東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○樺山委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十五日に議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 高島なおき理事の発言を許します。

○高島委員 都議会自民党の高島でございます。
 先月の二十三日からスタートいたしました東京都議会第一回定例会でございます。予算特別委員会、締めくくりの総括を私がさせていただくわけでございます。ちょっと長時間でございますので、事前にお出しをしたいろいろと質問の順番が飛ぶかもしれません。そういう意味では、ご答弁いただく皆様には、お昼ご飯を食べた直後でございますので、若干眠りたいんじゃないかなという思いがしますが、ぜひご理解をいただきたいと思っております。
 あわせて、昨日は記者会見で知事が何か花粉症だということで、大変ご心配をいたしました。本会議もお休みになったものですから、ぜひ(石原知事「流行に追いつきませんで」と呼ぶ)私はまだ文化人じゃないんで、花粉症にはなったことがないんで、ご理解をいただきたいと思います。
 まず、年四回開催をする定例会は議会にとって、都民の信託を受け、すべての責務を発揮する場であります。中でも、本第一回定例会は、平成十七年度の予算案を審議する重要な議会であります。当然、議案の提案を受けるその会期を定める中で、与党である都議会自民党としても、内容を事前にチェックし、相談しながら、知事提案の議案として受けとめ、対応してきたところであります。
 本予算特別委員会は、去る三月十一日より質疑が始まりました。我が党はこれまでも、石原知事の与党第一党として、知事とともに都政運営の一端を担い、毎年度の予算案に賛成してまいりました。今回の十七年度予算も、知事提案の予算を原案どおり可決すべきものとし、知事与党の責任を果たすべく本定例会に臨んでおり、お互いの切磋琢磨の中で、その成立に向けて努力してきたところであります。
 ところが、三月十四日、民主党の委員は、提案をされた予算の中に疑義のある部分として質疑を行い、一方、理事者からも同様の答弁がありました。当該事業の責任者がみずから提出したにもかかわらず、それを否定するような予算案を修正せずに提案したことに驚きを覚えました。我々は、石原知事を傷つけてはいけない、その思い、正当な予算であるとしても、議案を維持するため、やむを得ず委員会を休憩し、その収拾のために議会運営委員会を開き、真相を明らかにするため、地方自治法第百条に基づく社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会を設置せざるを得なかったのであります。
 以上のことからも、なぜ民主党委員の質問なのか、疑問であります。そのことが今後解明されると思いますが、少なくとも民主党は、本予算案に対し、当然、何らかの附帯条件をつけなければ賛成できないとして質疑を行ったものと思います。疑義を示したものですから、当然、そうせざるを得ないでありましょう。本件に関する今後の民主党の質疑と賛否の動向が注目されるところであります。
 我々は、提案された予算案は適切な内容であり、正当な手続を経て提案されたものと考えております。まず冒頭にこれらのことを申し上げ、提案された予算案が適切な内容のものである旨の確認をすべく、質疑に入ります。
 まず初めに、福祉改革についてであります。特に東京都社会福祉総合学院の運営等に関連して何点かお伺いをさせていただきます。
 さきの厚生委員会において、我が党の佐藤委員が、学院の運営形態を見直した際に、財務局に協議を行わなかったのかどうかただしたところ、福祉保健局の総務部長から、事前に財務局財産運用部に相談し、最終的に公有財産管理運用委員会への付議は要らないとの答弁がありました。
 その理由として、学院の運営形態の変更が、事業の実施主体と建物の所有者が事業団であることに変更がないこと、福祉人材養成事業という目的、内容にも変更がないこと、さらには、見直しにより学院にかかわる運営費補助を将来に向けて全額削除できるなど、財務局主計部へも説明しているということであります。
 そこで、総務部長のこの答弁に間違いがないか、また、学院にかかわる運営費補助の全額削減を財務局主計部へ説明したのはいつごろだったのか、改めて福祉保健局長に伺いたい。

○幸田福祉保健局長 過日の厚生委員会におけます総務部長の答弁は、私どもの局に保存をしております当時の資料に基づきまして答弁したものでございます。
 なお、具体的な説明の日時でございますけれども、当時の資料によりますと、平成十三年九月二十五日と記載されているところでございます。

○高島委員 また、同じ厚生委員会で公明党の藤井委員が福祉保健局の社会福祉事業団に対する補助金についてただした中で、福祉保健局が十六年度施設整備費元利償還金の四期目の支出命令書を出納長室に提出したところ、出納長室は、包括外部監査報告に対する改善計画が出されていないことを理由に、執行を拒んでいるとの答弁が福祉保健局よりなされました。事実でしょうか。福祉保健局長にお伺いをしたい。

○幸田福祉保健局長 私どもの局から、社会福祉総合学院に関します施設整備費元利償還金の今年度の第四回分を支払うため、支出命令書を提出したところ、さきに厚生委員会におきまして総務部長から答弁いたしましたとおり、その時点で命令書が戻されております。
 なお、その後、当該経費が債務負担行為の議決をいただいております義務的経費であると、そういうことから、改めてこの補助金の性格などを再度説明いたしまして、既にご理解がいただけているものと考えております。

○高島委員 今、局長からご答弁を二点いただきました。
 一点については、当然、財務局にご相談をさせていただいた。さらには、そのことの日時も明確に答弁をいただいたわけでございます。さらには、私の質問の中には、実は間違いありませんかという質問もただしたわけでございますが、当然、その日時が出たということは、間違いなくご相談をしたというふうに私どもは認識をさせていただいております。
 あわせて、今回の件について、一部出なかったとか出たとか、そういう話もあったんですが、今、ご理解をいただいたというふうに私どもは理解をさせていただきます。
 ところで、この施設整備元利償還金は既に都議会で承認された予算であります。また、債務負担行為として債務の継続性が明確となっているものを、どのような法令の根拠で、若干でもそうですが、停止できたのか、出納長にご答弁をいただきたいと思います。

○櫻井出納長 出納長は、地方公共団体の支出の原因となるべく、契約その他の支出負担行為の確認を行うことがその職務権限とされております。本件補助金の支出命令の確認に当たりましても、出納長室としては、包括外部監査報告に対する福祉局の考え方及び今後の対応方針等の説明を求めたものでありまして、東京都会計事務規則に基づきまして、関係機関に照会等をできるということがございますので、それに基づいて事務処理をいたしたというものでございます。

○高島委員 それでは、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
 今、出納長から、その手続の中でとりあえず差しとめをした、拒んだというご答弁だと思いますが、幸田局長、済みませんけれども、この提案の執行を依頼した時期、そしてそれがストップになった時期、そのことを改めて確認させていただきたいと思っております。

○幸田福祉保健局長 この支出命令書に関します四回目の償還分の意思決定、これは課長決定でございますけれども、十七年二月二十八日で決定しておりまして、三月二日に出納長の方へ持ち込んだところでございます。

○高島委員 実は私も百条委員会の委員でございまして、これについては実はいろいろとまたきちっとお話を聞かせていただく決意でございます。きょうはちょっとまたいろいろとあるものですから、ほかの点で私自身が疑問に思っている点が何点かありますので、とりあえず今の日時だけきちっと確認をとらせていただいたということでご理解をいただきたいと思っております。
 続いて、財政委員会でも、我が党の秋田委員が松澤財務局長に学院の予算についてただしました。松澤局長は平成十三年七月から主計部長をおやりになり、同じ年の秋には当時の福祉局が学院の民間委託の話を主計部へ持っていっているのに、ちゃんと把握していなかったなどと答弁していますが、改めてこのことについてお伺いをさせていただきたい。

○松澤財務局長 今お話ございましたように、私が主計部長の時代の平成十四年度の予算編成では、旧福祉局からの予算要求におきまして、社会福祉総合学院の運営を民間に委託する一方、民間学校法人から賃貸料を取ることによりまして都からの運営費補助がなくなるといった内容が出されまして、これについては十三年秋、十一月の中旬ごろだったと思いますが、主計部長の査定といいますか、調整の中で、基本的な事業スキームを含めまして、予算的に問題ないと判断したところでございます。
 ただ、詳細な内容につきましては、その事業が当時、新規事業や重点事業でもなく、また査定では短時間にかなり、数千といいますか、事業を行うこともございまして、明確にそこら辺のところが、正直申し上げて薄れている面がございます。また、契約手続など財産管理の面では、正直申し上げて、主計部長ということもございまして、把握していないことから、全体的な面で把握していないと。そういう面で財政委員会で答弁したところでございます。
 そういう意味で、現時点で振り返りましても、その当時の--予算的には問題がなかったと思っておりますし、それから、建設、用途につきましては、先ほどお話ございましたけど、義務的経費ということもございまして、十七年度予算も、これまでの予算も、違法もなく問題もないものと、このように考えております。

○高島委員 今、財務局長として東京都の財政全般を掌握し、またそのお立場にいらっしゃる局長であり、当時、主計部長という大変重要なポストにつかれていた方が、義務的経費だ云々で把握してなかったということは、私どもは非常に残念だと思っております。
 あわせて、ましてもや、私ども議会が、冒頭述べましたように、百条委員会まで設置して、この解明をしようと。私どもは石原知事が提案して出された予算が間違いないものだという認識のもとでこの百条委員会を立ち上げた、そういう思いがございます。その中では、局長ともあろう方がそのような答弁、非常に残念だと。そのことはつけ加えておきますし、実は私の手元に、当時の厚生委員会の議事録がございます。これには、その都度きちっと提案理由を述べられている、そういうものもございます。そのことについては、先ほど申しましたように、また別途話をさせていただきますが--まだ局長、質問あるんだよ。
 続いて、財務局長は、今回の包括外部監査の報告が出てから初めて財産管理上の問題を知り得たなどと答弁していますが、財務局長としてそのような認識をしていなかったのかどうか、もう一度そのことについて確認をとりたい。

○松澤財務局長 お答えいたします。
 私、先ほども申し上げましたが、今回の社会福祉総合学院の件につきましては、主計部長以降、社会福祉総合学院の例えば設置目的とか、沿革とか、場所、規模など、基本的な事項につきましては承知していたところでございます。また、平成十六年七月に財務局長に就任してからも、財務局の財産管理の課題として資産活用がございまして、その一つに社会福祉総合学院の建物の今後の活用が出ておりまして、その意味で、さらに民間への運営委託先であるとか、民間学校法人の建物貸付の基本的条件などについては承知をしておりました。
 ただ、基本的には、この土地の財産につきましては、福祉保健局所管の事業用普通財産ということで、所管局が管理していることもございまして、例えば建物の九割を特定の学校法人が使用していることなど、事業団と学校法人間の建物契約とか、そういうような具体的な内容については、外部監査の報告の内容から知ることになったということでございまして、また、知事からの調査の指示などもございまして、福祉保健局とのやりとりの中で、この件について財務局長として詳しく知ったと。こういうことをこの前申し上げた趣旨でございます。

○高島委員 それでは、また、東京都と事業団との契約について触れた中で、財務局長は、土地の用途に反して--今お話がございましたね--学校法人が土地と建物を一体的に使用していることは、契約違反であって、財産管理の面から不適正であるのではないかと答弁しています。
 一方、厚生委員会では、福祉保健局総務部長から、土地賃貸借契約の内容に変更がないものとして、公有財産管理運用委員会に付議は不要との回答を財務局から得ていると答弁がありましたが、どちらが正しいでしょうか。
 また、契約違反ではあるが、違法、不当ではないと発言しております。そうですね。契約違反というのは、常識論からいってルール違反なんですよ。それを違法、不当ではない、そういうご答弁なさった。その辺の意味をどういうことだか教えていただきたいと思っています。

○松澤財務局長 先日の財政委員会における私の答弁についてでございますが、まず今回の社会福祉総合学院の件にかかわるこれまでの財産管理については、違法であるといった認識は毛頭持っておりません。重要なことは、今後、包括外部監査の報告を踏まえ、契約書の中に、福祉事業団が設置する福祉人材養成事業に使用するという使途がついておりますので、そういうことも含めまして、今後どうしていくかというこれからの対応として、知事からの指示も受けておりますので、調査などを通じて明らかにしていくことが必要と、このように考えております。
 また、先ほど福祉保健局の方から財務局の方に話があったんじゃないかというお話でございましたが、これについては、執行機関同士の事実関係についてのお尋ねでございますので、心苦しいところもございますが、私どももこの点について、今、調査をしておりますが、担当者レベルで判断するような事案ではない中で、福祉局の方から担当者が相談を受けたものということはあったとしても、それを了解した事実ということは、今の段階では我々、ございません。

○高島委員 本当はここで、私ども、この間について質問をやめようと思っているんですけど、百条委員会できちっと、この正当性を私も委員としてやっていきたいと思っているんですよ。
 ただ、基本的に、局長、私は残念だなと思うのは、先ほどから福祉保健局、担当局は、きちっと付議する、その都度、財務局にちゃんと調整かけているんですよ。その都度調整をかけて、財務局も了承し、委員会に付議する必要はなしという正式の答えをもらっているの、局長。そして、その都度、議会にも説明をして、予算を計上して、義務的経費とあなたはおっしゃったけど、きちっとやっているんですよ。そういう一つ一つの積み重ねがあって、きょうまで来ているんです。私はそう認識しているんですよ。
 そのことが外部監査報告で、私は、全く違う認識をとっているんです。それは何か。当時の賃貸借で、その時代、使用料が安いだろうと。それは当たり前なんですよ。当時と、時代が、趨勢が変わっているんだから。時が流れているんだから。そのことについてきちっと是正しなさい。値上げをするなり、時価に、相場にきちっと合うようにしなさい。
 それからもう一つは、私は、この事業団の中身が、リカレント教育だけで本当にいいのか、もっと考えなさいという報告ですよ。それがなぜ、そのときのあれが聞いていないとか、ましてもや局長が、残念なのは、当時の部下がきちっと、きちっとですよ、議論して積み重ねてきたものを否定するような今答弁があったと私は認識している。このことは、東京都政の局長として、本当にこの発言は正しいのかどうか、私は残念でならない。このことについてはきちっとまた議論をさせていただきたいと思っております。
 そこで、福祉改革について最後。
 さて、福祉保健局は、大都市東京の特性を踏まえ、これまで福祉改革推進プランや福祉改革STEP2を策定し、地域での自立を支える新しい福祉の実現に向けて、区市町村と連携、協力しながら福祉改革を着々と推進してきております。こうした一環として、福祉人材養成のあり方報告を踏まえ、十三年四月にリカレント教育を主とする社会福祉総合学院を立ち上げました。
 このかわりといってもよいと思いますが、それ以前は都が直営で福祉人材の養成機関を運営してきましたが、民間での養成も拡充されており、十二年度までに都立の高等保育学院四校と社会福祉事業学校を廃止しました。直営を廃止することによって、例えば九年度には八億五千五百万円かかっていた運営費はゼロとなったのであります。
 また、新設した社会福祉総合学院についても、社会状況の変化を踏まえ、運営の見直しを行い、学校法人に業務を委託しましたが、その結果、十四年度以降は都からの運営費補助が不要になったんですよ。二億五千六百万。こうした取り組みは、十三年四月に発足した監理団体改革推進委員会の意向にも沿うものと考えています。
 そこで、平成十三年度から始まった社会福祉総合学院の運営の見直しを含め、こうした石原都政の福祉改革への取り組みについて、福祉改革担当の大塚副知事はどのように評価されているのか、所見を伺いたい。

○大塚副知事 都が進める福祉改革は、既にご案内のとおり、これまでの行政主導の画一的な福祉システムを、多様な提供主体が、今お話ございましたけれども、競い合いにより、質の高いサービスを提供するシステムに転換をして、だれもが地域の中で自立をした生活を送ることができる利用者本位の新しい福祉の実現を目指す取り組みであります。
 施策の先見性、妥当性、執行の効率性、そうした両面から、外部環境の変化、ニーズの変化、時代の変化、さらには一つ一つの施策の置かれた条件などを踏まえまして、あるものはフルモデルチェンジ、そしてまたあるものはマイナーチェンジと、着実に前進をしてきております。
 いうまでもなく、そのすべてが完成したわけではありません。総体で申し上げれば、いまだ福祉改革は道半ばであります。今後さらに改革の取り組みを加速していく必要があると考えております。
 社会福祉総合学院につきましては、過日の包括外部監査の強い問題意識に基づく意見、あるいは指摘を踏まえ、将来に向かって、その運営方法及び学院運営のあり方について、抜本的な見直しが必要であると考えております。現在、知事の指示により、経緯を含めた実態調査が進行中でありますけれども、学院の現在の状況そのものについて、違法であるといった認識は全く持っておりません。

○高島委員 知事、いろいろと議論はあると思うんです。私どもも決して知事と敵対をするとか、そんなこと一切考えていないんです。与党第一党としてきちっと自覚をして、石原都政を支えていくんだという決意はだれ一人揺らぐ者はないと思っております。
 その中で、私どもはやはり議会の中でいろいろと、この予算特別委員会で議論があったとするならば、きちっと、正しいものは正しい、そのことを私どもはしっかりとこれからの百条委員会で頑張っていきたいと思っております。ぜひ知事も応援をしていただきたいな、そういう思いでございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、続いて踏切のことについてお伺いをいたします。
 皆さんもご承知かと思いますが、私どもの住んでいる足立区で大変悲惨な事故がございました。四名の方がおけがをなさって、そのうち二名の方がお亡くなりになった。心から哀悼の意を表する次第でございます。昨日、そのお一方のご葬儀がございました。ニュースにもなったと思っております。あわせて二名の方がまだ病院へ入っていまして、一日も早くお元気になって、元気な姿を私どもの前へ出していただきたい。その願いのもとで、この質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 三月十五日夕刻、東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切で、上り準急電車に女性四人の方がはねられ、死傷するという痛ましい事故が発生しました。地元住民は、二十年以上も前から竹ノ塚駅周辺の立体化を要望しており、私もその必要性をこれまでずっと訴えてきました。平成十三年に足立区が検討会を設置し、都や東武鉄道も含めた関係者間で、これまで立体化に向けた議論を七回も重ねてきたにもかかわらず、このような事故が起きてしまって、ざんきにたえません。
 都は昨年、踏切対策基本方針を策定しましたが、都市整備局長は、この事故をどのように受けとめているのか、また検討会の経緯、さらには東武鉄道の対応についてお伺いをいたします。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 このような痛ましい事故が発生いたしまして、私も事故直後の同じ時刻に事故現場に行ってまいりましたが、人為的なミスであると報道されているとはいえ、信じがたい思いであります。
 また、現場を見ての率直な感想ではございますが、歩行者や自転車への対策がまず重要ではないかと感じたところでございます。
 都は事故後、直ちに東武鉄道に対しまして、事故の再発防止について要請を行ってまいりました。東武鉄道は今回の事故を深刻に受けとめ、即日、踏切保安員を増員するとともに、引き続き早急に万全の策を講じていくと聞いております。
 足立区が設置しております検討会につきましては、ご指摘のとおり、踏切や沿線まちづくりの促進に向けて、これまで七回開催し、さまざまな検討を行ってきております。この中で、連続立体化案につきましては、引き上げ線も含め線路が最大で七本あることや、連続立体交差事業の採択要件を満たしていないことなど、物理的な面のほか、制度面、財政面などの課題があり、引き続き検討が必要であるとされております。

○高島委員 今回の事故は、マスコミにも大きく取り上げられ、社会的な問題になっております。地元では再度、鉄道立体化に向けた署名活動が始められております。さらには、足立区議会は昨日、最終日で、意見書も全会一致で可決をされ、大変な思いでいるとのことでございます。このような地元の声を都は真摯に受けとめるべきであると考えます。鉄道立体化の実現に向け、国や足立区に対する今後の都の対応はどう考えているのか、伺いたい。

○梶山都市整備局長 昨年六月に都が策定いたしました踏切対策基本方針の中で、竹ノ塚駅周辺を鉄道立体化の検討対象区間の一つに位置づけております。
 踏切対策の推進に向け、都はこれまでも国に対し、連続立体交差事業の採択要件の緩和や国庫補助金の確保などについて強く求めてまいりましたが、今回の事故の重大性にかんがみ、改めて国に対し要望を行ってきたところでございます。
 今後とも、足立区が設置する検討会の中で、鉄道事業者と連携しながら、道路と鉄道の立体化について、中長期的な視点から検討を進めてまいります。

○高島委員 鉄道立体化にはさまざまな問題があり、早期の実現は難しい、そういう思いは十分認識をしております。しかし、地元住民は一日も早い鉄道立体化の実現を願っており、今回のような事故を二度と、二度と起こさないという観点からも、立体化を含め竹ノ塚駅周辺の踏切対策を早期に実施すべきと考えます。
 都は今後、具体的にどのような対策を行っていくのか伺いたい。

○梶山都市整備局長 道路と鉄道の立体化につきましては、中長期対策として引き続き区が設置する検討会の中で検討を進めることといたしますが、まずは踏切の緊急対策を早急に講じる必要があると考えております。
 このため、都は、道路管理者である足立区、鉄道事業者である東武鉄道と竹ノ塚踏切事故対策会議を設置し、歩行者、自転車の安全確保を図る緊急対策の検討を開始したところでございます。今後、関係者と連携しながら、具体的な対策について早期に実施できるよう努めてまいります。

○高島委員 これで竹ノ塚の質問は終了しますけれども、何としてでももう一期当選をさせていただいて、しっかりと頑張っていきたいと思いますので、局長、とぼけたこといわないでお願いしますね。--はい、わかりました。
 次に、徴税努力について伺います。
 平成十七年度の都税収入見込み額は約四兆二千五百億円、前年度比八・四%増と、大幅に増加しましたが、景気の先行きは不透明であり、今後の都税収入の動向は決して楽観できません。
 このような中で、時代に即した新たな都民ニーズに的確に対応し、首都東京の活力再生など新しい財政需要にこたえていくためには、第二次財政再建推進プランにも挙げられているとおり、都税収入の確保が重要であります。
 都は、これまでも徴税努力に努め、徴収率の向上や滞納額の大幅な圧縮に成果を上げてきましたが、都財政の厳しい状況を踏まえ、税収確保の観点から引き続き積極的な滞納整理に取り組むべきと考えます。
 そこでまず、都が行ってきた滞納整理のこれまでの取り組みについて伺いたい。

○山口主税局長 都は、歳入の七割を占める都税収入の確保及び税負担の公平を図るために、迅速、的確な課税に努める一方、滞納整理に当たりましては、民間にならった目標管理手法の導入、差し押さえ、公売も辞さない攻めの滞納整理を行っております。
 また、新たに全都税事務所での自動車一斉差し押さえを行うとともに、差し押さえ物件をより高い価格で売却し、滞納圧縮を図るため、全国初のインターネット公売を導入いたしました。この三月には、那須、軽井沢などの土地を含む不動産二十三物件の公売参加申し込みを現在受け付けております。
 これらの取り組みによりまして、滞納額を平成六年度の四分の一に圧縮するとともに、都税全体の徴収率を平成七年度の九〇・二%から九六・一%に、約六ポイント引き上げました。都税収入約四兆円の一%は約四百億円に相当し、徴収率の六ポイントの上昇は、都の財政再建に大きく貢献したものと考えております。

○高島委員 今後、どのように滞納整理を進めていくのか、もう一回所見を伺いたいと思います。

○山口主税局長 都税全体の徴収率が過去最高に達する中、区市町村が区市町村民税とあわせて課税徴収をしています個人都民税の徴収率ですが、全国平均の九〇・八%に対しまして九〇・一%と、依然低い水準にございます。
 このため、都は、これまで培いました滞納整理のノウハウを生かしながら、区市町村から引き継いだ案件の直接徴収、都職員の派遣、研修生の受け入れなど、区市町村と連携し、その徴収率向上に努めてまいります。これにより、第二次財政再建推進プランに掲げた目標を着実に達成したいと考えております。
 また、三位一体改革で予定されております税源移譲等の中で、全国の自治体においても徴収率の向上が課題となっていることから、引き続き全国会議、徴収サミットを開催するなど、都のノウハウを全国自治体に提供してまいります。

○高島委員 今までの答弁をお聞きしますと、徴収率一%を頑張れば約四百億円という大変な数字が出てくるわけでございまして、いろいろとあらゆる方策を持って、さらに努力をしていただきますようお願いいたします。
 次に、都区制度改革についてお伺いをいたします。
 今定例会において、都区制度改革をめぐる五項目の課題について質問をしてまいりましたが、それは、この問題が平成十二年都区制度改革の積み残し課題であり、これを解決して初めて都と区が懸案を払拭し、分権時代における新しい連携分担関係を築くことができると考えたからであります。またそれが、都区の協力による首都東京の大都市行政への対応を確固たるものにする道筋であると思うからであります。
 そこで、これまでの質疑を踏まえて何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず、都区の役割分担の基本を確認しておきたいと思います。
 都区制度改革の意義は、区を基礎的自治体に位置づけ、市町村優先の原則を適用すること、さらに、都については府県事務を担うほか、従来あいまいであった、都が特別区の区域で一体的に処理する必要がある市町村事務については、一般的な市町村が行う事務の範囲に限定したことにあると思いますが、いかがでしょうか、見解を伺いたい。

○赤星総務局長 平成十二年の都区制度改革では、地方自治法の改正によりまして、新たに都と特別区の役割分担の原則が規定されました。
 この原則に基づきまして、特別区は、基礎的な地方公共団体として、住民に身近なサービスを実施いたしますとともに、都自身も、府県事務に加え、大都市の一体性を確保するために必要な事務を実施すべきことが明らかにされました。
 都が一体的に行う大都市事務について、地方自治法では市町村事務の範囲とされておりますが、これは一般原則を示したものでございます。
 都といたしましては、首都東京の将来を見据えつつ、膨大な行政需要への対応、特別区の区域で徴収される税収の大きさなどを踏まえましてその範囲をとらえるべきものと考えておりまして、今後、区と十分に議論してまいります。

○高島委員 次に、先日、都が特別区の区域において行う任意共管事務には、府県事務と大都市事務があるとの答弁がありました。
 都が区に示した内容によれば、道路関係や交通関係の事務がすべて大都市事務とされています。首都として、他に例を見ない集中がある東京の交通基盤の整備は、二十三区内の交通ということにとどまらない東京特有の行政課題だと思いますが、府県行政としての役割はないのでしょうか。
 また、私立幼稚園児保護者負担軽減事業、シルバーパスの交付、老人医療費助成等もすべて大都市事務であるということであります。これらの事務は、いうまでもなく都内市町村の区域でも同一の内容で都が実施しておりますので、当然、府県事務ということになるはずです。あわせて、ここまで大都市事務の範囲を拡大すると、二十三区の区域における府県行政はなくなってしまうのではないかと思います。
 多くの課題について一つ一つお聞きしたいところですが、一点だけ、小中学校の改築経費について伺いたい。
 さきの新潟中越地震の教訓として、避難拠点となる学校の耐震性の強化が重要な課題となっており、耐震強化を早急に進めることが重要です。さらに、特別区においては、今後二十年間に、建築後五十年を超える老朽建物が九百校に及ぶということもあり、計画的な学校の改築を急ぐ必要があります。先日の答弁では、財調の中で、今後必要とする額を毎年平準化して算定しているとのことでしたが、聞くところによると、その額は二十三区全体で二百八十億程度しかないということであります。必要な財源を措置されなければ対応できないと思いますが、見解を伺いたい。

○赤星総務局長 小中学校の改築に今後必要とされる経費でございますけれども、耐震補強を含めた額を毎年平準化し、都区財政調整の際の基準財政需要額として算定しております。
 その際、改築単価は、都の標準建物予算単価を基準に設定し、また、対象施設数は少子化に伴います児童生徒数の変動等を考慮して見込んでおりますが、改築単価や対象施設数のとらえ方などに都区間で相違がございますので、現在、協議を行っているところでございます。
 なお、小中学校の校舎等の公共施設の耐震補強でございますが、震災対策上重要でありますことから、今年度の都区財政調整の再調整におきまして、緊急防災対策経費として三百五億円を追加算定しております。

○高島委員 都も区も、東京をよくしていきたいという思いは同じであります。必ず一致点は見つかるはずです。今後の東京の発展のために、一刻も早くこの問題に決着をつけて、都区の連携、協力関係を確固たるものにしてほしいと考えます。
 知事は、記者会見のときに、いわゆる三位一体改革に関連して、国の最高責任者である小泉総理みずからが知事会と話し合う必要を述べられたようですが、この都区制度改革にかかわる問題については、知事ご自身が解決に向けて乗り出していただきたい。これが我々の思いです。
 残された期間はあと一年と迫っている中で、最終的な段階ではなく、できるだけ早い時期にぜひ知事に区長会の方々と話し合っていただきたいと思いますが、知事のご所見を伺いたい。

○石原知事 おっしゃるとおり、知事と区長さんたちが、時間もございませんが、できるだけ早急に話し合って、お互いに宿題を出し合う必要があると思うんです。
 私は、いつもいっていますけど、太政官制度以来続いている全国の四十七都道府県の区分そのものが非常に矛盾きわまりないものだと思いますが、東京を眺めても、二十三区の区分というのはいささか解せないというか、不自然というか、やっぱり問題があると思いますね。こういった問題を有識者も入れて一つの試案として出し合うことで、そういうものを踏み台にしながら、やはり都と区がどこまでの仕事を分かち合うかという議論が初めて成り立つんじゃないでしょうか。
 今の既存の二十三区の区分というのは、私は、非常に無理があるし、いろんな問題があり過ぎると思います。ですから、既存の区分の中でお互いに何をし合うかということも含めて、同時に仕組みを基本的にどう変えていくかということも、やはりこれからの大事な問題として討論の対象になりませんと、議論が議論で、互いに自分の権利の主張だけで終わるんじゃないかと思っています。それは、私はいつでも出向いてまいりますし、お互いに積極的に宿題を出し合うことが、東京の発展、あるいはそれを踏まえての日本全体の発展につながると思っております。

○高島委員 知事に大変ありがたいお言葉をいただきました。ぜひ積極的に区長会とお話をしていただきたい、その思いでございます。
 ましてもや、二十三区のあり方について大変突っ込んだご答弁をいただいたのはありがたいなと思っております。私ども都議会自由民主党は、二十三区内の議員が議連をつくっておりまして、このことについても積極的に議論をしていきたいという思いでございますので、ぜひ知事とも機会がございましたら、区長会と同様に私どもも大いにディスカッションしたい。そういう思いでございますので、よろしくお願いします。
 次の質問に移らせていただきます。次に、指定管理者制度について伺います。
 現在、東京都が管理委託を行っている公の施設約二百に対し、指定管理者制度導入のため、三十三件の条例の改正案が提案されています。
 条例改正されると、この春から夏にかけて、各施設における指定管理者の募集が一斉に実施されますが、幾つかの点について伺います。
 まず、指定管理者制度は、事業者の競い合いを通じて、公の施設のサービス向上と経費の削減を目的とするものであると聞いております。競い合うことにより、経費の削減につながることはよいことでありますが、行き過ぎは、いわゆる安かろう悪かろうではないですが、都民サービスの低下を招いてしまうおそれが危惧されますが、所見を伺いたい。

○赤星総務局長 指定管理者となります事業者の募集に先立ちまして、都はあらかじめ、それぞれの施設につきまして、サービスの水準を含みます管理の基準などを具体的に示すことにしております。
 応募する事業者は、これに基づきまして事業計画を立て、所要経費を見積もることになりますが、経費とともに、ご指摘のようなサービス水準の確保、向上を重要な要素といたしまして、総合的に評価し、選定することになります。

○高島委員 各局で行う公募においては、いろいろな事業者の参加が予定されます。その中には問題のある事業者がいないとは限りません。
 そこで、選定に当たってどのような方法で適切な事業者を選ぼうとしているのか。また、指定管理者による施設の運営が開始された後、指定期間中に都が定める管理基準に反して、適切でない施設運営を行った場合はどのような対応をするのか、あわせてお伺いしたい。

○赤星総務局長 適切な施設運営の確保についてでございますが、まず、事業者の選定では、募集に際しまして、経験や実績を記載した書類や財務諸表などの提出を求め、管理業務の遂行能力や経営の安定性をチェックいたします。これに加えまして、提案されました事業計画の実現可能性を確認、審査いたします。
 また、施設の運営に当たりましては、管理状況を的確に把握し、指定管理者が法令や協定に違反したり、利用者に対する適切なサービス提供を怠るなど、管理の基準に反することが明らかになった場合には業務改善を指示いたしまして、管理の適正化を期してまいります。
 なお、指定管理者がこの指示に従わない場合には、指定を取り消すことになります。

○高島委員 四月以降、実際に募集は開始されるが、それぞれの施設が全くばらばらの考えで対応しては混乱が生じかねません。二百もの施設に整然と指定管理者制度を導入するためには、都として統一的な手続を定め、進めていくことが必要と考えますが、所見を伺います。

○赤星総務局長 指定管理者の選定方法や指定期間など、全体に共通する基本的な考え方につきましては、都として統一的な取り扱いとなるよう事務処理の指針を作成しております。この統一的な指針に基づきまして、各局は、それぞれの施設の性格や目的に応じまして、指定管理者制度の円滑な導入を図ってまいります。

○高島委員 ところで、我が党の比留間幹事長の代表質問、また私の質問でも、文化施策についてお聞きをしましたが、文化施設では、どのような指定管理者制度を導入するか、所見を伺いたい。

○山内生活文化局長 都立の文化施設は、展覧会やミュージカルなど多彩な事業を展開しておりまして、多くの都民に親しまれております。
 指定管理者の選定では、展覧会などの提案内容が重要なポイントとなりますが、これらの開催準備には通常二年以上かかります。そのため、公平な競争を確保するためには、新たな参入事業者にも十分な準備期間を与える必要がございます。したがいまして、平成十八年度から三年間は、現在管理委託している東京都歴史文化財団を暫定的に指定管理者としたいというふうに考えております。
 その上で、二十一年度以降につきましては、本年二月に設置した東京都の文化施策を語る会での議論、提言を踏まえまして、十八年度に公募を実施したいと考えております。

○高島委員 過日、一般質問で私どももこの文化をご質問させていただきまして、また語る会のご答弁をいただいたわけでございます。
 また、指定期間を原則五年としていますが、一方で、その指定期間内は施設のあり方を大きく動かしにくいともいえます。福祉改革において、民間移譲を積極的に進める旨をうたっていますが、社会福祉関係施設の指定期間は、この福祉改革との関係でどう定めていくのか、所見を伺います。

○幸田福祉保健局長 現在、都は、平成十四年七月に策定いたしました方針、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてに基づき、利用者のサービス水準の確保など、条件整備を図りながら、都立福祉施設改革を進めております。
 今回の指定管理者制度の導入に当たりましては、お話のように、都立福祉施設につきましても、基本的な指定期間は五年と考えておりますが、都立福祉施設改革の着実な推進を図るため、早期に民間移譲を行う予定の施設につきましては、指定期間を三年にするなど、適切に対応していく考えでございます。

○高島委員 わかりました。三十三件も案件が出ておるわけですから、しっかりやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、地域防犯体制について伺います。
 近年、議会、警察、行政、地域等の緊密な連携のもとに、総力を挙げて犯罪に対処した結果、ここ二年、連続して犯罪件数が減少するなど、都民の体感治安はよくなってきております。
 こうした中、子育て中の親や会社を定年退職した人などが中心となった防犯ボランティアが、昨年だけでも三倍になったとの報道を目にしています。
 犯罪防止の中核は警察が担うのは当然のこととしても、地域の防犯組織の役割は少なくありません。とりわけ、都内各地域において既に防犯活動を続けている防犯協会や、町会、自治会の果たすべき役割は重要であると考えます。地域の安全・安心に最も関心を抱き、危機感を持って日々の防犯活動に真剣に取り組んでいるのは、こうした地域団体なのであります。
 私は、防犯協会や、町会、自治会など防犯ボランティアの力を積極的に活用することが、地域の防犯活動を活性化させていくために不可欠であると考えます。
 そこで、警察は、来年度にこうした地域の防犯活動組織を、どのように連携を図り、またどのような支援を行っていくつもりなのか、警視総監に伺いたい。

○奥村警視総監 犯罪の発生を効果的に抑止するためには、警察と地域の方々との連携が不可欠であると私どもは考えております。
 現在、都内の防犯ボランティア団体は約千七百ございますが、十万人以上の方々に防犯パトロールや街頭キャンペーン等の防犯活動を活発に行っていただいておりまして、地域の犯罪抑止に大きな力となっております。
 警視庁といたしましては、こうした防犯パトロールや街頭キャンペーンをボランティアの方々と合同で実施するなど、防犯ボランティアの皆様方との連携に努めているところでありますし、また、地域の方々による取り組みへの支援といたしまして、犯罪発生の状況や防犯対策等の情報を積極的に提供いたしますとともに、活動に必要なユニホームや腕章を貸与する、あるいはボランティア保険への加入に際しまして、助成金を出すといったことを行っておるところであります。
 このほか、地域の防犯リーダーを育成するために、各警察署におきまして、防犯ボランティア団体の責任者や指導者を対象といたしましたリーダー研修会を実施するなどいたしておりますが、今後とも、こうしたさまざまな形での地域の方々との連携や支援をさらに強めてまいりたいと考えております。

○高島委員 一方、犯罪防止や治安の回復に、地域の警察活動の拠点となる交番や駐在所の役割は重要であります。犯罪の多様化、複雑化、広域化などを反映して、機動的なパトロールが重視され、一部の交番に警察官が不在の状況が見られるようになっております。いわゆる空き交番問題ですが、十七年、増員を要求している警察官や警察官OBである交番相談員の増員によって、空き交番対策はどのように進められるのでしょうか、伺いたい。

○奥村警視総監 空き交番対策への取り組みについてでありますが、交番に警察官が常駐いたしますためには、一交番当たり一当務二人以上の警察官の配置が必要となりますので、一人勤務の交番のうちで、一一〇番や事件、事故等、警察事象の多い交番につきましては、増員する警察官を重点的に増強いたしまして、二人以上の配置になるようにしてまいります。
 一方、一人勤務の交番で、警察事象の少ない交番につきましては、交番相談員を毎日二人配置いたしまして、時差出勤により、早朝から夜間まで、できる限り長時間在所させてまいります。
 今定例会におきまして、警察官並びに交番相談員の増員をお認めいただきましたならば、こうした考え方を基本といたしまして、現在、約百九十カ所ある空き交番を、約八十カ所に減らすことができるものと考えております。
 今後とも、さらに空き交番を解消するため、警察官と交番相談員の体制強化及びその効果的な配置運用に一層努めてまいりたいと考えております。

○高島委員 ありがとうございました。
 ぜひご許可させたいという思いで一生懸命質問をさせていただいておりますので、ぜひご理解をしていただきたいと思います。特に、東京都民のアンケートをとると、一番に出てくるのは、やっぱり治安対策、安全・安心のまちでございますので、なおさらに、警視総監を中心に、警視庁の活動、活躍を期待しておりますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、救急救命活動について伺います。
 つい先日、大阪府で開催された市民マラソンのレース中、心臓停止で倒れた男性ランナーが、自動体外式除細動器を、いわゆるAEDを使用した救命活動により一命を取りとめたニュースは、記憶に新しいところです。
 救命活動は一刻も早く開始することが原則ですが、特に高い救急性を求められているのが心臓停止による突然死への対応です。心臓停止状況で倒れた場合、心臓に電気ショックを与えて、心臓本来のリズムに取り戻す処置が重要です。この処置が早ければ早いほどよく、処置を行うまでの時間が一分おくれるごとに、蘇生率は七%から一〇%低下するといわれています。
 近年では、心臓の状態を自動的に判断して電気ショックを与えるAEDという装置が開発されており、高い救命効果を上げているようです。
 昨年、厚生労働省は、従来、医師や看護婦、救急救命士のみ認められていたAEDの使用を、非医療従事者にも解禁しました。早速、十七年度の都の重点事業として、このAEDを使用した救命活動の充実を取り上げられたことは、大変評価しております。
 そこで、まず、確認の意味も含め、従来の医療従事者に限定されていたAEDの使用を、今般、だれでも使用可能にしたのはどのような考え方によるのか、所見を伺いたい。

○幸田福祉保健局長 自動体外式除細動器、いわゆるAEDの使用につきましては、医療行為であるため、従来は、患者の安全を確保する観点から、医師または医師の指示を受けた救急救命士や看護師などの医療従事者が実施してまいりました。
 しかし、救命率の向上のためには、その場に居合わせた者がAEDを使用して、一刻も早い救命処置を行うことが重要であることや、AEDについては、専門知識のない者でも操作ができ、また誤作動しないなど、機器の安全性、信頼性などについて評価が確立されてまいりましたことから、昨年七月、国は、医療従事者以外にもAEDの使用を認めることとしたものでございます。

○高島委員 そこで、AEDの使用が解禁されたことを踏まえ、救急救命士だけではなく、救命現場に先着する可能性の高い消防隊員が救命処置を行えるよう、機材の配置や研修を行うことが重要であります。また、都民の方々へのAEDの使用の知識や技術及び機材の普及もあわせ、東京消防庁はどのような取り組みをしているのか、所見を伺いたい。

○白谷消防総監 消防職員はAEDを使用する可能性が大変高いことから、救急救命士を除くすべての職員がAEDを使用できるよう、所定の講習を受講いたしました。
 あわせまして、平成十七年度中には、全消防署、消防出張所にAEDの配置を計画しており、直近のポンプ隊等がいち早く救急現場に急行し、AEDを活用したより迅速、的確な救命処置を実施してまいります。
 さらに、都庁舎を初め、江戸東京博物館、上野動物園等の都の施設や、すべての区市町村にAEDを配布いたしまして、救命効果の向上を図ってまいります。
 また、都民の皆様への普及啓発につきましては、本年一月から救命講習のカリキュラムにAEDに関する項目を加え、既に約三万人の方々に受講していただきました。
 今後も、より多くの都民がAEDを使用できますよう、応急手当ての普及啓発をなお一層推進してまいります。

○高島委員 総監がきちっとお答えいただいたので、間違いないと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 さらに、各種スポーツ大会や公共交通機関など、さまざまな場面で都民の健康を守ってくれている医療関係者の理解も非常に重要であります。都として、関係団体と協力して普及啓発を行っていくべきと考えますが、所見を伺いたい。

○幸田福祉保健局長 AEDを普及啓発するためには、お話のように、医療関係者の理解が重要であり、また、さまざまな医療関係団体が主体的に取り組むことが望まれます。
 既に、東京都医師会では、会員向けの講習会を初め、一般都民を対象に、AEDに関する知識と理解を深めるための公開講座を開催するなど、自主的な取り組みを実施しております。
 今後、都としても、救急の日などさまざまな機会をとらえまして、医師会や看護協会などの関係団体と連携しながら、AEDの普及啓発に努めてまいります。

○高島委員 この質問はこれで終わるわけですけど、この機会に、施設管理者や病院の関係者だけではなく、都庁の職員すべてが、この使用法を含め、救命活動の知識を持ってほしいと考えております。このことにより、都民の意識向上にもつながるものと考えます。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいことを要望して、次の質問に入らせていただきたいと思います。
 次に、教育問題について質問をいたします。
 私が小さいころ、算数の九九は丸暗記でした。この当時の詰め込み教育は、今思えば、社会で生きる上で非常に役立っています。知事も本定例会の所信表明で、ゆとり教育の弊害に国もようやく気がついた、遅きに失したとの発言がありました。児童生徒の学力向上のためには、特に義務教育段階では、徹底的に基礎、基本をきちっと学ばせる必要があると考えますが、教育長の見解をお伺いしたい。

○横山教育長 近年、小中学校で学ぶべき基礎、基本的な学習内容を十分に身につけていない、こういった実態がございまして、このことが、その後に続きます高等学校、大学、企業、ひいては日本国家のありようにまで影響を与えている、こういう指摘が多くの識者によってなされております。
 こうした指摘は、まさに我が国の義務教育のあり方を根本から問い直すものでございまして、基礎、基本の確実な定着は焦眉の課題でございます。
 こうした認識のもとで、都教育委員会としましては、常に児童生徒の学力の実態を把握する必要がある。このため、学力調査を全小中学校で実施しまして、その分析に基づきまして、習熟の程度に応じた少人数指導や個別指導、あるいは繰り返し指導などの指導方法の工夫、改善を図りまして、基礎的、基本的な学習内容の確実な定着に努めているところでございます。
 今後とも、義務教育におきます基礎、基本の確実な定着を目指しますとともに、義務教育こそ国づくりの根幹にかかわることであるという認識を一人一人の教員が持ちまして、子どもの指導に当たることができますよう、果敢に教育改革を進めてまいります。

○高島委員 私は小学校のころ、担任の吉田先生という女性の方が一生懸命この九九を教えてくれたんですね。学校が、授業が終わって放課後、何人も並ばしちゃ、一人ずついうんですね。そのことが、私は小さいころは嫌だなと思っていた、でも、そのことの力で、私は今、電卓を使わなくともある程度の暗算もできたり--九九を丸暗記した、そのことを私はすごく大事なことだと思っているんです。ぜひこれからも、基礎、基本をしっかり、あすの東京、日本を支える子どもたちのために、がっちり教えていただきたい、心からお願いを申し上げます。
 その私が小学校のころは、一学級五十人以上であったと記憶していますね。こうした中で、教師は一人一人の子どもたちを大切に、授業に工夫を凝らし、また、私たちはさまざまな場を通してお互いに協力し合うことを学び、意見が異なるときは、どのように共通点を見出すかなど、協調性や社会性を養ってきたと考えます。まさに師弟同行の日々を過ごし、人間として生きていくことの意義を学んだのであります。
 今、ある会派からは、子どもたちの学力を伸ばす最善の方法を実現するためには、三十人学級にすべきであるという主張を聞きますが、これは全く、全く見当違いであります。この間の議会答弁にもあるように、三十人学級よりは、一定の生活集団を維持しつつ少人数指導展開をする方が、効果的であることは明らかであります。一学級が四十人でも、すぐれた教員の指導力があれば、子どもたちの学力や社会性が身につくことも十分、心配ありません。このことに関して、改めて教育長の見解を伺いたい。

○横山教育長 児童生徒に、確かな学力とともに豊かな社会性を身につけさせるためには、義務標準法で定めます、四十人を上限とした現行の学級規模を有効に活用した指導を進めることが大切であると考えております。
 そうした中で、学力につきましては、通常の学習形態の基本でございます一斉指導とあわせまして、理解度に差のあらわれやすい教科につきましては、習熟の程度等による少人数指導を複数の教員が協力して実施し、児童生徒にわかる授業あるいは楽しい授業を行い、確かな学力を身につけさせる上で成果を上げております。
 また、社会性につきましても、現行の学級規模における指導を通して、児童生徒が互いに切磋琢磨し、望ましい人間関係や、規範意識、協調性などの豊かな社会性を身につけるなどの成果を上げております。
 今後とも、現行の学級編制基準のもとで、学級の持つ機能を通して培われる教育効果を高めることができる、指導力のある教員の育成に努めてまいります。

○高島委員 今でも私は、生まれ育った足立区でずっと住んでいるんですね。あのときの、五十人学級の中で勉強したり、騒いだり、いろんなことをした友達、幼なじみが、今でも私たちの町にいるんです。そして、いろんなことで議論し合ったり、楽しいことをしたりしているんですね。私は、このことについては、今教育長がいったように、しっかりやっていただきたい。
 ある会派は、都教委の入学式、卒業式等における国旗・国歌の指導は強制であり、世界的に見ても異例であるといっていました。果たして本当に異例であるのか。世界の国々の中で、自国の象徴である国旗・国歌を尊重せず、辱める国がどこにあろうか。世界じゅうを見れば、学校で毎日、国旗を掲揚し、国歌を正確に歌えるよう指導している国もあります。自国の伝統や文化を尊重しない国がどこにあるのでしょうか。
 戦後、日本では、それまで脈々と培ってきた日本人としての美徳やアイデンティティーなどが、戦後処理の中で否定された面もあることは否めません。問題なのは、日本のよき伝統までさえも否定する教育を行うようになり、これが結果的に一億総無国籍人を生み出す結果となった事実であります。
 今こそ、日本人として、自国や郷土を愛する教育に転換すべきと考えますが、教育長の見解を伺いたい。

○横山教育長 文部科学省所管の日本青少年研究所が行いました、日本、アメリカ、中国の高校生を対象とした意識調査によりますと、自分の国に誇りを持っていると答えた日本の高校生は約五一%、アメリカの七一%、中国の七九%に比べまして、著しく低いという結果が出ております。
 こうした日本の子どもたちの国や郷土を愛する心の欠如につきましては、これまでも中央教育審議会で論議をされ、学習指導要領にも、国際社会に貢献し、未来を開く主体性のある日本人を育成することが示されております。
 このため、都教育委員会としましても、平成十三年度に、我が国の歴史や文化を尊重し、国際社会に生きる日本人の育成を教育目標に明確に位置づけまして、日本人としてのアイデンティティーを育てる教育の充実に努めてまいりました。
 今後、日本の伝統・文化理解教育推進会議を設置しまして、伝統・文化に関する都独自の科目を開発しますとともに、都内公立学校六十校を推進校に指定しまして、郷土の文化や伝統芸能などの学習について研究開発を行いまして、これらの成果を普及啓発するなどしまして、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りをはぐくむ教育を推進してまいります。

○高島委員 今、教育長のご答弁がありました、この日本青少年研究所というデータも、私も実は持っておりまして、これで実は何点か質問しようとしたんですが、教育長、十分おわかりでございますので、このことについては省かせていただいて、都教委は、昨年、卒業式、入学式等における通達を出し、学校現場の国旗・国歌の正常化に取り組み、国旗・国歌の指導が適正に行われたことを高く評価いたします。
 ここで注目したいのは、昨年の春の卒業式、入学式は、学校内の教員の不起立などによる混乱は一部にありましたが、国旗が舞台正面に上げられ、国歌斉唱が全都立学校において実施されたことです。
 しかしながら、この春の卒業式は、昨年の春と比べ、異常な事態となっています。多くの都立学校の卒業式には、左翼系の団体と思われる外部勢力などが、卒業式当日、高校の正面まで押しかけ、国旗・国歌反対ビラなどを配り、多様な反対運動を展開していると聞いています。
 こうした中で、都立二校において、運動団体に所属していると思われる者が逮捕されたことが新聞報道されております。各学校では毅然とした態度で対応を行ったと聞いていますが、改めてこのことに関する教育長の所見をお伺いしたい。

○横山教育長 昨日ですべて終了しました都立学校の卒業式では、ごく一部の教員に不適切な行動があったものの、いずれの学校におきましても、学習指導要領に基づき、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、児童生徒にとって人生の節目となる記念すべき式典となりました。
 お話のように、多くの学校におきまして、国旗・国歌に反対する部外者が学校に押しかけるなど、卒業式の円滑な実施に支障を来すおそれが生じましたが、校長初め教職員が一体となり、毅然と対応したことから、卒業式自体には影響はなく、整然と実施されました。
 このことは、厳しい状況の中にありましても、児童生徒の心に残る卒業式を実施したいという、校長を初めとした多くの教職員の熱い思いから、一致協力して取り組んだものであると、つい数年前までの実態を考えますと、私自身、非常に胸に熱いものが込み上げてくる思いでございます。
 このような取り組みは、都立学校が、都民から信頼される学校に向けて確実に変わりつつある、この一つの証左であると考えております。

○高島委員 教育長の胸の熱くなる思いのご努力、さらには都教委の大変な情熱に、心から敬意を表する次第でございます。
 実は、きょう、私は午前中、地元の小学校の卒業式に行ってまいりました。十時から始まったんで、実はその式次第なんですが、この式次第どおり、敬礼をして、開式の辞があり、国歌斉唱があり、そして区歌--これは東京都歌じゃないんですよ。足立区歌だね。区歌がございました。そして校歌、学校の歌を歌いました。もちろん、壇上には日の丸が飾ってあり、大変心打たれる卒業式でございました。
 そこで、私は、実はこの予算委員会の質問があるので、途中、失礼をして退席して、学校の外へ出たらば、どなたか知りませんが、老齢というのかな、おばさま二人が、ちょうど日の丸を見ながらしゃべっているんですね。何をいうかといったらば、日の丸を焼くような人は日本人じゃないから、どっかの国へ行っちゃえばいいのよね、こうしゃべっていました。
 私も思わず、そうですね、おっしゃるとおりだ、私も都会議員で、きょう、そのことについて質問するんですよといったらば、そのおばちゃんが何をいうかと思ったら、石原知事によろしくお願いをしてくださいと、こういっておりました。これは作り話でも何でもない、まことの話なんです。
 そういう本当に素直な思いを持っている多くの方たちが、今、都教委に対して大変な期待をしております。私どももしっかり頑張りますけれども、なおさらに力強く推進していただきたい、このことをお願い申し上げます。
 次に、近年における地域社会の結びつきの希薄化は、子どもたちのコミュニティ活動や社会への参加の意識を低下させるという結果を招いています。私も常々、地域、家庭の教育力の低下を憂いております。
 しかし、私たち地元の足立区では、日ごろから地域の方々が協力して、学校を支援したり、町会等が中心となって、さまざまな地域伝統的な行事を行い、自然に子どもたちに社会のルールを教えています。
 この背景には、下町独自の豊かな人情や地域の文化があります。夏には祭りがあり、正月には七福神めぐりがあり、消防の出初め式など、日ごろから地道な地域の活動なくしては成り立ちません。このような、従前から続いている足立区のような地道な活動について、教育長はどのようにご評価なさっているか、お聞きしたい。

○横山教育長 地域は、その子どもたちの集団的な活動や、あるいは体験的な活動ができる場でございまして、地域行事にかかわりますことは、子どもたちにとって、地域における共通の文化や価値観を共有するための貴重な機会でございます。
 足立区では、地域の方々と子どもたちが協力して、学校花壇や通学路に花を植える花むすび活動などの地域教育サポートネット事業に先進的に取り組みまして、大きな成果を上げていることは、広く周知されているところでございます。
 このことは、お話のように、日ごろから地域の地道な活動が原動力となっているものと高く評価いたしておるところでございます。

○高島委員 仕事もありながら、家庭を持ちながら、地域のために一生懸命頑張っている人たちがいっぱいいるんですよ。そのこともぜひ忘れずに、どんどんバックアップしていただきたいとお願いをいたします。
 教育では、最後の質問でございます。教育をめぐっては、家庭の教育にも問題があり、このことをいま一度見詰め直す必要があると考えます。性差、男女の差による役割分担を余り固定的にとらえることはいけませんが、これまで家庭においては、従来、母親が子どもを温かく包み込む教育を行い、父親が子どもを厳しく教育するなど、極めてバランスのとれた家庭教育が行われてきたと考えます。
 現在は、家庭において父親の権威は喪失し、そのことが社会の問題を生み出していると認識しています。
 私は、子どものころから、父親の背中を見てきょうまで育ってまいりました。私にどなたかが、おまえの尊敬する人はだれだ、だれがライバルといわれたらば、素直に、率直に、父親だと私はいえます。その思いの中で、この家庭教育は大変重要な私は課題だと思っております。知事のご所見をお伺いしたい。

○石原知事 男と女のかかわりといいましょうか、相関関係のバランスが大分時代の変化とともに変わってまいりまして、私は、あくまでも男女は同権であると思いますけれども、決して同質ではないと思いますが、そこら辺の混乱というものが家庭にも及んでいまして、高島さんがさっきいわれたみたいに、子どもに、将来どんな人になりたいかと男の子に聞けば、お父さんみたいな人になりたい、どんな人のお嫁になりたいかといえば、お父さんみたいな人にお嫁に行きたいと。ところが、このごろは母親が子どもをしかるときに、おまえ、そんなことをしたらお父さんみたいな人になるよ、こういわれれば、やっぱり父親の立場というのは非常に家庭で希薄になるわけでありまして、そこら辺の取り違えというものは、やっぱり私は是正していかなくちゃいけないと思います。
 やはり、母親は胎内に子どもを宿して、本当に自分の分身として生み出す。ですから、子どもを本当に包むようにかわいがるというのは当然でありますが、同時に、やっぱり、子どもがある年齢に達したときには、自分の兄弟もそうでありまして、まして、保育園に行く、幼稚園に行く、小学校に行けば、ほかの子どもとのかかわり、他者とのかかわりでいろいろな摩擦が起こります。それにいかに対応するか、いかに耐えるかということを教えるのは、父親の私は責任だと思います。
 私は、自分の子どもの三番目が小学校でいじめられたと聞いて、相手にいかにけんかをして勝つかということを教えました。それが非常に効果を奏して、いじめられなくて、息子の方がそこのクラスの番長になったわけでありますけれども、私はやっぱり、それは決して父親として逸脱じゃなしに、私は私なりの子どもに対する人生の役割を果たしたと思っております。
 そういう父親を、私たち、やはりこれからサポートし、自信を持って、家庭における父親としてのしつけというものを十全に父親が果たすような精神的な環境づくりというものをやはりしていきたいなと思っております。

○高島委員 全く知事のいうとおりなのかなと思います。私も、議員である前に人間であり、人間である前に--家庭人だと。私も父親でございます。私自身も肝に銘じて、今、知事の答弁を聞きましたので、頑張りますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、我が党として積極的に推進していくべき幾つかの福祉保健医療施策について伺います。
 まず、高齢者対策についてです。
 二〇一五年には、いわゆる団塊の世代が六十五歳の高齢者となり、二〇二五年には後期高齢者と呼ばれる七十五歳以上となって、介護や医療のリスクが急激に高まることが予想されています。こうした超高齢社会を目前に控え、介護保険制度は、予防を重視する仕組みに改めるなど、大変な見直しが予定されています。
 そこで、こうした介護保険制度の改正を踏まえ、都として、福祉、保健、医療が一体となった高齢者対策全般についてのビジョンの改定に着手すべきと考えますが、所見を伺いたい。

○幸田福祉保健局長 超高齢社会を目前に控え、都民の健康寿命の延伸や高齢者の自立した生活の支援に向けて、介護保険制度が抜本的に改正されようとしている今、高齢者対策全般のビジョンの見直しが求められております。
 こうした点も踏まえまして、都は、来年度早々にも、高齢者対策の総合的な計画であります東京都高齢者保健福祉計画の全面的な改定に着手する予定でございます。改定に当たりましては、福祉、保健、医療の施策の一体的な展開により、健康づくり、疾病予防の観点も含めた介護予防の推進や、地域で安心して暮らし続けられるケア体制の確立など新たな課題にも的確に対応した計画となるよう、幅広く検討してまいります。

○高島委員 次に、子育て支援について伺います。
 最近、子どもが犯罪の被害者になる事件が目立っており、子どもの安全確保がますます重要な課題になっております。都民の都政への要望も、平成十六年は治安対策がトップになっています。こうした点から、我が党の提案を受け創設した次世代育成支援緊急対策総合補助制度に位置づけられた、青少年の安全な居場所づくりを進める放課後の拠点整備は、極めて重要な施策だと思います。
 そこで、本制度は、区市町村が活用しやすく、新年度早期から円滑な執行ができるようにすべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いしたい。

○幸田福祉保健局長 次世代育成支援緊急対策総合補助制度は、ショートステイなど在宅サービスの充実や青少年の安全な居場所づくりなど、区市町村が行う子育て環境の整備を幅広く支援するための緊急対策として創設するものでございます。区市町村が本制度を活用して基盤整備を行っていくためには、お話のように、活用しやすく、また、速やかな取り組みを可能にしていくことが重要でございます。
 そのため都は、これまで制度の趣旨や概要について説明会を開催し、さまざまなご意見をいただいてまいりました。また、今月末には要綱案を提示し、早期に区市町村からのヒアリングを行う予定であり、今後とも区市町村の意向を十分に踏まえながら適切に対処してまいります。

○高島委員 あと何点か質問をさせていただくんですが、次に、生活保護制度について伺います。
 先日、我が国の生活保護受給世帯が、制度発足以来初めて百万世帯を突破したという新聞報道がありました。これを東京で見ますと、約十四万世帯、人口千人当たり十五人に達しており、これは十年前の約二倍の人数に当たります。私の地元足立区では、生活保護費は約三百四十億円となっており、福祉関係予算額の実に四割を占める状況に至っております。自立への意欲を持ちながら現状に甘んじている世帯もあり、受給世帯の増加につながるとしたら、早期に改善を図っていく必要があります。
 そこで、都は、昨年七月、自立支援に向けた取り組みの強化を内容とした生活保護制度改善に向けた提言を国に提案しましたが、その際、我が党が強く要望した教育扶助の高等学校までの拡大についてはどうなっているのか、伺います。

○幸田福祉保健局長 都は、昨年七月、生活保護制度改善に向けた提言を取りまとめ、被保護者の自立を一層促進するという観点から、国に対して生活保護制度の見直しを積極的に働きかけてまいりました。こうした都の提案も踏まえまして、国は、来年度から、これまでの経済的給付中心の生活保護制度を、自立支援を重視する制度へと大きく転換することとしております。
 お話の教育扶助の適用範囲の拡大につきましても、被保護世帯の自立支援という観点から、高等学校などの就学に必要な授業料、学用品、交通費などが、来年度から生業扶助として新たに給付の対象となります。

○高島委員 制度発足以来半世紀が経過し、いわば制度疲労を来していた生活保護制度について、都の提案要求によって国が動いたことは、都の成果だと思います。
 さて、我が党は、国制度の改善要望だけではなく、国に率先して、都みずからができるものは積極的に対応策を講ずるべきと要望いたしました。
 そこで、我が党の要望を受けて既存の施策を再構築した、被保護者自立促進事業のねらいについて伺いたい。

○幸田福祉保健局長 被保護者自立促進事業は、現在、使途を定めず一律に現金を給付している見舞金支給事業を、被保護世帯の自立への取り組みを促すため、抜本的に再構築するものでございます。
 この事業では、就労自立への意欲を持つ被保護者が求職活動を行う際に必要となる衣服などの購入費や、高齢者の社会参加や健康増進などに要する経費など、自立支援のための経費を支給対象とすることとしております。
 都としては、より多くの被保護者が自立できるよう、来年度から導入される被保護世帯の自立支援プログラムの実施に当たりましても、区市が本事業を積極的に活用していくよう働きかけてまいります。

○高島委員 私は、生活保護制度見直しは、腰を据えて取り組むべき大きな政策課題であると考えます。都としても、区市と連携し、今後とも積極的な取り組みを行っていくよう、強く要望しておきます。
 これまで福祉施策について伺ってきましたが、都は、福祉改革推進プランやSTEP2によって、我が党とともに福祉改革に全力で取り組んできた結果、さまざまな分野で大きな成果が上がってきております。これらのプランは今年度が最終年度となっています。これまでの取り組みを一層推し進めるため、平成十七年度以降の改革の取り組みについて新たな方向性を示すべきと思いますが、所見を伺いたい。

○幸田福祉保健局長 都は、これまで、利用者本位の新しい福祉の実現を目指し、福祉改革に全力で取り組んでまいりました。その結果、平成十二年から五年間で、認知症高齢者グループホームは定員四十四人から二千八十五人へと四十七倍、知的障害者グループホームは七百六十二人から千六百四十五人へと二・二倍になり、都独自に創設した認証保育所も約三年間で二百五十二カ所となるなど、さまざまな分野で着実な成果を上げております。
 こうした改革を一層推し進め、東京の福祉水準全体のさらなる向上を図っていくために、来年度、福祉改革の新たな方向性を示していきたいと考えております。

○高島委員 ぜひ頑張っていただきたい。そのことをお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備等事業について伺います。
 この事業はPFI手法による事業実施が進められており、今回、平成十七年度予算案に債務負担行為の限度額として二千七百六十四億円が計上されています。施設整備費だけでも約七百億円、運営費は十五年間にわたり毎年約百四十億円が投資され、雇用機会の提供や地元企業の育成など、多摩地域の振興につながるものとして、我が党としても大いに期待をしているところであります。
 しかし、今回の事業では、都は建物を完成直後に買い取る点や、医療事務や清掃等の医療周辺事務は包括的に事業者に委託する一方で、事業の中心である医療行為は都が担うという点に特色があり、いわば日本版PFI事業という観があります。
 そこで、なぜこのようなPFI事業のスキームを採用したのか、その理由を伺いたい。

○押元病院経営本部長 今回のPFI事業では、完成直後に都が建物を買い取り、所有する方式を採用いたしましたが、これは、固定資産税などがかからず経費削減効果が高いこと、また、施設基準の変更などに応じて弾力的な改修が可能であることなどの理由によるものでございます。
 また、業務については、医療法上、医療行為は株式会社に委託できないことを踏まえまして、医療周辺業務などを長期にわたり包括的に民間事業者に委託し、その創意工夫やノウハウを最大限活用いたしますことで、患者サービスの一層の向上を図ることとしたものでございます。

○高島委員 医療需要の変化への柔軟な対応や、医療法による制限を踏まえ、一方で公営企業としての効率性を追求するため、さまざまな工夫をして都が病院事業にPFI手法を導入しようとしていることはよくわかりました。
 ただし、三百六十五日二十四時間稼働する病院を長期、安定的にPFI事業として運営していくためには、医療を担う都と医療周辺業務を担う事業者との密接な連携体制の構築が必要不可欠です。意欲と能力のある、しっかりした事業者を選定することが、本事業の最も重要なポイントとなります。
 そこで伺いますが、PFI事業選定は、どのような方法で行うのでしょうか。

○押元病院経営本部長 PFIの事業者選定は、単に価格面だけではなくサービスの提供水準もあわせて評価をいたします総合評価一般競争入札の手法で行うこととしております。これには二段階での審査を予定しておりまして、第一段階では委託業務を統括する能力や事業に対する意欲などを審査し、第二段階では具体的な業務内容や実施体制などを総合的に評価するものでございます。
 審査に当たりましては、医療、PFI制度、法律、建築といった分野の専門家など外部の有識者を含めました事業審査委員会を設置いたしまして、公平性、透明性を確保してまいります。

○高島委員 大変ありがとうございます。外部委員も含めた審査委員会が事業者を選定するとのことですが、事業者の能力と提供されるサービスの質を十分見きわめ、本事業に最もふさわしい事業者を選定していただきたい。
 この事業は、医療の拠点というだけではなく、多摩地域のランドマークとなるような施設として、ぜひとも成功をおさめ、国や他の自治体の範となるような事業にしていただきたい。そのことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 次に、東京の都市基盤の耐震対策について伺います。
 先月、中央防災会議が公表した首都直下地震の被害想定の大きさにより、都民の震災対策への関心がますます高まっています。振り返れば、阪神・淡路大震災では、高速道路の倒壊や橋げたの落下など道路の致命的な損傷により、市民の安全な避難や迅速な救命・救急活動に重大な支障を来し、被害を拡大する要因の一つになりました。このため道路の耐震性の向上、中でも橋梁の耐震対策は極めて重要であります。
 そこで、まず、橋梁の耐震補強について伺います。
 都は、阪神・淡路大震災後に改定された基準により耐震対策を行ってきておりますが、基準改定後初めて阪神・淡路大震災と同クラスの最大震度である震度七を記録した新潟中越地震に対して、その基準による対策が有効であるのか、伺います。

○岩永建設局長 土木学会の調査団によります新潟県中越地震での橋梁の被害報告の中で、耐震補強された構造物は地震後も所定の性能が保持されており、現行の耐震対策が効果を発揮したことが確認されております。
 また、これを踏まえまして、今回の中央防災会議の被害想定では、現行の耐震補強を講じた橋梁におきまして、落橋、倒壊に至る大被害の発生は想定しておりません。
 こうしたことから、都が現在実施しております橋梁の耐震対策は、新潟県中越地震クラスの地震に対しても十分有効であると考えております。

○高島委員 現在の対策は有効であることがわかりました。今後とも大いに対策を進めることを期待をいたします。
 ところで、さきに公表された中央防災会議による首都直下地震の被害想定では、最大で負傷者の数は二十一万人と想定されており、さらに都内の国道、都道の橋梁における大被害は約十橋と見積もられております。住民の速やかな避難や迅速な救命活動の展開に不可欠な橋梁の耐震対策の手を緩めることはできません。
 都の耐震対策は、特に防災上優先度の高い環七、環八、尾久橋通りなど第一次緊急交通路の橋梁については既に完了しており、現在、第二次緊急交通路の対策を進めていると聞いております。東京の防災性向上のため、二次交通路の耐震対策を効果的に進めるべきと考えますが、見解を伺いたい。

○岩永建設局長 第二次緊急交通路は、一次交通路と一体となりまして東京の防災上のネットワークを形成しており、迅速な救命・救急活動と早急な復旧・復興活動に資する重要な路線でございます。
 このため、二次交通路の耐震対策は、お茶の水の聖橋など鉄道をまたぐ橋梁や、運河、河川にかかる橋梁に重点を置きまして、順次実施しております。今後とも、防災ネットワークの形成に向け、橋梁の耐震対策を積極的に進めてまいります。

○高島委員 次に、都民生活や都市活動に極めて密着した港である東京港の耐震対策について伺います。
 都民の食卓に並ぶ食材の多くが東京港で輸入されています。例えば、全国の輸入量のうち、エビは五割、肉類では四割が東京港で取引されるなど、都民の日々の食生活を支えているのです。さらに、生活関連物資が、東京港の取り扱っている輸入貨物の六割を占めています。こうした東京港の岸壁が地震などで大きな被害を受けることになれば、都民生活への影響ははかり知れないものがあります。
 このため東京港も、現在、阪神・淡路大震災を踏まえ、新しい耐震基準で地震に強い港湾の整備を進めていると聞いていますが、その中でも、私は、直下型地震などにも耐え得る耐震強化岸壁の整備が特に重要だと思っております。
 そこで、非常時にも救援物資や海外からの貨物を扱うことのできる耐震強化岸壁の計画と整備状況がどうなっているか、伺いたい。

○成田港湾局長 東京港の耐震強化岸壁は、現行の港湾計画におきまして緊急物資の輸送に対応するものとして十四バース、また、国際コンテナ物流を維持するものとして四バース、合わせて十八バースを計画しているところでございます。このうち十三バースについて既に整備を完了しており、進捗率は七二%となっております。

○高島委員 首都直下型地震に関する調査報告では、東京港が位置している東京湾北部を震源とする地震の切迫性が最も高いとされており、こうした耐震強化岸壁の早期整備が求められているところであります。
 さらに、もしこうした直下地震が起これば、東京の市街地は甚大な被害を受け、百兆円も超えるという被害想定がなされております。こうした調査報告を見ると、発災時における救援対策として、海上からの物資輸送を担う東京港の役割が一層重要になると私は強く感じております。我が党は本会議代表質問で東京港の物流機能の強化策について質問しましたが、都民生活の安全の確保を考えると、港湾施設の耐震対策の強化も喫緊の課題であると思います。
 そこで、来年度策定予定の新たな港湾計画では、耐震強化岸壁をさらに積極的に計画していくべきと考えますが、見解を伺います。

○成田港湾局長 東京湾北部地震など首都直下地震の切迫性も指摘されておりまして、災害に対する備えはますます重要になってきていると認識しております。このため、来年度に策定いたします第七次改訂港湾計画では、緊急物資の輸送対応及び国際コンテナ物流対応の耐震強化岸壁につきまして、計画数の大幅な拡充を検討してまいります。震災時に海上輸送の拠点となる東京港の役割は非常に大きく、災害に強い東京の実現を図るため、東京港の耐震対策の充実強化に局一丸となって取り組んでまいります。

○高島委員 はい、頑張ってください。
 それでは次に、臨海副都心の開発について伺います。
 臨海副都心の開発については、まちづくり推進計画に基づいて都市基盤の整備なども順調に進み、着実に開発が進んでいると聞いております。しかしながら、まちを見渡してみますと、フジテレビ、パナソニックなど日本を代表する企業の進出は進んでいる一方で、独立行政法人産業技術総合研究所や国際交流村などの公的機関の進出も、それ以上に目につくように思います。やはり臨海副都心の開発は、民間企業の進出があって、多数の来訪者でにぎわっているというのが本来の姿だと思います。
 そこで伺いますが、現在のこうしたまちの姿をどのように認識しているのでしょうか。また、今後、まちの動向をどうとらえているのでしょうか。所見を伺いたい。

○成田港湾局長 臨海副都心は、開発から十七年、まちとしてはまだまだ若いまちでございます。そのため、現在のまちの姿は、今後のさらなる成熟へのワンステップであると考えております。
 十五年度は、嘉悦学園を初めオリックス・リアルエステートやリゾートトラスト、そして今年度はフジテレビのスタジオなどの民間企業を誘致することができました。また、ことしに入りましてからは、サントリー本社ビルや癌研究会有明病院が開業するなど、臨海副都心はますますにぎわいが増し、着実にその姿を変えてきていると認識しております。
 このところ熱心な引き合いもふえておりまして、さらに創意工夫を凝らして民間企業の誘致を進め、臨海副都心を魅力あふれるまちへ大きく飛躍させてまいりたいと考えております。

○高島委員 さらなる進出事業者の確保に努めてもらいたいと思います。
 ところで、臨海副都心の開発は、土地を購入して進出する企業だけではなく、フロアを借りることにより進出したいという企業の誘致も重要であると思います。そうしたニーズにこたえる役割を担っている三セクの現状も、気になるところであります。上向きかけてきた景気も、現在踊り場にあるといわれ、企業経営を取り巻く環境の厳しさは三セクも例外ではないと思います。
 そこで、臨海部の三セクについて伺いたいと思います。
 臨海部には、港湾局が所管をする東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設、竹芝地域開発の三社と、産業労働局が所管をする東京ファッションタウン、タイム二十四の二社がありますが、港湾局所管の三社については、二年前に経営安定化策の中間見直しを行い、現在それに沿って経営改善に取り組んでいると聞いております。
 一方、産業労働局の所管の二社については、ことしが経営改善策の五年目の折り返しの時期で、ちょうど中間見直しの時期に当たります。
 そこで、現在の経営状況をどのように認識しているのか、伺いたい。

○関谷産業労働局長 二社の経営状況につきましては、平成十二年策定の経営改善策により、償却前黒字を達成するなど一定の改善が図られましたが、平成十五年度決算では、二社合わせて約六億円の営業赤字を計上するなど、経営は依然として厳しい状況にあると認識しております。

○高島委員 償却前黒字とはいえ、営業収支で赤字ということは、極めて厳しい状況と受けとめざるを得ません。このような経営状況であれば、中間の見直しに当たって、踏み込んだ見直しも必要ではないかと考えますが、所見を伺いたい。

○関谷産業労働局長 経営改善策の折り返しの時期に当たりまして、現在、関係者間で二社の経営計画、収支計画等につきまして検討を行っております。
 一義的には、二社が主体的に取り組むべき課題ではございますが、都といたしましても、厳しい経営状況から、お話のとおり一層の経営改革が必要であると認識しておりまして、適切に指導してまいります。

○高島委員 しっかりやっていただきたいと思います。
 続いて、石原知事がたしか命名したのかな、間違えたらごめんなさい、東京のしゃれた街並みづくり推進条例、たしかそうだと思いましたけれども、これについて質問をさせていただきたいと思います。
 都では、東京のしゃれた街並みづくり推進条例で街区再編まちづくり制度を創設し、身近な地域の都市再生を推進しています。
 そこで、お尋ねをいたします。
 私の地元足立区には、現在、建設が進められている日暮里・舎人線や、つくばエクスプレスを含め、二十四の駅があります。しかしながら、交通至便な駅前地域でありながら、交通広場や道路が未整備であるため、土地の有効利用が図られていない地域があります。特に、五反野駅周辺では、基盤整備の種地として活用できる低未利用地もあり、過去に何度か再開発の動きもありましたが、開発規模や開発時期で足並みがそろわず、マンションが個別に建設されております。
 周辺区部においては似たような地域が多く見受けられると思いますが、このような、駅前で比較的ポテンシャルが高く、地元のまちづくりの機運はあるが、合意形成が進まない地域においてこそ、この街区再編まちづくり制度が有効だと思いますが、見解を伺いたい。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 街区再編まちづくり制度は、細分化された敷地の統合や行きどまり道路のつけかえなどを行いながら、道路整備や共同建てかえなどのまちづくりを進めるものでございます。
 この制度においては、地域の実情に応じた規制緩和のメニューをあらかじめ示すことや、小規模な単位での開発を順次行う仕組みにより、開発意欲を高め、また、地域に密着したコンサルタントや工務店などの活用によりまして、地元の合意形成を促進することができるものでございます。
 本制度は、ご指摘の駅前地区などのまちづくりにも有効と考えており、安全で住みよいまちの形成や商店街の活性化などを図るため、積極的に活用してまいります。

○高島委員 街区再編まちづくり制度により、地域に合ったまちづくりが進むだけではなく、地元の工務店や商店街の活性化など、地域経済にも波及効果があることがわかりました。
 しかし、東京全体の身近な都市再生を推進するためには、駅前地区のみならず、防災上危険な木造密集市街地の整備や都有地を活用したまちづくりなど、三局再編統合のメリットを生かして、もっと広範に施策展開をしていくことが必要ではないかと考えます。
 都として今後、この制度の活用を含めて、どのように身近な都市再生を進めていくのか、伺いたい。

○梶山都市整備局長 身近な都市再生を進めるためには、地域ごとの課題に対応したさまざまな方策を講じる必要がございます。
 例えば、木造住宅密集地域であります東池袋地区におきましては、都市計画道路の整備にあわせて、民間による沿道建物の共同化などを一体的に進める、いわゆる沿道まちづくりを地元へ提案しております。
 その中で、地域に適した規制緩和を行う街区再編まちづくり制度の適用と、道路事業により生じる不整形な残地の有効活用を重層的、一体的に行い、建てかえを促す方策を提案するなど、地元のまちづくりを支援しているところでございます。
 このように、三局再編統合のメリットを生かし、各種事業手法を再構築し、計画から実施まで、一貫した事業の推進体制により、実効性のあるまちづくりを進めております。
 今後とも、身近な地域の都市再生に積極的に取り組んでまいります。

○高島委員 ぜひ積極的に取り組んで、すばらしい都市、まちをつくっていただきたい、心からお願いを申し上げます。
 次に、観光振興について伺います。
 本日三月二十五日から、愛・地球博が開催され、海外からも多くの観光客が訪れることが見込まれています。これに先立ち、ビザ免除や中部国際空港の開港など、国際観光の振興に向けたさまざまな取り組みが始まっています。国もようやく重い腰を上げ、動き出したところもあります。
 こうした流れができたのは、都が国に先駆けて、千客万来の世界都市東京を目指して観光振興に積極的に取り組んできたからにほかなりません。都の三年余りの観光振興への取り組みは、国を動かし、地域に受け入れられ、観光振興は今、国全体で大きなうねりとなってきています。都内各地でも、地域が主体となったオープンカフェやウオークラリーの開催など、にぎわいを生むさまざまな取り組みが始まっております。
 「行く春や鳥啼魚の目は泪」、「行く春や鳥啼魚の目は泪」、これは、かの俳人松尾芭蕉が、長年住みなれた深川の芭蕉庵から船で北上し、奥の細道への旅立ちに際し、私の地元、足立区千住で詠んだ句であります。千住は、古くから旅行者にとって親しまれ、現在に至るまで、その足跡を伝える場所でもあります。このことは、地域の方々の誇りでもあります。
 昨年十二月、この千住の新たな名所にしようと、足立市場の一角に矢立て初めの芭蕉像を建立しました。これは、地域住民が中心となり、行政や地元商店街を動かし、地域全体の協力によって実現したものです。
 これからの観光振興には、この千住のような取り組みに見られるように、地域住民の熱意と工夫に加え、地域が一体となった取り組みが重要と考えますが、所見を伺いたい。

○関谷産業労働局長 東京が持つ観光資源を生かしていくには、地域の商店街や地場産業を担う事業者、さらには住民など、地域が一体となりまして、観光の視点に立ったまちづくりを進めていくことが重要でございます。
 お話の足立区でも、ただいまお話のありました芭蕉像の建立のほかにも、スタンプラリー、光の祭典など、にぎわいを創出する事業が各種の団体の協力により進められております。
 都は、こうした地域の主体的な取り組みが都内各地で広く展開されるよう、上野での観光まちづくりモデル事業の成果をも生かしながら、リーダー養成などの人材育成、推進組織の立ち上げ、さらには情報提供などの支援を行ってまいります。

○高島委員 地域の取り組みに対する支援を一層進めてもらいたいと思います。
 さて、芭蕉の句碑は、千住かいわいに数多くありますが、このほかにも、荒川区、江東区、台東区など、隅田川沿いを中心に各地に点在をしています。これら地域の観光資源を、河川を活用して結びつけることで、相互に魅力を高めることができると思います。
 都は来年度、水辺空間の魅力向上に関する全体構想を策定することとしていますが、この構想の中で、広域的な視点から、河川と地域の観光資源を連携させ、回遊性の向上を図ることも検討すべきと考えますが、所見を伺います。

○関谷産業労働局長 水辺に点在します地域の歴史や文化などの観光資源を、一定のテーマに沿って広域的に結びつけることは、ご指摘のように回遊性を高める手法として効果的であり、水辺空間の魅力向上にもつながるものと考えております。そうした取り組みの推進につきましても、全体構想を策定する中で検討し、位置づけてまいりたいと考えております。

○高島委員 ぜひお願いをしたいと思います。
 ところで、隅田川では、スーパー堤防やテラスの整備が進められていますが、より一層魅力ある川とするためには、観光資源との連携が必要です。そのためには、テラスなどにおいて、近隣の名所や旧跡などがどこにあるか、都民や観光客にわかりやすく提供することが必要と考えますが、所見を伺います。

○岩永建設局長 隅田川の魅力を高めるには、川と名所旧跡など歴史的な施設を結び、回遊性のある水辺にする必要があります。このため、例えば佃大橋付近におきまして、近隣の史跡や最寄り駅などの情報を盛り込んだわかりやすいサインを設けるなど、川と地域のネットワーク化を進めてまいりました。
 平成十七年度は、引き続き、重点事業として、勝鬨橋から永代橋までのテラスにサインを設置し、だれもが利用しやすく、親しみのある水辺の実現に取り組んでまいります。

○高島委員 隅田川下流部では、答弁のような取り組みが行われておりますが、中流部や上流部においても歴史的な施設があります。
 千住は、四百十年前に隅田川にかかった最初の橋、千住大橋があり、当時の橋脚のくいが今も残るなど、由緒ある地域であります。この地域にふさわしい河川の整備が求められていますが、所見を伺います。

○岩永建設局長 都はこれまで、親水性の向上と水辺空間の拡充を図るため、地域特性に配慮して、テラスなどの整備を進めてまいりました。具体的には、明治初期に外国人居留区のあった聖路加ガーデン付近では、レンガで修景を行うなどの工夫をし、整備を進めてきました。
 お話の千住地区は、日光街道第一番目の歴史的にも由緒ある宿場でありまして、千住大橋付近には、橋の歴史を紹介した案内板を設置しております。
 今後とも、地元区や地域の方々の意見を聞きながら、こうしたサインなどによりまして、まちの歴史や文化に触れることができる水辺の創出に努めてまいります。

○高島委員 これからの観光振興には、地域の観光資源の開発と広域的な連携が必要であります。特に、多摩の観光振興こそ、こうした視点が重要ではないでしょうか。
 多摩地域は、区部に隣接している市街地から山間部まで、多様な地域から構成されています。奥多摩地域の四季折々の自然、貴重な史跡、そして消費地に近接した農業、研究開発型のものづくり企業の集積など、さまざまな個性や独自性に盛られた観光の潜在力があります。これらの原石を魅力ある観光資源として磨き、広域的に結びつけていくことが効果的です。
 今後、どのように多摩の観光振興を展開しようとしているのか、見解を伺いたい。

○関谷産業労働局長 都は今年度、多摩地域の市町村を対象にブロック会議を設置したところでございます。また、来年度は、複数の市町村にまたがる観光まちづくりに関する推進組織の設立などを進めてまいります。こうした取り組みを通じまして、広域的な視点から、多摩の観光振興を推進してまいります。
 このことにより、多彩な観光資源をさらに魅力あるものとし、また、さまざまな個性を有する、例えば地場産業の活用を進めるなど、多摩の観光振興のより一層の充実に努めてまいります。

○高島委員 隅田川もあれば、神田川、荒川もあり、そして多摩もあり、多くの東京の観光に対して力強く推し進めていただきたい、このことをお願いをしておきます。
 残り時間、私の体に合った環境問題でずっと通していきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 まず初めに、ディーゼル車規制について伺います。
 ディーゼル車規制は、石原知事の強力なリーダーシップによって開始され、都議会も全面的に賛同して進められたものであり、運送業者などの事業者の方々の骨身を削るような努力によって初めて可能になったものであります。
 昨年十一月に発覚した三井物産のデータ偽造事件は全く許しがたいものですが、先月、都が発表した大気汚染測定データによると、三井物産の卑劣な行為にもかかわらず、ディーゼル車規制は大きな成果を上げていることが明らかになりました。
 都の規制は、大気汚染の早急な改善を実現するため、新車のみならず、使用過程車も規制するという困難なものでした。こうした困難な状況にあったからこそ、都議会は、規制を決める環境確保条例の改正に際して、全会派の一致により、付帯決議をつけ、都に対して粒子状物質減少装置の技術開発の促進を求めたところであります。
 そこで、まず最初に、ディーゼル車規制の実施までに、粒子状物質減少装置の技術開発には、どのような課題があり、どのように克服してきたのか、伺いたい。

○平井環境局長 国は、PM減少装置の開発にも全く後ろ向きでございまして、真剣に取り組んできませんでした。これに対し、都は、使用過程車対策を強力に進めるため、多くの装置メーカーなどと連携し、都バスでの走行試験や庁有車への先行装着などを行い、開発を促進してまいりました。
 開発段階におきましては、国の排出ガス規制が甘かったために、自動車からのPM排出量が多いこと、都内では走行速度が遅く、装置に捕集されたPMが燃焼しにくいなどの問題があり、走行試験ではフィルターの溶損なども発生いたしました。
 しかし、都の要請を受けて、石油連盟が低硫黄軽油の供給を前倒ししたこと、これによりまして触媒機能の向上が図られたことや、多くの誠実なメーカーの努力の結果、高性能な酸化触媒も含め、ディーゼル車規制の開始までにさまざまな種類の装置が実用化されたものでございます。

○高島委員 粒子状物質減少装置の開発に取り組んだ装置メーカーの努力を考えますと、改めて、三井物産の行為は全く許しがたいものと思います。
 三井物産の不正行為によって、他のDPFの信頼性にも疑問の声が上がるようなことがあってはいけません。そうした疑問が解消されるように、都は、三井物産製以外のDPFの性能の再確認に取り組んできたと承知していますが、どのような結果になっているのか伺いたい。

○平井環境局長 三井物産の問題発生を受けまして、都は、一月末から環境科学研究所において、他社製DPF装置の性能確認試験を実施いたしました。三井物産製を除いた販売台数の九七%を占めます八社八型式の装置を対象に試験を行いましたが、いずれも指定基準をクリアしていたところでございます。
 試験結果につきましては、粒子状物質減少装置指定審査会の意見を踏まえまして、近日中に公表できるものと考えております。

○高島委員 都にはぜひ、この性能確認の結果をアピールして、ディーゼル車規制への信頼性を一層高めていただきたいと思います。
 ディーゼル車規制は大きな効果を上げましたが、これで東京の空気をきれいにする仕事が終わったわけではありません。都には、今回の事件の教訓を生かし、ひるむことなく、今後も先駆的に大気汚染対策を進めていただきたいと思います。
 さて、十七年度予算案には、ディーゼル車対策を推進するための新たな事業として、自動車NOx・PM法に対応した買いかえを促進するための新たな融資制度が盛り込まれています。もともとこの融資制度は、ディーゼル車規制の開始前に都が創設した特別融資制度を発展させたものであると思われますが、その実施に当たって、中小零細事業者にとって一層使いやすいものとなるように配慮すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○平井環境局長 ディーゼル車買いかえのための新たな特別融資については、金融機関に対して融資内容の提案を募集してまいりました。これらの提案内容によりますと、平成十五年度に実施いたしましたディーゼル車特別融資に比べ、金利、信用保証料率ともに、利用者に有利に設定できる見通しとなってございます。
 さらに、信用保証料に対する補助金を融資実行時に都が一括交付することによりまして、事業者の負担を軽減するなど、一層利用しやすい制度としてまいります。

○高島委員 ディーゼル車規制は、一都三県が同様の条件を制定して、八都県市が連携して取り組むという広域行政の画期的な成功例と私は考えています。首都圏住民の共有する切実な要望にこたえるため、都はこの経験を十分生かして、都政全般にわたって一層の積極的な施策を推進していただくようにご期待を申し上げます。
 続いて、土壌汚染について伺います。
 土壌汚染については、法と条例で対策が義務づけられていますが、この三年間の実績を見ると、都内で、工場の廃止時には約三割、地域開発など土地の改変時には約一割のケースで土壌の汚染が確認されていると聞いています。
 土壌汚染については、我が党は、機会あるごとに社会的にも大きな問題として取り上げ、処理対策に取り組む中小零細企業への支援を東京都に要請してきました。これを受けて、この間、環境局においても積極的に対応していると認識していますが、取り組みの現状について伺いたい。

○平井環境局長 土壌汚染に対応するため、平成十三年に東京都の環境確保条例が、平成十五年には土壌汚染対策法が施行されまして、現在までに、都内では二千五百件を超える汚染調査などが行われております。
 資金力の乏しい事業者にとりましては、土壌汚染対策に関する情報不足と、処理費用が重い負担となっております。このため、このような事業者に対する総合相談窓口の設置、説明会の開催など、相談体制や情報提供の充実を図ってまいりました。さらに、処理費用の負担軽減を図るため、低コストの処理技術の開発促進に向けた取り組みも行ってきました。

○高島委員 昨年の七月、都民ホールにおいて処理技術の低コスト化を目的とした土壌汚染フォーラムが初めて開催され、実は私も出席をいたしました。大変な反響があり、コストの圧縮、新技術の開発等、成果が見えたと思いますが、都の見解について伺いたい。

○平井環境局長 土壌汚染処理技術フォーラムは、処理事業者間の競争を促しまして、低コストの技術の開発促進を図ることを目的として開催したものでございます。
 フォーラムでは、処理事業者がモデルケースに即し、最新の技術を紹介するとともに、その費用が初めて比較できる形で公表されました。こうした情報は、土壌汚染の処理技術や費用負担に不安を持つ工場事業者や土地所有者から、極めて有益であったと高く評価されたものと理解しております。また、このフォーラムがきっかけとなりまして、当日発表された技術が、対策困難とされていた小規模な土地の汚染処理に使われたとも聞いております。
 フォーラムは、来年度も引き続き開催を予定してございます。

○高島委員 低コストの処理技術の開発促進に向けた施策を行っているわけですが、まだまだ中小零細事業者にとって、浄化対策費用を負担することは大変な重荷です。また、汚染が確認された土地は、不動産評価でもいわば風評被害をこうむっている状況にあり、有効利用の障害となっています。
 これらの状況に対応するため、都は、汚染処理業者を初め、金融機関や不動産業などの関連業界に対して、具体的な啓発を積極的に行っていくべきと考えますが、所見を伺いたい。

○平井環境局長 本年の二月に、土壌汚染処理事業者約二百社で構成される社団法人土壌環境センターに対しまして、都は、低コストの汚染処理への取り組みを促進するよう、要請を行いました。同時に、各社の対応状況について報告を求めておりまして、今後、その内容を公表し、処理事業者の積極的な取り組みを促してまいります。
 また、土地の評価にかかわりの深い金融機関、不動産業、保険業を対象に、土壌汚染問題への理解を深めるため、対策セミナーも開催いたしました。当日は、多数の参加者があり、この問題への社会的関心の高さがうかがえたものと思っております。
 今後も、幅広く積極的に情報提供するなど、土壌汚染対策を着実に推進してまいります。

○高島委員 土壌汚染は社会的にも大きな問題であり、都政において積極的に対応していくことが必要であると考えますが、知事のご所見を伺いたい。

○石原知事 土壌汚染は、過去の経済活動によって生じましたマイナス、都市における負の遺産というべきものだと思います。都は既に、国に先んじて環境確保条例に土壌汚染対策を盛り込み、事業者による調査、処理を義務づけ、対応を進めてまいりました。
 土壌汚染対策を進めるためには、東京の住工、住宅と工業の混在の狭い土地にも対応できる低廉な技術が必要であることから、これまでも関連事業者に対して、低コストの技術の開発を要求してまいりました。
 土壌汚染対策は、東京の良好な環境の確保とともに、土地の有効利用の観点から、都市づくりや経済発展の上でも極めて重要であり、今後も対策を着実に推進していくつもりでございます。

○高島委員 ぜひ、知事、大変な問題でございますので、積極的に対応していただきたいと思います。
 私は、土壌汚染問題は、大気汚染対策と同様に重要な問題と考えております。排出ガス規制は、その対象や改善できる方法が明確ですが、土壌汚染については、原因者のみならず、過去の汚染に結びつく状況を知らずに土地を所有し、不可抗力であっても対策を求められることがあるという複雑な面があります。
 また、土壌汚染は、環境問題にとどまらず、東京の都市づくりや経済発展にも及ぶ重大な要素を含む問題であると思います。そのような意味合いからも、私は、今後、東京都の土壌汚染対策に大いに期待するところであります。
 まだまだ多くの質問をさせていただく予定でございますが、限られた時間があとわずかでございます。最後に一言、私から東京都政のあり方について意見を申し上げます。
 第一回定例会もようやく大詰めを迎えてまいりました。我が都議会自民党は、都民の声を真摯に受けとめ、都民の目線から質疑を重ねてまいりました。予算や重要な施策を決定する際、議会と理事者が真剣に議論することは、地方自治のあり方そのものであります。
 我々は、これまで石原知事の与党として、常に今の時代や社会経済環境の中でベストの選択をするよう努力してきたと自負しております。理事者の側も、同様の考えで施策を予算化し、提案してきたものと私は信じています。
 冒頭申し上げた社会福祉総合学院の問題も同じです。見直しを行った当時の状況の中で、議会と理事者がともに選択したベストの判断であったのです。当時、ほかにどのような選択肢があったといえるでしょうか。時代や社会経済環境に変化があれば、これに応じてさらなる見直しを行うべきことは無論です。しかし、だからといって、後知恵で過去の真摯な判断を断罪しようとすることは断じて許せません。そんなことを行えば、都庁の職員に、後で責任を問われるぐらいなら何にもするなというのと私は同じだと思っております。私たちは、よりよき都政を次の世代へバトンタッチする大きな責任を持っているのではないでしょうか。
 また、知事は昨日の記者会見で、予算の問題ではない、理事者の問題だとおっしゃいました。しかし、少なくとも、予算特別委員会の場で、予算にかかわる事項として取り上げられ、副知事が疑義を示唆する答弁をした以上、そうはいえないのではないでしょうか。執行機関と議会が一体となって初めて地方自治体としての団体意思が決定されるという、自治体の基本を大切にすべきであります。
 同学院の問題については、我々は、過去の判断の当否を超えて、現在の都政運営のあり方自体を問われているという認識を持っています。だからこそ、百条委員会において真剣に取り組んでいく決意であります。このことをぜひ知事にもご理解いただきたい、このことを申し上げ、私の質問を終了させていただきます。(拍手)

○樺山委員長 高島なおき理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十二分休憩

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