東京都議会予算特別委員会速記録第二号

○大塚副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 柿沢未途理事の発言を許します。

○柿沢委員 まず、オリンピックについてお聞きします。
 去る八日、この都議会においても招致決議が可決をされました。そのときの討論でも申し上げましたけれども、都議会民主党は、招致決議は賛同いたしましたけれども、今後ともつけるべき注文はつけていくという姿勢に変わりはありません。そのことをまず最初に申し上げておきます。
 まず、招致の見通しについてお聞きします。
 二〇一六年は、二〇〇八年の北京オリンピックから八年後に当たります。アジア初開催の東京オリンピックから次のソウルオリンピックまで二十四年、ソウルから北京オリンピックまでは二十年の間があります。それに比べて、今回は北京から東京まで八年間と、非常に短い間隔になっています。この短期間に、再びこのアジアにオリンピックを招致ができるのか。できなければ、招致運動にかける何十億円となるでしょう費用は水の泡となってしまうわけです。
 二〇一六年のオリンピック招致成功の見通しと戦略を伺います。

○山口知事本局長 オリンピックが開催されました大陸について、過去の例を見ますと、戦後において、欧米では八年後に再び開催した例が四回ありまして、連続して開催したケースも一回あります。
 二〇一六年東京オリンピックが、都市選考の主要なポイントとなります世界最高レベルのコンパクトな配置や、すぐれた日本の技術を活用したこれまでにない運営が可能でありますことから、IOCの高い評価を得られるものと確信しておりまして、二〇一六年のオリンピックを必ず東京に招致できるものと思っております。

○柿沢委員 先ほどの質問にも出ておりましたけれども、この国内招致の候補都市に選ばれましてIOCの場に招致活動に出ていった場合に、現在海外のどんな都市がライバルになると考えているか、伺います。

○山口知事本局長 報道などによりますと、ヨーロッパではマドリード、ミラノ、北米ではニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、アジアではバンコク、ニューデリーなどが立候補を予定しているようでございます。
 また、オリンピックが開催されていない大陸の都市として、アフリカのケープタウン、南米のリオデジャネイロなどが関心を持ちまして、リオデジャネイロは既に何度か立候補いたしております。

○柿沢委員 今のお話にもありましたとおり、さまざまな各大陸の都市が立候補を検討または予定をしているということであります。とりわけアジアの中でも、今、バンコクあるいはニューデリーのお話がありましたけれども、アジアを代表して立候補するということになれば、こうした都市については、できる限り協力する側に、東京をサポートする側に回ってもらうということが大事なのではないかなというふうに思っております。
 さて、先日の招致決議文には、子どもたちのことにも言及がなされております。一九九八年の長野オリンピック、ここでは一校一国運動というものが行われています。長野市内の小中学校各校が、それぞれ国を決めて応援と交流を行うというものです。当時は、ユーゴスラビアの紛争の真っただ中でありまして、コソボ自治州の人たちなどをお招きをして、小学校の場において交流、歓迎会を行うというような取り組みもあったと聞いております。長野オリンピックから八年たった今も、そうした国々と長野市内の小学校との交流が続いているというところもあるというふうに聞きます。
 さらに、招致には失敗しましたけれども、大阪では、一商店街一国運動というものを提案をしていました。これは市内の商店街とそれぞれの国が交流を深めるという活動で、これもまた、私はいいアイデアではないかというふうに思っています。
 こうした一校一国運動や一商店街一国運動は、オリンピックの開催が決定してから進められることが多いわけですけれども、しかし、これを招致段階から進める手もあるのではないかというふうに考えます。これは都民の招致機運を高めることにもつながるというふうに思います。
 東京の子どもたちが、一校一国運動をやっている国のIOCに対して、東京をぜひ選んでくださいという手紙をみんなで書く。これはもう、そうした国々のIOCにとって、大変心を動かされるメッセージにもなるのではないか、それが結果として招致の成功にもつながっていくのではないかというふうに思います。
 その意味で、オリンピックに向けた機運を高める上で、このように、子どもたちを含め都民を巻き込んだ運動を展開することが重要と考えますけれども、見解を伺います。

○山口知事本局長 お話のように、子どもたちを含めました一校一国運動などの取り組みは、招致機運を盛り上げるために大変有効であると認識しております。
 東京オリンピックに向けましては、今までのオリンピック大会での成果などを参考に、子どもからお年寄りまでのさまざまな世代、さらには企業や地域を取り込んだ招致機運を高める取り組みを展開してまいります。

○柿沢委員 それでは、続きまして、オリンピック基金についてお伺いをいたします。
 来年度の一千億円を皮切りに積み立てるこのオリンピック基金の金額は、将来的にかなりの額に上るというふうに考えられます。これは仮にの話ですけれども、このオリンピック開催準備基金というものは、仮にオリンピックの招致に成功しなかった場合どうなるのか、伺わせてください。

○谷川財務局長 今、私どもがなすべきことは、オリンピック招致に全力を尽くすことであると考えております。招致できなかった場合のことは、想定してございません。

○柿沢委員 それはそうだろうけれども、しかし、このオリンピック招致に関して、率直に申し上げますよ、率直に申し上げるけれども、これは都市開発のためのオリンピックではないかというような、批判をする向きもある。私は、そうは必ずしも思っていませんけれども、そうした誤解や疑念を持つ向きもあるわけです。
 その皆さんにとって、理解を得ていく上で、この一千億円積み立てられた基金、確かにオリンピックを開催するということになれば、そのために使われるんでしょうけれども、しかし、必ずしもそれに成功しなかった場合にどう使うのか。例えば社会資本整備基金に振りかえる、あるいは財政調整基金に振りかえる、こうしたことについて考えていくべきだというふうに思いますけれども、改めて見解を伺いたいと思います。

○谷川財務局長 東京オリンピック開催準備基金は、その目的をオリンピック開催に関連する社会資本等の整備に使うことと定めてございます。この目的外に転用することはできないものでございます。
 したがって、再度お尋ねがあったように、万が一招致できなかったという場合には、まず基金条例の廃止についてご審議いただき、取り扱いを考えていくことになるのではないか、このように考えております。

○柿沢委員 先ほど来いろいろご意見をいただいておりますけれども、しかし我々の立場からすれば、今後の招致活動が成功に終わればいいですよ、成功に終わればいいけれども、しかし、そうでなかった場合の見通しもやはり立てておく必要があるというふうに私は思います。
 さて、オリンピックで東京がどう変わるかについてお伺いをいたします。
 先日公表されました、二〇一六年東京オリンピック主要関係施設検討候補地図というやつですけれども、これには、ごらんのとおり青で三本、縦の線が引いてあります。これは首都高の晴海線、そして中央環状線、そして一番外側が東京外環道路です。
 これらの中には、先ほどもお話が出ましたが、事業化をまだされていない路線もあります。二〇一六年のオリンピック開催までに是が非でも完成をさせたいという都の思いはわかりますけれども、しかし、これを出したことで、やはりこのためにオリンピックの招致を行うのかというふうな疑念を持たれているのも、これは事実です。
 こうした道路は、二〇一六年までに、どんな借金をしてでも、何が何でもつくるんですか。それとも、ある種ウィッシュリストというか、二〇一六年までにこれを完成させたいという思いを反映しただけのものなのかどうか、この件について伺わせてください。

○山口知事本局長 検討候補地図の青い線でございますけど、これは、既に計画されている高速道路をオリンピックに活用できるかどうかを検討するため、地図に記載したものでございます。
 今後、これらの道路につきましては、オリンピックを視野に入れ、整備が促進されていくことを期待しております。

○柿沢委員 知事本局のお考えはわかりました。ですが、こうした道路の整備に関しては、都市整備局が主体となるはずです。都市整備局として、外環を初めとしたこの道路の整備、何が何でも二〇一六年までに完成させるというつもりなのかどうか、局長の明快な答弁をお願いします。

○梶山都市整備局長 今、知事本局長がお話、ご答弁申し上げたその青い路線というのは、まさにすべて都市計画決定されておりまして、今ご質問にありました、多分外環だろうと思いますが、これにつきましては、早期事業化に向け、積極的に取り組んでいる路線であります。
 これは、先ほど知事もお話、ご答弁申し上げましたとおり、オリンピック招致にかかわりなく、首都圏の渋滞解消、環境改善、都市再生にとって必要不可欠でございます。今後とも、一日も早い完成に向け、積極的に取り組んでまいります。

○柿沢委員 お話のとおり、これは二〇一六年に間に合わせられればいいけれども、これは必ずしもオリンピックがなくても進めるべき路線であって、これとオリンピックとは一〇〇%リンクをさせているものではないということでありました。このことは、私たちは非常に重要なお話だというふうに思って、認識をさせていただいているところであります。
 さて、先日の招致決議ですけれども、私たちは、前回のオリンピック招致決議と同様、やはり全会一致で決議を行った方がよかったのではないかというふうに思っています。ですが、中途議決日の上程となってしまったこともあって、全会一致とならなかったことは非常に残念でなりません。
 その意味で、招致決議の後に石原知事が、今後議論を重ねる中で、反対した人たちが、それならやろうとなればいいと語ったことは、非常に重要だというふうに思っています。反対の人も賛成にする、これはこれからの努力です。そのための意気込みを石原知事に伺いたいと思います。

○石原知事 私の意気込みについてでありますけど、これ、私一人の意気込みでできるものではございませんが、いずれにしろ、やっぱり都民全体、日本人全体が、みずから省みてなおくんば、千万人なりとも我行かんというのが、私はやっぱりオリンピック招致する一つの意気込みだと思いますね。
 それから、この間、先ほども懇談会出しましたが、山本さんというオリンピックに詳しいNHKの論説主幹から聞きましたけど、口が裂けても、十年先だめだ、その四年先、二十年とかいっちゃいけないと。これは、私は、やっぱりこういうことの駆け引き、政治、外交展開の一つの要点だと思いますね。
 ですから、大事な予算委員会で、だめだったらその金どうするかという議論は余りしていただきたくない。

○柿沢委員 戦略としては、それはよくわかりますけれども、しかし、私たちもそれにおつき合いする以上、不明確な点はただしていかなければいけないと思っておりますし、確認すべき点は確認をしなければいけない、そういう思いでお話もさせていただきましたし、提案も一つさせていただいたわけです。そのことをご理解いただきたいというふうに思っております。
 続きまして、談合問題についてお聞きをいたします。
 まず、入札における落札率についてお聞きをいたします。
 日本道路公団の談合問題をめぐって、衆議院の国土交通委員会に呼ばれた猪瀬直樹さんが、落札率が九七%や九八%なら、これは官製談合であると述べています。確かに、道路公団副総裁が逮捕された橋梁工事の平均落札率は、九七・五%という高いものでした。成田空港工事をめぐる官製談合事件では、予定価格の九五%ぐらいの工事金額を業者に教えるよう、歴代引き継いでいたといわれています。
 一方、道路公団に強制捜査が入った前後以降の入札では、落札率が七五・二%と急に下がったと猪瀬氏は指摘をしています。
 入札改革を徹底した長野県では、工事入札の平均落札率が九七・四%から、わずか三年で八一・六%に下がっています。談合事件が発覚をする、入札改革が行われる、そうすると、やはり落札率というのは下がっていくんです。
 都における談合事件で摘発された工事の落札率も、例えば平成十六年十二月の河川工事が、九六・一%と高い落札価格でした。これらの談合事件と高い落札率との関係を、相関関係をどのように考えているか、伺います。

○谷川財務局長 東京都では、予定価格が二百五十万円を超える工事につきましては、国と異なり、予定価格の事前公表を行っております。それと同時に、入札参加者を相互にわからなくするなど、官製談合の防止に努めてきております。
 予定価格につきましては、都が契約すべき金額の上限を示したものであり、落札率が高かったとしても、都が積算した予定価格の範囲内の落札は、競争入札の結果として受けとめております。
 このため、高い落札率がそのまま談合に結びつくものとは考えておりません。

○柿沢委員 高い落札率がそのまま談合に結びつくとは考えていないというご答弁でありました。今回、私たちは、個別契約の入札経過調書をとれるだけとってみて、都の入札状況というのを確認させていただきました。
 その中で、都の新海面の処分場の工事を見て、興味深いことがわかりました。新潟市の官製談合事件で排除勧告を受けた業者が参加をしていた入札がありますが、これは九七・七%の高い落札率をつけて落札をされています。片や、そうした業者が一者も参加をしていない入札というのが、やはり同じBランクの入札であったんですけれども、この工事は落札率七八・七%、約二〇%も低下しています。
 この落札率の二〇%近くの大きな変動というのをどういうふうに見ておられるのでしょうか。

○谷川財務局長 落札率が七八%の臨海処分場の工事でございますけれども、これは比較的小規模な土木工事で、中小企業を対象としてございます。お話があった、新潟市の官製談合で排除勧告を受けた大企業の建設会社は入札に参加できない工事案件でございました。
 業種や工事の規模、内容が異なっておりますので、落札率を単純に比較することはできないと考えてございます。

○柿沢委員 同じBランクの工事を比較をしているんですが、今のご答弁であります。非常に残念です。こうした落札率の高さは、談合の存在を疑わせる重要な指標だと私たちは思います。
 今回、私たち、先ほど申し上げたように、個別契約の入札経過調書をとれるだけとって調べてみましたけれども(パネルを示す)このパネルをちょっとつくってみましたが、やはり入札に参加をしている業者が多いか少ないかで、落札率が如実に変化をするということがわかりました。
 例えば土木工事の契約の平均落札率ですけれども、十者未満の工事の平均落札率は九七・六%、そして十者指名された場合、九三・七%、十一者以上になると八六・一%、そして二十者以上が参加をした工事になると七七・一%まで--ごめんなさい、これは下水道施設の工事ですけれども、下がります。
 一方で、土木工事、九七・六%、八七・九%、八四・三%、そして二十者以上になると六〇・九%と、がくんとやはり落札率が下がっていきます。これは、はっきりとした顕著な傾向が見てとれるわけです。
 この入札参加業者の数による落札率の変動についてどのように考えますか、伺います。

○谷川財務局長 競争入札において広く入札参加希望者を募っておりますが、工事の内容や施工条件などにより、結果として入札参加者が十者未満になることもございます。
 都は、これまで、現場説明会の廃止や電子入札の導入などに取り組んできており、入札参加者が少ない場合でも、入札参加者には、ほかにだれが参加しているのかわからない仕組みをとってございます。
 したがいまして、入札参加者の多い少ないにかかわらず競争性は確保されており、落札率は、あくまで入札における競争の結果と受けとめてございます。

○柿沢委員 --(四百九十八字削除)--

○大塚副委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○大塚副委員長 速記を始めてください。
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後三時五十三分休憩

   午後四時二十三分開議

○松原委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 先ほどの柿沢理事の発言について理事会で協議をした結果、引き続き理事会において協議を継続することとなりました。
 お諮りをいたします。
 本件につきましては、その取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 柿沢未途理事の発言を許します。

○柿沢委員 理事会の決定に従って、質疑を続行させていただきます。
 自治制度について、続いて伺います。
 四年前の第一回定例会の一般質問で、私は東京十二区構想という、当時、私が1/2の会という団体をやっていましたが、その二十三区の再編の構想のパネルを出して、石原知事に質問をさせていただきました。きょう、パネルも用意をしていたんですが、そのような雰囲気でもないので出しませんけれども(笑声)当時、二十三区の再編など、まだまだ先のことという感じでしたけれども、今回、都区協議における合意事項の中に、再編を含めた区域のあり方を検討するという項目が第一に盛り込まれ、都区の検討組織の中で具体的な議論が行われることになりました。私自身も感慨深いものがございます。
 そこで、まず、都区制度について何点かお伺いをいたします。
 いわゆる主要五課題をめぐる都区協議については、一時、都と特別区側が決裂状態になっていましたが、先月十六日に都区合意がなされ、一応の決着を見ました。その中で、今後の都区のあり方について、根本的かつ発展的に検討していくという合意がなされ、今後、都区共同の検討組織が立ち上げられることになります。
 具体的にはどのような内容を検討していくのか、伺います。

○高橋総務局長 都区が共同で行います検討の内容は、事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度などでございます。
 今後の都区のあり方につきまして、次の制度改革を視野に入れ、これらの課題を根本的かつ発展的に検討してまいります。

○柿沢委員 その中では、私がかねてから申し上げているような特別区の再編も議論の俎上に上がるのでしょうか、伺います。

○高橋総務局長 再編も含めまして特別区の区域のあり方を検討していくことを、さきの都区協議会で合意をしております。

○柿沢委員 今後、議論の深まりに期待を申し上げたいと思います。
 さて、特別区協議会の調査機関である特別区制度調査会ですが、昨年十月、「東京における新たな自治制度を目指して-都区制度の転換-」という報告書をまとめ、基本的に二十三区が今の特別地方公共団体から普通地方公共団体になる道筋を示しています。
 そのためには、都区財政調整制度をどうするのか、地方自治法そのものの改正も必要となるなど、クリアをしなければならないさまざまなハードルがありますが、特別区側がそうした方向を打ち出している以上、それも検討課題としてテーブルにのせることになるでしょう。
 特別区が普通地方公共団体、もっと平たくいえば市になることを、現時点で都はどのように考えているのか、伺いたい。

○高橋総務局長 お話の特別区制度調査会の報告では、今後の方向性の一つとしまして、各特別区が一般の市として普通地方公共団体となるシナリオが示されております。
 この場合、都が担ってきた大都市事務及び都が課してきた調整税等の財源が特別区に引き継がれていくことになりますけれども、特別区の区域は一体として大都市東京を形成しており、事務が各区に引き継がれた場合、一体性をどう確保していくのか、また、二十三区に分かれた各区の間で財源が著しく偏在したまま一般の市となり得るのかなどの問題があると考えております。

○柿沢委員 ところで、先日の私の代表質問に対して高橋総務局長は、今後の都区共同の検討に際しては、住民に身近な行政を担う基礎的自治体の役割を十分尊重するとともに、特別区の区域における大都市としての一体性確保の視点を持つことが重要と答弁されています。基礎的自治体の役割を十分尊重すると答弁いただいたことは、都も今後、特別区の自治権を拡充する立場にあると受けとめております。
 今後、具体的な議論を進めていくものと思いますけれども、その際、昨年来の都区協議において、大都市事務の範囲に政令指定都市の事務を含めるかどうかで都区の見解が大きく分かれ、議論が進まなかったことが思い出されます。
 今回の都区共同の検討の中でも同じような議論を行うことになるのかどうか、伺わせてください。

○高橋総務局長 これまで、都と区は、現行制度のもとでの役割分担を議論してきましたけれども、意見の一致を見ることはできませんでした。
 今後の協議は、現行制度に限定することなく、道州制の議論などの動向を踏まえまして、基礎的自治体である特別区と広域的自治体である都が、将来どうあるべきかを、次の制度改革を視野に入れて、根本から議論をしていくものでございます。
 都区の事務配分につきましても、東京の発展と都民、区民の生活の向上を図るため、都が何を担い、区が何を担うか、原点に返って検討してまいります。

○柿沢委員 原点に返って検討するということですけれども、都区の事務配分、根本から検討していくことになるわけですけれども、これ、財源の方はどうなんでしょうか。
 都が今持っている財源を手放さないというようなことがないのかどうか、伺わせてください。

○高橋総務局長 財源配分につきましては、今後の都区のあり方を共同で検討する中で、その結論に従い、整理を図ることとされております。
 都区で将来に向けた検討を行い、都が何を担い、区が何を担うか明らかになれば、事務事業と財源は切り離せないものでありますので、都区間の財源配分もそれに応じて定まっていくものと考えております。

○柿沢委員 今のご答弁を聞いても、非常に根本的な議論を都としては予定をしているということがよくわかりました。これまでのような大都市事務をめぐる議論を幾ら延々と繰り返しても、都区の溝は深まるばかりだと思います。ぜひ自治の原点に返って、意味のある検討をしていただきたい。今後の都区の議論が深まっていくことを期待して、次の質問に移ります。
 続きまして、地方制度調査会の答申について、何点かお伺いします。
 先日の石原知事のコメントにもありましたが、丸二年間、五回の総会、三十八回にも及ぶ専門小委員会での議論にもかかわらず、この答申の内容で本当に分権が進むのか、道州制が具体化するのか、甚だ疑問であるといわざるを得ません。
 本会議の代表質問でも伺いましたが、実際に出された答申について石原知事はどのような評価をされているのか、伺いたいと思います。

○石原知事 道州の検討は、我が国の旧弊な政治、行政のスキームを根本的に改革するものでなければならないと思います。
 まず、これまでなおざりにされてきた国と地方の役割分担を徹底して議論をし、その上で制度の問題に触れるべきだと思いますが、今回の調査会では、どうも省益に拘泥する各省庁の権限にまで踏み込んだ改革が提案されるものと期待しておりましたけれども、答申では、世間の耳目を引きつけるために道州の区割りを前面に立てて、ちょうど、かつてアメリカで議論の対象になりましたゲリマンダーのように、ためにする、何か一つ区割りの論で、実質から非常に離れたもののような気がしてなりません。
 ともかく本質的な議論を意図的に回避したとしか思えない嫌いがございます。これでは真の地方分権の改革につながるものとはとても思えないと私は思います。

○柿沢委員 この地方制度調査会の議論を見ておりますと、どうも国においては、都心三区というのに大変高い関心があるように見受けられます。地方制度調査会に提出された資料の中にも、財政需要の充足度合いが全国計で五七%、東京合計一一一%に対して、都心三区は財政需要の充足度が四九九%もあるなどと、あえて言及をされているところです。これを見て、都心部を国の直轄地域にしたいというような思惑を感じなくもありません。都心三区を中心としたエリアは、石原知事の言葉をかりれば、まさに日本と東京の頭脳であり心臓であります。このような地制調における都心区の議論について、石原知事はどのように考えているのか、所見を伺いたい。お願いします。

○石原知事 地方制度調査会は、特別区や都心三区について、確かに税源の偏在を殊さらに強調して、内容を全く明らかにしないまま、特例的な制度導入の可能性だけを示唆しております。この論には、おっしゃるとおり、都心部を直轄統治しようとする意図も見え隠れしておりますが、分権改革をうたう調査会が地方自治の一種の否定につながるような答申を行うということは、もう自家撞着としかいわざるを得ないと思います。
 ワシントンなども、ワシントンDCということで政府の直轄でありましたが、やはり開かれた選挙で首長を選ぶというふうに方向転換しましたけれども、この答申を眺める限り、まさに時代に逆行しているとしか私はいいようがないと思います。
 国の直轄統治に対してはもちろんのこと、歴史的必然である地方分権の流れに歯どめをかける動きに対しては、断固反対していくつもりであります。

○柿沢委員 さきの代表質問での答弁でも、石原知事は、現行の都道府県の制度は直面する行政課題に十分対応できない状況にあるとして、道州制の検討に当たっては、こうした現実の課題と現場の実態を踏まえた検討が必要であると述べられています。現場から乖離した及び腰の答申では、道州制は夢のまた夢ということになりかねません。八都県市の連携を通じて着実に実績を積み重ねてきた都が率先して、新たな広域的自治体のあり方を発信していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○石原知事 我が国が時間的、空間的に非常に狭小になりました現在、行政課題は広域化、重層化の度を深めていると思います。都はこれまでも、広域的課題を解決するために、八都県市の連携を通じて着実に実績を積み重ねてまいりました。現に来週は、松沢知事からの要望で、首長だけではなくて、各自治体の商工会議所の会長さんなどにも出てもらって、もっと深い重層的な話をしようということになっておりますけれども、そういうことも含めて、調査会の会長の諸井君が来られたので、現実に首都圏がやっている広域行政の実態について話をしたんですが、そういう現実の事例を深く理解したのかしないのか、それが今度の答申に一向に反映されてないというのは極めて残念だと思います。
 加えて、我が国発展の牽引役であります東京の活力を維持発展させる視点も何か欠けているような気がいたします。そのために、都区制度など東京における大都市経営のあり方の検討は今後もあわせて行う必要があると思いますし、都としても引き続き、東京自治制度懇談会の知恵をかりながら、真の分権改革につながる東京発の自治論について検討を深めていくとともに、国などに対して強く発信していきたいと思っております。

○柿沢委員 さて、ところで石原知事は、さきの代表質問での答弁で、国と地方の役割分担を徹底して議論すべきと述べられました。先ほどの答弁でもあったと思います。
 現行の地方自治法にあっても、第一条の二で、地方公共団体は、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとするとされ、また、第一条の二の二では、国は、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならないとされています。しかし、平成十二年の地方分権一括法で国と地方の役割分担をしておきながら、いまだに国が深く関与し、地方公共団体の自主性及び自立性を阻害している事例が後を絶ちません。
 おととし八月に地方六団体がまとめた国庫補助負担金等に関する改革案に付された別表三には、国による関与・規制の具体的事例が二十件掲載されております。その中には、例えば松くい虫の防除作業に緊急に取り組もうとしたが、被害拡大防止林の区域指定、これは国の同意が必要なんだそうですが、この国の同意を得るのに二カ月もかかったため、実際に防除作業に取りかかったのは三カ月後になってしまったなどという信じられないような例も掲載されています。
 こうした事例の改善状況についてはどうなっているのか、伺いたい。お願いします。

○山口知事本局長 お話の事例につきましては、認可保育所の入所要件など、国による関与・規制のうち改革が必要なものを地方六団体が分権改革の一環として集約し、国に提案したものでございます。
 改善の結果については、各省庁の対応を踏まえて、現在、全国知事会において取りまとめを行っていると聞いております。

○柿沢委員 今、取りまとめをやっているということでありますけれども、こうした国の過剰関与等の事例はまだまだたくさんあるというふうに思います。先ほども述べられておりましたけれども、耐震偽装問題でクローズアップされた建築確認事務の問題、これは自治事務でありますけれども、しかし、指定確認検査機関から特定行政庁には紙ぺら一枚しか上がってこない、これで判断して責任を負えといっても無理だという石原知事の言葉もむべなるかなといわなければなりません。
 また、国の過剰関与だけではなくて、都道府県と区市町村の役割分担の再整理という課題もあります。義務教育国庫負担をめぐる問題は、三位一体の改革に当たって大変大きく注目をされ、議論が闘わされましたけれども、義務教育は、現在、実は自治事務となっています。が、この義務教育に関する都道府県と市町村の関係は複雑です。教育を行うには、まず学校を設置し、教科書を選択して、教員を雇って、給料を払って、研修を行うなど、さまざまなことが必要ですけれども、都道府県と市町村との役割分担はどうなっているのか、伺いたい。

○中村教育長 区市町村は、学校教育法によりまして、小中学校を設置、管理し、その経費を負担しております。
 また、他の法令によりまして、都の基準に基づく学級編制の実施や小中学校で使用する教科用図書の採択なども行っております。
 一方、都道府県は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などによりまして、県費負担教職員の任命権を有しておりまして、給与費についても負担しております。
 また、国の標準に基づく学級編制基準の設定のほか、区市町村に対しまして、教科用図書の採択を初めとする教育に関する必要な指導、助言、援助を法令に基づきまして行っております。
 なお、教職員の研修につきましては、都道府県、区市町村、双方で実施しております。

○柿沢委員 では、国は、この義務教育にはどのように関与しているのか、伺わせてください。

○中村教育長 国は、学校教育法などによりまして、義務教育の基本的な制度の枠組みの設定や全国的な基準の設定とともに、学校教育の適正な実施のために必要な指導、助言及び援助を行っております。
 具体的には、小中学校の修業年限あるいは教科を定めているとともに、学習指導要領の公示、教科用図書の検定及び区市町村が採択した教科用図書の無償給付などを行っております。
 また、学級編制や教職員定数の標準、施設、設備の基準などを設定するとともに、教職員の給与費や学校施設の建設経費の一部を負担しております。

○柿沢委員 私たちは、財源論はともかくとして、教育における地方分権というのは非常に重要だというふうに考えております。基礎的自治体である区市町村が自主的、主体的に、かつ創意工夫を凝らして教育を行っていくためにも、国の関与のあり方、都道府県と市町村との役割分担について改めて整理を行い、改善を求めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○中村教育長 国は、昨年の十月にまとめられました中央教育審議会の答申を踏まえまして、区市町村と学校の権限や責任の拡大など、義務教育の構造改革に取り組み始めたところでございます。
 都教育委員会は、区市町村や学校のより自主的、主体的な教育活動を促進する一方で、東京におきます実情を踏まえて、教育水準と教育環境を十分に確保する必要があることから、今後とも、都と区市町村の役割分担にかかわる国の動向を注視しつつ、必要があれば国へ提案、要求してまいります。

○柿沢委員 自治事務とされながら、国によるがんじがらめの規定によって地方自治体の裁量がほとんどないというのは問題です。若干の改善が見られるとはいえ、このようなことが放置をされていては、分権を推進するための道州制の導入など望むべくもありません。
 こうした地方公共団体の裁量の余地のない自治事務、国の過剰な関与を受けている自治事務をすべて洗い出し、国に対して改善と権限移譲を求めていくべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。

○石原知事 自治事務に限らず、都が行おうとする行政に、国が構えている規制というものは非常に大きなバリアになっているものが多々あるわけですね。平成十二年の地方分権一括法の施行によりまして、機関委任事務が廃止されたものの、いまだに国が地方に過剰に関与している事例が非常にたくさん見られます。国が曲がりなりにも分権の時代を標榜するなら、こうした関与は、自治事務に限らず、他の行政のバリアになっているものは撤廃すべきだと思います。
 例えば、今、東京が行っております、青山一丁目という目抜きの場所のPFIによる再建も、これは、最初、案を持ってきましたら、非常に階数が低いんです。こんなところでこんな低い階数なのか、もっと高いものにした方が採算がいいんじゃないかといいましたら、容積率の問題がございますというから、構わないからやっちまえと。それで、私は、二つ案を出させましたら、PFIで民間の業者が、ここまでの階数なら十分採算がとれますという、十階ですか二十階ですか、さらに高い案ができました。私、建設省の次官を呼びまして、これはやるぞといったら、随分東京はおとなしいと私も思っておりましたけれども、どうぞ、時代が時代ですから結構ですということになりました。
 もう一つ、変な例ですけれども、ドン・キホーテという二十四時間やっている店が、都会では深夜に生活しているのがたくさんいるわけでして、風邪引いても薬屋があいてない。ですから、あの会社が、個々の店で薬剤師と契約して、電話かけて、そこで処方を受けて、こういう薬を暫時お飲みなさい、そういうシステムで薬を売ろうと思ったら、厚生省が反対したんです。私は、あのときの厚生大臣、公明党の人でしたけれども、お互い政治家だ、わかるでしょう、これはうち、やりますよ、もし厚生省の役人が、その店を違反として告発するなら、私は、都民の代表で私が被告の代表になって証人に立ちますからなんていったら、厚生省、渋々許したわけです。それも、全部許せばいいのに、なぜか知らぬけど、朝の六時までならいいと。じゃ、六時から九時まで、店があくまでどこへ行くんですか。こういうばかなことを依然として役人のこけんでやる。
 こういうものは、やっぱりもっと声を大きくして私たちは反対して、矯正していかないと、とにかく自治事務に関しましては、地方の裁量の余地がないものや、国が制度設計の責任を果たしていないものなど都政運営に支障がある事例がたくさんございまして、今それを調べているわけですけれども、これから見直しが必要な事例については、都議会にも諮って提案、要求を行いまして、改善を国に強く求めていくつもりであります。

○柿沢委員 それがあってこその、まさに地方分権であろうかと思いますので、ぜひご期待を申し上げたいと思います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 私の手元に、新銀行東京の株主リストといわれるものがあります。これを見ますと、東京都がもちろん筆頭株主なわけですけれども、日立製作所、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ、あいおい損害保険というような形で、三十六先の株主のリストになっております。このリストについては本物かどうか、お伺いをします。

○成田産業労働局長 ただいま委員ご指摘のリストは、「フォーサイト」二〇〇五年十一月号に掲載されたものと思われますが、新銀行東京では、銀行法等で営業年度終了後に公表を義務づけております、持ち株数の多い上位十社の名称、株式数及び割合等については、既に本年二月に、出資者の同意を得た上で公にしており、その範囲では明らかになっております。
 なお、民間企業におきましては、どこの会社に出資しているかということは企業戦略に属することでありまして、新銀行東京と出資者との間でも、同意なしに出資先を公表することはできない旨を定めた守秘義務契約を締結しているところでございます。

○柿沢委員 そうすると、こちらの十一位以降といいますか、要するに、三十六社というか、都も含めて三十六先の株主リストになっているわけですけれども、上位十番目から下は、これは関知をしないというか、明かせないというか、そういうことでよろしいわけでしょうか。

○成田産業労働局長 ただいま申し上げましたように上位十社、それから、出資者は全体で三十七社と聞いておりますけれども、その十社だけでございまして、それ以外については関知しておりません。

○柿沢委員 関知していないということでありますけれども、上位十社については公表もされているということですからお伺いいたしますが、鹿島建設、大成建設とありますけれども、こうした会社についてはどのような目的で出資をしているというふうに聞いておられるのでしょうか。

○成田産業労働局長 新銀行東京では、中小企業の資金繰りを安定化し、東京の経済活性化を目指すという、そういう設立趣旨を踏まえまして、民間からの出資を求めるに当たりまして、幅広い企業に対して声をかけていると聞いております。

○柿沢委員 それでは、日立製作所、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズとありますけれども、この二社については何のために出資をしているのか。

○成田産業労働局長 ただいまお話のございました二社につきましても、新銀行東京が民間からの出資を求めるに当たりまして、幅広い企業に声をかけてご理解をいただいた結果であると考えております。

○柿沢委員 新銀行東京のシステムは、基幹系が日立で、チャネル系がエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズということでよかったかと思いますが、それでいいかどうか、それにかかった費用を含めて教えてください。

○成田産業労働局長 新銀行東京のシステムでございますが、平成十五年十一月に発表いたしました新銀行基本スキームで明らかにしましたように、銀行業務を担当する基幹系ブロックにつきましては株式会社日立製作所が、また、顧客との接点に当たるチャネル系ブロックにつきましてはエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が、それぞれシステム構築等を行っているところでございます。
 また、このシステム構築等にかかる費用につきましては、既に昨年九月に、法人の経営状況説明書類として都議会にご提出申し上げておりまして、平成十六年度に百十三億六千四百万円を支出しているところでございます。

○柿沢委員 先日の代表質問に対する答弁によれば、民間からの出資は現在三十七社、百八十七億円にとどまっていて、目標の五百億円に達していないということが明らかにされています。こうした状況を見ると、こうした企業の出資については、関係の深い会社に話をして出資をしてもらっているというふうに指摘をする向きもありますけれども、この点についてはどうでしょうか。

○成田産業労働局長 ちょっとご質問の趣旨がわかりかねますけれども、三十七社と、さまざまな企業が出資に応じていただいたのは、新銀行東京が幅広い企業に声をかけ、ご理解をいただいた結果であると考えております。

○柿沢委員 さて、新銀行東京の貸し出しですけれども、先日の代表質問でも触れたとおり、順調には伸びていないようです。一月三十一日発表の平成十七年十二月末の実績でも、融資保証残高は八百八十九億円と、今年度の計画二千五百八十億円の三四%でしかありません。この中で、ポートフォリオ型、そして技術力・将来性重視型、シンジケート型の融資、そして信金協調型保証、それぞれの残高は幾らになっているのでしょうか。

○成田産業労働局長 平成十七年十二月末時点での融資、保証の実績八百八十九億円については内訳が公表されておりませんが、平成十七年九月末の中間決算では、融資保証残高は五百六十九億円でありまして、うち保証残高は五十七億円となっております。
 また、融資の商品別内訳につきましては、年度途中の現時点では明らかにされておりませんが、平成十八年三月期決算における融資保証残高等の公表内容について、現在検討中であると聞いております。
 都といたしましても、引き続き積極的な情報開示を求めていきたいと考えております。

○柿沢委員 信金協調型保証は五十七億円という答弁が先ほどありましたが、これは計画に対する実績としてはどのぐらいなのでしょうか。

○成田産業労働局長 平成十七年九月末の中間決算におきます信金協調保証の実績は五十七億円でありまして、年間計画の三百六十七億円の一六%でございます。
 なお、本年一月に、より利用しやすいよう商品性を見直しておりまして、二月以降、問い合わせや申し込みがふえていると聞いております。

○柿沢委員 今、計画に対する実績は一六%というご答弁がありました。新銀行東京は、もともとはフルバンキングの路線を模索した時期もあったわけですけれども、しかし、提携金融機関等との協調による業容の拡大というものを目指してきたはずです。その割には、主要な提携先である信用金庫との協調がうまくいっていないのではないかというふうにも見受けられますが、いかがですか。

○成田産業労働局長 新銀行東京におきましては、開業当初から、提携信用金庫との間で融資先の紹介業務や協調保証等の取り扱いを行っているとともに、全国二百六信用金庫との間でATMの相互利用も開始したところでございます。
 都といたしましては、今後とも、新銀行東京が信用金庫との協調を進め、中小企業へのより一層円滑な資金供給を行っていくことを期待しているところでございます。

○柿沢委員 期待をしているということでありますけれども、しかし、新銀行と同じようなコンセプトで、中小企業のいわゆるミドルリスク市場をねらってつくられたといわれる日本振興銀行という銀行がありますが、貸出残高目標のやはり下方修正をしたり、最近では経営にまつわるトラブルばかりが報じられています。
 そして今度は、郵政民営化で郵貯銀行というのが発足をする。直営店舗が都市部を中心に二百店舗というふうに報道されておりますけれども、これも一つ、中小企業のマーケットをねらっているというふうにいわれています。
 さらに、都市銀行のビジネスローンは、その信用力を背景にして低い金利で融資を行っているわけですから、優良な中小企業というのは、そちらにやはり流れていってしまうというのも現実だというふうに思います。
 こうした中小企業マーケットの大変な競争激化がこれからも予想されるわけですけれども、そうした中で、新銀行が今の状況からどうやって貸出残高を伸ばしていけるというのか、伺います。

○成田産業労働局長 都といたしましては、新銀行東京が都市銀行等が敬遠しがちな資金繰りに苦しむ中小企業への融資、保証に積極的に取り組むとともに、創業支援融資等の開発に続きまして、今後とも、ニーズにかなった新商品を積極的に導入し、中小企業への資金供給を拡充していくことを強く期待しているところでございます。

○柿沢委員 強く期待をしておりますというわけですけれども、やはり納得できません。都は、新銀行に一千億円を出資している筆頭株主です。それを、あたかも他人事のように期待をするという言葉でいうのは、もう少し株主としての、ぜひ経営に対する注文をつけていただきたいと思います。
 もう一つ聞きます。先日の代表質問で聞いたATMの設置コストについてですけれども、都はこれについて、他行との競争条件にかかわる事項であり、公開していないというふうに答弁をしましたけれども、これはどうしてATM設置コストが他行との競争条件にかかわる事項なのか、伺います。

○成田産業労働局長 一般に金融機関では、個別事業分野ごとのコストは公にしていないと聞いております。
 なお、ATM事業は、銀行にとって利用者との接点となる重要な事業の一つでありまして、その設置につきましても、利用者の利便性を考慮し、他行との競合に留意しつつ、戦略的に展開していると聞いているところでございます。

○柿沢委員 しかし、ATMの設置場所は、新銀行のホームページで明示をされているわけです。それに、ATM一基当たりの平均的なコストを掛け算すれば、数字はおのずから明らかではないかと思うんです。
 先ほど、新銀行について積極的な情報開示を求めていくというようなお話もありました。そうした中で、ぜひ私たちも、一千億円を出資した東京都、そして、それを負担した都民、納税者の皆さん、その代表であるわけですので、そうした形で、私たちにも経営監視に対して適切な関与が行えるようにしていただきたいというふうに要望をさせていただきます。
 貸し渋りの解消と中小企業マーケットへの新規参入者の拡大で、新銀行設立当時の存在意義は大変失われつつあるのではないかと思います。今後、業務内容が好転をしないようであれば、この新銀行についても早目に出口戦略というものを描くよう申し上げて、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 次は、学校の安全についてです。
 来年度予算には、都内の小中学校への防犯カメラの設置に十億円の予算が計上されています。それはそれとして、歓迎をされている、これは事実です。しかし、あの大阪の池田小学校に防犯カメラがあれば、あの悲惨な事件を防ぐことができたのでしょうか。当日、犯人は、凶行に及ぶ前に複数の職員とすれ違って、あいさつまでしていますが、だれも彼を不審者と認識をしていなかったといわれています。
 また、世界的に大きく報道されたイギリスのバルガー事件、十歳の少年二人が二歳の幼児を連れ去り、殺害をしたというショッキングなものでしたが、この事件では、防犯カメラの前で幼児連れ去りの瞬間がカメラに記録をされています。
 防犯カメラの映像が、後々事件の解決に寄与することはあると思います。しかし、池田小や、あるいは寝屋川での事件など、学校に侵入して危害を及ぼす今までの事件を振り返ると、犯人の多くは確信犯的犯行で、防犯カメラがあったらやらなかったという性質の事件ではなかったようにも見受けられます。
 防犯カメラの設置についてどのように考え、設置を決めたのでしょうか、伺います。

○舟本青少年・治安対策本部長 学校への侵入事案が散見されていますけれども、小中学校に防犯カメラを設置することは、侵入を企てる者に対して心理的プレッシャーを与え、犯行を断念させるなど、侵入抑止効果は大きいと考えています。
 また、モニターつき防犯カメラの設置を考えていますので、不審者、侵入者に対して、警察への通報、児童生徒への避難誘導など迅速な対応が可能となります。
 また、学校の近くで事件があり、犯人が現に逃走中という事案に対しましては、学校の警戒能力が格段に高まるところであります。
 ちなみに、防犯カメラの犯罪抑止効果が大きいことから、駅構内、空港、金融機関、商店街等々、広く設置が進んでおりますが、警視庁が設置した新宿歌舞伎町、渋谷、池袋西口の各地では、防犯カメラの設置以降、路上での犯罪が大幅に減少しております。
 子どもを犯罪から守るためには、ハード面、ソフト面の両面にわたり重層的に取り組む必要があり、それらの中で、学校への防犯カメラの設置は、平時においても有事においても防犯効果が大きいことから、早急に全小中学校に設置する必要があると考えております。

○柿沢委員 モニタリングのことが今、言及がありましたけれども、学校現場の中で、このカメラの映像を常時モニタリングをして、何かあったら直ちに対応するという人を確保できるのかどうかということも心配されます。今、学校現場にそんな人的な余裕があるわけではないというふうにも聞きますが、青少年・治安対策本部としてはどのように考えているのか、伺います。

○舟本青少年・治安対策本部長 今、防犯カメラのモニターにつきましては、標準的に一校当たり三台の設置を考えておりまして、受付のある部屋を初め、校長室や職員室などに設置をしますので、一人の目だけに頼るのではなく、教職員が分担をして複数の目で監視することとなっております。
 また、モニターで異変を察知した場合には、日ごろの訓練にのっとって、学校長、副校長の指示のもとで教職員が連携をし、直ちに緊急通報装置、学校一一〇番で警察に連絡するとともに、児童生徒の避難誘導措置を行うなど、迅速な対応が可能となります。

○柿沢委員 ある自治体では、二億円以上の予算をかけて、子どもにGPSと防犯ブザーがついているPHSというのを持たせることになりました。ピンを引くとブザーが鳴り、GPSを通じて最寄りの協力者や保護者に連絡が行き、大人が駆けつけるというものです。まさにこれは一石二鳥のように思えますけれども、しかし、防犯ブザーが一たび鳴れば、犯人はそのブザーを子どもから取り上げて捨ててしまうでしょう。GPS機能は、子どもが連れ去られてしまっても、どこにいるのか追跡できるというのが利点ですから、防犯ブザーの機能とGPSの機能を同じものに持たせるということは、ある意味ではそれぞれの効果を相殺してしまうということにもなりかねません。
 そういう意味で、こうしたハード面の施策には、私は一定の効果はあることは認めますけれども、これ自体、ソフトの対策、都の方でも進められているこうしたものと、ある意味ではバランスのとれた形で進めなければならないというふうに思いますけれども、ハード面だけでなく、ソフトの対策も含めた子どもの安全対策についての見解を伺います。

○舟本青少年・治安対策本部長 子どもを犯罪から守るためには、ハード面、ソフト面の両面にわたり重層的に取り組む必要があります。
 さきにお答えしたとおり、防犯カメラの設置事業も、単に機械を置くというのではなく、モニターでの人の目による監視、有事の際の迅速な対応という、ハード、ソフトの両面を念頭に置いたものであります。
 都は、警視庁とともに、防犯カメラの設置に加え、子どもの安全ボランティアの支援、地域安全マップの推進、車による防犯パトロール、ITを活用した不審者情報の発信など、ハード、ソフト両面にわたる重層的な取り組みを総合的に実施してまいります。

○柿沢委員 学校の安全を確保する上では、施設や設備だけではなくて、人の目による監視が重要だと思います。長野県では、公務員や地域の人々の熱意と愛情に基づくゼロ予算事業というのを中心として、人間のきずなや信頼を取り戻す取り組みを進めることとしています。都でも、スクールサポーターなどが学校に巡回をするというような取り組みをやっているところです。しかし、立ち寄りや巡回だけではなくて、学校に常駐をするということができれば、さらに効果は高いのではないかと思います。
 都議会民主党の東京マニフェストでは、仮称学校安全専門員というものを、都内の小学校に常駐をしていただいて、二〇〇七年に向けて大量退職が控えている警察官のOBをそれに充てるということを提案させていただいています。学校の警備だけでなく、子どもたちに対するセーフティー教室や地域安全マップの活動の推進など、総合的にその学校安全専門員に担っていただこうということであります。
 こうした学校安全専門員の小学校への常駐には、年間七十八億円という予算を必要とします。安くはありませんけれども、しかし、それだけの効果が見込めるというふうにも思います。こうした学校と子どもたちの安全のための人的配置を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。

○中村教育長 学校の安全を確保する上で、さまざまな方策を組み合わせていくことが効果的だと思っております。都におきましては、警視庁が配置しますスクールサポーターや、文部科学省の地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業によりますスクールガードリーダーが各学校を巡回して、学校安全のボランティアへの指導、学校の施設、設備の点検、指導を行っております。
 ご指摘のように、学校安全に関する専門家を学校に配置することも一つの方策ではあるというふうに考えますが、区市町村が地域の実情に応じて判断すべきものというふうに考えております。

○柿沢委員 学校は地域社会の核であり、シンボルとなる存在です。私たちが日常活動をしていても、PTAを初め、実に多くの地域の活動が、学校を、そして子どもたちを中心に回っているのがわかります。これからの学校の教育活動は、地域の理解と協力を得て進めていくことが求められます。そのためには、学校と地域社会が日常的に連携できるような仕組みをつくっていくことが必要です。
 現在、少子化により、都内の小学校には空き教室が生じていると思いますが、例えばそこに先ほどの学校安全専門員が常駐し、警察官も立ち寄るという形で、空き教室を地域の交番のように活用すれば、学校や子どもたちだけでなく、地域の安全全体を守ることにもなると思います。そして、小学校を中心とした、これは地域社会そのものの再生にもつながるというふうに思うのです。空き教室を転用したこのような取り組みについて、所見を伺います。

○中村教育長 区市町村が地域の実情に応じまして、余裕教室をコミュニティ施設などに転用しまして、さらに子どもの安全のための住民の活動拠点として利用することにつきましては、都教育委員会として、子どもの安全確保を図る上で有効な取り組みであるというふうに考えております。

○柿沢委員 みずから危険を回避する能力を育てる教育の重要性については、我が会派の一般質問で山口議員から聞かせていただきました。犯罪防止の視点を組み込んだまちづくりについては、明後日、我が会派の野上議員から質問する予定になっております。民主党としては、子どもの安全確保については、教育と地域、人の力で取り組んでいくべきと申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、鉄道事業について伺います。
 まず、都営地下鉄と東京メトロについてです。平成十二年度包括外部監査報告では「営団地下鉄と都営地下鉄との経営統合について」とする提言がなされています。その内容は、地下鉄の整備事業は、トンネル工事を中心として巨額の資金を必要とし、加えて、新しい路線ほど建設条件が厳しくなることから一層工事費用も増大する。他方、古い路線については維持、管理等の費用を要するものの、新線建設に比べれば、はるかに低コストでの運行が可能である。この視点から考えると、営団地下鉄は都営地下鉄に比べ有利な環境にある。有利な環境にある営団地下鉄と巨額工事費の回収を強いられる都営地下鉄との経営の統合を行うことにより、首都圏の地下鉄事業の経営がより安定したものとなるならば、東京都民のみならず、首都圏住民にとってこれほど安心なことはない。東京の地下鉄事業者が二つでなく、一つであることの方が望ましいというのは極めて自然な考え方である。この視点から、営団地下鉄と都営地下鉄との経営統合について具体的な検討に着手することを提言する。ちょっと長くなりましたが、そういった内容です。
 私どももいろいろ研究、検討しましたが、この提言は非常に合理的なものと考えます。これに関して何点か質問したいと思います。
 まず、平成十四年六月に報告をされた「包括外部監査の結果に基づき知事等が講じた措置の通知内容」によれば、この経営統合に関する提言について、講じた措置の内容として、検討会を設置し検討を進めていると記述をされています。
 また、昨年十一月にも、同提言について、営団地下鉄の民営化の際に、都営との経営統合については引き続き協議、検討すべきこととなった。今後も、それぞれの経営状況を踏まえ、関係者との協議を行っていくと記載をされています。
 そこで、平成十三年度以降における営団地下鉄、現在の東京メトロと都営地下鉄との経営統合に向けた検討の経緯とその内容について伺います。

○梶山都市整備局長 東京都では、帝都高速度交通営団の民営化に向けて、平成九年に庁内の連絡会議を、また平成十三年には国土交通省との間で協議会を設置いたしました。地下鉄の一元化も含めた協議、検討を行ってまいりました。
 一元化につきましては、両者の財務内容の格差等の問題があり、営団の民営化を実施するまでには結論に至らなかったため、引き続き関係者と協議し、検討を行っているところでございます。

○柿沢委員 東京メトロと都営地下鉄の経営統合については、東京の地下鉄網が形成されてきた歴史的経緯も踏まえ、過去に何度も議論の俎上に上がってきましたが、そのたびに結論は先送りにされてきたと認識をしています。
 結論が出されない要因として、主に東京メトロの側が強い難色を示しているように聞いておりますが、東京メトロ側が経営統合に難色を示す主な理由としてどのようなことを挙げているのか、所見を伺います。

○梶山都市整備局長 東京メトロでは、経営統合に向けては、都営地下鉄が公営企業という組織形態をとっていることや累積欠損を大きく抱えていること、その他解決しなければならない多くの課題があること、そういうことを理由としております。

○柿沢委員 累積欠損金を四千八百億円抱えているという現状は、メトロの側からすれば、巨額の赤字を押しつけられるだけという見方となることは理解はできます。しかし、累積欠損金は、収支が恒常的に黒字化すれば、徐々に圧縮していくことが可能です。
 平成十六年度決算における都営地下鉄の有形固定資産は、総額で二兆三千百五十億円ですが、未償却残高が一兆七千三百億円、七五%が未償却ということです。この有形固定資産全体の中ではトンネルの一兆四千八百億円がぬきん出ており、全体の実に六三%を占めています。
 ちなみに、都営地下鉄の平成十六年度の純損失額は百十三億円、これに対してトンネルの減価償却費は百四十九億円に上っています。平成十八年度の予算においても、百二億円の純損失に対して、トンネルの減価償却費が百五十億円見込まれています。ここから単純に考えると、都営地下鉄は、トンネルの減価償却費がなくなれば黒字に転ずるということになります。
 トンネルの法定耐用年数は六十年ということになっていますが、しかし、減価償却終了後もトンネルは使い続けるわけで、維持管理の費用は必要ですけれども、減価償却が終了したからといって、トンネルがいきなりふさがるわけでも、新たにトンネルを掘り直すことも必要なわけではありません。そして、現に東京メトロ銀座線のトンネルは、六十年を越して建設後七十年たった今でも使われ続けています。トンネルの減価償却は、本来、穴が埋まらない以上、必要はなく、その分の減価償却費を計上しなければ、実は現時点でも都営地下鉄は黒字ということになるんです。
 そこで、トンネルの減価償却費が都営地下鉄の事業収支に与える影響について、交通局長の所見を伺います。

○松澤交通局長 都営地下鉄の減価償却費は、平成十六年度決算で申し上げますと、経常費用千四百九十四億円のうち五百十一億円でございまして、このうちトンネル分は百四十九億円と、経常費用全体の約一〇%を占めております。
 このように、トンネルの減価償却費は、費用に占める割合も高く、長期間固定的に計上しなければならない性格の経費であることから、将来にわたって事業収支に与える影響はかなり大きいものと考えております。

○柿沢委員 よく都営地下鉄は、収益性に乏しく不採算であるということがいわれますが、しかし、都営に限らず地下鉄事業では、先ほどのトンネルを含む設備投資費の償還に長期間を要し、これが収支均衡をおくらせる要因となっているのです。建設年度が古い路線については、包括外部監査でも指摘をされていたように、維持管理等の費用はかかりますが、減価償却が進んでおり、新線に比べると低いコストで運行できるため、収支は必ずしも悪くないのではないかと思います。
 都営地下鉄全体で見ると、いまだ赤字の状況にはありますが、路線別に見た場合、四路線のそれぞれの経常収支はどのような状況にあるのか、伺います。

○松澤交通局長 都営地下鉄四線のうち、開業年次の古い浅草線と新宿線につきましては、経常損益は既に黒字に転換しておりまして、平成十六年度決算で見ますと、浅草線は五十六億円、新宿線は八十五億円の黒字となっております。
 一方、平成十二年に全線開業しました大江戸線につきましては、いまだ資本費の負担が大きいことなどから二百四十一億円の赤字となっております。
 また、三田線につきましても、同年に三田から目黒まで延伸したことなどから十七億円の赤字でございまして、これら四線の合計では、十六年度決算で百十七億円の赤字が生じている状況でございます。

○柿沢委員 浅草線と新宿線については既に黒字転換をしている。三田線についても、平成十二年に目黒に延伸したという事情があり、大江戸線についても、同年に全線開業してから五年が経過をし、今も乗客数は増加をしていると聞いていますので、今後、これらの路線についても収支が好転することが期待できると思います。
 そのような状況の中、都営地下鉄全線で経常収支が赤字から黒字に転換する時期についてはどのような見通しを持っているのか、伺います。

○松澤交通局長 都営地下鉄の経常損益は、これまでのところ赤字基調でございますが、今年度の乗客数は、前年度と比べまして、大江戸線で四・八%、全線では二・四%程度と見込まれるなど、着実な増加を示しております。
 また、経常費用である減価償却費や利子負担は、建設からの年数の経過に伴い、今後、減少していくことが見込まれるところでございます。
 このようなことから、こうした傾向が続けば、多額の累積欠損金は残るものの、単年度の経常収支では、都営地下鉄全体で、数年のうちには黒字転換が図られるものと、このように考えております。

○柿沢委員 包括外部監査報告で、都営地下鉄と営団地下鉄の経営統合化について検討されたいという提言を受けてから四年が経過をいたしましたが、最初の質問に対する答弁でも明らかなように、本格的な検討は事実上棚上げになっています。
 これまで見てきたように、都営地下鉄の経営状況は、ストックの面からもフローの面からも、決して悪いものではないということを示しています。
 営団地下鉄は、平成十七年四月から特殊会社化され、東京地下鉄株式会社、通称東京メトロとなりました。平成二十年度以降の株式上場、完全民営化を目指しているところですが、これを機会に、都営地下鉄と東京メトロの経営統合化について真剣に検討すべき時期が来ていると考えますが、石原知事の所見を伺います。

○石原知事 利用者の利便性の向上のためにも、東京の地下鉄事業は本来一体化すべきだと私はかねがね思っておりますし、外部監査によって、都営地下鉄の財務内容は決して悪いものではない、大江戸線のネットワーク効果などによって収支は好転しつつあるということでありますが、今時点で、どうも金持ちの営団の方が、貧乏人とは結婚したくない、持参金があるならともかく、嫌だというのが実情でありまして、これをどう説得していくかということは、もうちょっと私たちは真剣に考えなくちゃいけないと思います。
 とにかく利用者の立場になってこれも考えるべきものだと思いますが、国及び東京地下鉄株式会社の目指す完全民営化の時期、方向性とは同一に論じられませんが、将来に向かって、地下鉄の一元化は積極的に目指すべきだと心得ております。

○柿沢委員 ぜひ東京都のリーダーとして、発信力の高い石原知事が先頭に立って、この問題についてさらに一層取り組んでいただくようにお願いをいたします。
 次に、つくばエクスプレスについて伺います。
 つくばエクスプレスが昨年八月二十四日に開業して以来、半年が経過をいたしました。つくばエクスプレスの運営を行っている首都圏新都市鉄道株式会社が現在明らかにしている一日当たりの乗車人員予測は、開業当初十三万五千人、五年後で二十七万人ということです。これに対して月ごとの平均は、一日当たり、現在おおむね十五万人程度と、当初予測を一応は上回る乗客数で推移をしています。
 つくばエクスプレスの計画当初の目的は、輸送力が限界に達しているともいわれていた常磐線の混雑緩和ということであったわけですが、開業後半年間で、その所期の目的がどの程度達成されているのか、どの程度その効果があらわれているのか、所見を伺います。

○梶山都市整備局長 常磐線の混雑緩和につきましては、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号におきまして推計しております。この答申によりますと、本路線のほか、東京十一号線が松戸まで延伸された場合などを含め試算いたしますと、常磐線快速、松戸から北千住間の平成十年のピーク混雑率二〇二%が一六四%に緩和されると推計されております。
 お尋ねの本路線の開業後における常磐線への混雑緩和効果につきましては、JR東日本からの資料公表が平成十八年度九月以降となるため、現時点では不明でございます。

○柿沢委員 さて、つくばエクスプレスの月ごとの一日当たり平均乗客数は、開業当初予測は上回っているものの、この半年間、実質横ばいで推移しています。しかも、乗車需要予測は平成四年の鉄道免許取得時で四十七万四千人でしたが、その後、平成八年に三十二万七千人、昨年の開業時点では二十七万人と、二度にわたり下方修正した経緯があります。これを見る限りにおいては、つくばエクスプレスの乗客数が五年後に二十七万人という予測を達成することは困難ではないかと思われますが、今後の乗客数の見通しについて所見を伺います。

○梶山都市整備局長 本路線の乗客数といたしましては、開業五年後の平成二十二年に約二十七万人と予測しておりまして、開業年度では、近年開業路線の輸送実績や沿線開発状況なども勘案いたしまして、需要予測の五割、約十三万五千人を見込んでおります。
 集客対策でございますが、都といたしましては、これまで、住宅やまちづくり、地域開発に関するノウハウを沿線自治体に提供するとともに、沿線にある多くの観光資源につきましても広くPRするなどの対策を行ってまいりました。
 今後とも、会社の努力はもとより、沿線自治体などと協力し、より一層の利用者拡大に取り組んでまいります。

○柿沢委員 さて、平成三年十月、東京都と埼玉、千葉、茨城各県の知事が連名で、常磐新線の建設費等に係る負担についてという合意書を、当時の運輸省の鉄道局長に提出しています。その内容は、そのまま引用すると、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県は、常磐新線の建設費などの負担に関して次のとおり合意する。一、一都三県は、常磐新線の新設に当たって、当該事業の収支採算上必要とされる出資を首都圏新都市鉄道株式会社に対して行うものとする。二つ、一都三県は、会社の免許申請時の計画を上回って建設費が増嵩した場合には、その増加建設費について責任を持って対処する。三つ、一都三県は、開業後の会社の経営に伴い生ずる赤字及び資金不足について責任を持って対処するものとするとなっています。
 この合意書は、当初、運営主体となることを予定されていたJR東日本が、採算性への不安があるとして参加を見送ったということを受けて、建設主体として設立された首都圏新都市鉄道が完成後の運営も行うこととなったために、第一種鉄道事業免許を取得するための条件とされたのではないかというふうにもいわれています。
 合意内容の一と二については既に履行されて現在に至っており、一兆三百億円の事業費については、約二割近い減額が予定されているとのことです。問題は、この最後の三でありまして、一都三県は、開業後の会社の経営に伴い生ずる赤字及び資金不足について責任を持って対処するものとするということであります。つまり、これは、つくばエクスプレスの運営上の赤字については都税で補てんすることを約束しているということでありますでしょうか。
 そこで、まず、この合意書の位置づけについて伺います。

○梶山都市整備局長 この合意書は、一都三県の間で基本的な考え方を確認したものでございまして、なお、合意書に対する国の見解も、一都三県知事の熱意表明と理解していると聞いております。

○柿沢委員 一都三県による合意書、熱意表明ということでありますので、法的拘束力がないと解釈してよろしいのでしょうか。法的拘束力の有無について伺います。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 この合意書は、今お答えしましたように、基本的な考え方を確認したものであり、具体的な債権、債務関係を生じさせるものではないと考えております。

○柿沢委員 具体的な債権、債務関係を生じさせるものではないという答弁でありますが、一都三県が、開業後の会社の経営に伴い生ずる赤字及び資金不足について責任を持って対処するものとする、これ、当然、この会社で赤字が発生した場合、あるいは会社の経営が成り立たなくなった場合には、都がその債務を引き受けるというふうに解釈されるのが自然だと思いますが、そのような場合に債務負担の可能性があるのかないのか伺います。

○梶山都市整備局長 合意書は、一都三県の間で基本的な考え方を確認したものであり、債務を負うものとは考えておりません。万が一赤字が発生した場合には、国や他県と協議し、適切な対応を行ってまいります。

○柿沢委員 適切に対応するという言葉の意味をどう受けとめればいいのでしょうか。そこについては、いささか私どもも心配を感ぜざるを得ない部分があります。
 さて、昨年十月の都市整備委員会において、我が会派の花輪議員が、つくばエクスプレスの経営状況について言及し、長期的な収支計画が明らかになっていないのは不自然だとして、首都圏新都市鉄道に開示をさせるべきではないかという質問をしましたが、これに対して、都は、長期収支の提出は経営の判断事項であるとの理由で、会社側から明示されていないという説明をしています。その一方で、都は、会社の経営状況によっては、議会の承認を得て追加支援をすることも必要となるため、そのような事態に陥らないよう、経営に対する関与も必要であって、都としては可能な限り公表可能な資料については開示を求めていくとも答弁をしています。
 そこで、まず、都は首都圏新都市鉄道の経営計画、長期的な収支の見通しについて現時点で把握しているのかどうか伺います。

○梶山都市整備局長 会社が長期収支を開示するかどうかについては経営の判断事項でございます。現時点において長期収支は都に示されておりません。

○柿沢委員 しかし、普通の民間会社であれば、それはそれで、そういうお答えでいいんでしょうけれども、この首都圏新都市鉄道株式会社ということについては、やはり経営状況を監視していく必要があるのではないかと思います。
 都は、会社の長期収支について都として推計したものは持っているんでしょうか。また、持っている場合には都民に対して開示は可能なのか伺います。

○梶山都市整備局長 つくばエクスプレスは昨年八月に開業いたしましたが、道路復旧工事などの残工事が平成十九年度まで続く予定でありまして、その後、建設費の総額が確定することとなります。都は、それに向けて、会社が国へ運賃認可の申請をした時点の資料などをもとに長期収支を集計中でございます。
 また、都の推計は会社の長期収支でないため、公表すると都民の誤解を招く可能性もあることから、開示はできません。ご理解のほどお願い申し上げます。

○柿沢委員 無用の誤解を防ぐという意味で、都の推計が明らかにできないというのはわかりますが、しかし、会社側からも推計が、長期収支が明らかにされない、都の推計も明らかにできないということであるとすると、これは都としては、この経営状況をしっかり把握し、適切に対応していかなければいけないということである以上、やはり問題があるのではないかと思います。都民に対して、このつくばエクスプレスの経営状況、また、今後の見通しについても説明責任を適切な時期に果たすべきであるということを強く求めて、次の質問に移ります。
 次は、後発医薬品についてです。
 後発医薬品は、ジェネリックとも呼ばれ、最近、テレビなどでもコマーシャルが流れていますので、聞き覚えのある方も多いと思います。新薬の特許が切れた後に、厚生労働省の承認を得て、他のメーカーから発売される類似の医薬品です。有効成分は先発品と同じですが、開発コストが低く抑えられるため、新薬よりも薬価が二割から八割も安くなります。
 国における今回の診療報酬改定や医療制度改革では、危機に頻している医療保険財政の収支をどうやって改善するか、また、患者の個人負担をどうするか、さまざまに検討されました。その結果、厚生労働省が今回打ち出した一つの目玉が、この後発医薬品の使用促進であります。
 現在、薬剤費の占める割合は医療費全体の約二〇%、約六兆円といわれています。先ほど申し上げたとおり、後発医薬品は新薬よりも薬価が二割から八割安くなるということでありますから、例えば後発医薬品の使用促進で薬剤費が二〇%抑制できるとすれば、それだけで医療費一兆円以上の抑制につながるわけです。
 私は、都立病院での後発医薬品の使用促進を求めてまいりました。昨年の予算特別委員会でも、病院経営本部長から、後発医薬品の使用を一層拡大していくと答弁をいただいています。
 そこで伺いますが、都立病院での後発医薬品の導入は現在どのような実績になっているのか、また、これまでどのようにふえてきているのか伺います。

○大塚病院経営本部長 都立病院全体の平成十六年度の後発医薬品の購入実績でございますが、約五億四千六百万円でございまして、注射薬、内服薬などの薬品購入額に対しては三・八%となっております。後発医薬品の購入実績を個別にデータとしてとり始めたのは平成十三年度からでございまして、平成十三年度は約三億二千六百万円でございましたので、この三年間で約七〇%の増加となっていることになります。

○柿沢委員 確かに過去に比較してふえており、都立病院が後発医薬品の使用促進に努力しているということはわかります。
 世界的に後発医薬品の使用状況を見ると、金額ベースでイギリスは二四%、ドイツは二三%、アメリカは一二%、日本は五%です。各国でも、医療の仕組みは異なりますけれども、世界的にも少ない日本の五%よりも、都立病院はさらに少ない三・八%ということですから、これからも頑張っていただきたいと思っております。
 そのための一つの方法として、私は、都立病院が電子カルテシステムを導入するに当たり、後発医薬品の使用促進を図るためのシステムの構築を求めました。都立病院では、私の指摘を受けて、現在、このシステムの導入を進めていると聞いております。
 そこで、システムの導入状況、また、今後、後発医薬品の使用促進に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○大塚病院経営本部長 電子カルテの画面のうち、院外処方画面で先発医薬品を入力いたしますと、対応する後発医薬品名がポップアップ画面により自動的に表示されまして、処方の選択が容易となるシステムを、昨年の七月には広尾病院、十月には墨東病院に導入いたしました。さらに、今月末には新たに府中病院でも導入する予定でございます。
 また、昨年十二月には、病院経営本部内に医師、看護師、薬剤師等で構成する後発医薬品使用促進検討会を設置いたしまして、具体的な方策について現在検討を進めているところでございます。
 今後とも、後発医薬品の使用を一層促進してまいります。

○柿沢委員 ことし四月から処方せんの様式が変わります。後発医薬品の使用促進を図る観点から、二〇〇六年度の診療報酬改定の議論の中で検討されてきたもので、処方せんの備考の欄に新たに後発医薬品への変更可というチェック欄を設けることになりました。具体的には、医師がチェック欄に署名するか、または記名、押印した場合、薬剤師は患者に後発医薬品の情報を提供し、患者が選択した先発品あるいは後発品を調剤することになるようです。
 この処方せん様式の変更により、後発医薬品の使用促進はさらに進む段階に入っていくと思われますけれども、各薬局においては、これまで以上に後発医薬品の在庫管理や迅速な調達のための環境整備が重要になってくると思います。都は、後発医薬品を調剤する薬局側の環境整備についてどのように取り組むのか伺います。

○平井福祉保健局長 都はこれまで、地域の薬局において医薬品の供給が円滑に行われますように、東京都薬剤師会が、まれにしか使わない、いわゆる希用医薬品の備蓄などを目的として各地区に設置する医薬品管理センターに対しまして支援してきたところでございます。来年度には、東京都薬剤師会が薬局における後発医薬品の使用実態等の調査を行う予定と聞いております。その結果も踏まえ、医薬品管理センターでの後発医薬品の備蓄などについて意見交換を行ってまいります。

○柿沢委員 後発医薬品の安定供給は、使用促進を図る上で極めて重要な問題ですので、都としても環境整備の支援に力を注いでいただきたいと思います。
 しかし、後発医薬品の使用を促進するためには、医薬品の処方を行う医療側への働きかけも重要だと思います。
 これまで医療機関における後発医薬品の採用が進まない理由として、品質や安定供給についての不安、多様で類似した名称を持つ後発医薬品を適正に処方するための手間やコストがかかるなど、そうした課題が挙げられてまいりました。しかし、先ほど私が述べたように、処方せん様式の改善も図られ、調剤薬局の体制整備や都民への普及啓発など、環境づくりも進められているわけです。
 そこで、都として、医療機関が後発医薬品の採用を積極的に進めるよう働きかけるべきと考えますが、所見を伺います。

○平井福祉保健局長 医療機関が後発医薬品を使用するためには環境整備が必要でございます。国においては、お話のとおり、医師の医薬品選択を容易にするため、処方せん様式を改正するとともに、医薬品企業が行う医療機関及び国民に対する後発医薬品の品質や価格に関する情報提供を支援するなど、環境整備を促進することとしております。
 医薬品の採用は、医療機関がみずからの判断で行うものでございます。都としては、都内全病院を対象に実施しております病院管理講習会などの機会を活用して、国におけるこれらの取り組みについて、医療関係者に対し周知に努めてまいります。

○柿沢委員 私は、この後発医薬品の使用促進は、医療費抑制の決め手であると思っています。効率的な医療を行い、医療保険制度の健全性を維持するのは都の役割も大変大きいものがあると思いますけれども、それに向けての石原知事の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○石原知事 人口減少社会が現実のものとなった今、右肩上がりを前提とした我が国の社会システムを新しい時代に見合ったものへと変革することは不可欠であると思います。世界一の平均寿命など、高い水準を達成した医療制度についても同様でありますが、将来にわたって質の高い医療サービスを安定的に提供していくためには、制度改革とあわせて、医療機関、関係者が効率的、効果的な医療サービスの提供に努めることが重要であると思います。
 おっしゃったような後発医薬品というものを積極的に使うということも大事だと思いますが、私、ある大手の医薬品メーカーの社長と非常に親しいんですけれども、病院の実態を見ますと、大学の系列に沿った、お医者さんとメーカーとの癒着が非常に激しくて、やっぱりそういうものを選択するということの幅が非常に狭められているという嫌いがあると思います。
 いずれにしろ、医療に携わるすべての関係者のこうした取り組みを礎にしてこそ、透明性、信頼性、効率性を兼ね備えた、都民が安心できる患者中心の医療の実現が可能になると考えております。

○松原委員長 柿沢未途理事の発言は終わりました。(拍手)

ページ先頭に戻る