東京都議会予算特別委員会速記録第三号

   午後六時四十六分開議

○鈴木(貫)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 長橋桂一委員の発言を許します。

○長橋委員 まず初めに、観光振興についてお伺いしたいと思います。
 知事が、東京を、千客万来の東京を目指すということで、平成十四年にまず宿泊税を導入いたしました。
 そこで、この法定外目的税である宿泊税、どのようなコンセプトで導入したのか、また、具体的にどのような事業について使っていくとしたのか、お伺いいたします。

○菅原主税局長 お答え申し上げます。
 宿泊税は、二十一世紀における観光産業の重要性にかんがみまして、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用を安定的に確保するため、法定外の目的税として創設したものでございます。
 この税収は、全額を観光振興策に充てなければならず、具体的には、観光案内所の充実、観光情報や施設割引の案内等を記載したいわゆるウエルカムカードの配布、宿泊施設のバリアフリー化助成事業などに充てることとされております。

○長橋委員 今お話がありましたとおり、国際都市の魅力を高めるための宿泊税である。既に導入されて三年半がたちます。ぜひ来年度の見込みも含めて、これまでの宿泊税の税収額を教えていただきたいと思います。

○菅原主税局長 宿泊税が創設されました十四年度の決算額は五億円、十五年度、十六年度は十二億円で、十七年度、十八年度も十二億円を見込んでおりまして、五年間の累計では五十二億円となります。

○長橋委員 今答弁がありましたとおり、来年度も含めれば五十二億円もの税収がある。これから具体的に都の観光施策についてお伺いしますが、ぜひとも有効に活用すべきであります。
 知事は、昨年の第三回定例会で我が党の中山議員の質問に答えまして、食文化の観光資源をどう知事はとらえているか、東京が自慢できるものの一つとして、総体的に世界を眺めて、極めて食べ物がおいしい点があるということで、東京の豊かな食文化を積極的に伝えていくと、力を込めて答弁をしていただきました。
 私も海外に先月行ってきたわけでありますが、別に行ってきたところがまずかったわけではございませんが、改めて思うことは、日本食のすばらしさでございました。世界のどこの都市にも負けない、こう実感するのであります。しかし、一方で知事はこういうふうにもいっていました。日本人は日本の食文化のすばらしさを自分からなかなか伝えないといっておられましたが、私も同感であります。
 都内にはおよそ十万軒の飲食店があるといわれております。都は、飲食店等に対して、外国人受け入れの研修を実施していると聞きました。そこの教材がここにあります。飲食施設の本であります。よくできていると思いますけれども、なおかつ、この中には、日本語と外国語の対訳表、メニューも入っております。ホームページにも公開をしている。
 しかしながら、このホームページで見ると、メニューについては全部PDFファイルで作成されている。せめて、自分のお店でメニューをつくりたい、外国語メニューをつくろうと思っても、PDFファイルではつくれない。ぜひそういうことをできるようにしてもらいたいわけでございます。
 ちなみに、既に京都では、おもてなし翻訳メニュー、これはまだスタートしたばかりですけれども、京都でやっています。おもてなし翻訳メニュー。それから、大阪ではこういうチラシをつくって、この中には、簡単操作、英語、韓国語、中国語表記のメニューが簡単につくれますと。これはホームページの一画面です。そういったことを既にやっているわけでございます。ぜひ都として、外国語メニューづくり、もっと活用できるように、このホームページ、また、この教材も改善すべきではないかと思うわけであります。こうした取り組みが、東京のもてなしの心を世界に発信していく、こういうことになるわけでございます。いかがでしょうか。

○成田産業労働局長 ご指摘の教材は、飲食店等を対象に、基本的な英会話や入店から料理の注文、支払いまでの、外国人への応対などの研修を行う際に使用するために作成したものでございます。
 応対方法や基本的なマナーなどに加え、約六百三十品目の料理、食材を、日、英、韓、中の四言語で記載しております。この内容は、都のホームページにも掲載しておりまして、飲食店の外国語による実際のメニューづくりにも活用できるようにするなど、改善に努めてまいります。
 また、今後は広く飲食業団体の会合の機会等もとらえて、こうした研修や教材の活用方法等について周知に努めてまいります。

○長橋委員 直ちにホームページを改善する、ありがたいことではありますが、ただPDFファイルをテキストファイルにかえるだけではまだ足らない。システムから改善をしていただきたい、これは要望しておきます。
 次に、飲食店が外国語メニューをつくっても、これが来日した外国人に知ってもらわなければ意味がないわけであります。
 オリンピック招致に向けて日本の食文化をだれもが接するようにする、これは大事なことでありますし、先ほど、東京マラソンの話が出ておりました。都庁をスタートして銀座、浅草を通って臨海でゴールする。先輩のニューヨーク・シティーマラソンでは、その観客が二百五十万人集まる。東京マラソンは何人集まるんだといったら、わからないとかいっていましたけれども、ぜひこの外国語メニュー、これを飲食店でステッカーを張ったらどうか。
 これも、既に始めているわけであります。これは大阪ですね、一番上で、皆さん見えないでしょうけれども、外国語メニューを用意していますと書いてあるんです。それから、本当は京都はできてなかったといったんですけれども、私が戻ったら、今届いたんですけれども、恐らくこれ、どこにもまだ来てないんです。京都のステッカーのデザインが、これはできたてほやほやで、ファクスで送ってもらいました。湯気が出ています。
 そういったことで、外国人をお店に入りやすくする方法、ぜひとも、こういったステッカーを張ることは大きな意味があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○成田産業労働局長 外国人が飲食店に入りやすくする方法として、ご指摘のように、ステッカーの活用も有効な方法の一つであると考えられますが、それとともに、受け入れに当たっての飲食店における体制の整備が不可欠でございます。
 具体的には、外国語によるメニューづくりを初め、宗教的タブーの知識であるとか、あるいはクレームへの対応など、外国人への応対の習熟が必要となります。
 このため、都は、外国人の受け入れ体制の整備に向けた研修を支援していくとともに、受け入れ体制のある飲食店の周知について、ステッカーの貼付も含め、効果的な方法を検討してまいります。

○長橋委員 ステッカーを検討するということで、ぜひお願いをしたいと思います。
 そこで次に、東京は先ほどいいましたけれども、十万の飲食店がある。一遍にはもちろんできないわけであります。まずはモデル実施をするべきである。例えば、今お話しした東京マラソン、銀座、浅草、こういったところはモデル実施すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○成田産業労働局長 都が、現在、広域的な観光まちづくりを支援しております浅草、両国地区は、都内で最も外国人が多く訪れている地域の一つでありまして、受け入れ体制について、他の地域の模範となるような取り組みが期待されております。
 本地域においても、今年度に有識者のヒアリング等を行う中で、外国人の受け入れについて、飲食店等が自主的に取り組む動きが生まれつつございます。
 今後、都といたしましては、この地域における取り組みをモデル事例として支援するとともに、その成果を普及して、他地域にも波及していくように努力してまいりたいと思います。

○長橋委員 浅草でモデル実施をするということでございます。浅草のまちの中にもっと、いいデザインのステッカーをつくっていただければと思うわけであります。
 また、食だけじゃありません。やはり東京のまちを初めて訪れる外国人の旅行者の方が安心して東京の観光を楽しめるようにする、これが最も大事であると思います。外国人の受け入れ体制の整備をしていく、一生懸命努力をされています。
 その上で、今話した外国語メニューだけではなくて、今度は、外国語が入った観光案内板、これも整備していくことが大事じゃないかと思うわけであります。観光案内板、私の地元池袋には、東京都につけていただきました。外国人だけではなくて地元の方も、また池袋を訪れる方も大変喜んでいただいております。
 こういった池袋など外国人が訪れる旅行者が多いところ、ぜひ拡大をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○成田産業労働局長 都では、平成十四年度から、絵文字や外国語の標記を統一した観光案内標識を、外国人旅行者の特に多い池袋や銀座などのモデル地域を中心に設置しまして、今年度末までに、九区三市で約四百基整備することになります。
 今年度につきましては、三区が連携して広域的な観光ルートづくりに取り組んでおります、豊島区の染井霊園、文京区の六義園、北区の旧古河庭園を含む地域等においても設置を進めております。
 来年度も、こうした取り組みを新宿などの地域で継続してまいります。

○長橋委員 一つは、今お話がありました、広域連携の話をしていただきました。それで例として、豊島区の染井霊園、文京の六義園、北区の古河庭園、これはもう歩いても行ける距離にあります。
 しかし、豊島区の観光案内板に、六義園とかそれから古河庭園が載ってなかったら、これは行こうとは思わないわけで、ぜひこういったことは都が主導してやっていただく。すばらしい取り組みだと思いますので、進めていただきたい。
 それから、来年度は新宿もやると。新宿をやってなかったのが私は驚くわけでありますが、新宿にもこういった観光案内板ができる。ぜひお願いをしたいと思います。
 次に、自閉症、発達障害者支援についてお伺いをいたします。
 公明党は、この自閉症、発達障害支援対策、何度も取り上げてまいりました。きょうはまず、この自閉症、発達障害者支援について知事にお伺いをしたいと思います。
 知事、スペシャルオリンピックスというのをご存じでしょうか。
 スペシャルオリンピックス、これは一九六三年、故ケネディ大統領の妹、ユニス・ケネディ・シュライバー夫人、この方が、自宅の庭を知的発達障害のある人たちに開放して開いたデイキャンプから、このスペシャルオリンピックスが始まりました。
 そして昨年の二月、知的発達障害のあるアスリートたちが集まってスペシャルオリンピックス冬季世界大会が、アジアで初めて長野で開催されました。八十四カ国、そしてアスリート、役員含めて二千六百人の人が参加しての盛大な大会でございました。
 そして、この大会は、国際オリンピック委員会からもオリンピックスという名称の使用を正式に認められている、もう一つのオリンピックであります。パラリンピックだけじゃないんです。このスペシャルオリンピックスも、オリンピックスと認められているんです。
 この大会に、一人の自閉症の青年がスピードスケートの日本代表選手として出場しました。テレビに映されました。その彼がゴールして、金メダルをもらっておりました。ふだんは、彼は製めん工場で働く青年であります。
 私は、彼の母親に何回かお会いしたことがあります。日野さんという方であります。この方は現在、東京自閉症センターの理事長であります。また、日本自閉症協会東京都支部の元支部長であります。
 前回、私が質問するときに、ぜひお願いしたいと何回も懇願をされました。日野さんと会ってお話をしました。息子のことです。息子は小さいころから物すごく多動で、しっちゃかめっちゃか、人の家に勝手に上がったり、行方不明になることは日常茶飯事、家の中に閉じ込めた方がいいと思った、だけど、死んでもしようがないから外の人に助けてもらって育てようと外に出すことにした、私の子どもを、社会の中で皆さんに応援してもらって育てようと、こう決意をして外に出したと。間違いなく、家族の中で大変な葛藤とご苦労があったと思います。
 私は、都議会に来て以来--来る前はこの発達障害を知りませんでした。都議会に来て、このことを教えていただいた。きょう来ていますけれども、発達障害の子ども、そして保護者の方と何回も会って話を聞いてまいりました。
 自閉症協会の方に聞きましたら、言葉や感情面で人とうまくコミュニケーションがとれない。そのために家族は目が離せない。自閉症児の多くが睡眠障害を持っている。食事もきちっととれない。親は一睡もできずに、食事もとれずに朝を迎えて仕事に行かなきゃいけない。その結果、保護者の精神的、肉体的負担は大変なもので、ストレスもピークになり、虐待につながったり、家庭内暴力、SOSを出す家庭が大勢ある。協会の方がいっておられました。
 都は、我が党の強い要請にこたえて、十七年度から新たに発達障害者支援体制整備事業をスタートしていただきました。
 そこで、知事に伺います。
 発達障害者に対して、今まで法制度上の支援がほとんどなく、理解不足の中で、多くの課題があります。発達障害者支援法の成立で、社会的に大きくクローズアップされてきている今、支援の充実が期待されます。
 知事の所見をぜひともお願いします。

○石原知事 発達障害者について、私は余りつまびらかにいたしませんが、いずれにしろ、外見からはそれとわかりにくく、また社会的な理解も不十分なために、その言動について誤解を受けることが多々あると聞いております。
 障害を抱えながら、日々孤立を強いられている障害者やその家族の方の苦しみは大変なものだと思っております。
 どのようなハンディキャップを負っていようと、人間は、それぞれ異なる個性と能力、そしてそれなりの、はかり知れない可能性を秘めた存在でありまして、都は、だれもが地域で、人間として尊厳を持って暮らすことのできる社会の実現を目指し、福祉改革を進めておりますが、今後とも、一人一人が持つ可能性を引き出せるように、障害者の自立を支援する取り組みを多角的に推進していきたいと思っております。

○長橋委員 前回、私が本会議で質問したとき、傍聴に日野さんに来ていただきました。そのときに、都議会で自閉症という言葉を聞いただけで感激をした、こういうようにいっていただきました。
 今回、知事から答弁をいただきました。今の答弁、必ず協会の皆さんや保護者の皆さんに伝えていきたい。知事に答弁をしていただいただけで、もっと大きな励ましになるかと思います。
 次に、具体的にお伺いをいたします。
 発達障害者支援体制整備事業、この事業は、昨年の十月から世田谷区でモデル実施がスタートいたしました。
 まずは、その取り組み、そしてその結果をもとに、保護者への支援策、これが大事なんですが、保護者への支援策も含め、他の区市町村に広げていくべきと考えますが、見解を伺います。

○平井福祉保健局長 昨年の十月から世田谷区で開始しましたモデル事業は、発達障害者に対しまして、乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制を整備するためのものでございます。
 具体的には、日常的に利用可能な、学校、保健所、医療機関等が連携いたしまして、個々の発達障害の状態に応じて、本人、家族へのきめ細かな支援を行うとともに、コミュニケーション能力や社会的適応力を高めるための専門的支援といたしまして、臨床心理士、言語聴覚士などによる個別指導やグループ指導に取り組んでいるものでございます。
 今後、都は、このモデル事業で得た成果を取りまとめまして、広く紹介することにより、他の区市町村に対して、それらを活用した心理相談等による保護者支援などの実施を働きかけてまいることとしております。

○長橋委員 モデル事業を他の区市町村へ広げていく、保護者にとって身近にそういった施設がある、相談ができる、大事であります。保護者への支援、負担の軽減も、しっかりとやっていただきたいとお願いをいたします。
 次に、都立病院における発達障害者支援について伺います。
 現在、都立病院の再編整備計画の中で、都立梅ケ丘病院が、清瀬、八王子の小児病院と統合して、府中に小児総合医療センターとして整備することとされています。
 これに対して、梅ケ丘病院を受診している患者さんを初め、また、発達障害の関係者から、梅ケ丘がなくなると大変に不安を感じると、大勢の声が寄せられております。
 昨年の、同じこの予特で、我が党の中嶋政調会長の質問に答えて、梅ケ丘を府中に統合するのに合わせて、新たに都立大塚病院に小児精神科の外来診療を整備すると明らかにしていただきました。
 そこで、まずは梅ケ丘の一カ所から、府中と大塚の二カ所になる。私は、拡充をしていく、こういうふうに思うわけでありますが、発達障害に対して具体的にどう拡充していくのか。今お話ししたとおり、不安を感じておられる方はたくさんおりますので、ぜひ、そういった方にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

○大塚病院経営本部長 平成二十一年度末に、多摩メディカル・キャンパスに開設する小児総合医療センターにおきましては、新たに心と体を総合した心身両面からの医療を提供することによりまして、発達障害などの小児精神患者の体の病気にも適切に対応してまいります。
 また、区部におきましても、今お話しのように、小児総合医療センターの開設に合わせて、豊島区にある都立大塚病院に外来機能などを整備し、都全体の小児精神の医療機能について拡充を図ってまいります。

○長橋委員 ぜひ、今いった説明、さらにわかりやすくして、現在梅ケ丘で受診をされている患者さんを初め、都民に対してその趣旨がよく理解されるよう、また安心していただけるよう、PRをぜひお願いいたします。
 しかしながら、この発達障害、昨年の予特でも答弁がありました。十年間で倍増している、医療ニーズが高まっているわけであります。私も、梅ケ丘病院には、市川院長初め、お話を聞きましたし、訪問もいたしました。ともかく、自閉症協会の方に聞くと、申し込んでもかなりの期間待たされる状況にあるわけであります。
 梅ケ丘病院では、小児精神科医--先ほど質問でもありました、大変少ない。小児精神科医の専門臨床研修医を受け入れて、人材の育成に取り組んでいると。それを大塚病院で外来診療を行うという発表があってから、この発表だけで大勢の方から、大変な期待と、そしていつから行うのか、早くやってもらいたい、こういうように多くの人から、保護者の方から聞かれます。
 そこで、大塚病院については、この二十一年の統合を待たずに一日も早く設置していただきたい。大塚本部長、ぜひお願いします。お願いします。いかがでしょうか。

○大塚病院経営本部長 梅ケ丘病院の患者実績を見ますと、お話しのように、発達障害などの新規の患者数は増加しておりまして、小児総合医療センターを整備するとともに、大塚病院にも外来機能を新たに整備することは極めて重要と考えております。
 今後、大塚病院における外来機能の整備に当たりましては、専門医師の養成確保などの課題の解決に取り組むとともに、小児総合医療センターの開設スケジュールを十分勘案し、ご要望の趣旨も踏まえながら、適切な時期に開設できるよう対応してまいります。

○長橋委員 大塚本部長に、大塚病院の答弁をいただきました。
 ご要望の趣旨を踏まえて適切な時期に開設できるよう対応していく、これは早くやっていただける、そういうように私は確信をいたしました。すぐにやっていただくというふうに思うわけですけれども、今お話がありましたとおり、人材の養成、医師の確保、これは大変でありますけれども、ぜひ、この大塚病院の早期開設、心からお願いしておきたいと思います。
 次に、この発達障害支援について、教育長にお伺いをいたします。
 発達障害の支援には、身近な区市町村単位で教育の現場と保健、医療、福祉などのネットワークの構築が重要でございます。
 都は、自閉症、発達障害のある子どもが円滑に学校教育に入れるよう、就学支援体制の整備に向けて、教育庁は特別支援プロジェクト推進モデル事業を平成十七年度から行っております。
 まず、その取り組みと成果についてお伺いします。

○中村教育長 お話しのモデル事業を実施している区市では、保健センター、療育機関、福祉事務所、保育園、幼稚園、小中学校、養護学校の関係者によります特別支援プロジェクトチームを新たに設けました。
 このプロジェクトチームにおきまして、発達障害を含め、障害のある子どもたちの円滑な就学を支援するため、関係機関の連携方策を検討するとともに、保護者や療育機関、保育園、幼稚園の職員が記入して、就学先の学校で活用します就学支援シートの開発などを進めてまいりました。
 その結果、関係機関のネットワークによります相談支援体制が構築できたこと、就学支援シートによりまして、障害のある子どもたちについての適切な情報を小学校等が引き継ぎ、入学後の指導、支援に使えるようにしたことなどの成果が上がっております。

○長橋委員 就学支援シート、これは保護者にとっても、また小学校の側にとっても、大変大きな支援であると思います。ぜひこれを、モデルから全都へ広げていただきたいと思うわけでありますが、このモデル事業の成果を踏まえて、どの区市町村でもできるように拡大していくべきでありますが、いかがでしょうか。

○中村教育長 お話しのモデル事業の成果をもとに、平成十八年度にガイドラインを作成しまして、全区市町村に配布することとしております。
 都教育委員会は、このガイドラインを各区市町村が活用しまして、乳幼児期から学齢期への、より円滑な就学支援のための体制づくりができるよう支援してまいります。

○長橋委員 ガイドラインをまとめて、十八年度から全区市町村に配布する。配布した上で、これをぜひとも効果的に活用していただきたいと思います。
 小学校だけじゃなくて、障害のある子ども、中学校、高校、そして卒業、就学--一貫した支援体制の構築、ぜひともこの充実を心からお願いを申し上げます。
 次に、公共工事についてお伺いします。
 きょう取り上げる課題は、公共工事の前払い金制度についてであります。
 都の前払い金取扱要綱、ここにあります。この要綱の中にですね、前払いの請求についてはどうなっているかというと、前払い金の請求は、契約締結後、契約の相手方が保証事業会社と保証契約を締結し、その保証証書を都に提出させた上で行わせるものとすると。ですから、保証事業会社と契約を結ばないと、前払い金はいただけないということであります。
 まず、この前払い金の使途、どのような制限があるのか、伺います。

○谷川財務局長 前払い金は、工事の着工時に必要な資金として支払う趣旨から、材料費、労務費、機械器具の賃借料など、その工事に必要な経費に充てるものでございます。それ以外のものに充ててはならないとする使途制限がございます。

○長橋委員 工事以外に使っちゃいけない、こういうことでありますから当たり前の話でありますが、この前払い金保証の、保証事業会社のパンフレットがここにあります。この中に、前払い金のメリットというのがあります。前払い金を利用すると着工資金の心配がありません、そして保証料は極めて低廉です、こういうふうに書いてございます。
 そこで、この前払い金、下請企業への払い出しに対して、保証事業会社はどのような規制、手続を設けているのか、お伺いをいたします。

○谷川財務局長 保証事業会社は、公共工事の前払金保証事業に関する法律の規定に基づきまして、前払い金が適正に使用されているかどうかの監査をする義務が課せられております。
 そのため、保証事業会社は、請負者との前払い金保証約款におきまして必要な資料の提出を求めており、その中には、下請契約書、施工体制台帳などの支払い先が確認できる書類が含まれていると聞いております。

○長橋委員 今お話があったとおりでありますが、バブルがはじけた二〇〇一年、五年前ですけれども、記事があります。保証事故、いわゆる倒産企業の増加を反映して、前払い金保証、契約保証の事故が過去最高になったと。この年の前払い金保証事故は二百六件で、弁済金額は二十二億三千万円、件数で過去最高だったと。契約保証事故も二百六十五件で、弁済金額が十一億九千万と、件数、金額とも最高になったとあります。前払い金をもらって倒産をしてしまった、すべてじゃありませんけれども、ということであります。また、前払い金を流用してほかの借入金に充ててしまった、こういうケースもあったという報道もありました。
 そこで、この保証会社は前払い金の使い道を監査することになっておりますので、この資料の提出、何に使うかという書類を求めているわけであります。その提出書類の中に、下請企業への前払い金の払い出し手続の中に、書類の中に、工事出来高報告書を求めているということがわかりました。資材の購入や建設労働者の募集など、工事着工や工事準備に必要な費用に対して速やかに支払わなければいけない。しかしながら、出来高を求めていると前払い金を使えない、こういう場合が出てくるんじゃないかと思います。
 また、こういう声をよく聞きます。私も、このお話を聞いて、幾つかの知っている建設関係の会社の方に聞きました。異口同音に同じ答えでございました。出来高を求めているから前払い金が使えない、こういうことであります。
 確かに今、事故の話をしました。景気低迷の時代に、建設市場は非常に縮小して、急激に縮小して、倒産が相次いだりして、保証会社のリスクが高まったのは確かに事実でございます。が、行き過ぎた払い出し規制、特に下請会社である中小、さらには零細の建設会社にとっては大きな圧迫になるんです。下請会社の従業員、場合によっては失業者が出る、こういうことも考えられるわけであります。
 やっと今景気が上向いている中で、本当に景気を下支えしている中小の建設関連会社、零細の建設会社の従事者の方々がきちっと支払われるように、適正化を図ることが大事だと思います。
 そこで、前払い金及び下請代金の支払いについて、まずは都として実態調査を行い、公共工事の前払い金が適正に行われるよう取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

○谷川財務局長 請負者が前払い金の払い出しを行う際の保証事業会社の制限や手続は、国の承認を受けた保証約款に基づいて行われております。
 今の先生ご指摘の工事出来高報告書、これは中間前払い金の制度かなと思ったら、先生の指摘ではそうではなくて、きちんとした前払い金だと。もしそういう事実があるならば、私ども、これは実態調査をしなくちゃいけないというふうに思っております。
 前払い金制度の趣旨が生かされるように、また、必要があれば、国等にも要望を必要としていくのかなというふうには思います。実態調査はやっていきたいと思います。

○長橋委員 実態調査をする。ぜひ本当に、まだまだ下請、中小の建設業者はいまだ厳しい状況にあるわけであります。ぜひとも適正を図って支援をお願いをしたいと思います。心からお願いを申し上げます。
 もう時間がありません。最後に、地元の都市整備について伺います。
 先日、環状八号線、練馬南田中地区から板橋若木地区の最後の仕上げの状況について視察をしてきました。本年五月に全線開通するということであります。昭和二十一年の都市計画決定からもう六十年たっての完成であります。実際に現場を行きまして、本当に騒音、景観、さらには緑やバリアフリー、沿線住民に配慮した道路として、最終的な完成が期待をされるわけであります。
 そこで、私の地元で整備が進んでおります環状五の一号線、雑司が谷区間について伺います。
 私もこの問題を前回取り上げました。環五の一の地下化をぜひ図るべきだ。そうしないと、池袋駅前の明治通りがいつも渋滞して大変なことになる。でも、地上部だけじゃだめだ。地下化を図って初めて、この渋滞解消ができるということでございました。
 先日、地下化を図る、地下道路を整備すると明らかになりましたが、そこで具体的に進めていく、どういう関係機関と進めていくのか、ご答弁をお願いします。

○岩永建設局長 環状第五の一号線の雑司が谷地区におきましては、現在、グリーン大通りから目白通りに接続する二車線道路として整備を進めております。将来的には、幹線道路としての機能を確保する必要があり、明治通りに直結する新たな車線を設置する方法について検討を行ってまいりました。
 現在、東池袋交差点の南側と千登世橋付近の明治通りを結ぶ二車線の地下道路を整備する案を基本に、地元区などとの調整を行っております。
 今後、地元区を初め、警視庁や東京地下鉄株式会社との調整を図りながら、整備計画の具体化に向け、さらに検討を進めてまいります。

○長橋委員 あわせて、環五の一、地上部はどうなっているのか。その整備状況と今後の見通し。また、環五の一は補助八一号線ともつながっておりますので、この八一号線の整備状況についてもあわせて簡潔にお願いします。

○岩永建設局長 現在、平成十九年度の開業に向け、地下鉄十三号線の整備を進めておりますが、地上部の道路につきましては、本年二月までに九割の用地を取得しておりまして、平成十八年度は、これまでに実施した排水管工事に引き続き、街路工事を進めてまいります。
 また、補助第八一号線は、環状第五の一号線から北区西ヶ原一丁目に至る延長三・六キロの地域幹線道路でありまして、このうち南池袋地区の二百六十メートル区間は、平成十七年十一月に事業認可を取得しまして、本年一月に用地説明会を開催いたしました。
 今後とも、地域の方々の理解と協力を得ながら、両路線の早期完成を目指して事業を推進してまいります。

○長橋委員 もう最後、時間がありません。まだお伺いしたいことがあったんですが、最後に、補助八一号線沿道一体整備事業、これをまとめてご答弁いただきたいんですが、沿道一体整備事業、都市整備局がしっかりやっていただいておりますが、東京都にとって初めての試みが、この東池袋地区で行われております。東京でも有数な木造住宅密集地域でございます。
 そこで、この沿道一体整備事業、東池袋地区での取り組み、そして今後の展開について伺って、質問を終わります。

○梶山都市整備局長 一般的に、都市計画道路の整備を行いますと、沿道にはマンションや、いわゆる商業ビルなどの立地が促進されます。いわゆる土地利用転換が、それも自然発生的に行われ、沿道の不燃化が進んで防災性が向上します。
 しかし、木密地域では狭小な敷地が多く、権利関係もふくそうしていることから、沿道の土地利用転換が容易には進んでいかない、これが問題でございます。このため、沿道の不燃化に特別の工夫を要する、そういうことが必要になります。
 具体的に、木密地域では、都市計画道路の整備にあわせて、沿道の残地とその周辺の土地を取り込んで、建物の不燃化、共同化を図るなど、沿道のまちづくりを一体的に進めることが防災性の向上に効果的であり、これがこの事業の特色であります。
 東池袋地区については、昨年に街路の事業認可を取得して、精力的に用地買収を進めてきました。沿道の二カ所の街区においても個別の懇談会を開催し、建物の不燃化、共同化に向けた話し合いを重ねてきております。
 こうしたものをさらに進めていくためには、まちづくりのそういったルールだとか、そういうものを一緒に区とやっておりますので、引き続き区と地元の方々と、引き続きこれらについて進めていきたいと、こういうことでございます。あとのそういった地域につきましても、具体的な建てかえの計画提案、資金計画の相談などを行って、住民同士の合意形成を促して、この事業を進めていきます。

○鈴木(貫)副委員長 以上で長橋委員の発言は終わります。(拍手)

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