東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○松原委員長 門脇ふみよし委員の発言を許します。
   〔委員長退席、大塚副委員長着席〕

○門脇委員 委員長の指名をいただきましたので、東京都政に関する幾つかの項目について、順次、要望等も含めて質問をいたします。
 最初の質問です。障害者、とりわけ知的障害者への政策については、先進諸外国と比べてまだ十分とはいえないまでも、教育分野ではかなり充実がされていると思います。特に東京都は、他の道府県と比べても、いろいろな施策は進んでいると思います。
 私事で恐縮でありますけれども、私は三人の子どもの父親で、三男は自閉症であり、知的障害者であります。この間、杉並区立の養護学校、都立中野養護学校にお世話になってまいりました。他の養護学校はわかりませんけれども、大変よい教育をしてもらったと感謝をいたしておりますし、現場の先生方の苦労は大変だったと思います。その三男も、現在は区内にある作業所で元気に働いております。しかし、一カ月のお給料は約一万円であります。現実の厳しい現状というものも感じております。
 もちろん、私は、このことで社会が悪いとか政治が悪いとか、そういったことを思ったことはありませんが、ただ、私たちがまだ元気のうちはいいんですけれども、将来のことを考えると、少し不安になることも少なくありません。これからは、教育施策のさらなる拡充も必要でありますけれども、知的障害者への就労支援と仕事の確保が重要と思います。多くの、知的障害児、知的障害者を持つ親や家族の気持ちも一緒だろうと思います。
 もちろん本会議の質疑でもあったように、役所としての東京都自身が知的障害者を雇い入れることは大切でありますけれども、雇用人口全体から考えれば、いかにして民間企業の協力を得るか、これがこれからの最大のポイントになってくるものと思います。
 そこで、まず初めに、今日まで都は知的障害者の雇用の拡大にどのように取り組んできたのか、お伺いをいたします。

○成田産業労働局長 都は、知的障害者の雇用を促進するため、雇用機会の創出と職業能力開発の両面からの取り組みを行っております。
 具体的には、障害者雇用ハンドブックの配布や第三セクター方式による重度障害者雇用モデル企業の設立を通じて、企業等に対する普及啓発を行っております。
 また、東京障害者職業能力開発校及び心身障害者職能開発センターにおいて職業訓練を実施しているほか、民間の企業や教育訓練機関を活用した委託訓練も実施しております。
 さらに、就業と生活の両面から相談に応じるため、区が設置している障害者雇用支援センター等を支援しているところでございます。

○門脇委員 これまでの一連の政策、施策は理解ができました。
 先ほども申し上げましたように、民間企業の協力のもと、就労支援を進めていくことが非常に大切だと思います。端的にいえば、この部分でのアクションを積極的に行うかどうかで知的障害者の雇用が進み、また、その家族を含めた生活が少しでもよくなるということであろうかと思います。
 そこで、この視点を受けとめ、知的障害者の雇用を促進するために、現在審議をいたしております平成十八年度予算の中で産業労働局の政策として自信が持てる新たな取り組みの説明をしていただきたいと思います。

○成田産業労働局長 知的障害者の雇用促進のためには、主たる就労の場となる民間企業の協力が不可欠でありまして、企業による積極的かつ新たな取り組みを支援するとともに、その内容を広く普及させていく必要がございます。
 このため、平成十八年度には障害者職域開拓支援事業を創設することとしておりまして、広く障害者雇用の新たなモデルとなる取り組みに対しまして、経費の助成等を行うとともに、その成果を普及し、知的障害者等の雇用促進を図ってまいります。

○門脇委員 この事業が前進することを期待申し上げます。
 十八年度はたしか二千三百万円だったと思いますけれども、決して大きなボリュームではありませんけれども、これからの都の指針となることも間違いがありません。新しい事業だから、成果をしっかりとつくり出し、翌年というのはつまり平成十九年度ということになりますけれども、予算の増加あるいは対象の拡大を要望いたします。
 また、少し矛盾を申し上げるようでありますけれども、同時に、この政策だけではありませんけれども、失敗を恐れずにアクティブに対応していただきたいと思います。この事業だけではありませんが、全国都道府県の中で下位に低迷する障害者雇用率だけを上げようとするだけの発想は、施策や事業をネガティブな方向に追いやってしまうと思います。優良企業に対する表彰制度あるいは税等の減免の問題については、これから問題をよく整理して、別の機会でお聞きを申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 次の質問です。当該審議年度の重要施策、イベントとしては、ある意味最大級のものになると思いますけれども、来年二月に予定をされております東京マラソンについて質問をいたします。
 私もこの間、地域のランナーの皆さんを中心にして、このマラソンに対する考え方というものを聞いてまいりました。青梅マラソンとの関係はあるものの、本当に驚くほど期待をされております。
 ところで、かつて、東京シティーハーフマラソンというイベントがありました。都庁から大井競馬場までのコースを市民が走ったマラソンでありましたけれども、私も詳しい経過はわからないのですけれども、これが中止になってしまい、多くの市民ランナーたちは大変に悔しい思いをしたということを聞いております。
 そして、ご存じだと思いますけれども、二〇〇三年に東京夢舞マラソン実行委員会、この夢舞というのは、ドリームという字に、舞は舞踊曲の舞という字を書きますけれども、これがNPO法人として設立をされました。この経過を、主催者の言葉をかりて簡潔に述べると、二〇〇一年元旦、七十七人のランナーが都心に想定したマラソンコースを走りました。世界の先進国主要都市には、例外なく万単位のランナーが参加できるマラソン大会がある。トップランナーもファンラン・ランナーも、障害の有無を問わずにだれもが走れるマラソン大会を都心に設立していきたいという壮大な夢が込められた小さなイベントでありました。昨年まで六回にわたり開催をされておりますけれども、しかし、このマラソンは、交通管理者の許可をとっておりませんので、つまり歩道を走っているわけです。いろいろ聞いてみますと、随分トラブルもあったようです。しかし、その夢舞の思いが、今まさしく実現をしようとしていると思います。
 多くの市民ランナーから大きな期待が寄せられていると思いますけれども、その理由は、まずコースの設定であろうと思います。皆さん方よくご承知のとおりでありますから、詳しくは申し上げませんけれども、この東京都庁を出発して、皇居前を通って、銀座を通って、浅草を通って、そして最後は臨海副都心の東京ビッグサイト前のゴールであります。正直申し上げて、今まで東京で行う国際的なマラソンというのは、そのほとんどが平和島折り返しでありまして、正直なところ、少しマンネリ化をいたしておりました。このコースは決定ではないものの、ある方は、今考えただけで走ることに胸がぞくぞくするといっておられました。
 このイベントを成功させるためには、多くの方々の協力が必要であります。これは、都庁内部も市民レベルも同じことが申し上げられると思います。そこで、実施要綱もそろそろ作成をしなければならないこの時期、成功に向けての条件整備でどういったことが重要か、お伺いをいたします。

○中村教育長 東京大マラソン祭りを成功させるということは、いかに多くの参加者あるいは観客を得、東京の魅力を内外に発信できるかということにかかっていると思います。
 そのためには、適切なフィニッシュ制限時間の確保、魅力あるコースの設定、運営ボランティアの確保、大会を盛り上げるイベントを展開していくことなどが重要でございます。

○門脇委員 教育長答弁のとおりだと思います。
 例えば今回は、東京マラソンはワンウエーの設定でありますから、参加者の荷物を運ぶということだけでも、都庁前からビッグサイトまでトラックで運ばなきゃいけない。しかも、最初のランナーが到着する前に荷物を運ばなきゃいけないわけですね。聞くところによると、これだけでも大型トラック数十台が必要だと聞いております。また、途中棄権者を、回収といったら失礼ですけれども、乗せるバスも相当の台数が必要でしょう。それから、十キロマラソンのゴール地点になるだろうといわれております日比谷公園も、終日閉鎖をしなければなりません。これも大変であります。いずれにしても、多くの方々の協力が必要であります。
 さて、答弁にもあったように、フィニッシュ制限時間の設定も非常に重要であります。これは、東京マラソン参加者の総意ではないかと思います。逆にいえば、この時間設定がこのマラソンを真の市民参加型のものとして成功させられるかどうか、大きなメルクマールであると考えております。今から参加者全員がかたずをのんで見守っていることであります。
 そこでまず、引き続き教育長に、この制限時間のことではなくて、冒頭述べましたこのマラソンのすばらしさを内外にPR、アピールするためにどのような打ち出しをしていくか、その予定をお伺いいたします。

○中村教育長 東京大マラソン祭りの魅力をアピールするポスターやチラシを配布することはもちろんでありますけれども、テレビや新聞、雑誌など多様な広報媒体を効果的に活用いたしまして、全国に周知してまいります。また、海外からも多数の参加者が得られるように、海外の主要なマラソン大会あるいはインターネットなどにおきまして、広報活動を積極的に展開していく予定でございます。

○門脇委員 あと実施日まで一年ないわけであります。間もなくこのことに関しての新しい事務局体制の人事も発令をされると思いますけれども、おのおののセクションで頑張っていただきたいと思います。
 次に、先ほどのフィニッシュ制限ラインについて、知事に答弁をお願いしたいと思います。
 教育長のお答えにもあったように、あと一年ない日程の中で、たくさんのことを計画し、実施をしなければなりません。これは大変であります。制限時間は、特に交通管理者、すなわち警視庁との折衝もあり、そんなに簡単に決まることではないと思います。しかし、一年に一回、首都東京の幹線道路がマラソン愛好家に、障害者に、ボランティアに、そして沿道の応援する市民に開放されることに対して文句をいう人は、そんなに多くはないと思います。
 そのためにも、ずばり七時間のフィニッシュ制限ラインが必要であります。六時間ではだめだと思います。このことは、私だけでなく多くの皆さんがいっていることであります。過去、知事は報道番組で七時間確保したいといわれておりました。このマラソンを、さまざまなイベントを展開した東京大マラソン祭りとして成功させ、十年後の東京オリンピックにつなげていきたいという意気込みもあると思います。
 そこで、制限時間を七時間確保するように強く要望いたします。このように制限時間を長くするなど、ランナーにどれだけ優しいマラソン大会にできるか、これが成功の大きなかぎになると思います。知事の思いを込めた見解をお伺いすると同時に、知事は本日午前中に、前ニューヨーク市長であるジュリアーニ氏と知事室で会談されました。ニューヨーク・マラソンの成功の秘訣などをじきじきに伝授されたと聞いておりますけれども、その内容についてもあわせてお知らせをいただければ幸いでございます。

○石原知事 かねて、高橋尚子さんのお師匠さんの小出監督から、ぜひとにかく東京マラソンをやって、銀座を走らせてほしいということをいわれていました。私はマラソンランナーじゃないのですけれども、そういう要望の熱烈さというものの実感がわかったようなわからないような感じだったのですが、ニューヨーク・シティーマラソンを見学に参りまして、それがいかにも、おくればせで伝わってまいりました。
 来年から開催する東京大マラソンは、世界じゅうから注目されて、国の内外からたくさんの人が集まってこられる大会にぜひともしたいと思っています。ランナーが勇気づけられ、都市全体が盛り上がるようなイベントを展開するとともに、これは私は、ニューヨークよりも東京の方がうまくいくと思いますよ。何しろ浅草でブラジルのサンバをやっているような国ですから、同時に三社祭のみこしを出したり、お祭りの好きな人が日本じゅうにたくさんいますから、みこしの担ぎ手なんかは、声をかければたくさん日本から集まってくると思います。
 そういう点で、トップランナーだけでなくて、障害者を含めた三万余の人が走ってくださる楽しい大会にしたいと思いますが、時間の問題ですけれども、私はそれは可能だと思いますし、また、近々陸連と話しまして、ロゴその他を含めて、コースの正式なルートも近々発表いたしますけれども、やはり七時間というものを実現するように、教育庁を通じて依頼しております。
 ただ、都庁前から出発するわけですけれども、このあたりを七時間閉めておくわけにはいきませんので、やはり少しずつ、ランナーを追いかけながら、それで、とにかくこの分でいくと、九時間かかるような人はどこかでちょっと外してもらわぬと、とてもらちが明かないと思いますけれども、それぞれ工夫を凝らしまして、世界じゅうの人に注目し喜んでいただけるマラソンにする自信がございますので、またいろいろお知恵をかしてください。(門脇委員「ジュリアーニ氏との方は何か……」と呼ぶ)
 ジュリアーニさんは、余り大した意見はいいません。あの人が始めたわけじゃありませんからね。自分も先導車に乗って走って非常におもしろかったというから、私もその先導車に乗せてもらったんだと。いろんなことがわかったけれども、何がわかったかというから、ニューヨークの道というのは極めて悪くて、こんな道の悪い首都は見たことないといったら苦笑いしていましたけれども、むしろ彼からは、ニューヨークの治安対策についてのいろいろ話も聞きました。
 いずれにしろ、ジュリアーニが苦労して、ニューヨークの治安は大分よくなりましたけれども、それでもやはり東京の方が総体的にはるかにいい状態だと思います。ただ、やはりいわゆる破れた窓、ブロークンウインドーの論理を踏まえての、各地で起こっている小さな出来事のコンピューターへの登録というものと、犯罪に関する地域性というものを割り出していくというシステムは非常に参考になりましたので、人をまた派遣して、ソフトを学びたいと思います。
 それから、七時間の問題につきましては、前後左右しますけれども、既に十一月に警視庁の幹部が同行いたしまして、彼も自分の判断でできると思いますということでしたので、何とか実現するつもりであります。

○門脇委員 よろしくお願いいたします。
 それから、そういう答弁をいただきましたので、もう余計なことは余りいわない方がいいと思うのですけれども、それは、マラソンの名称のことなんですね。一般的には東京マラソンでありますけれども、この間の知事の発言を聞いておりますと、東京大マラソンと表現することが多い。本会議でも、あらかじめ配布されましたテキストには東京マラソンと書いてあったのですけれども、わざわざ読み返されまして東京大マラソンといわれておりました。
 その思い入れは十分に私も理解はできるのですけれども、しかし、他国の市民マラソンの名称も、とてもシンプルにつけられております。大を英訳すると、ビッグであるとかあるいはグレートであるとか、そういう表現になると思うのですけれども、何となくぴんとこない。参加者の募集も始めなければいけない今、そして、市民ランナーとは別の意味でイベントを盛り上げるために、海外のトップアスリートも招聘をしなければならない現在、レースの名称は東京マラソンと、シンプル・イズ・ベストで臨んでいただきたいと思います。これは、さまざまなイベントを展開し、東京大マラソン祭りとしていく知事の考えには、多くの部分で共感ができます。このイベントの成功を祈念いたしまして、期待いたしまして次の質問に移ります。
 ドッグランについての質疑は過去から何回も行われておりますけれども、最近、ペットを家族として迎える人がふえております。私もその一人であります。特に東京、そして杉並区は、人口比で見ても全国的にペット所有率が大変高い地域であります。その背景も踏まえて、建設局に幾つか、お伺いいたします。
 まず、いわゆるドッグランについて、都ではこれまでどのような経過を経て、駒沢オリンピック公園あるいは神代植物公園での試行に取り組み、本格実施に移したのか、簡潔にご答弁いただければ幸いです。

○岩永建設局長 近年のペットブームを背景に、犬を自由に遊ばせる場所を求める都民の声が高まる一方、公園内での放し飼い等の苦情も増大してまいりました。
 都は、その対策として、ドッグランを平成十四年十二月に駒沢オリンピック公園と神代植物公園に設置し、試行を行いました。その結果、利用者からの評判もよく、近隣住民からの騒音、臭気などの苦情もなかったことから、平成十五年十一月に本格実施に移行しました。さらに、平成十七年六月には、一定の条件が整った小金井公園、城北中央公園、舎人公園の三公園にドッグランを拡大いたしました。

○門脇委員 経過は理解いたしました。言葉ではそのようなことですけれども、多くの方々の努力があったものと思います。
 ただ、正直いって、犬が好きでない人というのも少なくありませんし、私もそのことは愛犬と散歩をしているときに感じております。ドッグランをつくり、継続して利用していくには、答弁の中にもありましたけれども、近隣の皆さんの協力というものを初め、幾つかの課題があると思います。
 そこで、都立公園におけるドッグランは、今日までどのような条件で設置したのか。先ほどの答弁と一部ダブる部分はないでしょうか。大丈夫ですね。お答えをいただきたいと思います。

○岩永建設局長 ドッグランにつきましては、一般の公園利用者に影響がないよう、必要な場所を確保できること。公園周辺道路の違法駐車を防止するため、駐車場が確保されていること。施設の運営にボランティア団体等の協力が得られること。公園利用者や公園周辺の住民への影響が考えられることから、近隣住民の理解を得ること。以上、四つの条件を満たす公園で設置してまいりました。

○門脇委員 主な四条件ということになると思います。いずれも大切な内容とあわせて思います。
 しかし、先ほど紹介した公園を初め、現在、五つの公園は、いずれも、どちらかというと東京都全体から、あるいはその周辺も含めて利用者が訪れる、いわばメジャーな公園であります。しかしその一方、利用者の大半が地元住民である都立公園も非常に多い。面積は広くないが、このような公園にこそ地域コミュニティがあり、そして、犬を通じて人間関係の深まりもあると思います。
 そこで、都として、これまでの成果を踏まえた新たな検討課題として、近隣住民を中心としたいわば地域密着型のドッグランの設置、この方向性についてお伺いをいたします。

○岩永建設局長 ドッグランは、公園利用者と犬との共存を求める声にこたえるとともに、犬の放し飼い等の対策としても有効な施設であります。
 都はこれまで、小金井公園など五公園で、千二百平方メートルから三千平方メートルの広さのドッグランを開設し、人と犬との触れ合いの場を提供してまいりました。今後の設置に当たりましては、近隣住民の理解を得ることなど四つの条件を踏まえつつ、比較的小さな規模の設置も含め、地域の実情を考慮したドッグランの整備に努めてまいります。

○門脇委員 とても前向きな答弁をいただきました。予算特別委員会でありますから、余りリージョナルな場所を提起することは適切ではないと思いますけれども、例えば杉並区であれば、善福寺公園であるとか善福寺川緑地公園であるとか和田堀公園などは、今の局長答弁の範囲に該当をすると思います。
 近隣住民との調和を大切に、また、都立公園だからといって、ドッグランの運営をすべて都に任すということではいけないと思います。飼い主のマナーやモラルも大変重要であります。ただいまの答弁は、過去の条件にとらわれず、住民ニーズ、この場合、住民ニーズはワンちゃんも含めてでありますけれども、的確にとらえ、柔軟な運用をしていくことが(発言する者あり)犬ですね、失礼いたしました、重要なことといえる典型的な事例になると思います。今後の展開に期待をいたしまして、次の質問に移ります。
 この委員会室にいらっしゃるすべての皆さんの共通認識だと思いますけれども、残念ながら、北朝鮮による拉致被害者問題は、現在膠着状況に陥っております。一昨年、この国は、横田めぐみさんの遺骨なるものを返してきましたけれども、それが全くのにせものと証明された今でも、真相を明らかにいたしていません。現在警察庁に認定されている被害者以外にも、数多くの皆さんが苦しんでいることも間違いがありません。解決にはほど遠い状況であります。
 過去のことですけれども、私たちが町中で署名活動に取り組んでいるとき、冷静ないい方で、あなたたちは一体どのような証拠があって北朝鮮とか拉致とかいっているのですか、確証があるなら見せてくださいとの言葉を受けました。反論が十分にできず、大変悔しい思いをしたことを今でもよく覚えております。小泉首相の訪朝前のことでありますから、その町中での様子は容易に想像していただけると思います。また、大変残念なことですが、そう遠くない過去、ある政党の機関紙には、拉致はでっち上げと書いてありました。
 そのころでも、知事は、横田めぐみさんが北朝鮮で泣いている、今すぐにでも救出しなければといわれたことも覚えております。また、三年前の五月に大きな集会があったとき、会場に入り切れない数千の参加者の皆さんをロビーで激励したのは、知事、あなただったのであります。あなたの話を聞いて、文句もいうことなく整然と帰路についたと思います。
 それから、「万景峰号」が入港する抗議の集会のときに、金正日キム・ジョンイル総書記の写真を焼こうとか、北朝鮮の国旗を焼こうとかの提案もあったそうであります。しかし、それでは彼らと同じ次元になる。彼らはいつも卵を投げ、旗を焼き、人形を焼く。このような行為を崇高な横田さんご夫妻にさせることはできないと、良識的な判断になったと聞いております。
 知事、大変失礼ないい方でありますけれども、私はこの話を最初に聞いたときに、この焼こうと提案したのが知事で、それを諭したのが支持者の皆さんだったと誤解をしておりました。でも、実際は全く逆だったということを聞きました。他の問題はともかく、被害者救出に関しての積極的な行動は高く評価をされていると思います。
 そこで、先ほど述べましたが、拉致問題が膠着状況に陥っている今こそ、都民、国民の機運を盛り上げ、問題の解決に向けて一歩でも前進させるべきだと思います。日本の首都東京を預かる知事として、現状を踏まえ、拉致問題に関する率直な思いを聞かせていただきたいと思います。

○石原知事 北朝鮮に拉致された百人を超える、状況証拠があるけれど、百五十人に近い同胞の安否は依然として不明であります。私がその百五十人近い数字というものを口にしましたときに、中曽根元総理は、そんな論外な数字を、君、口にすべきじゃないと一回たしなめられましたけれども、結局このごろになって認識を改められたようでありますが、いずれにしろ、ああいう高官にしてもなお想像のつかないような被害を私たちは受けているわけでありまして、その上に、多量の麻薬を我が国に持ち込んで、日本の暴力団を使ってそれを頒布し、金を稼ぐ。その証拠は拿捕されたあの工作船でもありますけれども、とにかく、かの国が目的のためには手段を選ばない犯罪国家、テロ行為の国家であるということはもはや明白でありまして、国は、国家の独立と国民の安全を守るために、国家の威信をかけて、ちゅうちょすることなく経済制裁など具体的な行動をとるべきだと私は思っております。
 相手は、やるのならやってみろ、そうしたら瞬間的に日本を火の海にしてみせるというけれども、それはまあ、はったりのはったりでしょう。そんなことは彼できるわけがない。そんなことは瞬間ですよ、あの国は報復を受けて壊滅しますよ。
 ですから、外交というのは、何もはったりだけじゃありませんけれども、時にはやはり言葉の応酬の中にいろいろな意味合いを込めて、石をぶつけ合うことが必要だと思います。私は、相手がそういうことをいうなら、それなら、やるならやりなさい、しかし我々は、国民の意思の発動として経済制裁をしますよということです。何で国家がいわないのか、私には解しかねますが、しかし、これまで都は、別にそれを誇るわけじゃありませんけれども、朝鮮総連の関連施設に対して固定資産税の課税を実施しましたし、これは全国に波及していきまして、自治体として当然の措置を各自治体がとっております。
 今後とも、国内の世論の高まりを喚起し、国際的な圧力を強めていくことが不可欠であると思っております。

○門脇委員 私と妻は蓮池さん夫妻と同じ世代でありまして、しかも、拉致された昭和五十三年のとき、妻の実家が新潟県の柏崎ということもあって、あの拉致現場の海岸を何度も彼女と歩いておりました。人ごとではありません。もしかしたら、今この会議室にいなかったかもしれません。これから引き続き、政治家知事としてこの問題に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また同時に、北方領土返還運動に東京都も共同参画をしておりますように、今後の課題として、都民への啓発を促すこともとても大切だと思っております。そして、この問題は間違いなく人権の範疇であります。今後、人権啓発という意味での取り組みも重要だと思います。いずれにいたしましても、拉致問題の解決はこれからであります。知事の変わらないアクティブな行動を期待いたします。
 時間がわずかになりましたので、残り、水道局さんの関係があったんですけれども、パネルも用意をしてまいりましたけれども、簡潔に残り時間でやりますけれども。
 おいしい水ということについて、世界の国々でも、蛇口をひねれば水が出る、しかも、その水を飲んでも身体に問題はない、このような状態は、途上国はもちろん、先進国においてもそう多くはないと思います。もう少しいえば、蛇口そのものがない国々も少なくありません。
 残念ながら、しかし東京では、水道水はカビ臭い、おいしくないというイメージを持たれていることも事実であります。今そのペットボトルについては申し上げますけれども、子どもが学校に行くとき、水筒を持たせている親もおります。
 そこで、まとめてお伺いしますが、どうしてこういう事態になっているのか、また、こうした現状をどのように考えているのか。それから、せっかくでありますので(パネルを示す)これ、両方に張ってあるからよく見えると思うんですが、これは水道局の営業車の写真でありますけれども、ここにキャラクターがおりまして、これは、水滴君と水玉ちゃんという、まあそのままなんですけれども、こういうのがありまして、今後はこういったものも利用しながら積極的にPRということ、つまり、東京の水道水はまずいのではなくて、実はおいしいんだということを積極的にPRをしていただきたいと思いますが、このことについて見解をお伺いして、私の質問を終わります。

○御園水道局長 水道水が蛇口から直接飲まれなくなった理由といたしましては、水源水質の悪化などによりまして、水道水がおいしくないといわれていた過去のイメージがいまだに払拭されていないことなどが考えられます。また、昨年七月に当局が行いましたアンケート調査によりますと、水道水をそのまま飲まないと回答したお客様は約半数でございました。水道事業者として、これは非常に残念な結果でありまして、お客様のご理解を得るための対策をさらに講じる必要があると認識をしております。
 先ほどのパネルの車でございますが、漏水調査などのためにお客様宅を訪問する際や、工事現場への出張に使用する局有車でございます。これは、安全でおいしい水プロジェクトをPRするため、杉並区域等を所管する西部支所及び管内の営業所において試行的に実施しているものでございます。
 水道局では、安全でおいしい水プロジェクトのキャンペーンを行うことにより、水道水の安全性やおいしさを、水道局の取り組みについて、お客様にできる限りわかりやすく伝えるとともに、お客様の声を施策に反映させていくことが重要であると考えております。ご提案の趣旨も踏まえ、今後とも多様な方法を検討し、積極的なPRに取り組んでまいります。

○門脇委員 ありがとうございました。(拍手)

○大塚副委員長 門脇ふみよし委員の発言は終わりました。

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