東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○富田副委員長 小美濃安弘委員の発言を許します。
   〔富田副委員長退席、野田副委員長着席〕

○小美濃委員 それでは、まず、教育関係についてお尋ねをいたします。
 先日、ある都民の方から私のところに一本のEメールが届きました。その内容は、某都立高校の授業環境が大変悪化をしており、まじめに勉強したい生徒に大きな悪影響を及ぼしているという内容のものでございました。また、そのメールをちょうだいした次の日が、ちょうど授業公開という日でありましたので、ぜひ一度現場を見て、勉強するいい環境をつくってほしい、こういった切実なるお訴えでございました。
 次の日ということもありましたが、スケジュールを調整し、私は某高校に伺ってまいりました。事前に教育庁や学校に連絡をしますと、本来の姿が見られないのではないかと思いまして、授業公開ということもありましたので、バッジを外しまして、一都民として見学をさせていただいたわけであります。
 ほとんどの授業を見学させていただいたわけでありますが、もちろん中には静かに授業を行っていたクラスがございました。しかし、残念ながら、メールに訴えられていたとおり、学習環境としては適切さを大きく欠いている授業も見受けられました。あるクラスでは、ほとんどの生徒の机の上に缶ジュースが置かれておりまして、授業を聞いているのはわずか二、三人という状況であり、残る、その二、三人以外の生徒は、携帯電話でメールを打ったり、また漫画を読んでいたり、隣の生徒と話をしていたり、こういう状況でありまして、それに対して先生も、黙々と授業をやっているだけで、注意をしようとしていないわけであります。いわゆるこれを学級崩壊というのかなと、私は実感をさせていただきました。
 ちょうど私が教室に入りますと、先生が慌てて生徒に注意をするんですけれども、ずっとそういう状態なので、注意された生徒だって聞く耳なんか持たないですよ。こういった非常にショッキングな状況を見てきたわけであります。
 いわゆるこれらは、生徒個人のモラルの問題というのもあるかもしれませんけれども、しかし、同時に、知事のよくおっしゃる、我慢ができない、こういった性格の子が多くいたのかなというような実感も持ちました。
 本来ならば、家庭のしつけの中で我慢を強いる、子どもたちに対してそういったことを学ばせることが一番大切なことであるというのは、これはいうまでもないわけでありますけれども、今までの議論の中でも、家庭力が不足している、こういったことも知事からの答弁もございましたし、なかなか家庭のしつけだけに頼っていくというのは、今後難しい状況ではないかと思っております。
 そこで、改めて、我慢を強いる教育の必要性について、知事のご見解をお伺いしたいと思います。

○石原知事 子どもにこらえ性を培う、我慢をとにかくさせるというのは、いうに易しくて、なかなか難しいんですね。この間、健全育成条例の改正のときに、いろいろ参考人聴取しました。ある六本木で開業している産婦人科のお医者さんなんか、本当に慨嘆してましたが、このごろ逆に親が子どもにこびて、小遣いをせびられたら、むしろ援助交際でもしたらと、そういうことをいう親がいる。
 私も実は昨年の秋に都立の某高等学校を視察しました、お忍びで。校長の案内が下手くそでばれちゃったんですけれどもね、それは惨たんたるものですよ。
 聞くところ、レベルにある、つまり、それほどよくもないけど、それほど暴力教室化している、そういう学校でもないそうですが、これはもう本当に、先生のいうことを聞いているのは、前の二、三列の子どもで、あとは勝手なことをしていましたよ。あれを見ますと、本当に暗たんたる気持ちがしました。
 とにかく我慢強いのは何たって先生ですな。あそこでよく授業ができると思ってね。昔なんか、ちょっと騒ぐと、教壇の上から折った白墨をぶつけられて、またコントロールよかったもんだけれども、このごろもうそういうことはとってもできない。それで、とにかく先生は本当に限られた子どもを相手に黙々と授業をする。
 やはり、そういう実態というものを再生、克服するために、どうやったら子どもにこらえ性、トレランスというものを培うかというのは、これは本当に子どもの将来にとっても不幸なことですが、しかし、これはやはり家庭に頼る以外ないですよ。親の自覚ですよ。しかも、そういう実態を親が知らない。どういう高校の実態かということを親が知らない。知らないで物を論じてもしようがないので、とにかくやはり親を現場に連れていって見せることが必要だと思うし、ついでに申しますと、携帯電話で連絡したから安心しているというけど、その子どもは、携帯で連絡した後、連絡しながら、渋谷のどこでどんなことをしているかというのは、親も見に行ったらいい。とにかく現状を自分で視覚的にとらえずに物を論じるというのは、一般の市民もそうだと思いますが、特に子どもを持っている親だったら、やはりその姿勢を持ってもらいたいと思います。

○小美濃委員 知事も、親のしつけだ、親にもぜひ見に行ってもらいたいということでありますが、実は私も、この授業公開に行って驚いたんですけれども、親が来ていないんですよね。教育長、四人しか会わなかったですよ、私、保護者らしき人と。ですから、教育庁もぜひ、もっともっと学校公開というものを大事にしていただきたいと思っております。
 また、今の知事のおっしゃるとおり、本当に我慢の教育は大変大事であります。でも、いささか高校生に我慢をこれから教えるというのもなかなか難しいわけでありまして、やはり小学校時代ぐらいにさかのぼって、まあ家庭が第一ですけれども、学校教育の中でも行っていくということが重要ではないかと思っております。
 実は私の地元武蔵野市では、小学校五年生と中学一年生の全生徒に自然体験、農村体験などを通じて、暑いとか寒いとか痛いとか、おなかすいたとか、こういった我慢の教育、本来の生きる力を養う教育ですね、名づけてセカンドスクールといっていますけれども、これを行っております。小学校では七泊から九泊、中学校でも四泊以上で行われておりまして、これは授業の時間を使ってやっています。総合的な学習の時間や社会科の時間や理科の時間、国語の時間、こういうのをつなぎ合わせて宿泊してやっているわけであります。
 長野県や富山県、山梨県などで、苗を植えたり、イナゴのつくだ煮をつくったり、地引き網をやったりなどなど、農村自然体験の中から、自然のすばらしさや、農村、漁業生産の重要性、また集団での規律などを学んでいくわけであります。
 また、少人数に分かれて民宿に寝泊まりするために、民宿の人たちを初め、地元の子どもたちの親切さにも心を打たれるようであります。
 そこでお尋ねするわけでありますが、この我慢の心を小さいときに育てる、小学校から育てるためには、こうした農村などで実施する体験学習、自然学習が大変重要ではないかと考えているわけでありますが、教育長のご所見を伺います。

○横山教育長 現在、小中学校では、移動教室でありますとか、あるいは林間学校、臨海学校等におきまして、農業、林業、漁業などの体験活動を実施しております。こうした活動を通しまして、働くことのとうとさや、最後までやり遂げることの大切さを身につけさせる教育を行っております。
 お話のように、長期にわたる宿泊体験は、社会性や我慢する心などを育てる上で有意義であることから、今後、農山村での体験活動推進校における成果をリーフレット等にまとめまして、これを普及啓発するなどして、宿泊行事などの体験的な活動を一層推進してまいります。

○小美濃委員 このセカンドスクールに行ったある子どもの感想文がございまして、いわゆる山を登るわけですね。山を登って本当におなかがすいたと。その山の頂上で食べたお握りが、生まれてこの方一番おいしかったという感想文がありました。
 知事もよくおっしゃっているとおり、現在の子どもたち、なかなかおなかがすいたという実感を持たないのではないか。すぐ周りにスナック菓子が、手に取れるところにありますので、こういったおなかがすいたというような実感がないのが現状ではないかと思っております。
 私は、こうした我慢を強いる農村自然体験教育が都内全小学校で行われたならば、すばらしい教育効果が生まれるのではないかと考えております。しかし、財政的な問題がそこに生じているわけでありまして、ちなみに、武蔵野市で行っているセカンドスクールは、保護者負担が、食事代として一泊二千円ですね。ですから、二千円掛ける宿泊数。そして公費負担が一人七万円かかっております。小学校だけでも武蔵野市負担が約八千万円という、これぐらいの負担がかかっているわけでありまして、財政的に厳しい自治体では簡単にできる事業ではないようであります。
 そこで、例えば国が二分の一、東京都が四分の一程度の財政負担をしていただいて、市区町村の負担が四分の一ぐらいになったら、どこの自治体でも実施可能なのではないかな、そんなふうに思っておりますので、私は、この自然体験、全小学校でやるとかなりいいと思っておりますので、ぜひ国へ働きかけていただきたいと思いますし、東京都でもぜひご検討いただければな、そんなふうに思っております。要望いたしておきます。
 さて、先ほどの都立学校の話に戻るわけでありますが、学級崩壊の現場を見る限り、例えば一教職員の資質の問題とか校長の指導力不足の問題だけでは片づかない、学校全体が複雑化した問題の中にあるのではないか、そんなふうな印象を受けました。
 また、それとともに、本来指導すべき教育庁のかかわり方にも、私は若干問題があったのではないか、そんなふうに思っております。
 と申しますのも、後々の調査でわかったんですけれども、一年前から実はこの学校はこういう状況だったわけですね。教育庁の指導室も把握をし、指導していたんですけれども、しかし、結果的には、一年たった今でも学級崩壊の状態であったというわけでありまして、本来、高校三年間しかないわけで、三年間のうち一年間、こういった中で過ごした生徒のことを考えますと、本当につらい一年間だったんじゃないかな、こう推察するわけであります。
 この一年間、もし頻繁に指導主事さんが学校に行って、授業の内容を見ていれば、私はもう少し改善の余地があったのではなかろうか、そんなふうに思っております。
 実は後刻、このことを--私、毎日実はホームページを更新しておりまして、日記というのをつけているんですが、これに出しましたら、私のところにEメールが来ました、非難のEメールが。あなたのやっているのは政治の教育への介入だ、前代未聞だ、こういったメールが寄せられたわけでありますし、また、あるホームページの掲示板でも、私や教育庁に対して非難が寄せられていたわけであります。
 授業公開に都議会議員が行っただけで前代未聞なんというのはとんでもない話で、大変憤りを感じるわけでありますが、しかし、それだけ教職員もしくは教職員組合が教育庁や我々に対して不信感や、また反発を持っているんだなというものも改めて実感したわけであります。
 この状況の中で幾ら指導しても、なかなか指導主事さんの一生懸命さが伝わっていかないんじゃないか、こういったことも私感じたわけでありまして、指導力不足の教員をびしびし指導また研修するのは、これは当然のことでありますけれども、私、すべての先生がこういった先生じゃないような気もするんですね。
 この状況を打破するために、まず指導主事さんが頻繁にとにかく学校を訪問していただいて、そして数回の衝突はもう覚悟の上で、本音の議論を重ねていただきたい。また、そういったことで教職員と人間関係を築きながら、まず指導ができる体制をつくっていくということが大事なんじゃないかなというのを、今回、学校を訪問させていただいてわかりました。そのことにつきまして、今後の取り組みについて、ぜひとも所見をお伺いしたいと思います。

○横山教育長 都立高校の一部には、確かにお話のような実態もございます。また、実は指導主事が学校を訪問すること自体を拒否するような体質が、ここ本当に数年前まではございました。ただ、現在は、都の指導主事がかなり積極的に学校を訪問しまして、校内研修であるとか、あるいは学校行事等に参加をしまして、教師の指導方法や、あるいは生徒の授業態度の育成につきまして、かなり強く指導助言をいたしております。
 今後、特に課題のございます学校については、指導主事が重点的に訪問して、実態の把握に努めまして、学校とともにその改善に向けて取り組んでまいります。

○小美濃委員 実は、後からお話を聞いたんですけれども、今回訪れた学校のほかにも、都立学校の中には、学級崩壊らしきものを起こしている学校が数校あるということを聞いているわけであります。
 私、思うんですけど、そもそも、約三百、都立学校がある。その三百をすべて都庁一つで管理をしているというところに限界がもうあるんじゃないかと実は思っております。現在のこの中央集権的な指導体制から、よりきめの細かい指導体制への移行、いうなれば地域ごとに、地域の事情がよくわかっているミニ教育庁みたいなものをつくって、そこで対応していくということも必要なのではないか、そんなことを考えております。
 そこで、平成十八年度に都内六カ所に都立学校経営支援センターなるものを設置するということを聞いているわけでありますが、これは、先ほど私が申し述べましたミニ教育庁のようなものなのかどうか、こう考えていいのか、このセンターはどのような支援を行うのか、お伺いいたします。

○横山教育長 今お話しのような体制をとる必要がありますことから、平成十八年度に都内の六カ所に設置する予定の都立学校経営支援センター、ここに、本庁各部が担っております予算、教育課程、人事等の業務を可能な限り移譲しますとともに、このセンターが学校の身近な地域で、学校の実態に応じた学校教育活動全般への支援を行ってまいります。
 こうした権限を有する支援チームが日常的に学校訪問を行いまして、本庁の指導主事と連携をして、都立学校における教育活動の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

○小美濃委員 指導主事さんと連携をするというわけでありますけれども、でも、本庁には指導主事さんもいるわけでありまして、私、一つ心配なのは、屋上屋を重ねるような、そういったことにはならないでいただきたいな、そんなふうに思っているわけであります。
 また、センターが日常的に学校を訪問する、もちろんいいわけでありますが、先ほどの答弁にありましたとおり、指導主事さんもみずから現場をしっかりと見ていただきたいと、改めて要望させていただきたいと思っておりますし、また、将来的には、このセンターに指導主事さんの机でも置いて、頻繁に連携できるような、そういう体制もとっていただきたいな、ミニ教育庁みたいなものにしていただきたいなと要望をいたしております。
 しかし、実は私が一カ月前にこの問題を指導主事さんに問題提起いたしました。指導主事さんも何回も行っていただいたらしいんですね。そうしましたら、大変いいお話を先日伺えまして、顔が見える指導ができ始めてきたということなんですね。だんだんそういうことをやっているうちに、卒業式が先日あったんですけれども、その卒業式、大変昨年と変化のある卒業式だったということであります。
 昨年、この学校、国歌斉唱で大変問題のあった学校ということで、私も認識をしていたんですけれども、ことしは何の問題もなく、しかも、校外で、先ほど吉野先生がおっしゃったビラを配っている市民団体にも、毅然とした態度で教職員が対応したという、こういったことも出てきたということであります。
 また、この式の途中、生徒の名前を呼んでいる先生が、余りの感激に涙で声が出なくなってしまったという感激的な卒業式だったということを伺って、やはり、指導主事と教職員の間に教育という一つの共通目標ができて、信頼関係の光が少し見えてきたのかな、そんなふうに思っておりますので、今後ともぜひ、こういった思いやりのある指導、また思いやりのある教育に向けて、教育庁一丸となって頑張っていただきたいと要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、水道事業についてお伺いをいたします。
 最近、環境や経済の分野で国際規格というものが盛んに進んでおります。特に、日本ではISO(国際標準化機構)が有名でありますけれども、このISOが水道事業においても規格づくりの中に入ってくるということを聞いております。一体現状はどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。

○高橋水道局長 お話の国際標準化機構、ISOにおきまして、水道の使用者に良好なサービスを低廉な価格で継続して提供することを目的に、水道サービスに関する国際規格の策定が行われております。
 我が国からは、日本水道協会を初め、水道事業体の代表といたしまして、東京都などが国際会議に参加をし、この規格化が世界の水道のレベルの向上につながるよう、積極的に主張してまいりました。
 これまでの議論の結果、今回のISO規格では、本来、規格の中心となるべき、サービスの水準や経営状況に関する業務指標は盛り込まず、用語の定義や規格の適用範囲など、基本概念のみを規定することとなっております。

○小美濃委員 せっかく国際規格をつくっても、業務指標を盛り込まないというのは、余り意味がないのではないかなと思っているわけでありますが、どうして業務指標が盛り込まれなくなったのか、経緯をお伺いしたいと思います。

○高橋水道局長 水道事業は、各国ごとにその置かれた状況が大きく異なっております。例えば、開発途上国など多くの国々では、水不足や水質汚染などの問題が発生しておりまして、それらの国では、水道の普及自体が最も重要な課題となっております。
 一方、日本などにおきましては、既に安全な水道水を安定的に供給しておりまして、一層の耐震性の強化や環境対策の充実などが大きな課題となっております。
 こうしたことから、規格化に際しまして、統一した業務指標を定めるには至りませんでしたが、各国がそれぞれの状況に対応した業務指標を作成しまして、これをISOに登録することで合意がなされております。
 現在、日本のほか、ドイツやアメリカなどが業務指標を登録しております。

○小美濃委員 確かに、世界的には、水の政策というのは、大変大きく課題としては違ってくるのかなと思っています。不衛生な水関係の病気で、世界じゅうの子どもたちが八秒に一人ずつ死亡しているという話も聞いておりますし、こういった状況の中で、国際規格を世界の中でつくっていくというのは、難しい、簡単なことではないと思っております。
 しかし、今回、今の答弁では、各国それぞれが状況に対応した指標をつくって、それをISOが認知していくということであります。そして、日本の指標をつくったということでありますけれども、この日本の業務指標というのは一体どういうものなのか、お伺いをいたします。

○高橋水道局長 日本では、日本水道協会を中心に、東京都も積極的に加わりまして、本年一月、百三十七項目から成る業務指標を作成しまして、ISOに登録をされました。
 この業務指標は、ドイツやアメリカなどの指標と比べまして、項目数が多いのみでなく、水質の信頼性はもとより、給水の安定性、耐震性、環境対策、さらには経営状況など多岐にわたる指標が含まれておりまして、日本の高い水道のレベルを反映したものとなっております。
 特に、管路の耐震化率などの業務指標につきましては、スマトラ沖地震発生直後でありましたことから、ISOの国際会議の場におきましても、各国から注目を集め、高い評価を得ております。

○小美濃委員 ただいまのご答弁では、給水の安定性や耐震性、環境対策などが含まれているということでありますが、特に、現在、首都直下型の地震の切迫性が叫ばれているときでありまして、これは時期に合ったことなのかな、そんなふうに思っております。
 さて、本定例会初日の包括外部監査報告におきまして、東京都の水道事業に対して、経営指標を見ると、まだまだ効率化の余地があるという大変厳しい意見が出されました。
 ただいま議論をさせていただいております、この百三十七項目の業務指標を活用して、一層の経営分析を行い、また経営状況をしっかりと把握して効率化を図ることが、今後有効な手段だと考えております。
 そこで、こういった経営効率化のためにも、この業務指標を東京都は率先して使うべきだと思っておりますけれども、ご所見を伺います。

○高橋水道局長 ご指摘のとおり、経営の一層の効率化を図ることは重要な課題であると認識をしておりまして、今後、この指標を活用して、経営状況などを定量的に把握、分析することは大変有効であると考えております。
 こうしたことから、平成十五年度の決算数値などを用いまして、百三十七項目の業務指標につきまして、既に分析に着手をしております。
 また、今後、業務指標ごとの具体的な目標数値を定めることで、サービス水準や効率性の一層の向上を図ってまいります。

○小美濃委員 業務指標をしっかり利用していただいて、経営分析などをしっかりしていただきたい。
 しかし、大事なのは、その結果を公表することだと思うんですね。公表することによって、他の企業体との比較がそこで行われるわけでありまして、比較、競争することによって、日本の水道業界がだんだんレベルが上がっていく、こういったものになるのではないかと思っております。
 ですから、まず東京都がこの業務指標を使って、他の全国の道府県に対して範を示すべきだと私は考えているわけでありますけれども、ご所見をお伺いしたいと思います。

○高橋水道局長 日本の水道が今後ともその高い水準を維持し、さらに向上させていくためには、東京都を初めとする水道事業体が互いに切磋琢磨していくことが重要であると認識をしております。このため、他の事業体が、今回作成された業務指標を活用し、経営状況やサービス水準を総合的に比較、分析することができるよう、東京都が率先して早期にみずからの数値を公表していきたいと考えております。
 こうした取り組みは、水道事業に対する都民の皆様の理解、評価を容易にし、また事業運営の透明性の向上にも資するものと考えております。

○小美濃委員 今回のISOの話にも絡んでいるわけでありますけれども、最近、ISOさえ取れば、何かにしきの御旗をいただいたような、優秀な企業であるというふうにみなされているわけでありますけれども、こういった日本の風潮に対して、私、いささか疑問を持っているわけでありまして、というのも、ISOは目標達成を求めるものじゃないんですよね。ある企業の次の年の目標を設定させて、到達したらまた次、また次ということなので、数値的目標というものが余り見えてこない。
 例えば、戦後、日本では、デミング賞という賞を設けまして、各企業が品質の規格管理を導入して、経営上大きな効果を上げてきたという実績もあります。日本の水道業界も、水道企業も、高い目標値を設けて、目標達成に向けて各企業体が努力すべきであると考えております。
 さて、石原知事は、日本水道協会の会長というお立場ですよね。いわばこれは日本の水道の一番の長であります。そこで、こうした取り組みを含めた日本の水道に対するお考えをお伺いしたいと思います。

○石原知事 水についてお答えする前に、さっきの教育のご質問ですけれども、今の「ニューズウイーク」、今週出た日本版ですが、これに非常に多角的な子どものしつけの方法が、専門家で書かれておりまして、とても参考になりました。これはやっぱり四歳ぐらいからやらなきゃだめです。それも、ただしかるんじゃなしに、実にうまい方法がいろいろ書いてありました。
 この水でありますけれども、世界の水事情というのは、とにかく、ろくな水が飲めず死んでいく子どもがたくさんいるぐらい、非常に惨たんたるものでありますが、中では、我が国は、とにかく蛇口からそのまま飲める水をつくっている。特にこの東京は、(実物を示す)この間、朝霞の浄水場が、今までの三段階のを五段階の浄化装置にしましたので、あそこで出る水は、残念ながら、二十三区の中で、私が住んでいる大田区の環八から東側だけ出ないんです。あれは神奈川県の水なんです。あとは、とにかくすばらしい、谷川の水とか富士山の水とか瓶に詰めているミネラルウオーターと全く同じ水が--これは戸建ての住宅です。マンションになると、またちょっと問題が違ってきますが、それぐらい世界最高のレベルをとにかく保っているわけでありまして、ISOなるものがどんなものか、よく知りませんけれども、余り気にしなくても、我が日本の水は世界一だということですし(「うまいよ。評判もいいし」と呼ぶ者あり)そう、ご認識いただきたいと思っています。

○小美濃委員 ありがとうございました。早速、「ニューズウイーク」は読まさせていただきたいと思っております。
 本当に、東京の水道、日本一の水道となるべく、これからも範を示していただきたいと申し上げまして、次の質問に移ります。
 次は、東京の特産物の振興、育成についてお伺いをいたします。
 私の住む武蔵野市は、東京ウドの発祥地とされておりまして、一八〇〇年ごろに栽培が始まった古い歴史があるといわれております。東京ウドは、特に独特の香り、また白さなど、他県府産にはないすぐれた品質を有しております。長く江戸、東京の食文化として継承する特産物として親しまれてまいりました。
 しかし、最近では、他県府産のウドに押されぎみでありまして、価格が低迷してまいりまして、生産量が年々減少してきております。十年前には全国シェア二六%を占め、全国一位の生産量であったわけでありますが、現在は一一%と全国三位、生産量は三分の一にまで減少しました。
 東京農業は、現在、地価の高騰や後継者問題などで厳しい状況にあります。他県よりすぐれた特産品をより有利に販売することが、東京農業には不可欠だと考えております。
 そこで、例えば、東京ウドなどすぐれた東京の特産を伸ばし、農業の収益拡大、振興を図るべきと考えておりますけれども、所見をお伺いいたします。

○関谷産業労働局長 お話の東京ウドにつきましては、味、香りのよさや、白さを追求し、改良を重ねてまいりました。さらに、消費者が購入しやすいよう、茎を短くした新品種、「都香(みやか)」を開発いたしまして、消費拡大に努めてまいったところでございます。今後も、一層の品質、生産性向上など技術開発を進めてまいります。
 また、農産物への安全・安心を求める都民の要望にこたえるため、今年度、ウドなどを東京都特別栽培農産物の認証品目に追加いたしました。
 さらに、東京の農業やウドなどの特産物を広く都民、消費者へPRするために、十七年度から、農協や生産団体と協力いたしまして、東京農業ウェブサイトを立ち上げる計画でございます。

○小美濃委員 すぐれた特産物の消費拡大、ぜひよろしくお願いをいたします。
 さて、知事は、昨年、農家や農業試験場などをご視察されまして、東京農業の特産物に関する感想も述べられております。私はこの機会をおかりして、ぜひ、頑張っている東京の農家に対して、知事のエールをお願いをさせていただきたいな、そんなふうに思っております。
 そこで、知事の東京特産物に対するご所見をよろしくお願いを申し上げます。

○石原知事 今、ウドが話題になりましたが、今ちょうどしゅんで、私もこの間、あるところから送っていただいて、非常に風味の豊かなウドを満喫いたしましたが、あれが他県に負けるわけがないと思うんですね。他県のウドも食べたことがあるけれども、ウドの大木で、余り味はうまくないんで、東京はもうちょっと宣伝すべきだと思います。
 そのほかに、ブドウの高尾とか、トウキョウX、それからナシもありましたね、稲城。それから、動物の方では東京しゃも、あるいは食物では島しょの方のアシタバとかも、非常に珍しいものがたくさんございます。
 ついでに申しますと、巨木というのは直径二メートル以上の木のことだそうで、都道府県の中で巨木の一番多いのは東京都なんです。これは三多摩の山奥へ行くと。こういうことも案外知られていないので、私は、神奈川県の、要するに、鎌倉の宣伝なんか東京の観光案内でしてやっているんだけど、この間、松沢君に、君の方も東京の特産物をもっと買え、宣伝しろといっておきましたので、これからは多角的に宣伝をして、やっぱり東京の名産が全国に広がって賞味されるように、一生懸命努力いたします。

○小美濃委員 ただいまの知事のご答弁で、多くの東京の農業者が大変元気づけられたのではないかと思っております。今後もぜひ、東京の農業振興に対して、絶大なるお力をおかりすることをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 次は、多摩の道路整備についてお伺いをいたします。
 多摩地域では、道路のネットワークの形成が十分とはいえず、交通渋滞が慢性化し、また市民生活や経済活動にも多大な影響を与えているわけであります。これはかつて東京都が左翼政権下にあったとき、一人の反対でもあれば橋はつくらない、こういったような誤った考えで多摩のまちづくりがないがしろにされてきた結果であると、大変残念であると思っております。
 しかし、現在は、石原知事におかわりになられまして、大変まちづくりにご理解ある知事が、南北道路を中心に、道路整備を初め、まちづくりを進められていることに、大変評価をしているところであります。
 さて、このように南北道路の整備は着実に現在進んでいるわけでありますけれども、私の地元に通っている五日市街道のように、多摩を走る東西道路の中には、必ずしも整備が進んでいないものもあるわけであります。
 こうした東西道路の整備は今後どうなるのか、私は大変心配しておりまして、南北道路の整備が終わってから東西道路の整備を計画したのでは、いささか遅いのではないかと考えております。南北道路の整備は大切ですけれども、東西道路の整備計画も同時に進めることで、多摩全体を見据えた道路ネットワークの形成に努めるべきだと考えおります。
 そこで、多摩地域の道路ネットワーク形成についてどのようにお考えになっているのか、所見をお伺いいたします。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 多摩地域の都市計画道路の整備率は、いまだ五割程度であることなどから、道路ネットワークの形成が不十分であると認識しております。多摩地域を魅力と活力あふれる圏域とするためには、基盤となる道路の整備を進め、渋滞の解消や都市間の連携強化を図ることが不可欠でございます。
 現在、都市計画道路の整備を計画的かつ効率的に進めるため、多摩地域における都市計画道路の整備方針を策定中であり、これによりまして、バランスのとれた道路ネットワークの形成に努め、人と物の流れの円滑化を図ってまいります。

○小美濃委員 ぜひバランスのとれた道路ネットワーク、よろしくお願いをいたします。
 さて、道路計画は計画でありまして、すぐに着手できるものばかりではありません。そういう意味では、東京都が行っている交差点すいすいプランは、比較的短期間で渋滞解消などに対して顕著な効果がありまして、大変評価の高い事業であります。
 現在、八十三カ所が完成するなど、着々と進められているわけでありますが、しかし、中には、最後の一軒の協力が得られないで事業が進まないという箇所もあるわけであります。
 聞くところによると、このすいすいプランは、街路事業や河川事業などと違いまして、都市計画事業認可を取得せずに行っている事業だと聞いております。例えば、街路事業などは、建築制限の適用や、いよいよの場合は収用手続などを使って、確実に事業を進めているわけでありますけれども、すいすいプランはそのようになっていないわけでありまして、これは公共性のためにせっかく早期に土地を提供していただいた方に果たして報いているのか、僕は報いていないんじゃないかと思っているわけであります。
 私は、すいすいプランも大変大きな公共性を有していると考えておりますので、平成十七年度にスタートする第二次すいすいプランにおいては、ぜひ都市計画事業などの手法などを活用していただいて、着実に進めていただきたいと思っておりますけれども、所見をお伺いします。

○岩永建設局長 交差点すいすいプランは、多くの事業箇所で、地元の理解と協力をいただきながら、円滑に事業を進めておりますけれども、ご指摘のとおり、一部、事業用地の取得が難航している箇所もございます。
 第二次プランを進めるに当たりましては、関係権利者の理解と協力を得ることを基本にしつつも、ご提案のありました都市計画事業の手法も含めまして、地域の実情に適した効果的な方法を検討しながら、事業効果の早期発現に努めてまいります。

○小美濃委員 よろしくお願いをします。
 それでは、次の質問に移ります。
 実は私、四年前、燃料電池というものを普及したいということで、選挙戦の公約に挙げさせていただきました。しかし、当時はまだ夢のエネルギーだったわけでありまして、なかなか難しかったんですけれども、しかし、東京都は平成十五年から昨年十二月まで、燃料電池バスの試験運行などを全国で初めて実施いたしまして、燃料電池の普及に努めているのかなと、そんなふうに思っております。
 このバスの営業運行試験の成果はどうだったのか、あわせて燃料電池の評価、また今後の可能性について、ご所見をお伺いしたいと思います。

○平井環境局長 都では、地球温暖化対策及び大気汚染対策の一つといたしまして、民間事業者との協働により、水素供給ステーションの開設と、都営バスの営業路線での燃料電池バス実証試験運行を行いました。
 営業運行を二百五十七日にわたって行いまして、乗客からも、静かで走りがスムーズ、乗り心地がよいなどの評価が得られており、燃料電池の実用性等についての普及啓発も図られたものと考えております。
 愛知万博では、この実証実験を踏まえまして、さらに改良を加えたバスを運行すると聞いております。
 燃料電池は、コスト低減と耐久性の向上がいまだ課題でございますが、クリーンな次世代エネルギーとしての開発促進を期待しているものでございます。

○小美濃委員 ぜひとも、今後、開発の進展を見ながら、もし一般ユーザーの手に届くようなことになりましたら、東京都も支援を考えていただきたいと思いまして、最後の質問に移ります。
 今までいろいろ申し上げましたけれども、いわゆる財政なくしてこういうことはできないわけでありまして、やはり自主財源の根幹である税収の確保、こういったものをしっかりとやっていかなくてはならないと思っております。
 そこで、平成十五年度決算では、東京都は、全国平均九三%のところ、都税が九六・一%の徴収率があったということで、過去最高だったということであります。これは大変評価をするところでありまして、都税のうち、個人住民税は、市区町村が独自の住民税とともに徴収しているところでありまして、都税徴収率をさらに上げていくために、都の市区町村への支援が必要であります。
 そこで、現在、どのように市区町村に支援しているのか、またその反応、また今後の取り組みについてもあわせてお伺いをいたします。

○山口主税局長 区市町村への具体的な支援策としましては、直接、滞納事案を都が引き継ぎ徴収を行うもの、都職員を区市の税務部門へ派遣するもの、また、区市職員を研修生として都の徴税部門へ受け入れることなどを実施しております。
 都職員の派遣では、派遣先自治体職員とともに納税者と直接交渉を行う中で、整理方針の立て方や財産調査、また差し押さえする場合には、納付能力の見きわめなど、具体的な手法を提供しております。
 それにより、個人住民税に限らず、多摩の地域におきましては、固定資産税などを含め、市町村税全体の徴収率向上にも貢献したいと考えております。
 都職員の派遣によりまして、区市町村職員の納税交渉や調査手法の向上、また、これらの手法を最大限に発揮するための組織的な取り組みなどを直接経験することによって、派遣職員の受け入れ自治体からは、一定の成果があったと感謝されております。
 今後とも、区市町村との連携、支援を一層強化し、都と区市町村双方の歳入確保に貢献できるよう、局を挙げて取り組んでまいります。

○野田副委員長 小美濃安弘委員の発言は終わりました。(拍手)

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