東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○樺山委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 野田和男副委員長の発言を許します。

○野田委員 初めに、税の問題についてお伺いいたします。
 知事は、公平公正であることが税制の基本であるとして、今定例会に商業地等の固定資産税、都市計画税について、負担水準の上限を引き下げる条例改正を提案されました。税制に対する納税者の信頼を確保するためには、不均衡の是正が不可欠であり、このたびの英断を高く評価しているところでございます。
 ところで、この税負担の公平公正の実現は、私がこれまで一貫して取り組んできたテーマの一つであります。
 かつてJRが民営化された際、国鉄から引き継いだ事業用資産については、固定資産税等の課税標準を二分の一とする特例措置が設けられておりました。この措置は当初十年間の特例とされていたわけですが、期限切れを控えた平成八年、国では、特例措置を継続して、軽減分を整備新幹線の建設財源として納付すべきだとか、経営状況にかんがみて特例措置を継続すべきというような議論が盛んに行われました。
 私は、都議会本会議においてこうした国の動きを取り上げ、固定資産税は、市町村が提供する行政サービスに対して応分の負担をいただくもので、通すべき筋はきちんと通すべきである、他の民営鉄道事業者との負担の公平を図る観点からも、特例措置は廃止すべきであると主張いたしました。その結果、JR東日本などについては、当初の予定どおり特例措置が廃止され、二十三区では約百億円の増収となりました。
 もう一つ、私が力を注いで取り組んできた問題に、国有資産所在市町村交付金の問題がございます。国有資産所在市町村交付金とは、国等が所有する固定資産のうち、使用の実態が民間の所有のものと類似しているものについて、固定資産税にかわるものとして、国等が当該資産所在の市町村に交付金を交付する制度であります。
 そこで、改めてこの制度の創設の趣旨をお伺いいたします。

○山口主税局長 国有資産等所在市町村交付金は、昭和三十一年、地方財政が悪化し、窮状を放置することができなくなっていた中で、市町村の自主財源を確保するとともに、国などが所有する固定資産であっても、市町村から消防、道路、その他の行政サービスを受けていること等を踏まえまして、固定資産税が課税される民間所有の固定資産との均衡を図る観点から設けられたものでございます。

○野田委員 もう少し具体的に、どのような固定資産がこの交付金の対象となっているのか、また、都に対する平成十六年度の交付金額はどのくらいか、お伺いいたします。

○山口主税局長 交付金の対象となる固定資産には、例えば職員住宅、相続税の支払いのために物納された住宅や土地で、国がそのまま住宅や駐車場として民間に貸し付けているもの、地下鉄の地上出入り口の用地や電信電話、送電施設の用地として貸し付けているもの、空港の用に供する固定資産などがあります。また、都に対する交付金の額は、平成十六年度、約九十九億円でございます。

○野田委員 次に、交付金算定の基礎となる台帳価格であります。
 固定資産税の場合、課税の基礎となる資産価格は、市町村が固定資産評価基準に従い評価をします。一方、交付金の算定の基礎となる資産価格は、国等が備えている財産台帳に記載された価格であります。いってみれば、支払う側の国等が価格を決めるわけですから、一般の固定資産税評価額と比べて、当然かなり低くなっているのではないかと懸念されるところです。
 加えて、台帳価格の見直しは五年に一度とされております。固定資産税の評価替えは三年に一度ですから、かつてのような地価上昇期においては、国等に大変都合のよい仕組みだったといえましょう。ところで、以前、こうした疑問を主税局に率直に申し上げたところ、台帳価格について担当職員を配置して調査するとのことでございました。
 そこで、調査の結果はどうなっているのか、お伺いいたします。

○山口主税局長 交付金の算定の基礎となる国有財産台帳価格については、従前から、近隣の土地の固定資産税評価額との間に乖離が生じておりました。このため、平成十三年度に所管部に専担組織を設置し、交付金の対象資産約一万七千件につきまして、悉皆調査を実施したところでございます。その約六割に当たる一万一千件について、二倍以上の著しい乖離が認められました。
 このため、これら一万一千件について、国に対し早急に価格の修正を要求し、年間約二十億円、平成十四年度から平成十六年度までの累計で約五十七億円の交付金の増額が行われたところでございます。

○野田委員 ただいま伺った年間約二十億円の増収、そして、平成十四年から十六年の三カ年で累計五十七億円ということでございますけれども、私は大きな成果が上がっていると思います。
 国有資産所在市町村交付金のうち、もう一つ問題点は交付金の率でございます。
 現在、交付金の率は、固定資産税の標準税率と同じ一・四%とされております。二十三区の土地や家屋には、固定資産税とあわせて〇・三%の都市計画税が課せられております。交付金にはこの都市計画税分が含まれておりません。なぜ交付金には都市計画税分が含まれていないのか、明確な理由があるのでしょうか。また、都市計画税相当分も交付された場合、都の増収額はどのくらいになるのか、あわせてお伺いいたします。

○山口主税局長 国有資産等所在市町村交付金は、先ほど申し上げましたように、昭和三十一年において、国等が所有する固定資産は非課税としつつ、市町村の自主財源を確保する等の観点から、あくまでも固定資産税にかわるものとして創設されたものでございます。
 また、都市計画税は、市街化区域など課税区域が限られていること、税率が自治体によりさまざまであることなどから、仮に交付金に都市計画税相当分を含めた場合は、交付事務が煩雑になるとされております。
 なお、都市計画税相当分が交付された場合の都の収入額は、約十七億円増の百十六億円となります。

○野田委員 都市計画税は、自治体により税率がさまざまであるとはいえ、コンピューター処理すれば交付事務がそれほど煩雑になるとは思えません。やはり交付する側の論理という感じがいたします。
 都の都市計画税収入は、平成十七年度予算で約一千九百億円であります。幹線道路の整備、連続立体交差事業、都市計画公園の整備などの都市計画事業を進める上で欠かすことのできない財源となっております。国の職員住宅などもこれらの事業の恩恵を受けているわけですから、一般の固定資産税との均衡を図るためにも、応分の負担を求めるべきであります。
 私は、平成十四年の第一回都議会定例会において、国などが所有する固定資産であっても、民間所有のものと状況が類似しているものについては、原点に立ち返り、市町村みずからが固定資産税及び都市計画税を課税できるようにすべきであるとし、都の考えをただしました。これに対して知事からは、東京都の税制調査会で積極的に検討する旨のご答弁をいただきました。
 そこで、改めて検討結果をお伺いするとともに、この問題について、都として今後どのように取り組んでいくつもりか、所見をお伺いいたします。

○山口主税局長 平成十四年度の東京都税制調査会答申は、国有資産等所在市町村交付金制度につきまして、「都市計画税相当額が交付されていないこと等の問題があり、地方の課税自主権を強化する観点からも、制度のあり方を見直していくべき」としております。
 都としましても、答申を踏まえまして、都市計画税相当分の交付など、国に対して引き続き制度の見直しを求めてまいります。

○野田委員 この交付金の問題については、法改正が必要であること、国有資産を所有する多くの省庁がかかわっていること、さらには、都と地方交付税の交付団体である多くの市町村とではとらえ方に温度差があることなどから、すぐに解決できるものではないということは承知しております。しかし、私は、不合理なことは不合理として取り上げ、少しずつ改善していくことが重要であると考えております。
 ところで、ただいま取り上げた国有資産所在市町村交付金と同様の問題を抱えているものとして、郵政公社の納付金制度があります。
 ご案内のとおり、平成十五年四月、日本郵政公社が発足いたしましたが、郵政公社に対する固定資産税については、郵便局舎などの本来事業用資産は非課税としつつ、それにかわるものとして所在市町村への納付金の制度が設けられました。また、納付金の算定に当たっては、資産価格を二分の一とする特例措置が設けられております。
 そこで、改めて、郵政公社に対する固定資産税の取り扱いがこのような形になった趣旨を簡単にご説明いただきたいと思います。

○山口主税局長 郵便局舎など郵政公社の本来の事業に供する固定資産につきましては、郵政事業の公共性にかんがみ、固定資産税、都市計画税が非課税とされております。一方、郵政公社の所有する固定資産も市町村の行政サービスを受けていることを踏まえ、民間所有のものとの負担の均衡を図る観点から、固定資産が所在する市町村に納付金を納付することとされたものであります。
 また、納付金の算定におきましては、資産価格を二分の一とする特例措置が講じられているのは、不採算地域における事業実施の必要性等を考慮したものとされております。

○野田委員 納付金算定の基礎となる資産価格は、どのように決められるのでしょうか。また、納付金には都市計画税相当分が含まれていないと思いますが、それで間違いないのか、あわせてお伺いいたします。

○山口主税局長 郵政納付金の算定の基礎となる資産価格につきましては、市町村長が固定資産評価基準に従って評価した価格に基づき、総務大臣が決定することとされており、適正な価格が担保される仕組みになっております。
 また、納付金の率は、固定資産税の標準税率と同じ一・四%とされており、都市計画税分は含まれておりません。

○野田委員 都に対する平成十六年度の郵政納付金の額はどのぐらいか、お伺いいたします。
 また、仮に資産価格を二分の一とする特例がなく、都市計画税相当分も納付金に含むとした場合の都の増収額はどのぐらいになるのか、お伺いいたします。

○山口主税局長 都に対する納付金は、平成十六年度において約二十二億円でございます。
 また、資産価格の特例措置を廃止し、都市計画税相当分を納付金に含むものとした場合、都の収入額は約二十九億円増の五十一億円となります。

○野田委員 この特例がなくて都市計画税分を含んだ場合、五十一億円という額は大変大きな額だと思うんですよ。もちろん、不採算地域において事業を実施しているなど、特例措置の趣旨がわからないわけではありませんけれども、民間事業者との税負担の均衡という観点から問題があると考えております。
 郵政公社については、閣議決定で平成十九年四月に民営化するとされ、現在、民営化そのものの是非を含め、さまざまな論議が行われております。そうした中で、一つの争点としているのが、民営化後の課税の取り扱いであります。
 聞くところによると、発足当初において民営会社の収益が納税によって圧迫され、経営難に陥るのを避けるために、消費税や事業所税、固定資産税などを軽減すべきとの声が強くなっているとされております。また、政府は、少なくとも固定資産税については、郵政公社の納付金の特例措置を継続し、当面は、先ほど申し上げましたかつてのJRと同様、税負担を二分の一にする優遇策を講じる方針と伝えられておりますが、民間企業との負担の均衡、受益に応じた負担等の観点から、果たしてそれでよいのか、十分に検討していく必要があると考えます。
 ただいま取り上げた、国有資産所在市町村交付金や郵政公社等の問題は、ほんの一例であります。これを通じて私が申し上げたいのは、現行税制上、事業の公益性等を理由に、国や公社などに対しさまざまな特例措置が設けられておりますが、それらが本当に必要な措置なのかどうかということであります。
 都民や事業者は、都が独自にさまざまな軽減措置を講じているとはいえ、地価が高い東京で、なお重い固定資産税、都市計画税をきちんと負担しているわけであります。こうした特例措置について一つ一つ吟味し、改善すべき点があれば早急に改善していくことが必要であります。
 続いて、国有資産所在市町村交付金、郵政公社の納付金と都区財政調整との関係についてでございます。
 先ほどから申し上げております国有資産所在市町村交付金等も、固定資産税と同様、使途を特定しない一般財源として活用されています。地方自治法に基づき、市町村の歳入予算上も固定資産税収入の一部として取り扱われております。事実上固定資産税と認知されているものです。
 しかしながら、多摩の市町村では、固有財源として直接各自治体に交付されているのに対し、特別区の区域では地方税法の取り扱いに準じ、都に対して交付されております。
 この所在市町村交付金等は、本来、固定資産税見合いであります。都区財政調整交付金の財源である調整税への算入については、平成六年度に不算入として都区間で決着済みであるということですが、現在の収入額を見ますと、平成六年度決算時の約二倍の百二十億円になっております。
 ちなみに、調整三税の一つである特別土地保有税は、平成六年時で百二十三億円でありましたが、現在は三億円なんですよ。この点を都区双方は十分認識すべきであり、しかるべき時期に適切な措置をとられるよう要望しておきたいと思います。
 さて、税の問題の最後の不正軽油撲滅作戦について、二点ほどお伺いいたします。
 ここまで国有資産等所在市町村交付金の問題を初め、いろいろと要望を申し上げてまいりましたが、私は、主税局に対しては、歳入確保と適正公平な税務行政の実現という使命を果たすため、不正軽油撲滅作戦、滞納整理など、積極的な取り組みを行っていると評価しております。
 とりわけ、不正軽油撲滅作戦は、税を活用して環境問題に取り組むという画期的な試みであると考えております。
 申し上げるまでもなく、不正軽油撲滅作戦は、脱税を防止するとともに、不正軽油の使用による大気汚染から都民の生命と健康を守り、首都圏に青い空を取り戻すために、主税局や環境局など関係局が連携して取り組んでいるものであります。
 また、不正軽油の製造がより広域的に、組織的に行われるようになっている中、自治体間の連携を積極的に進めてきた結果、東京発のこの仕掛けが全国規模の取り組みに広がりを見せて、効果を上げていると聞いております。
 作戦の当初から応援してきた者の一人として、最近の状況がどうなっているのか、大いに気になるところであります。
 そこで、最近の取り組み状況についてお伺いいたします。

○山口主税局長 不正軽油撲滅作戦の最近の取り組みでございますが、強制調査に基づく脱税の摘発、路上の運送業者のタンクの抜き取り調査などを積極的に行うとともに、街頭PR、ポスターなどのさまざまな手法を用いて、都民の啓発に努めてまいりました。その結果、都内の不正軽油の検出率が、作戦を開始しました平成十二年度の一四%から一%に激減するなど、大きな成果を上げております。
 しかしながら、不正軽油の流通は自治体の枠を超え、広域化が進んでおります。このため、十八都道県で構成する不正軽油撲滅連絡会議による広域共同調査や、群馬県の強制調査への人的支援など、積極的に自治体間の連携協力を図っております。

○野田委員 昨年の地方税法の改正において、不正軽油を運搬した者、購入した者など、不正軽油にかかわるすべてを罰則の対象とするとともに、法人に対しては罰則を重科するなど罰則が強化されたことは、自治体の熱意が実ったものであり、悪質化、巧妙化する不正軽油による脱税等の防止策として、大きな効果を発揮すると考えております。
 ところで、近年、脱税を目的とした不正軽油の製造のために、劇物である硫酸が使用され、その過程で生ずる硫酸ピッチが不法に投棄される事例も多発していると聞いております。こうした状況を踏まえ、都は、不正軽油の一掃に向け、今後どのように取り組んでいくつもりか、ご所見をお伺いいたします。

○石原知事 不正軽油を根絶するためには、製造の基地への硫酸の供給を断ち切ることが不可欠であると思います。このため、昨年十二月には、全国に先駆けて、税務、廃棄物、毒劇物を所管する部門が連携し、硫酸の製造業者と運送業者への立入調査を行い、現在、その追跡調査を実施しております。
 ある場合には身の危険を感じるようなこともあったと聞いておりますが、今後とも自治体間の連携協力を一層推進し、流通の広域化に対応するとともに、ご指摘の罰則が強化された改正税法を活用しながら、不正軽油の撲滅に向け、徹底的に取り締まっていきたいと思っております。
 功を誇るわけではありませんが、他県での摘発によって、宮崎県とか鳥取県は税収がふえたそうでありまして、これは一種の広域行政の一つの成果だと思っております。

○野田委員 次に、水道事業についてお伺いいたします。
 水道事業の基本的使命は、安全でおいしい水の安定的な供給であり、これは将来にわたり堅持すべきものであります。そうした観点から、私は、平成十二年の第三回定例会や、昨年の公営企業委員会の場で、鉛製給水管の問題を取り上げ、水道局の精力的な取り組みを求めてきたところであります。
 このような水道事業本来の取り組みはもちろん重要であります。都民生活は時代とともに変化しており、それに伴って都民が水道事業に寄せるニーズもまた多様化、高度化してきているのであります。私は、これからは、そうした多様なニーズにきめ細かく対応していくために、付加的なサービスの提供についても検討する必要があるのではないかと思うのであります。
 例えば、現在、東京都内の単身高齢者世帯数はおよそ四十万件ともいわれております。今後も急速に高齢化が進行してまいります。そうした中で、高齢でひとり暮らしをする親の健康状態を心配しつつも、みずからも家族を持ち、頻繁に様子を見に行くことができない子どもや孫たちの姿というのは、決して珍しいものではありません。
 そうした家族にとって、高齢者等の日常生活を本人の負担にならない形で静かに見守り、状況を知らせてくれるサービスが提供されれば、安心感を得ることができます。私は、そうした安否確認サービスに対する潜在的なニーズは非常に高いのではないかと思うのであります。
 水道は、炊事はもとより、ふろやトイレなど、人の日常生活に欠かせないものであります。その水道で安否確認サービスを実施すれば、精度の高いサービスの提供が可能になるのではないかと思うのです。そうしたことから、既に水道局でもその導入を検討していると聞いております。
 そこで、まず、水道局では、どのような経緯でこのサービスの導入を検討することにしたのか、お伺いいたします。

○高橋水道局長 ご指摘のとおり、今後は、水道の基幹的なサービスに加えまして、お客様がそのニーズに応じて選択することのできる付加的なサービスの提供なども、必要になってきていると考えております。
 ご質問の安否を確認するサービスにつきましては、高齢化の進展を踏まえまして、日常生活に欠かせない水道を利用したサービスといたしまして、一定のニーズがあると見込まれること、また、昨年の七月の水道モニターアンケートにおきましても高い関心が寄せられていること、こうした状況から、新たなサービスメニューとして、導入について検討をすることといたしました。

○野田委員 確かにそういったニーズが高いということは、肌身で感ずるところであります。私の地元の杉並区でも、かつて水道局の第一線で働く営業所の職員さんが、大量漏水の疑いのある現場を調査した際に、ふろ場で倒れている高齢者の救出に協力した事例があると聞いております。日ごろから都民に直結したサービスを展開している水道局ならではであります。安否確認サービスの提供を検討していることも納得できるものであります。
 そこで、水道局が現在検討している安否確認サービスはどういうものか、お伺いいたします。

○高橋水道局長 このサービスは、ひとり暮らしの高齢者等を対象といたしまして、PHS回線を利用した自動検針システムにより水の使用状況を把握しまして、その情報提供を行うなど、IT技術を活用して実施するものでございます。
 具体的には、一定の時間、水道が使用されない場合に、あらかじめ指定された連絡先にその状況をお知らせして、注意を促すものでございます。あわせまして、一日の水道の使用状況を毎日決められた時間にお知らせすることも検討しております。
 なお、このサービスは、希望するお客様に付加的に提供するサービスでございますので、一定のコストを負担していただくことを考えております。

○野田委員 時代の要請に沿ったサービスであり、評価したいと思います。
 ところで、ただいま局長から、水道局の安否確認サービスは、水道メーターの自動検針システムを活用するとの答弁がございました。先ほどの職員の方の人命救助の話のように、ちょっとした変化を敏感に察知して、異変に気づくことは大変すばらしいものですが、水道の場合、検針が二カ月に一回となっております。残念ながら、偶然の要素に頼らざるを得ません。その点、局長がおっしゃいますように、自動検針システムを活用することにより、二十四時間三百六十五日連続してサービスの提供が可能となります。
 自動検針の普及拡大には、費用対効果などの面で解決すべきさまざまな問題があると思いますが、将来的に、徴収コストの縮減に向けて着実に取り組んでいくべき課題であると思います。そうした意味で、安否確認サービスなど他の付加サービスと組み合わせ、今の答弁のとおり、使用者から受益に見合った負担をしてもらうことができれば、自動検針が有効に活用できると思うのであります。
 そこで、このサービスの導入に向けて、現在どのような課題があり、また、それにどのように対応していこうとしているのか、お伺いいたします。

○高橋水道局長 課題としましては、各家庭の水道使用状況を把握する自動検針システムの耐久性、信頼性の向上がございます。また、お客様のニーズに合った具体的なサービス内容、負担していただくコストなどにつきましても、さらなる検討が必要であると考えております。
 このため、平成十七年度は、引き続き自動検針システムを実際の設置環境のもとで試験を実施いたしますとともに、耐久性、信頼性の一層の向上に向け、機器の改良を行ってまいります。あわせまして、サービス内容などにつきまして具体的な検討を行い、平成十八年度中のサービスの提供開始に向け、最大限努力をしてまいります。

○野田委員 具体化に向けて、残された課題についても早期に結論を出して、一日も早く実現していただきたいと思います。
 次の質問に移ります。昨年の第一回定例都議会の中で、ICカードの普及促進を図る観点から質問をいたしました。その後の進捗状況を中心に何点かお伺いいたします。
 平成十六年度に交通局は、ICカードを発行、運営するためのパスネット・バスICカード株式会社に出資したと聞いております。
 そこで、交通局は、パスネット・バスIC株式会社にどのぐらいの割合で出資しているのか。また、ICカード導入に向けて、昨年度以降の進捗状況及び予算の状況についてお伺いいたします。

○松尾交通局長 パスネット・バスICカード株式会社には、昨年十二月に二千四百万円を出資しております。これは、同社の資本金三億二千万円のうち、大手鉄道九社と同様、七・五%となっております。
 これまでパスネット・バスICカード株式会社におきまして、センターサーバーの基本的な仕様を決定する一方、交通局におきましては、地下鉄用のサーバーを発注するとともに、自動改札機などの駅務機器約千八百台の契約の準備を進めております。また、バス事業及び軌道事業につきましても、所要の準備を進めております。
 平成十七年度予算案におきましては、IC機器の導入経費として約十一億六千万円を計上しております。

○野田委員 次に、ICカードの具体的なサービス内容についてお伺いいたします。
 私は、ICカードには、これまで磁気カードで実現してきたサービス内容を引き継ぎ、それをさらに発展させることを期待しております。例えば、現在のバス共通カードの割引や、パスネットカードで実施している乗り継ぎサービスについて、ICカードでも実現させるべきだと思います。
 そこで、お伺いしますが、IC乗車券のサービスの基本的な考え方と、従来のバス共通カードの割引サービスなどはICカードではどうなるのか、お伺いいたします。

○松尾交通局長 ICカード乗車券につきましては、現行のサービスを引き継ぐことを基本としております。ご指摘のバス共通カードの割引につきましては、バスの利用実績に応じたポイントを付与するシステムを開発するとともに、また、パスネットカードの乗り継ぎ割引につきましても、継続に向けて鋭意開発を進めております。

○野田委員 もう一つのサービスについてお伺いいたします。
 私は、かねてから、都民の利便性を向上させる、さらなるICカードの普及と収益の拡大を図るためにも、さまざまなサービスを提供すべきと申し上げてまいりました。また、新銀行東京の提携カードについてもなるべく早期に実現し、新規のサービスを展開すべきと考えております。
 そこで、お伺いしますが、新しいICカードについて新規のサービスにはどのようなものがあるのか、新銀行東京との提携カードの検討状況を含めてご答弁をお願いいたします。

○松尾交通局長 ICカード乗車券の導入により、地下鉄、バス、都電を一枚のカードで利用できるようになるとともに、お客様からの要望が強い小児用ICカード乗車券の発行も予定しております。さらに、改札機で自動的に金額を積み増しすることができるオートチャージサービスや、電子マネーサービスにつきましても、導入に向けて検討を進めております。
 新銀行東京との提携カードにつきましては、乗車券機能、キャッシュカード及びクレジットカード機能が一体となったカードの発行に向けて、協議を進めております。

○野田委員 次に、セキュリティー対策についてお伺いいたします。
 本年四月には個人情報保護法が全面的に施行されます。個人情報保護に関する企業の責任は、これまで以上に重くなります。個人情報の保護に万全を期するためには、ICカード利用者のさまざまな個人情報を管理するセンターサーバーなどに対し、外部からの不正アクセスや、内部からの情報漏えいを防止する措置を講ずるべきと考えております。
 そこで、セキュリティー対策について、個人情報保護の観点からどのように考えているのか、お伺いいたします。

○松尾交通局長 個人情報に関するセキュリティー対策につきましては、個人情報保護法の規定に基づき、個人データの安全管理等を図るため、パスネット・バスICカード株式会社において、システム面、運用面からの対策を講じることとしております。
 交通局といたしましても、個人情報保護は極めて重要であると認識しておりまして、お客様が安心してICカードをご利用いただけるよう、万全を期してまいります。

○野田委員 今回の関東ICカードプロジェクトは、五十六社局が参加する巨大プロジェクトであり、利害関係も大変であると聞いております。多くの障害を乗り越えながら、平成十八年度中にICカードの導入を実現するためには、東京都がその英知を結集し、ICカードプロジェクトの先頭に立つことにより、困難を克服していただきたいと思います。
 そこで、平成十八年度中のサービス開始に向けて、局長の決意をお伺いいたします。

○松尾交通局長 ICカードの導入により、一枚のカードで関東圏の鉄道、バスを利用することが可能となり、また、ICカードは、乗車券機能のほかさまざまな用途に活用できることから、お客様の利便性の向上に大きく寄与するものと考えております。
 交通局といたしましては、今後とも、参加事業者及びパスネット・バスICカード株式会社と連携を図りながら、平成十八年度中のサービス開始に向けて全力を尽くしてまいります。

○野田委員 ぜひ実現に向けて努力を続けていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○樺山委員長 野田和男副委員長の発言は終わりました。

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