東京都議会予算特別委員会速記録第五号

   午後六時三十一分開議

○樺山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 吉田信夫委員の発言を許します。

○吉田委員 我が党は、この予算議会を通じて、石原知事が提案した来年度予算案が、景気低迷と小泉政権の七兆円負担増のもとで苦しんでいる都民のために使わず、専ら都市再生につぎ込んでいるということを具体的事実を示して指摘しました。
 まず、自治体が最も大切にしなければならない福祉の分野では、三位一体改革による国民健康保険の都負担化を除けば、実質で四年連続の後退となりました。福祉関係費は既に一九九九年度からの四年間に八百五十六億円も削減されてきており、施策を見ても、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成の段階的廃止、老人福祉手当の廃止など、高齢者をねらい撃ちにしたような冷たい仕打ちが行われています。都民の切実な要望である介護基盤施設は、全国最低水準に後退させられています。また、その一方で、拡充を約束した障害者のための施設整備も、結局立ちおくれたままではありませんか。来年度予算案はこれに追い打ちをかけるものです。
 教育の分野でも、三十人、少人数学級の未実施県はとうとう香川県と東京都だけとなってしまいました。障害児学校でも予算が削られて、片道一時間以上もかかるスクールバスやカーテンで仕切った教室など、時計の針を逆さまに回したかのような劣悪な状態に追い込まれているのです。
 中小企業対策についても十年連続の後退となり、来年度はピークの半分の二千百億円台に削減をされ、業者の強い要望である工業集積地域活性化事業の打ち切りや融資制度の改悪が推し進められています。
 また、この六年間に廃止された都立施設は、母子保健院や多摩地域の保健所、商工指導所など優に百カ所を超え、都民の怒りを巻き起こしています。
 私は、改めて都が廃止、縮小した事業を並べてみましたけれども、施策の後退は、今紹介をした福祉、教育、中小企業にとどまらず、緑行政や環境、雇用、消費者行政、文化、スポーツなど、都民生活のあらゆる分野に及んでいます。
 都は、これらの施策の見直しを、このままでは財政再建団体に転落しかねない、財政が厳しいのだ、我慢してほしいということで進めてきました。しかし、実際はどうだったでしょうか。我慢を強いられたのは都民サービスの分野であり、知事が戦略的課題として位置づけている都市再生のための大型幹線道路や再開発などの予算は、温存され、拡大をされてきたのではありませんか。
 そこで、きょうは、今日の都財政難の原因である大型幹線道路と臨海副都心開発の問題についてただしたいと思います。
 まず、知事の都市再生の中心的施策である三環状道路の一つである首都高速道路中央環状品川線について伺います。
 都は、品川線について、これまでの首都高速道路公団の施行方式を改めて、四千億円といわれる事業費の半分の二千億円分について都直轄事業として施行するとしています。都財政は厳しいといいながら、都が気前よく負担できる状況でないことは明らかです。
 そこで、伺いますけれども、これまでの首都高速道路の建設方式と負担のあり方がどのように違うのか、ご答弁をお願いいたします。

○岩永建設局長 中央環状品川線の施行方式でございますけれども、これまでの首都高速道路は、有料道路事業を基本として新宿線などを進めてきておりますけれども、今回は街路事業と有料道路事業の合併ということで施行する方式をとっております。
 現在、その合併施行のこれまでの事例などを踏まえまして、その方法につきまして国及び首都高速道路公団と協議を進めている、そういう状況でございます。

○吉田委員 私は、負担方式が今までと違うでしょう、どう違うんですかという極めて簡単明瞭な質問をしたつもりなんですよ。
 今回の負担方式と従来の負担方式を比べてみれば、違いが歴然としています。すなわち従来の負担方式は、今回の品川線は無利子貸付が認められていませんので、一二・五%の負担ということになります。総事業費四千億円で計算すれば五百億円です。これに対して新方式の場合には、街路事業として二千億円のうち都負担約一千億円といわれています。それに従来型の二千億分のいわば有料事業の一二・五%の出資金二百五十億円、合わせたら千二百五十億円ですよ。従来型だったら五百億円のものが、何と七百五十億円も負担がふえるということになることは明白なんですね。
 財政が厳しいといいながら、こういう大盤振る舞い、これは認められません。七百五十億円あれば、都単独で計算しても、都営住宅が二千五百戸、特養ホームが約五十施設、認可保育所などほぼ五十園つくることができるんです。
 伺いますけれども、このようなやり方が全国で行われている事例はあるんですか。

○岩永建設局長 街路事業と有料道路事業を合併して施行するという方式は、全国でも事例がございます。また、東京におきましても圏央道が、これは国道事業でありますけれども、有料道路事業と合併して施行している、こういうことでございます。

○吉田委員 東京都内といっても、それは国道の話なんですよ。東京都が直接合併方式でやるのは初めてです。しかも、全国で事例があるというふうにいいましたけれども、しかし、それは大阪で、阪神高速道路大和川線で合併事業方式というものが今、準備、検討されている。
 私たちは、大阪の我が党の府議団の協力を得て、どういうふうに大阪で準備をされているかということについて調べてみました。この計画については、もちろん府民の反対の声が上げられておりますけれども、しかし、財政負担という点で見れば、東京都のように国いいなりというような負担の仕方ではありません。
   〔資料配布〕
 資料をちょっとお配りして、ぜひ見ていただきたいんですが、皆さん方に今お配りをした資料の冒頭に、大阪府がどのように国なり公団などと協議をしてきたかということが明らかにされていますが、例えば、直轄街路事業として負担する分についても、東京都の場合には二分の一ですよね。二千億のうち一千億。しかし大阪の場合には、ここに書いてあるとおり、府の働きかけにより、街路事業の現行補助率六〇%が平成十七年から直轄国道並みの三分の二を国が持ちますよという協議がされているということなんですよ。
 さらに、(パネルを示す)このグラフを見ていただければ一目瞭然ですけれども、その府が直轄事業で行うという分について見ても、再検討し、その一部を、いわば公団の有料道路としてこれをさらに割って負担をさせるという努力がされているんですよ。これがさっきいいました現行方式での都負担を当てはめたらどうなるのか。この図が、先ほどいいました千二百五十億、東京都方式ですよ。大阪方式は、直轄事業そのものも圧縮する、直轄事業の中のさらに府負担分も大幅に圧縮をする、そういうことが最低限されている。その結果、府の負担は当初の八百四十億から六百九十億円にさせる。たとえ道路が必要だとしても、国や公団いいなりという態度はとっていないんですよね。
 改めて、こういう事例も紹介しましたが、知事にお伺いしたいんですけれども、大阪と比べてみても、石原都政の場合にはお金の使い方がやはり余りにもいいなり、異常、こういうふうにいわざるを得ないと思うんですよ。やはり改めてこうした財政投入のあり方、従来以上に拡大をしていく、大阪と比べても何ら努力もしていない、こういう問題についてはきちんと見直す努力というのは当然のことじゃないですか。

○梶山都市整備局長 何かいろいろな考え方が入っているようで、ちょっと事実誤認じゃないんですかなと、こういうふうに思っております。
 まず、大阪の方ですけれども、大阪の方は、国の高速道路とそれから街路事業、やっぱりそれぞれ、何というんですか、ようかん切りかもしれませんけれども、一応やっているわけですよ。それで、ある一部分について、これはまだどうするかというのは今協議中ですね。そういうことで、それは全く、私どもの考え方と全く同じです。私どもの有料道路四千億円のうちの二千億円というのは、もし仮にこれを高架でやりましたと、高架でやりましたと、高架でやれば二千億円でできる、でも環境だとかいろんなことを考えているからこれは四千億円になっているんですよ。だからその分を一般街路として街路事業でやりましょうということで、どこもおかしくないわけですね。

○吉田委員 そんなこといっていないじゃない。たとえ大阪でも街路事業、直轄事業、合併施行が準備をされているとしても、その負担の仕方が全然違うじゃないかということであなたに質問したんじゃないですか。全然答えになってないよ、本当に。しかも--本当に驚くべきことですね。さらに私が強調したいのは、都財政が、盛んに都民に対しては厳しい、厳しいといっているわけでしょう。税収があったって借金返済があるんだといっているわけでしょう。全くこういう分野は聖域化じゃないですか。国いいなりじゃないですか。
 しかも、そもそも総事業費四千億でということをいわれましたけれども、本当にそれでおさまる保証があるのかということも我々は検討しなきゃならないと思うんです。四千億という数字自体、事前にお聞きしましたけれども、公団が計算したものを皆さん方がそれを受けとめている。実は、東京都独自で積み上げて計算したというふうには聞いておりません。道路公団が行った積み上げ書類をそのまま引き写しに受けとめる、こういうことはやはりあってはならないと思うんです。
 二千億もの税金投入について、みずから積算もしないでこれを当然のこととして受けとめるということは、やはりあってはならないと思いますし、しかも、大体品川線は、環境アセスの中でも指摘されていますが、軟弱地盤なんですよ。とりわけ大崎から大井ジャンクションまでの二キロは、目黒川の川底をそのまま通っていくわけですよね。こういう例は多分今までにないと思います。それで果たして公団の積算が妥当なのかどうかということがまず問われるんです。
 これは実は、決して根拠のない話ではありません。皆さんもご存じだと思いますけれども、例えば、中央環状王子線は当初見込み一千四百四億円が三倍に膨れ上がったんですよ、最終的に。四千百三十五億円。新宿線はどうか。当初予算、当初計画では事業費が五千二百億円だったものが、倍の一兆二百四十三億円に膨れ上がったんですよ。いざ地下トンネル工事をしてみたら、さまざまな障害物に出くわして、そのたびごとに事業費が加算をしたということが大きな要因であることは既に明らかです。
 「都政研究」という雑誌にも、あるジャーナリストの方が書かれていました。どういうふうに書いてあるかといえば、都が建設費の半分を持つということは首をかしげざるを得ない。この延伸部分が通る山手通りの大部分は目黒川沿いの低い、地盤が悪い、そこでの工事だから、建設費の膨張が予測される。当然、都の負担も膨らむおそれがある、こういうふうに指摘をしております。
 私は、やはり直接こうした工事に立ち会った方にもお聞きいたしました。例えば、多摩川の川底を、その方の場合には横断をするシールド工事を行いましたけれども、途中で水没をして大幅に工事費を見直さざるを得なかった。目黒川についても同様な事例があったというふうに聞いております。
 しかも、環境アセスでやったとしても、実際上は、詳細なボーリングをもう一度工事の前に行わない限り、一体どこにどれだけの障害物や軟弱地盤があるのか、そういうことはわからないというんですね。
 しかも、負担は事業費で折半ということですけれども、もし事業費が膨らんだ場合、だれが負担するのかということなんです。向こうは今度、新民間会社に移行するわけですから、出せといわれても出さなければどうにもならない。白地手形を気前よく発行するのと同じような状況になりかねないわけです。際限なく都の負担だけがふえる可能性というものが否定できません。
 もう一つ大事なことは、知事が、公団の新会社化を待っていたらどうなるかわからない、だから先行着手するんだというふうにいわれました。しかし、大体新会社なるものがどんな会社になるのかというのは現時点でわかりません。そして、その会社がどのようにこの品川線について対応するのか、何ら保証というものはありません。
 ところが、そういう状況であるにもかかわらず、東京都はいち早く直轄事業、街路事業という全く新しい方式で進めようとしているわけですね。せめて、知事、どうですか、新会社の発足まで一年くらい計画を見合わせるぐらいやるべきじゃありませんか。そして、その間に、建設や直轄事業というやり方でやることの是非ということを再検討すべきではありませんか。
 国だって、私、直接聞きましたけれども、来年度予算にはつけていない、具体的な負担割合は新会社ができない限り具体的なスキームの協議には入れないんだ、こういっているんですが、いかがですか。

○梶山都市整備局長 施行延長十キロの品川線の完成によりまして中央環状線四十七キロが初めて結ばれ、これまで途切れていた首都圏の高速道路ネットワークが機能を発揮し、人や物の円滑な流れが実現いたします。
 また、走行時間の短縮など直接便益だけでも年間約千三百億円が見込まれ、事業費相当分を三年で社会に還元できるとともに、環境改善が図られるなど、その整備効果は極めて高く、一日も早い整備が必要なんです。
 本年秋から首都高速道路公団が民営化へ移行しますが、有料道路事業による新規整備は、最短でも新体制が整う十八年度からの着手となり、都市計画決定から一年以上何もしない空白期間が生じます。こういうことから、早期整備を図る観点から、有料道路事業に先駆け、十七年度から着手できる街路事業と整備することを決めたわけでございます。

○吉田委員 いろいろいわれましたけれども、経済効果その他ね。結局、渋滞解消し、スピードが上がれば、その分コスト縮減になって経済が効率、プラスになるというご主張でしょうけれども、以前から私たちは指摘しているように、片や都心部の大規模な開発を促進するのと一体となってこうした幹線道路づくりが進められているわけですよ。かつて環境局は、道路渋滞の最大の原因として都心の超過密にあるんだということまで指摘をした経過があるんですよ。片方では、過密促進、車の集中を促進する、片方では道路をつくる、これで本当にどれだけ渋滞解消、経済効果があるのかということは、まず根本的に疑問が発せられるところなんですよ。
 しかも、経済効果というふうなことを直接見ても、公共投資で最も経済効果が何にあるかといえば、これは住宅建設だとかあるいは福祉施設だとか、この方がはるかに雇用効果があるということは、もうこれは全国の自治体で共通していわれていることなんですね。そういうことを冷厳に見ないで短絡的に経済効果がある、経済効果がある。しかし、公共事業というのは、まさに百年の計ですよ。将来人口がどうなるのか、これが完成するころにどのような事態になるのか、あるいは自民党の議員からも質問がありましたけれども、今の公共施設の今後の維持更新費にどれだけかかるのか、そういうものを百年の計として総合的に見なきゃならないときに、ましてや新会社、いわば有料事業を担う新会社の発足はまだなんですよ。これは常識的にいったって、そこを待って再検討するというのが私は当然のことだというふうに思いますし、再検討を求めておきたいというふうに思います。
 次に、この品川線の問題とあわせて、都政最大のむだ遣いともいえる臨海副都心開発について質問をいたします。
 さきの本会議で、我が党の質問に対して知事は、これはバブルのころ、とにかく日本じゅうが浮かれてとんでもないプロジェクトを展開したからだという旨のお話をされました。しかし、この開発をどうするかについては、これはもう少し時間をいただいてといい、時代が変われば新しい施設が出てくるかもしれませんと答弁され、関係当局が一生懸命知恵を尽くしているから、がたがたいわれる筋合いはないとまで、いわれました。まあ、がたがたというのは、ちょっとひどいいい方ですよね。
 私は、この知事の認識がやはり問題だというふうに率直に思います。事態は、関係当局が知恵を尽くしても解決できるというような状況ではないと思うんです。そもそも副都心という構想も、知事自身の進める丸の内や大手町の開発で、都心そのものにビルも経済も人も集中する、結果的にこの臨海副都心が沈没をするという事態になっているじゃありませんか。国際情報都市だとか金融都市ということがこの臨海副都心にコンセプトとして強調されましたが、もう今そういうこと自身、いえる状況じゃないんですよ。
 そして、肝心の土地の利用はどうかといえば、臨海高速鉄道の延伸が実現すればとか、アクセス道路が整備されれば改善するといってきましたけれども、若干の売却はありますけれども、公募区画した土地すら売れ残り、全体の四割もの土地が、いまだに売ることができない、未利用状態になっています。
 大体、二〇〇三年がちょうど五年後の見直しの時期でした。まさに見直しのチャンスだったんですね、知事は。そのときにきちんと見直しをしておけば、少なくとも新たな財政投入という被害を拡大することは私は抑えられたと思うんですよ。しかし、知事は、何かというと、この臨海開発が国に振り回されてきたようなことをいわれますけれども、しかし、やはり知事自身がこの間どれだけ財政投入あるいは土地の投入をしてきたかということなんですよ。
 若干列挙しますけれども、一つは、都民の反対を押し切って有明北の埋め立て、あるいは臨海道路の二期工事着工、こういうことを先行的に進めてきました。財政支援という点では、ご承知のとおり、臨海副都心会計救済のために、埋め立て、羽田などの三会計統合を進めてきましたし、さらに、臨海高速鉄道への新たな莫大な資金援助ということも行われてきました。石原知事がどれほど臨海に一体つぎ込んできたのかということも、やはりしっかりと認識をしていただかなきゃならないと思うんです。
 その第一である、知事は、港湾局所管の三会計の統合で、臨海の開発用地を所有していた埋立事業会計と羽田空港用地を埋立造成してきた羽田沖埋立事業会計の土地や現金あるいは臨海への貸付金などを、丸ごと臨海開発にただ取りをさせるというふうな事態をつくりました。
 そこで、お伺いしますけれども、この三会計を統合した時点で、臨海副都心開発に無償提供した埋立地の面積と価格、埋立会計及び羽田沖埋立会計が持っていた保有財産及び未処分埋立地の面積、価格、全体としてどれだけだったんでしょうか。

○成田港湾局長 旧埋立事業会計が現物出資した土地の面積は約百六十三ヘクタール、価格は約六千七百億円でございます。
 平成十三年の三会計統合時の保有財産でございますが、旧埋立事業会計及び旧羽田沖埋立事業会計の資金残高が合計約八百五十億円、両会計から旧臨海副都心開発事業会計への貸付金が合計で約三千六百億円でありました。
 また、未処分地でございますが、旧埋立事業会計だけで面積約八十四ヘクタール、価格は約二千五百億円でございます。
 先ほど吉田委員の方から、ただ取りとか、あるいは借金棒引きだ、そういうようなお話がございますが、これらの三会計統合の結果、現在の臨海地域開発事業会計が、資産、負債及び資本のすべてを包括的に引き継いでおりますし、また、引き続き都民の財産として存続し、臨海地域のさらなる発展に大きく寄与しているものと認識しております。
 それから、先ほどのご発言の中で、臨海の土地の利用が現在六割というお話がございましたが、暫定利用も含めますと八割でございますので、よろしくお願いします。

○吉田委員 売却をされていない土地が四割残っているのは事実だと思うんですよ。しかも、ただ取りではないというふうなご発言がありましたけれども、もともと臨海開発は税金は一円も投入しないというふうにいっていたにもかかわらず、埋立会計が持っていた土地や財産というものが投入されたということは、否定することのできない事実じゃありませんか。今局長がいわれた金額を全部足しただけでも、一兆三千六百五十億円ですよ。もちろんすべてそれが使われたというふうなことはいいませんよ、いろいろな操作があることは私だって承知していますから。
 いずれにしても、石原都政以前というのはどれだけ投入されたか、約四千四百億円ですよ。ところが、石原都政になってどれだけの投入が行われたか、大まかなスケッチを行ってこのパネルに示しました。総額でいえば二兆円です、土地の無償提供あるいは今の三会計統合、さらに広域基盤の整備、埋立地の造成その他です。さらに、このまま行ったら、新たに約一兆円もの広域基盤整備その他、かかるんですよ。こういう、これまでも約二兆円もの財政投入が行われ、今後もさらに一兆円もの財政投入が行われかねない。
 もし知事が新たな基盤整備など踏みとどまっていれば、これを抑えることができたし、これからも抑えることができるんですよね。やはりこれまでのような業務都市、オフィス街を基本にしたような開発を前提にして、広域幹線道路を初めとする基盤整備を進める、そのために四千億円以上の事業費をつぎ込み、さらに新たに共同溝などもつくる、こうしたことに今こそ立ち返って、私はメスを入れるべきだと思うんです。国や歴代知事の責任云々ということではなくて、やはり知事自身が、今日の破綻した臨海会計に土地や金、物を注ぐ、こういうやり方を根本に立って見直す、そして都民参加で、このオフィス街、業務都市というものを想定した基盤整備じゃなくて、できる限り今日の現状に即して新たな財政投入を最小限に抑えるという、それぐらいの再検討を進めるべきじゃありませんか。どうですか、知事。

○成田港湾局長 昨年の予算特別委員会のときもそうだったんですが、その場で、しかも小さな字で、何が書いてあるか見えないんですよね。
 二兆円とおっしゃいますけれども、そのうちの一兆三千億は、今吉田委員がいみじくもおっしゃったような三会計統合でございまして、それを我々は正当な財産運用であると。それに対して違うという、そこがまずもう一点ございます。
 それから、先ほど来のお話の中で、臨海は業務を中心としたまちづくりであって、これがおかしいとおっしゃいましたけれども、これにつきましては、私どもこれまでるる申しておりますが、臨海副都心でございますが、職住学遊の機能が複合した魅力的なまちづくりということで、何も業務一本ではございません。商業、アミューズメント、さらに住宅、そういった多様な機能を(発言する者あり)いや、その前提を、私どもがちゃんといっているものを一面的に取り上げて、違うじゃないかといわれる、そういう論法はおかしいんですよ。

○吉田委員 少なくとも今の基盤整備、広域幹線道路を初めとするものは、従来の例えば就業人口七万人、居住人口何万人、そしてやはり副都心で情報、金融などの業務都市というコンセプトというものを前提にしてつくられて、それが継続しているということをいっているんですよ。職住学遊を我々は否定しているわけじゃないんですよ。その状況に合わせて、従来のコンセプトで広域幹線道路はつくる。状況はもう本当に遊なんですよ。したがって、そこを立ち返って見直しなさいというふうにいっているんです。
 続けて、さらにどうしても臨海三セクの問題についてただしておきたいというふうに思います。
 今、臨海副都心開発全体とともに、株式会社東京テレポートセンターを初めとする臨海関連三セクへの支援を中止し、抜本的な再検討をすることが急務だと思うんです。
 初めに、臨海ビル三セクへの都の支援についてなんですが、先ほど産業労働局長、ご答弁がありましたが、産業労働局長に伺いますが、タイム二十四、東京ファッションタウンについて、厳しい経営状況にあると認められましたが、見直しに当たっては、私は当然、法的な処分も含めた抜本的な再検討、これを図るべきだと思うんですが、いかがでしょう。

○関谷産業労働局長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、改めて申し上げますが、産業労働局所管の二社につきましては、経営改善策のちょうど中間の見直しの折り返しの時期に当たっております。現在、関係者間で二社の経営計画、収支計画等について検討を行っております。一義的には二社が主体的に取り組む課題でございますけれども、都としても非常に厳しい状況だということは認識してございますので、一層の経営改革が必要であると認識しております。そういう意味できちんとした経営計画をつくってまいりたいと考えております。

○吉田委員 私は、やはり毅然とした法的な処理も含めた検討というものをぜひ行っていただきたいというふうに思うんです。
 次に、いわゆる港湾局所管の東京テレポートセンターを初めとする臨海三セクビルについて、お伺いをしたいと思うんです。
 九八年から経営安定化策による支援を行ってきましたが、一体どれだけの支援を行ってきたのか、その全容について簡潔にご答弁をお願いいたします。

○成田港湾局長 済みません、今手元に資料がございませんが、私ども東京都といたしましては、賃料の七五%低減、それから百七億円の無利子貸付、それから三十億円の増資ということで、総額二百七十億円の臨海の三セクに対しての支援を行ってまいりました。その結果、この間の経営で、償却前の黒字のみならず、本業のもうけを示す営業収支においても黒字を達成したところでございます。

○吉田委員 黒字論は後でやりますけれども、ビル経営の企業に対して、今述べられました総額二百七十億円、三十億の増資、百七億円の無利子貸付、さらに地代減免七五%、これは総額百三十三億円ですか。私の計算では少なくとも今年度、七年間で二百三十億円もの支援がされているというふうに計算することができると思うんです。
 しかも、もうこれはご存じと思いますが、それだけじゃないでしょう。例えば東京都職員研修所、青少年センターをわざわざテレコムセンターに移転をする。その賃料によって支える。総額百二十億円ですよ。さらに驚くことに、安定化策とあわせて、一九九八年から何が行われたか。都立施設である夢の島マリーナをわざわざテレポートに、無償ですよ、ただでマリーナを貸与する。そのことによってテレポートは新たな収益を得る。約三億円から四億円ですよ。また、未利用地を使った駐車場事業もテレポートに移しかえ、年間十億円もの収益をそっくりテレポートが確保できる。
 本来ならば一般会計、都民のために使うべきものが、こういう形でありとあらゆるやり方で、臨海三セク、ビル経営の破綻を支えるために投入されている。こういうことがあれば、私たちが常々いっているように、例えばシルバーパス、せめて五千円券を発行するだとかというようなことは十分できることなんですよね。また、在宅酸素療養費の電気代補助なんかも拒否していますが、これはわずか一億二千万円なんですよ。本当に私たちはこういうところに、都民の目線で浪費、むだ遣いというものを正していくことが、我々は都議会議員の責務だと思うんですよ。
 問題は、そういうふうなことを行った結果、改めてビル経営がどうなったかということなんですよ。今、黒字になったというふうなことをいわれましたけれども、累積欠損も、債務超過も拡大しているでしょう。港湾局所管の三セク三社で見れば、累積欠損は八百九十七億円、債務超過は三百五十一億円。もう破産状態ですよ、状況は。結局、一体都のこの間の財政支援は、実は総額にすると約五百億円ぐらいになるんですよ。それは一体どこに行ってしまったのか、何だったのかということが問われなきゃならない。
 そこで伺いますけれども、三社がこの間、金融機関に支払った利息あるいは元本の返済はどうなっていますか。

○成田港湾局長 平成十年度から十五年度までの支払い利息の総額は約四百四十九億円でございますが、平成九年度は百二億円であったものが、この十五年度では、平成九年度の四割減の六十億円弱となるなど、金融機関の支援効果があらわれているところでございます。
 また、融資残高でございますが、平成十年度末に三千八百五億円であり、十五年度末では三千四百三十一億円ということで、三百七十一億円の減少となっているところでございます。

○吉田委員 元本は、そもそもこの期間は返済免除というふうに私は承知しています。違いますか。にもかかわらず、三百七十一億円の返済がされましたし、さらに、この間だけで見ても、利子として三セク三社から銀行に支払われた利息分の総額は四百四十九億円ですよね。私、以前の議事録を見たら、平成九年までの以前で、利払いが五百億円ですよ。そうすると、この間の利払いだけで一千億もの投入がされているというふうな事態になるんですよね。そうすれば、結局、東京都は一生懸命あらゆる手だてで支援したけれども、そっくりそれが銀行への利払いに回るというふうな状況といっても私は過言ではないと思うんですよね。やはりこういうことは今本当に見直しをしていくべきだ、将来にわたってこのようなことはやるべきではないというふうに思うんですが、いかがですか。

○成田港湾局長 臨海ビル三セクでございますが、臨海副都心開発関連第三セクターでございますが、臨海部のインフラ整備、管理とともに、商業、業務の多様な集積の拠点として重要な役割を果たしているところでございます。
 また、第三セクター各社を取り巻く経営環境は厳しいものの、都や金融機関の支援、会社の内部努力により、先ほど申し上げましたような償却前収支、さらに営業収支の黒字化等、一定の成果を上げてきたところでございます。
 単年度黒字が平成二十三年でございますので、残念ながらそれまでは累積損失あるいは債務超過が増えるわけですけれども、単年度黒字が達成された以降はそれも減少してくるわけでございます。
 ただいま申し上げました三セクの役割や、今申し上げましたような経営状況等々を考えるときに、経営改善の着実な実施を図っていくべきであると認識しているところでございます。

○吉田委員 いろいろいいましたけれども、ビル会社に対する支援なんですよ、東京都の支援というものは、実態は。
 では、ちょっと聞きますけれども、成果が着実に上がっているというご答弁でしたけれども、そうしたら、この安定化策が終了する二〇〇七年、平成十九年度以降というものは、もうこういう支援は継続しないというふうにはっきりといえますか。

○成田港湾局長 それはその時点における経営状況から判断いたします。

○吉田委員 今、その時点で判断をするということをいわれましたけれども、実は、私は、この三セク三社が、もう既に将来についても地代減免を継続するという長期計画をつくって、かつ、銀行に示しているという文書を手元に持っています。今お配りしていますけれども、三セク三社が二〇〇三年、平成十五年に金融機関に示した、これは長期計画の見直しの一部です。
   〔資料配布〕
 資料に「条件設定の考え方」という欄があって、真ん中に「支出」というふうに縦に書き込まれていて、その横に、これは字は小さいんですが、現物ですからやむを得ません。サインペンで太く「地代減免率」というところをチェックをしておきました。これは私がチェックしたものです。そこでは「十九年度まで七五%の減免」、これは今のやつですね。その次に、「二十年以降は五〇%の減免を受ける」と。もう既に二〇〇三年、平成十五年の時点で、局長はそのときにならなきゃわからないかのようなことをいっていますが、こういうことが臨海三セク三社によって金融機関に配られている。私は、その一部のこれを今皆さんにお示しをいたしました。
 改めて、そうすると、これは一体どういうことですか。決めていないというにもかかわらず、実際、臨海三セク三社はこういうものを示しているんですよ、局長。

○成田港湾局長 ちょっとこの文書、なかなか小さくて見えなくて申しわけございませんが、今吉田先生が、これは会社の内部文書で、それが金融機関に出したものだということで、どういう経路で入手されたのかちょっと私もよくわかりませんが、そういった意味での文書の信憑性等について、ちょっとご説明いただければありがたいのでございますが、それはともかくも、いずれにいたしましても、これは会社の内部文書でございます。それは私どもとして関知するものではございませんし、会社がいろいろな形のケースを、先ほど申し上げましたように、現在の不動産市況あるいは地域間競争等々を考えたときに、やはり今の景気の動向等はあるものの、いろいろな中で厳しい状況も想定されるわけです。ですから、会社が会社の自主判断で一番厳しい事態、いろいろなケースを考えながら、今後の経営について検討されるのは当然だろうと思います。ただ、これが本当の会社のペーパーかどうかについては定かでございませんが、一般論としていえば、そういうことでございます。

○吉田委員 会社、会社というふうに、何か全く無関係の存在であるかのような印象を受けるご発言をされますが、この株式会社東京テレポートセンターの役員の方、この中にいらっしゃるでしょう、取締役、監査役。取締役会だって当然出ていらっしゃるでしょう。承知してないんですか、これを。

○成田港湾局長 私は、港湾局長といたしまして、TTCを指導監督する立場にございますが、同時にTTCの取締役でもございます。取締役会には基本的には一〇〇%出ておりますが、その取締役会で今お示しいただいた資料が提出されて、それについての説明があったと、そういう記憶はございません。

○吉田委員 我々は、これにかかわった複数の方々の確実な証言を得て、こういうものが銀行に配られているということをはっきりと確認をとって、こういう場で明らかにしているんですよ。では、ちゃんと事実を確認してくれますね。知事、どうですか。

○成田港湾局長 恐縮ですが、それは、資料を提示された方がきちっと立証すべき事柄ではないでしょうか。

○吉田委員 それは、これだけの事実を指摘しているんですから、あなた方が調べるのが当然の責任じゃありませんか。あなた方に責任が問われているんですよ、私が事実を示したんだから。知事、調べてくださいよ。調べるべきですよ、当然。

○成田港湾局長 これは知事に対して調べる云々かんぬんの問題ではなくて、やはり吉田委員、資料を持ってこられた方が、本当にこの一枚のペーパーだけでございますので、どういう構成の中での資料なのか、そういうのも含めて--一枚だけ見せて、それについて、ぜひ吉田委員の方からお示しいただきたい。
 もう一言いわせていただけば、私どもは、三セクに対しての指導監督責任はきちっと果たしてまいりますが、今出されたペーパーについて調べろとか、それについては、残念ながらお受けすることはできません。

○吉田委員 指導監督責任をいうのだったら、きちんと調べなさいよ。しかもこれは、極めて重大なことは、これまでも、先ほどいいましたように、東京都は都民に対しては、財政が大変です、借金があります、使えませんといいながら、いいですか、ビル経営の会社に対しては至れり尽くせりの支援を進めてきた。その上さらにそれを、将来にわたって地代の減免を進めていくという驚くべきことなんですよ。大体、しかもこうした地代の減免だけじゃなくて、先ほどいったようなマリーナあるいは駐車場、そういうことに引き続き支援を継続すると。もうこれは大変な金額になるんですよ。私たちは、やっぱりそういうところを見直すことこそ何よりも今の都政の責務だということを強調して、質問を終わります。(拍手)

○樺山委員長 吉田信夫委員の発言は終わりました。

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