東京都議会予算特別委員会速記録第三号

   午後七時三十一分開議

○前島副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 石川芳昭委員の発言を許します。

○石川委員 初めに、教育問題、特別支援教育推進計画について伺います。
 知的障害養護学校においては、高等部における障害の軽い生徒の増加や自閉症傾向の児童生徒の増加など、障害の多様化に伴う課題が指摘されています。また、近年、障害者の資格、免許の取得などの欠格条項の見直しや、特例子会社の設置、知的障害者の雇用促進及び職業の安定を図る職業適応援助者、いわゆるジョブコーチの導入など、社会のノーマライゼーションの進展に伴い、障害のある人たちの社会参加の機会等が拡充されつつあります。
 そこで、まず平成十五年度における都立知的障害養護学校高等部卒業生の進路の状況について伺います。

○横山教育長 平成十五年度の都立知的障害養護学校高等部卒業生七百九十五名中、社会福祉施設入所者が六六・四%、就労者が二八・二%、専修学校等への入学者が二・三%、在家庭が二・一%、進学者が〇・五%、その他〇・五%でございます。
 なお、企業就労につきましては、普通科全体では卒業生の二五・六%でございますが、青鳥養護学校と南大沢学園養護学校に設置しております職業学科では、卒業生の八七・九%が就労いたしております。

○石川委員 特別支援教育推進計画では、中学校の心身障害学級や通常の学級から進学してくる、知的障害が比較的軽い生徒が、養護学校高等部入学生の約六割を占めるとしています。そして、そのような軽度の生徒を受け入れ、職業学科で一〇〇%企業就労を目指す養護学校が、新しいタイプの学校として、一次計画で三校計画されていますが、従来と同様の就労に向けた指導では、すべての卒業生が企業就労することは難しいと考えます。
 推進計画で示された、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部の職業学科は、すべての卒業生を企業就労させるために、どのような具体策を行っていくのか伺います。

○横山教育長 知的障害が軽い生徒を対象としました養護学校高等部の職業学科では、社会の変化や企業ニーズを踏まえました教育内容や方法の開発研究、企業と連携しましたインターンシップを活用した就業体験の充実などを進めまして、企業就労に向けた職業教育を一層充実してまいります。
 また、学校版ジョブコーチの導入やハローワークなどの関係機関とのネットワークの構築など、就労支援体制について検討を進めまして、新たな職種、職域を開発しまして、生徒全員の民間企業への就労と職場への定着を目指してまいります。

○石川委員 現在、養護学校高等部には、中学校の心身障害学級や通常の学級から進学してくる、障害が軽い生徒のほかに、養護学校中等部から進学してくる、障害が比較的重い生徒もいます。知的障害が軽い生徒のための養護学校が設置された後も、このような障害が重い生徒を中心とした地域型の学校における社会参加、自立に向けた教育は重要な課題であり、計画の進行を待つまでもなく、早急に具体的支援策を講ずるべきです。
 通学区域を持つ養護学校における進路の現状と今後の社会参加、自立に向けた支援策について伺います。

○横山教育長 通学区域を持つ養護学校の卒業生の進路につきましては、企業就労が二五・六%でございまして、その他の進路は、ほとんどが福祉施設入所や在家庭という状況でございます。
 特別支援教育推進計画では、障害の程度に応じまして、在家庭や福祉施設入所という選択から福祉就労へ、福祉就労から企業就労へと、それぞれの生徒の能力を一層伸長しまして、社会参加、自立に向けた支援を進めることを目指しております。
 このため、通学区域を持つ養護学校では、地域と密着した、十二年間の一貫性のある教育内容や方法を充実してまいります。
 また、来年度、高等部が設置をされているすべての知的障害養護学校におきまして、作業学習の指導内容や指導環境を就労環境により近づける視点から、点検、助言する外部の専門家をアドバイザーとして活用することによりまして、職業教育を充実してまいります。

○石川委員 障害のある生徒の社会参加、自立を進めるに当たっては、障害の程度に応じた対応を進めると同時に、障害の特性に応じた対応を進めることが大切です。発達障害者支援法が四月一日から施行されるなど、近年、学習障害や自閉症などの発達障害への対応が課題となっています。特に、知的障害養護学校においては、自閉症や自閉的な傾向をあわせ持つ知的障害の児童生徒がふえており、早急に対応を進めていくべきです。
 都教育委員会は、知的障害養護学校に在籍する自閉症または自閉的傾向をあわせ持つ児童生徒の割合を把握しているのか、また、今後どのような対応を進めていこうとしているのか伺います。

○横山教育長 平成十六年度の教育課程の届け出による現況でございますが、都立知的障害養護学校に在籍します自閉症または自閉的な傾向のある児童生徒の割合は、小学部四四・七%、中学部四一・〇%、高等部二六・八%でございまして、中には五〇%を超えている学校もございます。学部別では、特に小学部が多くて、在籍者の七〇%を超える学校もございます。
 自閉症または自閉的傾向のある児童生徒への教育的対応につきましては、平成十四年度から二年間、国の盲・ろう・養護学校の専門性向上推進モデル事業、この指定を受けまして、都立中野養護学校と都立小金井養護学校におきまして実践的研究を行ってまいりました。今後、自閉症の特性に応じました専門的な教育につきまして、都独自の施策として、モデル校を指定し、研究開発してまいります。

○石川委員 知的障害養護学校の在籍者数は、平成八年度以降増加を続けており、平成十六年度には五千百四十九人に達しており、今後とも、区市町村立中学校の心身障害学級の卒業を受け入れていく高等部を中心に増加傾向が予想されています。
 それに伴い、知的障害養護学校では普通教室が不足し、学校の状況によっては、管理諸室などの転用や教室の間仕切りなどを行うなどして必要な教室を確保しています。このため、教室の増築等による教室の確保など、施設面での整備が学校関係者や保護者などから強く望まれているところでありますが、特別支援推進計画においても、知的障害養護学校の普通教室の不足は大きな課題と受けとめられています。
 我が党としては、再編整備を待っていては遅いような場合は、個別に必要な対応を図ることをお願いしてきた経緯がありますが、第一次配置計画における緊急な対応が必要な学校に対する普通教室確保対策について伺います。
 また、増築等による普通教室確保対策だけで教室を確保していくことは不十分であり、そのため、廃校となる都立高校や再編されるろう学校等を活用して、新たに養護学校を設置していく必要があります。それについて伺います。

○横山教育長 ご指摘のように、知的障害養護学校の普通教室確保につきましては、緊急に対応する必要がございます。そのため、各学校の児童生徒数及び転用教室数、間仕切り教室数等の状況、さらには、増築等に当たっての学校敷地の状況を総合的に検討いたしまして、平成十六年度から十九年度までの第一次実施計画では、中野養護学校を初め十二校を対象に教室の増改築を実施してまいります。

○石川委員 確認の意味で、第一次配置計画における普通教室の確保のための新たな知的障害養護学校の設置計画についても伺います。

○横山教育長 第一次実施計画におきましては、先ほどの普通教室確保対策に加えまして、既存の養護学校の再編や、高等学校跡地を活用した養護学校高等部を置く学校を三校設置いたしまして、知的障害が軽い生徒を全都から受け入れることで、既存の高等部設置校の生徒数の適正化を図ってまいります。
 また、再編により閉校となります三校のろう学校跡地に、通学区域を持つ知的障害養護学校を設置することによりまして、近隣の知的障害養護学校の教育環境の改善を図ってまいります。

○石川委員 教育問題の二番目に、教員の質の向上について伺います。
 まず、教員の大量退職時代、大量採用時代といわれていますが、都の教員の定年退職数の動向や、最近の教員者採用者数の動向について伺います。

○横山教育長 いわゆる団塊の世代が定年退職を迎えますことから、教員の退職者は今後増加する傾向にございまして、大量退職のピークを迎える平成二十年度には、定年及びその他の理由で約三千四百人の退職者が見込まれております。
 また、教員の採用者数につきましては、平成八年度に約六百人だった採用者が、平成十六年度には約二千二百人となっておりまして、退職者の増大に伴い、今後とも採用者数は増加していくことが予測されます。

○石川委員 これは都だけではなくて全国的な傾向になるわけでありますが、定年退職者が大幅に増加し、採用者数も増加するとなると、教員の質の低下が懸念されます。質の高い教員を確保する方策について伺います。

○横山教育長 教員の大量退職を迎える中で、教育に対する熱意と使命感を持ち、実践的指導力を備えた教員を確保していきますことは、重要な課題であると認識をいたしております。
 そのため、志望者への他県での採用説明会を実施するなど、広く全国から教員を確保しますとともに、民間企業などでの経験を持ちます社会人を採用するなど、選考方法を多様化しまして、質の高い教員の確保に努めてまいります。
 また、高い志を持ち、実践的指導力を有する教員を学生の段階から養成するため、東京教師養成塾を今年度設置しまして、そこで養成された塾生を本年四月から採用してまいります。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、都の公立学校の教員としてふさわしい資質と能力を備えた教員の確保に努めてまいります。

○石川委員 答弁にありました東京教師養成塾の成果と今後の方向性について伺います。

○横山教育長 東京教師養成塾では、特別教育実習や奉仕体験活動などを通しまして、児童理解を深め、実践的な指導力や柔軟な対応力を身につけさせるとともに、教員として高い志を持った人材の育成に努めてまいりました。
 今後とも、東京教師養成塾におきましては、これらの成果を踏まえまして、児童や保護者の期待にこたえられる、熱意と使命感を持った教員の育成を目指してまいります。
 また、東京教師養成塾の修了者に対しましては、教員としての高い志を持ち児童の教育に当たることができるよう、引き続き支援してまいります。

○石川委員 一方、授業力の向上を図るために、平成十七年度から、初任者研修を修了した都立学校の全教諭を対象に、二・三年次授業研究を実施するとありますが、どのような研修を行うのか。あわせて、小中学校については今後どうするか、伺います。

○横山教育長 都立学校におきます二年・三年次授業研究につきましては、初任者研修修了後の二、三年目の教員を対象にしまして、授業公開など、授業研究を中心とした学習指導の基礎、基本を集中的に身につけさせる研修でございます。
 なお、小中学校におきます二年・三年次授業研究は、既に先行して実施しているところもございますが、今後、区市教育委員会等と連携を図りまして、平成十八年度からすべての学校で実施をする予定でございます。

○石川委員 すぐれた若手教員を早期に鍛えるリーダー育成機関として東京教師道場を設置するとありますが、目的、内容はどのようなものなのか、また、道場を修了した者は将来的にどのような役割を担っていくのか、明らかにしてください。

○横山教育長 東京教師道場は、二年・三年次授業研究を修了した教員約四百名に対しまして、指導技術や教材開発等について二年間にわたる研修を実施しまして、将来、学習指導のリーダーとなる教員を育成することを目的とする研修機関でございます。
 また、東京教師道場の修了者のうち、特にすぐれた実績を上げた者につきましては、他の教員の指導的役割を担う授業力リーダーや授業力スペシャリストとして認定をしまして、その処遇等のあり方についても今後検討してまいります。

○石川委員 大量退職時代の機会をとらえ、すぐれた指導力を持つ退職教員を学校教育に活用していくことが重要であります。例えば、若手教員の授業力向上の育成を行うことに活用するとか、長年学校現場で培ってきた教育者としての経験や情熱を生かせるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○横山教育長 ご指摘のとおり、退職した教員が、長年学校現場で培ってきました知識や経験を生かしまして後進を育成していくことは、大変重要なことと認識しております。
 今後、すぐれた指導力を持つ退職教員をより一層活用していく観点から、若手教員の授業力向上に向けて指導育成します学習指導専門員に配置するなど、教員の指導に生かしてまいります。

○石川委員 教育問題の最後に、人材以外に資源のないといっても過言ではない我が国が世界で今日の地位を得たのも、教育の力に負うことが最も大きいことだと思います。
 そこで、都財政は依然として厳しい状況にありますが、教育のために、財源を含めて資源を投入し、今、教育現場が抱えている諸課題解決のためにスピードを上げて取り組むことに反対する都民はいないと考えますが、知事の見解を伺います。

○石原知事 戦後教育の弊害や社会の変化などから、教育現場にはさまざまな課題が山積しておりまして、今こそ本質的な立て直しが求められていると思います。
 ともかく、戦後のゆがんだ教育で育ってきた人たちが先生となり、親となって、さらに子弟に教育なりしつけをしているわけでありますけれども、いずれにしろ、現況を眺めますと、教育改革こそスピードが重要であり、今後とも、教育委員会には積極的に取り組んでもらいたいと思っております。
 お話のように厳しい財政状況の中ではありますが、教育関係の予算などについては十分な配慮をしていくつもりでございます。

○石川委員 次に、商店街対策について伺います。
 大規模店と地元商店街の調整に関する政策は、七年前に大きな転換が図られ、特定の事業者の事業機会を確保するため、地域における需給状況を勘案するという商業調整はしないことになりました。そのかわりに、いわゆるまちづくり三法、すなわち、改正都市計画法、中心市街地活性化法、大店立地法が成立し、この枠組みの中で調整を図っていくことになりました。
 その枠組みは、立地規制については、改正都市計画法で区市町村が商業施設立地のゾーニングを行い、中心市街地活性化法に基づき市街地の整備、改善、商業等の活性化を図る。そして大店立地法では、ゾーニング上、立地が可能な地域への大型店の出店事案について、交通や騒音など周辺環境との調和について配慮を求めるというものです。
 大店立地法は、小売業の健全な発達を図り、もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与するという高邁な目的を掲げていますが、都における実際の運用について伺います。
 東京都における大型店の新設や営業時間の変更などに係る大店立地法の届け出状況は、十二年度には百十件であったものが十五年度には四百七件と、約四倍にふえております。
 そこで、まず、都は、このように届け出が激増する中、大店立地法を適切に運用するため、どのように対処してきたのか、伺います。

○関谷産業労働局長 都は、大型店と周辺環境との調和を図るため、交通、騒音、廃棄物等の審査項目につきまして、関係局による協議体制を整え、綿密な調整を行っております。また、条例により、学識経験者などから構成される大規模小売店舗立地審議会を設置し、届け出案件につきまして、専門的見地からの調査、審議を諮問いたしております。
 これらを踏まえまして、店舗設置者に対し、周辺地域の生活環境の保持について必要な対応を求めるなど、大店立地法の適切な運用に努めております。

○石川委員 けれども、実際には、大規模店が出店する地元ではトラブルが生じている例もあります。
 例えば、私の地元練馬区では、ある大規模店の新設に当たり、設置者による地元住民への説明会開催の周知手続に漏れがあり、その後の商店街関係者を含む住民に対する店舗設置者側の対応に必ずしも誠意が感じられないことから、地元商店街関係者との間で問題が生じております。
 このようなトラブルは、大型店の出店に当たり周辺への理解を求めるという点で、大変残念なことであったといわざるを得ません。
 今後、都として、このようなトラブルを避けるために、関係者に対しどのような指導をするか、伺います。

○関谷産業労働局長 都はこれまでも、機会をとらえまして、法令手続等を解説したしおりを店舗設置者に配布するなど、届け出手続の周知を図ってまいりました。また、具体的な案件につきましては、事前相談や届け出を受けた場合は、その都度、法令に定められた手続等を遵守するよう働きかけております。
 今後、届け出手続がさらに適切に行われるよう、個々の手続をチェックシートで店舗設置者に確認させるなど、きめ細かく対応してまいります。

○石川委員 大店立地法の手続をきちっと行わせることは、大規模店と地元商店街が出店後も信頼関係を築いていくための大切な第一歩です。都の指導を徹底することを改めて要望しておきます。
 しかし、この問題の根っこは、実はもっと深いところにあると私は考えております。すなわち、まちの商業機能をどう高めていくかという問題について、まちづくり三法によるゾーニングが全く機能していない中で、大型店が次々と出店することへの地元商店街の戸惑いや憤りがあります。地元商店街は、大店立地法という環境調整の手続の中でしか意見を表明できないという状況の中で苦しんでいます。まちづくり三法が目指したものは必ずしも実現できていないのであります。
 その要因の一つに、特別用途地区の設定などのゾーニングや中心市街地活性化は区市町村が担っているのに、大店立地法の事務だけは東京都が行っていることがあると思います。現状では、さほど大きくない店舗についてもすべて都が大店立地法の事務を担当することになり、住民に身近な自治体の中で、大規模店の出店に関する調整事務が完結していません。
 現在、国では、まちづくり三法の見直しを含めた検討が進められておりますが、ぜひ、この点についても十分検討されるよう、都から国に働きかけることを提案して、次の質問に移ります。
 社会的弱者対策に関連して、まず、内部障害者の支援について伺います。
 身体障害者の中には、心臓や腎臓、呼吸器に障害がある内部障害者という人たちがおります。車いすの障害者や視覚障害者と違って、外見からは障害があることがわからないため、都民も内部障害者のことはよく知らないのではないかと思います。
 現在、都内には内部障害者の方はどのくらいいらっしゃるか、伺います。

○幸田福祉保健局長 身体障害者手帳の交付を受けた障害者数を、平成十六年十二月末現在で申し上げますと、約四十万人でございます。そのうち内部障害者は、心臓機能障害が約四万五千人、腎臓機能障害が約二万五千人、呼吸器機能障害が約九千人、膀胱直腸機能障害が約一万三千人などで、合わせて約九万四千人でございます。

○石川委員 九万人以上ということは、身体障害者の四人に一人が内部障害者ということになります。
 この人たちは、運動や食事に制限があったり、ペースメーカーを使用している方は、近くで携帯電話を使用されると機器に異常が生じるなど、日常生活においてさまざまな不自由を余儀なくされています。しかし、外見からは障害者であることがわからないために、日常生活では、障害者用の駐車スペースに車を置くと注意されたり、電車やバスの優先席に座ると冷ややかな目で見られるといったことがあると聞きました。
 また、職場では、障害を持つことが理解されずに、さまざまな差別を受けているなどの訴えもあります。
 さらに、障害認定を受けられずに、何らかの不自由さ、悩みを抱えている内臓疾患者も多いと聞いています。
 外見からはわかりにくいこうした内部障害者について、都として、都民に理解を求めていくための周知、啓発策を積極的に進めるべきですが、いかがですか。

○幸田福祉保健局長 内部障害者の方々は、障害の部位や状態などが外見では判断できないことから、周囲の方々から障害者であると認識されず、お話のような誤解を受けることがあると伺っております。
 都はこれまでも、都民に対して、障害に関する理解を深めるようさまざま取り組みに努めてまいりました。今後とも、関係団体の意見も聞いた上で、都のホームページなども活用しながら、障害に関する知識のより一層の普及に努めてまいります。

○石川委員 内部障害者・内臓疾患者の暮らしについて考えるハート・プラスの会が、持ち歩いて表示できるハート・プラスマークを作成して、普及活動をしていますが、このような活動を都はどのように認識しているのか、所見を伺います。

○幸田福祉保健局長 ハート・プラスマークは、内部障害についての啓発を目的とした団体が作成したものでございます。マークをつけるかどうかは内部障害者本人が選択することでありますが、こうした活動は、内部障害者に対する理解を深めるための有効な取り組みの一つと認識しております。

○石川委員 内部障害者は、不安定な体調の状態を相手に伝えるのが難しいのが悩みですと訴えています。ハート・プラスマークは、こうしたことを解決するための一つの手段として、必要に迫られて作成されたものだと思います。
 ところで、私も何人かの内部障害者から、簡単にその旨を相手に提示、表示できるものがあれば大変助かるとの声が寄せられています。
 そこで、都は、関係者や関係団体と協議して、必要とする内部障害者に提供できるような手段を講ずるべきと考えます。この点は要望しておきます。
 次に、単身である後期高齢者と身体障害者の住居対策について伺います。
 民間賃貸住宅に住んでいる後期高齢者--七十五歳以上の方です--と身体障害者は、大変苦労し、しかも大きな不安を抱えながら生活を強いられているのが実態であります。既存の民間賃貸住宅はバリアフリー化されていないものが多く、バリアフリー化された住宅に住みかえたいと思っても、そうした住宅が少ないし、そもそも高齢者、身体障害者ということで断られてしまうことが多いのです。都営住宅に入りたいという声も強いものがありますが、単身者にはポイント制度がないため、高い倍率の中で抽せんに当たるまでじっと待つ以外に方法がありません。
 そこで、高齢社会の急速な進展に対応し、高齢者が安心して生活できる居住環境を実現することを目的として、平成十三年にいわゆる高齢者居住法ができましたが、これまでの取り組み状況を伺います。

○梶山都市整備局長 高齢者居住法では、高齢者が安心して生活できる居住環境を実現するために、高齢者が円滑に入居できる住宅の登録や、バリアフリー化された高齢者向けの優良な賃貸住宅の供給などを行うこととしております。
 都はこれまで、約八千戸の住宅の登録を行うとともに、その情報を、区市町村などの協力を得て都民に提供してまいりました。
 また、高齢者向け優良賃貸住宅の供給については、都及び区市町村の助成による民間住宅と都市再生機構による住宅を合わせて、都内で約三千五百戸の実績となっております。

○石川委員 後期高齢者だけではなく、単身の身体障害者も同様の状況に置かれています。単身の後期高齢者や身体障害者が安心して住める住宅を確保することが重要でありますが、今後の取り組みについて伺います。

○梶山都市整備局長 都は、先ほど申し上げた取り組みのほか、高齢者の見守りサービスなどを行うあんしん入居制度や、民間住宅のバリアフリー化に向けた普及啓発などにより、高齢者等の居住の安定に努めてまいりました。
 高齢社会の進展、とりわけ単身の後期高齢者の増大や、障害者の地域居住の要請などに対応して、住まいの安心を確保することが重要な課題となってきております。
 今後、これまでのあんしん入居制度の実施状況などを踏まえ、区市町村や関係業界と連携しながら、その一層の活用を図るなど、高齢者や障害者が安心して暮らせる居住環境の整備を進めてまいります。

○石川委員 ところで、介護保険制度改革で小規模多機能サービス拠点が注目されていますが、この内容と、利用できる方について説明してください。

○幸田福祉保健局長 お話の小規模多機能サービス拠点は、平成十八年度の介護保険制度改革の中で、新たなサービスとして創設が検討されているものでありまして、自宅での生活継続を支援することを目的とし、要支援、要介護者を対象として、通いを中心に、訪問や泊まりを組み合わせてサービスを行う形態でございます。

○石川委員 要支援、要介護者へのサービス提供は、スピードを上げていろいろ構築されていますが、自助努力で民間賃貸住宅に生活されているこうした方々への住宅供給対策は、議論していますように、遅々として進んでいないのが実情であります。
 そこで、都営住宅へのポイント方式の導入、バリアフリー化へのきめ細かな支援策、優良賃貸住宅のさらなる供給拡大、地域で支える仕組みづくりなどについて、都は区市町村や関係機関とも連携しながら、積極的に取り組むべきであります。このことを都市整備局長に強く要望しておきます。
 次に、良好なまちづくりに関連して伺います。
 まず、地下鉄大江戸線の導入空間である都市計画道路補助二三〇号線について伺います。
 土支田から大泉学園町までの三・二キロメートルについて、区部北西部の道路ネットワーク形成や周辺のまちづくりに寄与する路線として、第三次事業化計画優先整備路線として位置づけられております。また、都においては、平成十五年度以来、国の制度を活用して、街路事業と沿道開発の一体的な展開に向けた調査を進めてこられました。
 こうした中で、従前、都が現況測量、用地測量を実施した大泉町・大泉学園町地区においても、大江戸線延伸への期待から、補助二三〇号線早期整備の声が高まっております。地元練馬区も、沿道まちづくりの話し合いの準備を整えていると聞いております。
 そこで、この大泉町・大泉学園町地区においても補助二三〇号線のための諸準備を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。今後の具体的な取り組みの考え方についてお聞かせください。

○岩永建設局長 補助第二三〇号線につきましては、十五年度に練馬区と検討会を設置し、これまでに沿道の土地利用の現況調査などを実施してまいりました。
 現在、まちづくり構想や沿道開発のあり方につきまして調査を進めており、今月には、練馬区がまちの将来像などにつきまして地元の意向調査を実施する予定であります。
 今後、意向調査の結果を踏まえ、街路整備とあわせた地区計画の策定や民間開発の誘導策など、沿道のまちづくりについて、引き続き練馬区と検討を進めてまいります。

○石川委員 次に、環状八号線についてお尋ねします。
 この路線の南田中トンネルを初め、北町トンネル周辺の整備も、日ごとにその進捗が実感でき、我が地元区では全線開通に対する期待が一層高まっております。
 そこで、整備状況と今後の見通しについて伺います。

○岩永建設局長 環状第八号線は、羽田空港から北区岩淵町に至る計画延長四十四キロのうち、既に九割が完成しております。現在、練馬区及び板橋区の四・四キロの区間で事業を進めており、全線でトンネルや橋梁、擁壁など、大規模構造物の工事を実施しております。引き続き、トンネル内での設備工事、橋梁の仕上げ工事、舗装工事などを進めまして、平成十七年度末の本線開通を目指してまいります。
 これにより、環状道路として、昭和六十年の環状七号線の開通以来二十一年ぶりに環状八号線が全線開通いたします。

○石川委員 鉄道の連続立体交差事業について伺います。
 今、都は積極的にこの問題に取り組んでおられます。評価いたします。しかし、西武新宿線は、他の路線と違い、今まで鉄道の立体化を全く行っていません。
 そこで、西武新宿線の練馬区及び中野区内における鉄道立体化の取り組み状況について伺います。

○梶山都市整備局長 西武新宿線の練馬区及び中野区内には、千川通りや中野通りなど、いわゆるボトルネック踏切を含め、合わせて三十三カ所の踏切がございます。このため、練馬区においては平成十五年一月より、また、中野区では同年五月より検討会などを設置し、都及び鉄道事業者もこれらに参画し、立体化やまちづくりについて検討してきております。
 都といたしましては、引き続き沿道まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化について、地元区など関係者とともに議論を重ねてまいります。

○前島副委員長 以上をもちまして、石川芳昭委員の発言は終わりました。(拍手)

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