東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○樺山委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十号議案までを一括して議題といたします。
 十一日に引き続き総括質疑を行います。
 清原錬太郎委員の発言を許します。

○清原委員 質問を始めます。
 初めに、固定資産税についてお伺いいたします。
 固定資産税は、都民の暮らし向きや働く場にとって極めて身近な税であることから、私は、都議六期二十四年の中で、この固定資産税の問題を、都民が東京に住み続けることができ、また働く場を引き続き確保していくためにも、過大な負担にならないようにとの観点から、主要なテーマとして取り組んでまいりました。
 私の経験から申し上げますと、固定資産税制における課題は、評価と税負担、この二つにあるといい尽くすことができます。
 まず、評価の問題についてでありますが、地価の下落期においては、三年に一度の基準年度における評価替えでは納税者に不利になります。下落前の高い評価額に基づいて、固定資産税が算定されるからであります。
 そこで、私は、評価替えのない平年度であっても簡易な評価替えを行うという、地価公示価格へのスライド制の導入を提案いたしました。ようやく平成九年度の税制改正において、平年度であっても、地価が下落しているときは、簡易な評価替えにより、固定資産税評価額を引き下げることができるようになりました。
 そこで、まず、この簡易な評価替えは、その導入によりどのような効果があったか、お伺いいたします。

○山口主税局長 お話しのとおり、平成九年度の税制改正におきまして、三年に一度の評価替え以外の年度におきましても、簡易な評価替えを行い、地価下落を評価額に反映することができる制度が創設されました。
 その効果を申し上げますと、負担水準が上限に達している土地につきましては、地価下落が直ちに税負担額の軽減につながりますとともに、固定資産税評価額の算定の基礎となっています不動産取得税、登録免許税等の負担が軽減されるというものでございます。

○清原委員 次に、負担の問題についてであります。
 平成十二年度当時、二十三区の商業地等の負担水準の平均は六九%であったのに対し、他県、例えば沖縄県では二八%という低い水準にありました。全国ベースで負担水準の大きな不均衡が生じておりました。
 このような不均衡に着目し、平成十四年度には、知事の英断により、非住宅用地の二割減免の措置が導入されました。この措置は、当時の厳しい経済状況の中で、中小企業者や個人の方々にとって非常に大きな効果を持つものでありました。ただ、対象が限定されていることから、負担の不均衡を抜本的に是正するというものとはなりませんでした。
 今定例会に提案されている、二十三区の商業地等の固定資産税、都市計画税の負担水準の上限を七〇%から六五%に引き下げる措置は、負担水準が高い土地について、所有者や面積にかかわらず、一律にその効果が及ぶものであり、私のこれまでの主張の一部が実ったものとして、私は高く評価いたしております。
 そこで、お伺いいたします。
 この新たな措置の導入により、二割減免とあわせ、平均的な商業地等の税負担はどの程度軽減されるのでしょうか。都民の方々によりご理解をいただくため、都心区、周辺区について、それぞれ具体的な事例でお示し願います。

○山口主税局長 例えば、港区新橋駅付近の面積七十九平方メートル、一平方メートル当たり評価額八十二万円の土地について申し上げますと、軽減前の税額七十七万円、負担水準の上限引き下げ及び二割減免による軽減額二十万円でございまして、軽減後の税額は五十七万円であります。
 また、足立区北千住駅付近の面積百二十九平方メートル、一平方メートル当たり評価額二十五万円の土地について申し上げますと、軽減前の税額三十八万円、軽減額十万円で、軽減後の税額は二十八万円でございます。

○清原委員 今回の新たな措置により、二十三区の商業地等の負担水準は六〇%から六五%の範囲内に収れんし、税負担の一層の均衡化が図られることになります。最終的には、この幅をさらに狭め、土地ごとに負担が均衡し、同じ評価額の土地は税負担も同じになるよう、評価額と税負担を完全に連動させていくことが今後の課題と考えます。
 また、固定資産税は、都民にとって身近な税であるだけに、納税者みずからが税額計算ができるような、わかりやすい仕組みにすることが必要です。現在のような複雑な計算過程を経ないで、納税者が自分で評価額からできるだけ簡単に税額を求めることができる、わかりやすい制度に抜本的に改革していく必要があると考えます。
 都は、今後とも、固定資産税制のあり方について、積極的に検討し提言していくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○石原知事 国は、バブルの生成、そして崩壊の過程で、固定資産税の税制について十分な対応ができたとはいえないと思います。結果として、現行の制度は、東京というほかに比べても非常に特性の強い地域にあって、負担の不均衡などさまざまな問題を派生したと思います。
 このため、都は、小規模非住宅用地の減免や、今回の商業地などの負担水準の上限引き下げなど、独自の措置を講じてもまいりました。しかしながら、ご指摘のとおり、現在の固定資産税は、制度そのものが極めて複雑で、都民にわかりにくいものとなっておりまして、抜本的な見直しが必要であると思います。
 今後とも、東京都の税制調査会などで積極的に検討していただきまして、政府に抜本的な、そして公正な改正を建言し、求めていくつもりでございます。

○清原委員 次に、新銀行についてお伺いします。
 中小企業への融資を効果的に行うためには、迅速な資金供給を可能とすることが重要であると考えます。七月から取り扱いを開始する新銀行の主力商品であるポートフォリオ型融資は、融資申し込みに際して、審査に必要な書類を添えて申し込むことになると思いますが、新規お客の場合には三営業日以内に、また既に取引のある先には翌日に、融資実行の可否をスピード回答できるとのことですが、具体的にはどのような手順で審査を行うのか、お伺いいたします。

○津島新銀行設立本部長 店舗での融資受け付けを例に概要をご説明いたしますと、まず、申し込み受け付け時に決算書等の融資審査に必要な書類をご提出いただくとともに、代表者面談を行い、資金使途や業務内容、業況等について確認をいたします。
 その後、提出された書類や受け付け時の確認事項をもとに、スコアリングモデルを活用した自動審査などとともに、現地調査を行い、これらの結果をもとに、融資可否と貸出条件の決裁を行い、その結果をお客あてに通知いたします。
 以上のように、新銀行におきましては、自動審査システムの活用により、審査開始から貸出条件の通知までの一連の審査手続を三営業日以内で処理することで、迅速な資金供給を目指しております。

○清原委員 審査プロセスについてはわかりました。
 一部には、決算書等の書類がつくれない事業者は融資を受けられないと批判する意見もあるように聞いております。新銀行が民間銀行として、経営の健全性を確保しつつ融資を行うためには、個々の中小企業等の業況を適切に把握しなければならないわけであります。決算書等の書類は当然必要であると考えます。
 そこで、さらに具体的にお伺いしますが、実際に中小企業が融資を申し込む際には、決算書を含めて、どのような書類が必要となるのでしょうか。個人事業主の場合の必要書類とあわせてお伺いいたします。

○津島新銀行設立本部長 法人の場合、直近二期分の決算書を含む税務申告書、代表者の本人確認資料、商業登記簿謄本、直近の納税証明書、決済用口座の通帳等、さらに設備資金をお借りの方は、資金使途のわかる資料が必要となります。
 また、個人事業主の場合は、法人の場合の税務申告書にかえまして、直近二期分の青色申告書の提出が必要でございます。
 なお、申し込みに当たりましては、電話等で十分な事前説明を行うことで、できる限り一回の来店で申し込みが可能なよう配慮してございます。

○清原委員 新銀行の融資では、説明のあったスピード融資に加え、第三者保証が不要であることも大きな特徴であります。法人と個人事業主の場合とで、その取り扱いに違いはあるのでしょうか、お伺いいたします。

○津島新銀行設立本部長 お話しのとおり、法人、個人事業主、いずれの場合でも、原則として第三者保証は不要でございます。
 個人保証につきましては、法人の場合は代表者自身の保証が必要であり、共同代表の場合は全員の保証が必要となります。
 また、個人事業主につきましては、例外として、融資申し込み時の年齢が一定以上の高齢の場合には、本人の相続人もしくは事業承継者の第三者保証が必要となります。

○清原委員 新銀行でスムーズな融資が受けられるのはわかりましたが、返済を延滞した場合の対応はどうなるのでしょうか。甘い対応では経営に影響が出てくるのが心配になりますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。

○津島新銀行設立本部長 返済が滞った場合には、速やかにその発生理由を把握、確認するとともに、経営改善などの可能性を十分追求し、新銀行として、債権の正常化に向け最大限の努力を行います。
 その上で、返済可能性が著しく低下した場合などには、再度、経営状況を分析、把握し、再建の可能性を判断した上で、最終的には企業再生ファンド等へ売却するなどの直接償却を行います。
 こうしてオフバランス化を適正に行うことで、高いリスク負担能力を維持するとともに、健全な財務体質を確保することで、中小企業への融資を恒常的かつ着実に実施してまいります。

○清原委員 新銀行が中小企業融資を基本として事業を展開していくためには、新銀行も積極的に融資を行うとともに、中小企業も返済などをきちんと行うことで、新銀行、中小企業がともに育っていく環境をつくっていくべきであると考えます。
 次の質問に移ります。
 昨年七月に豊洲新市場の基本計画が公表されました。新市場は、今後、五十年、百年の長い期間にわたり対応できるものでなければならないと考えます。この長い期間には、我々が予測できない技術の進歩や流通の変化があると思います。新市場は、こうした時代の変化にも十分に対応できるものと大いに期待をしているところであります。
 現在、新市場の建設計画が進められておりますが、どのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。

○森澤中央卸売市場長 新市場は、将来にわたり、首都圏の食生活を支える基幹市場としての役割を果たしていく必要がございます。
 このため、基幹市場に不可欠な食の安全・安心を確保するための高度な品質管理、効率的な流通システム、多様な取引への対応などの機能を実現していくことが重要であると考えております。
 現在、都と市場関係業者とで、将来の流通の変化も念頭に置いて検討を重ねているところでございます。

○清原委員 将来にわたって、首都圏の基幹市場としての役割を果たしていける市場をぜひ実現してもらいたいと思います。
 ところで、施設整備に係る経費は、基本計画に千三百億円と示されております。都の整備に係る経費は、原則的には、市場業者からの使用料で賄われることになります。現在、市場業者の経営状況は厳しく、使用料の負担が大幅にふえると、新市場での営業を希望しても移れない業者が出てくるのではないかと懸念されます。
 新市場の整備に当たっては、市場業者の経営状況を十分踏まえた検討もあわせて必要ではないかと考えますが、お伺いいたします。

○森澤中央卸売市場長 市場業者の経営状況は厳しい状況にあると認識いたしております。新市場の施設整備に当たりましては、基幹市場としての機能を確保する一方で、市場業者の負担を考慮しますと、建設コストなどを精査していく必要があると考えております。
 施設の規模や配置の具体化に当たっては、こうした点を踏まえ、都と市場関係業者とで十分検討し、適切に対応してまいります。

○清原委員 新市場は、都民ばかりでなく、一都六県の三千三百万人の食生活を支える、首都圏の基幹市場としての公的役割を担っていくものであります。
 このことを考えますと、新市場にかかわる経費については、使用料として市場業者にすべて負担させるのではなく、公的役割も踏まえて検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○森澤中央卸売市場長 現行の使用料の考え方でございますが、公営企業の会計原則に従いまして、取引の指導監督などの行政的経費を除いて、市場の施設整備や維持管理に要する経費につきましては、すべて市場業者の負担する使用料によって賄うことといたしております。
 新市場の整備に当たっては、現在進めています市場財政の抜本的見直しの中で、使用料のあり方について、受益と負担の関係や公的役割も踏まえて、総合的な観点から鋭意検討してまいります。

○清原委員 さらに市場業者に大きな負担を課すことのないよう、新市場の運営に当たっては、使用料以外の収入を上げる方策もあわせて検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがでございましょう。

○森澤中央卸売市場長 新市場の運営に当たっては、開設者として、支出の抑制や収入の確保を図ることが必要であると考えております。
 このため、今後、新市場の運営のあり方を具体化していく中で、さまざまな角度から事業収入の確保策につきましても検討してまいります。

○清原委員 新市場における市場業者が将来の流通の変化にも十分に対応できるよう、経営基盤を強化していくことは重要であり、このための市場業者の負担の軽減は、今後、市場建設を進めるに当たっての最大の課題であると私は考えます。
 このために、適切な施設規模や華美にわたらない施設整備、基幹市場としての公的役割、これまでの市場にはない、千客万来施設からの収入の活用などについても、十分に検討を重ねていただきたい。
 それでは、次に移ります。
 運河ルネッサンスについて伺います。
 東京都は、昨年、運河ルネッサンス構想を発表し、その先導的モデル地区として、港区の芝浦地区と品川区の天王洲地区を選定いたしました。
 その趣旨としては、六十キロメートルに及ぶ東京港の運河を再生し、活用することによって、地域住民や都民の安らぎの場をつくり出すのと同時に、運河を観光資源として生かしながら、人々のさまざまな交流を促進することにより、地域の活性化を図るものと理解しております。
 この東京都の意向を受けて、芝浦と天王洲地区では、運河を生かしたまちづくりの取り組みが検討されております。
 また、現在、芝浦地区においては、いわゆる芝浦アイランド構想ということで、一万人規模の大規模住宅開発が進められようとしております。
 そこで、芝浦アイランドでは、開発事業者と地元との連携をどのように図り、運河ルネッサンスを進めようとしているのか、所見をお伺いいたします。

○成田港湾局長 周囲を運河に囲まれた芝浦アイランドは、水辺の立地特性を生かしまして、運河と一体の開発が進められております。
 運河ルネッサンスは、地域からの発意に基づき地元が中心となり進めていくものでありまして、地元の商店会やアイランドの開発事業者など、地域の関係者が運河の活用案について話し合い、相互に協力していくことが重要であると考えております。
 都は、地元の提案する取り組みが円滑に進むよう、水域利用等の規制緩和、話し合いの場として今後設置予定の協議会への協力など、必要な支援を行ってまいります。

○清原委員 ところで、芝浦アイランドがきれいに整備される一方で、その周辺に目を移しますと、遊歩道が整備されていない護岸や、老朽化した護岸が見受けられます。運河を生かしたにぎわいづくりとはいえ、その舞台となる施設や水域を魅力的なものにしていく必要があります。
 そこで、都は、魅力ある運河づくりに、みずからどのような取り組みを行っていくのか、所見をお伺いいたします。

○成田港湾局長 ご指摘のように、運河を生かしたにぎわいづくりのためには、護岸や水域を魅力的にしていく必要がございます。
 このため、都は、周囲の景観や環境にも十分配慮いたしまして、護岸の整備、改修を行うとともに、水質浄化を図るためのしゅんせつを実施しているところでございます。
 また、今回のような運河沿いで民間開発が行われる場合には、オープンスペースや回遊動線の確保などにつきまして、計画段階から地元の区や住民等とも調整を図り、民間事業者の協力を得て、魅力ある運河づくりを進めてまいります。

○清原委員 私は、都はこうしたハード整備だけでなくて、ソフトの面でも、目に見える形で協力をすべきであると考えます。
 例えば、運河まつりへ都が船を出して、花に飾られた船がメロディーとともに進むパレードを行うとか、あるいは防災啓発のパネル展示や運河まちづくりに関するコーナーを設置するなど、都としていろいろな形で参加することが可能かと思います。
 そこで、私の地元の芝浦運河まつりなどのイベントに、都は積極的に参加すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○成田港湾局長 芝浦地区におきます地元商店会など地域が一体となって行う運河まつりは、運河のにぎわいを創出する企画として注目しております。
 ただいまのご提案につきましては貴重なものとして受けとめ、運河ルネッサンスを推進する地元協議会や地元区とも相談し、実施方法等について検討してまいります。
 なお、こうした芝浦地区での取り組みが、他の地区とも連携し、水の都・東京の復活を象徴する東京港運河まつりと呼べるような、大きなイベントに発展することを期待しております。

○清原委員 ぜひ、東京港運河まつりを一日も早く実現するよう強く要望します。
 港区から運河のまちづくりを進め、名実ともに、東京港の運河ルネッサンスの実現を目指していただきたいと思います。
 さて、運河周辺には貴重な観光資源となり得るものが多くあります。芝浦には協働会館と呼ばれている芝浦見番跡があり、貴重な民族的歴史建造物であります。この芝浦見番跡は、花街としての華やかな芝浦の歴史を象徴する建物であります。地元連合町会や芝浦商店会を初め、多くの人がこの芝浦見番跡を現状保存し、運河ルネッサンス構想の目的の一つである観光資源の観点から、これを再生し活用したいという希望を抱いております。
 そこで、この民族的歴史建造物である芝浦協働会館を保存したいという地元の希望をかなえてあげてほしいと考えますが、都の所見を伺います。

○成田港湾局長 お話しの芝浦協働会館につきましては、昭和十九年に港湾労働者の宿泊施設として都が買い受け、供用してまいりましたが、老朽化が著しく、利用困難と判断し、去る平成十二年に廃止したものでございます。
 既に、建築後約七十年を経た木造建築物であり、昨年の相次ぐ台風襲来の影響も受け、屋根や壁、天井などの劣化がさらに進んでおります。
 都といたしましては、このような状況を踏まえつつ、地元区等とも調整しながら、必要な調査を行い、今後の対応を定めてまいりたいと考えております。

○清原委員 芝浦協働会館の活用についてはよく調査をしていただきたい、こう考えておりますので、よろしくお願いします。
 運河ルネッサンス構想を成功させるためには、観光資源としての運河と水際を再生することはもとより、先ほどの芝浦協働会館の活用を初め、運河周辺の陸地との連携による広域的な取り組みによって、地元が活性化する波及効果も重要であります。
 そのためには、陸地にある観光資源の発掘が大事な要素となると思います。地元のことを一番よく知っているのは地元の皆さんです。運河ルネッサンスには地元の企画や提案を生かし、運河周辺の観光資源の発掘と活用にも積極的に取り組んでいくべきであると思いますが、ご所見を伺います。

○成田港湾局長 にぎわいや魅力ある運河づくりに結びつきます地元からの企画やご提案につきましては、地元区や関係機関とも十分調整し、その具体化について検討してまいります。
 お話しのような、運河周辺の観光資源を発掘、活用して、運河の再生に結びつけていくことは、運河ルネッサンスを一層豊かなものにするものでございまして、大切な取り組みであると認識しております。

○清原委員 次に、古川の水害対策についてお伺いいたします。
 港区内を流れる古川の川沿いは、過去たびたび水害が発生しております。
 昨年も、十月の台風で家屋の浸水被害が発生し、地域住民の生活に大きな影響を及ぼしたほか、麻布十番駅の浸水による地下鉄南北線の運休や明治通りの道路冠水による通行どめなど、都市機能の麻痺により、社会経済活動にも支障を来したところであります。このため、早急に古川の水害を解消することは、地元住民の切実な要望であります。
 昨年の台風では、神田川の環七地下調節池が多大な治水効果を発揮したように、密集した市街地における治水対策には、地下調節池を整備することが最も効果があると考えます。
 さきの第四回定例会での我が党の代表質問に際して、古川において地下調節池整備の調査検討を行っている旨の答弁を得ていますが、現在、古川の地下調節池について具体的にどのような検討を進めているのかお伺いいたします。

○岩永建設局長 古川は、流域の市街化が著しく、水害の危険性が高いことから、重点的に整備を進める河川の一つであります。しかし、川沿いにビルや高速道路の橋脚が建ち並び、河川の拡幅による整備が困難であります。
 こうした状況を踏まえまして、現在、拡幅にかわる整備手法について基本的な調査検討を行っております。
 地下調節池につきましては、地下鉄や高速道路などに考慮しつつ、施設の規模や位置などについて技術的な検討を進めております。

○清原委員 これまでのたび重なる古川の水害により、地元住民が受けた労苦ははかり知れないものがあります。古川の水害解消は、都民が安心して暮らしていくための喫緊の課題であります。
 神田川の例では、大規模な工事である地下調節池事業の完成には、少なくとも十年程度の年月を費やしております。
 古川においては、早急に地下調節池の事業化を図るとともに、実施に当たっては、施設がすべて完成するのを待つのではなく、できたところから洪水の一部を調節池に取り込み、一日でも早く効果を発揮させる工夫をするなど、水害の解消に取り組むことが必要と考えるものであります。
 そこで、古川の地下調節池の事業化に向け、今後どのように進めていくつもりかお伺いいたします。

○岩永建設局長 古川の水害の解消には、最近の浸水被害の実態を踏まえ、地域の特性に配慮した治水対策を進める必要があります。
 また、地下調節池につきましては、都市施設が錯綜する現地の状況を考慮した効果的な治水施設の構造検討に加え、コスト縮減などの課題がございます。
 お話の古川の早期治水対策の必要性は十分認識しておりまして、こうした点につきまして引き続き検討を進め、水害対策に取り組んでまいります。

○清原委員 人口や資産が集中した古川沿いにあっては、今後も大雨のたびごとに浸水被害が発生するおそれがあります。早急かつ抜本的な水害の解消を図ることは、都の河川事業の中でも最優先に解決すべき課題であります。
 重ねて、古川の地下調節池の一刻も早い事業化を切に要望いたします。
 次に、まちづくりについて質問いたします。
 現在東京では、そこかしこで都市再生のつち音が響き、大規模な都市開発が行われております。これらの開発では、斬新な高層ビルにあわせて広場や遊歩道などのオープンスペースが整備されています。
 しかし、都市の再生とは、単に整然とした新しいまちをつくることではなく、そのまちに人々が集い、交わり、にぎわうなど、生き生きと活力にあふれたまちに生まれ変わって、初めて東京の再生が図られると考えております。
 そのためには、まちに人々をいざなうような仕組みが必要であります。都市開発により斬新な建物が整備されても、しっかりした仕組みをつくらないと、最初は物珍しく外観の魅力に引かれて人々が訪れたとしても、すぐに飽きられてしまいます。
 観光客やリピーターが出現するような、人々をまちに継続的に引きつける仕組みづくりこそが大切であります。
 都においては、このような取り組みを支援する意味も含めて、東京のしゃれた街並みづくり推進条例でまちづくり団体の登録制度を創設したのではないかと思います。
 この制度のそもそものねらいと、現在の制度の活用状況についてお伺いいたします。

○梶山都市整備局長 まちづくり団体の登録制度は、地域の魅力の向上、にぎわいの創出に寄与するまちづくり活動を支援していくための仕組みでございます。
 登録された団体は、特定街区などの都市開発諸制度により設けられた公開の広場などを、地域のまちづくり活動に積極的に活用できることになっております。
 現在、まちづくり団体に六本木ヒルズや汐留シオサイトなど四団体が登録しており、それぞれの地域の特性に応じた活動を行ってございます。

○清原委員 都は、千客万来の国際都市東京を標榜し、国際ビジネス機能の強化や観光振興に力を入れています。私は、地域経済の活性化や地域コミュニティの育成も、忘れてはならない重要な課題であると考えております。
 この制度が地域の魅力の向上などに寄与するとのことでありますが、それでは、登録団体が行っている活動は、地域の魅力向上などにどのように貢献しているのかお伺いいたします。

○梶山都市整備局長 登録団体においては、公開の広場などを、コンサート、大道芸などのイベントにより、観光客などを集客する場として、また地域住民を対象とした季節行事や朝市などの地域コミュニティの場として、さらにチャリティーコンサート、献血などの社会貢献活動の場として活用しており、観光振興や地域コミュニティの育成などの面で貢献していると考えております。

○清原委員 六本木ヒルズや汐留シオサイトなどにおいては、オープンスペースを有効に活用したコンサートや、パリで見られるようなオープンカフェなどが新聞にも取り上げられ、国の内外から多くの観光客が訪れ、好評を博しております。この結果、六本木ヒルズ周辺では、麻布十番の商店街や六本木の商店街あたりまで来訪者が回遊し、経済波及効果があらわれています。
 このように、現在でも地域経済の核となっており、今後、防衛庁跡地開発や東大生研跡地の国立新美術館が完成した暁には、さらに麻布や六本木かいわいのみならず、幅広い地域が繁栄するものと期待されております。
 このため、このような都市開発プロジェクトの効果的な活用をさらに促進していくことが、都市再生の観点からも必要であると考えております。
 ここ数年の都市開発プロジェクトの数からいえば、もう少し登録団体がふえてもよいと思いますが、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 都においては、昨年十一月に都市開発プロジェクトの事業者へ、まちづくり団体登録のアンケート調査を行ってまいりました。区域や公開の広場の面積などの制度適用の要件を満たしている三十二地区から回答を得たところでございます。
 そのうち、登録について意欲的な回答が十九地区から寄せられ、魅力あるまちづくりへの関心は比較的高いものでございました。
 このようなことから、今後事業者への働きかけをより積極的に行い、登録団体の拡大を図り、にぎわいの創出に努めてまいります。

○清原委員 これからの都市再生においては、まちの管理のみならず、地域全体の活性化を図るような地域経営の視点が重要であります。
 一つ一つの都市開発プロジェクトを契機に、地域経営の視点のもと、隣接する他のプロジェクトとの交流、連携を図ることにより、地域全体、ひいては東京全体の活性化が図れるものと確信しております。
 以上、意見を申し述べまして、まちづくりについての質問を終わります。
 以上で私の質問を終わりといたします。
 ありがとうございました。(拍手)

○樺山委員長 清原錬太郎委員の発言は終わりました。

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