東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○新藤副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 林田武委員の発言を許します。

○林田委員 自民党の林田武です。よろしくお願い申し上げます。
 私は、今の都政は、石原知事のまれに見る強いリーダーシップ、東京から日本を変えるという政治信念、行動力に負うところが多いと思っております。知事に対する都民の支持率が高いことでも証明していると思います。
 知事は、バブル崩壊後の赤字財政を立て直すために、第一次、第二次財政再建推進プランを着実に進め、今日の景気の上向きもあって、平成十八年度一般会計予算は五年ぶりに六兆円を超え、都税収も十三年ぶりに四兆五千億円を超えて、今後の施策にゆとりができたと思っております。
 平成十八年では、七つの重要施策、二十の重点事業を掲げました。総事業費五百六十一億円、また、予算の中で目玉の一つが、オリンピック招致のための一千億円の積立基金であります。二〇一六年にオリンピックが東京で開催となれば、新しい東京への大きなステップとなるに違いありません。
 未来に向けた建設的な施策はもちろん重要でありますが、大都市の環境問題に広域的、先駆的に対応する施策も大事だと思っております。
 私は、知事の著書「国家なる幻影」に共感をしております。その中で知事が環境問題に触れ、環境問題というのは、経済成長という国家にあって、絶対に近いテーゼに対してアンチテーゼの問題であると申されました。日本は戦後、高度経済成長は善であるというテーゼのもとに歩み続け、まさに環境破壊というアンチテーゼの問題をどのように修復していくか、私たち人類の存亡にかかわる大きなテーマだと思っております。
 石原知事が断行されたディーゼル車排ガス規制はその一つだと思っております。知事がペットボトルを掲げ、東京のきれいな空気を取り戻そう、このボトルの中の黒いすすが一日十二万本も車からまき散らされているんですよといって呼びかけ、実行され、今、約五万本にまでなりました。
 私は西多摩地区選出の都議会議員であります。私に課せられた大きな課題は、東京の森林再生を思い切って進めることであります。西多摩の森林からきれいな空気、きれいな水を都民に提供するためにも、荒廃した森林の再生をしなければだめだと訴え続けてまいりました。
 新しい施策の中に、東京都が花粉症対策を重点施策に加えていただきました。花粉症対策は、まず発生源をどうするか、それは同時に、東京の森林をいかに再生するかということであります。都議会においても、我が党の呼びかけによりまして、花粉症対策を強力に進めるため、議員連盟をつくる準備を進めております。
 そこで、まず知事に、花粉症対策を進めていこうと決められたその思い、決意を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○石原知事 人間というのは、やはり我が身のことになりませんと問題意識を持たないものでありまして、私、昨年、春先にあきる野のインターチェンジの開通式に参りました。ヘリコプターで向かいますときに、会場のあたりにベージュ色のかすみがたなびいておりまして、あれは桜の咲く前に春がすみかねといったら、いや、あれは花粉でございますと。嫌な予感がいたしましたが、そこへ着陸しまして、一時間半おりましたら、私だけじゃなしに、同行しました屈強の若いSPも全部その夕方から発症いたしまして、それは非常に、今まで味わったことのない違和感でありまして、以後、私、去年、夏まで非常に苦労いたしました。
 ことしは、秋田さんなんかも、いい薬をもらって防いでいるせいか、去年ほどじゃないんですけれども、いずれにしろ、これは本当に、調べ直してみると、首都圏では四人に一人が被害をこうむっているというのに、何で今まで--東京都にしろ国にしろ、全国で六人に一人ということですが、これが問題化されなかったのか理解に苦しむわけですけれども、私自身も認識を持ち切れなかったのが、自分の体験でそういう認識を持つに至りました。
 おっしゃるとおり、多摩の森林は、非常に安価な外材の輸入によって非常に荒廃に追い込まれました。これはやっぱり国の、林業に限らず、一つの大きな失政、複合的な失政だと思いますが、このことは環境破壊と同様に、安易な経済的合理性を追求してきた帰結として、私たちが喪失したものの顕著な例だと思っております。足元の国土や環境を私たち自身が守るという自覚を持ち、多摩の森林を再生する必要があると思います。
 国が余り動きませんでした。ほとんど今でも動いておりませんが、この間、環境省の小池君に会って話しましたら、胸を張って、やってますよ、何をやっているんだろう、花粉情報を流しているという。情報を流すぐらいで、そんなもの何の対策にもならぬじゃないかといったんですが、いずれにしろ、都も、国に先駆けて、全国的に先駆けて主伐に取り組み、抜本的な森林再生に踏み出すことにいたしました。
 都議会でも花粉症対策の議員連盟を結成していただくそうでございまして、これは大変心強い思いですが、とにかく力を合わせて、少し時間がかかるでしょうけれども、とにかくやるんだという意思表示を示すことが、都民、国民にとっての一つの安心につながると思っております。

○林田委員 ディーゼル車排気ガス対策の次は花粉症対策でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 そこで、花粉症対策は、まず花粉症の発生源、花粉を大量に発生する杉をどうするかということであります。都は平成十八年度予算の重点事業の中に、東京都の環境問題に広域的、先駆的に対応する施策ということで八十六億円を計上していただきました。その中で、総合的花粉症対策として三十四億円という予算を組んでいただきました。
 都でも指摘されているように、花粉症患者が年々ふえ続けている原因は、杉林の伐採が進まず、花粉を大量に発生する三十年生杉が多摩地区の人工林で八割を占めていることが挙げられております。この物すごいスギ花粉退治に、都が、知事のご英断により、国や他県に先駆けて、杉林の伐採を進め、花粉の少ない杉への植えかえに踏み出すことになりました。多摩の杉林の現状に憂慮していた私にとりまして、これで森林再生が進行する、待ちに待った施策であり、感謝いたしております。
 申し上げるまでもなく、森林への根本治療は、植樹して、保育して、伐採して、出荷する循環サイクルが不可欠であります。この事業を進める中で、伐採の対象となる杉林は、花粉が発生するとはいえ、人々が長年かけて植樹し、育ててきたものであり、森林所有者の中では、自分の山がどうなってしまうのかという不安もあります。
 また、現在、低い木材価格ではなかなか伐採が進まないというのが実態であります。伐採はどうしても必要ですが、杉林をどのように伐採するかが問題であります。都の所見をお伺いいたします。

○成田産業労働局長 花粉発生源対策として進めます主伐事業は、伐採した木材の搬出に適した杉林を対象に、森林所有者を都が支援しながら順次進めるものでございます。
 事業の実施に当たりましては、森林所有者の理解と協力を得まして、当面十年間で林業対象と想定される森林の十分の一に当たります千二百ヘクタールの伐採を進める予定でございます。
 伐採後には、おおむね花粉の量がこれまでの十分の一と見込まれる杉苗の植樹を進め、木材の生産林といたしまして、お話の植栽、保育、伐採の循環を確保してまいります。

○林田委員 木材を伐採し、出荷して利用される、そして、林業の採算性を確保するためには、木材生産におけるコスト削減が重要であります。
 しかし、従来の林道だけでは、現実は木材が搬出できない状況にあります。木材を低コストに搬出するためには、作業道がどうしても必要となります。今後の作業道整備についての考えを伺います。

○成田産業労働局長 多摩の森林は、山が急峻であるため、他県に比べ林道の整備が難しく、今後、生産林全体に整備が必要な三百二十八キロメートルに対しまして、一年間に二・三キロメートルの開設にとどまっております。
 しかし、主伐作業に伴う木材の搬出のためには、機械化の促進と搬出道路の整備が急務でございます。このため、林道の整備とともに、簡易な作業道の整備も進めてまいります。

○林田委員 作業道を整備し、有効に活用してこそ、林業生産活動のコストを削減できるわけであります。着実に進めていただきたいと思います。
 次に、伐採した杉をどうするか。多摩産材として需要拡大を図ってこそ、林業としてのサイクルは展開するわけであります。現実では多摩産材の需要がふえない、十年間で一千二百ヘクタールの伐採をするということですが、現在の需要量から考えて、伐採後の木材が速やかに流通するのか、不安であります。
 そこで、多摩産材の需要が進まない理由として、木材の量がそろわない、品質にばらつきがあるなどの課題がある中で、これから生産される大量の木材をどのように利用していくのか、伺います。

○成田産業労働局長 日本は、今日でも世界第三位の木材輸入国でありまして、現在の東京におきます木造住宅における木材需要は、六百万本でございます。
 一方、多摩産材の出荷量でございますが、十年前には東京の需要の三十分の一に当たる年間約二十一万本だったものが、昨年度は約二万八千本にまで落ち込んでおります。このたびの主伐事業では、一年間の出荷量を十年前と同程度に見込み、利用の拡大を図ってまいります。
 このため、多摩産材のコスト削減や品質向上によりまして、柱などの製材として利用するほか、合板材料や製紙原料としての活用にも取り組んでまいります。

○林田委員 現在の木材の伐採、搬出作業及び流通形態を見ますると、一部では機械化が進んでいるとはいえ、旧来の方法にとどまっているというのが実態であります。
 今後、さらなる作業の改良、流通の改善が必要だと思いますが、都の対応について伺います。

○成田産業労働局長 木材の伐採、搬出、流通の手法につきましては、全国的な林業の低迷により、残念ながらその改良、改善が進んでおりません。
 都では、昨年度、コスト削減のため集材機と丸太切断機の導入を支援いたしましたが、特に多摩の急傾斜地では、木材を円滑に搬出するための、なお一層の機械の改良や作業方法の改善が必要でございます。また、新たに流通販路の開拓も必要となります。
 このため、今回の花粉発生源対策を契機に、首都大学東京等と連携し、搬出技術の開発や販路拡大のための製品開発など、流通対策に取り組んでまいります。

○林田委員 作業道の整備を進めること、木材の流通、活用への取り組みについては、今後とも積極的に進めていただきたいと思います。
 ところで、花粉の多い杉から花粉の少ない杉に植えかえるといっておりますが、伐採した後に良質な苗木を植えるということであります。しかし、聞くところによりますと、杉の苗木については、都における現状の取引量は少なくて、花粉の少ない杉の苗木が確実に確保できるのかという不安があります。花粉の少ない杉の苗木の育成、確保についてどのように行うのか、伺います。

○成田産業労働局長 花粉の少ない苗木につきましては、既に都が開発した苗木を育成しているところでありまして、また、周辺県の協力も得て、必要量を確保する予定でございます。これによりまして、十八年度の伐採予定面積二十五ヘクタールの植樹に必要となる七万五千本の苗木につきましては、既に確保のめどがついております。
 なお、杉の苗木の育成には二年から三年を要することから、将来にわたり花粉の少ない杉の苗木を安定的に確保するため、種子の効率的な増殖技術の研究を進めるとともに、都内での確実な育成に努めてまいります。

○林田委員 苗木を他県から調達するということですが、西多摩地区では以前から苗木の生産を行っております。そこで生産した良質な苗木の利用に努めていただきたいと思います。
 ところで、西多摩の森林は、かつて国策で、現在、人の手の届かない尾根筋まで杉やヒノキが植えられており、山を訪れる観光客が見ると、単調な黒い森となっております。このため、地元の市町村や観光関係者から、春には新緑が、秋には紅葉が楽しめる森をつくってほしいという要望があります。
 今回の花粉症発生源対策を進めるに当たっては、花粉の少ない杉への転換だけではなく、尾根筋等では広葉樹の植栽を進め、季節感が楽しめる豊かな森の造成にも力を入れてほしいと思います。強く要望しておきます。
 次に、水道水源林の管理について伺います。
 東京都の水道水源林は、東京の貴重な緑と水であります。申し上げるまでもなく、水道水源林は緑のダムともいわれる保水力を有し、多摩川の安定した水量確保に役立っております。水道水源林は二万二千ヘクタールという面積で、山手線内の三・五倍という広大なものであります。管理も大変だと思います。
 水道局では、これまでどのように水道水源林の管理に取り組んできたのか、伺います。

○御園水道局長 水道水源林の管理でございますが、明治三十四年に当時の東京府が荒廃の進んだ森林を国から譲り受けまして、造林等の事業に着手したことに始まっております。その後、地元関係者等の協力も得ながら、一世紀以上にわたり保全管理に努めてまいりました結果、現在の緑豊かな森林を形成するに至っております。
 管理に当たりましては、長期的な視点に立つことが必要であることから、これまでおおむね十カ年ごとに管理計画を策定し、森林保全事業を初め、治山工事や林道整備等に取り組み、水源涵養機能等、水道水源林の有する公益的機能の一層の向上に努めてまいりました。
 現在は、平成八年度から十七年度を計画期間とする第九次の計画に基づき、水道水源林の管理に努めております。

○林田委員 水道局では、将来を見据え、次期計画においても引き続き適切な管理が行われることを期待いたします。
 さて、近年、民間の森づくり活動が活発となり、民有林の保全のため、水道局でも平成十四年に多摩川水源森林隊を設立し、ボランティア主体で森林安全に取り組んでいると聞いております。このように、民間活動と水道局が協力連携していくことが大切だと思っております。
 特に、最近では全国的に森林におけるブナ枯れが急速に拡大しているため、水源の確保のため、単に維持管理だけでなく、積極的な植林も必要だということです。こうした取り組みを、水道局として、さらに民間の森づくり活動と協力連携していく施策があれば伺います。

○御園水道局長 多摩川上流域には、当局が管理する水道水源林のほか、同等な面積を有する民有林が存在しておりまして、水源涵養機能等の維持向上のためには、民有林の保全も重要であります。
 このため、民有林の所有者や、整備保全活動を行っております森林ボランティア団体等と、今後一層協力連携していく必要があると考えております。
 現在策定中の第十次水道水源林管理計画では、これまでの取り組みに加えまして、地元の皆さんやボランティア団体などとの協力を得ながら、ブナ、ミズナラなどの広葉樹を種子から育てて山に返す活動など、民間と連携して森林の再生に取り組む新たな施策を展開してまいります。

○林田委員 東京都の水源林は、奥多摩町から山梨県丹波山村、小菅村、甲州市までまたがる広大な森林を有しているわけですが、二酸化炭素の吸収源として森林は大きな役目を果たしていることは申し上げるまでもありませんが、近年、森林の機能として、健康増進や心身のいやしといった森林セラピーが注目されております。
 水道局では、第十次水道水源林管理計画が平成十八年から策定されるわけですが、策定に当たっては森林セラピーの考え方を取り入れ、都民が水源林に一層親しめるような取り組みを進めるべきだと思いますが、ご所見を伺います。

○御園水道局長 第十次水道水源林管理計画では、安全でおいしい水は豊かな森林からという基本的な考え方のもと、将来にわたり東京の水源を守っていくため、長期的な視点に立って水源林の保護育成に取り組み、水源涵養機能等の一層の向上を図ってまいります。
 ご指摘のとおり、森林は地球温暖化防止や健康増進など、多くの恩恵を人々に与えてくれるものであることから、今後、こうした多様な機能を一層重視した取り組みを進めていく必要があると認識しております。
 こうしたことから、次期計画では、森林のいやし効果も視野に入れつつ、都民が水道水源林に一層親しめるような施策を展開してまいります。

○林田委員 次に、森とまちと緑の連携事業について伺います。
 本年二月十日付の毎日新聞ですが、中央区で平成十八年度予算に、地球温暖化対策で檜原村を中心に奥多摩地域の森林保護に一千二百十五万円の補助金を、という記事が載っておりました。詳しい内容を知りたいために、早速、環境局に伺いました。
 中央区では、企業等の事業活動や大規模な事業所ビル等の建設が相次ぎ、エネルギーの消費が増大している。区としてこういう特性を踏まえ、より効果的なCO2削減策として、建築物の省エネルギー化の誘導や公園や緑地の拡充、河川護岸の緑地を進めているものの、地価の高い中央区にとって、新たに用地を確保して緑化することは無理である。それならば、檜原村、奥多摩町など森林を有する自治体と協力し、森を守り、育てていくことが大切である。中央区の森を山林自治体につくろうというわけなんです。中央区森とみどりの基金を創設して、地球温暖化防止に都心から努力していこうということであります。この中央区と、区内の事業所の発想とご努力は大変すばらしいことだと思いました。
 地球温暖化対策、ヒートアイランド対策を進める中で、東京都全都の発想で挑戦するこの施策を、都環境局としてどのように評価し、また、何らかの形で都は協力できないものか、ご所見を伺います。

○大橋環境局長 中央区の取り組みは、町に住む人たちが、お話の檜原村などでの自然体験や環境学習を通じて、自然を理解し親しむことにより、荒廃している森を育て守る、そういうことにつながると考えております。これは、自治体間の交流を深めるだけではなく、多摩の森林の利用、保全にとっても意義のあることだと思います。
 都は、このような自治体間の連携を支援する森と町の縁結びを、ほかの自治体にも広げていくよう、積極的に進めてまいります。

○林田委員 次に、横田基地におけるCO2対策について伺います。
 私は、このことについて昨年の一定で質問させていただいた経過がありますが、今回、米軍横田基地が在日米軍再編という新しい局面を迎えたことと、昨年七月の都議選で新しく議員になられた方々にも、横田基地におけるCO2の現状を知っていただきたいと思いまして、改めて問題を取り上げさせていただきました。
 米軍横田基地から排出されるCO2、二酸化炭素の量は、地球温暖化対策計画制度の対象となる一千五百キロリットルの実に二十倍、年間およそ三万キロリットル、ドラム缶にして十五万本のオイルをボイラー燃料として消費しております。
 この米軍横田基地から発生する公害について、地元福生市から請願が出されました。地球温暖化対策、ヒートアイランド対策が人類の生命を守るために重要な施策とされている今日、いかに米軍横田基地とはいえ、オイルは安いということでCO2を大量に発生させてよいわけがありません。都内の大規模事業者のCO2削減を都が促している中で、米軍横田基地が治外法権でCO2たれ流しということは、許されることではありません。
 都議会では、福生市民の請願を受け、当時の自民党議員全員が紹介議員となり、問題解決のために採択していることは、ご承知のとおりであります。
 まず一点、お伺いいたします。
 米軍横田基地内のボイラーが老朽化し、新規ボイラーに取りかえが進んでいると聞いております。そして、新しいボイラーはオイルと天然ガスの併用ということですが、現在までの工事の進捗状況はどうなっているのか、伺います。

○大橋環境局長 防衛施設庁によれば、老朽化したボイラーの改築工事を、中央地区、西地区、東地区の順に進め、既に中央地区、西地区については軽油と天然ガスの併用型ボイラーに切りかわっております。
 東地区については、今年度中に工事を発注し、平成十九年度には工事が完了する予定であると聞いております。

○林田委員 ちなみに、オイル燃料を天然ガスにすべて転換すると、CO2の発生を一万八千百三十三トン、およそ二五%削減できるとのことであります。この一万八千百三十三トンというのは、林野庁の試算によると、五十年生杉で一年に十四キロのCO2を吸収するので、約百三十万本の杉に換算されるという数字が示されております。
 現在、在日米軍再編協議の中で、米軍横田基地が自衛隊と共同使用される方向で検討されているということでありますが、共同使用ということになれば、基地内の施設も増設され、使用するエネルギーも増大することが容易に想像できます。
 そこで次の質問ですが、ボイラーの取りかえは予定どおり順調に進んでいることはわかりました。重要なことは、CO2の発生が少ない、地球環境に優しい燃料への転換の実現を早期に進めてもらいたいということであります。
 防衛施設庁によれば、ボイラーの取りかえ工事を進めるとともに、基地内のガス配管についてもルート調査を行い、現在、米軍と具体的なルートについて調整を進めているということですが、都としても、CO2の発生を抑制するため、少しでも早く横田基地の燃料転換が実現するよう、引き続き国に働きかける必要があると思いますが、所見を伺います。

○大橋環境局長 都は環境確保条例を改正し、都民及び都内事業者に対し、地球温暖化対策の取り組みの強化を求めているところでございます。
 防衛施設庁が進めている米軍横田基地のボイラー改修工事においても、燃料を天然ガスに転換した場合には、CO2削減量で二割以上の削減効果が見込まれることは、ご指摘のとおりでございます。
 これまでも、国に対して米軍横田基地の地球温暖化対策の推進について要望してきたところでございますが、今後とも引き続き、国及び米軍に対し地球温暖化対策を進める立場でこの問題に積極的に取り組むよう、求めてまいります。

○林田委員 要望させていただきたいと思います。
 平成十七年一定で、私は知事に一般質問させていただきました。そのとき、知事のご答弁は、東京都は環境確保条例を改正し、先駆的な制度を導入し、都民及び都内事業者に対して地球温暖化対策の強化を求めており、都内の米軍施設が東京都にありながら都の姿勢と逆行することは許されるわけはないと、強く申されました。
 知事は、地球温暖化対策を進める中、現在の米軍横田基地から排出する大量のCO2に対して、はっきりノーといっていただいたわけであります。
 今回、特に在日米軍再編の中間報告が昨年十月二十九日に発表され、この三月末に最終報告が出されると伺っておりますが、ほぼ中間報告の内容のようだといわれております。
 府中の自衛隊が横田の米第五空軍司令部と併置されるといわゆる軍軍共用になる。米軍横田基地から発生するCO2の削減についても、自衛隊が併置され、日本人が共用となると、現状も変わるのではないかと思います。今後、都として、この問題を重要課題の一つとして、国や米軍に対して引き続き強く求めていくよう、要望いたします。
 次に、西多摩の地域の中で、懸案の道路整備事業と河川改修について伺います。
 まず、奥多摩町で現在進行中の多摩川南岸道路と、同時に、あきる野市、檜原村に至る秋川南岸道路について伺います。
 私は、この道路の促進方について、都議会で一般質問をさせていただき、要望もさせていただき、機会あるごとに地元の声を代弁させていただいております。地元では一日も早い完成を指折り数えて待っていることを、ご理解していただきたいと思います。
 西多摩地域は、緑豊かな自然や温泉施設を初めとする観光資源が豊富であり、東京の奥座敷といわれていることは、今さら申し上げるまでもありません。この時期、もうすぐ梅の花が咲く季節となり、春、夏、秋と、観光シーズンに入ります。多摩川、秋川沿いの幹線道路が一路線しかなく、観光シーズンの交通渋滞は著しいものがあります。万一事故が起こると一層交通麻痺となり、地元住民の生活にも影響を及ぼしております。
 また、平成十六年に発生した新潟中越地震を見るまでもなく、地震により山間部の被害により、交通、通信の途絶された山古志村の例があります。町や村が孤立するおそれを抱えております。
 昨年は、台風七号と十一号の影響でそれぞれの幹線道路が交通どめとなり、沿線住民が孤立状態となりました。奥多摩町や檜原村へもう一路線の代替道路の整備実現は、地元の強い願望であります。
 現在進められている多摩川と秋川南岸道路の整備の進捗状況と、今後の見通しについて伺います。

○岩永建設局長 多摩川と秋川の南岸道路は、防災性を向上させ、地域の生活を支える重要な道路でありまして、多摩リーディングプロジェクトにも位置づけられております。
 多摩川南岸道路の整備によりまして、奥多摩駅の周辺ではルートが二つとなり、災害時における避難路の確保や交通の円滑化が既に図られております。さらに、昨年完成した神庭東橋に引き続き、平成十八年度から城山区間の整備に着手する予定であります。
 また、秋川南岸道路は、山田大橋から五日市トンネルまでの二キロを既に供用し、残る秋川街道までの〇・四キロでは、昨年十月から橋梁工事などに着手いたしました。
 今後とも国費などの財源確保に努め、地元関係者の理解と協力を得て、これら区間を早期に整備してまいります。

○林田委員 確かに、建設局では本当に努力していただいていると、私も思っております。しかし、なお一層よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、河川整備の中で、一級河川残堀川の改修について伺います。
 昨年九月の大雨で、神田川流域を初めとする多くの河川で水害がありました。改めて治水対策の重要性を認識したところであります。
 西多摩において特に市街化が進んだ残堀川では、その流域の方々の河川整備に寄せる期待は大きいものがあります。
 残堀川は、昭和四十年代の後半に都市計画決定され、以来今日まで、約三十年にわたる長い間整備が行われてまいりました。この間、昭和五十七年の台風や平成四年の大雨の際には、未整備区間で大きな水害もありました。
 その残堀川も、いよいよ瑞穂町の最上部まで整備が進んでまいりましたが、残堀川の整備状況及び残り区間の整備予定はどうなっているのか、完成予定はいつになるのか、お伺いいたします。

○岩永建設局長 残堀川は、多摩地区におきまして重点的に整備を進めていきました河川の一つでありまして、平成十七年度末の整備率は九九%でございます。
 現在、瑞穂町の都道第一六六号線との交差部におきまして、道路下をトンネルで横断する工事を実施しております。引き続き最上流部である狭山池までの残り約百四十メートルの区間につきまして、十八年度から三カ年で整備していく予定でございます。

○林田委員 河川は、洪水対策とあわせて、都市の中の自然を感じることのできる貴重な場所であります。散歩をしたり、泳ぐ魚を眺めたり、野草や野鳥の観察をしたり、さらに、町の景観をつくるというさまざまな機能を持った空間であります。残堀川の水源である狭山池、公園に隣接している都道一六六号線から最上流部の狭山池に至る区間や、改修により生じた旧川部についても、公園利用者や地域住民に配慮した整備をすべきだと思いますが、今後どのような取り組みを行うのか、伺います。

○岩永建設局長 狭山池公園につながる最上流部は、お話のように川沿いに桜並木などがありまして、地域に親しまれている箇所でございます。整備に当たりましては、水辺に近づきやすい緩やかな護岸の採用や、既存の樹木を可能な限り保全するなど、公園の景観と調和した整備を進めてまいります。
 また、旧河川の活用につきましては、例えば、都道との交差部付近で、旧河川のトンネル部を生かし、公園と町の中心部を結ぶ歩行者空間として再生してまいります。今後とも、まちづくりと連携した旧河川の活用につきまして、地元の町と検討を進めてまいります。

○林田委員 ありがとうございました。
 最後に一言申し上げたいと思います。
 東京都では、昨年、多摩振興のために、多摩リーディングプロジェクトを策定いたしました。都の事業と市町村事業、国等事業との連携についても今後一層求められるとして、三つの柱により多摩振興を展開していくことになりました。一つ、都が重点的に取り組む多摩重点推進事業の推進、二つ、国や関係機関が主体となる国等事業の促進の働きかけ、三つ、市町村事業への支援を掲げたわけであります。
 私たち西多摩地域では、この三つの柱を大いに期待しております。森林再生事業、多摩川、秋川の河川対策、多摩川、秋川南岸道路を初め、おくれている都市基盤整備、そして横田基地への対策など、まさに東京都がやるべき施策、課題が山積しております。ぜひ多摩リーディングプロジェクトを着実に実行していただきたいと申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○新藤副委員長 林田委員の発言は終わりました。

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