東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○松原委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 倉林辰雄委員の発言を許します。

○倉林委員 それでは、通告をいたしました課題について質疑を進めていきたいと思います。
 予算特別委員会でありますので、順序を変えまして、本日トップバッターということもありますので、財政問題から入らせていただきます。
 私は、十八年度はまさに都政の大きな転換期に差しかかっているんだろうというふうに思っております。長く厳しい財政再建も一定の区切りもついたようでありますし、またいろいろな方がいろいろな見方をするかと思いますけれども、私は明るい時代へ都政が歩み出そうとしている、まさにその時期に差しかかっているんだろうと、こう思っております。
 折しも、十八年度は、三位一体の改革によります地方への税源移譲、そして地方債の、これは新しい形のようでありますけれども、協議制への移行、そしてさらに東京都独自の公会計制度の改革という、まさにさまざまな制度の改革がスタートをしていくんだろうと思っております。
 このようなスタートの新たなときに、初めに、これらの諸制度が東京都の行政運営にどのような意義を持っているのか、また、どのような影響を及ぼしていくのか、さらには何が課題になっていくのか、そこらについてお尋ねをしていきたいというふうに思います。
 まず、十八年度から導入されます起債の協議制度について伺っていきます。
 これまで地方債の許可制度は、許可という言葉のとおりに端的に表現されておりますけれども、国と地方自治体とのまさに上下関係を象徴しているものであったと、こう思います。これが地方分権の流れの中で、許可という国の関与がようやくなくなりまして、対等の関係になってきた、いわゆる協議制に移行することは、歴史的な制度変更であると、こう思っております。
 そこで、新たに導入されました協議制度について、まず、その意義を都としてどうとらえているのか、財務局長、お願いいたします。

○谷川財務局長 地方債協議制度の導入によりまして、国と地方自治体が対等の立場に立ち、自治体みずからの判断と責任のもとに自由に起債を行うことが可能となります。この制度は地方自治体の自主性及び自立性を高め、地域の実情に即した行財政運営を行うといった、地方分権の理念のもとに導入されたものであると認識しております。

○倉林委員 いよいよ来年から協議制度に移行するわけですけれども、そうしますと、具体的に何がどう変わっていくんでしょうか、お尋ねします。

○谷川財務局長 従来は、通達などの指導に基づきまして、法律上起債可能な事業についても、起債そのものや財源として充当できる割合が制限されるなど、必要以上に国の関与を受けてまいりました。今後は、原則といたしまして、地方自治体の自主的な判断により地方債を財源とすることができる制度となっていくものと思っております。

○倉林委員 これだけ聞きますと、すばらしい制度だなというふうに思うのでありますけれども、協議制度移行後も、依然として国の許可を得なければ起債ができない場合があるというふうに思うんですね。それをはかる指標として実質公債費比率、これが導入されたということでありますけれども、どのような指標であるのか、お尋ねいたします。

○谷川財務局長 協議の対象か許可の対象かは、公債費負担の水準により区分されますが、実質公債費比率はその判断基準として導入されたものでございます。この指標は、減債基金の積立方法について、新たに画一的なルールを遡及適用するなど、自治体の財政運営の継続性を阻害するおそれがあるとともに、大都市における行政需要などを考慮していないという点において問題があると考えております。

○倉林委員 この協議制度というのは、そもそも地方分権の理念に基づいて導入されたわけですよね。しかし、依然として国の強い裁量に基づく関与を残している。地方自治体の財政運営を必要以上に制約するおそれがあるものだというふうに思うんです。今後、実際の協議の場面でさらに国が干渉してくることも十分考えられるわけでありますけれども、そこで、地方債協議制度を本来の導入目的に沿うものとするために、都は国に対してどのような対応をしていくつもりなのか、ご見解をお願いいたします。

○谷川財務局長 協議制度の具体的な運用につきましては、国の準備のおくれもございまして、現時点ではすべては明らかになっておりません。都といたしましては、国の動きに十分に注意を払いつつ、実質公債費比率の問題点の是正を含め、国による過度の干渉が残ることのないよう働きかけを行っていきたいと考えております。

○倉林委員 歴史的な制度改革でありますので、財務局長さん、頑張ってください。
 それでは次に、財産の利活用についてお尋ねをしてまいります。
 都有財産の活用は、貴重な都民の財産の活用であります。今後とも、より一層効率的、効果的に進めていく必要があると考えます。私は、効率的で効果的な財産の活用のためには、一事業局単位での活用を図るだけでは十分ではない、こう思っております。全庁的な視点で広く財産を有効活用することが不可欠だろう、こう思います。
 そこで、都の都有財産の活用について基本的な考え方について、財務局長、続いてで恐縮ですが、ご答弁願います。

○谷川財務局長 都有財産の活用につきましては、平成十六年九月に、全局で構成する都有財産利活用推進会議を設置し、全庁的な財産活用の視点から、これまで施設の効率的な統廃合や新たな施策への転用等の取り組みを進めてきたところでございます。今後ともこれらの取り組みを協議、推進するため、この会議を継続的に活用し、都民サービス向上の視点から財産の有効活用を図ってまいりたいと考えております。

○倉林委員 財産の有効活用に当たっては、まず、財産に関する情報の管理、あるいは活用のあり方というものが問われていると思います。現在、いいですか、財産を取得すると、その後の経過を逐次担当の部署が手書きで紙に書き加えていく、いわゆる旧態依然とした台帳での管理であると私は聞いております。しかも、土地と建物とでは別々の台帳になっておりますよね。さらに、その情報は台帳の置いてある部署でしか見ることができないというふうになっていると思います。このような状態では、残念ながら機動的で弾力的に行政需要の変化に応じた財産の活用を進めることはできないと、こういわざるを得ないのでありますけれども、今後、重要となりますこの財産情報の管理、活用をどう進めていくのか、お尋ねをいたします。

○谷川財務局長 本年四月から、紙の財産台帳を電子化し、新たに全会計が参加する財産情報システムを稼働いたします。財産管理事務の効率化と財産の有効活用を図ることとしてございます。このシステムの利用によりまして、いつでも各局から全庁の財産情報を検索、活用することが可能になり、局単位であった財産情報が、一定のセキュリティー確保を図りながら、全庁的に共有化されることとなります。
 また、容積率や地図の表示、土地と建物との一体的な検索を可能とするなど、都庁内の土地や建物の情報をよりきめ細かく迅速に把握できるようになり、積極的な有効活用の機会がふえると考えてございます。

○倉林委員 そうしますと、ただいまの答弁では、四月から新たに財産情報システムが稼働する、こういうことのようであります。どの局にどんな財産があるかが一目でわかるようになるということであります。このことは大変私は重要だというふうに認識しております。
 そして、この四月からはいよいよ複式簿記・発生主義会計が導入されるわけであります。先ほど来の話にあるように、財産についても財産情報システムが開始するということであれば、これら双方のシステムがより有機的に効果を発揮することが今後の行財政運営にとって大変必要である、重要であると思います。
 そこでお伺いいたします。財産情報システムと複式簿記・発生主義会計制度との効果的な連携を図るべきだ、こう思うわけでありますが、所見をお伺いいたします。

○谷川財務局長 新たな公会計制度による事業別財務諸表と、個別の財産ごとに表示できる財産情報システムは、相互に連携できる仕組みとなってございます。これによりまして、財産の内容や活用状況の視点も加えた、これまでにない具体的な事業別評価が可能となります。ご指摘にありましたように、新公会計制度と財産情報システムの連携を積極的に推進していくことによりまして、今後の行財政運営に有効に機能させていきたいと考えてございます。

○倉林委員 幾つか質問したかったのでありますけれども、それでは次に、重点事業について伺ってまいります。
 私は、都政が最優先で取り組むべき課題は都民生活の安全と安心の確保である。これは石原知事もいつもおっしゃっておりますけれども、自治体としては、都民の生命や身体、財産を守るということは何よりも重要であります。そのことが都民の信頼を得て、行財政運営を進めていく基本になる、こう思っております。こうした視点に立って、震災対策及び高齢者対策について何点か伺ってまいります。
 先月出された首都直下地震の被害想定によりますと、千百四十万人にも上る外出者の方々の中で、約七割の方が、いわゆる七百六十万人の方たちが、まず情報を得たい、こういうことのようでありますね。災害時の情報提供がいかに重要なことであるかということがわかるわけでありますけれども、その点、今回、災害あるいは防災情報提供システムを重点事業に選定したということは、まさに時宜にかなったと私は思っております。
 しかし、最も重要なのは情報の中身である、こう思います。このシステムはどのような場面で、いかなる情報を提供しようとしているのか、お伺いをいたします。

○高橋総務局長 発災時には、どのような場所、状況にありましても、都民が適切な行動をとれるように、現に発生している災害情報を提供することが大変重要でございます。
 災害情報はメディアでも提供いたしますが、この重点事業でのシステムの特徴は、行動に結びつく情報を都民が必要なときに得られることにございます。具体的には、注意事項や自宅周辺の被害状況、安全な帰宅経路などの情報を考えておりまして、都民はパソコンや携帯電話でみずから直接アクセスできるほか、避難所や帰宅支援ステーションでも入手が可能となります。
 なお、平常時には、このシステムを活用しまして都民に災害に対する備えなどの情報を提供し、防災意識を啓発してまいります。

○倉林委員 都の提供する情報は、都民や帰宅困難者などにとって大変重要なことだと考えます。さらに、災害時には地域に密着した情報が必要だというふうに思います。
 そこでお伺いしますが、区や市や町にはFMやケーブルテレビなどの放送局があります。これらが都の発信する情報とあわせて、避難所や救護所の開設状況など地域情報を案内すれば、住民にとって一層心強いのではないかというふうに思うのでありますが、所見をお伺いいたします。

○高橋総務局長 現在、地域放送局のある五十一区市町のうち二十五区市が、協定などに基づきまして、災害時に地域の放送局から住民に対し、避難所や救護所の開設状況、水、食料の供給場所などを案内することとしております。こうした地域情報を都の発信する情報とあわせて放送できれば、被災地における住民はより的確な情報に基づき行動することが可能となります。
 このため、今後、都といたしましては、協定を締結していない区市町に協定締結を働きかけますとともに、事業者に対しまして、都が提供を予定している災害情報につきましてもあわせて放送するよう、理解と協力を求めてまいります。

○倉林委員 また、高齢化社会の本格的な到来を目前にして、高齢者の方々が介護が必要になっても安心して住み続けることができる介護サービス基盤の充実こそ、大変私は重要だと思っております。近年著しい伸びを見せております有料老人ホームも当然その一つでありますが、民間の創意と工夫で競い合いによるサービス向上も期待できますけれども、反面、また、高額な入居一時金を支払って長期に暮らす利用者も多いわけでありますが、入居先を選ぶ上で十分な情報がないという声も聞かれております。
 そこで、都民が安心して有料老人ホームを選択する仕組みづくりですね、これについてはどのようなご見解をお持ちか、お尋ねいたします。

○平井福祉保健局長 都民が安心して有料老人ホームを選択できる環境を整備することは、極めて重要な課題でございまして、このため、都は来年度から有料老人ホームあんしん支援事業を開始いたします。この事業では、都民が施設を利用する前にそのサービス内容を把握できるように、福祉サービス第三者評価の受審を促進し、情報提供を進めてまいります。
 また、これまで都民に十分に公表されていなかった入居一時金の保全方法や経営情報などの、契約の際に重要な判断材料となる情報をわかりやすく提供する新たなシステムづくりに着手してまいります。

○倉林委員 有料老人ホームあんしん支援事業の設立をということでありますので、お願いいたします、しっかりと。
 それから、有料老人ホームは多くの事業者が参入しておりまして、その中には入居後のサービス内容等をめぐってさまざまなトラブルも引き起こしているというふうに聞いております。不当な介護報酬を請求するなどの実態もあるやに伺っております。
 そこでお尋ねをしますが、有料老人ホームについての指導監督というものをしっかりと強化していくことが大変重要だというふうに思うんですが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○平井福祉保健局長 有料老人ホームにつきましては、これまでの介護保険法に基づく指導検査に加えまして、今般の老人福祉法の改正により、都道府県に立入検査権が付与されるなど、指導監督権限が強化されたところでございまして、都では、来年度から有料老人ホームの指導検査に当たる専任の職員を新たに配置し、体制の強化を図ることといたしました。
 今後、第三者評価結果を活用し、区市町村との一層の連携による効果的な指導検査を実施するとともに、検査結果の公表内容や方法を工夫していくなど、有料老人ホームにおけるサービスの適正化と不正防止の徹底に取り組んでまいります。

○倉林委員 それでは次に、横田基地の軍民共用化についてお尋ねをしてまいります。
 昨年一月に発表いたしました多摩リーディングプロジェクトでは、横田基地の軍民共用化を視野に入れつつ多摩の振興を図る、こういっております。
 また、先月公表されました多摩地域における都市計画道路の整備方針案では、新青梅街道を優先整備路線として位置づけをされております。早急に拡幅の着手に取り組んでいただくよう強く望むわけでありますけれども、また、横田基地の軍民共用化については、その動向を踏まえ、必要に応じて別途新たな都市計画決定を行った上で、順次事業化も図っていく、こういうことも記載されております。
 地元では昨年の十一月に、東京都商工会連合会を中心とした多摩地域の経済団体が、横田基地軍民共用化推進協議会も設立いたしました。私の地元であります武蔵村山市議会でも、横田基地の民間機利用促進等に関する調査特別委員会というのも設置されました。また、五市一町で初めて、市長が軍民共用化を推進する意向も表明いたしました。また、市民有志や商工業者の皆さんが中心となって、横田基地の民間機利用促進市民の会も立ち上げたりということで、大変地元の動きがあるわけであります。横田基地の軍民共用化がこうした基盤整備など、地元が抱える課題にも対応するものとして、実現に向けての期待も高まっているわけであります。
 こうした地元の関心の高い課題について、地元の声を聞きながら取り組んでいくべきだ、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。

○山口知事本局長 都は、これまでも地元自治体への説明などを通じて、地元の理解と協力が得られるように努力を重ねてまいりました。昨年十一月には、東京都商工会連合会が中心となりまして、多摩地域の商工会、商工会議所二十六団体が横田基地軍民共用化推進協議会を設立するなど、都としましては大変力強い地元の方々の動きが出てきていると受けとめております。
 今後、周辺の基盤整備や騒音対策など、地元とより密接にかかわりのある課題への対応が重要となることから、引き続き地元の理解と協力を得るように努めながら、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。

○倉林委員 それで、軍民共用化の日米協議の進捗状況についてお伺いをしていきます。
 昨年公表されました在日米軍再編協議に関するいわゆる中間報告ですね、そこでは、横田基地を自衛隊と共同使用することが明記をされております。自衛隊との共同利用は軍民共用化の実現の障害になるのではないかという心配をする向きもございます。
 横田基地の軍軍共用が、軍民共用化を実現していく上で本当に支障になるということなのか、お伺いをいたします。

○山口知事本局長 昨年十月に発表されました中間報告では、横田基地について、自衛隊との共同使用とともに、軍民共用化の具体的な条件や態様を検討していくと明記しており、これは軍民共用化を前提としたものと認識しております。
 また、国は、自衛隊航空総隊司令部の移転など自衛隊との共同使用によりまして、軍用機が移駐されることはないと説明しており、軍民共用化と競合するものではございません。青森県の三沢基地では、現に米軍基地において自衛隊との共同使用がなされている中で、軍民共用が行われております。こうしたことから、自衛隊との共同使用が軍民共用化を実現する上で支障になることはないと考えております。

○倉林委員 ただいまの答弁によりますと、軍軍共用が軍民共用の支障にならない、こう明快に答弁されたようでありますけれども、そうであれば、軍民共用化の早期実現に向けて一層協議を加速していかなければならないだろう、こう思うのであります。中間報告に、軍民共用化については具体的な条件や態様を検討するとされております。今月には在日米軍再編協議の最終報告、一部出ておりますけれども、出るというふうに聞いております。
 そこで伺いますが、国は現在、日米協議の中で軍民共用化をどのように取り扱っているのか、お伺いをいたします。

○山口知事本局長 在日米軍再編協議につきましては、中間報告以後、日米防衛・外務当局間会合におきまして、具体的な課題に関する協議が行われております。国からの情報によりますと、その協議の中で、横田空域のあり方や横田飛行場の軍民共同使用に係る検討という項目が、全国各地の具体的な基地再編問題とともに取り上げられ、個別に意見交換を実施しているとのことであります。

○倉林委員 横田の軍民共用化は、空域の問題とともに、全国各地の基地再編問題と一緒に取り上げられているわけであります。
 では、具体的に他のどんな問題と一緒に協議をされているのか、伺っておきたいと思います。

○山口知事本局長 国から得た情報によりますと、二月九日から十一日まで行われました日米防衛・外務当局間会合におきまして、普天間飛行場代替施設の具体的なあり方、在日米陸軍司令部の改編等に伴うキャンプ座間及び相模総合補給廠の効果的かつ効率的な運用、空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐及びそれに伴う関連措置など、六件の基地再編問題が列挙されておりまして、横田空域のあり方や横田飛行場の軍民共同使用に係る検討はそのうちの一つとして掲げられております。

○倉林委員 最後の方ですので、知事にお伺いしたいと思いますけれども、知事は中間報告の公表直後にも訪米をしたり、また、アメリカ政府高官に軍民共用化の具体的な協議に応じる意向があることを確認しております。また、ターミナルやアクセスなどについても、より具体的な検討を行っていくというふうにしております。また、最近では、日本航空とか全日空の社長さんとも会って、航空会社の意向も確認されているんだというようなご答弁もいただいております、本会議で。
 こうした知事の精力的な取り組みに比べて、国の動きは鈍いと私からもいわざるを得ないのでありますけれども、ただいまの答弁によりますと、確かに協議は行われているようでありますけれども、在日米軍の再編の中で議論だけをしていては、いつになったら結論が出るのか、いささか不安でならないわけですね。
 私ども思いますのは、大体、日本に飛行場がありながら、日の丸のついた飛行機が空を飛べないなんていうのは、だれが見ても疑問を感じざるを得ない人が当然いるんだろうと、こう思うんですね。ぜひその意味で、現在の状況をどのように知事は把握されているのか、また、軍民共用化の早期実現を図るという意味からも知事のご所見をお伺いしたいと思いますので、思う存分お願いいたします。

○石原知事 大体、この飛行場は日本で一番長い滑走路を持ちながら、今までほとんど使われていなかった。これ、そもそも米軍の報告書の中の規定ですと、ロジスティックベース、つまり兵たん基地、つまり物を運び出したり運び入れたりする、そのための用途でありましてね、三沢のように、冷戦時代に、日本の民間機が飛びながら片方でソビエトの飛行機が領空侵犯してきて、日米両空軍がスクランブルで出かけていくような、そういう戦略、戦術の最先端にある基地じゃないんですよ。
 で、一番使ったのはいつかといったら、ベトナム戦争のときに、アメリカの兵隊の死体を持ってきて、それを継ぎ合わせて、棺おけにしまって運び出したのが一番大きな仕事だった。その後ほとんど使ってないんですよ。
 ただ、私は森総理のときに、森君にはいったんですが、せっかくワールドカップやるんだし、私、韓国の政府と話して、もうCIQ抜きにして、両方の共催だったから、行ったり来たりするために横田使おうといったら、途端に彼らは日本の金でですね--今度もそうですよ、グアムに海兵隊連れていくのに日本の金で動かすというんだから、そんなばかな話はない。しかも、これから五十年使える滑走路を直すというので、いきなりあそこの改修工事をした。僕は待ったかけたんですけど、政府がもがもがしててね、総理大臣も、おれはサッカーのことはわからない、うちはラグビーだって。そんな問題じゃない。(笑声)それでね、とにかく押し切られたんですね。
 それで、私は悔しいからね、何年目かの災害対策の大演習、多摩に地震が発生した想定でやって、あそこを使わせろといったら、まあ、一日の使用ですかね、米軍は提供して、あそこで演習やりましたよ。結局、司令官が、その結果、おまえ、うまい取引したっていうんで感謝状をもらっているんだ、後から聞いたら。
 そのとき、総理が来ました。で、私はね、これからも何か行事に出るというから、もう出なくていいから、官邸へ入って、要するにほかの仕事をしてくれと。そのかわり、許可取るから、横田まで飛んでくれよといったら、彼飛んで帰って、官邸から電話かかってきて、見たよ石原さん、あんなでけえ飛行場あるの知らなかったって。みんなそうなんですよ。
 それで、まあ、小泉総理発奮してくれて、何ですか、テキサスの首脳会談で、よし、これはやろうということで向こうも合意した。ところが、情けない外務省で、アメリカもこれをできるだけ延ばしたいわけです。そのために、米軍再編成、トランスフォーメーションをやるといい出して、本来なら、防衛庁が防衛省なら、もうこれは国防省と防衛省の問題になって、それに東京が介在して、外務省が介在してくる余地はないんですけれども、つまり防衛庁なため、官房を通さなくちゃいけないんで、結局あれですな、基地に関する外交交渉というのは、外務省がイニシアチブとらざるを得ない形になった。
 で、もたもたもたもたしたんですけど、あのとき官房副長官補で谷内君が次官になりまして、少し物事積極的にやりまして、先般も次官と北米局長を呼んで話をしたんですけれども、これは待っていられないぞと。それで、とにかくトランスフォーメーションが何だろうと、もう杉山委員会つくって、具体的な案ができているんだから、これをグレードアップして、アメリカからも専門家呼んで、どうするかって話をしようっていったら、アメリカがまたこれずるくて、いや、それは嫌だと、おれたちはおれたちで委員会つくるから、対等の立場でやりたいというから、それはそれで早くつくれということで、つくりつつあるようですけれども、それができた瞬間ですな、政府はやっぱりこういうものを活用して、具体的にどうするかという話を、トランスフォーメーションなんか関係なしに、もう首脳の合意を得ているんだから、具体的なものをとにかく討論する、政府機関をとにかく日本側につくるということをもう決めましたんで、委員会が、向こうが接触して、その合議が何とか行われたら、それに並行して、要するに政府の中に、この横田をどうするかという機関をつくります。間もなくつくります。
 それで、もう案ができているわけで、アメリカ側からは、現地の司令官なんか、ターミナルつくるならここにつくってくれと、ここまで線路を敷いてくれと勝手なこといっていますけどね。それも含めて、とにかくあそこの飛行場を存分に日本の足のために使うということで、もう具体的な案を、ほかと関係なしに--岩国だの普天間でやっていると、いつかがわかりません。あんなもの関係なしに、とにかく中間報告なり今度の報告書の中に、横田の問題をこういうふうに協議をするということは出ているわけですから、その協議を具体的に進めていく機関をつくって、やります。

○倉林委員 よく熱意が伝わってまいりましたけれども、国体もあります、オリンピックもあります。選手団、関係者が横田から降りられるように頑張っていただきたいと思います。
 そこで、多摩国体について伺っていきます。
 オリンピックの東京招致については、我が党の山崎孝明議員を会長として議連も立ち上がりました。また、先週八日には、都議会としても、オリンピックの招致決議も行いました。今後、執行機関と議会とが一体となって、招致活動に本格的に取り組んでいくことになるわけであります。
 ところで、多摩国体は平成二十五年の開催です。オリンピックの招致を目指すのは平成二十八年であります。多摩国体の方が三年早く実行されるわけですね。三年前になる。国体の方が先であります。もちろんオリンピックも大事でありますが、改めて東京で行われる国体についてもぜひご認識いただけた方がいいんだろうと、こう思いまして、私は質問するわけであります。
 この開催につきましては、二十年近く前から、多摩を中心に開催してほしいということで多摩の市町村が要望して、平成十二年度、都議会としても、起立多数により国体の招致決議が行われたわけであります。多摩国体に関してもぜひ忘れることなく、着々とその準備を進めて、成功できるようにしていただきたい、これが率直な意見であります。
 また、我が党としては、多摩国体は、先ほど質疑いたしました横田基地の軍民共用化と並ぶ多摩振興の起爆剤であると、こう思っております。
 そこで、多摩国体の準備に関して何点か、お伺いいたします。
 国体全般については、都を中心にした準備委員会、実行委員会で推進、開催し、そして個々の競技については各区市町村等が運営主体になるわけであります。多摩国体の開催に当たり、競技の運営主体の中心となる区市町村にとっては、競技種目と会場地の決定は極めて重要な課題であります。
 そこでお尋ねをいたしますが、各競技の会場となる区市町村はいつごろ、どのようにして決まっていくのか、お伺いいたします。

○中村教育長 昨年中に、区市町村及び競技団体に対します競技会の開催意向の予備調査を終えました。現在、個別ヒアリングや施設の調査を実施しているところでございます。
 平成十八年度には、開催意向の本調査を行った上で、区市町村の代表も参加します東京国体準備推進会議におきまして会場地選定案を策定いたします。十九年度に各界各層の方々から成ります東京国体準備委員会で会場地を決定してまいります。

○倉林委員 ただいまのお話ですと、十八年度は、協議の会場地となる市区町村が固まる、こういう最も大事な大事な一年だと、こう思います。その際、各市区町村において、どの競技を開催して会場地となるかを決めていくには、各競技の開催条件あるいは財政的なことなどについて都から十分な情報提供がないと、極めて判断が難しいのではないか、こう思うんですね。
 したがいまして、市区町村との関係において、十八年度、都はどのように国体準備に取り組むのか、その具体的な進め方についてお尋ねをしておきます。

○中村教育長 現在、開催意向予備調査の結果を踏まえまして、それぞれの競技会の運営方法あるいは経費等につきまして調査、分析をしているところでございます。
 平成十八年度には、区市町村との役割分担や支援方策等につきまして、他県の実績も参考に検討を進めまして、区市町村に対しまして、協議会の開催判断に必要な情報の適切な提供に努めてまいります。
   〔発言する者あり〕

○倉林委員 市区町村だそうであります。(笑声)
 競技の実施に当たりましては、もちろん東京都からの財政支援のあるなしにかかわらず、国体開催の趣旨にのっとって、それぞれの市区町村が、会場地となる、こういうみずからの判断によって手を挙げなければならない、こういうことでありますよね。
 しかしながら、現実問題として、財政状況が厳しい団体もあるわけです。また、各競技の円滑な運営に向けて、都の最大限の配慮、そして支援は欠かせないだろうと思っております。
 それから、国体の競技は現在三十七競技あるようでありますけれども、その実施に当たって、現時点で国体開催の条件を満たす施設が都内にはない競技もあるだろう。多摩にもない競技があるだろう。このような場合、例えばオリンピックの種目と共通する競技については、セットで考えて施設整備を進めることが大変効率性があるだろう、こう思うんですね。当然の発想だと思うんですが、今後、このあたりの競技施設の整備についてどのように進めていくつもりなのか、基本的な考えをお伺いします。

○中村教育長 国体の競技施設につきましては、既存施設の有効活用を原則として、公立の体育施設のほか、大学や民間企業の施設なども活用していく考えでございます。
 また、競技会は都内施設での開催が基本ではございますが、ご指摘のとおり、現時点で都内に国体基準を満たす施設がない競技もございます。
 今後、オリンピック招致におきます施設の検討を踏まえつつ、都内施設の改修や近隣県の施設の活用など、多角的に検討して、効率的な施設整備に努めてまいります。

○倉林委員 時間がなくなってきそうです。
 首都東京そして日本の存在感を世界に披瀝する絶好の機会だと、私はこう思っております。特に、東京大マラソン、多摩国体、東京オリンピック、まさにこの三つこそホップ・ステップ・ジャンプであると、こう思っております。これらの一連のスポーツイベントは非常に重要であります。
 市長会、町村会からも、昨年十一月には、オリンピック東京招致に一致団結して協力、賛同するという決議もなされたわけであります。ただ、その際、多摩国体の計画や構想と一体的にという意見も付されているわけであります。このような考えからだというふうに思っておりますけれども、加えて、オリンピックに向けてのインフラ整備と同様に、多摩国体に合わせて多摩の基盤整備、また財政的支援というのが大変重要であるわけであります。ぜひお願いしたいんでありますが、オリンピック同様、この多摩の国体の開催に向けて、知事、今オリンピックで頭いっぱいでしょうけれども、国体の方を、ひとつ所見をお伺いいたします。

○石原知事 平成二十五年に予定の東京の国体は、スポーツの振興や多摩・島しょ地域--島しょもですね、これはやっぱりヨットは多摩にできませんから、島しょも入るわけでありますが……。(倉林委員「村山貯水池もありますから」と呼ぶ)
 それはちょっと狭過ぎてね。(笑声)島しょ地区を中心とした地域の活性化に大きな役割を果たすものでありまして、準備を万全に進め、成功させたいと思っております。
 ご指摘のように、プレオリンピックとして、多摩国体、そして東京大マラソン、非常に効果があると思います。今後、都議会、都民の皆様のご理解、ご協力をいただきながら、東京国体や来年度から始まります東京大マラソンを成功させまして、スポーツ都市東京を内外にアピールして、オリンピックの東京開催につなげていきたいと思っております。

○倉林委員 知事から決意をお伺いすることができまして、大変安心をいたしました。くれぐれもよろしくお願いいたします。
 ただ、オリンピックにパラリンピックがあるように、多摩国体の競技が終了いたしますと、続けて障害者スポーツ大会というのもございます。そのことも踏まえまして、多摩国体の開催準備のための施設整備や、あるいは基盤整備についても、ぜひオリンピックのバリアフリーと同様に、国体についてもバリアフリーの観点で整備をしていただきたいということを特にお願いをしていきたいと思います。
 続いて、多摩の市町村の支援についてお伺いをいたします。
 ちょっと時間がなくなってきました。
 いわゆる三位一体改革については、先般、国庫補助負担金の四兆円削減と、国から地方への税源移譲三兆円で一応の決着を見たようであります。今回の決着に対して、単なる数字合わせなど、さまざまな評価もあるわけですけれども、税源移譲が地方の基幹税である個人住民税により実現したことは一定の意義があると、こう思っております。
 そこで、この決着が都内市町村の財政に与える影響をちょっとお聞かせください。できるだけ簡潔にお願いします。

○高橋総務局長 今回の国庫補助負担金の削減と、個人住民税による税源移譲に関する都内の市町村への影響額につきましては、各団体ごとに若干の増減収はございますが、二十六市十三町村総体としておおむね均衡するものと見込んでおります。

○倉林委員 そこで、市町村総合交付金についてお尋ねしていきます。
 まず、市町村交付金についてちょっと、経営努力とかいろいろあるかと思うんですが、総務局長、お答えできますか。

○高橋総務局長 総合交付金の特徴でございますが、総合交付金は、市町村に対する包括的な財源補完制度として、従来の三交付金を継承しつつ、市町村の財政状況、経営努力、まちづくり振興、特別事情という四つの視点から算定し、交付をしてまいります。
 特徴の第一は、地域の発展に資する市町村の事業につきまして、投資的経費と経常経費の区別なく支援できることとなりまして、これまでと比べ、市町村にとって使い勝手がよくなったことでございます。
 第二は、各団体の経営努力を算定に反映させる仕組みを導入いたしました。具体的には、市町村の主体的な行財政改革の努力につきまして、職員定数や特殊勤務手当の見直し、徴税率など、適切な指標を設けまして、加点方式で算定をするものでございます。

○倉林委員 経営努力の評価、ぜひこれが各団体の積極的な取り組みを後押しするというふうになるように期待をいたしております。
 そこで、もう一点お尋ねしますが、総合交付金であります、同じく交付金でありますが、市町村土木補助を活用してインフラ整備に取り組む市町村に対して、私は積極的にこの交付金も活用し役立てるべきだと、こう思うんでありますが、それをお聞かせいただきたいのと、もう一点、多摩リーディングプロジェクトについて、総務局長、この推進役でありますので、十八年度、確実な実行に向けてこれを取り組んでいただきたいと思いますが、ご答弁だけ願います。

○高橋総務局長 十八年度予算で増額されました市町村土木補助などを市町村が有効に活用しまして、まちづくりを行うことは非常に重要と考えております。しかし、ご指摘のとおり、市町村が土木補助の増加にこたえまして事業を実施した場合、市町村の財政負担が増加することとなります。
 都といたしましては、このような市町村の財政負担の増加に対しまして、市町村総合交付金で適切に対応し、財源補完制度としての本交付金の役割を積極的に果たしてまいりたいと考えております。
 次に、十八年度に大幅に充実をいたしました多摩リーディングプロジェクトにつきましては、何よりこれを着実に推進することが求められております。そのため、重点推進事業につきまして進捗状況を的確に把握することはもとより、市町村との連携を一層密にしまして、施策の目標達成を図ってまいります。
 今後とも、都議会の皆様のご支援をいただきながら、首都圏の中核となる多摩を実現するため、多摩振興の調整機能を担う総務局として、関係局と十分連携を図って、総力を挙げて取り組んでまいります。

○倉林委員 お願いします。(拍手)

○松原委員長 倉林辰雄委員の発言は終わりました。

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