東京都議会予算特別委員会速記録第四号

   午後三時三十六分開議

○大塚副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 西岡真一郎委員の発言を許します。

○西岡委員 まず最初に、緑地保全の対策について伺います。相続税と緑地という大変難しいテーマであります。
 緑について考えるときには、どれだけ多くの緑を残していくのか、そして育てていくのかといったことは大変重要でありますが、緑の少ない既存の市街地においては、緑の質を考えることもそれ以上に重要であります。
 最近は、民有地に残る良質かつ極めて貴重な緑をどうやって残していくのかということはとても大事な課題であり、今そのような緑が、何とか保存をしていきたいと切望されている緑地などが、多くの地域で相続というものを機会に失われてしまいます。三十年、五十年後の緑地がとても心配されます。良質な緑を残すための緊急の課題でもあると認識をいたしております。
 相続税に関して、東京都の現状認識、これまでの取り組みと来年度以降の具体的な取り組み方針をまずはお聞かせいただきたいと思います。

○大橋環境局長 都市に残された貴重な緑地が、高額な相続税のために転用、売却されるケースが多いと聞いております。
 都はこれまで、自治体が保全緑地や保存樹林などに指定している土地について、相続税の納税猶予制度の創設、自治体への優遇措置の拡充など、八都県市などと連携しながら国に要請してまいりました。
 今後とも要請を続けていくとともに、平成十八年度に設置を予定しております環境経済施策調査会においても、相続税の問題などについて検討を重ねてまいります。

○西岡委員 検討していくというご答弁をいただきました。
 相続税の負担というものは、社会の公平を保つ一定の機能を果たしてきたと思いますが、しかし、景観あるいは動植物のすみかといった価値を持ち、今申し上げましたような、時間をかけてつくられてきた緑というものは、市街地では、一度失われてしまうと二度と取り戻すことは不可能であります。次世代に引き継ぐ価値がある社会的な財産と呼べるような緑地については、ぜひ行政が支援をすべき領域になっていると私は考えております。
 都市においては、今ある緑を保全していくとともに、現状のままで満足をせず、質をより高めていくことも大きな課題であります。しかし、緑は、先ほども申し上げましたように時間をかけてつくるものであり、一朝一夕ででき上がるものではありません。相当な工夫が必要と考えます。
 その際、東京には多くのボランティア、NPOなど、知恵や行動力のある人々にとどまらず、世界に冠たる大企業群もあります。近年では、環境、特に自然に対して配慮をすることが企業の使命にもなりつつあるため、緑の保全に強く協力したいと考えている企業も多いと聞いております。
 都は、このような状況を十分に活用し、これらの民間活力を自然を守るパートナーとして生かしていく施策を一層強めていただきたいと考えております。
 今後も、既存の市街地においては、まちづくりが進む中、緑を残すだけでなく、どのようにすれば質の高い緑にしていくかと考えることが極めて重要であります。
 そこで、都市において豊かで良質な緑づくりのために都が考えていることがあれば、その取り組みを伺わせていただきます。

○大橋環境局長 都市の緑を豊かで良質なものとするためには、これまでの規制的手法の強化に加え、都民や企業の力を緑づくりに生かす新たな仕組みを構築していく必要があると思います。
 例えば、適切な緑地管理や生物多様性などの視点から緑を評価し、表彰する制度の導入などにより、都民や企業みずからが環境の大切さにご理解をいただき、緑を保全、創出できるよう誘導してまいります。

○西岡委員 ありがとうございました。
 今ご答弁していただいたさまざまの施策は、大変結構なことで、ぜひ頑張っていただきたいと考えております。
 しかし、民間の活力を生かすといっても、それだけではなく、その基盤に、財政力のある東京都が初期費用を用意することも必要なのではないでしょうか。
 例えばでありますが、使っていない未利用の都有地と良質な緑を交換する取り組み、いわゆる等価交換、あるいは、新宿区でも導入されるようでありますが、自治体版のトラスト制度による基金の創設、あるいは、財政上の理由などで取得したくても対応できない市区町村への支援策として、東京都の先行取得制度などの創設があろうかと思います。工夫できることはたくさんあるように思います。
 もちろん、一定の基準を設けなければならないことは当然のことではあります。これらのことは、環境局にとどまらず多くの局が関連していくものと思われますので、みどり率の向上という目標も含めまして、全庁挙げて英知を結集していただきまして、施策の向上にぜひとも取り組んでいただきますよう強く要望し、次の質問に移らせていただきます。
 次に、執行体制にかかわる団塊世代の都庁職員大量退職時代への対応について伺わせていただきます。
 最近、いわゆる二〇〇七年問題として、団塊世代の退職が民間企業の経営や行政運営に与える影響について深い懸念が寄せられています。マスコミでも、日本のものづくりを支えてきた基盤的な技術や技能の継承をどうしていくのか、連日のように取り上げられております。また一方では、退職した方々が新しい社会の活力にもなるということで、地域社会ではさまざまな活動も行われております。
 しかし、行政にとって重要なのは、技術、技能の伝承といった課題だけではなく、先ほどの予算特別委員会のご答弁でもありましたが、大量退職に伴う退職金というものをどのようにしていくのかという深刻な課題や、その退職金が都民サービスを圧迫してしまうのではないかという懸念もあると認識をいたしております。
 東京都の財政も、財政構造改革に一定の成果を上げつつも、全国の自治体共通の課題として、のしかかる退職金の負担というものをどうさばいていくのか、そのかじ取りが大変注目をされていると思います。
 警視庁、消防庁を除く都職員の退職状況を調べてみますと、今後五年間で約三万人の職員が退職し、退職金総額はおよそ七千億円となります。退職手当の適時適切かつ不断の見直しは欠かせないものと認識をいたしております。
 そこで、まずお伺いさせていただきたいのは、多くの施策が展開されてきたことと思いますが、改めて、これまで東京都では退職手当についてどのような見直しを行ってきたのかを伺わせていただきます。

○高橋総務局長 退職手当につきましては、平成十五年度に最高支給月数を六十二・七月から五十九・二月に削減するとともに、定年退職時の名誉昇給を廃止するなど、国より厳しい水準に見直しを行いました。
 これによりまして、勤続三十五年の係長の例では、退職手当はおおむね二百万円の減額となります。
 さらに、今年度の人事制度改正におきまして、給料表構造の見直しに合わせ、職責や働きぶりに応じた給与制度に転換する中、退職手当の算定根拠となる給料月額についてもさらなる適正化を進めたところでございます。
 今後とも、退職手当制度の見直しにつきましては、国、他団体や民間の動向を見きわめながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

○西岡委員 ご答弁ありがとうございました。
 平成十五年には国よりも厳しい支給率の引き下げを行ったということは、大変大いに評価できることだろうと思います。またさらに、退職金は給与が算定基準になっていますが、今般の人事制度改革で、職員の意欲を引き出す新たな給与制度に移行する中、事実上、給与そのものを見直したこと自体も評価できるものであります。
 しかしながら、一部の自治体では、急増する退職金負担に対して、年度間の財政負担を平準化させる手段として、この年はとても大きくて、この年は少ないとかということをなくすための平準化をさせる手段として、退職金のいわゆる分割払いや繰り延べ、後払いを検討するなど、さまざまな手法を駆使しようとしていると聞いております。
 財政再建で全国をリードしている東京都として、都庁職員が選択できる退職金の分割払いや繰り延べ制度を工夫して導入すれば、今後増大していく状態を平準化させていくための他の全国自治体のリーディングケースともなり、特に対応に苦慮している都内市区町村がこの問題に対処する際の好材料にもなると思いますが、ご見解を伺わせていただきたいと思います。

○高橋総務局長 都としましては、団塊世代の大量退職を見据えまして、これまでも、定数削減や退職手当など給与諸制度の見直しを通じて、着実に総人件費の抑制に努めてまいりました。
 ご指摘のとおり、一部の地方自治体で退職手当の分割払いや繰り延べを検討、実施していることは承知をしております。しかしながら、支給方法の変更は、退職手当の法的性格上、職員本人の同意が必要とされております。また、分割払いや繰り延べは、利息や税法上の取り扱いによっては職員に不利益になるケースが生じます。
 このため、既に実施をしている自治体におきましても実績が少なく、必ずしも期待した財政効果を上げていないと認識をしておりまして、現段階では、分割払いや繰り延べを導入することは困難と考えております。

○西岡委員 現実には大変難しい問題が多々あろうかとは思いますが、しかし、退職金の問題は財政上の喫緊の課題でありますので、最後に要望事項をお伝えさせていただきたいと思います。
 退職金だけでなく給与本体にも影響がありますが、いわゆる公民比較の際の比較対象企業の規模の問題についてであります。現在、人事院においても検討中と伺っておりますが、現行では、企業の規模は百人以上、事業所の規模は五十人以上ということになっておりまして、東京都のように中小企業や個人事業主も非常に多いところでは、今後、都民の理解を得にくくなっていくものと認識をいたしております。
 東京都人事委員会にもかかわることでありますが、比較対象の中にはもっと小規模の企業も対象とするよう、ぜひ今後の重要課題としてきちんと検討していただきたいと要望させていただきます。
 次に、間もなく桜の咲く季節でありますが、玉川上水の名勝小金井桜の復元プロジェクトの実現について伺わせていただきます。
 私の地元は小金井市であります。国指定名勝の小金井桜は、花や若葉が往来の人の目を楽しませる憩いの場や堤の保護などのため、江戸時代、八代将軍吉宗の命により玉川上水の両岸に植えられた、小平、小金井、西東京、武蔵野、六キロメートルにわたる桜並木でありまして、代々、玉川上水近隣住民の努力で大切に植え継がれてきたものであります。とりわけ、江戸の町から遠く離れたこの小金井に名所をつくったのは、幕府の重要政策として取り組んだ武蔵野新田の開発が完成した記念でもあったからともいわれております。
 このように、小金井の桜並木は、江戸時代から現在に至るまで、玉川上水とともに、周辺の人々のみならず都民の宝として親しまれ大切にされてきた歴史を持っております。
 さらに、この小金井桜は、大正十年には岩手県北上市、旧黒沢尻に小金井桜が千二百本植えられまして、今では東北三大桜名所の一つとなり、展勝地として大変東北の方々に親しまれている歴史を持っております。
 小金井桜にとってみれば、そのルーツである奈良県の吉野、茨城県桜川の山桜がいわば小金井桜の親、そして岩手県北上の山桜が子となり、桜三世代となります。実は、桜川、小金井、北上の三つの地域の関係者が集う交流会も企画をされておりまして、小金井桜を通じた有意義な交流がスタートしています。
 ところが、近年の桜の様子は、雑木などの影響により日照条件が悪く、枯れてしまいまして、そして伐採をされ、年々、桜の数が減ってきております。名勝小金井桜を守る会が平成十四年から毎年、小金井桜の一部、喜平橋から梶野橋東陸橋までの現況調査を行っております。
 平成十七年の調査結果は、桜の数が前年よりも十一本減り、平成五年の東京都教育委員会の調査結果以降、何と百三十四本、一六・三%が消滅をし、極めて残念な状況に至っております。
 そこで、地元市民の方々とともに、小金井桜にかかわるさまざまな取り組みを行ってきた立場から、幾つかご質問をさせていただきます。
 地元の市民の方々の調査によりますと、枯死した小金井桜が多数あることが報告されておりますが、そこで、小金井桜の維持管理のため、平成十七年度はどのような対策を実施してきたのかを伺わせていただきます。

○中村教育長 小金井桜の維持、育成のために、毎年、害虫駆除、交通に支障のあります木や枯れ木の剪定、伐採、寄生植物の撤去、支柱の設置を行っております。
 あわせて平成十七年度には、樹木医、木のお医者さんですね、樹木医によります診断に基づきまして肥料を与え、桜の勢いを回復させる作業を行っております。

○西岡委員 今の答弁で、例年実施している維持管理の対策内容については理解をすることができましたが、桜を守る会の報告書によりますと、特にキノコによる害が指摘をされておりまして、名勝小金井桜の保存のため適切な手だてが必要だと考えております。
 平成十八年度の予算、事業計画はどのようになっているか伺わせていただきます。

○中村教育長 平成十八年度は、三百八十万円の予算で、例年行っております維持、育成のほかに、再度、樹木医によります診断を行いまして、その結果をもとに、ご指摘のキノコなどの菌類につきまして、取り除いたり殺菌剤を塗るなどの処置を行うこととしております。

○西岡委員 ただいまのご答弁で、これまでも維持管理を行ってきたことはわかりましたが、年々枯死、いわば枯れて死んでしまうということですけれども、枯死などにより減少してきておりまして、単なる維持管理だけでは、もはや小金井桜の維持は難しいことはもう明らかであると思います。
 こうした桜の枯死の原因として、ケヤキなどの高木の葉に覆われてしまい、太陽光を必要とする桜の生育に影響をもたらしていることが考えられるため、周辺樹木の伐採を行うことや、枯れた桜を伐採し、伝統を受け継ぐ新しい桜を補植することが必要であると思います。また、大型車両などによる枝折れの現状も考慮しなければなりません。また、小金井公園が災害時の広域避難場所にもなっていることや、景観上、さらにはバリアフリー化されていないなどの問題がある小金井公園の駐車場入り口付近の歩道橋は、これはもう撤去していただきまして、新たに小金井桜並木の景観に配慮した人道橋の設置に関する地元小金井からの長い間の強い要望があります。人道橋の設置に関する地元市との協議が望まれていると私は認識をいたしております。
 小金井桜は、小金井公園の桜と一体化した景観として地元や多くの都民に親しまれていることから、小金井公園のアクセスでもあります周辺の橋などの整備も検討が必要であります。
 折しも、間もなく日本は桜の季節を迎えます。気象庁による東京のソメイヨシノの開花予想は、三月二十五日と聞いております。小金井公園の、また小金井桜の桜が咲き誇る美しい景観が楽しみな季節となりました。ぜひ、知事や、また関係局長の皆様方におかれましては、大変ご多忙のことと思いますが、この機会にぜひとも小金井の桜をご鑑賞していただければと願っているところであります。
 そこで伺います。江戸時代からの花見の名所であり、そして名勝でもある小金井桜について、都民の貴重な文化遺産を守る意味からも、ぜひとも現在策定中の玉川上水保存管理計画にしっかりと盛り込むべきだと考えますが、ご所見を伺わせていただきます。

○御園水道局長 玉川上水保存管理計画は、歴史的に貴重な土木遺産であります玉川上水につきまして、将来にわたり良好な状態に維持していくことを目的として策定するものでございます。現在、学識経験者等で構成する委員会を設置いたしまして、玉川上水の保存管理等に関する諸課題の整理を行っているところでございます。
 今後、委員会の助言なども踏まえまして、計画の内容等について、教育庁など関係六局で協議を進め、史跡玉川上水の保存に加え、その両岸に植えられております名勝小金井桜につきましても、桜が名勝として良好な状態に保たれるよう、環境整備などを盛り込むことを検討してまいります。

○西岡委員 大変期待の持てるご答弁をいただいたと思います。
 ただいまご答弁にありましたとおり、現在、外部委員などから意見を聞いている段階であり、策定中ということであります。
 都民の憩いの場として親しまれている名勝小金井桜の保存などにつきまして、幾つかの施策をご提案させていただきましたが、関係六局の方々がこの小金井桜にかかわってくださっております。環境局、教育庁、建設局、都市整備局、水道局、産業労働局、この関係六局の緊密な連携のもと、ぜひこの保存管理計画に明確に盛り込んでいくことをご検討していただきますよう要望させていただきまして、小金井桜に関する質問を終えます。
 次に、精神的に悩みを抱え込んでしまっている青少年への対策について何点か伺わせていただきます。
 青少年の問題には多様な側面がありますが、悩みを抱えている青少年が、自分の気持ちをどうしても打ち明けられず、苦悩した結果、さまざまなつらい方面に進んでしまう例が大変最近ふえてしまっております。引きこもってしまったり、悩んでしまった結果、薬物に手を染めてしまったり、あるいは最近では、リストカットというものが大変に問題になっております。
 悩みを抱え込んでしまい、行き場のない青少年たちに社会が手を差し伸ばしてあげられる取り組みが必要であると私は認識をいたしております。心の優しい青少年が生きやすい社会をつくっていかなければならないと思っております。私は、自分自身のライフワークとして、薬物乱用防止の市民運動を地元の小金井で長年続けてまいりました。
 東京都及び全国における薬物乱用状況の資料によれば、平成十六年以降から、MDMAというものは青少年を中心に、そして残念ながら大麻は大学生を中心に流行し、薬物乱用は、その低年齢化が大変に大きな問題になってしまっています。この問題は、学校、家庭、地域、行政機関が連携をして対応していかなければならない大変に大きな問題であります。
 東京都では、いわゆる脱法ドラッグ条例などにより、国に先行した取り組みを行っていただいておりまして、そのことは大変に評価のできる取り組みだと考えております。
 そして、先ほど申し上げましたが、最近では、自分の手首に刃物などで切りつけてしまう自傷行為、いわゆるリストカットという現象が極めて大きな問題にもなってしまっております。全国の悩める子どもたちやあるいは青少年からのさまざまな相談を受けておられる、夜回り先生こと水谷修先生の最近の講演でも、そのことが大きく取り上げられておりました。
 このように、近年、精神的な悩みを抱えた青少年が自分の体を傷つけてしまう例がふえてしまっています。最悪の場合は、命が失われてしまうケースもあります。今、これらの問題の根本原因がどこにあるのかということを見出していかなければなりません。青少年が悩みを抱えたときに、親や友達、先生などに打ち明けられない子どもたちが残念ながらふえてしまっているのであります。もちろん、家庭も学校も地域も、そういった時代に、状況に対応していかなければなりません。
 青少年の分野では、最近の現象としてリストカットの現象を挙げさせていただきましたが、これは三年前の調査ですけれども、平成十五年に東京都教育委員会が行った健康相談活動支援体制検討委員会の報告書でも、調査対象の都立高校の約半数で把握をされております。
 また、ある研究グループが昨年、神奈川県内の私立高校の百二十六名の女子生徒を調査した結果では、一四・三%が一度は経験をし、六・三%が何と十回以上の自傷経験があったとの報告を取りまとめております。近年の状況をとても危惧しております。
 東京都としても、早急にその実態調査とその対応策を構築していく必要があると思いますが、ご所見を伺わせていただきます。

○中村教育長 平成十五年度に実施しました都立高校におきます健康相談活動の実態調査によりますと、学校が把握しているリストカットなどの自傷行為の割合は、全生徒に対しまして〇・二八%でございます。
 都教育委員会では、教職員が生徒の心の健康問題に理解を深め、迅速かつ的確に対応できる能力の向上を図るために、同年度から、モデル地区におきまして、精神科医を都立高校へ派遣し、専門医による学校相談活動事業を三年間実施してまいりました。
 今後、この成果を児童生徒の心の健康づくりQアンドAとしまして冊子にまとめ、広く学校関係者に配布するとともに、引き続き、学校からの要請に応じまして精神科医を派遣し、生徒の心の健康問題への相談活動を充実させてまいります。

○西岡委員 この問題は、大変に大きな問題になっていくだろうと私は予測しております。ぜひ早急な対応を心からお願いさせていただきたいと思っております。
 さて、一方の薬物乱用の防止の問題でありますが、薬物乱用の防止、特に青少年の薬物乱用の防止には、これは保護者も含めた小さいころからの薬物への学習が大変重要であります。現在では、小学校、中学校からさまざまな取り組みが行われております。私も、地元の小学校で行われているセーフティー教室を視察させていただきました。
 しかし一方で、高校生や大学生への取り組みも大変重要であろうと考えております。小学校、中学校、そして高校といきますと、大きく青少年を取り巻く社会環境が変わります。そういう意味では、特に高校での薬物乱用防止の教育というものは、より一層強化をしていかなければならないと考えておりますが、その現状認識と具体的方向性についてご見解を伺わせていただきます。

○中村教育長 青少年の薬物乱用問題には、ダイエットに効果がある、あるいは薬物はいつでもやめられるといった誤った認識や薬物自体の低価格化、あるいはインターネットの普及など、薬物を容易に入手できる社会環境などが背景にございます。
 都教育委員会は、教員対象の研修会を開催しますとともに、教師用指導資料や生徒向けリーフレットを作成してまいりました。各都立高校では、これらを活用いたしまして、保健体育やホームルーム等の授業におきまして、薬物に関する正しい知識や適切な判断力を身につけさせるよう指導しております。
 今後は、薬物の恐ろしさや依存性等につきまして具体的に指導できる警察官や麻薬取締官OB等の専門家を活用いたしまして、薬物乱用防止教育の充実を図りまして、都立高校における薬物乱用防止に努めてまいります。

○西岡委員 ぜひとも教育の強化に向けてご努力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 専門家の話によれば、今まで申し上げてきましたように、精神的に悩みを抱えている青少年、特に高校生くらいまでの子どもたちへの対策の重要なポイントとして、学校や家庭、地域の目の届かない、昼間ではない深夜になってから悩み始めてしまい、そしてつらい選択を行ってしまうことが多く、深夜悩んでいる青少年に対して何らかの対策を講じていく必要があるという指摘がなされております。
 現状では、東京都内には、子どもに関する電話相談窓口は各種あり、東京都も本当にご努力をいただいているところはよく承知しておりますが、日中の相談体制に比べて、いわゆる深夜を網羅した二十四時間の相談体制はまだまだ不十分であると思われます。東京都が先導して、市区町村や専門機関、あるいはNPOなどの幅広い関係機関とも連携して、専門家による二十四時間の青少年への相談体制の構築が求められていると実感しております。
 また、現在ある相談体制のPRや、電話では話しにくいからメールを活用しようということも大切な視点であると思いますが、メールの活用も重要であろうかと思っております。
 子どもに関する相談体制を拡充し、一人でも多くの子どもたちの悲痛な叫びを受けとめ、生きる力を導いていくことが求められていると考えますが、ご所見を伺います。

○平井福祉保健局長 悩みを抱えている子どもの声を受けとめ、支援していくことは、子どもの健やかな成長を守る上で極めて重要なことと考えており、都では、各局がそれぞれの専門性を生かしながら、子どもに関するさまざまな相談事業を行い、これら相談窓口の周知にも努めているところでございます。
 児童相談センターでは、子どもに関する幅広い電話相談に平日は夜間まで対応しておりまして、また、教育相談センターにおきましては、子どもの教育に関する電話やメールによる相談を、さらに、青少年・治安対策本部では、インターネットでのひきこもり相談、東京都ひきこもりサポートネットを実施しているところでもございます。これらに加えまして、命の電話など社会福祉法人による二十四時間体制の電話相談に対しては支援を行っているところでございます。

○西岡委員 私とすれば、東京都がもっと主導的に、二十四時間、特に深夜悩んで、だれかに話をしたいけど、話ができないという子どもたち、青少年に対する手をもっと差し伸べていただきたいという思いでありますので、ぜひそういった観点から、施策のより一層の充実に努めていただきたいということをご要望申し上げさせていただきまして、最後の質問とさせていただきます。
 調布飛行場の管制官の件でありますが、調布飛行場からの管制官撤退における安全確保について伺わせていただきます。
 この間、私も現地視察や、あるいは調布飛行場を利用しているパイロットの方との意見交換なども行わせていただきました。調布の飛行場は、平成十三年三月、東京都の正式飛行場となった後も国の航空管制官が存置をされていましたが、国土交通省は今年度末をもって航空管制官を撤退することになりました。今、我が国ではさまざまな分野における安全が問われている中で、近隣に飛行場が大変多く存在している飛行場、調布飛行場であります。そして、管制圏を通過する航空機の数も上位である調布飛行場から航空管制官が撤退されてしまう判断が下されてしまったことは大変に残念であります。
 しかし、今後の対応につきましては、都が管制官と同レベルの情報提供業務を行い、実施に際しては他のコミューター空港における実績を有する財団法人小型航空機安全運航センターに業務を委託することは承知しておりましたが、円滑な業務移行のために、国の管制官を出向により調布飛行場管理事務所に配置することになると伺っております。
 都の安全確保に向けた具体的な取り組みの中で、国の管制官を出向により調布飛行場に配置するということでありますが、この管制官の身分や具体的な業務について伺わせていただきます。

○津島港湾局長 国から出向する航空管制官につきましては、円滑な業務移行のために都の常勤の課長級職員として調布飛行場管理事務所に配置し、情報提供業務の指導監督や羽田空港等との航空交通に関する連絡調整、また、航空事業者等に対する安全指導などを行うこととしております。

○西岡委員 航空管制官の撤退に当たりましては、都と三鷹、府中及び調布市の三市との間で、市当局との協議や三市住民に対する説明会が開催されてきましたが、小金井市もその離発着の影響を受ける自治体であります。三市の住民と同様に、小金井市も同じような情報を共有できる場を設置していただきますよう最後に要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)

○大塚副委員長 西岡真一郎委員の発言は終わりました。

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