東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○大塚副委員長 藤井一委員の発言を許します。
〔大塚副委員長退席、鈴木(貫)副委員長着席〕

○藤井委員 質問に入る前に一言申し上げます。
 昨日、我が党の中嶋理事の総括質疑の中で、共産党の主張とは異なり、福祉保健費の予算が実質的にも増加していることが証明されました。また、三月一日付の赤旗に記載された福祉関係費と土木関係費のグラフに誤りがあることが明らかになりました。
 しかし、本日の赤旗には、一応訂正記事らしいものが載っておりますが、それ以上に大きなスペースを割いて、福祉費と土木費が逆転しているなどと相変わらず強調しております。潔く訂正記事だけを載せるべきであるにもかかわらず、別の記事にすりかえてしまう手口は、卑劣であると指摘せざるを得ません。
 どちらが高いか低いかばかりに拘泥するのでは、全く本質から外れたへ理屈であります。例えば、都民福祉を支える重要な役割を果たしている住宅費を福祉関係費に加えれば、二〇〇四年度の福祉関係費は六千五百二億円となります。共産党のいうところの土木関係費を四百七十五億円も上回ることになるわけであります。また、現在審議中の十八年度、二〇〇六年度予算で比較すれば、福祉関係費は七千二百六十億円、土木関係費は六千二百十五億円と、福祉関係費が土木関係費を一千四十五億円も上回っているのであります。こうした事実を隠し、都合のいいことだけを宣伝するのはもういいかげんやめていただきたいと思うわけでございます。
 したがって、共産党、赤旗、そして吉田議員は二重の間違いを犯しているわけでございます。改めて、謝罪の上、訂正すべきであると強く申し上げておきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 初めに、介護予防拠点の整備について伺います。
 高齢化の進展により、いわゆる要介護者は年々増加をしております。特に、要介護度が軽い要支援、要介護一の高齢者がふえております。平成十七年四月現在では、要介護認定者の約半数をこれらの方たちが占めているわけでございます。高齢者が、住みなれた地域でいつまでも健康で元気で、そして生き生きと活動的に暮らせる、そのためにも、要支援、要介護になる前のできるだけ早い段階で適切な介護予防サービスを受けられるように取り組むことが重要であります。
 そこで、これらの要支援、要介護状態となるおそれのある高齢者を対象とする介護予防拠点を何カ所設置するのか、伺います。

○平井福祉保健局長 高齢者に身近な地域で介護予防事業を実施するため、区市町村におきましては、介護予防プログラムを実施する拠点として、地域のさまざまな社会資源を活用することとしております。
 具体的には、中学校区などを単位として設定されます日常生活圏域において、介護保険施設やデイサービスセンターを初め、保健センター、学校の空き教室、さらにはフィットネスクラブなど、さまざまな場を活用して、各種の介護予防プログラムが行われる予定でございます。
 平成十八年度におけるこうした介護予防拠点の箇所数は、約六百三十カ所が計画されているところでございます。

○藤井委員 平成十八年度、都内に六百三十カ所の介護予防拠点をつくるということが明らかになりました。
 我が党は、介護予防拠点の整備については、フィットネスクラブなどの民間施設や、あるいは学校の空き教室などを使って整備すべきであるということを訴えてまいりました。過日の第一回定例会でも、我が党の質問に対して、平成二十年度までに中学校区に一カ所整備すると答弁がありましたけれども、早急にこれらの介護予防拠点を整備すべきであります。そのために、都は具体的に区市町村に対してどのような支援をするのか、伺います。

○平井福祉保健局長 都は、区市町村と連携いたしまして、すべての日常生活圏域において、運動機能の向上や栄養改善など、多様な介護予防プログラムを実施できる拠点の整備を目指しております。
 このため、国の交付金の対象とならないトレーニング機器や調理器具などの設備整備費への補助を引き続き行うとともに、来年度から新たに、建物の新築や改修による介護予防拠点の整備につきましても都独自の補助を行うことにより、介護予防拠点の設置に取り組む区市町村を強く支援してまいります。

○藤井委員 次に、介護保険の適正化対策について伺います。
 平成十二年に介護保険がスタートしてから六年目を迎えますが、年々、これらの介護保険サービスを受ける利用者はふえております。平成十七年度の要介護認定者は、都内で約三十七万人でありますが、これが平成十九年度には四十万人になるといわれております。また、その介護費用額は年間六千七百億円にもなると予想されております。莫大な金額でございます。
 そこでお伺いいたしますが、介護保険における不正請求についてであります。
 現在、東京都内には訪問介護などを行う介護サービス事業者が七千あります。また、ケアプランなどを作成する居宅介護支援事業者が三千ですから、合計一万の事業者があるわけでございます。これらの事業者はすべて都の指定を受けております。しかし、これらの事業者の中には、いろいろと問題のある事業者が含まれております。すなわち、介護報酬の不正請求など悪質な不正事業者があるといわれております。
 そこで、都内の介護サービス事業者に見られる悪質な不正の実例について、具体的に説明をしていただきたいと思います。

○平井福祉保健局長 私どもの指導検査によって明らかになった不正の例でございますが、訪問介護事業所では、実際にはサービスを提供していない架空請求や、提供したサービスが調理や洗濯などであるにもかかわらず、排せつ介助や入浴介助など介護報酬の高いサービスを提供したとして、繰り返し介護報酬を過大に請求したものが見られます。
 また、利用者のケアプランを作成する居宅介護支援事業所におきましては、ケアマネジャーの資格のない者がケアプランを作成していた事例や、不正が発覚しないよう監査のときに証拠書類を隠滅または改ざんするなどの例も見られたところでございます。

○藤井委員 ただいま答弁にありましたように、訪問回数や報酬を水増ししたり、あるいは架空請求をする、さらには資格のない者がこういったサービスを行うなどという、これは大変大きな問題でございます。
 もちろん、大多数の事業者は、まじめにルールを守って適切な運営をしているわけでございますけれども、たとえ一部であってもこうした事業者があるということは、介護保険制度への都民の信頼を失うものであり、そしてまた、制度の健全な、あるいは安定的な運営を妨げるものであるといわざるを得ません。
 これらの不正が発見された場合、都として厳正に対処すべきでありますが、この介護保険制度の開始以来、今日までの東京都の対応と実績についてお伺いいたします。

○平井福祉保健局長 都は、法令に違反する介護サービス事業者の不正行為に対しては、指定取り消し処分などにより、厳正に対処してまいりました。
 介護保険制度開始以来、不正行為により指定取り消しに至った都内の事業所数は、処分の直前にみずから廃業届を提出したものも含めまして、十八事業所でございます。また、これらの処分に伴いまして保険者が返還請求した金額は、加算金も含め、二億一千三百九十一万円余りとなってございます。

○藤井委員 ただいま二億一千万の返還請求額ということでございますが、私はこれは氷山の一角だと思います。なぜならば、おととい、大変ショッキングな発表がございました。これは厚生労働省の調査による発表でございましたが、二〇〇四年度、介護報酬の不正請求というふうに認定をされて、返還請求をされた介護サービス事業者は、全国で何と四千百九十七あるということでございます。そしてまた、これらの業者に返還請求した金額は八十億七千八百万円にも上るわけでございます。また、指定取り消しとなった事業者は、平成十二年の四月から昨年の十二月までの間に、全国で三百六十二の事業者が指定を取り消されている。厚生労働省自身が、これは氷山の一角であるといっているわけでございます。
 まさに介護保険の財源は、利用者の自己負担と保険料、そしてまた都民、国民の税金であります。これらの都民の貴重な税金を一円たりともむだに使うことは許されません。そのために介護事業者による不正を防止すべきでありますが、そのために都の具体的な対応策、取り組みについて伺います。

○平井福祉保健局長 介護サービス事業者の不正を防止していくためには、指導検査の充実はもちろんのことでございますが、これに加え、保険者である区市町村や利用者が介護報酬の請求内容を厳しくチェックすることが有効と考えております。
 このため、区市町村が事業者からの請求内容を明らかにするため利用者に送付しております介護給付費通知について、都は、その記載事項に利用日数や利用者負担額を追加するなど、内容の充実を図るとともに、この実施区市町村の拡大を働きかけてまいりました。
 また、不正の疑われる事業者を効果的に抽出するため、東京都国民健康保険連合会と連携して開発いたしました独自のチェックシステムを平成十六年度から稼働し、その活用を図っているところでございます。

○藤井委員 ただいまご答弁ありましたように、この介護給付費通知書でございますが、これは国保連合会から発行されて、そして区市町村が利用者に送っているわけですが、これは実際には、実際に介護を受けてから国保連合会から本人に通知が行くのに最低三カ月ですよ。場合によっては六カ月単位で、あるいは一年単位で送っている区市町村もあると聞いております。中には、送られた高齢者、認知症の人もいますよ。あるいは寝たきりの方もいますよ。その方たちに、三カ月前、あなたは何回サービスを受けました、なんて覚えている人はいらっしゃいますかね。我々だって、おととい、夕食何食べたか忘れちゃいますよ。(笑声)そんな高齢者の方たちに、三カ月、六カ月に通知したって、何の効果もありません。
 また、仮に利用者が、私、こんなサービス受けたことない、おかしいといって、区市町村に問い合わせしても、水増ししているんじゃないかといっても、これらの区市町村はそれらの実態を確認する方法はありません。なぜならば、区市町村や東京都には、利用者がどれだけ受けたかという、そういった訪問記録がないわけでございます。チェックする方法がないじゃありませんか。だから事業者が、これだけサービスやりました、だから請求しますといって国保連合会に請求して、限度額をオーバーしなければ、全部それが支給されているんですよ。ですから、氷山の一角といわざるを得ないわけでございます。
 また、国保連合会の適正化システムについても、これは、この事業者は怪しいですよというふうに国保連合会から区市町村に連絡が行ったとしても、区市町村や東京都の介護保険を担当している方たち、人数が少ないですから、目前の業務に追われて、とてもそういった疑い情報について調べたり指導したり、そういった余裕はないというふうに聞いております。
 ですから、こういった実態ですから、不正をチェックできないことが、これらの事業者の不正を許している原因であるというふうにいわざるを得ません。
 そこで、温泉で有名な群馬県の草津町では、介護サービスを受けている高齢者の自宅にタイムレコーダーを設置いたしまして、ホームヘルパーがサービスをした場合、来たときと帰るときにカードでこれを押します。そうしますと、この記録がオンラインで町役場のコンピューターにつながるシステムになっているそうでございます。これによって、どれだけの訪問回数があり、滞在時間はどれだけで、さらに、そういったシステム上の記録と介護報酬の請求内容とをチェックできるようになるわけでございます。実際にどれだけ来たかということがわかるわけです。これによって、サービス事業者は水増しや架空請求ができなくなる、抑止効果があると草津町の担当者は語っておりました。
 これは一つの例でございますが、このように保険者である区市町村が創意工夫を凝らして、地域の実態に合った不正防止対策を進めることが極めて有効であると考えます。
 そこで、都として、区市町村が独自の不正防止対策に積極的に取り組めるよう、支援を行うべきと考えますが、見解はいかがでしょうか。

○平井福祉保健局長 介護保険の適正化を図るためには、区市町村が行う地域の実情に合わせた創意工夫による取り組みにより、不正防止の実効性を高めることが重要でございます。このため、ご提案を踏まえ、区市町村が取り組む独自の不正防止対策に対し、支援することを検討してまいります。

○藤井委員 ただいま包括補助金により支援することを検討というふうにご答弁がございましたが、念のため確認をいたします。
 先ほど私が紹介したような、不正請求の防止対策に区市町村が取り組む場合、都も補助金を出すということで理解してよろしいのかどうか、明確にご答弁願います。

○平井福祉保健局長 お話のような不正防止対策を介護保険の適正化のための事業として区市町村が実施する場合につきましては、都としてこれを支援することを考えてまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 本年四月から介護保険料が各区市町村とも上がります。介護保険料の値上げで都民に負担をふやす一方で、介護報酬の不正請求が行われているとするならば、これは到底都民の理解、納得は得られません。一刻も早くこうした不正ができないようなシステムを構築するよう、強く訴えたいと思います。
 次に、がん治療対策について伺います。
 平成十六年に全国でがんによって死亡した人は三十二万人、亡くなった人の三人に一人はがんで亡くなったそうでございます。東京都のがんの死亡数は約三万人で、これも東京都は全国一位でございます。がんにかかる患者は、今後とも増加すると予想されております。
 がんといえば、東京都の都立駒込病院が思い出されるわけですが、駒込病院では、総合病院の特徴を生かして、各診療科が共同して有機的に最新の治療を行う東京都のがんセンターであります。がんに強い病院として全国的に有名でございますが、そこで、東京都のがんセンターである駒込病院におけるがん治療の現状についてお伺いいたします。

○大塚病院経営本部長 駒込病院では、入院患者の五割以上が悪性新生物、いわゆるがんの患者でございまして、診療に当たっては、各専門診療科が連携して最も効果の高い治療方法を選択する、いわゆるキャンサーボードを実施するなど、総合診療基盤に基づいた高いレベルの先進医療を提供してございます。
 この五年間で、悪性新生物の入院患者数は四三%の増、放射線治療の新規患者数は六八%の増と、いずれも大幅に増加してございます。

○藤井委員 現在、日本のがん治療としては、外科的手術と、それから化学療法と放射線療法の三つがあるといわれております。日本では圧倒的に外科療法が多いそうでございますが、化学療法については、この治療ができるお医者さんは、日本ではわずかにしかいないといわれております。そして、放射線治療については、従来の放射線療法とは異なる粒子線治療というのがあるそうでございます。
 粒子線治療は、がん細胞に集中して照射して、がんを殺す能力が高い放射線であります。また、正常な細胞への影響が少ないために、がんに対する治療効果が大きいといわれております。
 この粒子線、どんながんに有効かというと、一つはこれまでの放射線では治療が難しい頭頸部のがん、二番目は手術ができない早期の肺がん、三番目はほかの治療法では治療できない肝がん、四番目は手術できない骨の腫瘍などであるそうでございます。
 残念ながら、現在、都内にはこの粒子線治療のセンターがありません。そのため、多くのがん患者は治療を受けられないわけでございます。
 現在、民間事業者が、ドイツでつくられました最新鋭の粒子線治療システムを導入したいと、都内に粒子線治療センターを建設するような動きがあると聞いております。そこで、将来的には、都立駒込病院として、従来の治療法にあわせ、民間医療機関と連携して粒子線治療を実施することにより、さらに効果的な治療が提供できると考えますが、このことについてご所見を伺います。

○大塚病院経営本部長 粒子線治療につきましては、がん治療に対する高度、先進的な治療法の一つと考えておりまして、我が国では、お話の国立がんセンター東病院など六施設で粒子線の研究や治療実績がございます。
 一方、治療施設を設置するためには、広大な土地と建物が必要でございまして、また、治療費用が相当高額であるにもかかわらず、現在の診療報酬制度ではすべて自己負担となっているのが現状でございます。
 駒込病院がさらに効果的ながん治療を提供していけるよう、粒子線治療を実施する民間医療機関と今後連携することにつきましては、医療環境の整備状況、先行する施設での研究、治療実績などを十分見きわめた上で検討してまいります。

○藤井委員 よろしくお願いいたします。
 この粒子線治療を行うためには、医学の知識と物理学の知識を持つ医学物理士というのが必要だそうです。しかし、日本にはこの医学物理士が少ない現状があります。
 一方、首都大学東京の大学院では、放射線医療に携わる専門技術者の育成に取り組んでいると聞いておりますが、今後とも医学物理士などのがん治療に貢献する人材の育成に力を入れるべきと考えますが、この点、いかがでしょうか。

○高橋総務局長 がん治療など高度、複雑化する医療現場におきまして、高度放射線専門技術者の重要性が高まってきております。
 首都大学東京の前身でございます都立保健科学大学では、診療放射線技師など医療技術者を多数養成してまいりました。また、他大学に先駆けまして、大学院に放射線学専攻を設置し、これまで医学物理士の認定試験に三名の合格者を出しております。
 こうした実績のもと、首都大学東京では、医療現場からのニーズを踏まえまして、本年四月に大学院を再編成いたしまして、放射線科学系を設置することとしており、今後、医学物理士など高度放射線専門技術者の養成に積極的に取り組んでまいります。

○藤井委員 よろしくお願いいたします。
 本年二月に、東京都は、都立駒込病院を改修する、がん・感染症医療センターの整備事業において、都が直接実施するのではなく、民間事業者に施設の改修と運営業務を行わせる、いわゆるPFI事業で実施することを明らかにいたしました。
 そこで、都が直接事業を実施する場合と比べて、この事業をPFI事業で実施する場合のメリットについて伺います。

○大塚病院経営本部長 駒込病院の改修をPFIで実施するメリットについては、大きく二つございます。
 まず、事業期間全体で、都の財政負担を四・九%程度、約百億円縮減する財政効果の面が期待されます。
 また、サービス水準の向上面では、設計施工などの施設整備に加えて、維持管理、医療事務などの医療周辺業務を長期包括的に委託することによりまして、一体的できめの細かい患者サービスが提供できるなどのメリットがあると考えております。

○藤井委員 PFI事業でやれば、何と約百億円の財政効果があるという、こういうことでございますので、ぜひ、このがん治療対策を進めるに当たって、今お話がありましたPFI事業や、あるいは粒子線治療という新たな治療法を導入するために、民間の資金や技術を活用して、先進的ながん治療対策をすべきだというふうに考えます。
 またあわせて、予防対策、専門スタッフの養成など、関係局が総合的に取り組むことが重要であると考えますが、首都東京が全国の先駆を切ってがん治療対策に取り組むべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 がんは、現代社会を生きる我々の健康を脅かす重大な脅威でありまして、無情にも多くの人の生命を奪うこの病気の克服は、人類の積年の願いであります。
 実は、私の家内の兄が、数日前、突然倒れまして、入院して治療の後、きょう、がんであるかなんかの検査をして黒白つくようでありますけれども、無事であることを願っておりますが、革新的な治療法の開発が切望されておりますけれども、現時点で可能な限りの知見を生かした最良の治療を受けられる体制を整備することは、国を挙げて取り組むべき課題であると思います。
 都内には、国立のがんセンターを初め、非常に令名の高い都立駒込病院や多くの大学病院が集積して、先進的ながん治療に取り組んでおりますが、今後、こうした我が国のがん医療を牽引してきた治療機関を中心に、すべての関係者の力を集結させ、東京におけるがん予防の、治療水準の一層の向上を目指していきたいと思っております。
 今、初めて粒子線治療というのを私、耳にいたしましたが、このコストと、それから技術的な信憑性を改めて調査しまして、それからまた、その信憑性によっては費用負担のあり方も変わってくると思いますので、この調査を早速やってみたいと思っております。

○藤井委員 お身内の心からお見舞いと、早く粒子線治療が受けられるように、また知事のご努力、よろしくお願いいたします。
 次に、アスベスト対策について伺います。
 アスベストが大きな社会問題となっておりますが、建材の中にアスベストが含まれているかどうかの分析や、あるいはまたアスベスト除去工事を実施する事例が急激に増加していると聞いております。
 アスベストを含む建材を使用していることが明らかになった建築物については、何よりも重要なことは、それぞれの現場において確実に飛散防止対策がとられることであります。そのため、都としてより具体的なマニュアルを整備すべきと考えますが、所見を伺います。

○大橋環境局長 都はこれまでも、飛散防止対策を徹底するため、建築物の解体等に係るアスベスト飛散防止マニュアルを作成してまいりました。
 このマニュアルをより現場に即したものとするため、作業工程ごとに必要な対策を示すとともに、建材の解説をより詳細に盛り込むなど、四月早々にも、さらに充実した内容に改定してまいります。

○藤井委員 よろしくお願いいたします。
 次に、学校におけるアスベスト対策について伺います。
 文部科学省では、全国の学校施設、学校の用具について、アスベストの使用状況を調査していると聞いております。都はこの調査結果をもとに、学校施設については緊急度に応じて処理工事を行い、また学校用具についても、使用を禁止するかアスベストを使っていない用具に交換すると、我が党の質問に対して答弁いたしました。
 そこで、この調査結果とその後の都の対応について伺います。

○中村教育長 都立学校施設におきますアスベストの調査につきましては、文部科学省の調査項目に加えまして、都有施設の基準を踏まえ、調査範囲を拡大して実施してまいりました。二十一校でアスベストの使用が確認され、公表してきたところでございます。
 これらのうち五校につきましては、年度内に対策工事を実施しております。そのほかにつきましては、機械室など生徒が使用しない場所を除きまして、十八年度早期に対策工事を行ってまいります。
 また、アスベストを使用しております用具のうち、石綿つき金網あるいは給食回転がま、旋盤などにつきましては、廃棄あるいはノンアスベスト部品に交換中でありまして、年度内には完了いたします。
 今後とも、アスベスト対策につきましては万全を期してまいります。

○藤井委員 子どもの安全のために、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次に、羽田空港の国際化に関連いたしまして、蒲蒲線の整備について伺います。
 現在、京浜急行の蒲田とJR蒲田あるいは東急蒲田の間がつながっておりません。そのため、国の運輸政策審議会におきましては、二〇一五年までにこの蒲蒲線を整備着手することと答申をしております。
 現在、地元大田区と東京都の都市整備局との間で、蒲蒲線についての意見交換を定期的に行っているというふうに聞いております。これは、昨年の予算特別委員会で私の質問から一歩前進したものと評価をするわけでございます。
 そこで、今まで区と都で議論してきた内容及び今後の課題について伺います。

○梶山都市整備局長 本路線は、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、鉄道整備に係る熟度、投資能力等の解決すべき基本的な課題があり、開業時期は特定できないが、平成二十七年までに整備着手することが適当な路線であるとして位置づけられております。これを受け、地元大田区がこれまで調査を実施していることは十分承知しております。
 しかしながら、本路線には、空港アクセス機能としての必要性、整備主体、事業採算性、さらには東急線と京急線の線路幅の相違など、さまざまな課題がございます。

○藤井委員 羽田空港については国際化が着々と進んでおりまして、二〇〇九年には第四番目の滑走路ができます。これができますと、海外から年間約七百万人の空港利用者が来るといわれております。また、知事が二〇一六年に東京オリンピックを開催するといわれましたけれども、オリンピックを開催すれば、羽田空港にたくさんの海外からのお客が来るわけでございます。そうしたときに、都心に行く交通アクセスの一つとしてこの蒲蒲線が整備されれば、大変に便利になるというふうに思います。
 そこで、東京都は、東京オリンピック開催に向けて蒲蒲線の整備に取り組むべきと考えますが、この点、いかがでしょうか。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 羽田空港の利用者が円滑かつ便利に移動できるようにすることは大切だと思います。しかしながら、蒲蒲線につきましては、ただいま申し上げましたようにさまざまな課題があり、都といたしましては、引き続き地元区と論議を重ねるなど、必要な対応を図ってまいります。

○藤井委員 大田区は、この蒲蒲線のために調査費五千万をつけて、今取り組んでおります。都としても調査費を計上するなど、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 次に、大田運転免許試験場用地の活用について伺います。
 この土地は、大田区東糀谷四丁目にある約二万八千平米の広大な面積の敷地であります。平成六年、都は鮫洲運転免許試験場を移転する用地としてこの土地を買収しましたけれども、地元の反対運動があり、ようやく平成八年、地元から受け入れられました。
 しかし、平成十六年十月に、警視庁は鮫洲試験場を移転することを断念いたしました。この間約十年間、この土地は利用されないまま、金網に囲まれて今日まで経過をいたしました。地元の方々は、将来この土地がどうなるのか、不安と期待で見守っているわけでございます。
 そこで、この大田運転免許試験場用地を当面駐車場などに活用するとともに、早急に地元に役立つ利用策を決めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○谷川財務局長 都有地につきましては、その資産価値や全庁的な行政需要などを調査検討し、効果的、効率的な活用を図っていかなければいけないと考えてございます。
 お話しの都有地につきましても、本格的な活用計画が定まるまでの間、ご提案を含め、暫定的な活用を検討してまいります。

○藤井委員 ぜひ前向きに対処をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、小笠原振興について伺います。
 昨年、国と都は、小笠原へのTSL、すなわち超高速船を断念いたしました。TSLの就航を心待ちにしていた小笠原の村民を初め、多くの関係者が大変残念な思いをしたわけであります。
 我が党は昨年の第四回定例会の代表質問で、TSLの就航により観光客がふえると見込んで、借金をしてまで民宿や売店等を整備した村民の方がいらっしゃる、その方々が融資の焦げつきなどで大変心配をしている、そのために都が村と連携して対応すべきであると訴えました。
 そこでまず、これらの融資の返済に苦しむ村民の方たちへ、どのような具体的な対策を講じたのか伺います。

○高橋総務局長 お話しの融資につきましては、これまで村が返済利息の二分の一を利子補給してまいりました。TSL就航が見込めなくなった事態を踏まえまして、村はこれを四分の三に引き上げるなど支援を強化いたしますとともに、緊急集客事業として小笠原自然体験モニターキャンペーンを実施し、これまで二千人を上回る来島客を誘致いたしました。こうした事業に要する経費は約九千万円と見込まれております。
 都は、その影響と緊急性にかんがみまして、これに伴って生じる村の財政負担に対し、速やかに財源補完を行うこととしております。

○藤井委員 大変すばらしいと思いますが、やはり今後、小笠原に多くの観光客が来なければ、これは大変なことになりますので、継続的な取り組みが重要と考えます。そのため、小笠原へ観光客をふやすための振興策について伺います。

○高橋総務局長 観光客数増加に向けた新たな振興策につきましては、これまで村及び関係機関と精力的に検討を行ってまいりました。十八年度に、村は、旅行会社を活用した緊急集客事業や、テレビ、雑誌を通じた宣伝事業の強化などに取り組むこととしております。
 都は、整備された宿泊施設等が有効に利用されるよう、修学旅行客やシニア層など、幅広い年齢層の誘致に向けた調査を実施するなど、今後とも、村と十分連携し、振興策に積極的に取り組んでまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 四月中旬に我が党は、中嶋団長を中心に小笠原に視察に参ります。ぜひ小笠原の皆さん方に喜んでいただけるように、私たちも取り組んでまいりたいと思います。
 次に、小笠原空港の整備について伺います。
 小笠原に空港を建設することは小笠原の方たちの長年の悲願であります。小笠原では、昭和四十三年の返還以来、空港建設運動を続けておりますが、その間、多くの方々が無念の思いで亡くなったわけでございます。
 我が党もかねてから、小笠原に空港を整備するよう国会、都議会で取り組んでまいりました。十一年前、兄島に空港をつくる案が出ました。私も兄島の山を登りました。しかし、それがだめになりました。八年前、時雨山に空港をつくる案ができました。私は現地も視察いたしましたが、それもだめになりました。(「行かない方がいいよ」と呼ぶ者あり)私のせいではありません。そして今回、TSLの就航も断念となった今、小笠原村民の落胆ははかり知れないものがあるわけでございます。
 その一方で、東京都は小笠原諸島を世界自然遺産にしようと取り組んでおります。既に世界自然遺産に登録された屋久島や白神山地は多くの観光客が訪れていますが、小笠原は船で二十五時間半もかかる交通不便な島でございます。
 そこで、小笠原を一日も早く世界自然遺産とするとともに、一刻も早く空港を整備すべきであります。そのための現在の取り組み状況について伺います。

○高橋総務局長 都は、昨年、第四回都議会定例会で交通アクセス改善の早期実現に関する決議をいただきましたことを踏まえまして、十八年度予算案に航空路開設等に関する調査費を計上いたしました。
 国におきましても、小笠原諸島振興開発審議会におけるTSL就航断念後の振興策に関する協議の中で、多くの委員から航空路開設について積極的なご意見が出されており、こうした意見を踏まえて、国の方でも検討が行われるものと承知をしております。
 今後、航空路開設の実現に向けまして、自然環境への影響、運航採算性、気象条件等に関する調査を行ってまいります。

○藤井委員 先ほど申しましたように、兄島案、そして時雨山案がつぶれました。今度こそ、三度目の正直で小笠原に空港を整備していただきたい、また整備すべきであると考えますが、この空港の早期整備に対する知事の決意をお伺いしたいと思います。

○石原知事 小笠原は私の国会議員時代の選挙区でもございまして、私も非常に大きな関心を持って、実は、私の友人の小型の飛行機の会社を経営している男に飛行機を借りまして、ビーチクラフトの双発の飛行機で、八丈で給油して小笠原まで飛んでいって、何かで着陸できないときに硫黄島にダイブアウトすることもありますが、一応、八丈まで帰ってこられるかこられないかというような試験飛行を二度ほどしたことがございます。
 いずれにしろ、その後、幾つかの案がありましたが、時雨山は、私も知事に就任して行ってみて、あのころ、田中議長以下各党の代表がいらして、あの候補地のところに立ったときに、いかにもこれは無理だろうという慨嘆をそばで聞いていましたが、いずれにしろ、本土から隔絶した離島でありまして、島民の生活の安定と観光振興を図る上で、航空路の開設は重要なかぎの一つと考えております。また、その実現には国の理解と支援が不可欠であると思っております。
 あそこに洲崎というかつて海軍が使った飛行場がございまして、お読みになったどうか知りませんが、阿川弘之さんの、海軍の学徒兵のことを書きました「暗い波濤」という小説に出ておりますけれども、実際に硫黄島に向かって飛んでいった当時の大型機の一式陸攻が、硫黄島が攻撃されているので急遽小笠原にダイブアウトしまして、着陸はできたんですけれども、すべての機材を外してパイロット一人だけで離陸を図りましたが、二機とも失敗して、墜落して亡くなりました。
 そういう点で、あれをどれだけ延伸するかということですが、厄介なのは環境問題でありまして、あそこに、私はそっちの方の専門家じゃないから、どれだけの価値があるのかわかりませんが、虫だとか珍しい植物がありまして、これもしかし、兄島にあるんですから、それは向こうに移植するなりさせて、あの何とかというヤギの名前のついた山を少し削り、しかも、案としては、今、私の運輸大臣時代の官房長をしていました棚橋さんに航空問題の参与をしてもらっていますが、国交省とも相談して案をつくっていますけれども、あの山全体をソーラーの基地にして、あそこで充電して、小笠原を走る自動車はたかが知れていますから、全部電気自動車にするというようなことをすれば、少なくとも自然環境は破壊されないわけですが、あとはつまり、うるさい、非常に難しい専門の学者さんたちが虫と植物を相対的にどう評価するか。
 それと、島民の、今まで緊急の場合にはヘリで硫黄島まで運んだり、あるいは、天候によっては飛行艇が来てくれていますが、これは本当に緊急事態でありまして、観光客には役に立ちません。
 そういう点で、つまり、国交省なり通産省ですか、観光を扱う、それと環境省がどういうふうに理解を取りつけるかということ、これはそのためにも東京は積極的に働きかけてまいりますけれども、ここら辺がやっぱり今後の、とにかくあの洲崎を利用して、最低限のお客を定期的に運ぶすべを確保するためのめどだと思っております。

○藤井委員 どうもありがとうございました。(拍手)

○鈴木(貫)副委員長 藤井一委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時二十二分開議

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