東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後三時二十一分開議

○前島副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 中嶋義雄理事の発言を許します。

○中嶋委員 公明党の最初の総括質疑をさせていただきます。
 最初に、介護保険の改正、介護予防について質問をいたしたいと思います。
 昨年は年金改革が焦点になりました。本年は介護保険の改正、そして来年は医療制度の改正。この三年間、日本の社会保障の行方を決定する大変重要な節目である。制度改革そのものは国の仕事ではありますが、全国の自治体をリードする東京都は拱手傍観しているわけにはいかない、したがって、都議会としても必要な議論はきちんと行ってまいりたい、こういう観点から以下質問をいたします。
 介護保険制度が始まって五年、国会では、我が党公明党がかねてから主張してまいりました、介護予防十カ年戦略を骨格とする改正法案が出されております。今回の改正の焦点は、いうまでもなく介護予防であります。健やかに老いる高齢者をふやすために、つまり自立支援という観点から、要介護に至るリスクを早期に発見して適切な予防策を講じることが重要であります。そして、そのための支援体制の整備が、今最も強く求められている課題でもあります。
 現在提出されている改正法案では、介護予防の内容、中身は、まず第一に、要支援、要介護一の一部の高齢者を対象として、介護保険の給付として行う新予防給付サービスが一つ、もう一つが、要支援、要介護になるおそれのある虚弱な高齢者を対象として、区市町村が実施する地域支援事業としての介護予防サービス。
 問題は、この二つ目の地域支援事業としての介護予防サービスが、果たして一貫性、連続性を持って効果的なサービスになるのかどうか、区市町村が介護予防のマネジメント体制をきちんと確立することができるかどうか、これが問われております。
 この介護予防に対する新しいシステムの構築、ここに今着手しなくてはなりません。その中心となるのが、いわゆる介護予防のスクリーニングというそうであります。わかりやすくいうと、放置しておけば要支援、要介護の状態を招いてしまう、例えば筋力の衰えなどをわかりやすく判別できる仕組みをきちんと用意しなくてはならない、こういわれております。
 したがって、介護予防を効果あるものにするためには、今から都が区市町村を支援して、介護予防のスクリーニングの体制の整備の検討に着手すべきである、こう思います。まず最初に答弁をお願いしたいと思います。

○幸田福祉保健局長 お話のとおり、要支援や要介護になるおそれのある高齢者に対しましても介護予防サービスを適切に提供していくためには、介護予防の必要性を早期に判別するための仕組みづくりが必要でございます。
 このため、都は、老人保健法に基づく基本健康診査にあわせまして、介護予防健診を行う仕組みを構築するよう、本年一月に、国に対しまして実務的な提案を行ってまいりました。今後、この提案が国の制度改革で取り入れられるよう、引き続き働きかけてまいります。
 また、区市町村における介護予防の体制整備を図るため、国に先駆けまして、基本健康診査と介護予防健診「おたっしゃ21」を一体的に行う新たな取り組みを実施してまいります。

○中嶋委員 また、我々公明党は、介護保険の見直しに合わせまして、さきにも述べましたが、介護予防十カ年戦略を国に向かって提案しております。そこでは、当面は、中学校区に一カ所、将来的には小学校区に一カ所の介護予防の拠点の整備を国に迫っていこう、こういう提案をしております。
 今後も国の改正法案の審議が進めば、高齢者が身近なところで介護予防施設を利用できるように、区市町村が拠点整備に取り組まざるを得なくなります。これについても、東京都は区市町村をきちんと支援せねばならない、こう考えますが、見解はいかがでありましょうか。

○幸田福祉保健局長 国が予定しております介護予防拠点の整備につきましては、デイサービスセンターや公民館の活用などが例示されておりますが、その詳細はまだ明らかにされておりません。
 都としては、フィットネスクラブなど、活用できるさまざまな社会資源が多数存在するという東京の特性を考慮すると、そうした場も活用することが介護予防拠点の整備を進める上で有効であると認識しております。
 このことにつきましては、既に国へ提案要求しておりますが、引き続き働きかけますとともに、区市町村の介護予防拠点整備に関する取り組みを積極的に支援してまいります。

○中嶋委員 ぜひ支援をお願いしたいと思います。
 わざわざバスに乗って、十分も二十分もかけて介護予防トレーニングを受けに行くなんというのは、これはもう愚の骨頂でありますので、気楽に歩いていける範囲で介護予防拠点をぜひとも東京は整備したい、思いは一緒でしょうから、ぜひ局長も頑張っていただきたいと思います。
 それから、介護予防サービスを的確にそれぞれの高齢者に効果的に提供するには、筋力トレーニングなどのサービスの組み合わせ、マネジメントをきちんとやらないと、実は効果が上がらない。
 我が党は、過日、今答弁にあった「おたっしゃ21」、老人総合研究所でみずから体験してまいりました。若干、高齢者というには早過ぎるんですが、しかし、なかなかバランスをとるのが難しいようなメニューもありまして、参考になりました。
 その後に、稲城市で現実に行われている介護予防トレーニング、現場を見てまいりました。八十代のお年寄りが見えておりましたが、大変皆さん元気で明るくて、ここに来るのが楽しみだ、こうおっしゃっておりました。マネジメントさえきちんとできて、介護予防拠点が整備できれば、お年寄りが喜んで通ってくる拠点になるという一つの例示であります。
 介護予防拠点の整備は今答弁いただきました。次は、高齢者の皆さんが喜んで通ってこれるような、楽しみとなるような介護予防のトレーニングのマネジメントができる人材確保も、今からきちんと用意をしておく必要がございます。都の見解をお示し願いたいと思います。

○幸田福祉保健局長 介護予防マネジメントを担う人材の養成は、介護予防を進める上で欠くことのできない重要な課題であります。
 そのため、都としては、在宅介護支援センターなどの職員を対象に介護予防プラン作成技法などに関する研修を実施し、アセスメントから評価までの一連の介護予防マネジメントに関してリーダー的役割を担うことのできる人材を、来年度、約百二十名育成してまいります。
 都は、こうした取り組みによりまして、介護予防マネジメントをすべての区市町村が実施できるよう、全力で支援してまいります。

○中嶋委員 先ほど申し上げました「おたっしゃ21」、自分でやってみて、これは効果があるということが実感できました。介護予防というのは、言葉が先行しておりますが、実際は余り普及しておりません。したがって、医療と同じで、介護においても予防が大事だ、これを単なる言葉の先行ではなくて、実感として意識の普及を図る必要があります。
 そこで、これは、局が頑張ってくれました、先ごろ「中高年からの介護予防読本」という七十ページの本を出された。なかなかいいという専らの評判でございます。しかし、冊子の評判はよくても、つくっただけでは意味がない。読ませなくては意味がないし、読まない人にもどう意識の啓発をするか。
 そこで、少し知恵を絞っていただきたいと思います。結局は、中年の時代から--人のことは私、余りいえませんけれども(発言する者あり)中年の時代から健康な生活スタイルに切りかえていく、こういう呼びかけをぜひともしていただきたい、たばこも含めて。いかがでございましょうか。

○幸田福祉保健局長 お話の介護予防読本は、一人でも多くの都民の方が、介護予防や健康づくりの重要性につきましてご理解をいただくことを願って刊行いたしたものでございます。
 区市町村と共同で約三十二万部発行いたしまして、地域の高齢者に配布をするほか、日々地域住民の相談に当たっております約一万人の民生・児童委員の皆様にも活用していただく予定でございます。
 今後は、この読本に加えまして、介護予防健診を受診している様子や地域での取り組みを収録したビデオを区市町村に配布するなど、工夫を凝らしながら積極的に普及啓発活動を展開してまいります。

○中嶋委員 ぜひ介護予防には全力で取り組んでいただきたいと思います。恐らく高齢社会において最も大事なのが、この介護予防になるはずでありますから。
 今後、介護保険、分権が進むそうであります。例えば、地域密着型サービスの指定権限は区市町村に移行する、そして、事業者に対する区市町村長の調査権限も強化される、そういう地方分権の中で都がどんな役割を果たすか、かなり難しい面もあるかもしれませんが、ぜひとも局中心に、介護予防に全力で取り組んでいただきたいことを要望しておきたいと思います。
 続きまして、自閉症、発達障害について質問をしたいと思います。
 自閉症、アスペルガー症候群、ADHD、注意欠陥多動性障害、それからLD、学習障害、こうした発達障害への対応が大変重要になってきております。
 専門家によりますと、小学校の一クラスに三人から四人は必ず発達障害の児童が存在する、こういう専門家もおられます。したがって、都内全体では相当数に上る、こう考えて間違いはありません。
 都立梅ケ丘病院、小児精神病院としては公立では全国唯一、そこの市川院長先生は発達障害がご専門だそうです。今梅ケ丘には、発達障害のことを心配される若いお母さん方がたくさん来ておられるそうです。
 この市川院長にいわせますと、いわゆる三歳児健診では、まだ幼くて発見できない、五歳児健診ならば、きちんと発達障害の兆候がつかめる、早く兆候がつかめれば十分に療育治療できる、これが今の知見だそうです。
 したがって、ぜひとも五歳児健診やるべきだ(発言する者あり)これが市川院長の主張であり、我が党の今やじっている長橋議員が一般質問で取り上げたんですが、なかなか難しい、こういう答弁でありました。
 だったら、なぜ難しいのか、なぜ五歳児健診は困難なのか、その理由、課題をここで明らかにしていただきたいと思います。

○幸田福祉保健局長 子どもの発達障害は、身体的な障害に比べ発見が難しい面がございますが、お話のように、障害を早期に発見することは、その後の適切な治療のために重要であると認識しております。
 現在、保健所や保健センターで実施しているさまざまな健診の機会を通して、障害の早期発見に努めております。一方、都が実施する母子保健研修の中で、自治体の関係職員が発達障害に関します基礎知識や対応の仕方などを習得できるよう、指導に努めてまいりました。
 現状では、発達障害について地域で相談できる専門医や専門医療機関は限られており、今後、早期発見のための体制整備に努めていく必要があると考えております。

○中嶋委員 おっしゃるとおりだそうです。実は私も、国立成育医療センターに知り合いのドクター、優秀なドクターがいますので、きのう早速メールで、成育医療センターでも発達障害に取り組め、こうお願いをしておきました。
 ぜひ、こんな専門医が足りない、あるいは、よしんば発見できても、その後の療育ができないなんというのは、これはちょっとお粗末な話でございますから、都としても体制整備に全力を挙げるべきだと思います。
 これは参考までに聞いておきますが、梅ケ丘病院に、先ほどお母さん方が殺到していると僕はいいました。具体的な数値で、どんな梅ケ丘病院の状況なのか、お教え願いたいと思います。

○押元病院経営本部長 梅ケ丘病院における平成十五年度の一日当たり外来患者数は百三十六人でございまして、十年前の平成六年度、百四人から大幅に増加をしております。特に、ご指摘の自閉症、アスペルガー症候群など発達障害の新規の患者さんは、平成十五年度には約八百人と、十年前と比較して倍増しておりまして、医療ニーズは非常に高くなっていると認識をしております。

○中嶋委員 この梅ケ丘病院、実は何度か私も行きましたけれども、小児精神病専門病院なんですね。ところが、ほかの診療科がないから、実は小児の精神病の患者というのは、内科も外科も必要だと。実は、さまざまな診療科と一緒にした方が安心だと、ドクターはいっていました。
 したがって、府中に移る方針は我々は賛成ですが、その結果として、区部に発達障害の診療窓口がなくなるのは、これは看過できない。したがって、区部に都立病院で発達障害の診療科を設けるべきです。見解をお示し願いたいと思います。

○押元病院経営本部長 都立病院の再編整備計画におきましては、梅ケ丘病院を小児総合医療センターへ統合するのにあわせまして、豊島区にございます都立大塚病院に、新たに小児精神科の外来診療機能やデイケア機能、相談機能を整備することとしております。大塚病院では、小児総合医療センターと密接に連携をいたしながら、お話の発達障害の患者さんにも適切に対応をしてまいります。

○中嶋委員 期待しています。本部長、本部長、いや、いいんです、座ったままで。大塚病院の院長さんは小児科でしたよね。(押元病院経営本部長「さようでございます」と呼ぶ)そうですよね。ぜひ、いい外来窓口、つくっていただきたいと思います。
 あとは、専門医の不足。そもそも小児科が少ないから、その小児科の中から発達障害の専門医を養成するのは、それはそう簡単なことじゃない。しかし、ぜひとも、スタッフの育成、これも都立病院の責務です。まあ、お金があればね、首都大学東京に医学部もつくって、人材養成をやってほしかったんだけれども、それは簡単にはいかないから、都立病院でやってください、スタッフの養成。お願いします。

○押元病院経営本部長 発達障害に適切に対応してまいりますためには、専門的な知識と技術を持ったスタッフの育成が重要であることはご指摘のとおりでございます。
 梅ケ丘病院では、小児精神科の専門臨床研修医を受け入れまして、多様で豊富な症例と専門医の指導により、将来の小児精神医療を担う人材の育成に取り組んでおります。今後、育成の体系化を図るなど、さらにスタッフ育成の充実を図ってまいります。

○中嶋委員 よろしくお願いいたします。まだどうなるかわかりませんが、とにかく発達障害というのは、かなりすそ野の広い問題であるようです。ぜひとも取り組みをお願いいたします。
 実は、この後、ALS、筋萎縮性側索硬化症の質問をする予定でしたが、さまざまな議論をしたところでわかったことは、今の支援費制度のもとでは、残念ながら都は手も足も出ない、こういうことがよくわかりましたので、質問はいたしません。いたしませんが、知事に一言申し上げたいのは、実は発達障害も、一月の予算の復活要望の際に我々が取り上げましたら、いたく知事が関心を示していただいて、千五百万円、予算を復活させていただいた。大変に感謝をいたしております。
 同様に、ALSに関しても、知事は親しい方がなられたと、そのときにお話を承りました。実は、ALSの会の会長と副会長に会いました。いろいろ話というか、間接的に話をしたんですが、やっぱり知事がおっしゃるとおり、全身麻痺、人工呼吸器で二十四時間、たんもしょっちゅう取らなくちゃいけない。しかし、精神は本当に鋭敏だ。この病の特徴です。
 実は知事、そこの会長さん方は、知事に会いたがっていたんですよ。なかなか難しいんじゃないかといったら、だったら中嶋、会ってくれというので会ったんですけれども、ぜひ一度、時間があったら会ってください。東京の知事がそういう患者からじかに話を聞いた、その事実だけでも、大変な勇気づけになると思います。ぜひご検討をお願いしたいと思います。
 今後、何ができるかわかりませんが、ALS、ぜひ都としても、何が可能か、検討をお願いしておきます。
 続きまして、乳幼児医療費助成制度について質問いたします。
 少子化対策、これが今の大きな社会的なテーマです。政治、行政が、子どもを産めとか産むなといってはいけません。こんなことはいえるはずもない。ただ、しかし、産みたい、あるいは育てたいと思った人がいたならば、一歩でも二歩でも、産みやすい、育てやすい環境を用意する、これは政治、行政の仕事であります。そういう意味で我々は、ありとあらゆる施策を総動員して、一歩でも二歩でも産みやすい、育てやすい環境をつくりたい、こういう思いで一生懸命頑張っている最中でございます。
 その一環として、先ほどの代表質問で、乳幼児医療費の助成制度について石井幹事長から主張をさせていただきました。改めて、東京都がこの乳幼児医療費の助成制度を創設した当時の認識、これを確認したいと思いますが、ご答弁をお願いいたします。

○幸田福祉保健局長 乳幼児医療費助成制度は、出生率の低下など、子どもや家庭を取り巻く状況が大きく変化している中で、子どもが健やかに生まれ育つための環境づくりに向けた福祉施策の一環として実施したものでございます。

○中嶋委員 何かあっさりとした答弁で、実は、当時、大変な議論があったと先輩から聞いておるんですが、まあわかりました。
 そこで、幾つか聞いていきたいんですが、東京の合計特殊出生率が下がったなんていう話は繰り返してもしようがありません。我が世田谷は、〇・九を切ったといわれております。一じゃないですよ。〇・九を切ったんですから。これは、ありとあらゆる手を打つべきですよ。打つべきです。潜在的には子どもを持ちたいと。
 もっといっちゃいますと、私が結婚した当初、今から三十年前、例えばの話ですよ、赤ちゃんお断りなんていうアパートが現にあったんですから。ペットじゃないんだから、ふざけるなといいたくなるんだけど、結婚するまでは貸してくれる、赤ちゃんが出たらお断り。とんでもない。こんなのがあったんですから。これは昔の話ですけれども、何とか産みやすい、育てやすい環境づくりを一歩でも二歩でも進めてもらいたい。
 そこで、仮に中学生まで、この乳幼児医療費助成制度を拡大した場合、現行の所得制限では、あと幾ら追加予算が必要か、所得制限を撤廃したら幾ら必要か、この二点、明らかにしてください。

○幸田福祉保健局長 仮にというお話でございますので、仮に対象年齢を中学生まで拡大した場合の費用を平成十七年度予算をもとに推計いたしますと、現行の所得制限を継続した場合で、全体事業費では約三百五十億円、所得制限を撤廃した場合で約五百二億円でございます。

○中嶋委員 実は、国内総生産、GDPに占める児童家庭給付の割合、これも皆さんよくご存じです。あえて強調する意味で申し上げます。欧州各国が軒並みGDPの二%から三%台であるのに対して、日本は〇・四%。もっとも、GDPが日本の方がでかいですからね、それもあります。社会保障給付費全体に占める児童家庭給付の割合も三・五%。
 したがって、今答弁がありました。こういういい方は、ちょっと誤解されては困るんですが、その程度の予算は出しても十分しかるべきであります。そう思います。ぜひ今後とも検討をしていただきたいと思います。
 さまざまな要求を都は国に提出をしてまいりました。聞いています。健康保険の改革についての提案等も都はやってきた。今後は、提案するだけではなくて、国が動かないなら都が動く。これまでも他の自治体の先頭を切って、さまざまに国を動かしてきた。その東京都政の伝統を生かして、都みずからも助成制度の充実のために努力をすべきである。一歩踏み出すべきである、こう思いますが、再度答弁を願います。

○幸田福祉保健局長 本制度は、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものでありまして、これまで、平成十年には三歳未満から四歳未満へ、平成十二年には五歳に、十三年には義務教育就学前まで、段階的に拡大してまいりました。

○中嶋委員 本会議と全く同じ答弁。本会議の代表質問でも、石井幹事長、この次は予算委員会で質問するといっておりました。私も最後に、引き続き次の機会にも質問することを(発言する者あり)そうね、常任委員会でやりますから、局長、また議論しましょう。
 次に、住宅の耐震化について質問をいたします。
 もうこれも皆さんよくご存じで、これが国の被害想定の概要です。さっきもありましたけれども、最悪の場合は経済的被害は百十二兆円、阪神・淡路の十倍。それから、死者は最悪で一万三千人、全壊家屋は八十五万棟。この数字を議論することには余り意味がありません。これに妥当性があるかどうかというのはわからないわけですから。ただ、しかし、相当な被害が出る。
 実は、この被害想定の報告を内閣府の審議官からじかに聞く機会を持ちました。国はですね、僕は国の積極性に驚いたんですが、その審議官がいうには、夏をめどに、この被害想定に基づく対策編をまとめると明言していました。来年三月までに、この被害想定をもとに減災計画をつくるとはっきり言明していました。よくいったと僕は思いました。この積極性、国の積極性、評価したいと思っておりますが、だったら東京都も、改めて被害想定、やり直す必要は僕はないとは思いますけれども、しかし、個々の指摘された問題に対する対策編、あるいは新たな減災計画はあってもいい、こう思いますが、いかがでありましょうか。

○赤星総務局長 都はこれまで、地域防災計画及び震災対策事業計画の中で具体的な事業目標を定めまして、地震に強い都市づくりを推進いたしますとともに、効果的な訓練を積み重ね、防災力の向上に努めてまいりました。来年度には、国の被害想定を踏まえまして、東京都防災会議におきまして、被害想定や地域防災計画の見直しに着手し、新たな対策についても盛り込んでまいります。

○中嶋委員 被害想定でさまざまな事項が指摘されました。全部取り上げていると、とても時間がありません。一点だけ、大変気になった点がございます。自力脱出困難者、こんな概念を提示してまいりました。家具の転倒で負傷する--実は神戸市に電話して聞いたんですが、六千八百人のうちの八割九分は死んだ、あれは、圧死あるいは窒息死なんですってね。家具につぶされて、生きているんだけれども呼吸できなくて亡くなった方がいるんだそうです。自力脱出困難者は、そういう方々です。それが四万から五万人以上に上ると、被害想定は指摘しています。
 実はそのときに、審議官の説明を受けている席に、公明党の赤羽という衆議院議員がおりました。彼は、阪神・淡路大震災の際に神戸に住んでおりまして、家も大被害を受けたものの、まだ若いですから、家を飛び出して、神戸じゅうを走り回って救難救助に当たった経験を持っている人物です。
 その彼が、内閣府の審議官にこういいました。神戸の私の経験から、この自力脱出困難者は、最悪の場合、すべて死亡することを覚悟する必要がある、家具の下敷きになり、倒壊家屋の下敷きになり、奇跡的に命は助かっても、早急な救助がなければ全員犠牲になってしまう、国はそうした危機感を持っているのかといっておりました。
 同じことを、僕は都にも問いたいと思います。この自力脱出困難者対策が、やはり急務です。今すぐ対策を立てろなどと乱暴なことをいうつもりは毛頭ございません。これからしっかりと対策編、減災計画をつくりたい。
 そこで、一点だけ、現状での提案があります。救助には、恐らく消防団を初め地域総ぐるみで当たる必要がある。しかし、圧倒的に機材が足りません。圧倒的に機材が足りません。
 そこで、聞くところによると、土木業者が建設業者と、閉塞した道路を除去するための協定を結んでいるんですって。だったら、そこに自力脱出困難者の救援も協定に盛り込めばいい。で、重機をフルに使って、地域の力で自力脱出困難者を救う体制を整備すべきであると思いますが、見解をお示し願いたいと思います。

○赤星総務局長 自力脱出困難者の救出につきましては、地域の住民や企業が助け合います共助の取り組みが重要でございます。都はこれまで、消防団への資器材の補助や、防災行動マニュアルの指針策定など、区市町村が行います共助の取り組みを支援いたしますとともに、災害要援護者に対します避難誘導訓練などを実施してまいりました。
 今後も、ご指摘のような応援協定の内容はこれからも充実いたしますとともに、引き続き区市町村と連携いたしまして、より多くの地域住民の参加と、協定を結んでいる企業の参加を求めまして、災害要援護者の救出訓練を行うなど、地域防災力の向上にさらに努めてまいります。

○中嶋委員 急な質問なんで、すぐさま具体的には答弁できないでしょうが、詰めてください。自力脱出困難者、新たな概念ですから、ぜひ詰めてもらいたい、そう思います。
 それから、結局、いろいろ議論して行き着く先は、住宅の耐震化、不燃化なんですよ、震災対策の眼目は。この耐震化、不燃化をどう進めるか。代表質問でもいわせてもらいました。地震の第一撃で家屋倒壊による圧死者を出さない。あるいは火災を発生させない。そこに焦点を絞った震災対策、ぜひともつくっていきたいと思っております。
 国は、ここに資料がありますけれども、東海、東南海、南海地震の住宅の耐震化の費用対効果、これを発表しています。それによると、財政、税制による住宅の耐震化、耐震助成を行った結果、東南海地震では全壊家屋が十七万戸から六万戸に減少して、減災効果は二兆一千億円、それから、南海地震では同様に全壊家屋が十七万戸から五万戸に減り、減災効果は二兆二千四百億円。
 したがって、耐震助成は単なる持ち出しではなく、中長期的には--こんな経済効果の観点から語ってはいけませんけれども、しかし、あえていえば、中長期的にはむしろ費用効果が高い、こういうことがいえると思います。真剣に導入を検討していただきたい。要望しておきます。
 そこで関連して、石原知事は我が党の代表質問に、関係各局が連携して住宅の耐震改修を促す、こう答弁されました。この関係各局の連携とは一体何なのか、教えていただきたいと思います。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 住宅の耐震化を促すためには、ソフト、ハードにわたるさまざまな分野の施策の連携が必要でございます。このため、関係各局で構成する検討会の設置を考えております。

○中嶋委員 いずれ区市町村も巻き込んだ検討会で、耐震化、不燃化、促進していただきたいと思います。
 それから、被害想定は、実はもうはるか昔から都もやっていますね。一キロメートルメッシュ地図で被害想定で、例えば、地震の二次災害の火災の危険箇所は、赤からだんだん色を塗っていく。昔は江東、墨田区など下町が真っ赤でした。実は昔、白鬚東を江東防災六拠点計画といって、大変注目を集めたことがありました。そのころに墨田区が二十三区で初めて建築物不燃化助成制度というのを始めたことを、いまだに鮮明に覚えております。
 そういう努力のかいもあって、今ではむしろ下町の方が火災に強いまちになった。もっとも、下町は地盤が弱いですから、依然として震災対策は必要ですが、火災には一部強くなった。逆に、山の手が火災に大変弱い、こういわれています。考えてみれば、被害想定地図を真っ赤っ赤にして、あんたのところは危ないよといっておきながら、全然火災対策を進めないのは、これは理不尽です。理不尽です。したがって、都の被害想定で中野、杉並、真っ赤っ赤、環七周辺の世田谷も赤いというんだったら、木密地域の解消、もっと力を入れて早期に達成すべきです。被害想定を出しながら対策の手を打たない、これはおかしいですよ。局長、いかがですか。

○梶山都市整備局長 木造住宅密集地域の防災性の向上に向けて、都は区と連携し、東池袋や鐘ヶ淵地区において、延焼遮断帯となる幹線道路の整備や、地域内の細街路の拡幅と老朽木造住宅の不燃化に取り組んでおります。
 今後とも、地元協議会や民間企業を含めたまちづくり勉強会などでの具体的な活動を通じて、地域の防災意識の高揚を図ってまいります。こうした取り組みを都区が共同して行いながら、公共施設の整備とともに、街区再編まちづくり制度や新たな防火規制なども活用し、木造建物の耐震性と耐火性の改善をあわせて実現していく木密地域の整備を推進してまいります。

○中嶋委員 実は、若干事情はわかっているつもりです。僕は世田谷です。太子堂、土地の権利関係が大変複雑で、手をつけようにも手がつかない、そんな困難な要素が十分あることはわかっておりますが、これだけ震災への関心が高まっている今、危険地帯の解消には、やはり全力で取り組んでいただきたい。地域住民の代弁の声だと思って受けとめてください。
 それから、国は、新しい住宅にかかわる交付金制度を設けました。まだ予算が完全に決まったわけじゃありませんが、ほぼ通るでしょう。この交付金制度は、耐震助成にも使えると聞いております。この国の制度をうまく活用して耐震助成を図ることはできないのか、見解をお示しください。

○梶山都市整備局長 地域交付金制度のことだと思いますが、地域の住宅政策の課題に対応するため、自治体の自主性、裁量性をより高め、従来の国庫補助制度にかえて、国から交付金が交付されるものでございます。
 この交付金は、住宅の耐震化など自治体が独自に提案する事業も対象とすることができますが、一方で、公営住宅などの既存事業については、従来よりも国費の割合が引き下げられ、都の負担が大きくなります。このように地域交付金につきましては、既存事業も含めた財政負担のあり方などの課題があり、今後、その効果的な活用方策を検討してまいります。

○中嶋委員 わかりました--いいたくてもいえない気持ちがわかったという意味ですからね。それで、ぜひ耐震助成、また検討してください。難しいことは、よくわかっています。よくわかった上で要求しているということを、局長、受けとめてください。
 それから、やはり本会議でも申し上げましたが、新宿区早稲田商店街の安井潤一郎さん、あの方が実は--会いました。会ってですね、あの人が最初にこういったんですよ。阪神・淡路では約六千八百人の方が亡くなった、東京が震災に遭い、また同じような死者を出したら、神戸で亡くなった六千八百人の死はむだ死にだ、そんなことはさせたくない、開口一番、そうおっしゃいました。この発言にはインパクトがありました。全く同感であります。その思いで、都の局長の皆さんも取り組んでもらいたい。我々もそう思って頑張ります。
 そこで彼らは、したがって、地震の第一撃で人が死なないだけの耐震改修を普及させようということで、簡易耐震改修、工期は一日から一週間、費用も数十万から百万円以下。例えば、壁に耐震ボードをべたっと張れば、簡単に終わって、しかも丈夫になるみたいなやつを一生懸命提唱しているわけですね。この普及を図ってもらいたいというのが一点。
 また、こういう耐震手法を普及させるために、一月に、都市整備局、ここが頑張ってくれました。耐震フォーラムを開いてくださいました。好評です。単発で終わらせないで、各区持ち回りでもいいですから、継続してフォーラムを開いてください。二点です。
 答弁、お願いします。

○梶山都市整備局長 近年、耐震改修については、コストが低く工期が短いなどの面ですぐれた工法が開発されております。これらの工法について、その性能を技術評価する制度が昨年十一月から、公益法人において開始されました。都といたしましては、各工法の概要や価格、評価内容について、ホームページやパンフレットなどで広く都民へ情報提供するなど、信頼性があり、低廉な工法の普及に努めてまいります。
 次に、耐震フォーラムでございますが、この一月に開催いたしましたこの耐震フォーラムでは、延べ約四千五百名という多くの都民の参加を得ることができました。都のほかにも、新宿区や杉並区など五区で耐震に関する催しを実施しております。今後とも、耐震化の意識啓発を図るため、このような催しの開催などについて、庁内関係部局や区市町村とも連携し、継続して取り組んでまいります。

○中嶋委員 多摩でも、ぜひやってください。住宅密集地帯を優先でね。
 それで、これは、私の地元の世田谷の東京都建築士事務所協会に所属する、ある方からのメールです。何かと思って読んでみたら、知事、もう早くも、早くも耐震改修に名をかりた悪徳商法が出回っているんです。嫌になりましたね。
 例えば、ケースワン、MMさん。世田谷区豪徳寺、女性ばかりの四人家族。工費が高いか安いか、必要な工事かどうか、自分たちではわからない。次々と契約を進められ、五回に分けて契約。結果的に千百九十八万円払ってしまった。この方が相談を受けて、内容証明書等で郵便で送って不当性を訴え、相手と交渉した結果、五百万円は返ってきたと。
 それから、YKさん。世田谷区南烏山、七十歳を超えたおばあさん。同じような被害に四回遭っているというんです。一つは、小屋根裏の耐震補強。あんたんちの屋根裏は危ないから、屋根裏の耐震補強をやろうといわれて、百六十九万円を請求された。一カ月もたたないうちに、あなたの家の床下が危険だから、床下を耐震塗装をやろうといってやってきた。それで四十万円取られた。床下の塗装で耐震強化なんかできるわけもない。
 しかし、そうやって、恐らく仲間内で連携をとって、この人はカモになると、やってくるわけです。とんでもない連中が、こうやってはびこっている。僕も初めてこのメールで知ることができました。
 したがって、局長、都市整備局で、耐震診断から耐震改修に至るまで、都が責任を持って、こんな被害を出さないための安心できるシステム、早急に考えてください。答弁を。

○梶山都市整備局長 都は、適切な耐震改修の知識を持った業者を育成するために、建築関係団体の協力を得て、都内中小工務店や建築士会等を対象に講習会を実施してまいりました。今後は、講習会修了者を都区市町村の窓口やホームページで都民に周知するなど、信頼できる事業者情報を提供するシステムの構築を検討してまいります。

○中嶋委員 この建築士協会の広瀬さんという方ですけれども、こういっています。区の職員も相談を受けても、営業妨害で訴えられることをおそれて、点検業者に厳しいことをいえなかったらしい、したがって、東京都が、世田谷区で点検商法、こうした悪質な点検商法に対する条例なり何なりをつくって、防止する手段をぜひとも講じてもらいたい、それがいいたくてこのメールを打ちましたと、こう書いてあります。これは今後の課題として、また議論しながら検討したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 防災に関連しまして、僕は知らなかったんですが、東京湾というのは、トラック輸送とか陸上輸送以上に、都民の生活必需品を運んでいるということを最近知りました。
 そこで、港湾局長に聞きたいんだけれども、都民生活の日常に果たしている東京港の役割、簡単でいいですから教えてください。

○成田港湾局長 東京港の役割でございますが、ご指摘のように、東京港は千二百万の都民生活を支えるとともに、首都圏物流のゲートウエーとして、輸出入貨物のうち、輸入で約六割、輸出で約五割を扱う一大物流拠点となっております。
 とりわけ近年、製造業の海外展開により、家電製品や日用品等の輸入が増加していることもありまして、東京港の取扱貨物のうち生活関連物資が約六割を占めております。
 具体的に申し上げますと、家電製品では、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、これの全国輸入量の三割近くを、また食品では肉類やワインなどの酒類の四割以上を、それからエビやサケ・マス類では、その六割を取り扱うなど、東京港は都民生活インフラとして欠かすことのできないものとなっているところでございます。

○中嶋委員 その東京港、やはりこれも防災対策が必要であります。
 公明党は、昨年の四定の代表質問で、岸壁の耐震強化をやれと質問したら、たしか局長は、京浜三港間の耐震岸壁の相互利用の協定を締結したいと、こういうふうにいっておりましたし、知事も施政方針で、相互利用の協定締結について言及があったと。
 これはいつやるんですか。それで、やった場合の意義ですね、この二点を説明願います。

○成田港湾局長 耐震強化岸壁等の相互利用協定の、まず意義でございますが、主要な輸送拠点である港湾の機能を震災時にも確保していくためには、隣接港湾の連携により、お互いにその機能を補完し合うことが極めて重要であると認識しております。
 このため、本協定の締結によりまして、まず発災直後には、緊急物資の確実な輸送に向け、ご指摘の耐震岸壁を初め利用可能な岸壁を、京浜三港間で最大限相互に活用してまいります。
 また、その後の復旧復興期におきましても、三港が果たしている重要な国際物流機能を可能な限り確保し、都民生活はもとより、首都圏全域の住民生活と産業活動に必要な物資の安定的供給を図ってまいります。
 現在、横浜港、川崎港とともに、京浜三港間で鋭意検討を進めておりまして、年度内に基本協定を締結いたします。

○中嶋委員 今月ということですね。わかりました。それではこれ、ぜひやってください。こんなに東京港が日常生活物資に大きな比重を占めているのがわからなかったんで、ちょっと驚きました。
 それと、ただ心配なのは、私は埠頭公社の評議会ですか、あれにも出たことがあります。結局、コンテナ船とかさまざまな民間会社が使っています。いざ震災時に、本当に公共利用ができるのか。これはあらかじめ、さまざまなケースを想定して協定を結ぶなり、あるいは訓練するなりしとかなあきまへん。これ、ぜひやってください。

○成田港湾局長 この三月に協定を締結いたしますが、この協定の実効性を確保していく上では、ご指摘のように、さまざまな被害規模あるいは箇所を想定したケーススタディーを行うことによりまして、受け入れ手順、利用方法等を事前に検討していく必要がございます。
 このため、京浜三港では、早急に連絡調整会議、これは仮称ではございますが、三港連携タスクフォースを設置いたしまして、関係事業者等も含めた効果的な相互利用体制の確立を図るとともに、震災時における港湾施設の公共利用を担保する方策についても、十分に検討してまいります。

○中嶋委員 引き続き細かな点ですが、防災に関連して、防災訓練について一点。
 救助犬の活躍が大変重要です。学校とか建物の解体現場等で救助犬の訓練はできないかという話です。ある人からぽっといわれて、いわれてみれば全くそのとおりなんだけれども、本当の災害現場に行って、訓練するわけにいかないですね。これはもう実戦だから。そうすると、本当に臨戦的な訓練というのは、実はやる場所が極めて少ないんです。いわれてみれば、全くそのとおり。
 だったら、都の建物の解体中--いや解体工事をとめる必要はありません、日曜日なら日曜日、一日開放して、例えば救助犬の訓練、こういうものに使うべきだと。これはアイデアですね。ばらしちゃいますと、都の職員のアイデアらしいんです、実は。ちらっと聞きました。ぜひこれを制度化して、きちんと協定なども結んでやってもらいたい。
 恐らく一般財産一番多いのは財務局ですから、財務局長、これどうでしょう。やってくれませんか。

○松澤財務局長 災害時を想定した救助犬の訓練を行うことができるのは、今お話がありましたように、コンクリートが瓦れき状態の期間に限られておりますが、そうした時期に要請があった訓練に対しましては、これまでも解体工事現場を提供してきたところでございます。
 今後は、東京消防庁と協定を締結しております災害救助犬の団体に対しまして、あらかじめ実施可能な時期や場所を情報提供することによりまして、さらに利用可能な状況をつくってまいります。

○中嶋委員 ぜひお願いしたいと思います。
 防災問題の最後に、知事にお聞きしたいと思っております。
 今、防災訓練はやはり重要であります。阪神・淡路の教訓、新潟県中越地震の教訓を生かした訓練を、ぜひ九月にはやっていただきたいと思っております。
 阪神・淡路の際に、我々の先輩の公明党都議団が、発災直後に神戸市役所に入りました。ある部屋で、自衛隊の指揮官がいたので、何をしているのかと聞いたそうです。そのとき、その指揮官が、最高指揮官が判断力がなくて無能なために我々は何もできない、すぐそこで人が死んでいるにもかかわらず助けに行くことができないといって、悔し涙を流している姿を、公明党の先輩議員が十年前に見てまいりました。そんな思いは、二度と味わわせてはなりません。
 したがって、消防、警察はもちろん自衛隊も含めた全力を挙げた防災訓練、政党もすべて協力してやるべきです。そう思いますが、知事、その防災訓練にかける決意をお聞かせ願いたいと思います。

○石原知事 繰り返して申しておりますけれども、日本は世界有数の大火山脈の上にある地震国でありまして、また最近、そのいろいろ予測なり分析が出回りまして、かなり東京直下型の地震に関する危機感が高まってきていると思いますが、この信憑性というのは決して否定できないと思います。
 いずれにしろ、大災害が発生したとき、特にこういう集中、集積の多い大都市では、あとうる限りの力を駆使して、被害を食いとめる必要があると思いますが、そのためにも、他の機関、例えば、警察や消防の持っていない機動力を持った自衛隊の参加が不可欠だと思います。
 個人の名前は申しませんが、村山内閣のときに(笑声)いや、これは内閣の総責任者ですから--部署、部署の人たちの判断力が悪くて、とにかく自衛隊は足踏みしながら待たされ、死ななくていい人間がおよそ二千人ぐらい死んだだろうというのが通説でありますけれども、いずれにしろ、ことしもまた陸海空の三自衛隊、三軍を動員しての演習を行います。これは、我々が税金を投じ、培ってきた力でありますから、それを災害に備えて我々自身のために使うのは、何ら問題がないと思います。
 一部、反対の政党があるようでありますけれども、共産党を含めて、全会派がこれに挙げて協力していただくことを、私は熱願しております。

○中嶋委員 続きまして、予算に関連して何点か質問をいたしたいと思います。
 今、共産党という言葉が出ました。中途議決の共産党の討論にもありましたけれども、都の予算は、都市再生事業に偏った予算であり、土木費が突出している、こんな批判がございました。予算のことですので、ちょっと確認をしたいと思います。
 そういう批判に関連して、こうも批判していました。この四年間--多分この四年間というのは、平成十二から平成十五年度までのようですけれども、共産党員が、首都圏の各県が二五%から三五%も土木費を、土木関係費を、投資的経費を減らしているのに、都は逆に一〇%以上もふやしていると、こう批判しているというんですね。
 東京都は、財政再建推進プランをやっている真っ最中であって、やみくもに土木費をふやすようなことは僕はないと思うんだけれども、改めて担当局長から、きちんと答弁してください。おかしいよ、こんなの。

○松澤財務局長 他の自治体と経費の比較を行う場合、一般に総務省の統一的な基準による普通会計決算を用いるのが通例でございますが、その中では、今お話があったような、引用されたような数字は確認できませんでした。
 この普通会計決算で土木費を見ますと、十二年度から十五年度までの増減率は、埼玉県が二六・九%減、千葉県が二一・六%減、神奈川県が二一・六%減となっております。都も八・九%減となっておりまして、その点から見て、土木費をふやしているというような事実はございません。
 なお、都の減少割合は、この間、他の団体に比べて低くなっておりますが、これは都がいち早く投資的経費の抑制に取り組んできた結果でございます。

○中嶋委員 一〇%もふえているというのは、全くのこれは間違いじゃないですか。全くおかしな話で、誠意があるならば、こうした間違いは訂正すべきですよ。誠意を示せといいたいと思います。
 それから、何かというと、投資的経費というとすぐむだ遣いだとか浪費だとか、短絡的にいう。これもおかしい。投資的経費の意味がわかっていないと僕は思います。
 東京において、なぜ投資的経費が必要か、これも他の道府県と比べた場合、東京の投資の必要性は高い。あるいはこれまで投資が低かった。僕はそう判断できると思うが、財務局長いかがですか。

○松澤財務局長 総務省が公表しております行政投資実績によりますと、直近の平成十三年度では、東京都区域には約三兆円の公共投資が行われておりまして、これは全国の公共投資額全体の七・八%に当たるわけでございます。
 また、これを全国の投資額がほぼ同程度であった十年前の平成三年度と比較しますと、都の全国シェアは、一二・一%から四・三ポイントも低下しております。また、投資額は平成三年度の四兆九千億円から、金額で一兆九千億円、率にしまして三八・五%の大幅な減となっております。
 こうした東京のシェアは、中長期的に見ても低下傾向にありまして、首都、また巨大都市東京としての役割から見ても、公共投資額は決して多いといえる状況ではございません。

○中嶋委員 まず、これまでの過去の公共投資のシェアから、今、公共投資悪玉論は間違いであると証明してくれました。
 追い打ち、都市整備局長に聞きたいと思います。
 具体的に、さまざまな東京の都市基盤整備がおくれております。(発言する者あり)これから環状道路や空港の整備を進めて、国際的な都市間競争にも対等に伍していかなくてはいけない。そういいうときに、現在、環状道路や空港の整備状況、大都市の同等の都市と比べて現状はどうか。改めて確認の意味で、どうも騒いでいるから教えてあげてください。

○梶山都市整備局長 環状高速道路について見てみますと、パリでは計画延長のうち八三%が供用され、ロンドンでは既に一〇〇%が完了しております。
 これに対し、首都圏の骨格をなす中央環状線、外環、さらには圏央道を合わせて五百十八キロの計画のうち、現在供用されているのは二三%にとどまっております。
 また、空港について見ますと、人口が首都圏の半分程度のニューヨーク大都市圏では、三空港で九本の滑走路により年間約百六万回の発着回数があるのに対し、首都圏においては、羽田、成田の両空港で五本の滑走路しかなく、その発着回数も年間約四十六万回と、ニューヨーク大都市圏の半分以下となってございます。

○中嶋委員 したがって、公共投資は不要不急な事業どころか、まだまだ不可欠な大事な事業であります。
 そこで、これも改めて確認をしておきたいが(発言する者あり)震災対策も、必要だよ。道路も必要なんだよ。わかってない。
 それで、大事なことは、その経済波及効果もはっきり示すべきだ。投資的経費というのは投資なんだから、必ず見返りが来る。この見返りによって、また税収が上がり、それが保健福祉施策につながってくる、こういう話なんだから。経済効果を、都市整備局長、示してください。

○梶山都市整備局長 整備効果について、国の試算によりますと、首都圏三環状道路など今後の高速道路ネットワークの整備により、首都圏の渋滞がおおむね解消し、走行時間の短縮など直接便益だけでも、ご指摘のように、年間約四兆円に上る整備効果が期待されます。
 また、羽田空港の再拡張、国際化によって、全国における経済波及効果は、生産額増加が年間約一兆八千億円、雇用増加が約十七万七千人と見込まれております。
 これらの経済効果に加え、都が来年度から有料道路事業に先駆けて街路事業に着手する中央環状品川線を例にとりますと、その整備によって削減される二酸化炭素量は、代々木公園四つ分の面積に相当する森林が吸収するものと同じ量の約七千トンで、大きな環境改善効果が見込まれます。

○中嶋委員 だから、例えば、昔は道路をつくれば車が集中して環境が劣化する、これが常識だった。これは高度経済成長時代で、車も人口も無際限に拡大していた時代の常識です。今はそうではありません。合理的な交通ネットワークを結んで、経済条件も環境条件も向上させることが可能になった。そういう認識に基づいて、改めて都市の再生事業に取り組んでいくべきであります。
 もう一つは、イメージだけで公共事業は悪いというのは、やはりこれはたちが悪い。僕はそう思います。ぜひ、しっかり勉強をしていただきたい。
 それから起債です。何だか知りませんが、この石原都政になったら起債がふえちゃったと。石原知事は公約違反だみたいなことをいっている人がいるんだけれども、そうじゃないはずなので、一つは(発言する者あり)それも後でちゃんと説明してもらうから、しっかり聞いていなさい。
 それで、起債依存度の比較、各知事の比較、二つでもいいや。それから、これまでの都の起債の活用の仕方。この二点、簡単に説明してください。

○松澤財務局長 都債は、投資的経費の貴重な財源として、世代間負担の公平を図るとともに、財源の年度間調整を行うという、こういう二つの機能を有しているわけでございます。
 厳しい財政状況が続く中、都市基盤の整備などを進めるための財源として、こうした機能を有する都債につきましては、財政の健全性に配慮しながら、将来の財政負担にも十分考慮して、これまで適切に活用してきたところでございます。
 その意味で、十七年度予算における起債依存度は六・二%であり、四十七都道府県の中では一番低い水準となっております。
 また、青島知事時代の平成八年度から十一年度までの決算における起債依存度の平均は、九・八%でございます。これに対しまして、石原知事就任後の平成十二年度から十七年度当初予算までの平均は六・五%でございまして、かなり抑制基調で推移してきております。

○中嶋委員 これが客観的な数字です。
 さっき、やじでいっていました。では起債残高、局長、来年から減るはずです。それも聞かせてあげてください。どうもわかっていない。

○松澤財務局長 都債残高は、石原知事が就任しました平成十一年度と十六年度の最終補正予算を比較しますと、この間、数字だけを見ますと五千七百四十三億円増加しておりますが、これは大きく分けて二つの理由によるものでございます。
 一つは、バブル経済崩壊以降、都債を四年度七千八百十五億円、五年度一兆五百八十五億円、六年度八千四十億円と、景気対策などに伴いまして大量に発行したため、それらが十年後に満期を迎え、借換債として約一兆三千億円生じたことによるものでございます。
 二つ目は、平成四年度から民間資金について、満期一括償還方式に変更したことによるものでございまして、この方式は、それまでの毎年六%ずつ元金を償還する定時償還方式とは異なりまして、十年後に一括して全額元金を償還するルールのため、満期まで都債残高が減らず、高どまりする要因となっているということでございます。
 こうしたことから、石原知事になって、都債の発行を極めて抑制してきているにもかかわらず、十六年度末で都債残高が過去最高になったものでございまして、新たにその都債を発行したことによるものではございません。
 なお、十七年度末には、十六年度末に比べまして約一千億円ほど都債残高が減少する見込みでございます。

○中嶋委員 ためにする議論ではなくて、せめて財政論の基礎はしっかりと押さえた前向きな議論をぜひともしたい、そういう意味での批判だと思って、真正面から受けとめてもらいたい。ぜひ、共産党の皆さんはまじめで立派な方が多い、したがって、しっかり真正面から問題点を受けとめて勉強してもらいたいと私は思います。
 これからは、批判をさせてもらう。
 予算に引き続き、これは共産党のホームページのプリントアウトであります。このホームページのプリントアウトをめくっていくと、日本共産党の訴えと重点政策なる文章が出てくるんですね。ホームページです。そこに何が書いてあるか。選挙目当ての独自の政策ならば、何をいっても、それはまあいいでしょう。しかし、事実をねじ曲げたり、事実を誤認したものを黙って見過ごすわけにはいかないと思います。
 これが、どうもホームページに載っている重点政策、その二ページ目に、こう書いてあります。美濃部都政の時代には福祉費を十二倍にふやしました、その後、鈴木都政でも二・四倍、青島都政では一・二倍に福祉費をふやしました、石原都政になって初めて福祉費を減らしたのですと、こんなことが書いてある。これは事実かどうか、答弁してください。

○幸田福祉保健局長 時代や社会状況の変化に伴い、福祉施策や制度は大きく変化するものでありまして、当然、都民の福祉に対するニーズも、都が提供する福祉サービスも、大きく変化しております。
 したがいまして、昭和四十年代の美濃部都政と現在の石原都政における福祉施策を、単純に福祉関係費の多寡や伸び率で比べることには、意味がないものと思います。
 こうした前提に立ちまして、財源をどのような分野に配分しているかという観点から、歴代知事の在任期間中の一般会計に占める福祉関係費の構成比で、最も高い率を比較いたしますと、美濃部知事は、昭和五十三年度の六・五%、鈴木知事は昭和六十二年度の六・八%、青島知事は、平成十年度の八・四%、石原知事は、平成十四年度の九・五%でございます。
 こうした結果を見ても、石原知事が福祉関係費に財源を重点的に確保していることは明らかでございます。こうした内容につきましては、都民の皆さんには正しく理解されているものと考えております。

○中嶋委員 それで、さらに次のページをめくると、これから福祉を中心とする補助金を八百億円も減らす計画です、なんて書いてあります。こんな事実はありますか。こんな計画はありますか。お答えください。

○松澤財務局長 ただいまお話のありましたそのような計画は、全くございません。

○中嶋委員 さらにその次のページをめくると、まだある。都政では、二〇〇〇年度から三年間で福祉関係費と土木関係費の比率が逆転、こう書いてある。
 これは実は、これだけじゃなくて--私も余りこんなことはいいたくないんですよ。仲よくしたい。しかし、ひど過ぎる。このチラシがひど過ぎる。めっちゃくちゃ。福祉削り、むだは拡大、都の逆立ち予算を絶賛するオール与党、自民党、公明党--民主党にも、福祉手当は寝たきりを助長、もっと借金して公共事業をといっているって書いてあるんだよ、民主党のことを。生活者ネット、福祉切り捨て予算にすべて賛成って、書かれているんだよ。自分以外はすべて悪者。こんなチラシを配られて、黙っているわけにはいきません。したがって、感情的な批判ではなくて、どれが間違いで、どれが正しいか、はっきりしなくちゃいけない。
 そこで、このグラフありますね。福祉費と開発費が初めて逆転したかのようなグラフを載っけている。これ、インチキなんですね。もとのグラフはこうなんですよ。たまさかな、ここの部分だけを拡大したのが、このグラフなんですね。後で知事に見せますから、見れば一目瞭然。であるにもかかわらず、あたかも二〇〇三年から初めて福祉費と開発費が逆転したといって、堂々とこうやってチラシに載せて、他党の批判ばっかりを載っける。これは作為的な欺瞞ですよ、これは。こんなものを配って、しかも独善的ないい分しか載せない。これは左翼小児症といわれても、だれも反論できないと思います。
 局長、このグラフに関して、いかに詐欺的で欺瞞的か、答弁してください。

○松澤財務局長 昭和五十九年度から平成十五年度までの二十年間の一般会計決算の推移について見ますと、福祉費と健康費の合計額、ただいまお話のあった福祉関係費となるわけでございますが、これが、土木費と都市計画費の合計額、すなわちお話の開発関係費を上回ったのは、平成十二年度と十三年度の二年だけでございます。ほかの十八年間は、開発経費がすべて福祉関係費を上回る、こういう状況になっております。

○中嶋委員 ついでに十七年度はどうなりますか。

○松澤財務局長 十七年度予算では、福祉関係費は福祉保健費が該当するわけでございますが、これが六千九百十三億円でありまして、一方、開発関係費は、土木費と都市整備費の合計額六千六百四十一億円となっておりまして、福祉関係費が、十七年度予算では開発関係費を上回っております。

○中嶋委員 福祉削り、むだは拡大。でたらめじゃないかこんなのは、といわざるを得ません。
 このように幾つか確認しただけでも、いってもやってもいないことをやっているといい、実際にやったことには何にも触れない。さきの本会議で知事はおっしゃった。いわないものをいったといい、いったものをいわないといってやるのは、共産党独特のデマゴーグだと。全く同感であります。こういう政治手法、決して健全ではありません。このやり口、改めて知事の感想、思いをお聞かせください。

○石原知事 詳しく伺えば伺うほど、毎度毎度おなじみのことで、予算の数字といういろいろ複合的な意味を持つものの解釈、正確な分析が、発想が貧しいのか無能なのか、できない政党というのは、本当に都民にとっても困ったものじゃないかなんて気がいたします。
 共産党の皆さん、不得意なことと思いますけれども、何であれ、もう少し物事を現実的、リアルに見て、複合的にとらえて、そして正確な主張をしていただきたい。でないと、あなた方、やっぱり選挙が進めば進むほど痛い目に遭うのじゃないかと、老婆心で思っております。

○中嶋委員 引き続き、予算に関連して何点か、淡々とお話をお聞きしたいと思います。
 固定資産税。今回改めて東京都は、固定資産税の負担水準の引き下げなど一連の措置を講じました。このことは大変高く評価いたします。
 都民に都の意図をきちんと伝える意味で、その意図、それから今回の措置の意味を改めてここで言明をいただきたいと思います。

○山口主税局長 固定資産税、都市計画税におきましては、バブルに伴い生じた制度のゆがみによりまして、評価額が同じでも土地により税負担が異なる負担水準の不均衡が生じております。とりわけ二十三区の商業地等では、全国に比べ負担水準が高い土地が多く、負担が過大になっております。
 このため、都は国に対しまして、商業地等の負担水準の上限を引き下げるよう、繰り返し提案要求してまいりました。
 その結果、国がようやく自治体の判断で引き下げることができる制度を創設したことによりまして、今回、この制度の活用をし、条例改正を提案するとともに、小規模非住宅用地など都独自の軽減措置につきましても、景気状況がなお不透明であることを考慮しまして、継続することといたしました。

○中嶋委員 時間の関係ではしょりますが、その軽減措置それぞれの対象件数及び軽減額、これをまず明らかにしてもらいたいのと、それから、さっきいった商業地等に対する今回の新たな措置を含め都独自の軽減措置と、こうおっしゃいました、その意義と効果、額と意義と効果、二つ答弁をお願いします。

○山口主税局長 初めに、額の効果でございますが、商業地等の負担水準の上限引き下げの対象件数は、約二十一万件、軽減額は百六十億円であります。
 また、小規模住宅用地など都独自の軽減措置の対象件数及び軽減額は、小規模住宅用地百八十万件、二百六十億円。小規模非住宅用地二十六万件、二百三十億円。新築住宅二十八万件、二百三十億円でございます。
 これは先ほどもお話ししましたように、現行の固定資産税は、バブルに伴う地価の高騰、急落という大都市地域の環境変化に全国一律の税制が対応できず、負担水準の不均衡を初め、さまざまな問題が生じております。
 都独自の軽減措置は、そうした中、その時々の社会経済状況の中で、著しい不均衡を是正し、二十三区の過大な税負担を緩和する観点から、課税自主権を行使し実施してきたものでございます。
 この新たな条例措置を含め、いずれの措置も、社会経済の変化に対応した都民負担の適正化、それから、中小企業等の活力の再生を図る上で大きな役割を果たしていると考えております。

○中嶋委員 次に、ちょっと駆け足で恐縮ですが、横田について、軍民共用化、改めて伺いたいと思います。
 福生のある市議が何もできないと、横田がどおんとあるから何もできないという話を聞いたことがあります。いずれにしても、七百十四ヘクタール、大変広大です。これは制約条件であると同時に、大きな可能性を持った資産にもなると。そういう観点から軍民共用を考えなきゃいけませんが、しかし知事、やはり瑞穂や昭島、いろんな懸念がございます。その懸念にしっかりとこたえながら進めていただきたい。まず一点目がこれです。
 お考えを--例えば経済効果や雇用の創出、あるいは交通基盤整備、不安と期待が交錯しているんですね。その辺、ぜひ知事から一言お願いしたいと思います。

○石原知事 あの飛行場は、もっと積極的に使われるようになりますと、地元の方々、いろいろの懸念なり期待があると思います。懸念の最たるものは騒音でしょう。これはやはり環境問題としてきちっと対処していかなくちゃいけないと思います。
 同時に、期待の方でありますけれども、これも巷間いろいろいわれておりますが、私は、ともかくあそこは、たくさん飛行機を飛ばすことで、その実績が蓄積していけば、インフラもおのずと整備されていくと。ただ、やっぱりそのギャップが余り高じては、お客様に迷惑をかけますから。
 ということで、あるところから資金も調達しまして、二千万円ほどかけて、今、一橋大学の今の学長、杉山さんといいましたかな、この方が交通経済学の泰斗なので、杉山さん、一橋の学長を座長にしまして、複数の専門家に早速、どういう波及効果があるかということのリポートを、できるだけ早く、夏過ぎまでにつくっていただきたいと。
 既にそのチームは発足しておりますので、それに大いに期待をしておりますし、また、それが示されれば、地元の方々も納得もされるでしょうし、新しい注文なり批判もいただいて、要するに、物事を具体的にとにかく構築していきたいと思っております。

○中嶋委員 その杉山さんのもとでの検討を期待して待っています。
 それから、もう一点、知事、これは政治家石原知事に期待するしかないのですが、軍軍共用化じゃ困るという懸念が最近強まっています。米軍と自衛隊の共用化になってしまっては困る、こんな心配の声も聞いております。これは、軍用機ばっかりふえてしまうのではないかという不安の声です。これはやっぱり答えていただきたい。

○石原知事 これは全く根拠のないご懸念でありまして、アメリカがここに至ってあえて2プラス2ですか、つまりこういう問題は、防衛庁が防衛省に昇格していないものですから、全部外務省経由でやらなきゃいけなかったのですけれども、小泉、ブッシュのサミットで合意を得て、これはもう明らかにアメリカ側とすれば国防省マターになったのですが、日本の場合にはなかなかそれがスムーズにおりてこない。外務省は、ご存じのようにいつもアメリカに腰が引けておりまして、北京にも腰が引けて、どこの国の者だかわからないんだ。まあ今度次官がかわりまして、これは官房副長官補としてこのワーキング部門で座長を務めてきて、かなり陰で好意的にこの問題を持ち上げてくれていた人が、幸い次官になりました。
 先日、彼とも話しましたが、軍軍共用という、まあプログラムの根底にあるのは、実はアメリカはほとんどあそこに機材を置かなくなるわけです。それから空軍も、防衛庁の事務次官に会って話しましたけれども、日本の航空自衛隊があそこに機材を持っていく必要もない。ただアメリカは、これをとにかく手放してしまうわけにはいかない。将来どういう緊張がどういう形で出るか。とにかくそのときのためのヘッジに、アメリカの影が完全に希薄になって、結局、つまり実質的に民間に全面返還したような形になるのは非常に恐れています。
 例えば、あのマイケル・グリーンが、日本担当のホワイトハウスにいる中くらいの幹部ですけど、これなんかは、よく知っていますが、ハドソン研究所のリポートを、横やり入れてきて、ここ削れなんてことをいっている。それは現在ほとんど使われていないという文言が、そのとおりなんですけど、それを削らせたりしましてね。
 やっぱり持っているものをとにかく離したくないと。将来、彼はどういうことを想定しているか知らないけど、あの飛行場がベトナム戦争のとき以上に、もっとアクティブに使うような事態というのは、これは日本にとって好ましくありませんが、しかし、そういうときには、国防のために私は幾らでも協力しますけれども、当面使っていないなら民間に使わせろということをやっておりますので、そういう点でご懸念はないと思います。
 それから、自衛隊の機材が来ることもありません。主に通信隊が来るのでしょう。それから、形だけのために何か軍用機が時々来ることもあるかもしれません。ただ、やっぱり、そのときもこちらもはっきりいいましたが、C1のような極端に騒音のある飛行機はやっぱり困ると、それだけの念を押しておきました。

○中嶋委員 ぜひ多摩の起爆剤となるような横田の軍民共用化を進めていただきたいと思います。
 新銀行でいろいろ議論したかったのですが、もう時間がございません。
 要するに、都民は顧客として行った場合に、新銀行でどんなサービスを受けられるのかわからないんですね。だから、預金するときにはどうしたらいいのか。あるいは、どんな預金商品があるのか。ATMはどこに置くのか。多分いろんな工夫があると思うんですね。そういう新銀行の有利性、それからATMを使った場合、最初はただにしてもいいのじゃないかと僕なんかは思うんですけども、今いった点、預金商品、ATMはどこに置くのか。利用料金はただにしろというのはむちゃかな。
 それと、あとどうやって預金ができるのか。利便性は何なのか。その辺、申しわけないのだけれども、まとめてわかりやすく、都民が喜ぶように答えてほしいのだけども、大丈夫ですか。

○石原知事 本店に行っていただくとわかりますけど、かなりほかの銀行と印象が違います。非常に機能的、集約的で、だんだん、とにかく人がいなくたっていいぐらいのものにしようと思っていますが、具体的にそれじゃどういう手だてを講じますかということは、担当の局長から。

○津島新銀行設立本部長 まず預金でございますけれども、店舗で直接申し込みを受ける方法のほか、電話やインターネットで申込書を取り寄せたり、必要事項を記載した上で、本人確認書とともに新銀行に郵送することによりまして、来店なしで口座開設を行うことができます。このことによって、幅広い地域からの預金獲得を目指しております。
 融資につきましても、契約の際は来店していただきますけれども、店舗で受け付けるほかに、融資業務に精通した多数の職員で構成される融資相談室を設置し、電話での問い合わせや事前相談に積極的に対応しまして、郵送による申し込みも、体制整備に合わせて受け付けることにしております。
 そのほかに、いろいろ商工会議所等の団体を使いまして、さまざまなチャネルでもって融資ができるように工夫しておりまして、顧客との接点を数多く確保するというのが、この新銀行の特色でございます。
 それから、ATMの設置でございますけれども、この新銀行は、少店舗での営業をカバーするために、平成十七年度に、高頻度の利用が見込まれる場所に合計二百台、新銀行自行ATMを設置します。具体的には、都営地下鉄などの駅や都関連施設など人の流れの多いところを中心に、全体の配置バランスを考慮しながら設置を進めてまいります。
 それから、他行とのいわゆる提携ATMでございますけれども、開業当初、郵便局、アイワイバンク銀行、JRビューアルッテなどとの接続を行うことにしておりまして、都内約三千四百カ所でATMの利用が当初可能になります。
 こういう形でATMの整備を進めるとともに、さらにその後、統合ATMサービスの整備状況を踏まえまして、信用金庫など他の金融機関と速やかに接続してまいります。
 それから、こういったATMの利用の仕方でございますけれども、郵便局とアイワイバンク銀行のATM、先ほど提携ATMと申しましたけれども、この利用に際しては、平成十七年度中は時間内利用、これは銀行によってちょっと違いますけど、アイワイバンクは七時から十九時でございます。この時間に係る手数料は無料にすることとしておりまして、顧客サービスの充実を図る考えでございます。

○中嶋委員 終わります。(拍手)

○前島副委員長 中嶋義雄理事の発言は終わりました。

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