東京都議会予算特別委員会速記録第二号

○前島副委員長 富田俊正副委員長の発言を許します。
   〔前島副委員長退席、委員長着席〕

○富田委員 私は都議会民主党を代表して、新年度予算にかかわって、都政の重要課題について、知事及び関連局長にお伺いをいたします。
 初めに、都民サービスの向上の観点から、今後の行政改革の基本方向、加えて、その手法の一つであります指定管理者制度についてお伺いをさせていただきます。その前提として、石原知事にお伺いをいたします。
 知事は、さきの施政方針において、さらに踏み込んだ自己改革に取り組んでまいりますとされ、これまでの行攻サービスの限界を克服する効率化の実現を目標に、新しい公のあり方を探っていきたいと思います。民間が行えることは思い切って民間にゆだねるとともに、真に行政が担うべきことは何かという視点からサービスのあり方を徹底して見直し、民間に負けない効率性を目指しますと述べられました。
 ここでいう知事の新しい公とは、一体何でしょうか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 うっかり私自身で新しい公という言葉を使いました。これは非常に抽象的で、どうにでも解釈ができる説明しにくい言葉のような気がいたします。私は反省しておりますけど。
 いずれにしろ、つまり、行政が本質的に変わるということだと私は思います。それは、より機能的、よりアクチュアルになるということ、つまり効率的になるということ。そのためには、民間にどんどん移譲するなら移譲する、頼むのは頼む。
 それから同時に大事なことは、新しい公ということになれば、地方自治体としての要するに公共性というものが、今までは国のオーソリティーというか規制にいつも抑圧されて、要するに規制されてきた。ですから、そういうものをやはり我々が先鞭をつけて壊していく、変えていくということだと思います。
 例えば、青山一丁目の都営住宅跡にPFIで開発をしております。このときに持ってきた原案が、かつての建設省の決めた容積率に沿ったもので、非常に階数が低い。これはおかしいのじゃないかと。十分、こういうところだったら、民間の知恵だったら、何十階までは採算がとれるというその案を持ってこいと。私はそれをぶつけるから。建設省にいいましたら、最初の案、見ましたけど、随分東京はおとなしいなと思っていましたが、これで結構でございます、世の中そう変わってきていますから、建設省も変わりますということだったんですね。
 そういう試みということをやっぱり国に対してもしていくことが、地方自治体というものの新しい公だと思っております。

○富田委員 ありがとうございました。私も大変興味を持って、この新しい公という言葉をどう知事がお伝えになったのかということを聞きたかったものですから、お伺いをさせていただきました。
 さて本題に入ります。
 指定管理者制度についてでありますが、我が党の名取幹事長の代表質問に対して、知事は、施設の性格、目的に応じて適切に導入することにより、サービスの向上と経費の削減を図り、施設の効率的運営を実現することが重要だと答弁をなされました。
 私は、この指定管理者制度の導入に当たっては、何よりも都民サービスの向上という視点が欠けてはならないと考えております。以上のような観点から、指定管理者制度について何点かお尋ねをいたします。
 まず、都立公園についてでありますが、昨年、他に先駆けて、新規施設であるということで小山内裏公園に指定管理者制度が導入され、民間事業者による管理が行われています。民間のケースということで、私も会派で視察に参りました。
 都はこの公園の管理について、どのように評価をしているのか、まずお伺いをいたします。

○岩永建設局長 平成十六年七月、新たに開園いたしました多摩にあります小山内裏公園では、民間事業者である日比谷アメニスグループを指定管理者として指定しまして、八カ月が経過したところでございます。
 これまで、同グループ企業のノウハウを生かしまして、公園の維持管理業務や公園利用者向けの自主事業を着実に行っているほか、公園のホームページを立ち上げ、情報発信に努めるなど、サービス向上に取り組んでおります。
 また、都が行っている日常的な指導監督におきましても、特段の問題はございません。

○富田委員 特段の問題はないということでのご答弁でございましたが、私は、この小山内裏公園と同時に、公園協会が管理する野川公園についても視察をしてまいりました。
 ここでは、地域のボランティアと連携をして、このボランティアの方が百名以上にも上るということでございましたけれども、自然観察などの管理を協働して行っておりました。公園の説明も、ボランティアの方々が、自分たちが説明をしたいということで、局の方を差しおいて説明をするというふうな場面も見られました。
 こうした公園協会では、他の公園においても積極的にボランティアを組織化して、多くの住民を参加させているというふうに伺っております。
 そこで、公園管理におけるボランティアとの協働について、都はどのように評価をしているのか。
 また、日ごろのボランティアとのつき合いや、あるいはその連携ノウハウは公園協会ならではないかというふうに思いますけれども、民間事業者には難しいというようなことはないのでしょうか、あわせてお考えをお伺いいたします。

○岩永建設局長 公園利用の活性化や、地域と密着した公園の管埋運営を進める上で、ボランティアとの連携、協働は、積極的に取り組むべき重要な課題でございます。
 これまで公園協会では、長年の経験を生かし、野川公園を初め多くの都立公園で実績を積み重ねてきております。
 今後、それぞれの応募団体について、ボランティアとの協働に対する認識や具体的な取り組み方針、内容、及び担当する職員の資質などについて十分評価を行いまして、指定管理者を選定してまいります。

○富田委員 実際に指定管理者に管理を行わせるに当たっては、利用者サービスに直結する業務の内容とその管理基準、すなわち委託仕様書に当たるものだというふうに思いますけれども、これを都がいかに定めるかということが重要になってくると思います。
 条例では通則的なことを定めていますが、個々の施設の業務内容と管理基準を定める際には、それぞれの施設が存する地域の実情やそのニーズを十分に検証し、それを踏まえるべきだというふうに考えます。
 都の全体の方針についてどうなっているのか、お伺いをいたします。

○赤星総務局長 指定管理者制度でございますけれども、都があらかじめ施設の業務内容や管理基準などを具体的に示した上で、事業者を募集、選定することになります。
 したがいまして、各施設の管理基準などにつきましては、現在の管理委託の内容を精査いたしますとともに、地域の状況なども検討いたしまして、それぞれの施設の性格や目的に応じまして必要な事項を適切に定めてまいります。

○富田委員 次に、臨海部を中心に四十二カ所あります海上公園についてお伺いいたします。
 現在、その大半を埠頭公社が管理しておりまして、公社では、この管理に当たって約百名の職員を公園管理に充てているというふうに伺っております。このため、もし仮に指定管理者が埠頭公社とならなかった場合には、公社は過剰な人員を抱えることになりかねません。指定管理者制度の導入を見据えた公社の経営改善が急務であると考えますが、いかがでしょうか。

○成田港湾局長 指定管理者制度の導入は、公の施設におけるサービスの向上と経費の削減を目的としておりまして、応募者には効率性と企画力が求められるところでございます。
 東京港埠頭公社は、これまでも環境の変化に迅速に対応し、不断の改革を行う効率的で安定的な経営を目標に据え経営改善を進めてまいりましたが、現在、民間との競争に勝ち残っていくために、より一層の競争力とサービスの向上に向け取り組んでいるところでございます。

○富田委員 ただいまの課題は、埠頭公社に限らず、都の監理団体全体にいえる課題だというふうに思います。
 都は、これまで監理団体改革を積極的に推進し、人員や財政支出の削減など大きな効果を上げてまいりました。いわば今ある団体は、この改革を経て厳しい経営改善を実施してきた団体であり、民間との競い合いにも十分対抗できるものだと考えるのが普通だろうと思います。指定管理者制度は、まさしく監理団体改革の成果が問われるものだといえます。
 都は監理団体に対し、制度導入に備えて、これまでどのように指導してきたのか、改めてまたお伺いをするとともに、今後どのように指導をしていくのかということについてもお伺いをいたします。

○赤星総務局長 指定管理者制度の導入に当たりまして、監理団体は、一層のサービスの充実と経営効率化に取り組み、民間との競い合いに臨まなければならないことになります。このため、これまでも各団体に、計画的に施設の運営改善を図るように求めてまいりました。
 さらに、サービス向上のための具体的な取り組みを各団体の経営目標に掲げさせましたほか、平成十七年度の所要人員計画では大幅な削減を図るなど、競争力の強化に努めております。
 今後も、監理団体の持つノウハウを最大限に生かし、サービス向上を図りますとともに、管理コストの削減など経営改善を徹底するよう、所管局とともに指導してまいります。

○富田委員 指定管理者制度を積極的に活用し、民間を含めた競い合いによって、施設の効率的運営を図るべきとの考え方を否定するものではありません。
 しかし、一概に公の施設といっても多種多様でありまして、高い公共性、公益性が求められる施設など、必ずしも競い合いになじむものばかりではないと思います。さきの答弁にもあるように、各施設の目的や性格を十分に踏まえて導入すべきだと考えています。
 例えば、都立庭園の保全や修復は、史料の収集や文献調査に基づく取り組みが必要といわれていたり、都立霊園などでは、石材店だとか、あるいは花屋さんなどの関係で、個人情報保護の徹底が求められるなど、まだまだ課題もあるやに伺っております。
 また、これまでの施設運営を通じ、監理団体が培ってきたノウハウの中には、民間にはないすぐれたものもあり、生かすべきものは活用すべきだというふうに思いますし、都において都民サービスの向上と行政の効率化の両面から、指定管理者制度が適切に運用されるように要望して、次の質問に移ります。
 次の質問は、都立病院の公社化についてであります。
 この公社化については、平成十六年四月に都立大久保病院が東京都保健医療公社に移管されて一年が過ぎようとしておりますので、この大久保病院の例を検証しつつ、今後の公社化について考えてみたいと思います。
 民主党は、かかりつけ医と地域の中核病院とが連携を強化することが、継続性のある一貫した医療の提供につながり、また、地域のニーズに密着した医療を行うことが、地域医療のレベルアップになるとして公社病院の役割を評価し、都立病院の公社化について賛成をしてまいりました。
 しかし、公社化された大久保病院について、移管後、経営状況が低迷しているとの声もあるようでございます。もちろん移管という大きな一大事業を行ったわけで、転換期であるということでありますので、課題がないという方がおかしいともいえますが、今後の都立病院の公社化に向けて都民の不安を払拭する必要からも、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 そこで、まず、医師の確保についてであります。
 病院にとって医療の直接の担い手である医師が、退職して他の病院に異動してしまうと、患者がその医師についていってしまい、結果として患者数が減少することになります。そして、この患者数の減少は収益の減少に直結し、経営も落ち込むことになります。
 大久保病院では、医師の確保が難しくなっているとのうわさがあります。今お話ししたような事態が生じているのではないかと憂慮をしています。
 そこで、伺います。大久保病院では公社に移管されて以降、中堅医師の退職が相次いだと聞いています。その結果、医師の補充がおくれ、経営状況が相当悪化したようですが、これらの原因はどのように分析されているのでしょうか。また、現在の経営状況はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。

○幸田福祉保健局長 大久保病院の経営が一時的に悪化した主な理由は、新しい臨床研修医制度の影響によりまして、大学医局からの派遣人材が不足する中で、欠員となった医師の補充におくれが生じたためであります。
 この間の医師の退職は七名でありますが、四名は大学の医局人事によるもの、三名は開業等によるものであります。その後、医師の補充が進み、昨年十月以降の病床利用率は上昇に転じまして、先月には病床利用率は八五%に達するなど、経営状況は改善に向かっております。

○富田委員 経営状況が改善しているということは、医師がきちっと補充されているからということだろうというふうに思います。しかし、まだまだ安定したとはいえず、今後、公社への移管に当たって、こうしたことがないように、医師の確保に万全を期していただきたいと思います。
 次に、大久保病院の公社化に当たっては、東洋医学科を廃止し、漢方薬治療は各科の診療の中で行うとの方針が出されておりました。そのほか、神経科や皮膚科の非常勤化など診療体制の見直しがあったと聞いております。
 そこで、伺います。これらの診療体制の見直しはどのような考え方で行われたのでしょうか。これによって医療サービスに影響はなかったのでしょうか、お伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 保健医療公社が運営いたします地域病院は、主として二次医療を担う地域の中核病院として医療連携を推進し、地域全体の医療サービスの向上を図ることを目的としております。
 この考え方に基づき、公社への移管に当たりましては、地域の医療需要を把握するとともに、地元の医師会や自治体の意見も踏まえ、診療体制の見直しを行いました。具体的には、救急医療体制の強化を図る一方、医師の非常勤化を図った皮膚科や神経科などにつきましては、近隣の医療機関との連携を強化することにより対応することといたしました。今後とも医療サービスの充実に努めてまいります。

○富田委員 二次利用を主体に充実を図って、外来中心の診療科は非常勤化により診療規模を縮小したということだろうとうかがいますが、理念は理念として、従来これらの診療科にかかっていた患者さんに影響が全くないとはいい切れないというふうに思います。ぜひ患者さん一人一人にきちんと説明し、医療連携について十分な理解をいただく努力を怠らないようにしていただきたいと思います。
 地域医療の充実を図るという公社の理念に基づいて診療内容が見直されるということですが、既に移管後一年近くが経過した現在、地域医療の充実のための新たな取り組みが行われていることと思います。
 そこで、伺います。公社化後、地域の医療ニーズに対応するため、どのような医療サービス向上策に新たに取り組んでこられたのでしょうか、お伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 保健医療公社への移管後、大久保病院では、地域の医療ニーズに対応し、かかりつけ医と病院との医療連携を一層推進するため、両者で行う共同診療を開始したほか、登録医の確保や研修会の充実を図ってまいりました。
 さらに、女性専用外来の開設、脳卒中などの患者が円滑に在宅で日常生活を送ることができるよう支援するための専用病床の設置、週末を利用した糖尿病教育入院の拡充など、医療サービスの向上に向けたさまざまな取り組みを行っております。

○富田委員 都立病院では取り組んでいなかった共同診療を開始し、地域ニーズに即した医療の提供に取り組んでいるということだろうと思います。こうした公社のメリットを生かした特色ある取り組みは、緒についたばかりであります。先ほどの説明では、現在の経営状況は好転しているということですので、引き続き医療の質や患者サービスの向上に努め、地域のための病院としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 ここまで先行して公社化が行われてきた大久保病院について伺ってきましたが、これを踏まえて、平成十八年度に移管が予定されている荏原病院の課題についてお伺いをいたします。
 公社への移管後も現行の荏原病院の医療水準を確保し、現在持っている医療機能を引き続き地域医療に役立てていくということについて、都はこれまでも幾度となく表明されていますが、それを確たるものとするために、最も重要な課題に医療スタッフの確保があると思います。特に医療提供の主体を担う医師については、先ほど大久保病院に関して答弁がありましたが、臨床研修制度の義務化などの影響もあり、診療科によっては確保が非常に困難な状況にあると聞いております。これまで地域に信頼されてきた優秀な医師を引き続き確保することは、診療の継続性を担保し、患者さんの安心を得るためにも重要であります。
 また、荏原病院の医療水準、患者サービスを確保する上で、看護体制の問題も忘れてはなりません。例えば、公社化に先立って平成十七年度から荏原病院の看護師の定数の相当数を非常勤に振りかえることが示されています。経営効率の観点から非常勤看護師を有効活用していくことについては、必ずしも反対するものではありません。しかし、非常勤看護師を常に一定数確保していくことは困難であり、安定した看護体制の確保を最優先に考えるべきだと思います。
 さらに、検査、薬剤などコメディカル部門についても、スタッフの配置には工夫が必要であります。
 荏原病院の移管が実現すると、公社は都から三年連続で病院の移管を受けることになるため、事業規模が急速に拡大することになります。まして、荏原病院のような五百床規模の大きな病院を運営するのは初めてであります。しかも、産婦人科があり、精神科の病床を持ち、さらに感染症医療という行政医療を継続する方向での検討もなされており、すべて公社にとっては初めてづくしといえます。
 この意味からも、都として、特に人的な面について、大久保病院の移管のとき以上に強力に公社を支援していく必要があると考えます。公社任せにするのではなく、都立病院が積極的に支援していくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。

○押元病院経営本部長 さきに行われました大久保病院の東京都保健医療公社への移管に際しましては、医療を安定的かつ継続的に提供するため、都立病院から医療スタッフを派遣いたしますとともに、必要に応じて医師などによる応援も実施をしてまいりました。
 お話しの荏原病院の移管に当たりましても、患者さんへ充実したより適切な医療を提供することを最優先に考えまして、医療の継続性を確保できるよう、病院経営本部といたしましても、状況に応じて的確な支援を行ってまいります。

○富田委員 地元の皆さんが一番心配しているのが、荏原病院でこれまでと同じような診療が受けられるのかどうかということだと思います。地域の皆さんの信頼にこたえるため、都立病院の強力なバックアップをぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、荏原病院の公社移管後について、紹介状なしでかかれなくなるのではないかなど、地域の方々からさまざまな不安が寄せられております。地域の医師会に対してはアンケートも行われたようですが、今後、患者さんや地域住民の意見、要望についてどのような形で吸い上げていくのか、お伺いをいたします。

○押元病院経営本部長 現在、荏原病院では、公社移管後の病院のあり方につきまして運営協議会準備会を設置し、検討を進めております。この準備会は、地域の医療事情や住民の意見、要望などを的確に把握しております地元の医師会や自治体、自治会連合会などの代表などで構成をされておりまして、その審議を通じて地域における意見、要望を十分反映をしてまいります。

○富田委員 地域病院としての充実を図り、真に地域住民のための病院となるかどうかは、地域の医療ニーズの把握に十分注意することが必要であります。地域住民の声を病院経営に、いかに生かしていくかという点にかかってくるかというふうに思います。
 どのようなスタートを切るかは、その病院のイメージを決定することになり、また、一たん離れた患者さんを取り戻すことが容易でないことは、ご承知のとおりであります。公社移管に当たっては、遺漏のないよう早急に準備を整えて、都民や職員の不安が生じないようにしていくべきであります。
 そこで、荏原病院の公社化に向けた都の決意を改めてお伺いをいたします。

○押元病院経営本部長 荏原病院は、地域の医療機関との連携を通じまして、住民に継続性のある一貫した医療を提供する地域の中核的病院として、公社に運営を移管するものでございます。地域全体の医療サービスの向上を図るという目的を実現するため、今まで以上に地域住民の信頼と期待にこたえていけるよう、地域の医療ニーズを十分に踏まえつつ、荏原病院の公社への移管を着実に推進してまいります。

○富田委員 公社への移管を着実に推進するという言葉がございました。荏原病院は、区南部地域にかけがえのない公立病院として、地域の厚い信頼を得てきた病院です。引き続きその歴史と伝統を受け継ぎつつ、地域住民の生命と健康を守る中核的な病院としての機能を充実していっていただきたいと思っております。
 そのためには、先ほどから指摘してきたように、医師、看護師を初めとした医療スタッフの充実と地域住民の声を病院経営に積極的に生かしていく姿勢が重要であります。このことが確実に担保されることが必要です。このことについてしっかりと見守ってまいりたいと思っております。
 その上で、より地域に密着した活動に新たに挑戦すべきであると考えています。こうした病院の積極的な活動が、地域の信頼と期待にこたえることにつながるものと確信をしております。このことを申し上げて、次の質問に移ります。
 次世代育成についてお伺いをいたします。
 まず、認証保育所保護者負担軽減についてであります。私たちは、新年度予算の中で認証保育所における保護者負担軽減として、約二億二千万円の事業を求めてまいりました。この問題については、さきの代表質問でも申し上げましたが、私たちは東京都における都民ニーズにこたえる保育サービスの提供という認証保育所の政策目的の実現のため、戦略的意味合いからこの負担軽減策を実現すべきだと申し上げております。
 この事業は、現状に対し最低限必要な措置であり、すべての子どもに必要に応じ提供される保育サービスを含めた子育て支援の充実が必要です。また、その一環として、保育所制度の抜本的改革に取り組んでいかなければなりません。
 我が会派の代表質問に対し、認可保育所において延長保育の実施率が低いため、保育時間の延長を希望する場合、保育料の総額は十万円を超えるとのご答弁がございました。この問題についてさらに詳しくお伺いをさせていただきます。
 ご提示をいただいたような事例が都内でどの程度発生していると把握をされているのでしょうか。また、認可保育所の延長保育を利用した場合、保育料はどの程度と認識されているのでしょうか、お伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 本会議で保育料の総額が十万円を超えるとお答えいたしました事例は、認可保育所の利用者が二重保育でベビーシッターを利用した場合の保育料をお示ししたものであります。こうした二重保育を余儀なくされている世帯は、平成十四年度東京都社会福祉基礎調査によれば、認可保育所の利用者のうち、一一・六%となっております。また、認可保育所の延長保育を利用した場合の保育料は、二時間で、おおよそ月額三千円から六千円と把握しております。

○富田委員 認可保育所でも延長保育を利用する場合は十万円を超えるといわれた答弁について、そういう方も一一・六%の中にはおられるということであります。
 しかし、認可保育所利用者の二重保育の問題は、認可保育所における閉所時間と利用者の退園希望時間とのミスマッチの問題でありまして、保育料の格差とは別の問題だと考えております。
 保育料に十万円以上支払っている方もいることは事実でしょうが、そのことを格差の話の中に持ち出すのはいささか適切を欠いたものではないかと思っております。このことをもって、認可保育所と認証保育所との保護者負担の格差が事実上ないとはいえないと考えています。いかがでしょうか。

○幸田福祉保健局長 認可保育所の保育料は、八万円を上限とする国の徴収基準をもとに区市町村が設定しております。認証保育所の保育料も、同様に国基準の八万円を上限として事業者が設定する仕組みとなっております。
 ただ、区市町村が独自の判断で、認可保育所の保育料を国基準より低く設定しているため、両者の保育料に差が生じていることは事実でございます。

○富田委員 東京都は、これまでも延長保育を初めとした大都市東京が抱える切実な保育ニーズに的確にこたえるよう、国に対し、また、都内の認可保育所に対し、改革を求めてまいりました。
 先ほどの答弁では、延長保育料金は月額三千円から六千円ということでございましたが、認可保育所はかなり安いと思います。この求めにより、認可保育所において延長保育の実施率が上がっていけば、認可と認証の保育料の差は拡大していくものと考えます。
 この点についてどのような認識をお持ちか、お伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 仮に認可保育所において二時間延長保育の実施率が上がれば、現在二重保育をしている方々の負担が軽減されるということに相なります。
 また、都内において認可保育所で二時間延長を利用する際の保育料は、認証保育所で十三時間保育を利用する保育料に比べると、低いのが事実でございます。これは、認可保育所の保育料は、区市町村が独自に利用者の負担軽減を図っている上に、さらに延長保育についても負担軽減がなされているためであります。

○富田委員 区市町村が独自の判断で、国基準より低く設定しており、認可保育所と認証保育所の保育料に差が生じているのは事実とされました。同時に、認証保育所の保育料は妥当ということだろうと思いますが、区市町村の判断で設定している保育料が妥当でないと考えているのか、あるいは認可と認証で保育料に大きな差が生じていることは当然だと考えているのか。そして、このことについて今後も変える必要がないと考えているのか、その点についてお伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 国の認可保育所の保育料設定の考え方は、保育に要した費用のおおむね二分の一を利用者が負担することとしており、個々の保育料は所得に応じて段階的に定められております。
 全国的に見れば、多くの自治体が国の基準に基づいて保育料を設定しておりますが、都内区市町村は利用者の負担を軽減した独自の基準を定めておりまして、実際の徴収額は国の徴収基準の約半分となっております。ゼロ歳児の場合の標準的な保育モデルで見てみますと、一人当たり月額約二十九万円の経費に対して、約九四%の二十七万円を公費で負担しております。
 保育料については、基本的には地域の実情に応じて、それぞれの区市町村が自主的に判断すべき問題でありますが、こうした実態は在宅で子育てをしている家庭との受益と負担の公平という観点からも、課題があると認識しております。

○富田委員 課題があるということですから、何とかその辺を改善していただきたいものだと思いますが、認証保育所は都民ニーズに的確にこたえるサービス提供とともに、認可保育所の改革を促すという重要な政策目的を担う制度であります。機関補助の追加は、この目的を損なうとは思いますが、認証保育所を選択した保護者に対する負担軽減補助は、よりよいサービスを選ぶ都民の行動を支援するためのものであります。
 認証保育所制度は、これだけの料金格差があるにもかかわらず、都民の支持を得て広がっております。しかし、現実には都内の保育市場に占めるパイは小さく、保育に大きな改革の波を起こすには至っておりません。格差を縮めることで都民が認証保育所を選択し続け、一層の広がりを持つようにすれば、認可保育所の生き残りをかけた改革を迫ることができます。認証保育所制度に東京都の保育を大きく変えるだけの力を持たせるためにも、この負担格差は是正すべきであります。
 私たちは、こうした政策的観点から、格差是正を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○幸田福祉保健局長 認証保育所を選択した保護者に対する負担軽減の補助は、施設に対する補助ではなく、個人に対する補助であるという点で、本会議でご質問のあったバウチャー制度と同じものと申せましょう。しかしながら、バウチャー制度は、利用するすべての子育て家庭を対象として実施することが基本であります。
 したがって、認証保育所利用者の負担軽減を行うとすれば、在宅で子育てをしている人との受益と負担の公平という観点も含め、現在の認可保育所に対する手厚い都加算補助を初めとする保育サービス全般に対する補助制度を抜本的に改革することが必要であります。したがって、認証保育所の利用者のみを対象とした補助を導入することはなかなか困難であります。

○富田委員 抜本的に改革をしていかなければならない大きな課題だろうということでございまして、その問題性については認識をしていただいたわけでございますので、我が党として、この課題については常任委員会の中で、またさらに深めてまいりたいと思っておりますので、ぜひともご協力をお願いいたします。
 次に、仕事と家庭の両立支援について伺います。
 一昨年公布された次世代育成支援対策法では、事業主は、三百一人以上の労働者を雇用する事業主に対して、仕事と子育ての両立に向けて、雇用環境の整備などを進めるための行動計画の策定、実施を求めていますが、三百人以下の企業には計画の策定、実施は努力義務にとどまっております。
 このような状況の中、私は、東京都として、中小企業における仕事と家庭の両立支援の充実をより一層推進するため、積極的に取り組んでもらいたいという観点から、質問をさせていただきたいと思います。
 例えば、育児・介護休業法においては、労働者が育児休業等を必要とする場合には、事業主には法定の範囲内で育児休業を付与することが義務づけられています。さらに、国の指針は、法律の水準を上回るものも含めて、その内容を就業規則などに明示するなど個々の企業の中で両立支援制度として明確に位置づけることを求めています。こうしたことは、全就業者の八割近くが働く中小企業において、そこに働く従業員に法の趣旨が周知され、制度を活用しやすくするために不可欠な措置であると考えます。
 そこで、規模別に見て、企業における育児・介護休業制度の導入状況はどうなっているのか、まずお伺いをいたします。

○関谷産業労働局長 平成十五年度に都が実施いたしました企業における両立支援の実態調査によれば、育児休業について、就業規則に明示するなど社内制度として明確に位置づけている企業は、従業員数が百人未満の企業におきましては六五・四%、百人以上三百人未満の企業では八六・一%、三百人以上五百人未満の企業では九五・五%であるなど、規模が小さいほど社内で制度化されていない企業が多いという状況にございます。
 また、介護休業につきましても、同様の傾向が認められます。

○富田委員 これは一例ですけれども、今の答弁でも明らかなように、企業の両立支援に対する取り組みは、一般的傾向として、企業規模が小さくなるほど積極的ではありません。
 このように、企業における育児・介護休業制度が十分定着していない中で、国は、仕事と家庭の両立支援のさらなる推進を図るため、昨年十二月、育児・介護休業法を改正いたしました。
 そこで、今回の育児休業法の主な改正点について整理をしていただきたいと思います。

○関谷産業労働局長 今回の育児・介護休業法の改正によりまして、育児・介護休業が取得できる対象者に、一定の範囲の有期契約労働者が含まれることとなりました。
 また、子どもが一歳を超えても、休業が必要と認められる場合には、一歳六カ月に達するまで育児休業期間が延長できることとなりました。
 そのほか、介護休業の取得回数の制限の緩和や、子どもの看護休暇の創設などの規定が盛り込まれたところでございます。

○富田委員 今回の法改正によって、仕事と家庭の両立支援が一歩前進したとはいえますが、早期に改正法の趣旨を企業に浸透させ、そこで働く従業員が新しい制度を十分活用できるようにしていくことが何よりも重要だと思います。
 仕事と家庭を両立できる雇用環境の整備は、企業の自主的な取り組みが基本ですが、東京都としても、政策的に両立支援を充実するとの観点から、中小企業を含め、企業に対する積極的な働きかけが不可欠であります。
 私は、東京都が、特に中小企業にターゲットを絞って、育児・介護休業制度を含め、仕事と家庭の両立支援充実に向けた働きかけを積極的に行っていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○関谷産業労働局長 育児・介護休業制度を初め、両立支援を充実していくためには、中小企業に対します丁寧な働きかけが必要でございます。
 このため、平成十七年度は、従来の労使双方に対する普及啓発に加えまして、新たに労働相談情報センターにおいて、中小企業を対象に、両立支援に関するセミナーと相談会をあわせて実施するなど、積極的に取り組んでまいります。

○富田委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、花粉症対策についてお伺いをいたします。
 もう既に花粉がこの辺もいっぱい飛んでいまして、目がかすんでくるのもそのせいなんですけれども、ことしの春は観測史上最大量のスギ花粉が飛散するということで、私も患者の一人として大変憂うつな日々を過ごしております。
 東京都は、昭和六十年から都内の花粉の飛散量の測定を続けておりますが、ことしの春の杉などの花粉の飛散予測はどのようになっているのでしょうか。また、花粉の飛び始める時期は、当初、二月十九日ごろといわれておりましたが、現段階での飛散状況はどうなっているのか、確認の意味でまずお聞かせいただきたいと思います。

○幸田福祉保健局長 東京都花粉症対策検討委員会は、今春の杉、ヒノキ科飛散花粉数が、昨年に比べ、最大で三十・九倍、飛散開始日は、早い地域で二月十九日と予測いたしました。
 実際の飛散開始は、早い地域で二月二十日でしたが、その後、例年に比べ気温の低い日が多かったため、都内の観測点すべてで飛散が観測されたのは、二月二十五日でありました。
 なお、今週初めから飛散量が増大し始めており、そのピークはこの週末から来週にかけてと見込まれております。

○富田委員 これから大変恐ろしいことが起こるというような、そういう予測をいただいたわけでございますが、きのうあたりからいよいよ花粉量が増大しているというのも確認をしておりまして、大変つらい状況になっております。
 私は、既に花粉症になってしまったので、この苦しみを少しでも軽減したいと思っておりますので、その観点から少し質問をしてみたいと思っております。
 最近では、本格的な飛散シーズンを前に、病院で適切な治療を受ければ、症状が大幅に緩和されるとも聞いています。内科や小児科など、花粉症専門とはいいがたい地域の医療機関でも適切な治療を受けられるのか、花粉症の治療法も含めてお伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 花粉症の治療法といたしましては、抗ヒスタミン薬、その他のアレルギー治療薬を服用する薬物療法が一般的なものでありまして、花粉症を専門としない地域の医療機関におきましても行われております。
 お話しのとおり、治療薬を飛散開始二週間ほど前から服用することは、症状の軽減に有効であるといわれております。
 その他の治療法としましては、花粉の抽出エキスを少しずつ濃度を上げまして注射することで、体を花粉にならす減感作療法がございまして、大学病院など一部の医療機関で行われております。

○富田委員 花粉症対策には、症状を軽減させるために、セルフケアとともに、病院で適切な時期に適切な治療を受けることが必要であり、治療を受けていない方も含め、ぜひ予防や治療などについて、普及対策に東京都としてもさらに取り組んでいただきたいと思います。
 また、観測史上最大量の飛散予測を受けて、ことしに入って多くの花粉症対策商品が販売されております。実は、ここにあるのもその一つでございまして、この周辺だけマイナスイオンを飛ばして、少し緩和させるというようなものなんですけれども、こういったものが、マイナスイオンと人体への効果と因果関係ということでいいますと、十分に解明されてないというふうに聞いております。
 同じように、花粉症対策をうたった商品の中には、花粉症に余り効果がないのに便乗して販売されているものもあるのではないかと心配しております。
 そこで、花粉症対策商品に関する消費者トラブルについて、消費者行政としてどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○山内生活文化局長 花粉症対策商品については、ご指摘のように、花粉症に効くと称する食品や家庭用品などが広く販売されておりまして、その効果、性能に関する相談が消費生活センターにも寄せられております。
 花粉症対策をうたう商品の表示については、薬事法を所管する福祉保健局と連携を図りながら、景品表示法に基づく調査を行いまして、根拠なく消費者に効果、性能を期待させる表示を是正するよう、事業者指導に取り組んでおります。
 具体的には、昨年実施いたしました、いわゆる健康食品の試買調査において、花粉症に効くと標榜する健康茶の表示について、事業者指導を行ったところでございます。
 今後とも、花粉症対策商品の契約トラブルについて、助言やあっせんを行うとともに、花粉症に苦しむ都民を惑わすような商品の表示が行なわれないよう、関係局との連携を緊密にして、厳正な指導に努めてまいります。

○富田委員 ぜひともだまされないように、うまく指導していただきたいものだというふうに思います。
 花粉症による影響は、直接都民の生命を脅かす問題ではありませんが、社会経済活動にも大きな影響があるといわれています。
 平成十年度に国が発表した調査では、有病率を一〇%とした場合、日本全体で医療費等の損失は約二千八百六十億円にも上ると推計されていました。しかし、今、スギ花粉症の有病率は、国民の一〇%は優に超えているのではないかというふうに思います。
 二月二十二日に朝日新聞に掲載された世論調査では、政令指定都市や東京二十三区は二六%の人が花粉症だと答え、四十歳代の半数以上が花粉症の自覚症状を訴えているなど、花粉症の問題はますます深刻化しています。
 東京都が五人に一人、都内全域で二百二十万人としている花粉症の推定有病率も、平成八年度の調査に基づくものでありますので、十年近くたっている今、もう一度その調査をしてみる必要性があるのではないかと思います。
 国の動向も踏まえつつ、新たな患者実態調査を行う必要があるのではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。

○幸田福祉保健局長 都は、これまで、花粉症の予防、治療という観点から、全国に先駆け、花粉飛散数の観測や予測、患者実態調査や発症メカニズム調査などを実施するとともに、花粉症に関する正確な情報提供など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 今後とも、国の動向を踏まえつつ、花粉症に関する都民ニーズの把握に努めてまいります。その中で、患者実態調査の必要性も検討してまいります。

○富田委員 患者実態調査については、ぜひともお願いをしたいと思います。
 さきに引用させていただきました朝日新聞の世論調査では、花粉症であるという人の都市部での割合が地方より高いことが示されており、ディーゼル車排出ガスなどの大気汚染なども影響しているのではないかと指摘をされています。
 ディーゼル車排出ガスと花粉症との関連については、一昨年五月に東京都が発表した調査結果において、ディーゼル排出ガスが人のスギ花粉症症状の発現や悪化に影響を及ぼし、ラットを用いた研究では、生まれた子どもに影響することが確認されています。
 そこで、ディーゼル車対策などの大気汚染対策は、花粉症の悪化を防ぐためにも重要と考えますが、東京都が実施したディーゼル車規制により、大気汚染にどのような改善効果が見られたのか、改めてお伺いをいたします。

○平井環境局長 都は、規制の効果を把握するため、環状八号線井荻トンネルなどで、排出ガスに由来するカーボン等の調査を行いました。
 昨年十一月の調査結果でございますが、規制開始前の平成十三年の調査に比べまして、風などの気象の影響を受けない井荻トンネルにおきましては、カーボンが六八%減少し、発がん性物質が最大八四%減少しておりました。
 また、気象の影響を受けます目黒区の大坂橋自動車排出ガス測定局でも、カーボンが四四%減少しており、ディーゼル車規制による大気汚染の改善が着実に進んでいることを裏づけているものと考えております。

○富田委員 ディーゼル車規制の効果がはっきりした形であらわれていることはまことに喜ばしいことですが、福祉保健局が千代田区の病院の協力により、花粉の飛散量とその年に花粉症の症状が出た患者数を経年調査したデータによると、花粉の飛散量が十分の一になると患者数が半減するというかなり明確な相関関係が読み取れます。このデータは、花粉症対策を進める上で、花粉の飛散量を減らす取り組みも必要であることを示していると考えています。
 花粉症に悩む人からは、杉の木を伐採してしまえという声も多く、心情は理解できますが、多くが民有林であることなどから、現実には困難であることも承知しております。
 東京都は、これまでも、森林再生事業や森林所有者への支援によって、杉の間伐などに取り組んでいますが、荒廃した森林の杉の木は、ストレスによって、より花粉が飛散するといわれている一方で、間伐によって太陽が当たる、日が当たるところに育った木は、成長して多くの花粉を飛ばすようになるともいわれています。
 現在、東京都では、花粉の少ない杉の苗木の生産を始めているということですが、一月二十五日、独立行政法人は、都府県との花粉の少ない杉の共同研究成果を踏まえて、花粉の少ない杉を開発したと発表いたしました。これは爽春と名づけられている無花粉杉ということで、花粉がない杉ということだそうでございますけれども、二十三年間程度生育して、個体が六十本程度あり、都府県からの要請があれば、その挿し木を繁殖するための枝を配布するというふうにも伺っています。花粉がない杉というと、ちょっと気持ち悪い感じもしますけれども、そんなものがあるようでございます。
 そこで、東京都のこれまでの、花粉を少なくする取り組みはどうなっているのかということと、今私が申し上げました爽春というこの無花粉杉の導入を含め、今後どのように花粉の発生を抑制した森づくりを進めていくのか、お伺いをいたします。

○関谷産業労働局長 都は、平成十年度に、花粉の少ない杉、西多摩二号等を開発いたしました。現在、苗を伐採後の植樹用として、平成十八年度からの供給を目途に育成中でございます。
 また、花粉の多い杉を重点的に間伐、枝打ちするなど、花粉の抑制に効果的な森林管理手法につきまして、調査研究を行っているところでございます。
 一方、お話しの無花粉杉につきましては、来年度中に各都府県に配布される予定と聞いております。この苗は、挿し木からの増殖が必要なこと、多摩地域への適応性等の検証が必要なことから、普及までには相当な期間を要すると考えられます。
 今後は、先行的に花粉の少ない杉への植えかえを進めるとともに、無花粉杉導入に向けた検証等もあわせて進め、花粉の少ない森づくりに努めてまいります。

○富田委員 花粉症は今や全国的な問題であり、また、東京には近県からも杉などの花粉が飛んできており、花粉症の被害を軽減していくためには、国がもっと本気になって取り組んでいくことが不可欠だと考えます。しかしながら、最近の新聞報道を見ますと、国の花粉症対策は省庁間の対応がばらばらで、対策の連携もままならない状況と聞いています。
 そこで、花粉症対策について知事のご所見をお伺いして、花粉症対策についての質問を終わりたいと思いますが、知事よろしくお願いいたします。

○石原知事 私は、かねがね、花粉症というのは、大気汚染との相乗した複合汚染だと思うんですけれども、国が本当に調べないですね。ディーゼル規制をやったときも、環境省に依頼したんですけれども、全然動かないんで、都の研究所でマウス使ってやって、非常に恐ろしい実態がわかりました。
 これは、日本独特の、特に大都市に多い病気ですけれども、やっぱり国が動いて、原理、病原理というもの、きちっとあぶり出してもらいたい。じゃないと、本当に的確な対処はできないと思います。
 先ほど、何かいい方法ないかとおっしゃいましたが、私の友人の体験を申し上げますと、杉の林の近くに住むことが一番だそうです、(笑声)これは。そっちの方が空気がよくて、飛散はもっと遠くへ飛んでいくんで、私の友人のデザイナーが非常に苦しんだんですけれども、ある年、長野の実家に行って、治って帰ってきた、四月の中旬ごろ。治ったかと聞いたら治ったと。自分で驚いたけれども、気がついてみたら、自分の家の裏山は、長野県全部杉山だったそうです。
 私は、ですから、やっぱり都会の混濁した空気との相乗による複合汚染だと思います。

○富田委員 なるほど、確かに杉の林の中にいましても、田舎にいますと、そんなに涙が出たりしないという感じはします。確かに知事のいわれる点はあるのかなというふうに思います。
 それでは、次に、飯田橋駅周辺のまちづくりについてお伺いをさせていただきます。
 飯田橋駅は、JR中央線、東京メトロ東西線、有楽町線、南北線、そして都営の大江戸線の五つの鉄道が交わる交通の一大結節点であり、周辺には江戸・東京の歴史を受け継ぐ神楽坂や神田川を抱えるとともに、最近では、駅周辺の開発も進みつつあります。
 そこで、歴史的な変遷を踏まえたこの地域に対する認識について、まずお伺いをいたします。

○梶山都市整備局長 飯田橋は、古くは神田川による舟運や鉄道貨物の拠点として栄え、周辺には門前町である神楽坂の飲食店街が存在するなど、江戸・東京の市民の生活を支えていたまちでございます。
 その後の東京の成長に伴い、首都高速道路が建設されるとともに、鉄道の結節点としての地理的メリットから、業務・商業機能が集積するまちへと姿をかえつつあります。
 最近においても、飯田町貨物駅跡地を活用した複合開発であるアイガーデンエアや、文京区後楽二丁目における放射第二五号線の整備とあわせた組合再開発事業などの開発が行われております。

○富田委員 飯田橋駅の周辺は、神楽坂の路地など古い町が残る一方、今お答えがあったように、交通利便性を生かした新たな開発が進み、新旧混在した魅力と活力ある、相まったまちだというふうに思います。
 しかし、地域の玄関口となります飯田橋駅東口には大きな問題があります。ここは、外堀通り、目白通り、大久保通りが交差する五差路の交差点となっており、歩行者のための歩道橋と横断歩道があるものの、歩行環境としてとても安全、快適とはいえない状況にあります。
 ちょっとパネルを用意してきたんですけれども、小さいパネルで見えにくいので、後で知事にお渡ししたいと思いますけれども、(パネルを示す)これが飯田橋の交差点でございまして、文京区と新宿区と千代田区にちょうど挟まれているような形になっています。
 この飯田橋の交差点、文京区側から飯田橋の駅を利用しようとしますと、どうしても横断歩道がないために歩道橋を利用しなければならない。これが長い歩道橋でございまして、この長い歩道橋であるために、非常に揺れるというような指摘があります。これが揺れが不安だよという棒グラフでありますけれども、こうした問題があると同時に、バリアフリーの問題などについてもございます。
 これ、もう一つの図でございますけれども、これは、地下鉄の出入り口とバリアフリーの状況を示したもの、それに利用者の利用状況区分を示したものということなんですけれども、見えにくくて大変申しわけないんですが、これが地下道の中でございまして、一番利用されているところが大きく、人数が大きいところということで、丸が大きくなります。しかし一方、バリアフリー化が進んでいるところというのは、この赤丸の二点でございまして、実際には、整備とバリアフリーの状況には格差がある、要するに使われ方と違うということだろうというふうに思います。ちょっとお渡しいただければと思います。
 一昨年秋には文京区の後楽町会が、昨年の夏には新宿区の飯田橋自治会が、昨年の末には千代田区の飯田橋町会などが、それぞれ東京理科大学と共同で、駅周辺歩行者や居住者に対するアンケート調査を行っています。
 その結果が今知事に示したものということなんですけれども、このうち、新宿飯田橋自治会による調査については、昨年末に調査結果報告がされています。横断歩道橋の幅員が狭く、渡るのに時間がかかる、通行時に揺れる、景観上好ましくない、横断歩道の待ち時間が長いなど、利用者が多くの問題を感じることが明らかになっています。
 そして、駅周辺には、東京厚生年金病院や都立の文京盲学校など、高齢者や障害者が通う施設も立地していますが、歩道橋にはエレベーターやエスカレーターの設備はございません。
 今後、この地域の発展を考えたとき、こうした状況を改善していくことが必要であります。解決に向けては、駅周辺の開発動向も踏まえつつ、高齢者や障害者が利用しやすいような道路や歩道橋を改善したり、駅施設の改善を図るなど、福祉のまちづくりの視点を取り入れながら、地域全体のまちづくりを考えていくことが必要です。
 しかし、先ほど説明をいたしましたように、この地域は、新宿区、文京区、そして千代田区の三区の区にまたがっておりまして、全体としての調整が容易には進まないということが予測されます。このため、広域的自治体である東京都が、飯田橋駅周辺のまちづくりの意義を踏まえて、地元の取り組みを支援していくべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。

○梶山都市整備局長 東京の活力や魅力を高めるためには、地域ごとに個性的で魅力ある拠点を形成していくことが重要であります。
 飯田橋駅周辺は、交通利便性を生かした周辺開発が進みつつあり、今後、地域の拠点としての発展が期待されております。
 現在、地元において、歩行者ネットワークの整備を含めたまちづくりの検討が進められていると聞いております。
 今後、都といたしましても、福祉のまちづくりの視点も踏まえつつ、関係三区の意向を聞きながら、技術的助言を行うなど、地元の取り組みを支援してまいります。

○富田委員 ぜひとも、地元の取り組みを支援していただきたいというふうに思います。
 次に、成年後見制度についてお伺いをいたします。
 成年後見制度は、平成十二年に禁治産、準禁治産制度を抜本的に改正し、介護保険制度の導入に合わせて車の両輪として導入された制度ですが、介護保険制度の活用が一般化されたのに比べ、この成年後見制度は、一般の方々にとってまだなじみの少ないものとなっています。
 まず、この成年後見制度の意義について確認をしていきたいと思いますので、改めてお伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 認知症高齢者や知的障害者など、判断能力が不十分な方々は、内容が十分に理解できないまま、自分に不利な契約を結んでしまったり、自分の財産を管理できないなどの問題が生じる場合が少なくございません。
 成年後見制度は、こうした方々に対し、代理権や取り消し権が付与された成年後見人などが、契約締結や財産管理など日常生活の幅広い面から援助する仕組みでありまして、判断能力が不十分な方々が地域の中で安心して生活していくためには、極めて重要な制度であると認識しております。

○富田委員 この成年後見制度については、判断能力が低下した方々の権利擁護を行うという極めて重要な制度だということでございますが、なかなかその活用が進まない状況にあります。
 こうしたことから、今回、東京都が平成十七年度の重点事業として、成年後見制度の活用を促進するための事業であります成年後見活用あんしん生活創造事業を創設したことは、時宜を得たものと評価をしております。
 さて、私は、本日は、この成年後見制度の活用を進める上で、二つの課題についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
 まずは、区市町村長による申し立てについてであります。成年後見制度を活用する際は、通常、本人や親族が家庭裁判所に対して申し立てを行いますが、身寄りのない方でも本制度を活用できるよう、区市町村長による申し立てが認められています。しかし、この区市町村長申し立ては、手続等が複雑なことや、申し立て経費などが市区町村の負担となることなどから、実績は伸びておらず、また区市町村の取り組みに温度差があるというのが実態であります。
 昨今、社会的に問題視されている高齢者虐待の問題についても、成年後見制度を活用することが有効な対策の一つとされていますが、市区町村が市区町村長による申し立てにまで踏み込めるかどうか、かぎになるといわれています。
 そこで、すべての区市町村が区市町村長申し立てに積極的に取り組めるよう、東京都としても区市町村を支援していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○幸田福祉保健局長 成年後見制度を親族のいない方が利用する場合や、親族がいても申し立てが期待できない場合などは、区市町村長による家庭裁判所への申し立てができることになっております。しかしながら、ご指摘のとおり、手続が複雑なことなどから、区市町村の取り組みがなかなか進まない実態がございます。こうした状況を打開するため、都は、来年度の重点事業といたしまして、成年後見活用あんしん生活創造事業を創設いたしました。
 具体的には、区市町村に対する財政支援のほか、弁護士会などの専門機関とも連携し、実務を担当する職員のスキルアップ研修や困難事例などの対応への助言を行うなど、区市町村の取り組みを支援してまいります。

○富田委員 次に、法人後見についてお伺いいたします。
 現在、後見人としては、通常、親族や弁護士などの専門家が選任されるケースがほとんどでありますが、個人でなく、法人が後見業務を行うことも可能であります。そこで、個人後見と比べた場合、この法人後見のメリットがあるというふうに思いますが、東京都の見解をお伺いいたします。

○幸田福祉保健局長 法人後見は、後見事務を特定の個人が担うのではなく、福祉サービスや法律などの複数の専門スタッフを有する法人が担うものであります。そのため、個人後見に比べて、知的障害者の親亡き後など、長期にわたった援助が可能であること、また、弁護士や司法書士、社会福祉士など、さまざまな人材が本人のニーズに応じ臨機応変に後見事務の担い手となって援助することが可能であること、また、金銭に係る後見事務について法人内部で相互に点検が可能となることなど、多くの面でメリットがあると考えております。

○富田委員 この法人後見に取り組んでいる団体は、現在、司法書士会のリーガルサポートを初め、品川区の社会福祉協議会、調布市等多摩南部の五市で共同して設立した多摩南部成年後見センターなどがありますが、まだ多くはありません。私は、こうしたメリットがある法人後見を担える機関が身近な地域の中で整備される必要があると思います。このようなことから、区市町村に対し、法人後見を実施する機関の立ち上げ支援を行う、今回の東京都の重点事業には大きく期待をしているところであります。
 そこで、この区市町村の推進機関の整備に当たって、東京都としてはどのような整備目標を持っているのか、お伺いをいたします。

○幸田福祉保健局長 住民に身近な区市町村が、成年後見制度の利用相談だけでなく、法人後見も含めた具体的な対応ができるようにするためには、早期に成年後見制度の推進機関の整備を図っていくことが必要であります。都としては、平成十九年度までにすべての区市が推進機関の立ち上げに着手し、平成二十一年度までに事業が開始されることを目標に、区市町村に対する支援を積極的に行ってまいります。

○富田委員 ただいまの答弁で、時期を明確にした上で、区市町村支援を積極的に行っていくということが出されました。大変重要なことだろうというふうに思います。ぜひとも頑張っていただきたいと思います。これまで光が当たらなかった成年後見制度に光を当てて、区市町村に対する支援を中心に推進を図っていこうとする今回の東京都の取り組みは評価をいたします。
 しかし、いかによい事業を創設したとしても、区市町村が活用しなければなりません。東京都においても、区市町村が本事業を積極的に活用し、成年後見制度の普及が進むよう、区市町村に対する働きかけについてもあわせてお願いをして、次の質問に移ります。
 次に、温暖化対策についてお伺いをいたします。
 東京都は、環境確保条例の改正にあわせて、先駆的に温暖化に取り組む企業などとの連携プロジェクトを発表いたしました。その中から、代表質問で触れなかったプロジェクトについてお伺いをさせていただきます。
 まず、環境物流プロジェクトについてでありますが、運輸部門は都内のCO2排出量の三二%を占め、部門別でも排出割合が大きいものの、具体的な対策が講じられておりません。運輸部門の温暖化対策としては、車の燃費向上が第一と考えますが、国が定める現行基準は目標値自体が低く、大型車については定められていない状況にあります。現在、東京都は、国に対して、大型車の燃費基準を設けることや平均燃費規制の追加導入を求めており、引き続き強力に取り組まれることをお願いするものであります。
 また、運輸部門の対策としては、燃費対策に加えて交通量対策も重要であり、中でも一大消費地である東京都の特性をかんがみると、都市部に集中する車両に対する取り組みが特に重要であると考えます。二〇〇三年九月二十六日の一般質問で、私どもの大塚隆朗都議が、六本木ヒルズに集中する観光バスやタクシーが周辺の道路にあふれ、交通渋滞や環境悪化を招いている問題を取り上げ、二十一世紀の新しい都市をつくるに当たり、今後は観光バス、タクシーのスペースを十分に確保すべきだと指摘をさせていただきました。こうした問題は、観光バス、タクシーは当然のこととして、都市部に集中する物流についても同じことがいえると思います。
 さきに、東京都は、環境物流プロジェクトの先駆けとして、百貨店に集中する物流対策について発表していますが、その後の進捗状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。

○平井環境局長 関東百貨店協会では、都の働きかけに応じまして、昨年十一月、食料品を含めた共同配送を加盟店全体で推進していくことといたしました。当初は、都内及び千葉県の二店舗においての実施でございましたが、この四カ月間で都内七店舗、首都圏全体で十店舗まで拡大しております。
 従来難しいとされていました食料品を含めた共同配送を実現することによりまして、実施した店舗では納品する車両が半減し、周辺道路にあふれていた貨物車による渋滞が著しく改善されたと報告を受けております。

○富田委員 百貨店における共同配送の取り組みが短期間で広がった、そして店舗周辺の渋滞改善にも効果を上げているということでありまして、大変評価をさせていただきたいと思っております。
 今後、このような取り組みをさらに進めていくべきと考えますが、このさらに進めていくというような考え方の中で、東京都の見解をお伺いをさせていただきたいと思います。

○平井環境局長 現在、都では、この百貨店の取り組みをもとに、物流事業者や関係区市などとともに、食料品を含めた共同配送の手引を取りまとめております。今後、これを活用いたしまして、ショッピングセンターなどの大型商業施設に共同配送の導入を働きかけ、都市部に集中する交通量の削減に努めてまいります。
 また、大規模複合ビルにおける共同配送の取り組みにつきましても、検討していきたいと考えております。

○富田委員 二点目として、環境金融プロジェクトについて伺います。
 地球温暖化による異常気象の発生は、金融機関においても投資に伴うリスクを向上させています。そのため、近年、国内外の金融機関による自主的取り組みとして、環境に配慮した経営を行う企業を金融面からサポートする動きが注目されています。
 そこで、近年の国際的な動向や金融機関の取り組みがどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○平井環境局長 近年、欧米の金融機関では、温暖化による気候変動が自然災害を引き起こし、企業経営上の重大な障害ともなるとの認識が広がってきておりまして、こうした認識を背景に、企業への融資審査などにおいて環境の視点を取り入れる事例が増加しているというふうに聞いております。
 一方、温暖化対策の広がりの中で、風力発電の急速な拡大など、新たなビジネスチャンスも生まれておりまして、こうした環境ビジネスの発展を促進する金融機関の動きも強まっているというふうに認識しております。

○富田委員 経済活動の血液ともいわれる金融機能が経済的インセンティブの役割を果たすことにより、企業の環境配慮行動が一層促進されることが期待されます。
 今回の環境金融プロジェクトは、東京都が金融機関にこうした自主的拡大を働きかけることにより、環境対策に率先して取り組む企業を社会全体で後押しする大きなうねりを引き起こす、意義のある取り組みと考えるものですが、見解をお伺いいたします。

○平井環境局長 温暖化対策などに率先して取り組む企業が経済的なインセンティブを得られるようにすることは、対策を促進する上で有効と考えております。
 環境金融プロジェクトは、企業の環境対策を促す金融商品の開発など、金融機関の自主的取り組みの拡大を目指すものでございます。今後、本プロジェクトの趣旨に賛同する金融機関との協議、検討の場を設置いたしまして、金融機関の取り組みを積極的に促進していく所存でございます。

○富田委員 昨年の六月八日、都議会民主党の代表質問では、コンビニエンスストアやファストフード店などへの対策強化を取り上げました。一つの店舗だけでは制度の対象外となるものの、店舗の設備や実際の運用が一括で管理されていたり、企業としては一つであったり、より踏み込んだ対策が必要であると考えたからであります。今回連携プロジェクトで盛り込まれましたコンビニ等省エネ推進プロジェクトは、まさに私たちの主張を受けてのプロジェクトであるものと評価をしております。
 私は、このコンビニ等となっているものを、チェーン店等に拡大すべきではないかというふうに思います。チェーン店と申しますと、私どもの中野区の樋口ゆうこさんのところはチェーン店であるということでありますが、チェーン店にはスーパーマーケットのような大規模な店舗もあれば、コンビニやファミリーレストラン、ファストフード、ドラッグストアなどのように、中小規模の店舗でありますが、幅広い業種にわたるフランチャイズチェーン店などがあります。このうち、近年、特にフランチャイズチェーン店の増加が顕著であります。私は、このプロジェクトの実施に当たっては、コンビニだけではなく、フランチャイズチェーン店を視野に入れた取り組みを期待するものですが、プロジェクトの意義と今後の取り組みについての見解をお伺いいたします。

○平井環境局長 コンビニエンスストアやファミリーレストランは、床面積当たりのエネルギー消費量が他の業種に比べまして飛び抜けて大きく、今後店舗数の増加も見込まれることから、CO2排出量の増大が予想されております。これらの店舗が加盟している日本フランチャイズチェーン協会におきましても、既に自主行動計画に基づき、照明の自動制御、あるいは冷凍設備の運転効率化など、省エネの取り組みを進めているところでございますが、都としてはさらに改善の余地があるものと考えております。
 フランチャイズチェーン店は、この組織形態を生かし、本部を通じた省エネ対策の普及が可能であることから、今後、同協会とも連携し、加盟店舗における一層の省エネの取り組みを促進してまいります。

○富田委員 私たちは、本会議でも、建築物環境計画書制度の対象拡大など、条例の充実を求めてまいりました。温暖化対策はまだまだ打つ手がほかにもあるというふうに思います。東京都の温暖化対策が国を動かしていることも十分承知しておりますが、これからも、京都議定書の発効は温暖化対策の第一歩でしかないことを認識し、さらに踏み込んだ施策の展開を要望しておきたいと思います。
 これで用意した質問は以上でございまして、四分ほど残しましたけれども、以上で都議会民主党を代表しての質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○樺山委員長 富田俊正副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時十一分休憩

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