東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○新藤副委員長 山田忠昭委員の発言を許します。
   〔新藤副委員長退席、委員長着席〕

○山田委員 私は、都民生活に身近な施策、事業について質問をさせていただきます。
 まず初めに、青少年に対する健全育成策についてお尋ねをいたします。
 子どもたちが健やかに育つことは社会のだれもが願うことだと思いますが、昨今、子どもをねらった事件があちこちで起きたり、親による児童虐待も多発しております。
 その一方で、都内各地で、子どもを守るための防犯ボランティア活動や、あるいは有害環境の浄化に自主的に取り組む都民の動きが盛んになっているのは、大変心強い動きと感じております。このような子どもを守ろうという大人たちの力を今こそ広く結集していくことが求められていると思います。
 都内では、昨年の六月に、青少年の健全育成を都を挙げて進める総合推進体制を確立するため、東京子ども応援協議会を設立したと聞いております。
 そこでお伺いいたしますけれども、東京子ども応援協議会とはどういうものなのか、ご説明いただきたいと思います。

○舟本青少年・治安対策本部長 東京子ども応援協議会は、都が、区市町村、都民、事業者等と協働して青少年の健全育成に取り組む総合推進体制を確立するため、条例に基づき、昨年六月に設置したものでございます。
 当協議会は、行政だけではなく、教育、産業界を含む四十九の団体で構成をし、個別の施策等を推進するために部会を設置しております。この部会を通じまして、例えば心の東京革命や中学生の職場体験など、青少年の健全育成のための事業に取り組んでいるところでございます。

○山田委員 東京の大人たちが子どもたちのために力を合わせようという子ども応援協議会設立の意義は、非常に大きいと考えております。
 一月三十一日に文部科学省が発表いたしました地域の教育力に関する実態調査によりますと、大人は親戚や子どもの保護者同士が、あるいは子どもは同じ学年の友達との交流が主でありまして、近所の人との交流が少ないということがわかりました。そして、過半数の保護者たちが地域の教育力の低下を指摘をしております。このことは、地域に対して期待を寄せる一方、大人自身も地域に余りかかわりが少ないということが、調査の結果でわかったのであります。この調査の結果から、改めて青少年の生活基盤であります地域の人間関係が希薄であるということがわかったわけであります。
 私は、地域での人と人とのコミュニケーションを図るためには、地域の大人と子どもたちが顔のわかる関係を築くことが重要でありまして、地域の安全性にもつながっていくと考えております。
 そこでご提案を申し上げますけれども、あいさつ運動を新たに東京子ども応援協議会として取り組んだらどうかと思いますけれども、見解をお尋ねいたします。

○舟本青少年・治安対策本部長 ご指摘のとおり、子どもたちの生活基盤であります地域の人間関係が希薄になっている今日、コミュニケーションの入り口でありますあいさつは大変重要でございます。
 そこで、都は、東京子ども応援協議会の部会でございます心の東京革命推進会議に、新たにあいさつ運動推進のための委員会といったものを創設しまして、全都的なあいさつ運動に取り組んでいきたいと思います。その中で、あいさつ運動を地域で効果的に展開できるよう、新たな補助制度を設けまして、区市町村を支援していきたいと考えております。
 また、七月には、こうしたあいさつ運動を盛り上げていくために、大規模な都民集会も開催したいと思っております。

○山田委員 あいさつ運動を通じまして、地域で子どもを守り、育てるという地域力が高まることを大いに期待をいたしたいと思います。また、都におきましても、その先頭に立って取り組みをぜひよろしくお願いいたします。
 しかしながら、子どもをねらった犯罪が後を絶たなかったり、あるいは、有害図書を自主規制マークをつけずに販売する企業があるなど、大人の中にも子どもの欲望の対象とみなすような者が存在しているのが現状であります。あるいは、今の親たちの中には、子どものしつけに無自覚で、それが子どもを損なっているということもあるのではないかと思っております。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、子どもを守り、健やかに育てるということに関し、大人の責任についてどう考えたらよいのか、知事の所見をお尋ねいたします。

○石原知事 今日の子どもがさらされている社会的な状況は、まさに寒心にたえませんが、そういう状況を醸成したのは、すべて私たち大人の責任であると思います。
 先般も、横浜市が禁止に踏み切ったという子どものテレビゲームというものを、私、初めて目にしました。これは、街路に立った男が、プレーをする人間の分身ですね、それが、鉄砲を乱射して、行きすがりに人を撃つわけですけれども、その相手は、シーンが進んでいくと、子どもであったり、大人であったり、車に乗った人間であったりするわけですが、ゲームでその人間に命中させなければ、その人間たちは逃げていくわけですけれども、相手が子どもの場合、撃った弾が頭に命中すると、頭がすっ飛ぶみたいな、そういう残酷なシーンがあるわけです。それで得点が加算されていくわけですけれども、こういったものを大人がつくって子どもに提供するということの責任は、これはもう歴然たるものでありまして、こういった状況というものをまず知ることも私は必要だと思いますが、私もメンバーの一人であります、政財界でつくっている自由社会研で、先般、それを提供して見せましたが、政界、財界の知名の人たちが、実はうわさで聞いていても、初めてそれを目にして、かたずをのむというような感じでありました。
 都はこれまでも、大人の無節操、無責任な行為の規制強化を行いました。大人が真剣に子どもに向き合う心の東京革命を推進してまいりましたが、引き続き、大人がその責任を果たすように、つまり、子どもをしかるということも大人の責任でありますが、それを果たすように取り組みを進めていきたいと思っております。

○山田委員 ぜひ社会の有害環境の浄化に知事のリーダーシップを発揮していただきまして、ご努力をいただければと思う次第であります。よろしくお願いいたします。
 最近、子どもの下校時をねらった卑劣な犯罪が相次いで発生をいたしております。青少年・治安対策本部では、警視庁あるいは教育庁とともに、子どもの安全確保について緊急対策を実施したと聞いております。
 東京都におきましても、各地域で不審者によります子どもに対する声かけ事案が多数発生しており、保護者や都民は大変不安が増大しております。ある新聞の調査によりますと、九三%の人が犯罪に巻き込まれる危険が増大していると回答しております。下校時の保護者等のパトロールなど、八七%の人が必要だと答えております。
 そこで、子どもの安全確保の緊急対策の中で地域安全マップが掲げられておりますけれども、その地域安全マップとはどういうものなのか、お尋ねをいたします。

○舟本青少年・治安対策本部長 地域安全マップは、子どもみずからが犯罪から身を守る力を高めるために、子どもたちが数人のグループで地域を実際に歩きまして、入りやすく見えにくいという言葉をキーワードとしまして、犯罪が起こりやすい危険な場所を確認し、それを地図にするものでございます。

○山田委員 これまでも全国のほとんどの地域で安全マップが実施されてきたと聞いておりますが、これらの安全マップは、不審者や犯罪が発生した場所を大人が一方的に危険箇所として図に示して、子どもたちに渡しているということでありました。しかし、これでは、子どもたちがみずから危険な場所とか状況を見きわめることができないのではないかと私は思っております。
 そこでお伺いいたしますけれども、都が実施しております地域安全マップの考え方と効果についてはどういうものなのか、お伺いいたします。

○舟本青少年・治安対策本部長 都が考えています地域安全マップは、犯罪は犯罪者に都合のよい場所や状況のもとで実行されるという犯罪機会論と呼ばれる考え方に基づいているものでございます。犯罪が起こりやすい場所に着目をしまして、子ども自身の目で危険な場所を見きわめるということによりまして、子どもみずからが犯罪から身を守る力を高めるというものであります。
 加えまして、地域の人たちにその過程でインタビューするなどを通しまして、地域の人たちと触れ合うことなどによりまして子どもたちの地域への愛着心をはぐくみ、また一方で、地域の人たちに、子どもを地域で守るんだという意識を高めることも十分期待できるものでございます。

○山田委員 今のご説明によりまして、都が実施いたしております地域安全マップが、子どもの犯罪被害防止能力の向上のために大きな効果を持つものだということがよくわかりました。
 今回の事件を受けまして、子どもの安全をより確実なものとするために、従来の事業に加え、さらに強化した取り組みが必要だと考えますが、地域安全マップ事業の現状と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。

○舟本青少年・治安対策本部長 都はこれまで、地域安全マップの指導者を養成しまして、学校や児童館などに派遣するなど、その普及促進を図ってまいりました。
 また、一月に、緊急対策としまして、都内すべての小学校の教員千四百人を対象とした指導者養成研修を実施もしてまいりました。今後さらに指導者の数をふやすために、教育庁と連携をし、引き続き指導者養成研修を実施するとともに、公開モデル授業を行ったり、また、改めて指導者用テキスト及びビデオを作成するなどしまして、十八年度中にすべての小学校の授業での実施を目指してまいりたいと思っております。

○山田委員 ぜひ地域の教育力の向上を図り、地域の安全確保に積極的に取り組んでいただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 次に、生涯スポーツ社会に向けた地域スポーツクラブの育成についてお尋ねをいたします。
 私の住む西東京市では、昨年の十一月に、市内で初めての地域スポーツクラブ、西原スポーツクラブが誕生し、地域の住民の新たなスポーツ活動の拠点として大いに期待されているところであります。
 平成十四年に策定いたしました東京都のスポーツ振興基本計画では、平成二十五年の東京国体、東京多摩国体までに、各市区町村に一、二の地域スポーツクラブの育成を目指すとしております。このような地域スポーツクラブの設立や活動を推進するためには、広域行政の立場から、新たな仕組みづくりのための適切な支援が必要であると考えます。
 ついては、これまで都が行ってきました地域スポーツクラブの育成のための取り組みと課題についてお尋ねをいたします。

○中村教育長 都教育委員会では、地域スポーツクラブの育成のために、都民に対しまして、クラブの意義や役割についての啓発活動を初め、クラブづくりを目指すグループへの助言、クラブの設立や運営の核となる人材の育成などを実施しております。
 平成十八年一月末現在、都内の二十の区市町村に三十五の地域スポーツクラブが設立されております。クラブハウスを含めました活動拠点施設、あるいは自立した活動のための財源の確保、あるいは指導者等の人材の育成などがいずれも課題となっております。

○山田委員 今後も、地域スポーツの普及、振興の重要な役割を担うと期待されます地域スポーツクラブの設立を強力に推進するため、活動拠点となる学校との連携を初め、人材育成や情報提供等の取り組みが不可欠であると考えます。
 また、多摩国体やオリンピックで活躍する選手の発掘あるいは育成など、その果たす役割はまことに大きなものがあると思います。
 ついては、都民スポーツの振興に向けて、これまで以上に積極的に地域スポーツクラブの育成、支援を行っていく必要があると考えますが、今後の都の取り組みについてお尋ねをいたします。

○中村教育長 都教育委員会は、学校、スポーツ関係団体を初め、大学、企業などとも連携いたしまして、スポーツクラブマネジャー等の育成や、スポーツ実技指導者の派遣、学校開放の充実によります活動拠点の確保などを行いまして、今後、都内すべての各区市町村に地域スポーツクラブが設立されるよう支援してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、スポーツ人口のすそ野の拡大を図るとともに、学校部活動への支援や、競技力向上を目指す都民の活動の場を提供するなど、多様なスポーツニーズにこたえてまいります。
 さらに、平成十八年度からは、東京都体育協会と連携しながら、国体やオリンピックなどで活躍できる選手を輩出できるよう努めてまいります。

○山田委員 来年の二月の大東京マラソン、あるいは二十五年の多摩国体、そして二十八年の東京オリンピック等、ビッグスポーツの開催や招致によりまして、都民のスポーツへの関心も、今は日増しに高まっているところでございます。都民スポーツ振興の絶好の機会ととらえ、諸施策を積極的に展開していただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 次に、都市基盤についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、大規模開発とまちづくりについてお伺いいたします。
 現在、国会では、都市計画法、中心市街地活性化法、大店立地法のいわゆるまちづくり三法の改正が審議されております。この中で都市計画法に関しては、床面積が一万平米を超える大規模集客施設の立地規制の強化や、広域調整手続の充実などが盛り込まれており、これらは東京のまちづくりに少なからず影響を与えるものと考えられます。都としても、法改正の趣旨を十分に理解し、今後のまちづくりに生かすべきであると考えます。
 そこで、都市計画法の改正のねらいについてお尋ねをいたします。

○梶山都市整備局長 今回の法改正では、都市の秩序ある整備に向け、大型店舗など大規模集客施設の立地可能な用途地域を、現在の六つから三つに限定するなど、規制の強化を図ろうとしているものでございます。
 また、複数の市町村に影響を及ぼすと考えられます大規模開発などにつきましては、都道府県が必要に応じ広域的な観点から調整することといたしております。

○山田委員 西東京市では、近年も着実に人口が増加し、十九万人を突破したところでもございます。このような背景の一つには、工場跡地に大規模なマンションや商業施設が立地する事例が相次いでいるということがございます。このような大規模開発は、周辺の市街地に与える影響は大変大きく、その影響につきましては、西東京市内にとどまらず、周辺市も含め広域に及ぶことが考えられます。
 工場の跡地などの大規模な開発に当たっては、計画的なまちづくりを目指すべきであり、そのためには、地元の市が、法改正のねらいを踏まえ、主体的に取り組むべきだと思いますけれども、しかし、都としても、広域的な観点からかかわり合いを持つべきと考えますが、都の見解を伺います。

○梶山都市整備局長 工場跡地の開発では、大型商業施設や高層マンションとなる事例が多く見られます。このような開発は、交通処理や景観、環境など周辺地域への影響も考慮しながら進める必要がございます。
 このため、市が主体となって、地域のまちづくりの方針との整合を図り、開発の規模などに応じた基盤の整備を初め、緑の保全あるいは建物計画などを適切に誘導していくことが重要でございます。
 都といたしましても、必要に応じ、市の取り組みに対し、広域的観点から調整を行ってまいります。

○山田委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 西東京市では、市南部にあります石川島播磨重工業の田無工場がございましたが、今回、他県へ移転するということになりました。この工場跡地は約十ヘクタールにも及ぶ大規模なものでございまして、その活用はまちづくりの観点からも大きな関心を集めております。
 報道によりますと、跡地は分割され、数社に譲渡されるようでございますけれども、それぞれがみずからの意向を優先して開発を進めてまいりますと、地区内や、あるいは周辺環境ともに調和を欠いたまちとなるおそれがございます。このため、市は、バランスのとれたまちの実現に向けて、跡地を有効に活用するよう努めておりますけれども、地権者などの同意を得ながら大規模な開発を適切に誘導することは、決して容易ではないと思います。
 このように、市だけの取り組みでは困難であり、都としても支援すべきであると考えますけれども、見解を伺います。

○梶山都市整備局長 この開発地周辺の大半は低層住宅地や農地であることから、道路が狭いなど、交通基盤が脆弱でございます。
 そこで、市は、道路の拡幅や新設など、地域にふさわしいまちづくりを誘導するため、地区計画を策定する予定だと聞いております。
 都といたしましては、この開発地が武蔵野市を初め三市に近接していることから、広域的な交通処理や土地利用のあり方など、まちづくりに関する技術的支援を行ってまいります。

○山田委員 よろしくお願いいたします。
 次に、多摩北部地域におきます都市計画道路の整備についてお尋ねをいたします。
 多摩北部地域の整備は極めておくれておりまして、とりわけ私の地元の西東京市の整備率は、多摩平均の約五〇%に対して約三〇%にとどまっております。交通渋滞の緩和などを図るためにも、南北方向の調布保谷線、あるいは東西方向の新東京所沢線など、骨格的な道路の整備が欠かせないと思います。
 先月公表いたしました多摩地域における都市計画道路の整備方針案においては、今後十年間で優先的に整備する路線を公表しており、新東京所沢線がその中に位置づけられております。
 この路線は、調布保谷線から西側の区間が現在未着手でありますけれども、多摩北部地域の道路ネットワークの形成に向けて早期整備が必要である一方、東京都と埼玉県の区域が入り組んでおりまして、都県による事業調査を要することが大きな課題であります。
 新東京所沢線の埼玉県と東京都の道路計画の整合性を図るため、これからどう取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。

○梶山都市整備局長 多摩地域では、近隣県との連携強化に資する広域的な幹線道路ネットワークの形成を図っていくことが必要であります。
 こうした中、西東京市と所沢市を結ぶ新東京所沢線は、東京都と埼玉県の行政界が交錯している地域を通る計画となっており、道路構造や施行時期の整合を埼玉県との間で図る必要がございます。このため、この路線の整備に向け、引き続き県と調整を進めてまいります。

○山田委員 西東京市を南北に貫く調布保谷線は、東京都において平成二十二年度完成を目指して整備が進められておりますけれども、本路線は市のまちづくりの基盤となる大変大事な路線でありまして、その整備については市民は大きな期待を寄せているところであります。
 また、調布保谷線と東西に接続いたします新東京所沢線は、区部の放射七号線に接続をし、西東京市、東久留米市、清瀬市を経て埼玉県所沢市に至る路線でありまして、外環大泉インターへのアクセスの向上にも資する幹線道路として早期整備が求められております。
 そこでお尋ねいたしますが、西東京市の骨格を形成する調布保谷線、新東京所沢線について、市内におきます進捗状況についてお伺いをいたします。

○岩永建設局長 調布保谷線及び新東京所沢線は、交通の円滑化を図るとともに、多摩の自立性の向上や地域の活性化に不可欠な骨格幹線道路でございます。
 現在、西東京市内の調布保谷線は、青梅街道から埼玉県境までの三・九キロが事業中でありまして、八割の用地を取得しております。本年一月には、西武新宿線と交差するトンネルのための搬入路工事に着手いたしました。十八年度は、石神井川にかかる橋梁の下部工事などを実施してまいります。
 また、新東京所沢線では、練馬区境から調布保谷線までの五百七十メートルが事業中でありまして、八割の用地を取得しております。
 今後とも、関係権利者の理解と協力を得まして、残る用地の取得に努めてまいります。

○山田委員 今お話がありましたように、ぜひ関係事業者と皆様、連携をとりながら、整備を着実に進めていただければと思います。
 次に、西東京市内におきます東伏見地域の道路、河川、公園の整備についてお尋ねをいたします。
 東伏見地域では、特別緑地保全地域であります東伏見稲荷神社を囲む東伏見公園や、あるいは石神井川の整備を進めておりまして、調布保谷線の整備と一体として水と緑のネットワークの形成を目指し、まちづくりを進めていく計画であります。
 地元では、道路、公園、河川、それぞれの事業の連携によります豊かな都市環境の形成に大きな期待をいたしておりまして、早期の整備が待たれているところであります。そうした観点から、道路、公園、河川の整備に当たり、どのように工夫して行っているのか、その点についてお尋ねをいたします。

○岩永建設局長 東伏見地区におきましては、道路、公園、河川が一体となった水と緑の新たな都市空間の整備を進めております。
 具体的には、調布保谷線の環境施設帯と東伏見公園の園路や広場をスロープで接続し、緑豊かな歩行者空間を形成してまいります。
 また、石神井川につきましては、河川の改修にあわせ、自然が残された崖線の景観を生かし、東伏見公園から練馬区の武蔵関公園に至る潤いある散策路の整備を行ってまいります。
 今後とも、各事業の一層の連携を図り、地元の理解と協力を得まして、東伏見地区の整備を着実に推進してまいります。

○山田委員 ぜひ新たな都市空間、水と緑によるというお話がございましたけれども、モデル地区となるような整備を着実に推進をしていただきますように、よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 それでは続きまして、産業振興と雇用就業対策についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、制度融資についてお伺いをいたします。
 景気の回復に向けました動きが現在、着実なものとなってまいりましたけれども、都内中小企業の中には、依然として厳しい経営環境に置かれているものが少なくありません。こうした中、我が党からの強い申し入れにこたえ、都は昨年の十一月から、年末年始特別対策として金融支援の強化に取り組んでおります。
 まず、この特別対策によりますこれまでの成果についてお尋ねをいたします。

○成田産業労働局長 特別対策の成果でございますが、年末年始特別対策といたしまして、昨年十一月から、小規模企業融資の融資対象となる従業員数の要件を緩和いたしました。この要件緩和による融資の拡大分でございますが、本年二月末までの四カ月間で六百七十一件、八十億円となっております。
 さらに、中小企業の資金繰りに迅速に対応するクイック融資におきまして、融資限度額を五百万円から七百万円に引き上げておりますが、これによる融資の拡大は、本年二月末までで九百三十件、十八億円となっております。

○山田委員 今のご説明によりますと、四カ月間で合計百億円近い融資拡大に結びついておるということで、特別対策の効果が出ていると思います。
 今回、要件緩和を行った小規模企業向け融資に加え、創業間もない企業など、経営基盤が脆弱な中小企業への金融支援は、制度融資の最も重要な役割であると思います。
 そこで、今年度の都の制度融資におきます小規模企業向けと創業企業向けの融資実績についてお伺いいたします。

○成田産業労働局長 本年二月末までの融資実績でございますが、小規模企業融資につきましては、特別対策による要件緩和の効果もありまして、二万七千九百三十六件、二千六十三億円と、融資金額は前年同月比三〇%の増加となっております。
 また、創業融資につきましては、千百九十七件、九十六億円でありまして、融資金額は前年同月比二七%の増加となっております。

○山田委員 小規模企業、創業企業向けとも、融資実績は大幅に増加しているようであります。金融支援強化の取り組みを一過性のものに終わらせてはなりません。新年度に向けてさらなる金融支援の充実を図るべきであると思います。
 中でも小規模企業向けの融資の要件緩和は、有利な政策金利によりまして融資対象を大幅に拡大するものでありまして、平成十八年度以降も継続して実施すべきものと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

○成田産業労働局長 ご指摘の小規模企業融資につきましては、従業員数の要件緩和の措置を継続実施いたしまして、経営基盤が脆弱な小規模企業等の資金調達の円滑化に努めてまいります。
 これを含む平成十八年度の制度融資では、過去最高の融資目標額一兆七千五百億円を維持するとともに、経済、金融環境の変化に適時適切に対応した金融施策を講じ、中小企業を金融面から積極的に支援してまいります。

○山田委員 ぜひさらなる金融支援の充実に向けて、今後も努力をしていただければと思う次第であります。
 次に、中小企業の国際的ビジネス機会の拡大についてお尋ねをいたします。
 アジア各国が驚異的な経済成長を遂げ、アジア地域内の貿易が拡大している中、都内の中小企業にとって、海外展開はもはや他人事ではなくなっていると思います。しかし、都内の多くの中小企業は、大企業と違いまして国際ビジネスの経験が乏しいために、海外展開に向け数多くのハードルを越えなければなりません。したがって、都内中小企業が海外展開を円滑に進めるためには、現地のビジネス情報や国際ビジネスに関するノウハウの提供など、行政の支援が非常に重要であると思っております。
 そこで、都内中小企業の国際的ビジネス機会の拡大に向けた、今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。

○成田産業労働局長 お話のように、都内の中小企業が取引を増加させる上で、海外での事業展開は極めて重要でございます。都はこれまで、見本市への出展支援や取引あっせん等により、中小企業の海外販路開拓を支援してまいりました。
 来年度はさらに、海外事業展開支援セミナーを開催するとともに、海外でのビジネス経験豊富な企業OB等を活用した、マン・ツー・マン方式によりますきめ細かい支援を実施するなど、都内中小企業の海外事業展開を積極的に支援してまいります。

○山田委員 今ご説明いただきましたように、中小企業の海外展開というものも大変大事なことであります。と同時に、都内中小企業の皆様の新たなビジネスパートナーとなり得る外資系企業を、逆にこちらの方に積極的に誘致するということも重要であると思います。
 今後、外資系企業の定着促進に加え、外資系企業の誘致にも積極的に取り組んでいただき、都内中小企業のビジネス機会の拡大を図っていくべきであると思いますけれども、外資系企業の誘致に向けました今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○成田産業労働局長 外資系企業の誘致に向けた取り組みについてでございますが、まず、昨年開設いたしました外資系企業向けのワンストップの総合窓口であります東京ビジネスエントリーポイントにおいて、これから東京に進出しようとする外資系企業に対する情報提供、相談機能を充実させてまいります。
 さらに、来年度はヨーロッパにおきまして、都の魅力をアピールする企業誘致セミナーを、従来から実施しております東京ショーケースとあわせて開催するなど、外資系企業の誘致を促進し、都内中小企業のビジネス機会の拡大につなげてまいります。

○山田委員 ぜひ今後とも中小企業に対する支援策に積極的に取り組み、働きかけることをよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 それでは続きまして、商店街の活性化についてお伺いをいたしたいと思います。
 都内商店街は依然として厳しい状況にありますけれども、一方で、消費の拡大傾向や都心回帰によります人口増、高齢化の進展によります商店街機能の再評価、団塊の世代の地域進出など、明るい材料も出てまいりました。
 私は、商店街はこうした変化をとらえ、地域のニーズを上手に活動に生かして、イベント一つ実施するにも、住民が地域に愛情と誇りを持てるようなシンボル性のあるものにして、新しいコミュニティを自分たちでつくり上げていくことが大変大事だと考えております。
 例えば、私の地元の田無の商店街では、関東一と呼ばれました伝説の仮装大会を復活いたしまして、七十年以上続く盆踊りとあわせ実施をして、大変市民の方から評価をいただいております。また、まちの活性化にも大いに役立っております。このことによりまして、昨年の第一回東京商店街グランプリで優秀賞をいただいたわけでもございます。
 また、ひばりが丘の商店街では、デザインを市民の方から公募して、入選作をお店のシャッターに描くという、シャッターアートコンクールを実施いたしまして、これも市民参加の商店街づくりとして人気を博しております。
 商店街がコミュニティの核としての求心力を高めて、まちに活気とにぎわいを取り戻すためには、こうした住民参加型の事業がさらに促進されるよう、都としても支援する必要があると思いますが、所見をお伺いいたしたいと思います。

○成田産業労働局長 お話の田無の商店街のイベントは、地域の伝統文化の継承を核とした幅広い住民参加が評価され、優秀賞を受賞したものでございます。また、ひばりが丘の商店街の取り組みは、市民が商店街をデザインするユニークな活動でございます。これらは、活動の担い手の不足に悩む商店街を活性化させ、コミュニティの再生にも効果があると考えております。
 このため、都は来年度、町会や地元企業、団体等との連携によるすぐれた取り組みを支援する地域連携型モデル商店街事業を拡大するほか、フォーラムの開催などを通して住民参加型の事業展開を積極的に促進してまいります。

○山田委員 一方、商店街は、コミュニティの核として求心力を高めても、商業集積としての本来的な魅力がなければ、継続的な活気とにぎわいは生まれません。商店街が消費者にとって魅力のある場所であるためには、住民との間に築いた強い結びつきや地域ネットワークを活用して、地元の野菜など地場産品の販売、あるいは一人一人に応じたきめ細やかなサービスなど、付加価値のある顧客密着型の商法で大型店舗との差別化を図ることが必要だと思います。
 そこでお尋ねいたしますけれども、地域特性に応じた魅力ある商業活動を展開するための商店街の取り組みに対する都の支援策についてお伺いをいたします。

○成田産業労働局長 一つのお店ですばらしいものを提供する一店逸品運動や地産地消、地域ブランド開発など、地域特性に応じた付加価値の高い商品を提供することは、商店街の活性化に効果的でございます。例えば、日本初の国産ビール工場が近くに建てられていた商店街では、古来からの日本酒酵母を使った地ビールを開発し、これを起爆剤に地域ブランド戦略を展開し、評判を呼んでおります。
 都は、今後も、新・元気を出せ商店街事業を活用するほか、商店街に専門家を派遣するなど、地域特性を生かした魅力ある商業活動を重点的に支援してまいります。

○山田委員 次に、若者の雇用就業支援の取り組みとして、職人塾についてお伺いをいたします。
 職人塾は、ものづくりに興味のある若者を後継者不足に悩む職人のもとに弟子入りをさせ、そしてものづくり現場を体験させる事業と聞いております。この事業は、二〇〇七年問題が迫る中で、中小企業における後継者育成と若者の就職支援という二つの課題にこたえる、いわば一石二鳥の事業であり、来年度もしっかり取り組んでいくべきと思いますけれども、まず見解をお尋ねいたします。

○成田産業労働局長 お話の職人塾は、昨年八月より、建て具や貴金属工芸など九業種の事業所で受け入れを開始いたしました。応募者は百名を超え、そのうち二十九名が入塾し、一カ月間の実習終了後、実習事業所を含め関連業界に八名が就職したところでございます。
 若年者の就業支援やものづくり後継者の育成という点で、効果的な事業であったと認識しておりまして、来年度は定員を三十名から四十名に拡大して実施するとともに、今後、業種及び受け入れ事業所の拡大に努めてまいります。

○山田委員 来年度は、技術専門校においても若者の就職支援科目を新たに設けるなど、訓練の充実を図ると聞いておりますが、その一方で、平成十九年四月入校生より、授業料等の一部有料化が提案されております。多くの都民が民間教育機関を利用し、高額な授業料をみずから負担して能力開発に取り組んでいるという話を聞きますと、負担の公平性という点ではある程度の有料化は是とするものであります。
 しかし、授業料の有料化に当たっては、訓練生が実感できるような訓練の質の向上や経済的困窮者への配慮など、きめ細やかな対応が必要と考えますが、見解を伺います。

○成田産業労働局長 授業料等の一部有料化なども含む技術専門校の改革に当たりましては、産業界の人材ニーズに的確に対応し、訓練サービスの質の向上を高めてまいります。
 このため、資格受験のための対策の強化、設備の高度化や経験豊富な団塊世代の講師活用に取り組むとともに、しごとセンターと連携し、就職支援体制を強化してまいります。
 また、生活困窮者や障害を持つ方々などに対しましては、授業料の減免だけでなく、徴収猶予の仕組みを導入するなど、きめ細やかな対応を行ってまいります。

○山田委員 よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 最後に、ホームレス対策についてお伺いをいたします。
 私は、一昨年の十一月に、東京都議会海外視察団の一員といたしまして、アメリカのニューヨーク、シアトル、ロサンゼルスの三都市を訪問し、都が直面している重要課題をテーマといたしまして調査をしてまいりました。ロサンゼルスではホームレス支援施設を視察いたしましたけれども、面接から就職に至るまでのさまざまな手続を一カ所で行えるワンストップサービスや、施設を運営している民間団体の活躍に感銘を受けた次第であります。
 ホームレス問題は、世界の大都市が抱える共通の課題であり、その解決に向けて官民一体となった取り組みの必要性を強く認識したところであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、この二年間、ホームレス対策といたしまして、ホームレス地域生活移行支援事業を実施されております。これまでの取り組みの成果と課題、そして今後の取り組み、そしてまた、このホームレス地域生活移行支援事業の今後の取り組みについてお尋ねをいたします。

○平井福祉保健局長 ホームレスの地域生活移行支援事業は平成十六年六月から事業を開始したものでございますが、この二年間で、戸山、新宿中央、隅田、代々木、上野の五公園から計千百九十人が借り上げ住居へと移行いたしました。現在、就職活動などを行い、地域での自立を目指しております。
 事業の利用者が早期に自立し、借り上げ住居から一般の住居へ移行できるよう、今後はこれまでの取り組みに加え、新たに職場体験講習から就職後の定着指導に至るまでの一貫した支援を行ってまいります。
 また、来年度は、隅田川流域等でこの事業を実施する予定でございます。
 引き続き、ホームレスの自立支援に努めるとともに、あわせて施設管理者などと連携して、公園などの適正な利用も実現してまいりたいと考えております。

○山田委員 ところで、この事業では、面接相談を行った民間団体が公園のテントを直接訪問し、親身になって相談に乗ってきたことが非常に効果的であったといわれております。都内には、減少したとはいっても、まだ三千人を超える者が路上生活をしており、今後はこうした現場に積極的に出向き、きめ細やかな対応をするという手法をホームレス対策全体に取り入れていくべきだと考えます。
 そこで、平成十八年度から新たに実施いたします巡回相談事業についての考え方をお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○平井福祉保健局長 平成十八年度から新たに実施いたします巡回相談事業は、二つの内容を持ってございます。
 一つは、相談員が公園や河川等に直接出向きましてホームレスに面接相談を実施することによりまして、健康面や生活面での状況を把握、そして緊急一時保護センター及び自立支援センターの紹介、利用のあっせん等を行うことでございます。
 もう一つは、自立支援センターを退所し、地域で生活している方々が再び路上生活に戻ることのないようにアフターケアを行うことでございます。
 今後とも、特別区とも協力しながら、地域における安定した生活の実現に向けた支援に努めてまいります。

○松原委員長 山田忠昭委員の発言は終わりました。(拍手)

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