東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○松原委員長 古賀俊昭委員の発言を許します。
   〔委員長退席、新藤副委員長着席〕

○古賀委員 教育問題から始めます。
 先月行われたトリノ五輪での日本人選手で唯一のメダルは、女子フィギュアの荒川静香選手の金メダルでした。日本初、アジア初の快挙をなし遂げた表彰台の荒川選手の国歌君が代を口ずさみながら国旗の掲揚を見詰める姿は、まさに感動的でした。
 その後、荒川選手は、日の丸を身にまとって銀盤上を行進したのですが、大取材陣を現地に送り込み、朝から晩まで、深夜まで五輪報道に明け暮れたNHKは、これをほとんど無視しました。ところが、アメリカNBCテレビサイトは、荒川選手が日の丸に身を包んで滑る写真を何枚も流しました。
 このNHKの陰険なタヌキぶりは、昨年十二月議会で私が一般質問の中で指摘した、NHK「クローズアップ現代」での露骨な反国旗・反国歌の姿勢と軌を一にするものであります。公共放送とは名ばかりの特殊法人NHKの反日偏向体質に強く抗議をいたします。
 さて、教育長が平成十五年十月二十三日に発した通達により、東京都のすべての公立学校で国旗・国歌が適正に実施されるようになりました。しかし、教育公務員としての自覚を持たず、校長の職務命令に従わない教員がいまだいることは全く残念であります。こうした問題教員たちは、みずからの服務違反に加え、生徒をも巻き込もうとしています。例えば卒業式前のホームルーム活動で、生徒を適切に指導すべき立場にある担任教員が、生徒には内心の自由があるので、卒業式における国旗・国歌斉唱時に起立して歌わなくてもよいという趣旨の発言を行ったり、ほとんどの生徒が卒業式の会場に入場しなかったりするなどの不祥事であります。
 昨年の都議会第四回定例会において、中村教育長は、卒業式などにおいて学級の生徒の多くが起立しないという事態が起こった場合には、その後、他の学校の卒業式等において同様の事態が発生するのを防止するため、生徒を適切に指導する旨の通達を速やかに発出すると答弁しました。
 これに対して、教職員組合は、その機関紙において、この教育長答弁に抗議し、その撤回を要求する記事を再三にわたって掲載しています。都教育委員会が進めようとする国旗・国歌の適正な指導の実施に対して、性懲りもなく、いまだに反対を続けているのです。
 さらに、現在、多くの学校で卒業式が行われていますが、開式前に校門付近で国旗・国歌反対のビラが卒業生や保護者に配布されています。そのビラの中には、「これだけは譲れない!不起立闘争を大きく拡げ『一〇・二三通達』にトドメを」というタイトルがつけられ、「『日の丸・君が代』不起立こそ『教え子を戦場に送らない』闘い」などという内容のものがあり、生徒や保護者を巻き込む動きが活発化しています。
 こうしたことから、私は、ことしの卒業式においても、生徒が扇動されることを強く懸念したところでありますが、おそれていた事態が起きました。先週三月十一日土曜日に行われた都立農芸高等学校定時制課程の卒業式の国歌斉唱時に、学級の大半の生徒が起立しなかったと聞きましたが、これは事実ですか。

○中村教育長 当該校定時制課程の卒業式におきまして、卒業学年であります第四学年の生徒十四名中十一名が、国歌斉唱時に起立しませんでした。

○古賀委員 国歌斉唱時にクラスの大半の生徒が起立しないという不祥事が起きたことについてどのように考えているか、見解を伺います。

○中村教育長 詳細は現在調査中でございますけれども、学習指導要領に基づきまして国歌の指導が適切に行われていれば、学級の大半の生徒が起立しないということは到底考えられません。その場合には、教員の指導力が不足しているか、あるいは学習指導要領に反する恣意的な指導があったと考えざるを得ません。

○古賀委員 教育長、時間がかかりますから、そちらに座ってください。
 今の答弁では、詳細は調査中とのことでありますけれども、教員がみずからの独善的な主義主張をもとに生徒をあおった結果、このような事態が発生したとしたら、極めて不適切であります。見解はどうですか。

○中村教育長 卒業式や入学式等におきましては、学習指導要領に示された意義を踏まえまして国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう、児童生徒に対しまして指導しなければならないものであります。
 ご指摘のように、教員がみずからの主義主張を生徒を使って具現化するようなことがあったとするならば、実に不適切であるというふうに思います。

○古賀委員 それでは、このような事態に対してどう対応したのか、伺います。

○中村教育長 国歌斉唱時に学級の大半の生徒が不起立であったという学校からの報告を受けまして、緊急に卒業式・入学式対策本部を開催いたしました。三月十三日付で、全都立学校長に対しまして、学習指導要領に基づき適正に生徒を指導することを教職員に徹底するよう通達を発しました。
 また、あわせて、同日、全都立学校の校長を招集しまして、教育課程の適正実施にかかわる説明会を開催しまして、本通達の趣旨の徹底を図ったところでございます。

○古賀委員 今、通達の趣旨としてのご説明があったんですけれども、生徒を適正に指導するというのはどのようなことを指すのか。どうですか。

○中村教育長 適正に指導するとは、学習指導要領に基づきまして、我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てるとともに、入学式や卒業式等の意義を理解した上で国歌を歌えるように指導することでございます。

○古賀委員 教職員組合は、内心の自由を盾に不当な活動を繰り広げているわけです。国旗・国歌についての適正な指導をするということは教員の義務であります。ここで学習指導要領の記述を改めて紹介しておきます。
 まず、学習指導要領でありますが、小学校、中学校、高等学校のすべての学習指導要領またはその解説に、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」と書いてあります。さらに、指導に当たっては、国旗及び国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てることと書かれています。さらに、小学校の学習指導要領、音楽の解説には、国歌君が代は、いずれの学年においても指導することとあり、入学式や卒業式等、必要なときにはいつでも歌えるようにしておかなければならないとあります。
 学習指導要領は、最高裁の判決におきましても、法規としての性質を有するとされています。国旗・国歌について適正に指導することは、いわば法律で定められた義務と同等なのであります。
 適正に生徒を指導しない教員は処分の対象になるということでいいか、いかがですか。

○中村教育長 学習指導要領に基づく指導がなされていないとすれば、研修命令を含めた処分の対象になるのは当然でございます。

○古賀委員 では、過去に例えば国立市で実際にあったとして新聞でも報道された事例でありますけれども、日の丸の赤は血の色、白は骨の色。さあ、みんなで繰り返しましょうと教えることは、適正な指導の範囲に含まれるのかどうか、見解を述べてください。

○中村教育長 ご指摘のような国旗についての指導があったとすれば、我が国の国旗を尊重する態度を育てるという学習指導要領に基づきました適正な指導とはいえません。

○古賀委員 当然のことです。
 ここに東京教組の機関紙がありますけれども、こういった趣旨のことが書かれています。国旗・国歌の通達には、事前に生徒に歌わない自由があるという説明をしてはならないとは書いてないから、これで反撃しよう云々とあるわけです。書いてあります。つまり、国旗・国歌について生徒が非常識な行動に出るような教育をあおっているわけです。また、日の丸は軍国主義のシンボルだとか、偏った考え方を押しつけています。
 これまでの教育長の答弁は、こうした教育はしてはならないということで、極めて常識的な解釈であると評価いたします。教職員組合は、生徒の政治利用、扇動を最後のとりでとしていることから、厳正に対処することを強く要望いたします。
 次に、学校式典に招待される来賓についてであります。
 平成十六年三月十一日、都立板橋高校において、卒業式の開式前に、国旗・国歌問題を特集した週刊誌の記事のコピーを保護者に配布するなどして卒業式の進行を妨害し、開式が五分ほどおくれたとして、元教員が威力業務妨害で起訴されていることがあると聞きますけれども、事実でしょうか。

○中村教育長 平成十六年三月二十六日、都立板橋高校と東京都教育委員会は、元教員が進行を妨害し、卒業式の開式が五分ほどおくれたとして、警視庁板橋署に被害届を提出し、平成十六年十月七日、板橋署は元教員を書類送検いたしました。平成十六年十二月三日、東京地検は威力業務妨害の罪で、元教員を在宅起訴いたしました。

○古賀委員 じゃ、なぜこういう教員が来賓として招待されたのか、何らかの経緯があると思いますけれども、いかがですか。

○中村教育長 卒業式の一週間前の平成十六年三月四日、校長は、この元教員から、今回の卒業生は一年生のときに生活指導等でかかわっていた、したがって、卒業式にぜひ出席したいので案内状をもらいたいという申し出を電話で受けまして、同日、校長の判断で案内状を郵送したものでございます。

○古賀委員 今ご説明のような経緯があって、この元教員は卒業式に来賓として招待されたわけでありますけれども、当日、先ほどのような事態に至りました。本人は、式典が始まる前に週刊誌のコピーを渡しただけ、さらに、暇な時間に保護者に読んでもらおうと思っただけと、見苦しい抗弁をしていますけれども、ここにその週刊誌のコピーがあります。
 (資料を示す)これ、「サンデー毎日」なんですけれども、この週刊誌の記事は、反国旗・国歌で統一された内容となっています。当然、都教委が示した学校式典における国旗・国歌の適正な取り扱いについても批判をしている内容です。これは、保護者が暇な時間に読む内容として、また卒業式に元教員が配布する内容として適切といえるかどうか、お答えください。

○中村教育長 卒業式は儀式的な行事でありまして、厳粛かつ清新な雰囲気の中で行うべきものでございます。また、学校におきます国旗・国歌の指導は、学習指導要領に基づきまして、すべての児童生徒に国旗・国歌の意味を理解させ、それらを尊重する態度を育てるために行っているものでございます。
 これらのことから、ご指摘のような週刊誌のコピーを元教員が開式前に会場内で、校長の許可もなく配布したことは極めて不適切でございます。

○古賀委員 これは「サンデー毎日」の記事で、東京都教委が強いる寒々とした光景という、もうあからさまな反国旗・国歌の記事の内容です。
 学校で配布する印刷物というのは、そもそもどういう基準で配布するのか、教育委員会の見解を述べてください。

○中村教育長 学校から生徒や保護者等に配布します印刷物は、すべて校長が責任を負うものでございます。ましてや、外部の者が校長の承認を得ずに校内で文書を配布することは、あってはならないことでございます。

○古賀委員 この元教員は、式が始まる前に各教室を回って、諸君は若い、胸を張って、強制に屈することなく、自分の判断で行動できる人間になってほしいなどと、身勝手な扇動を行ったと聞いています。これは事実ですか。

○中村教育長 この元教員は、式典開始四十分前ごろに、卒業生のクラスを次々と回りまして、生徒に対して話しかけていることは事実でございます。

○古賀委員 これ、今、裁判が行われていますけれども、この裁判を支援する、元教員のホームページにも、自分でちゃんとそういうふうに証言していますから、間違いない。教育委員会もそういう見解だということがわかりました。
 こういう行為は許されるんですか、どうですか。

○中村教育長 卒業式等に招待された来賓といえども、校長の許可を得ずに、式典会場とは関係のない教室に入りまして、生徒にご指摘のような内容の話をするという行為は、極めて不適切でございます。

○古賀委員 この元教員は、当初は招待者名簿に入っていなかったわけです。本人の強い申し出によって校長が招待をした。本来、教え子が卒業するに当たってお祝いをすべき立場にあるこの元教員が、校長の配慮を逆手にとって違法行為をしたということであります。
 この教員は、在職中も式当日の会場準備の際に、管理職が、当時はまだ正面掲示もできていなかったんですね、三脚に掲揚した国旗を舞台の後方に一メートルくらいずらした、そういう過激な行動をとったこともあると聞いていますけれども、都教委は確認していますか。

○中村教育長 今お話にありましたことは、元校長から聞き及んでおります。

○古賀委員 これが来賓として来ていたわけです。今後、このようなことがないように、学校式典に招待する、来賓という立場でお招きするお客様は慎重を期さなければならないというふうに思います。どうでしょうか。

○中村教育長 卒業式等への来賓の招待は、あくまでも校長の権限と責任に基づいて行うものでございます。今後とも、卒業式等を適正に実施するために、来賓の招待については校長が慎重に検討し、適切に人選するよう、各学校を指導してまいります。

○古賀委員 だれが聞いても、こういう来賓が式場にいたというのは異様なことだ、異常なことだというふうに思うわけです。二度とこういう事態が起きないように対応しなければなりません。
 さらに、入学式、卒業式などの当日、学校の入り口で国旗・国歌反対のビラをまいている教員が、実際、います。(資料を示す)これは、三月の十日に板橋高校の前で配られたチラシです。反国旗・国歌の立場で独善的な主張が述べられています。
 過去、建造物に侵入して外部の者が逮捕された事例もありますけれども、さきに紹介した来賓がビラをまいた事件と同じように、生徒たちの一生の記念日に泥を塗る行為であるわけです。たとえ休暇をとっているとしても、休暇中に教育公務員としての身分が停止になるわけではありません。実際、公務員が休暇中に起こした不祥事で処分を受けている例もあります。
 そこで、今回の卒業式などでも同様のことがないように、教員に対する指導を徹底する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○中村教育長 教育公務員たる教員には、たとえ休暇手続をとったとしましても、その身分を有する限りは、当然守るべき身分上の義務がございます。今後は、校長が職員会議等で不適切な事例をもとに、教育公務員としての自覚と責任について教職員に指導するよう、校長連絡会等におきまして周知徹底してまいります。

○古賀委員 本定例会の代表質問、これは共産党の代表質問でも取り上げられましたが、最近、教職員組合が忙しさを強調する運動を盛んにやっています。多くのまじめな先生方の努力を否定するわけではありませんけれども、民間企業や中小の事業者は皆忙しくて、必死にやっています。まして教員は児童生徒の人生を預かる重要な職業でありますから、忙しくないはずがないのです。
 忙しい、忙しいといって、平日の午後には教研集会を開いて、多くの教員が職場を離脱しています。休暇とはいえ、ビラ配りにいそしんでいる教員もいるわけです。また、平成十四年の予算特別委員会で私が指摘し、その後大幅に是正されましたが、過去にはながら条例で、もっと多くの教員が組合活動のために職場を離脱していました。
 最近、私のところに、教員が勤務時間中に職員団体、これは職員組合ですね、署名活動を行っているという内部からの情報がありました。これは重大な服務違反と私は考えますけれども、具体的なものを今示しますから、見解を述べてください。
 これ、いろんな署名活動を今までやっているんですね。給与の水準切り下げ反対署名とか、これ、勤務時間中にやっているということなんですけれども、私が一番問題だと思うのは、平成十二年に国立二小の卒業式で、一部の児童が校長に、国旗を掲げていたわけですけれども、それをおろさせて、さらに土下座を迫ったという事件がありました。これは、国立の教育委員会も確認しているわけです。盛んに、後になって、あれはうそだとか事実が確認できないなんて逃げ口上をいっていますけれども、これは事実だったんです。
 (資料を示す)これは当然裁判に、今なっているわけでありますけれども、東京地方裁判所に提出する国立二小処分事件の公正判決を求める要請書、二〇〇六というキリスト教暦が書いてありますけれども、日にちがまだ記入されていません。これは、勤務時間中に署名していたということを、はっきり私、聞きました。
 ほかにも幾つもあるんですけれども、これはどう判断されますか。

○中村教育長 教育公務員を含む公務員、我々一般行政職もそうですけれども、職務遂行に当たりましては、全力を挙げて職務に専念しなくてはならない職務専念義務がございます。
 お話しのように、教育公務員が勤務時間中に署名活動を行うことは、職務専念義務に反するというふうに考えております。

○古賀委員 ですから、忙しければ、組合活動に精力を費やしている余裕はないはずであります。自分たちの要求を通したいのであれば、まず勤務時間内のあらゆる組合活動をすべて廃止をして、本来の職務に専念すべきであります。これは常識なんですけれども、それが今通らないのが学校教育現場。つい最近ですよ、これをやっていたのは。つい最近。
 次に、経験者採用教員についてお尋ねいたします。
 大量の教員の退職に対応するために、都教委は経験者採用の上限年齢を引き下げると聞いています。新聞にも報じられておりました。これは、必要な措置とは思いますけれども、例えばわいせつ行為あるいは職務命令違反、体罰などで処分を受けた教員は、平成十四年、十五年、十六年度の三カ年で五百七十一名に達しているということです。
 経験者採用に当たって、都教委はどのような基本的な考え方でこれを行うのか、説明してください。

○中村教育長 大量退職に伴いまして、新規採用の増加が見込まれる中で、教員の質の維持向上と、教員の年齢構成の不均衡の是正を図る上から、即戦力として活躍が期待できます豊かな教職経験を持った人材の採用は、有効な方策の一つでございます。
 このため、結婚等の理由で東京都を退職した教員経験者や他県等の現職教員を対象といたしまして、面接試験によります特別選考の実施を予定しております。

○古賀委員 いろんな不祥事を起こして処分された、つまり服務事故がたくさん起きているということはさきに述べました。さらに、正常な学校の記念式典を阻止しようという無法教員もまだ多数いるわけです。
 ですから、経験者採用に当たっては、過去の処分歴を当然参考にすべきです。遵法精神に欠ける者を東京都の教員として採用してはならないと私は考えますけれども、都教委の見解はいかがですか。

○中村教育長 特別選考におきましては、過去の処分歴を含めまして、教員であったときの勤務状況を十分勘案することが重要でございます。
 選考に当たりましては、ご指摘の点を踏まえまして、教育公務員としての適性や教育現場での実践的指導力を見きわめてまいります。

○古賀委員 今の答弁のとおり実行していただきたい。
 私がさきの本会議で指摘しましたとおり、これは十二月議会です、昨年。都立西高校の石川元校長は、国旗・国歌の適正な実施に関して、他の校長が教員一人一人に職務命令を発したのに対して、模範となるべき立場にあったにもかかわらず、この個別的職務命令を実施しませんでした。また、石川元校長のもとで第二職員会議が存在したことも明らかになっています。
 その後、その後任の柿添校長も、個別的職務命令をあいまいにした形で処理をいたしました。詳細を繰り返す時間はないので、結論を聞きたいと思いますけれども、私が指摘した第二職員会議、個別的職務命令の形骸化は、現在是正されているのでしょうか。

○中村教育長 管理職が参加せず学校経営全般を協議する会議につきましては、校内規定を改め、その組織を解消いたしました。
 また、個別的職務命令に関する課題につきましては、学校訪問等を通しまして、個別に指導いたしまして、校長の権限と責任に基づき、個別的職務命令書の是正が図られたところでございます。

○古賀委員 さきの議会でも私は指摘いたしましたけれども、新宿高校の小栗校長、今は町田の校長をやっています。この小栗校長も、柿添校長以上に個別的職務命令を形骸化いたしました。
 職務命令というのは大体書式が決まっていて、(資料を示す)職務命令書、都立高等学校のだれだれあてに高等学校のだれだれが出すということがちゃんと決まっているわけです。
 服装は、厳粛かつ清新な雰囲気の中で行われる式典にふさわしいものにするとか、学習指導要領に基づき適正に生徒を指導することとか、きちんと書かれているわけです。
 ところが、これが一般的な職務命令書の書式であり、当然必要な内容が書かれているわけでありますけれども、この今指摘をした校長は、職員の氏名が書いてあるものに、簡単に、下記のとおり命令しますとやって、やるべきことは一応は書いてありますけれども、小栗校長が発出した職務命令書の写しをよく見ますと、果たしてこれがまともな職務命令書かという内容になっているわけです。
 私はそれを見せていただきましたけれども、入学実施要領に手書きで自分の名前を書いて、そして役割分担は以下のとおりにするという内容です。これは、職務命令で本来はないわけですけれども、これでお茶を濁したわけですね。今は是正されているということですけれども。
 手書きで、役割分担は以下のとおりですと書き足してあるだけで、卒業式では国旗に正対して起立して国歌を斉唱するといった一番重要な部分は別紙と書いてある。別の紙。朝八時二十分に来なさいなどということが書いてありますけれども、こんなものは当たり前のことで、職務命令でも何でもないわけです。一番重要なことは、国旗・国歌に対するものであることはだれでもわかっているわけでありますけれども、それを小栗校長は知っていて、あえて別紙扱いにしたということです。
 この三人の校長は、余り、教育長はよくやっていただいているから細かくは触れたくないんですけれども、しかしこれは、全体の東京都の教育を正常化するためには、やはり指摘をしておかなければならないわけです。
 この三人の校長は、どちらも教育庁の幹部といわれる管理主事の出身です。で、このていたらくなんです。しかも、管理主事、指導主事が都立の有名高校の校長になるという確率が非常に高いというふうにいわれています。そういう指摘が現にあるわけです。この点については、教育委員会はどのような見解を持っていますか。

○中村教育長 平成十六年度から、教育委員会が決定いたします教育管理職の異動方針におきまして、行政から転出する校長人事につきましては、能力、業績、適性等を踏まえまして、経営改善が求められる学校や重点施策校に配置することなどとしておりました。今後とも、異動方針の趣旨をさらに徹底してまいります。

○古賀委員 優秀な人なら、当然有名高校の校長になる可能性が、確率としては大きくなるというふうに思います。しかし、教育庁の方針に反して個別的職務命令を出さずに、個別的職務命令を出すのはどうかしていると週刊誌で批判した都立西高校の石川元校長、さらにその後任の柿添校長、さらには小栗新宿高校前校長は、そろって管理主事の出身であります。
 例の七生養護学校の過激な性教育に関連をして、クラス編制をごまかし、勤務時間の不正な取り扱いで一般教員に降格になった金崎前校長と組合との癒着を訴えられた管理主事は、これは金崎校長の個性と受けとめましょう、聞かなかったことにしましょうと驚くべき発言をしています。管理主事であれば、また指導主事だったらと、特別な有名高校の校長になるというお手盛りが行われているといわれても仕方がない選考であるというふうに思います。
 こういう選考方法は、校長に昇格させるに当たっては、当然これから改めていかなければならないわけです。選考の見直しを図るに当たっては、まじめに努力をしている人、校長になろうという意欲を持った人をその職につけなければなりません。校長の任用の仕組みについて、見直しを私は求めたいと思いますけれども、いかがですか。

○中村教育長 校長の任用に当たりましては、資質及び能力を十分に考慮しまして、都民に信頼される人材を登用していくことが重要でございます。このため、平成十六年度から、校長の任用資格を判定します校長任用審査会を改編しまして、教育庁の次長を委員長としまして、関係部長で構成するように改めるとともに、平成十七年度からは、校長任用資格の最終判定を教育委員会の決定事項とするなど、審査の一層の厳格化に努めてまいりました。
 学校への配置に当たりましては、校長職としての適性等を慎重に見きわめ、適材適所の考え方で任用してまいります。

○古賀委員 管理主事から異動した校長が職務命令に関して問題を起こした一方で、この間、多くの校長は、学習指導要領の適正な実施のために毅然と職務命令を発しました。公務員の立場を忘れ、上司の職務命令に平然と違反するような教員を部下に持った校長の苦労は察するに余りありますが、校長の苦労はこれにとどまらないわけです。
 現在、処分を受けた教員たちの不服申し立ての審理が人事委員会で行われ、きょうまで五十八名の校長が証言を行っています。私の知人が傍聴したところによれば、その証人尋問の状況は、活動家の力を誇示する場、全く無法地帯と化しているそうであります。校長たちは、証言のたびに、そんなこと覚えていないのか、うそをつくな、偽証になるぞ、それでも校長かなどとばり雑言を浴びせられ、心理的な抑圧を受けています。人事委員会の審理は、こうした不当な圧力を排して、静ひつな環境で行われるべきで、審理を妨害する傍聴人に対しては毅然と対応すべきです。
 人事委員会は、この無法状態をどのように認識しているのか、また、今後、この反省の上に立って、どのような審理の静ひつ性を維持していくつもりなのか、具体的に答えてください。

○佐藤人事委員会事務局長 人事委員会といたしましては、静ひつな環境で適正に審理を実施するため傍聴規則を定めておりまして、これに反して審理を妨害する者には厳正に対処すべきであると考えております。お話しの事案につきましては、傍聴人の数も多く、前例のない状況で審理を進めてきた中で、傍聴席からご指摘のような発言があったことは事実でございます。
 このような発言に対しましては、審査員や事務局職員が制止してまいりましたが、現状でも静ひつな環境を妨げる発言もあることから、より徹底した対応が必要であると認識しております。
 今後は、審理開始前に傍聴規則の遵守について注意を喚起した上で、審査員の指揮に従わず審理を妨害する傍聴人には、直ちに退場を命じるなど、傍聴規則にのっとり、より一層厳正に対処し、静ひつな審理を進めてまいります。

○古賀委員 都教組なんかのチラシを見ますと、(資料を示す)日の丸・君が代不当処分撤回、人事委員会第一回口頭審理を傍聴しよう。これ平日ですけれども、これは去年の十月七日、第一回口頭審理、人事委員会と都教委を包囲していきましょうとかいって動員を呼びかけている。
 ことしに入っても、これは八教組の機関紙ですけれども、君が代不当処分第一回人事委員会口頭審理、いよいよ始まる。これは四月三日午後二時、平日。たくさんの組合員の結集をお願いします。傍聴して、被処分者を激励しよう。こういう環境の中で人事委員会が開かれているわけです。しっかりしてもらいたいです。
 こうした活動家は、都庁舎の安全も脅かしているわけです。
 教科書採択の折に都庁に押しかけてきて、(資料を示す)押し合う市民団体とかいう写真も、実際あります。小競り合いと書いてありますね。この新聞は、教育委員会で教科書採択の審議がなされた際の都庁内を撮影した新聞記事。庁舎管理規則に抵触しているはずです。
 これだけではないんです。終戦記念日における知事の靖国神社参拝に反対するグループも、都庁広場に侵入して違法集会を開いていました。私も抗議をしましたが、管理する側、つまり都庁警備員は遠巻きに見ているだけで、形だけの警告でした。都民広場集会には、共産党都議、市民の会所属都議も参加していました。
 後で総務局担当者から文書警告をしたそうですけれども、違法に都庁舎に侵入する者に対しては、警察と連携して毅然とした態度をとるべきであります。どうですか。

○高橋総務局長 お話しの集会は、平成十五年八月に、知事の靖国神社参拝に反対する複数の団体が、都民広場で横断幕や看板を掲げ、拡声器を使って行ったものでございます。
 この集会は、庁内管理規則の禁止行為に該当し、規則に違反していたため、都職員により、注意、警告を繰り返し行いました。また、集会に参加した二名の都議会議員に対しましても、遺憾の旨、書面で申し入れを行っております。
 集会は一時間余りで終了いたしましたが、規則違反を早期に解消するため、警告後、直ちに退去命令を出し、集会を排除すべきでございました。今後、同様な事態が生じた場合には、毅然と対処したいと考えております。

○古賀委員 警察もあるんですからね、従わないそういう侵入者に対しては排除要請が必要だというふうに思うんですけれども、警察へのこういう要請というのは、どのような状態を指すと思われますか。

○高橋総務局長 警察への排除要請が必要な事態でございますが、人や騒音による喧騒な状況や、正常な通行が妨げられるなど、著しく庁内の秩序を乱す規則違反の行為が行われており、それに対して注意、警告、退去命令を出し、なお、さらに職員による排除も困難、または困難と予想される場合でございます。

○古賀委員 先ほどの新聞記事のような教科書採択時のような教育庁関連の場合に、教育庁独自で排除要請ができるんでしょうか。どうですか。

○高橋総務局長 教育庁を含めまして、各局の執務室や会議室内で規則違反の行為が行われ、警察によって排除する必要が生じた場合、当該局の判断で、直接その局から警察へ排除を要請することができます。

○古賀委員 庁舎管理は総務局の仕事でありますけれども、特に教育庁、さらに議会局と、そういった場合の対応について詰めておく必要があると思いますけれども、どうですか。

○高橋総務局長 都庁舎内におきまして、公務を円滑に遂行し、来庁者の安全・安心を確保するためには、庁内の秩序を維持することが大切でございます。
 庁内管理を主管する総務局としましては、規則違反の行為に対しまして、速やかに退去命令、排除など毅然とした対応がとれるよう、庁内全体に徹底いたしますとともに、警察とも連携強化に努めてまいります。

○古賀委員 次に、学校の管理運営についてでありますけれども、先ほど申し上げましたように、第二職員会議があったりする。校長の指導力を発揮してもらいたいんですけれども、できない状態もあるわけです。
 教育委員会は私の指摘を受けて、管理運営に課題がある学校を訪問して調査を行ったというふうに思います。その調査結果と今後の取り組みはどうでしょうか。

○中村教育長 都教育委員会は、全都立学校の学校経営にかかわる自己点検結果に基づきまして、校長が学校運営に課題があると認識している二十二校の訪問ヒアリングを実施いたしました。
 その際、訪問チームは、職員会議で挙手等によりまして教員の意思確認を行っていたり、企画調整会議で校務に関する企画立案等が議論されていないなど、一部の学校に見られた不適正な運営につきまして、改善を図るよう指導を行ったところです。
 平成十八年四月に開設されます東京都学校経営支援センターの経営支援チームは、これらの学校の適正な管理運営が図られるよう、継続的に学校を訪問、指導しまして、各校の課題に応じたきめ細かい支援を行ってまいります。

○古賀委員 学校運営に課題がある学校が二十二校ということですけれども、他の学校もやはり調べてみる必要があるというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○中村教育長 東京都学校経営支援センターの経営支援チームは、二十二校を含めた全都立学校に対しまして学校訪問を行い、各学校の課題を把握し、校長に対するきめ細かい支援を実施してまいります。

○古賀委員 職員会議が組合の闘争手段として使われている面が大変強いわけです。私は、職員会議に頼らない学校運営に改める必要があるというふうに思います。校長、副校長、主幹などで構成される企画調整会議を中心に運営をするべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○中村教育長 企画調整会議が、校長の学校運営計画に基づきまして、校務全般の企画立案や連絡調整を取り扱う学校運営の中枢機関であることの意義につきまして、改めて都立学校長に対しまして通知を行い、校長連絡会でも周知徹底してまいります。

○古賀委員 課題のある学校に対しては、例えば七生養護学校の正常化にも貢献した学校経営アドバイザーの派遣というのがありました。校長を孤立化させない体制を構築すべきですが、この点はいかがですか。

○中村教育長 この四月以降は、東京都学校経営支援センターの経営支援チームが、原則として月一回程度の学校訪問を行いまして、校長の学校経営を支援してまいります。
 また、学校教育に関しまして、熱意と豊富な経験を有する者を学校経営支援センターアドバイザーとして委嘱しまして、経営支援チームに対して助言を行うとともに、特に困難な経営課題がある場合には、同チームと職員会議に出席するなど、校長のサポート体制を整備してまいります。

○古賀委員 いわゆる困難校という学校を立て直した校長には適正な処遇を、私は行うべきだというふうに思います。困難校職の創設など、校長職の分化も考える必要があると思いますけれども、いかがですか。

○中村教育長 お話しのように、校長としての経営能力に課題がありまして、必要な指導を行い育成を図っても、なお改善が見られない場合には、配置転換を含め、適切に対応してまいります。
 また、昨年八月の第二次教員の給与制度検討委員会報告におきましては、教員の職のあり方の検討が必要であると指摘しております。
 今後、学校規模や教育課題の困難度の違いなど、校長の職務実態についての分析検討を踏まえまして、校長の職の分化についても検討してまいります。

○古賀委員 次に、外部講師の件なんですけれども、新聞報道によりますと、国分寺市が人権学習の講座に上野千鶴子氏を講師として招こうとしたところ--これは依頼もまだ何もしていないんですね、教育庁がジェンダーフリーに関する都の見解に沿ったものであるかの確認を求めて、最終的には国分寺市が取り下げたということです。この措置は、極めて正当なものであったというふうに思います。
 この上野千鶴子さんという方は、いろいろ講演なんかもやっているんですけれども、こういうこともおっしゃっていますね。シリアスな保守の代表的人物が石原慎ちゃんなんですけれども、私、東京都民で税金を払っております。私が納めた税金をあの慎ちゃんが使っていると思うと、はらわたが煮えくり返ると八つ当たりをして、こういう講演も実際やっている人です。
 こういう人が講師として選ばれた経緯というのは、私は非常に問題があるというふうに思うんですね。講師の選定に当たっては、生涯学習スポーツ部の担当者は、こういうことを承知の上で、ふさわしいと思って講師要請したのかどうか。どこがふさわしいんですかね。そのほか、いろいろおかしな講師が今出てきていますけれども。

○中村教育長 東京都教育委員会主催の人権学習公開講座の講師候補として選定いたしましたことは、都教委の教育目標や基本方針に照らしてみると、不適切であったというふうに考えております。

○古賀委員 もう時間がなくなったんですけれども、石原知事、今までのやりとりをお聞きになって、何か感想ございますか。

○石原知事 実は、警察庁から招聘しました竹花さんが副知事を務めてくださっている間に、治安対策を専門にやってもらいました。彼が、一年過ぎた後、治安対策も最終の要件というのはやはり青少年の健全育成だと、しみじみそう悟った。
 そういうことで、彼は都立高校の、これは決して下でなしに、これがちょうど中流というかモデレートな学校だといわれるところを視察して仰天したということで、私もひそかに視察に参りました。これは惨たんたるものですね。つまり、校長のどういう統治能力があるかないか知りません、どういう教員組合がやっているか知らないけれども、先生は無気力、とにかくこれが都立における中流の、オンレベルの学校だという事実を目の当たりにして愕然としましたが、いろんなものがこういう都立高校における荒廃をもたらしたんだと思いますけれども、これはやっぱり私たちの責任で、今、古賀さんご指摘の幾つか、その具体的な、トリビアルかもしれませんけれども、そういう問題を一つ一つ是正して、やっぱりきちっとした処分を重ねていくことじゃないと、教師たちの反省にはつながらないと思います。

○新藤副委員長 古賀俊昭委員の発言は終わりました。(拍手)

ページ先頭に戻る