東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○松原委員長 増子博樹委員の発言を許します。
   〔委員長退席、大塚副委員長着席〕

○増子委員 私は、都市計画道路と青少年対策の二点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 初めに、都市計画道路についてお伺いをいたします。
 都市計画道路については、区部の都市の道路ネットワークを形成するために都が整備に努め、着実に成果を上げていることは評価をしています。しかしながら、完成率が約六割弱にとどまっていることもまた事実でございます。
 そこで、文京区内の都市計画道路とまちづくりの関係を例にとって幾つか伺いたいと思います。
 まず、都市計画道路環状第三号線と交差する補助第九四号線、不忍通りの文京区部における進捗状況についてお伺いをいたします。

○岩永建設局長 補助第九四号線は、千代田区有楽町二丁目から文京区千駄木三丁目に至る延長六・六キロの地域幹線道路であります。現在、台東区池之端二丁目から文京区千駄木二丁目までの八百四十五メートル区間で既存の道路を拡幅する事業を進めておりまして、八割の用地を取得しております。
 これまで、池之端二丁目から言問通りまでの二百五十メートル区間で先行して電線共同溝などの工事を行い、歩道を拡幅しております。引き続き、平成十八年度は車道舗装などを実施してまいります。今後とも、地元の理解と協力を得ながら着実に事業を推進してまいります。

○増子委員 いわゆる補助第九四号線、不忍通りの拡幅事業については、これは重要な路線でもあって、比較的順調に進捗しているということは結構なことだというふうに思っておりますし、共同溝などによって電線の地中化を図るなど歩道整備の上でも貢献をしていると思っております。また、車道舗装が行われるまでの間、近隣町会などの要請で一時利用を認めるなど、地域にも協力していることも評価をしております。この路線については、地元の意見を聞きながら、さらなる進捗を期待いたしております。
 今ご答弁にもありましたとおり、この道路については環状第三号線と結節していると。その部分については、環状第三号線がまだ事業化のめどが立たないということだと思います。計画線上も歩道化をして、補助第九四号線の整備を一たん完結させるんだというふうな理解をさせていただいております。
 さて、現在、都は、区市町村などが行う木造密集地域整備事業、いわゆる木密事業に対しまして補助金を出す事業を行っております。この事業は各地で防災効果を高めていると認識をいたしておりますし、また、来年度は防災都市づくり推進計画に定める整備地域、これの民間木造住宅の耐震改修についても助成事業を開始するなど、木造密集地域に対する防災力を強化しようとしています。このことは我が党の主張でもあり、この施策は高く評価をいたしております。しかしながら、現実的には、都市計画道路との関係で木密事業の計画をうまく立てられないといった地域も出てきているというふうに思っております。
 そこで伺います。都市計画決定をされた道路、環状第三号線上において、例えば建築物の建てかえに対して、木造密集地域整備事業による補助が可能であるかどうかを伺います。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 都市計画道路の計画線内において、将来、街路事業が予定されていることから、木密事業による建築物の建てかえに補助を行うことは適切ではないと考えてございます。

○増子委員 ただいま適切でないというご答弁がありました。このいわゆる補助要綱には、計画線上の建築物に対する補助ができるともできないとも書いてはいないんですけれども、多分間もなく道路になるところに補助するということが、予算の執行上、適切ではないというふうな意味だと思います。そこのところは理解のできるところでございます。
 この環状第三号線という道路、文京区の中でも特に木造住宅が密集している根津という町を貫通する形で計画をされています。文京区の根津地区は、関東大震災あるいは第二次世界大戦を生き抜いて、今なお下町情緒あふれる古きよき町並みを残しており、多くの都民が訪れて、また、愛されている町でもあります。
 現在、都が、東京都震災対策条例に基づいて、五年置きに地震に関する地域危険度測定調査を行っていますが、その調査結果において、根津二丁目というところが倒壊危険度ランクが最も危険な五というふうになっております。文京区内でも、ほかに五というところはありません。しかも、町丁目別ランキングでは、全五千七十三町丁目中、第三位という状況になっております。
 この根津二丁目よりもさらに上位にある地域においては、既に木密事業などが行われている地域もあって、今後、根津がさらに上位になっていくことは明らかだというふうに思っております。整備地域に指定されていても、建物倒壊危険度が五ではないところがたくさんある中で、危険度五のこの地区がまちづくり事業を行いにくい、そういう地域になっています。
 過去に、文京区では、この地域で木密事業を実施しようとしたことがありましたけれども、事業化には至っておりません。この地域を木密事業などのまちづくり事業地域に指定できないのも、この計画道路と関係があります。なぜならば、根津の町を真っ二つに分けるこの計画線が存在する以上、先ほどお聞きしたとおり、補助が得られない計画線を含んだ地域で事業を行うことは、これは住民の理解を得られないからであります。
 また、環状第三号線が事業化されれば、計画線上はもちろんですが、沿道についても用途地域や容積率あるいは建ぺい率などを変更する必要が発生をしますので、この問題が決着しない限り、まちづくりに着手することは難しい状況であります。
 現在、なかなか有効なまちづくりができないという中で、何とか地域として一緒に考えようということで、専門家を招いてまちづくり勉強会が最近始まっています。将来は、まちづくり協議会として事業計画を行っていこうとしているわけですけれども、この勉強会の中でも、やはり根津地区の一体的なまちづくりのためには、この環状第三号線がネックになるというふうにいわれております。
 ちょっと長くなりますが、この環状第三号線のこれまでの経緯について若干申し上げたいと思いますが、昭和二十一年の計画決定以来、なかなか事業化が進まず、昭和四十年に戦災復興区画整理事業として春日通りから千川通りにかけての延長約四百十八メートルが完成しているにすぎません。昭和五十四年に都が東京都都市計画道路再検討の素案を作成する際に、住民から計画廃止を求める陳情が文京区都市計画審議会会長あてに出されて、五十五年には文京区から、環状第三号線については、地形、環境問題などで住民の理解と合意が得られず、同意しかねるという旨の回答がなされているはずであります。
 その後、東京都都市計画道路の変更についての照会についても、文京区都市計画審議会の答申を受け、関係住民に計画廃止を要望する意見が多く、区議会からの意見書も考慮して対処されたい、そういう回答がなされております。文京区長からも、区及び区民にとって重大な問題なので、その実情と背景について十分考慮して再考されたいという要望書が出されています。
 その後、大きな動きがありませんでしたけれども、平成十六年になって、区部における都市計画道路の整備方針を策定する際に、文京区の意見として、市街地を貫通していることから関係住民の理解を得ることが難しく、文京区の実情を十分にしんしゃくしてほしいと説明があったというふうに聞いています。
 その後、この区部における都市計画道路の整備方針が三月に示されましたが、この中の必要性の検証の中で見直し候補区間が示されていますけれども、この環状第三号線については、補助第九五号線とともに、日暮里・谷中地区のまちづくりを検討する中で、整備の実現に向けて道路線形、幅員、構造形式などを見直し、検討することとされていますけれども、その環状第三号線そのものの必要性についてどのような検証がここでなされたのか、お伺いいたしたいと思います。

○梶山都市整備局長 都と二十三区が共同で策定いたしました区部の整備方針におきましては、すべての未着手の都市計画道路について、交通機能や防災性、まちづくりの観点から評価項目を設け、必要性の検証を行ってまいりました。
 その結果、文京区内の環状第三号線につきましては、自動車交通の混雑緩和への貢献などの観点から、今後とも、東京の都市づくりに必要な路線であることを改めて確認いたしました。

○増子委員 今、必要性の検証ということについてご答弁がありました。私もその詳細な中までまだ研究しているわけではありません。検証を行ったこと自体は評価すべきものだというふうに思っておりますし、もちろん道路ができれば、都全体として見れば一定の効果があるということは一定理解のできるところであります。
 しかしながら、現実問題として、この環状第三号線の文京区部というのは、国宝の社殿を持つ根津神社を初め、五つのお寺や神社、あるいは東京大学、幼稚園、小学校、中学校、あるいは小石川植物園、まさしくそういったところを通過していくというようなルートになっています。この間に約千世帯にも及ぶ住民がいるというふうにいわれております。
 さらには、このすべての施設や住民に立ち退きを求めて事業化することというのは関係者の理解を得ることが非常に難しい、極めて困難だというふうに思っております。もちろん、事業が始まりましたら、沿道の再開発あるいは建てかえが進んで、どれほどの住民に影響が及ぶのか想像もつかないというふうに思っております。
 都は、計画線上の建築制限を緩和しました。このことは評価がされるべきものだというふうに思っておりますが、計画決定以来六十年を経て、今なお建築制限がかけられているということに変わりがありません。この住民の皆さんを建築制限から解放するためにも、環状第三号線文京区部については計画の見直しを行うべきだと思いますが、ご所見を伺います。

○梶山都市整備局長 環状第三号線は、区部の骨格を形成する重要な幹線道路でございます。
 一方、本路線が計画されております台東区の谷中地区や文京区の根津地区などは、起伏が多い地形でありまして、江戸期からの社寺や町屋などが多く残されております。こうしたことから、道路整備に着手することが難しい状況でございました。このため、区部の整備方針におきましては、道路の線形や幅員、構造形式などを検討していくことといたしました。
 都といたしましては、地元区との調整を図りながら、これらの検討を進めてまいります。

○増子委員 今、ご答弁の中でも、道路整備に着手することが難しい状況であったというふうにご認識をされているということがわかりました。
 現状をさらに申し上げさせていただきますと、この環状第三号線については、先ほども申し上げましたとおり、四百十八メートルだけでき上がっているわけでございますが、この部分についても、実は文京区が平成四年から六年にかけて、二メートル幅であった中央分離帯を十メートルに拡幅をして、そしてその間に桜の並木を植栽して、そして人工渓流をつくって、今、水を流している。そして彫刻家の作品を設置して、まさしく区民の散策ができるような憩いの場として既に整備がされています。
 この事業は、個性的で魅力ある地域整備だということで、建設大臣から手づくり郷土賞という賞も実は受賞をしているような状況です。
 もう間もなくこの場所で、文京区の、いわゆる花の五大祭りといわれていますが、さくらまつりが始まりますが、このさくらまつりに、わずか四百メートルの道路に、十日間に七万人から八万人もの観光客が訪れて満開の桜を楽しむといったような、実は今そういう状況になっております。もし事業化するというふうになれば、この遊歩道、中央分離帯ですが、これも廃止して、当然車線を確保するということになるというふうに思われますけれども、現在の状況を考えますと、とても住民の理解を得られるような状況でないというふうに私は思っております。
 そこで、計画廃止ができない場合でも、構造などの見直しに当たって、地下化ではどうなのかということについてお伺いをいたしたいと思います。
 最近、地下化で事業化を目指すケースがふえております。外かく環状道路がそのいい例ですし、先ほども環状第五の一号線についてのお話があったと思います。そこで、地下化をすると仮定した場合、この環状第三号線についてはどのような課題があるのかを伺いたいと思います。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 一般的に、街路を地下化する場合には、沿道の土地利用の増進が見込めない、つまり道路に接続しない、そういうことで見込めないことや、交差する道路との接続方法をどうするか。それから、地下水への影響、換気の方法など、多くの課題がございます。
 環状第三号線の整備に当たりましては、こうした課題や本地区の地域特性などを勘案しながら、幅広く検討を進めてまいります。

○増子委員 ただいまご答弁にありましたように、地下化するためにはさまざまな観点からの検証が必要だということは理解できますし、今のお話からすると、文京区においても春日通りとか白山通りとか、そういう大きな通りとの交差の問題、これも大変大きな問題になるというふうに理解ができます。あるいは地下水の問題も、文京区の場合、特に大きいということかもしれません。ただ、地上が極めて困難だということであるとすれば、ぜひ地下化についても前向きな調査、ご検討をお願いいたしたいと思っております。
 この環状第三号線と同様に事業化が極めて難しいと思われるような地域が、区部のみならず三多摩地域にもあるという話を同僚議員からも聞いております。昨日もオリンピックと三環状道路の関係が議論になっておりましたけれども、私自身は、三環状の完成は都全体への効果が大きくて必要だというふうに思っておりますし、住民の皆さんの理解を得ながら早期の促進を期待していますけれども、反対に、都内に多く存在するさまざまな理由で事業化に至れない計画道路については、評価の観点に、さらに実現性ということも取り入れていただいて、さらなる見直し候補として検討して、計画の見直し、構造、あるいは工法などの再検討をぜひ行っていただきたいというふうに思っております。
 事業化の見込みの立つところと見込みの立たないところを峻別して、一日も早く結論を出して、できるところは一刻も早く事業に着手し、できないところは計画を見直して、地域住民の理解を得ながら基礎自治体がまちづくりをしやすいようにすべきだというふうに思いますが、都市計画道路全般の見直しについてご所見を伺いたいと思います。

○梶山都市整備局長 東京都は、これまでも、長期的視点のもと、その時々の社会経済情勢を踏まえ、数度にわたる都市計画道路の検証に取り組んでまいりました。区部では、先ほど申し上げましたように、平成十六年の整備方針において、また多摩地域では、現在策定中の多摩地域における都市計画道路の整備方針において、改めて必要性を確認しております。
 今後とも、社会経済情勢の変化をとらえて、都市計画道路の必要性の確認や優先整備路線の選定など適切に取り組んでまいります。

○増子委員 都が何度か都市計画道路の見直しに取り組んできたことは、先ほども触れましたけれども、もちろん承知をしておりますし、評価もしております。しかしながら、一方で、建築規制がかかったまま既に六十年が経過をしてしまったということも、これまた重い事実だというふうに思っております。都市計画は百年かかるともいわれますけれども、このままでは百年たっても計画が完了しない可能性すらあるのではないかと思っております。百年たってから、できませんでしたので規制を解除しますということでは、なかなか住民の理解が得られない、そんな地域も出てくると思いますので、今後も都市計画道路の適切な見直しをぜひ行っていただきたいとご要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、青少年対策について伺います。
 つい先日も、都内の中学二年生の少年が自宅に放火をし、生まれたばかりの妹の命が失われ、両親も重傷を負うというような事件が発生をいたしました。少年犯罪の問題は、いっときほどセンセーショナルに報道されることは少なくなりましたけれども、依然として根本が改善されたといえる状態ではないというふうに思っております。
 少年による凶悪犯罪が相変わらず相次いで発生しておりますけれども、最近の少年犯罪情勢について、知事のお考えを伺いたいと思います。

○石原知事 少年による凶悪犯罪の発生や、少年犯罪の低年齢化は、子どもたちの心の荒廃と社会性の欠如を示す深刻な問題であるととらえております。少年が犯罪の加害者にも被害者にもならないようにすることは、何よりも私たち大人の責任であると思います。
 そもそも昨今の、自分の利益を優先し、責任を果たさないという大人の増加が子どもたちに極めて深刻な悪い影響を与えていると認識しております。とにかく私たち大人は、まずみずからの責任を問うた上で、何が正しく、何が悪いかを子どもたちに口酸く、きちっと教えるべきでありますが、まず自分の行動をもってそれを示さなければ、幾ら説教をしても話にならぬと思います。家庭、学校、地域社会において子どもが健やかに育つために、大人が、あくまでも大人としての責任を果たすということが肝要だと思います。

○増子委員 今知事から、大人の責任ということでお話がありました。実は私も保護司をしておりまして、子どもたちの少年犯罪に携わっております。その中で、自分自身も、果たして少年が自分の親のもとに帰った方がいいのかどうか、親御さんを見て、そういうふうに悩むケースもあるぐらい、大人の問題というのは大変大きいというふうに思っておりますし、私たちは少年院の教官のお話なんかも聞いたりしますけれども、やっぱり昨今、保護者が変わってきている。この保護者ではなかなか難しいのではないかというようなことも随分ふえてきているというふうに思いますので、そういう意味では、今知事がおっしゃったような、大人の責任というのは本当に大きいんだというふうに思っております。
 先日、警察庁が発表いたしました少年非行の概要によりますと、刑法犯少年が十二万三千七百十五人、前年比で八・三%減少したということでございました。戦後のピークが昭和五十八年の十九万六千七百人でしたから、それから比べると随分減ってきてはいます。今の数字は全国の数字でございますので、都内の少年非行情勢について把握しておられたら、ぜひお伺いをいたしたいと思います。

○舟本青少年・治安対策本部長 現時点での集計でございますけれども、昨年、都内で検挙された刑法犯少年は一万二千四百十人でありまして、平成十六年と比べ八百七十四人、六・六%の減少となっています。また、刑法犯で補導された十四歳未満の触法少年でありますが、これは千十五人でありまして、前年と比べ百四十四人、一六・五%の増加となっております。

○増子委員 今、都内の刑法犯少年の検挙人員が減少しているというお話がありました。検挙された少年の数が減少しているということは、少子化という背景があるとはいえ、非行防止に向けた取り組みの一つの成果であるというふうに評価をさせていただきたいと思っております。
 しかしながら、平成十七年度に入って、都立高校生が両親を殺害した事件や、同級生を殺害した事件など重大な事件が相次いで発生しています。こうした重大な事件が依然として起こっていることを見ると、検挙された少年の数が減っているとしても、少年の非行防止、健全育成に向けた取り組みを一層強化して進めていかなければならないと思っております。
 そこで、さきに触れた警察庁発表の少年非行情勢についてですが、新聞報道によると、刑法犯少年は減っているんだけれども、再犯者がふえている。三万五千人を超えて、再犯者率も二八・七%と、平成に入って最悪だと。しかも、凶悪犯、粗暴犯がふえているということで、再犯率が高く、大きな問題となっております。このことについても都内の状況を把握しておられたら、お伺いいたしたいと思います。

○舟本青少年・治安対策本部長 昨年、都内で検挙されました刑法犯少年の中で、以前にも何らかの犯罪で検挙、補導されたことがある者の割合、すなわち再犯者率でありますが、これは二三・五%となっており、平成八年は一七・四%であったわけでありますので、全国と同様に上昇傾向にあります。特に、凶悪犯少年の再犯者率は約六割と非常に高くなっております。

○増子委員 特に十四歳未満の触法少年がふえているということで、今犯罪を繰り返すたびに徐々に凶悪化をしていくという危険性もあるので、まさに少年の更生を真剣に考えなければならないというふうに考えております。
 犯罪者の更生というのは、一義的には法務省の事業で行われていまして、最前線では保護司が保護観察を通じて更生に当たっています。
 そこで伺っておきたいんですけれども、都内の保護司の人数及び保護観察中の者の人数を把握しておられたら、ぜひ教えてください。
   〔大塚副委員長退席、委員長着席〕

○舟本青少年・治安対策本部長 平成十七年四月一日現在で、都内では三千九百七十七名の方が保護司として活動されているというふうに承知をしております。
 一方、保護観察中の者の人数につきましては、平成十六年末の数字で五千五百七十五人が対象であったと聞いております。

○増子委員 今ご説明がありましたけれども、一人の保護司が複数の保護観察者の者に対応しているということになっています。あるいは犯罪白書によっても、土日や休日だとか、あるいは夜間についての面接が大変多いということで、保護司の負担も決して小さくはないと思いますが、しかし、保護司は充足感を持ちながら活動していて、決して、だから、つらいからどうということで負担を主張するということではないと思っておりますが、なかなか最近では処遇の困難さを感じている保護司も多い、四割にも上るというふうにいわれておりまして、そういう意味では、この保護観察の処遇、あるいは少年の立ち直りについて新たな取り組みも必要だというふうに思っております。都としても、非行を犯した少年の立ち直りのために、関係機関が保護司との連携をさらに強化していくべきではないかと思っておりますけれども、ご所見をお伺いいたしたいと思います。

○舟本青少年・治安対策本部長 保護司は、社会奉仕の精神をもって犯罪や非行を犯した者の立ち直りを日々支えるボランティアの方々でありまして、その役割の重要性と高い使命感に深く敬意を表しております。
 刑法犯少年の再犯者率の上昇は、少年が再び犯罪を犯さないための更生保護に係る全体の仕組みが十分には機能していないことを示しているとも考えられます。
 そこで、都といたしましても、非行少年の立ち直りに係るさまざまな機関が保護司の方々との連携を一層強化していくことが重要であると考えております。

○増子委員 現在、国においては、更生保護のあり方を考える有識者会議というものが立ち上げられて議論されていますけれども、その中でも、更生保護を国民的基盤に支えられた制度にするために、地方公共団体あるいは関係機関との協力体制の構築が欠かせないというふうにいわれております。
 保護司の活動というのは、犯罪者の更生保護が中心ですけれども、研修などを通じて、先ほどもちょっと申し上げましたが、少年院教官への調査あるいは保護者などの調査などによりまして、非行少年の質的分析も行って研修をしたりしています。そういう意味では、そういった経験や知識を生かす場があれば有意義なことだというふうに思っております。
 例えば、私の地元の小学校でも、保護司が学校運営連絡協議会のメンバーとして参加をしております。その協議会では、警察署の少年担当の方も一員でありますし、あるいは主任児童委員さんも一緒でありまして、そういった場でかなり有意義な情報交換や話し合いが行われております。そういった意味では、保護司の知識や経験を学校現場にも生かしていけるのではないかというふうに思っておりますけれども、教育長のご見解を伺いたいと思います。

○中村教育長 現在、都立高等学校では、保護司を講師にお招きいたしまして、健全育成にかかわる特別講演会を実施しております。お話しのように、保護司の豊かな知識や経験に基づく講演は、具体的で説得力がございまして、高校生からは、身近な問題としてとらえることができたというふうな感想を得ているところでございます。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携いたしまして、各学校が児童生徒の健全育成を推進する上で保護司を積極的に活用するよう支援してまいります。

○増子委員 前向きなご答弁、ありがとうございました。
 保護司というのは国家公務員でありますし、更生保護は確かに国の事業ではありますけれども、非行少年の立ち直りを図って、きちんとした大人に育てるということは、東京にとっても必要なことでありますし、とても大事なことであると思っております。そういう意味では、国や自治体を問わず、社会としての責務であるというふうにも思っております。
 しかしながら、残念なことに、これまでは保護司のかかわる活動に対する都の支援としては、現在のところ、社会を明るくする運動への参加が見られるというのにすぎないというふうに思っておりますが、保護司に対して、被害者支援の観点からの活動も、実はその業務にこれから加えられるということになっていくと思いますし、役割がさらに大きくなっていくということでございます。都としても、保護司会などが行う事業についても、国の仕事だからと距離を置くのではなく、都民の暮らしに密接にかかわるものであるとの視点から、必要な支援の充実を図られるように要望をさせていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○松原委員長 増子博樹委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 なお、明日は、午前十一時から理事会を控室一で、また午後一時から委員会を本委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二十七分散会

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