話をしてくれたんです。
 すごいなと思って、早速私も一月二十日、同僚議員と見にいきました。そうしたら、きちっと設置されて、こういう研修を受けていますという話がありました。これが今回たまたま、ヒットしたといういい方はおかしいかもしれませんけど、三月十六日の救命事例になったわけなんですね。
 そこで、全駅に設置するというのは、大手鉄道会社では初めてだということなんですね。実際に設置するのはいつになるのか、これをまず伺いたいと思います。

○松澤交通局長 都営地下鉄でのAEDの設置につきましては、お客様の安全・安心を確保する上で、できるだけ速やかに行うことが必要であると考えております。このため、平成十八年度早々に準備を進めまして、七月までに都営地下鉄の管理する百一駅のすべてにAEDの設置を完了する予定でございます。

○東村委員 聞くところによりますと、松澤局長みずから上級救命講習を受けられたと。そして、上級救命技能認定証を持っていらっしゃると、こうお聞きしました。非常に積極的だなと思います。
 そこで、積極的な局長に聞きたいんですけど、地下鉄だけじゃなくて、都営バスにも、バス事業にもAEDを設置すべきなんじゃないですか。どうでしょうか。

○松澤交通局長 都営バス事業におけるAEDの設置につきましては、まずすべての自動車営業所に、それから、主要駅のバスターミナルのうち条件の整った運行管理施設から平成十八年度に配備する予定でございます。
 また、バス車両への導入につきましては、振動や温度がAEDに与える影響を検証する必要があるなどの課題があることから、まずは試験的に設置してまいります。

○東村委員 この都営地下鉄、都営バスもやる方向になったという話を地元へ帰ってやったら、三多摩は地下鉄も都バスも余り走ってないんだといわれました。京王線や西武線や小田急線、こういうところにも、もっともっとつけるべきじゃないか、こういう話をしたところ、東京都、調べたら、応急手当を広く都民に普及させるために、東京都応急手当普及推進協議会というのが、実は昨年七月につくられているんです。事務局は、何と東京消防庁の救急部なんですね。そこで、この所掌事項を見たら、心肺蘇生法の普及に関する実態把握と書いてあるんです。だったら、実態把握について、東京消防庁に現在のAEDの設置状況並びに今後どうするのかということを伺いたいと思います。

○関口消防総監 民間の鉄道事業者における心肺蘇生法の普及に関する実態につきましては、現在十分に把握できておりません。今後、救命率の向上に向けまして、民間の鉄道事業者の実態につきまして把握に努めてまいります。

○東村委員 この協議会には、実はJR東日本は入っているんです。でも、それ以外の民鉄の協議会は一切入ってないんです。これは強制力はないと思うんですけれども--また、都バス以外のバス会社も入ってない。やはり、強制力はないんですけれども、ぜひともここに入ってもらって協議しない限り前へ進まないと思うので、この構成員になってもらうように、事務局を所管されている東京消防庁として働きかけをしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○関口消防総監 現在、東京都応急手当普及推進協議会には、鉄道事業者として東京都交通局及びJR東日本が参画しておりますが、今後さらに協議会の内容を充実させるために、他の鉄道事業者等の参画につきましても積極的に働きかけてまいります。

○東村委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 ところで、忘れていけない東京都の公共交通機関として多摩都市モノレールと「ゆりかもめ」があるんです。ところが、所管している都市整備局、港湾局がこの協議会に入ってないんです。そこで、単刀直入にお聞きしたいんですけれども、おのおのの局として、このAED等の心肺蘇生の普及実態と今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○津島港湾局長 株式会社ゆりかもめにおきましては、現在、職員が順次救命講習会を受講しまして、心臓マッサージや人工呼吸などの基本的な心肺蘇生法を習得するとともに、AEDを迅速に活用できる態勢を整えるよう鋭意取り組みを進めております。
 AEDにつきましては、当面、平成十八年度中に主要駅である新橋駅と豊洲駅に設置する予定でございます。

○梶山都市整備局長 多摩都市モノレール株式会社では、現在、AEDの設置に向けて、駅員などを対象に、AEDに関する知識、技能の習得を図るための研修を行っております。この準備が整い次第、乗降客の多い主要駅について設置する予定であると聞いております。

○東村委員 「ゆりかもめ」も多摩都市モノレールもともに前向きに設置していくということですので、ぜひとも一刻も早くお願いしたいと思います。
 その上で、オリンピックのことについて何点か伺いたいと思います。特に財政的な支援。
 オリンピック、これはやはりただじゃできませんから、財政的な問題があるわけでございます。東京都は一千億の基金をつくりましたけれども、やはりもっともっとサポートする知恵を出さなきゃいけない。そこで、私は、オリンピックに向けた宝くじについて何点か伺いたいと思います。
 この宝くじ、実は、これは非常に多くの人が買うわけでありまして、ここで日本で一本化になった後に、招致に向けた斬新なデザイン、有名な画家でも何でもいいです、当然お金を払わないでボランティアでやってもらうんです。そして、このデザインをつけて売り出せば、多くの人がこれを目にして、絶好の広告宣伝媒体になるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

○谷川財務局長 オリンピック招致に当たりましては、さまざまな広報宣伝手段がございますが、その中でも、宝くじの発売を通じた広報宣伝は有効なものの一つであると考えてございます。そのため、東京が国内候補都市として決定した以降、宝くじの券面やポスターに招致のための標語やこれまでにないデザインを採用するなど、広報媒体としての活用策を積極的に検討してまいります。

○東村委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 その上で、例えば、宝くじを百枚購入したら、オリンピックの記念品がもらえるとか、また入場券にかわるなんていったら、恐らくみんな百枚買うと思うんです。そういう特典をつけた宝くじの売り上げをするということも一つの案じゃないかと思うんですけれども、こういった仕組みを組み合わせた検討をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○谷川財務局長 サッカーのワールドカップや長野オリンピックの開催時に、入場券や記念品を当せん金にかわる特典として活用した例がございます。
 今後、オリンピックに関連する宝くじの発売時期及び発売額、広報効果などを総合的に勘案した上で具体案を策定してまいります。

○東村委員 ぜひとも具体案、楽しみにしていますからね。私、真っ先に買いたいと思います。
 そこで、この宝くじの発行に当たっては、パラリンピックについても十分考慮すべきだと思うんです。知事も、このパラリンピックの開催に当たっては、バリアフリー、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めなければならないとおっしゃってくれました。そこで、バリアフリー化を促進するために、この宝くじの収益金を積極的にユニバーサルデザイン、バリアフリー化に充当していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○谷川財務局長 オリンピック競技施設などの整備に当たりましては、昭和三十九年の東京オリンピックにおいても、その財源の一部に宝くじの収益金を充当してございます。
 オリンピック施設は、その後に継続して行われるパラリンピックでも使用されるものでございまして、その点においても、ユニバーサルデザインなど、安全・安心面での十分な配慮が行われることが必要であり、宝くじの収益をその中で有効に活用していきたいと考えてございます。

○東村委員 バリアフリーに向けたその宝くじの収益金も有効に活用するということですので、この点もあわせてよろしくお願いしたいと思います。
 次に、多摩のシリコンバレーの拠点整備について、知事も何度もこの話をしていただいていますので、この話をしたいと思います。
 今回八回目の東京都ベンチャー技術大賞、これが行われました。八王子にあるテラヘルツ分光分析装置の開発実用化に成功した先端赤外という会社がこれを受賞しました。私も行ってきました。都議会議員はあと二人ぐらいいらっしゃったとかいってましたね。見にいらっしゃったといってました。これはすごいことで、今まで光と電波の境界線にあった電磁波、これは未開拓電磁波といわれて、なかなか技術的に解析不可能だったんです。これを解析できる装置を開発したんです。これによって、手術を伴わないがんの早期発見とか、それから、封筒の中の入っているものを、形じゃなくて、何が入っているかというところまで解析できるというんです。例えば爆弾だとか麻薬だとか、こういうところまで解析できる。さらに、環境のモニタリングもできるということなんです。
 そこで、こういった八王子の先端赤外に、何で八王子で起業したんですかと聞いたら--この人は埼玉に近い方の多摩の北部に住んでいる人なんですね。この人に何で八王子で起業したんですかと聞いたら、すぐに相談できる人材が近くにたくさんある、大学が近くにたくさんありますから。工学系の大学がある。さらに、開発時に必要な部品が市内で全部調達できるというんです。
 八王子は、実は、工場数が千四百十七あるんです。多摩で二十六市三町一村の二〇・四%の工場が八王子に集積しておりまして、製品製造出荷額も第四位で一〇%なんです。こういった中で、八王子にはほかにも首都圏産業活性化協会、TAMA協という経済産業省の、シリコンバレーを応援していく産学連携の協会があるんですね。さらに、これも経済産業省の共同研究体である地域新生コンソーシアム事業という、これも八王子にあります。さらに、市としても先端技術センターというのも設置しています。また、サイバーシルクロードという、東京都がやっているようにビジネスお助け隊も、有名な外資系の社長をやめられて、その人がみずから起こしたいということで、このお助け隊をボランティアでやっている。こういったところが八王子にたくさんあるわけなんです。
 ところが、みんなベクトルは同じ方向なんですけれども、個々に全部やられている。多摩地域をシリコンバレー化しようと思ったら、例えば、これが広域の多摩地域のエリアなんですけれども(パネルを示す)、八王子はここなんです。一六号と、今度圏央道ができます。そして、ここに横田飛行場がありまして、まさにシリコンバレー化を進めていくためのへその部分に、八王子のいろいろな機関が、国からも市からも、そして現在は産技研もあるわけなんです。こういった中で、みんな別々のベクトルに向かって進んでいます。これを私は集積して、拠点化していくことが何よりもシリコンバレーを推進する最大のポイントになるんじゃないか。そのためには都も汗をかいて、積極的に支援していただきたい、このように思うんですけど、いかがでしょうか。

○成田産業労働局長 八王子市周辺には、世界に誇る先端技術を有するさまざまな中小企業と多くの理工系大学、研究機関が存在すると同時に、お話のございました首都圏産業活性化協会やサイバーシルクロード八王子などにより、他に類を見ないような活発な活動が続けられておりまして、この地域の産業振興に大きな役割を果たしているところでございます。
 こうした支援機関の機能は相互の連携が密になることにより一層強化されることになりますが、この点で、委員ご指摘のような集積、拠点化は有効な方策の一つと考えております。
 都といたしましては、産業技術研究所や中小企業振興公社を活用し、この地域の産業のネットワークが一層強固なものとなるように努めるとともに、民間や地元自治体の支援機関との連携を強化するよう取り組んでまいりたいと考えております。

○東村委員 今、有効な方策の一つだとおっしゃっていただきましたので、私はぜひとも提案したいのは、今度、産技研が統廃合になります。八王子の産業技術研究所の分室のところがあくわけなんですね。あそこを、お金がないからといって売らないで、有効活用していただいて、そうすればそこにいろいろなところが集約できると思いますので、ぜひとも後押しをしていただいて、集約してシリコンバレーの拠点にしていきたいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 その上で、本当に先ほどから話があります、多摩はそういう意味で新しいものづくりの、先端技術のものづくりの有効な拠点、そして、これからシリコンバレーの可能性があるんです。そういう意味で、この項で最後に、多摩地域のシリコンバレーの可能性について石原知事にお聞きしたいと思います。

○石原知事 この地域の経済的、技術的ポテンシャルを論じるとき、私もシリコンバレーをよく引き合いに出しましたが、本当に独特の可能性を秘めた地域だと思っております。ここでくどくど申しませんけれども、電子部品や情報通信機器、時代の先端を行く企業が数多く集積しておりまして、研究機関、大学があるわけですが、私は、今おっしゃったTAMA協というのはどんなものか知りませんが、これはやっぱり本当は経産省なんかが乗り出してくるべきでしょうけれども、東京の一地域ということになると、向こうも何かそこまでの関心を持たないのかもしれませんが、やっぱり東京都が、産労局などが少しイニシアチブをとって、多摩の開発機構というんでしょうか、そういう合議機関を情報交換のためにつくって、たびたび各部門の代表が集まっていろいろな話をする。そういう運営というのは必要じゃないかと思います。そこからまた、東京もいろいろ宿題が拾えると思いますので、ぜひそういうものを試みたいと思います。

○東村委員 ぜひともご支援よろしくお願いしたいと思います。
 それから最後に質問したいんですけれども、先般、八丈島のフリージア娘さんたちが、花束を持って都議会に来ていただきました。一生懸命、本当に八丈島の観光振興、産業振興をお願いしますという、ああいうかわいい娘さんたちに花束もいただいたからには、何とかしてあげたいなという気持ちになったわけでございまして、ぜひとも、この思いにこたえる意味で、八丈島の産業振興、観光振興に産業労働局として力を入れていただきたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。

○成田産業労働局長 八丈島は東京から飛行機でわずか四十五分という近距離にある島でございまして、亜熱帯風の海や山など、自然、温泉のほか、玉石垣など歴史的観光資源にも恵まれております。
 今後はこの絶好の立地条件を生かし、時間や資金的に余裕のある熟年層の観光客なども新たに対象といたしまして、歴史探索のツアーの企画や黄八丈織の体験メニューの拡充、さらに魅力ある温泉や食材の提供など、島民一体となった観光地づくりへの取り組みを求められております。
 現在、島では、航空運賃の値下げの継続のためのプラス一万人キャンペーンなど、かつてない取り組みを実施しておりまして、本日、この一万人キャンペーンの一万人の目標を達成したところでございます。
 都といたしましては、観光地実現のための八丈町の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。

○東村委員 ぜひとも積極的に、離れていると、どうしても島しょ地域に対する支援策というのがおろそかになりがちなので、本当に小笠原だけじゃなくて、三宅だけじゃなくて、八丈もあるし、あと大島もありますし、さまざまな島がありますから、目配りをしながらそれぞれの島に対する観光振興、産業振興の支援をお願いしたいと思います。
 以上をもちまして質問を終わります。(拍手)

○鈴木(貫)副委員長 東村委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合によりおおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時十四分休憩

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