東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○樺山委員長 大木田守委員の発言を許します。
   〔委員長退席、前島副委員長着席〕

○大木田委員 初めに、ガス爆発に関連して伺います。
 戦後六十年、日本は今大きな変革期に入っております。最近のニュースを見ても、ライブドアとフジテレビの構図、西武の堤さんの問題、あるいは北朝鮮の動向。こうした中で、二月十日、私の地元であります北区浮間におきまして、温泉掘削現場の大きなガス爆発がありました。私も新年会に出ておりましたけれども、地元の人から電話を受けて、急遽行きましたところ、まるで油田が燃えているような、二十メートルに上る火柱が上がっておりまして、夜空を焦がしておりました。消防の懸命な消火活動にもかかわらず、全く衰えることなく二十四時間燃え続けて、紅蓮の炎のように燃えていました。
 私はこの状況を見ながら、これは地球の怒りの爆発である、地球が本当に叫んでいるんだな、こういうことを感じました。人間が傲慢になり、自然に対する畏敬の念を忘れて、地球誕生以来静かに眠っていた千五百メートルの地下を、何本も何本もメスを入れて、かき回している。このガス爆発は、私たちに多くの問題を突きつけているなと、あの日以来、ずっと私はこれを考えてまいりました。
 一つは、地球環境の問題。二つ目は、地球の資源、有限である資源の問題。三つは、安全、危機管理の問題。四つは、権利と利権にかかわる問題。五つは、地盤沈下の問題。そのほか、地球の持つ機能の循環性、あるいは、自然の摂理を超えた、限界を超えた人間の行為に対する法的な整備が追いつかない等々、大きな問題を提起しているなと、このことを私は感じました。
 初めに、国務大臣、あるいは環境庁長官を経験した知事も、この状況はテレビで映し出されましたし、それぞれ報告が入っていると思いますけれども、どんな感じを受けたか、感想を伺います。

○石原知事 あの爆発の光景をテレビで見ましたときに、なるほど、やっぱりこういうこともあり得るんだなと、しみじみ感じさせられました。つまり、今までも、地下水が必要で地下水を掘ったつもりが温泉が出たというケースはたくさんありました。何しろ日本は、世界最大の火山脈の上にある、こういう地勢的な条件でありますから、どこを掘っても温泉が出るのは当たり前でありますが、温泉のつもりが、今度はガスが噴出したということで、やっぱりそういうものもこの東京の地下に埋蔵されているんだなということを改めて認識しましたが、あれは本当に集積、集中した大都市の中での事故でありますから、昔、イブ・モンタンが出た「恐怖の報酬」という有名な映画がありましたけれども、ああいう大油田の大爆発は、ニトログリセリンが爆発して、吹っ飛ばして消すんですけれども、東京じゃ、とてもそんなことはできっこない。
 やっぱり消防も非常にてこずって、時間がかかりましたけれども、やっぱり我々、自分たちがいかなる国土の上にいるのかということの認識を新たにして、これは何も地震に対する警戒だけではなしに、地下に埋蔵されたそういう温泉というものの活用も、それは需要に応じるものでありましょうけれども、やはりきちっとした規制といいましょうか、規律といいましょうか、枠組みをつくってかからないと、この間のような事故の轍というものをまた踏むんじゃないかという懸念を抱いております。

○大木田委員 私も、今の知事の認識と全く同感なんです。東京には、現在、温泉の源泉が百二十九あります。二十三区には五十六カ所。しかも、温泉ブームの中で、毎年十件を超える掘削の申請が出されております。私もいろいろと専門家に聞きますと、なぜ南関東ガス田の、しかもメタンガスをかつては掘っていたところに、どうして許可されたのか。掘れば、こういうことが予想されるのは当然だ。今回の事故は、起こるべくして起きたんじゃないか。こういう指摘を多くの人がいっておりました。この掘削を許可した事実経過を説明していただきたいと思います。

○幸田福祉保健局長 今回の掘削現場は、南関東ガス田地域の周辺部に位置しているものの、近年の温泉掘削では、千メートルを超える地下まで掘られることが多く、都内いずれにおいても、ガス湧出の可能性があるといわれております。こうしたこともあり、自然環境保全審議会におきましては、温泉法の規定に基づき、専門家により、掘削地点、深度、安全対策などについて、一件ごとにさまざまな視点から慎重に審議しております。
 また、温泉掘削の許可に当たりましては、審議会の意見を踏まえ、事業者が十分なガス対策をとるよう、これまでも指導しているところでございます。

○大木田委員 私、都議会議員になって二十年になりますけれども、議員になったときに、北区の浴場、おふろ屋さんは百十四軒ありました。現在は五十七軒で、ちょうど半減しまして、それで、ことし一月六日、浴場組合の新年会に行ったんですけれども、あそこは日帰りの温泉ができる予定だったけれども、区議会に陳情を出しまして、それが全会一致で採択されて中止になったということで新年会で語られておりました、一月中旬には全部あの周辺にも、温泉掘削は中止します、この計画は中止になりました、こういうチラシがまかれていたわけですね。こういう地元的にはもう中止になっているところで、二月十日、こういう事故になった。
 まず、地元のこういう状況を、許可に当たってどうしんしゃくされたのかということと、じゃ、中止した業者は都の方へきちっと報告をされたのか、まずこのことを、報告をしたとするならば、そのときどういう指導をしたのか、伺います。

○幸田福祉保健局長 温泉法では、掘削、それから、温泉をくみ上げる動力装置の設置、利用と、三段階におきまして、それぞれ許可が必要とされており、その際、申請者に対し、掘削にかかわる関連法令を所管する保健所などの行政機関に支障の有無の確認を行うよう指導し、申請時にその結果を添付させております。
 また、お話しの地元事情につきましては、事業者に対して、地元関係者などと十分調整を図り、理解を得るよう指導に努めております。
 二点目の、今回の入浴施設の事業計画の中止につきましては、掘削工事がほぼ終了した一月に事業者から周辺住民に周知されましたが、都に対しては、事故が発生するまで事業者からは報告がございませんでした。事故直後に事業者から事業計画中止の報告を受けて、直ちに事情聴取を行い、事業継続の意思を確認したところ、明確な回答が得られませんでした。
 当該井戸は、ガス火災があったことから、現在、安全対策に配慮した暫定処理を適切に施しておりますが、掘削工事自体はまだ完了しておりません。今後、廃井も含めた取扱方針について、事業者に対し、できるだけ早く明確にするよう指導してまいります。

○大木田委員 いまだに明確な回答が得られないということですけれども、早くきちっとした報告を私は受けるべきである、こう思っております。
 今回の事故に当たって、業者の手抜きがあったのではないか。普通、千五百メートルを掘るのには、一メートル十万円かかるといわれております。ところが、最近では一メートル三万か四万で、いろいろと不況だとやっておりまして、ぎりぎりでやっている。
 火災が鎮火して、私、何回もあそこへ、現場へ行っておりますけれども、業者の責任者にたまたま会いまして状況を聞きましたらば、ガス遮断装置をつけて掘削したのか、非常にこの点があいまいでありました。
 申請ではガス遮断装置をつけるということが条件になっておりますが、私は、申請どおりこれをやっていたのかどうか。今回のように大量の水溶性ガスを含んだ水の噴出に備えて、爆噴防止装置、BOPが使われるのが普通ですけれども、今回は、穴をふさいで地下の噴水を抑えるだけのパッカーの装置になっていた。しかも、そのパッカーも現実にはつけないでやっていた。途中で許可者として、そういう状況をちゃんとチェックをしていたのかどうか。三点伺います。

○幸田福祉保健局長 今回の火災事故原因については、警察、消防が二月十二日に現場検証を行いまして、現在究明中でございます。
 今回の温泉掘削の許可に当たりましては、ガス湧出時の対策として、バルブ操作によるガス噴出防止装置を設置することが事業者から確認できたので、許可したものであります。しかし、事故現場で調査したところ、パッカーという種類の異なる防止装置が取りつけられていたことを確認いたしました。
 温泉掘削現場へは、工事開始時、掘削終了時、坑口閉鎖時の三回、立入検査を実施することとしております。本件については、昨年十二月の工事開始時に立入検査を実施しましたが、その際、現場で、ガス対策を含め申請どおりの内容で工事を実施することについて、現場責任者に確認をしております。

○大木田委員 私は百歩譲って、許可をしたということであれば、これだけのガス田があるということは過去にもデータでわかっているわけですから、当然BOPという装置をつけるということが、少なくとも条件にあってしかるべきだと思うんですね。
 温泉法は昭和二十三年にできておりますけれども、大都市における千五百メートルを掘っての、これは全く想定されてないわけです。
 東京都では福祉保健局が窓口になりまして、それから、環境局の自然環境保全審議会で答申をして、許可、申請があるということなんですけれども、私が調べた限りでは、申請があったところは全部許可されているというところで、法の空白の中でこれが回転をしているということで、まだ五十六件程度ですけれども、これがこのまま進むと、東京じゅうが穴だらけになってしまうというような問題があります。この点についてはいかがですか。

○幸田福祉保健局長 温泉法の規定では、温泉掘削に関しまして、他の自然資源の保護、利用との調和を図るため、自然環境保全審議会の意見を聞くことを求めるとともに、既にある他の温泉への影響や、その他公益を害するおそれがあるとき以外は許可しなければならないとされております。
 また、申請と許可がほぼ同数とのご指摘でございますが、申請予定者は事前に関係行政機関へ問い合わせた段階で断念するケースが多く、そのすべてが掘削申請に至らない実情にあることから、申請件数と許可件数がほぼ同数になっております。

○大木田委員 今回の事故を受けて、安全対策検討委員会を設置しております。安全基準ガイドラインをつくるといっておりますけれども、この検討委員会のメンバーを見ましたところ、四名でありますけれども、温泉学者が二人、地質学者が二人。なぜ都市計画とか、危機管理だとか、あるいは消防庁とか、そういう専門的な、総合的な視点でこの検討委員会をしないのか。
 二月十八日に第一回検討委員会をやったようでありますけれども、これまでの延長線上だけで安全基準のガイドラインをつくったとするならば、同じような事故が、また私は繰り返される。したがって、抜本的に構成メンバーを検討すべきでありますし、また、このガイドラインは、いつまでつくるのか、これを確認します。

○幸田福祉保健局長 今回の火災を契機といたしまして、直ちに市街地における温泉掘削の安全性を担保するため、地質学や土木技術などの専門家で構成いたします安全対策検討委員会を設置し、二月十八日に第一回を開催いたしました。また、次回の検討委員会からは、消防及びガスの専門家を加えまして、総合的な視点から検討することとしております。
 いずれにいたしましても、お話しの点も踏まえ、安全基準ガイドラインを本年五月を目途に取りまとめるよう努力してまいります。

○大木田委員 ぜひ早急にまとめてほしいと思います。
 したがって、市街地での温泉掘削作業にかかわる安全対策の抜本的なことはどうなのかと。立入検査の方法はどうなのかと。あるいは、ガスの噴出の際の対応策はどうするのかと。あるいは、掘削工事中にガスを測定する調査等をどういう方法でやるのかと。大都市東京ではこういうことをきちっとやらないと、一つ一つ確認してやったといっても、安全基準のガイドラインがないまま、これをやっている。終わってから対策、検討をつくるというのでは、泥縄的なんですね。したがって、このことについては早急に関係者を入れてまとめるべきだと思います。
 現在許可されている七件のところ、私はそのうち三件行ってまいりました。六本木ヒルズのすぐそば、西麻布では、五階建てのビルをつくって、これをエステに利用しようとしております。南青山では二カ所、許可がおりておりまして、一つは温泉つきマンションであります。もう一つは高齢者向けの温泉つきの有料老人ホームのようなものなんですね。有限である地球の資源を申請のまま許可していたら、一体どうなるのかと。
 石原知事も、大都市東京の足元には、現代土木技術があらゆる角度で張りめぐらされているということを常々いっておりますし、私も先日、知事とあれしたときに聞いて、環七の地下の調整池を見てきました。地下鉄だけで二百八十六キロ、横に掘られているわけです。下水、水道、ガス、電気、電話共同溝、地下のネットワークは大変なもので、地下の施設が大動脈、大静脈、神経となって東京の都市を支えているわけですね。
 こういう実態を見たときに、地球の温暖化、あるいは京都議定書も結構です。目に見えるところはみんな対応しますけれども、目に見えない地下、足元、ヒートアイランドも大事ですが、それも当然ですけれども、この目に見えないところのこれをどうするのかということなんですね。
 したがって、現在許可されている七件については、安全のガイドラインができるまで、この工事は延期してはどうか、こう思います。また、今、申請が出ている六件があるわけです。これについては、新しいルールができるまで凍結してはどうかと思いますが、いかがですか。

○幸田福祉保健局長 既に掘削許可を受け、これから工事に着手する案件につきましては、安全基準ガイドラインができるまでの間、掘削を控えるよう指導しております。また、温泉掘削許可申請を受理している案件については、申請者の理解を得て、審査を延期するよう努めてまいります。

○大木田委員 環境局が所管しております自然環境保全審議会の答申について、ことし一月十七日に答申がされておりますけれども、温泉許可の基準、個人利用に対する指導基準、温泉に関する情報の収集及び適正管理の検討という内容になっておりますけれども、今回の事故を見たときに、この答申の内容では私はだめだなと。もっと総合的なこのあり方を検討すべきである。
 大宅壮一さんが亡くなって三十年たちますけれども、これからは専門的なことはどんどんどんどん進んでいくけれども、なぜそれがそうなるかというもとのことを見失ってしまう。百千枝葉一根に赴くということがありますけれども、この総合的な根本のところがわからないと、これは幾ら専門といっても、大きな事故に最終的には結びつくんじゃないかな、こう思いますけれども、この点はいかがですか。

○幸田福祉保健局長 近年、都内市街地において温泉開発が増加していることから、温泉資源の保全と適正管理に加えまして、地下水など地下資源の保全、都市づくりとの調整など、関係各局と連携し、総合的な観点から温泉掘削のあり方について検討してまいります。

○大木田委員 平成十三年に大深度地下使用法というのができております。地下四十メートルまでは公的なものだということでなっておりますけれども、この法律について具体的にちょっと説明を伺います。

○梶山都市整備局長 いわゆる大深度地下使用法では、三大都市圏における地下四十メートル以深の空間について、公共性を有する道路、鉄道、電気などの事業者に対し、事前に補償を行うことなく使用権を設定することができることとしている法律でございます。

○大木田委員 今、大深度事業法で設定されているところは、どこもないわけですね。大深度法では、四十メートルが公的な権限なんです。温泉掘削は、千五百メートル掘ったらみんな個人のものなんです。これがどうなのかということで、きょうも与党では、国会の方で関係者を呼んで、この問題点を整理しているということを伺っておりますけれども、この辺のところがはっきりしていない。
 知事にちょっと伺いたいんですけれども、これから技術がもっと進んできます。資産家等が自分の庭に掘って温泉を利用するというようなことで、無秩序にこのまま東京が掘られていったら、一体どうなるのかなと。大都市東京における地下の利用、先ほど知事も総合的検討をいわれておりましたけれども、もう一度、この点について伺います。

○石原知事 今ご指摘の四十メートルを超した先のことは、やっぱり、要するに私権の問題であって、大事なご指摘だと私は思います。今まで、そこまで思いをはせていませんでしたが、いわゆる大深度地下使用法というのは、私が運輸大臣のときにいい出しましたんですが、妙に通産省が、地下のウエアハウスをつくるときにどうのこうので反対しましてね。あれは西武の堤氏が、所沢から新宿まで複々線にしたいんだけれども、とにかく真っすぐ引くと工費が安いんで、深度で掘るから、途中に駅もつくらないので、要するに何とか四十メートル以下を通してくれということだった。
 ところが、私はそのとき非常に合理的で結構だと思いましたが、結局できずに、今ある既存の線に沿ってジグザグに複々線化したようでありますけれども、そのときは、ここまでとっても思いをはせませんでして、東京で温泉を掘るような人もあんまりいなかったものですから、この問題がなおざりにされて、その後、かなり時間がたって、今度、私が知事になってから、遅まきながらこの深度地下の使用法というのができました。
 これは、ほかの地域と違って、東京のように密集していろんな大事な施設がある、インフラがあるというところで、また大規模な火災とか、温泉をくみ上げる作業が誘発した事故が起こったら大変だと私は思います。これはですね、やっぱり東京からでも案をまとめて、大都市にとってのこういった問題の意味合いがほかの地方とはかなり違うということを文明工学的にも説明して、東京の試案なり、東京ならではの要求というものを国に対してしていかなくちゃいけないなと、認識を改めたところであります。

○大木田委員 ぜひお願いしたいと思います。私は、大深度地下使用法が首都圏、近畿圏、それから中部圏になっておりますけれども、少なくとも大都市の三カ所ぐらいは、この地下千五百メートルを掘ることについては、今、知事がいわれたような指針をしてから、これからはやるべきではないか、こう思っております。
 次に、地下水の適正利用に関連してなんですけれども、東京は二十年前まで、井戸は五十メートル、百メートル掘っておりました。地盤沈下ということで、それをやめました。そしたら、今、地下水が復元しているんですね。地盤沈下したところはそのままですけれども、水があふれておりまして、上野駅や東京駅は、もう水圧があって、抜いて、抑えて、抜いているというような状況でありましてですね。
 それで、千五百メートルのガスを掘った場合、それが地盤沈下につながるのかどうか、私もわかりませんけれども、こういう地下の地盤沈下を含めて、この視点から環境局に見解を伺います。

○平井環境局長 地下水の過剰なくみ上げによる地盤沈下を防止するため、都は、環境確保条例や温泉法に基づきまして、地下水や温泉のくみ上げを規制しております。現在、地盤沈下は鎮静化しておりまして、一部には、お話しのとおり、地下水位が上昇している地域も見られます。
 今後は、新たな地盤沈下を引き起こすことのないよう十分に配慮の上、温泉も含めた地下水の適正管理のあり方について検討する必要があると認識しております。

○大木田委員 今回の火災は二十四時間にわたって燃え続けたわけでありますけれども、消防庁の懸命な消火活動、あるいは、さまざまな皆さんの協力によって鎮火しましたけれども、消防庁として今回取り組んでどういう感想を持ったかということと、出火原因が明らかになったのかどうか、この点を伺います。

○白谷消防総監 この火災は、周辺住民の安全を最優先に、延べ百二十七隊の消防隊を出動させ、火災により熱せられた掘削塔の倒壊を防ぐため冷却注水を行うとともに、専門家の意見を参考として、天然ガスの噴出をとめるため噴出口から止水剤を注入し、約二十四時間後に消火いたしました。本火災を踏まえまして、今後、このような特殊な災害の発生に備えるため、必要とする専門家との連携を一層強化してまいります。
 また、出火原因でありますが、火災現場付近には、噴出した天然ガスに引火した要因と考えられます、採暖用の石油ファンヒーターや照明用の電球がありましたが、詳細につきましては、現在さらに調査中であります。

○大木田委員 次は、指揮命令系統についてですけれども、今回、私も行って、現場はかなり混乱していました。三十五メートルの鉄塔が倒れるんじゃないか。避難命令が出たのか、自主避難するのか、どこへ避難するのか。北区も、花川区長もいて、私も隣にいたんですけれども、いろいろと夜の中で、この火がいつ消えるのかということで、かなり混乱をしました。だれが全体の指揮をとるのかということが見えないということで、このことは北区議会でも問題になり、北区としては、危機管理対応の基本指針をつくるということを今検討しているようでありますけれども、今後、区市町村の危機管理体制について都として支援していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○赤星総務局長 お話しのような自然災害や大規模災害などさまざまな危機に対処するために、危機管理体制を整備いたします市町村がふえております。都はこれまでも、危機管理に関します情報を提供するほか、特別区も参加いたしましたNBC訓練を実施するなど、区市町村の危機管理対応能力の向上を支援してまいりました。
 今後とも、危機管理担当者会議の開催や、より多くの区市町村が参加いたしました訓練の実施など、危機管理体制の強化に対する必要な支援を行ってまいります。

○大木田委員 危機管理体制の会議等初めて開くということでありますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それで、今回の突発的に起きたこの事故ですね。限られた場所でのこういう災害が、しかも火災が長期に続くというような状況は--いろいろと今回のケーススタディは、東京都の各局も関係者が集まって、ぜひ一度このことをテーマに、突発的な小規模の災害における危機の対処のあり方、関係局との連携のあり方等をぜひ検討していただきたいと思います。いかがですか。

○赤星総務局長 突発的な事故はさまざまでございますので、都が行政としてできることには限界がございますけれども、今後、各局、区市町村、関係機関とともに、それぞれの役割分担を踏まえまして、対象とする事故等の範囲、体制を再検討しつつ、対処能力の向上に努めてまいります。

○大木田委員 今、石原知事、いろいろとやりとりをいたしました。東京直下型地震もいろいろと今いわれておりますけれども、今回のガス爆発を検証してみますと、多くの課題があるなというふうに思いました。
 したがって、これを一つの教訓といたしまして、また検証していただいて、東京の直下型地震、いろんなことが今いわれておりますけれども、これについての、大規模な災害が起きたときの東京都の危機管理体制のあり方について、改めて知事に見解を伺います。

○石原知事 日本は、繰り返し申してまいりましたけども、世界有数の火山国でありまして、質問にもありましたように、どこ掘っても温泉が出るていたらくで、この東京に直下型の地震が起こる可能性は非常に多いわけであります。ゆえにも、可能な限りの対策、備えというものを講じていく必要があると思います。
 ゆえにも、都は平成十五年度に知事直轄の危機管理監を設置しまして、実践的な訓練を積み重ね、防災力も高めてまいりました。
 また、東京都では賄い切れない問題がたくさんございますので、たまたま九・一一のときには私はワシントンにいまして、アメリカはそれで足りないということでもっと大きな組織をつくりましたが、やっぱりアメリカのあのFEMAなるものは非常によく活動したので、国にも建言しました。国は何か非常に動きが遅いということで、神奈川、埼玉、千葉の四県ですね、首都圏を構成している四県ではいわゆる首都圏FEMAというものをつくりました。ネットワーク、連絡のネットワークもつくってまいりました。平成十七年度には防災会議で被害想定や地域防災計画の見直しにも着手するつもりでございます。
 しきりにこのごろ、中越とスマトラのああいう災害が続きましたんで、今度は東京だというんで、ちょっと、何かメディアもあおり過ぎているような嫌いがないでもないんですが、いずれにしろ私たちは備えは常にしていかなくちゃいけないと思っております。
 ただ、本当にどこに地震が直下型として発生するかによって、東京の町の構成も地域地域によってかなり違いますので、万全の策というのはなかなか難しゅうございますが、いずれにしろ、冷静に現状を把握して着実な手だてを講じて、大規模災害への備えを進め、危機管理体制を重視していきたいと思っております。

○大木田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、東京にある四つの文士村に関連して、文士である石原知事に伺いたいと思います。
 知事は、かつて日本のモンマルトルといわれた田端地域ですね、これは私の家のすぐ近くなんですけれども、大正時代、芥川龍之介、室生犀星、萩原朔太郎等が出て、日本の近代文学の夜明けとして若い才能が集まりまして、いろいろとこう--東京には、大田区の馬込は石坂洋次郎等が出て、馬込は百人単位ですね、それから落合では林芙美子等、あるいは杉並の阿佐ヶ谷は井伏鱒二等が出て、四つの文士村があります。
 先日、関係者で第一回文士村サミット会議というのを私、座長で行いまして、いろんな意見を聞きました。そうしましたら、区は区なりのいろんな対応はしているんですね。だけれども、東京都がもう一歩力を入れて対応して、支援の面とかいろんな面で対応していただけると大変ありがたいと。
 アニメフェアも大成功しておりますし、先日、知事が提案したオペラの森の小沢征爾さんとの関係も、東京都が一つあれを取り上げていただくことによって--この四つの文士村を核といたしまして、例えば太宰治の記念館は三鷹にありますし、また樋口一葉の台東区とか、いろんなものがそれを核にして、文学という視点でこれを取り上げたら大変いいんではないかなと。
 私もかつて武者小路実篤さんと谷川徹三さんと、枯淡の境地で人生を語るという司会をやったことがあります。それから、井上靖さんと東山魁夷さんと、美しさを求める人間の心というテーマで、いろいろと司会をやって、いろんな文学談議もいたしましたけれども、ぜひそういう観点から、この文士村について、文士の知事に期待したいわけですけど、この点についていかがでしょうか。

○石原知事 文士というのは非常に懐かしい言葉で、私もその一人に加えて大変光栄でございますが、このごろはどうも物書きはいても文士はいなくなっちゃったんですね。かつて私の衆議院の選挙区でありました大田区の馬込も、おっしゃった方々以外に東郷青児とか尾崎士郎とか宇野千代さんとかですね--ただ私もそういう名前を覚えていて、あのあたりに行ってみますと、もう全く町並みが変わって、まあ、それを村として残すというのはとても至難というか、その以前に町が変わってしまいました。
 それから、鎌倉文士。私も逗子に住んでおりましてね、横須賀線で東京へ出入りするのは鎌倉文士、私もその一人だったんですが、これも全くもう顔ぶれも変わって、今は何人かの物書きがおられるけども、鎌倉文士というものも実質的に存在しない。
 ですから、村という形でこれをくくって残すというのは難しいでしょうけど、おっしゃったとおり、一葉もお札になってブームになりつつありますが、やっぱり東京って何でもあって、みんな珍しくないんですけど、実は文学という大事な担い手で、かつてすぐれた、要するに感性がいた、そこに住んでいた。
 確かに、東京都がまとめて東京都全体の文学案内というんでしょうか、そういうものをつくることは必要だと思いますけども、個々の村ということになると、阿佐ヶ谷だって吉祥寺だって、もう変わり果てましたからね。そういう点で、村というコンセプトで物を保存するのはかなり難しいと思いますけれども、そういうものを念頭に置きながら、東京都のイニシアチブで、東京全体の文学地図のようなものをもう一回つくり直すということは、観光のため有益だと思います。

○大木田委員 ぜひ光を当てていただきまして、今、国語力が低下とか、教育の問題もありますけれども、こういうところから総合的に複合的にこういう教育の地盤をつくっていくことは大変重要だと思っております。
 次に、ナショナルトレーニングセンターと十条駅の立体化に関連して伺います。
 JR埼京線の十条駅の立体化のことは、今、北区で最大の課題であります。私はこの問題は今まで本会議と委員会で八回取り上げてまいりました。赤羽付近が終わったら十条に入りますよという答弁をずっといただいているんですけれども、いまだに足踏みの状態でありまして、めどが立っておりません。
 そういうときに、西が丘の自衛隊の跡地にナショナルトレーニングセンターができるということで、これは既に、先日、数年前に国立スポーツ科学センターができました。オリンピックでメダルを獲得するためにこれで強化すると。北島選手を初めいろんな方が来て、今回アテネで三十七個、金メダルだけで十六個ということで、今回はそのすぐそばに総合体育館、ナショナルのですね、それから総合グラウンド、それから国立国語研究所のところに宿泊施設もつくるという、一大オリンピックのそういうステーションができるわけですけれども、小泉総理も、北京オリンピックに向けて、これは徹底して前倒しでやろうということで、地元の協力もぜひお願いしたいと、こういわれているわけですけれども、このトレーニングセンターと、その玄関となるのが十条なんです。したがって、そこが、非常に海外の人も多く来ますし、この立体化が急がれるわけでありますけれども、このまちづくり、これをぜひ知事に伺いたいと思います。
 あわせて都市整備局長に、この十条の立体化は、周辺の木密のまちづくりが大変なんです。かつて岡本さんという建設省から来た方が住宅局の総合部長のときに、木密をどうするかという、ここをもとにして法律までつくっていただいたんですけれども、立体化と関連していますから、これがなかなかいまだに進まないということと、それから補助八三号線の拡幅がここへまた絡んでおりまして、この三つが--しかも、埼京線も立体化が進みますと、今二三〇%の最大の混雑で、痴漢問題が発生して、竹花副知事も努力されて、今度、女性専用の車両もできる、朝もできるということで、私も時たま乗るんですけど、まさに私が板橋の駅から乗るときは乗れない状態なんですね。したがいまして、この十条駅を含めた立体化と、それから東西にわたる木造密集地域、それから補助八三号線の問題、ぜひ知事と都市整備局長に伺いたいと思います。

○石原知事 国立スポーツ科学センターについては聞き及んでおりますけど、私はやっぱり、社会主義の国では、公私混同というか、めちゃくちゃで、国費を投じてスポーツの選手を養成して国威発揚しておりますけど、まあ日本は自由経済社会でそうもいきませんが、しかし、やはり国力というものを示す、しかも平和裏にそれを示す大事な手だと思います。
 これを充実したいと、総理が特に前倒しでもやるといっているならば、かつて東京の混雑の解消のために、森君が総理しているときに、現場まで連れていきまして、そこで予算をつけさせましたが、今度総理連れていきますよ、私これ、暇になったときに。(大木田委員「ぜひ、お願いします。ぜひ」と呼ぶ)そのときにひとつねじ巻いてください。やりましょう、一緒に。

○梶山都市整備局長 十条地区は、老朽木造住宅が密集し都市基盤が脆弱であるなど、防災面での課題が多いため、防災都市づくり推進計画で重点整備地域に位置づけられております。
 このため、都は昨年六月に十条地区都区連絡会を設置し、JR埼京線の立体化、木密地域の改善、補助第八三号線の整備など、まちづくりの検討を行っております。
 駅の東側の地区では、今後速やかにまちづくり協議会を設置し、合意形成を進めながら、木密事業の導入を図ってまいります。
 また、駅西口においても、再開発に向けた地元の機運が高まりつつございます。お話しのナショナルトレーニングセンターの整備も一つの好機ととらえ、引き続き区と連携し、地元のまちづくりを推進してまいります。

○大木田委員 以上で終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○前島副委員長 大木田守委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

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