東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後一時一分開議

○樺山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願い申し上げます。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時で二点を打ち、お知らせをいたします。質疑持ち時間はお守りを願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いをいたします。
 なお、各局長に申し上げます。
 発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いをいたします。
 これより順次発言を許します。
 服部ゆくお理事の発言を許します。

○服部委員 質疑に入ります前に一言申し上げさせていただきます。
 昨日、東京都第四区選出の中西一善議員が強制わいせつの現行犯で逮捕されるという事態が発生をいたしました。国会議員という公職にある者がこのような行為をすることは、国民を裏切り、地元有権者へ弁解の余地もない言語道断の行為であります。政治家の行為以前のことで、恥ずべきものです。しかも、国会会期中のことであり、いうべき言葉もありません。
 国会議員の行為とはいえ、かつて都議会議員として在籍し、都議会自民党所属の議員として活動していたこともあり、我々もまことに残念であり、憤りを感じます。都議会自民党として、都議会の権威を傷つけ、都民の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことに対し、深くおわびを申し上げます。
 今後、自民党として、また都議会自由民主党として、国民、都民の皆様の信頼をいかに回復するか、呻吟しながら全力を挙げて努めてまいります。
 それでは、都議会自由民主党を代表して、予算特別委員会総括質疑を行います。
 平成十七年度予算は、五兆八千五百四十億円、前年比二・六%増、四年ぶりに一般会計の予算規模が増加に転ずるなど、一つの転機ともいえる予算であるといえます。
 そこで、これからの都政運営の方向性を含めて質問をさせていただきます。
 まず、十七年度予算では、都民の負託に積極的にこたえることを一つの柱として編成したということでありますが、どのような考え方で、どのような項目を中心に施策の展開を図ったのか、お伺いします。

○松澤財務局長 十七年度予算では、都民の負託に積極的にこたえるため、都民生活の安全と安心を確保するとともに、首都東京の活力を再生するため、都政が直面する緊急課題に限りある財源を重点的、効率的に配分することを基本的な考え方として編成しております。
 具体的な取り組みとしましては、重点的に四つの柱を掲げておりまして、一つは、災害への備えや治安回復、青少年健全育成など、都民生活の安全確保、二つには、投資効果の高い幹線道路や空港、公共交通網など、都市インフラの重点的な整備、三つには、急速に進展する少子高齢化に対応しまして、子育て支援、介護予防の総合的取り組みなど、福祉医療の充実、四つ目には、中小企業制度融資の充実、中小企業者に対するディーゼル車買いかえ支援、地域商業活性化など、産業力の強化などを中心に据えまして、各分野にわたりきめ細かく施策を展開しているところでございます。

○服部委員 自民党が強く求めてきた都民生活の安全の確保を初め、都市機能の充実や環境対策、産業への支援など、幅広く予算化されております。
 また、投資的経費、これが八・九%増と大変高い伸びを示しています。都市基盤整備に重点的に財源が投入されて、めり張りのきいた予算となっております。立ちおくれている東京の都市基盤を整備することは、東京の活性化と日本の活性化にとっても必要であります。
 さて、十七年度予算においては、積極的に財政構造改革を推進し、臨時的な財源対策を行うことなく予算編成ができた、そういうことであります。
 そこで、十七年度予算において財政再建にどのように取り組んだのか、具体的にお伺いします。

○松澤財務局長 十七年度予算では、第二次財政再建推進プランの折り返しの予算として、引き続き内部努力や施策の見直しなどを徹底し、政策的経費である一般歳出を一・一%減とするなど、財政再建を確実に進めております。
 まず、内部努力としましては、二千二百二十三人の職員定数を削減したほか、建設、維持管理コストの縮減や、監理団体に対する財政支出の見直しに積極的に取り組んでおります。
 また、施策の見直しでは、単に歳出の削減のみを行うのではなく、時代状況の変化などの観点から、施策の再構築、スクラップ・アンド・ビルドを徹底し、都民ニーズへの的確な対応を図っております。
 このほか、歳入確保としまして、徴税努力や受益者負担の適正化にも取り組んでいるところでございます。

○服部委員 ところが、都政以上に危機的な状況にある国政においては、特殊法人の整理とか郵政民営化などに取り組んでいると盛んにいっておりますけれども、都に比べればまだまだ中途半端の感は否めず、財政再建は進むどころか、むしろ悪化しているのではとさえ思います。
 そこで、都と国の財政状況を客観的な数字を挙げて比べていただきたい、そのように思います。

○松澤財務局長 まず、政策的経費である一般歳出について、昭和六十三年度予算を一〇〇とした指数で比較をいたしますと、都は、平成十七年度予算では九八となっており、十七年前の昭和六十三年度を下回る水準にまで歳出抑制してきております。これに対しまして、国は一四三で、この間、一向に歳出削減が進んでいない状況にございます。
 また、歳入総額に占める起債収入の割合でございます起債依存度では、平成十七年度予算で、都が六・二%と極めて低いのに対しまして、国は四一・八%と、歳入の四割以上を国債に頼るいわゆる借金漬けの財政状況となっております。
 あわせまして、それぞれの起債残高で見ますと、都が六兆八千億円で、一年間の税収の一・六倍にすぎないのに対しまして、国は五百三十八兆円で、実に税収の十二・二倍もの規模にまで膨らんでおります。
 このように、都は、財政再建の取り組みを積極的に進めてきたことによりまして、健全化に向けて着実に成果を上げているのに対しまして、国はいまだに財政健全化へのかじを切れておらず、むしろ破綻ともいうべき事態に直面しているといえる状況でございます。

○服部委員 改めて、十二・二倍というんですか、税収の十二年分にまで膨れ上がった借金、これをこの先どのように解消していくのか、国はいまだにその道筋すら示そうとしていません。余りにも私は無責任だと思います。
 都は、石原知事就任後に財政再建推進プランを策定し、職員定数削減などの内部努力、施策の見直しを断行し、我々議会側も報酬カットを実施するなど、まさに東京都全体が一丸となって財政再建に取り組んでまいりました。
 翻って、知事は今回の十七年度予算を、追い風参考記録、そう謙遜されておりますけれども、こうしたこれまでの真摯な取り組みがあったからこそ、追い風を生かすことになったんだ、そのように思います。たゆまぬしっかりした努力が実を結んだのがこの十七年度予算なのではないでしょうか。
 そこで、これまでの財政再建の取り組みを振り返って、知事の率直な感想と今後の取り組みに対する決意、これをぜひお聞かせください。

○石原知事 平成十一年四月に、選挙を終えまして、初めて登庁いたしました。かねがね聞いておりましたけれども、都財政の詳細を、改めてブリーフィングを受けて知りまして、これは思った以上にえらいことだなと思いました。
 私一人ではどうなるものでもありませんので、非常に親しい間柄でした、途中で倒れられて残念ですけれども、樋口廣太郎さんをチェアマンに、牛尾治朗君、オリックスの宮内君、それから、当時の丸紅会長の鳥海君、郵船航空の社長の高橋君、それから、これも個人的に親しかった、当時の日本公認会計士協会の会長の中地さんにも加わってもらいまして、私の受けた同じブリーフィングを受けながら、基本ラインをどう構えて財政再建するかという意見を聞きました。
 ある案件について非常に厳しい質問が出まして、都が答えられない。調査した後お答えしますということで、期間を置いてその報告を受けたときに、私が非常に印象的だったのは、日本で最もプロミネントな経済人が、その答えを聞いた瞬間、全く同じ瞬間、同じ言葉で、なるほど税金だという嘆声を皆さんが発した。つまり、税金という特殊なお金、これを扱う役所の感覚、つまり、金利感覚がない、時間コストがない、手がけた事業の保証、保険をどうするか、そういうコンセプトもない。そういうところから、これは相当のことをしなくちゃいかぬなということで、実情を吐露して、議会も協力してください、また組合も協力して、全庁挙げて合理化に努めてまいりました。
 その結果、財政再建団体への転落を回避することもできましたし、財政健全化に向けて一歩一歩成果を上げてくることができたと思います。
 ただ、今後を考えますと、法人事業税の分割基準を国が一方的にまた見直して、東京から搾取をする、あるいは、まだ巨大な隠れ借金が残っておりまして、財政再建はいまだいまだ途半ばであると思います。まずは、第二次財政再建推進プランの最終年度である十八年度をめどとしたプランの達成を図っていきたいと思いますし、また、社会保障費の増加への対応や地方税財政制度の改善など、すぐには片づかない困難な問題も山積しております。
 そうした課題まで考えれば、ゴールはまだはるかに遠いところにあります。道のりも険しゅうございますが、引き続き、皆さんのご協力を得ながら、強固な行財政基盤の確立を目指して、全庁挙げて構造改革に取り組んでいくつもりであります。

○服部委員 今、知事の答弁を伺いまして、今回のこの予算が将来を見据えた予算、また、時宜にかなった政策判断と知事の積極的な取り組みを高く評価させていただきます。
 次に、都区制度改革について伺います。
 さきの代表質問においても伺いましたけれども、都区間の懸案である主要五課題、五項目の課題についてであります。
 さきの代表質問において知事は、都区制度改革の評価として、都が広域自治体として大都市の一体的な行政を行うことが明らかにされたものであり、東京をどうするかという観点から、都区がそれぞれ何をなすべきかの議論が必要である、そのような見解を示されました。
 東京をどうするかという議論の前に、今問題となっている最大のポイントは、まさに、制度改正で明らかにされた都が行う大都市の一体的な行政の具体的な範囲とそして内容であって、これをまず双方で整理しなければ議論が進まない、そのように思います。
 これまでも都区間でさまざまな議論が行われておりますが、私は次の二段階で整理すべきだと思います。
 まず、第一段階として、府県事務あるいは市町村事務として法律上明確に区分されている事務についての整理であります。
 つまり、都が一体的に行うことができる事務は、都区検討会で都がいうように、区部が大阪や横浜を上回る大都市であるから、政令指定都市が行っている事務など広範囲に及ぶのか、あるいは、区がいうように、一般的な市町村が行う事務の範囲に限定されるのかについて、改正された地方自治法の趣旨を踏まえて、まず、具体的な事務に基づく議論に入る前に、この問題を先に解決すべきと思いますが、いかがですか。

○赤星総務局長 都が特別区の区域において行います事務には、府県の立場で行います府県事務と、大都市の一体性を確保するために行います大都市事務がございます。このうち大都市事務につきましては、地方自治法では、市町村が実施する事務の範囲である旨規定されております。
 これは一般原則を示したものでございまして、都がどの範囲の事務を行うかは、大都市東京におきます膨大な行政需要、特別区の区域で徴収される税収の大きさ、都区の役割分担等を踏まえて決める必要がございます。
 特別区は首都東京の中核をなす地域でございます。大阪や横浜などを上回る人口規模と財政力を擁する大都市でございます。この大都市におきまして一体的な行政を行います都といたしましては、政令指定都市であります大阪や横浜などを上回る幅広い事務を基本に、その範囲をとらえるべきと考えております。

○服部委員 これは自治法で決められたことですし、区がいうように、一般的な市町村が行う事務の範囲に限定される、そういう見解でいいのではないかと思いますが、あと、任意共管事務というのがありますね、自治事務。これは法律上、府県、市町村のいずれでも行うことができる事務で、都区間で見解が分かれている事務の多くがこの分野の事務になっていますね。
 これらは、福祉や環境など、地方自治体にとっての基礎的な分野に多く見られる事務で、今後も増加することが予想されます。今後とも、厳しい社会経済状況において、都区が一体となって協力し合う体制をつくっていくためには、こうした分野での役割分担、これを明確にすることが私は大変重要だと思うんです。
 その際の重要な判断基準というのは、二十三区のみで一体的、統一的に行えばよいのか、すなわち大都市事務なのか、都内全域で一体的、統一的に行わなければならない事務なのか、すなわち府県事務なのかということではないかと思います。見解を伺います。

○赤星総務局長 都が特別区の区域において行います任意共管事務には府県事務と大都市事務がございますが、これらは法的に明確に区分されたものではございません。いずれの場合も重要なことは、東京の活力と魅力を高めていくために、都と区が適切に役割分担し、首都東京の大都市機能を維持、強化していくことでございます。
 こうした観点に立ちまして、保育所、生活道路、地域のまちづくりなど、住民に身近なサービスは基礎的自治体でございます特別区が実施いたしますとともに、都は、公共交通、幹線道路、首都東京の都市づくりなど、特別区の区域を一体的にとらえた大都市行政に加えまして、環境問題など、大都市から派生するさまざまな課題に取り組んでまいります。

○服部委員 今、話もありますけれども、そういった府県事務等について、やはり明確にできることなんですよ。ですから、その辺はしっかり、またこれからも取り組んでもらわなければいけないのですが、最後に、私ども特別区の区長会から再三要請されているのですが、特別区の行財政需要の都区財調への算入問題ですね、これを伺いますが、具体的には、小中学校の多くが間もなく建築後五十年を超えるという義務教育施設の改築経費や、清掃事務が移管された後で区が整備を進めている、清掃工場の十八年度以降の起債償還費の算定、さらには、都市計画交付金の総額や充当率、この問題などがあります。
 いずれも大きな財源問題で、なかなか具体的な議論が進展していないようですけれども、具体的にどのように対応されるのか、お伺いします。

○赤星総務局長 まず、小中学校の改築経費につきましては、今後必要といたします額を毎年平準化して都区財政調整上算定しております。しかし、区側は、改築のピークに対応できる経費を算定すべきとしております。こうした認識の相違はございますが、今後、都区で十分議論してまいります。
 次に、区が現在整備を進めております清掃工場の起債の元利償還費のうち、平成十七年度までの分は、都区で合意したルールに基づき既に算定しております。十八年度以降につきましては、今後、都区間で適切なルールを定めてまいります。
 また、都市計画交付金につきましては、特別区の都市計画事業を円滑に促進する観点に立ちまして、制度の活用を図ってまいります。
 今後とも、都区制度改革に関する各課題について、十七年度の合意形成に向け、真摯に議論してまいります。

○服部委員 この問題の、円滑で、また早期解決が望まれているのですから、とにかく早くその辺、やっていただきたい。
 都区制度の問題については以上ですけれども、今後予想される三位一体の改革とか道州制の問題など、国と対峙をしながら、東京発展のために、これは都と特別区が協調、協力関係を強化していくことが重要なんですよ。そのようなことで、ぜひ、この努力を続けていただくようにお願いします。
 これは、私の地元台東区のある町会の会館に大きな額が、畳二畳つなげたような額があるのですけれども、後藤新平、当時の東京市長が揮毫された内容なんですが、「壱是聞以自治之為本」というのですね。地方自治の原点、それは、一にこれ聞くことなんですよということを、大正十一年、もう既に喝破されているわけですが、行政の方は、ぜひそういった特別区長会の意見も聞いていただいて、また、ある時期は、特別区も東京も目指すところは私は一緒だと思いますよ、東京をどうするのだ、いい東京にしたい、そのような気持ちは一緒ですから、ある時期にはまた都知事も区長会とざっくばらんに話し合ってくださいよ。目指す方向は一緒ですから、必ず一致点は見つかるはずですよ。ぜひそのようにお願いをして、次の質問に入ります。
 次に、公会計制度について伺います。
 都は、現在、平成十八年四月の実施を目指し、複式簿記・発生主義会計を導入するため、公会計制度改革の推進に取り組んでいると聞いております。我が党も、都政の構造改革を進め、真に効率的な都政運営を実現するためには、公会計制度の改革が不可欠であると考えております。
 そもそも複式簿記・発生主義の導入は、会計制度を根底から改革するものであり、その準備作業は膨大であると考えますが、どうなっているのか。改革の直接の責任者である、まず出納長、お願いします。

○櫻井出納長 今お話しいただきましたように、複式簿記・発生主義会計を導入する公会計制度改革によりまして、貸借対照表や行政コスト計算書などの、いわゆる財務諸表を作成することになります。
 現在、これらを作成するための減価償却ルールなどの会計基準の策定、複式簿記・発生主義会計に対応した財務会計システムの開発、さらには土地建物等の資産情報の整備などにつきまして、各局と連携を図りつつ、さまざまな準備作業を進めているところでございます。
 とりわけ、新しい会計制度の前提となります開始貸借対照表を作成するためには、東京都が所有するすべての資産情報の的確な把握が重要でございます。そのため、現在、都有財産利活用推進会議におきまして、土地建物の情報を全庁的に精査しておりまして、こうした情報を取り入れることによりまして、より正確な財務諸表を作成できるよう、取り組んでいきます。
 今後とも、これらの準備作業に万全を期してまいります。

○服部委員 改革に向けた準備作業、順調ということで、安心いたしました。
 そもそも公会計制度改革は、知事ご自身の提案から始まったわけでありますが、どのような考え方でこの改革に当たられるのか、改めて知事の決意のほどを伺います。

○石原知事 私も、国会議員時代、国の単年度方式の会計基準というのは非常に矛盾を感じて、いろいろな障害を見てまいりましたが、いずれにしろ、知事になりましてから、平成十四年五月に、ともかく公会計制度の改革をしようということで、三年が経過しました。この間、着実に準備を進めて、来年四月のスタートまで余すところ一年となりました。
 これまでも、かつて、公認会計士協会の当時の会長の中地さんにも依頼して、機能するバランスシートの作成を通じて、わかりやすい会計手法の確立にも取り組んでいただきました。
 ちなみに、このブリーフィングを東京の都庁の中堅幹部にしましたところ、もっと多くの幹部候補生から自分たちも参加したいということで、二度にわたって、かなりの多人数の幹部候補たちにこの説明もし、勉強もしていただきました。
 こういったものを基礎にした今回の改革を通じて、金利や時間に対するコストの意識に基づいた経営感覚を都庁にしっかりと根づかせるとともに、これを都政の構造改革を推進する原動力にもしたいと思うのが、私のかねてからの強い思いでございます。
 民間はもとよりも、先進国において普遍的に導入されている複式簿記・発生主義会計を、国がやらないことそのものが面妖でありますが、これに先駆けて、東京から新しい公会計のモデルを全国に発信していきたいと思っております。
 ちなみに、例えば、予算そのものも貧弱ではありますけれども、割と失敗が続いて、ようやくこの間打ち上げに成功しました「ひまわり」のああいう宇宙開発も、いろいろな障害があるのでしょうけれども、その一つに、やはり単年度方式という、こういう会計基準が、ある意味で足を引っ張っている節もあると仄聞いたしておりますが、いずれにしろ、国全体が合理化する必要があると思っております。

○服部委員 都議会自民党は、かねてより首都圏三環状道路の必要性について強く訴えて、一刻も早い整備を要望しているところであります。
 知事も、今回の代表質問の答弁において、三環状道路の整備は、高コスト構造を是正し、首都圏全体の活性化を図るために不可欠である、そのように答弁をされました。整備を積極的に進める姿勢を明確にしております。
 ちょっと済みませんが、パネルを上げていただきたいのですが、(パネルを示す)中でも中央環状品川線ですね、こちらにございますけれども、知事は、有料道路事業に先駆けて、都が街路事業に着手をする、そのように決断をされました。我が党としては、この知事の姿勢を高く評価するとともに、品川線の一刻も早い完成を熱望するものであります。
 これは見るとわかりますように、この中央環状が最初に着手されたのは、昭和四十六年五月なんですね。これは葛飾-川口線でしょうか、昭和四十六年ですよ。これから順次始まって、今、新宿線をやっていますけれども、それが完成をした。で、この品川線ですね、これが一応平成十七年度着工ということの予定のようですが、これが完成したとして、最初から完成するまで、実に四十二年間ですよ。半世紀にわたる、こういう環状線なんですね。新宿線も、ですから、これが全体的にこれから完成をして、あとここの品川線なんだという、今この時期なんですよ。ですから、そういう意味でこの品川線、全体で四千億の事業費が予定されて、都にとっても大変大きな負担にはなります。
 また、事業に当たっての考え方や負担などについてですが、都は、これまで、公団が行う有料道路事業に対して、出資金とか無利子貸付を行って、中央環状王子線あるいは新宿線などの高速道路整備を推進してきたわけですよね。
 本来なら、全線を有料道路事業で整備すべきものを、なぜ品川線だけ街路事業とあわせて施行するのかという意見もありますが、この点についての理由をお答えください。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 延長約十キロの品川線の完成により、中央環状線四十七キロが初めて結ばれ、これまで途切れておりました首都圏の高速道路ネットワークが機能を発揮し、人や物の円滑な流れが実現いたします。
 また、走行時間の短縮など、直接便益だけでも年間約千三百億円が見込まれ、事業費相当分を約三年で社会に還元できるとともに、環境改善が図られるなど、その整備効果は極めて高く、一日も早い整備が必要でございます。
 本年秋から首都高速道路公団が民営会社に移行することから、有料道路事業による新規路線整備は、最短でも新体制が整う十八年度からの着手となります。都市計画決定してから一年以上も何もしない、そういった空間が生じます。
 本事業の重要性にかんがみ、都は早期着手による早期開通が必要と判断し、有料道路事業に先駆け、十七年度から着手できる街路事業として整備することといたしました。

○服部委員 早期開通が必要だということですが、そのためであれば、先行着手する街路事業は二千億円も負担することなく、初年度だけ実施して、残りはこれまでどおり有料道路事業で行えばよいのではないか、そのようなことも考えますが、都の所見を伺います。

○梶山都市整備局長 品川線は、一日約六万台から八万台の交通量が見込まれる極めて重要な幹線道路でございますが、従来の有料道路事業として整備していくには、幾つかの課題がございます。
 一つは、騒音や振動など、沿道環境への影響を極力抑えるため、地下方式を採用した結果、高架方式に比べ事業費が大幅に増加すること。二番目に、公団民営化後の償還期間は、従前の五十年に比べ、品川線は三十五年間で償還する必要があること。三番目に、事業費を料金収入で賄うには利用者の負担が大きいことなどでございます。
 しかし、品川線は、先ほどご答弁いたしましたように、年間約千三百億円の便益が生じるほか、首都圏の物流機能の向上など、その整備効果は極めて高く、一日も早い整備が必要でございます。
 したがいまして、既に圏央道で実施されております合併施行方式を導入し、街路事業と有料道路事業により整備することといたしました。
 今後とも、早期整備に向け積極的に取り組んでまいります。

○服部委員 首都圏の再生を図る上では、この中央環状線の唯一残された区間である品川線ですね、先ほど絵で見ていただきましたけれども、この整備をすることの必要性とか、あるいは民営化という新しい局面の中で、新たな事業手法をとられた知事の判断については、理解をいたします。
 東京の道路は、国家としての戦後処理が終わっていない、そういう指摘もあります。知事みずからの都市論、社会文明論を具現化するものと、高く評価をいたします。しかし、公的負担を行う以上、公団に対しては徹底したコスト縮減などの自助努力、これを求めるとともに、国に対しては大幅な国費投入を求めるなど、都負担の軽減に努めるべきと考えますが、都の所見をお伺いします。

○梶山都市整備局長 品川線の整備は、十八年度からは、街路事業にあわせて、民営会社による有料道路事業として実施することとなります。
 都は、これまでも計画段階において、ランプ数の削減などにより、大幅な事業費の縮減を図ってまいりました。今後、建設に際し、内部管理コストの縮減や設計、契約、工事の各段階における事業費抑制が図られるよう、要請してまいります。
 さらに、有料道路事業、街路事業を総合的に勘案し、トータルでの都負担の軽減を図るため、国に対し、国庫負担の大幅な増加を求めてまいります。

○服部委員 高速道路の問題だけに、答弁も渋滞しないでよかったと思いますけれども、品川線の事業全体を、街路事業と有料事業をあわせて実施する場合、その分担をどのように考えているのか、これは建設局長ですかね。

○岩永建設局長 中央環状品川線は、全体事業費の半分、二千億円を都の街路事業として整備してまいります。
 街路事業と有料道路事業の分担につきましては、現在、合併施行の事例などを踏まえまして、国及び首都高速道路公団と協議を進めております。
 品川線は、全長九・四キロのうち約八割がシールド区間、残りは開削及び高架部となります。事業分担の設定におきましては、こうした道路構造や立て坑、換気所、出入り口などの位置を考慮いたしまして、早期完成が図れるよう、合理的な区間割りを決めてまいります。
 今後とも、合併施行の効果が早期に発現できるよう、精力的に調整を進めてまいります。

○服部委員 さらに、品川線に東京都が先行着手する本質は、早期開業による中央環状線の機能発揮であることは、いうに及びません。早期開業に向けて事業を実施する主体、及びスケジュールについて、伺います。

○岩永建設局長 街路事業につきましては、都がこれまでの事業を通じまして培ってきましたシールドトンネル、橋梁、換気所など大規模工事の設計、施工技術や、地元との合意形成の経験を最大限活用いたしまして、事業を進めてまいります。
 今後、品川線を一刻も早く整備するため、十七年度から直ちに街路事業で用地の取得に着手いたします。引き続き、公団民営化後の新会社が実施する有料道路事業と連携いたしまして、地元の理解と協力を得ながら、平成二十五年度の完成を目指し、積極的に事業を推進してまいります。

○服部委員 今ご答弁いただきましたように、品川線を一刻も早く整備する都の取り組みについて、よくわかりました。
 品川線は、完成すると、新宿線と合わせますと約二十キロ、地下高速トンネルになるのですね。開通に当たって最新の防災対策、これを行うことで、安全で快適な道路となるよう、またこれも強く要望をしておきます。
 次に、多摩振興について伺います。
 都は、平成十三年八月に多摩の将来像二〇〇一を、そして平成十五年三月には、多摩アクションプログラムを策定いたしました。そして今回、さらに多摩リーディングプロジェクト、これを策定したわけであります。我が党も、多摩振興を進める立場から、これを高く評価するものであります。
 しかし、大事なことは、この多摩リーディングプロジェクトによって、多摩振興を確実に進めていくということなんです。今回、多摩リーディングプロジェクトを策定したねらいについて、改めてお尋ねいたします。

○赤星総務局長 多摩の将来像二〇〇一及び多摩アクションプログラムは、都だけではなく、国、地元市町村、民間など、多様な主体による多摩の活力と魅力の向上を目指す取り組みを示したものでございます。
 しかし、一方では、多様な主体による事業が網羅的に示され、都が実施する事業の優先度や事業目標がわかりにくいという指摘もなされておりました。
 こうした点を踏まえまして、多摩振興をより効果的に展開していくため、多摩リーディングプロジェクトを策定し、都の事業を中心に、多摩振興の全体像を具体的に明らかにいたしました。
 本プロジェクトによりまして、都みずからが重点的に推進する二十の事業とその事業目標を明確にいたしますとともに、国や市町村との連携を強化し、首都圏の中核をなす多摩の実現を目指していくものでございます。

○服部委員 このプロジェクト施策のテーマの一つである圏央道、これは三環状道路の一番外側に位置して、都心方向に集中する交通を分散し、首都圏全体の交通の円滑化に大きく寄与するものです。
 さらに、多摩地域においては、都が重点的に整備を推進する南北道路主要五路線、これとあわせて、自立性の高い、活力ある地域としての発展に大きく貢献すること、これは我々も期待しているのです。その圏央道については、日の出-あきる野インターチェンジ間が今月二十一日に供用される、そういうことですけれども、残る区間の進捗状況について、いかがでしょうか。

○岩永建設局長 都内の残る区間につきましては、あきる野インターチェンジから中央道に接続する八王子ジャンクションまでは、既にすべての用地を取得し、十七年度の供用開始に向け、工事を実施しております。
 さらに神奈川県境までの区間では、国道二〇号に接続する八王子南インターチェンジの工事を進めており、高尾山トンネル及び城山八王子トンネルにつきましては、近々、工事に着手する予定でございます。

○服部委員 また、この圏央道の機能を十分に発揮をさせて、周辺の道路交通の円滑化を図るためには、各インターに接続するアクセス道路の整備が重要と考えます。
 都は、圏央道へのアクセス道路として、新五日市街道など六路線を位置づけて、既に五路線を完了させました。唯一残っている新滝山街道、この早期整備、これは本当に必要なことですが、そこで、この整備状況、そして今後の取り組みについて、お伺いします。

○岩永建設局長 新滝山街道は、あきる野インターチェンジから国道一六号に至る道路でございまして、全線七キロのうち三・三キロが開通いたしておりまして、あきる野インターチェンジと高尾街道とのアクセスが大幅に改善してきております。
 高尾街道から東側の三・七キロにつきましては、用地取得を進めておりまして、順次、遺跡調査や切り土工事を行っております。
 今後とも地元関係者の理解と協力を得まして、圏央道の整備にあわせ、着実に事業を進めてまいります。

○服部委員 地元の理解と、そしてまた地元の熱意、そういったものにこたえられて、早く進むように、よろしくお願いをいたします。
 次に、臨海副都心開発について伺います。
 これまで都市基盤整備は約八割が完了して、平成十七年度末には晴海通り延伸部の供用開始、「ゆりかもめ」の有明-豊洲区間の開業が予定されています。臨海副都心の開発目的である職・住・遊が充実した感もあります。
 そこで伺いたいのは、もう一つの目的である、人が住まう、住の機能を大きく担う有明北地区の状況であります。
 有明北地区は埋立部を含めると百四十一ヘクタール、臨海副都心の総面積四百四十二ヘクタールの約三分の一に及ぶ地域です。この地区の開発の行方こそが臨海副都心開発の成功のかぎを握っている、そのように思います。
 我が党は、有明北地区の埋立事業の着実な推進を、平成十二年度の工事開始から一貫して支持してきました。いよいよ平成十七年度竣工の運びとなりましたが、現在の進捗状況と今後の見通しについて、お伺いします。

○成田港湾局長 有明北地区の埋立事業でございますが、高潮対策としての防潮堤築造や埋立地全体の盛り土造成がほぼ完了いたしまして、今年度末に概成いたします。今後は、防潮堤上部などの残工事を平成十七年度上半期までに実施し、埋立面積三十五ヘクタールの本年九月竣工に向けて工事の進捗に全力を挙げてまいります。
 なお、この工事ではハゼやカニなどの水生生物がすみやすいカニ護岸や、潮入りの整備などの環境対策も行ってきたところでございます。
 また、しゅんせつ土の再利用や施工方法の見直しなどを通じまして、建設コストの縮減を図った結果、工事費は四百億円の計画に対し約三割減となる二百八十億円程度に抑制できる見込みでございます。

○服部委員 今答弁ありましたけれども、予定どおり、しかも計画事業費を下方修正しての竣工ということで、これは評価をいたします。しかし、臨海部周辺で大規模なマンション開発がラッシュの中、まちづくりを進めるには有明北地区ならではの魅力、あるいは個性を打ち出す必要があります。
 そこで、有明北地区の今後の開発スケジュールとともに、まちづくりの方向性について伺います。

○成田港湾局長 まず、開発スケジュールでございますが、平成二十年度に土地区画整理事業が工事概成の予定であります。一方、埋立部は、埋立竣工後に区画道路などの基盤整備を進めまして、全体としては平成二十一年度以降に本格的な開発を行ってまいります。
 次に、まちづくりの方向性でございますが、今後、この地区は、都心への近接性とともに、身近に開かれた水辺空間や旧防波堤などの緑、さらに都心方向への眺望など、他の地区に類を見ないすぐれた環境が創出されます。これらの利点を生かしながら、例えば大区画方式など民間事業者の創意工夫を最大限に引き出す仕組みをまちづくりガイドライン等に盛り込みまして、個性的でありながら統一感のある景観とともに、都市の利便性をあわせ持つ、現在行われております周辺開発とは一線を画すような魅力的な都市型居住のまちを実現してまいります。

○服部委員 臨海副都心の開発は、開発が進むことに伴って価値が増進をしていく、さらに収入が上がる構造で成り立っているんですね。しかし、最近は丸の内とか汐留、六本木などの大都市再開発が進んで、大変厳しい状況にもあります。
 したがって、今まで以上に知恵を出し、汗を流してもらわなければなりませんが、万一思うように進出企業の誘致が進まない場合は、臨海副都心の開発へ大きな影響があると思いますけれども、所見を伺います。

○成田港湾局長 臨海副都心の開発は、大量の起債償還が間近に迫った今日、いかに確実に企業誘致を進めるかが、かぎでございまして、その対応が喫緊の課題と痛感しているところでございます。
 これまでも、長期貸付方式に加えまして、売却方式や暫定利用方式等の導入を行うとともに、特別目的会社、いわゆるSPCの参入を認めるなど、事業者のニーズに対応した見直しを不断に行い、企業誘致の成果を着実に上げてまいりました。
 しかし、今お話のございましたように、丸の内、汐留あるいは六本木、こうした地域間競争が激化している今日、臨海副都心の持てるポテンシャルを最大限に引き出し、事業者に強くアピールする必要があると考えております。そのために、臨海副都心の各地区におきまして、職、住、学、遊の役割に応じた土地利用形態等の検討を進めるなど、さらに創意工夫を凝らしまして、企業誘致を引き続き精力的に進めてまいりたいと思っております。

○服部委員 これからもしっかり頑張っていただきたいと思います。
 次に、新銀行の業務、いよいよ開始されますね、この四月から。我が党の代表質問に対して、都からペイオフ解禁に伴う地域金融機関への影響等を勘案した上で決定したと、そう説明がありました。新銀行の開業に際し、信用金庫など地域金融に及ぼす影響をどのように考えて開業時期を四月としたのか、お伺いいたします。

○津島新銀行設立本部長 新銀行の開業時期の決定に当たりましては、中小企業の早期開業への期待にこたえる一方、これまで個人預金の動向など、ペイオフ全面解禁に伴う信用金庫など地域金融機関への影響等を慎重に注視するとともに、十分な情報交換をしてまいりました。
 現時点において、状況をご説明いたしますと、一つは、各地域金融機関では決済用預金を導入するなど預金対策が着実に進展しており、預金動向が比較的安定しております。
 二つ目は、過日、金融担当大臣発言におきましても、金融システムは安定しており、予定どおりペイオフの全面解禁を実施できる環境になっているとの判断が示されております。
 三つ目に、新銀行の段階的な業務や店舗展開等につきまして、地域金融機関からも十分理解が得られました。
 四つ目に、新銀行と地域金融機関とが積極的に連携を図りながら業務を展開することが、むしろ相互の利益になるとの共通認識が深まったことなどの状況がございます。
 新銀行におきましては、これらの状況を総合的に勘案し、開業に向けた環境が整ったと判断したことから、四月一日から業務を開始する方針とし、現在、監督官庁と調整に入っております。

○服部委員 今答弁があったように、地域の金融機関と十分な調整を行った上で決定した、そのようなことですね。
 個別信用金庫との具体的提携内容についても相当煮詰まった段階だと思いますけれども、現在どのようになっているのか、お伺いします。

○津島新銀行設立本部長 新銀行東京では、平成十六年五月に締結いたしました東京都信用金庫協会との包括提携契約を基本として、業務内容について各信用金庫と個別に協議を進めてまいりました。
 具体的には、信金融資に対します保証につきましては、保証割合や企業へ適用する際の保証料率、またシンジケート型融資につきましては、申し込み受け付けや期中管理等における相互の協力体制、また技術力・将来性重視型融資及びポートフォリオ型融資の案件紹介業務などにつきましては、紹介対象者の要件や連絡窓口の設置などなど、事務手続全般にわたり詳細に煮詰めてまいりました。
 提携内容が進捗している一例として申しますと、昨年の第一回定例会でご提案のありましたシンジケート型融資の融資期間、これは原則五年、最長十年でございますけれども、これにつきまして融資期間延長のご要望がございました。その後、不動産担保の提供等、一定の条件のもとに、十年以上の融資期間も可能とするということで、より充実した商品の提供に向けて、地域金融機関と協議、検討を進めております。
 今後、新銀行の開業に合わせまして個別契約を締結し、提携業務を開始することといたしております。

○服部委員 次に、出資企業の具体名とか個別の金額の質問をと思ったんですが、これは守秘義務とかでお答えにならないでしょうから飛ばしまして、新銀行にとって大切なことは、何といっても都民とか中小企業へ貢献する金融機関となることです。それだけに、地域の中小企業からのこの銀行に対する期待も強いんです。その点で、地域の商店街との連携、これは我が党がかねてから強く要請してきたものでありますが、開業時にはぜひとも具体的な提携を実現していただきたい、そのように思いますが、その状況について伺います。

○津島新銀行設立本部長 新銀行構想の発表以来、複数の商店街と提携に向けた協議を精力的に行ってまいりましたが、平成十七年度には、開業に当たりまして、まず品川区の荏原町商店街振興組合と提携する予定でございます。この提携は、新銀行カードに商店街ポイントカード機能を搭載する仕組みを構築するもので、これによりまして、商店街がカード発行費用の縮減を図りながら商店街ポイントカード会員の拡大を実現することができ、商店街の振興が期待できるものでございます。
 なお、新銀行では、荏原町商店街に続きまして、さらに他地域の商店街とも早期の提携実現に向けた密接な協議を現在進めておりまして、これを契機にして順次商店街との提携を拡大していく予定でございます。

○服部委員 新銀行というのは、町の中小零細、小規模企業といったところと一緒にスクラムを組んで--これは東京の景気の底支えをずっと皆さんはやってきたわけですから、知事が新銀行を設立するという意思に沿って、ぜひこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 ただ、今、銀行の関係で、キャッシュカードの偽造とか、スキミングというんですか、こういった被害が急増して社会問題になっています。
 そこで、新銀行では、利用者保護の観点から、こうしたキャッシュカードの安全対策についてどう取り組むのか、お伺いします。

○津島新銀行設立本部長 新銀行では既に、発行するすべてのキャッシュカードを偽造防止にすぐれたICカードとすることにしており、高い安全性を確保しております。
 しかし、銀行業界におきましては、ICカードに対応したATMが十分普及していないことから、新銀行のICカードには磁気ストライプも搭載しており、その面では必ずしも万全な安全性とはなっておりません。この対策といたしまして、顧客ニーズに応じ、入出金の機能をICチップに限定して、磁気ストライプを閉じたシステムを開業後早い段階で採用いたします。
 また、新銀行では、ハード面の対策にとどまらず、開業時から、偽造カードによる不正な預金引き出しの被害に遭った預金者に対しては、合理的な基準に基づき補償することといたしまして、ICカードを安心して利用できる環境を整えてまいります。
 なお、より安全性が高いといわれている生体認証の導入につきましては、技術開発の動向や他の金融機関の取り組み状況をにらみ、早期導入の検討を進めてまいります。

○服部委員 今、偽造カードによる不正引き出しには合理的な基準によって補償する、そのように答弁がありました。これは預金者の立場に立ったもので、非常にいい答弁です。発行手数料など、ほかに預金者の費用負担を求めるケースが既存の銀行なんかには多いんですが、預金者の安全対策は本来、銀行が責任を持って講じるべきものであります。その費用を預金者に転嫁すべきではない、そのように考えます。
 新銀行が発行するICカードの発行手数料はどうなるのか、お伺いします。

○津島新銀行設立本部長 既存銀行のICカード発行手数料は、ちょうど磁気カードからICカードへの切りかえを促進するために、期間を限定して無料にする例が一部にはありますが、原則として有料となっております。
 新銀行では、顧客本位の銀行として、ICカードの発行手数料を当初から全面的に無料とすることにしており、預金者の立場に立った対応を講じていく予定でございます。

○服部委員 新銀行東京、今まで知事が提案をされ、本当に画期的な策として、当時のメガバンクの貸し渋りとか貸しはがしとか、小さな企業をいじめたような、そういったようなことのない、地域に愛される銀行をということで、まさにそういった趣旨に沿う形だと思って、私も大変評価いたしますので、これからもぜひ地域の零細中小企業に愛される銀行として大いに頑張っていただきたい、そのように思います。
 次に、産業振興について伺います。
 東京の代表的な地場産業である機械金属、印刷、靴、ベルト、バッグといった皮革関連産業、また繊維とかメッキ業、地域の雇用や経済を支えるとともに、これも景気の底支えの役割を果たしてきており、まさに東京の活力の源泉であります。
 都はこれまでも、東京のものづくり産業の中でもベンチャー企業、先端技術の開発に対する資金調達、あるいは経営、技術の支援などさまざまな取り組みを行ってまいりまして、これは評価いたします。
 先日、知事が産経新聞の論評の中で、日本オリジナルということで記されておりましたけれども、すぐれたデザイン力あるいは卓越した技術力で製品の開発をしている地場産業に携わる方も大勢いるんです。地域に根差した産業、グループを応援していくことが大切だと思います。
 そこで、東京都の地域の産業振興に対する基本的な考え方をぜひ知事にお伺いいたします。

○石原知事 東京の前身の江戸も、徳川三百年、日本の首都としていろんな集中、集積がありました。その江戸時代から受け継がれてきた伝統的な技術や高度な技術力、デザイン力を有するものづくりの企業がいまだにたくさん存在しております。
 先般、愛知万博の日本からの出品の一つに、恐らく西洋人も驚倒するでありましょう、物すごく精巧なからくりを利用した、何種類かの時刻を告げる時計が出品されておりまして、セイコー社の企業担当の最高責任者がこれを分析して、まさに驚いておりましたが、こういったものが伝統としてまだ生きております。こうした地域に根差した中小企業が東京の経済活動を支える重要な存在であると強く認識しております。
 都は、産業交流展などによる販路開拓や産業技術研究所の行うデザイン、技術への支援、また新銀行の開業、制度融資の充実など、さまざまな施策を実施してまいります。
 今後とも、高度な技術、技能を持つ人材や大学、試験研究機関など東京に集積する地域資源を生かしまして、地域の産業を総合的に支援していきたいと思っております。

○服部委員 知事からそうした答弁をいただいて、本当にありがとうございます。
 この答弁を踏まえて、近年、地域の産業の中には、国際競争の激化とか、ものづくり技術を支える人材の高齢化あるいは環境規制への対応など、厳しい経営環境に置かれているところが見受けられます。こうした企業あるいは団体の行う積極的な取り組みに対して支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○関谷産業労働局長 国際的な競争の激化や環境規制の強化など、東京のものづくり産業は厳しい経営環境に置かれております。
 都はこれまでも、新製品、新サービスの開発、導入等によりまして、経営革新を図る中小企業に対し支援を行ってまいりました。十七年度は、排水規制の強化に伴う技術開発や、生産地相互の連携による新たなビジネスモデルの構築など、個々の企業では解決が困難な課題に対しまして、中小企業のグループが行う取り組みについても対応してまいります。
 今後とも、地域の産業の担い手である中小企業やそのグループの行う意欲ある取り組みを支援してまいります。

○服部委員 次に、地域資源活用プロジェクトについて伺います。
 ものづくりに関するすぐれた技術を持つ中小企業が地域の資源を生かしながら、連携してものづくりをすることが大事です。このような中で、先日、台東、荒川、墨田、葛飾の地域で展開する、それぞれのイニシアルの頭文字を取ってTASKプロジェクト構想が発表されました。
 そこでまず、地域資源活用プロジェクト支援事業の目的や進め方についてお答えください。

○関谷産業労働局長 地域資源活用プロジェクトは、地域に着目いたしまして、その地域にある産業、技術、人材などの資源をテーマに沿って結びつけ、仕組みづくりやものづくりを行い、地域産業の活性化を図ることを目的としております。
 進め方といたしましては、初年度は区市町村からの提案をもとに、対象地域の資源の状況を調査し、それらの資源を活用した個別プロジェクトを検討するとともに、今後の推進組織の検討を進めまして、構想を策定いたします。
 次年度は、立ち上げました推進組織のもと、実際にプロジェクトを展開していくこととしておりまして、二カ年にわたる事業スキームとしております。

○服部委員 策定されたTASKプロジェクト構想を見ますと、デザインと伝統を生かしたものづくり産業の活性化をテーマとしています。その内容及び今後の都の支援策についてお伺いします。

○関谷産業労働局長 TASKプロジェクト構想では、個別プロジェクトといたしまして、現代のデザインを取り入れた伝統工芸品の開発や、四区合同産業人会議の創設など、ものづくりや仕組みづくりで八つの個別プロジェクトを展開することとしております。
 今後は、地域が主体となって推進することとなりますが、都といたしましても、商品づくりの企画、製造、販売等の段階に応じまして、産業技術研究所の技術相談や中小企業ニューマーケット開拓支援事業など、既存の施策を活用いたしまして支援を積極的に行ってまいります。

○服部委員 今の局長の答弁は大変具体的で、私は積極的な答弁だと思いますよ。
 また、このTASKプロジェクトも、例えば見本市だとかファッションショー、そういった関係のものがあるわけですから、いわゆるパリコレに負けない、以上の東京コレクションをやれるような、そんなこともいいんじゃないかと思います。
 次に、中小企業グループへの支援について伺いますけれども、昨年の第二回定例会における我が党の代表質問を踏まえて、都は来年度、このような企業間連携の動きをさらに活発化させるため、ものづくりの中小企業グループへの支援事業を新たに開始する、このようにしていますが、その支援の仕組みや内容についてお伺いします。

○関谷産業労働局長 都は来年度、高付加価値製品の開発や幅広い受注等を目的として、共同事業に取り組む中小企業グループを支援するため、ものづくり新集積形成事業を開始いたします。
 本事業では、支援対象とする中小企業グループごとに中小企業振興公社、産業技術研究所等で支援チームをつくり、成果を随時把握しながら、共同事業の段階に応じて、経営、技術の両面からきめ細かな支援を行ってまいります。また、公社に基金を設置いたしまして、経費を柔軟かつ継続的に補助して、中小企業グループのネットワークの拡大、発展を図ってまいります。こうした支援を通じまして、地域に元気なものづくりの中小企業群を創出してまいります。

○服部委員 今回の予算案の中には、固定資産税、都市計画税について、これまでの中小企業等に対する都独自の軽減措置の継続のほか、新たに商業地等の負担水準の上限の引き下げが盛り込まれております。税負担の公平、過重な負担の緩和を求める納税者の声を真正面から受けとめたものであって、これは我が党の主張に沿うものであると高く評価をいたします。
 そこで、この新たな軽減措置の対象件数及び一件当たりの軽減額、従来から実施している小規模非住宅用地の減免措置とあわせた負担軽減はどのくらいになるのか、また、都独自の軽減措置による軽減総額はどのくらいになるのか、簡潔にお願いします。お答えください。

○山口主税局長 今回新たに条例措置を提案しております商業地等の負担水準の上限引き下げの対象件数ですが、二十三区の商業地等の約六割に当たる二十一万件、一件当たりの軽減額は七万六千円でございます。
 また、小規模非住宅用地の減免措置とあわせますと、商業地等の約九割に当たります三十一万件がいずれかの措置の対象となり、一件当たりの軽減額は十二万六千円でございます。
 なお、これらの措置を含めまして、都が独自に実施している固定資産税等の軽減措置による軽減額は、合計八百八十億円でございます。

○服部委員 今まで継続して実施してきたものと今度の新たなものを合わせると八百八十億円の軽減措置になるという答弁でございますが、この措置が固定資産税に対する納税者の信頼確保はもとより、東京の活力の再生につながることを期待しております。
 次に、島しょ地域の観光振興について伺います。
 東京の島々である伊豆諸島あるいは小笠原諸島には約三万人の方々が住まわれております。そして、豊かな海洋資源、変化に富んだ自然景観あるいは固有の歴史と文化、さらには独特の特産品など、魅力あふれる地域資源に恵まれています。こうした島しょの地域資源は世界の島々に負けない魅力だと、私はそのように思います。
 ただ、観光客数は、離島ブームであった昭和四十八年の百四十万人をピークに、近年五十万人と低迷をしております。
 そこでまず、島しょ地域における観光振興の取り組みの現状と課題についてお伺いいたします。

○関谷産業労働局長 島しょ地域では、夏場の海水浴に加えまして、多様な旅行者のニーズにこたえられるよう、年間を通じて観光客が来島する魅力ある観光地の形成が重要でございます。
 都は現在、観光施設の整備等に対する助成や、料理・接遇講習会などを実施するとともに、十六年度には、ご指摘のウェブサイトの構築に対する支援を行っております。また、都と島が協力いたしまして、四季折々の地元の食材を使った飲食の提供や、お土産品の販売などの地産地消の推進、ガイドつき山歩きツアーなどの体験メニューの取り組みが始まっております。
 しかし、島内全体の連携した取り組みという点では、まだまだ不十分な点もございます。なお一層の努力を払う必要があると感じております。

○服部委員 今答弁をいただいたように、農業とか漁業、商店、そして島民の方々もスクラムを組んで、一致協力して観光産業の活性化に今こそ取り組むことが重要だと思います。そのための都の支援策についてお伺いします。

○関谷産業労働局長 島しょ地域の観光産業を活性化させるためには、現状の見直しと島を挙げての取り組みが必要でございます。
 都としましては、十七年度に、特に改善意欲の高い島を選定いたしまして、島の方々とともに観光産業の再生を目指す専門家を一定期間にわたり派遣いたします。その中で、現状の観光産業を徹底的に見直し、料理の工夫、観光施設の運営改善、新たな体験メニューの掘り起こしなど、滞在型観光による島の活性化戦略を提案し、都はその実現に向けての支援を行ってまいります。
 また、活性化戦略の内容と実施状況を検証するためのモニターツアーを行うほか、近く本格運用する島しょ観光のウェブサイトを活用しながら、情報提供を広く行ってまいります。

○服部委員 平成二十五年には東京国体も開催されますけれども、それに向けて大きな夢を示すことになるよう、また取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、水辺空間の魅力向上について伺います。
 都は、将来を見据え、水辺に顔を向けた施策誘導を積極的に展開していくべきであります。水辺は地域を結ぶ総合結節点としての役割を果たすものです。
 ちょっとまたここでパネルを見ていただきたいと思いますが、この水辺空間、隅田川、春のうららの隅田川ですね。これはもう平安時代から伊勢物語や、あるいは古今和歌集だとか、吾妻鏡だとかいろいろ、太平記にもこの隅田川は出てまいりますけれども、徳川時代は、江戸開府に当たって物質の輸送に水路を利用して、東京は東京湾を擁して、実は運河のまちだった、こういうことを法政大学の陣内先生も述べられております。
 平成二十一年度には羽田空港の国際旅客ターミナルが新たに竣工いたします。浅草、お台場などの都心部と羽田空港とを水運で結びつけることで、多くの観光客を東京へ導く新たな動脈をつくり出すことが重要です。東京の水辺空間の魅力向上に当たっては、地域の発想を十分に生かしながら、観光資源としての有効活用と魅力ある舟運ルートの策定などの取り組みを進めていくことが重要と考えますが、所見を伺います。

○関谷産業労働局長 隅田川や運河等を観光資源として活用し、東京を新たな都市空間として再生することを目的に、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想の策定を開始いたしました。構想では、水辺と周辺地域との一体的な取り組みを推進することが重要でございまして、地域の発想を生かした新たなにぎわいの創出や、魅力ある舟運ルートなどについても検討を進めてまいります。
 また、隅田川や運河などの広域的な観光資源を有効に活用する観点から、地域が相互に連携し、回遊性を高める取り組みなどを進めることが重要でございます。このため、複数区にまたがる観光まちづくり推進組織の設立などを積極的に支援してまいります。

○服部委員 ありがとうございました。
 それでは、次に福祉改革について伺います。
 日本共産党は、福祉の切り捨てとか、大変的外れの主張をしておりますけれども、こうした福祉改革は、東京から日本を変える先駆的取り組みであると我々は考えておりますが、改めてその目指すところについて確認をしておきたいと思います。お答えください。

○幸田福祉保健局長 都が進めます福祉改革は、これまで基本的に見直されることのなかった行政主導の画一的な福祉システムを改め、大都市東京の特性を生かし、だれもが必要なサービスを選択し、利用しながら、地域で自立した生活を送ることができる利用者本位の新しい福祉の実現を目指す取り組みであります。
 経済給付的事業を見直したのもこの改革の一環でありまして、施設中心の福祉を転換し、在宅サービス基盤の整備や利用者支援の仕組みづくりなど、質と量の両面から福祉水準全体の向上を図ることが都の責務だと認識しております。

○服部委員 今の答弁にもありましたように、知事と我々自民党が進めてきた福祉改革は、経済給付的事業を見直した上、行政のコントロールによる入所施設中心の画一的な福祉を利用者本位の新しい福祉へと転換を図ろうとするものであります。財政が厳しいから福祉関係費を削減するものでは決してありません。こういうのを的外れというんです。
 ところで、平成十七年度予算における福祉関係予算は、約四百五十億円の増と大幅に増加をしています。これに対して、先日の本会議の共産党の代表質問で、福祉予算は--これは共産党がいっているんです--三位一体改革に伴う国民健康保険に対する国庫負担が都に押しつけられた予算増を除けば実質マイナスだと、こういう主張をしているんです。また、その党の機関紙では、平成十一年度と比較して、平成十六年度の福祉関係予算は五百二十六億円も減額されているといっています。
 そこで伺いますけれども、平成十一年度と平成十七年度を比べた場合、国の制度改正や大規模施設の建設など、いわゆる当然増あるいは当然減ですね。この要素を加味した実質的な福祉関係予算の総額はどうなっているんでしょうか。

○幸田福祉保健局長 平成十一年度から十七年度までの間の制度改正などによる予算の減、いわゆる当然減は、都区制度改革に伴う特別区国民健康保険交付金の廃止や児童扶養手当の区市移管などがあり、合わせて七百十七億円となります。
 一方、いわゆる当然増は、国の三位一体改革による制度改正であります国民健康保険制度における都道府県負担の増四百六十六億円が挙げられます。
 平成十一年度の旧福祉局と旧衛生局の合計予算額は七千百二十三億円、平成十七年度の福祉保健局の予算額は六千九百十五億円で、単純に差し引きすると二百八億円の減でありますが、ただいま申し上げました当然増、当然減の要素を加味すると、実質的には平成十七年度予算は四十三億円の増となっております。

○服部委員 こうして実質的な予算がふえているんですよ。
 また内容的に見ても、これまで我が党の提唱で実現した福祉改革推進事業を初め、認証保育所制度の創設、グループホームの増設や都独自の第三者評価システムの導入など、我が党とともにさまざまな福祉改革の取り組みを進めてきたのであります。
 この結果、認証保育所はこれまで二百五十二カ所が整備され、認知症高齢者グループホームはこの五年間で約二千人分、また、知的障害者グループホームについては約一千人分の整備がされるなど、地域の福祉基盤の充実が図られるとともに、利用者みずからが必要な福祉サービスを安心して選択できる仕組みづくりの整備が急速に進んでまいりました。
 平成十七年度予算においても、我が党の提案を受け創設した次世代育成支援緊急対策総合補助制度などの新規施策やレベルアップ事業が数多く盛り込まれています。
 そこで、平成十七年度の福祉関係予算において、特に重点的に取り組んでいく事業について分野別にお示しいただきたいと思います。これは本当に素直に聞いてくださいよ、福祉予算は。

○幸田福祉保健局長 平成十七年度予算では、福祉保健局発足後初めての予算であることを踏まえまして、これまでの福祉改革の取り組みに加えて、福祉・保健・医療サービスの総合的かつ一体的な施策展開を進め、都民の皆様により一層質の高いサービスを提供することを基本として、各種施策を推進していくこととしております。
 まず高齢者分野では、基本健康診査と介護予防健診を一体的に実施するなど、介護予防の総合的な取り組みを国に先駆けて実施いたします。
 子ども分野では、次世代育成支援緊急対策総合補助を実施いたしますとともに、児童相談所や保健所などの連携によりまして、児童虐待の早期発見と未然防止に向けた仕組みづくりを進めてまいります。
 また障害者分野では、障害者の一般就労に向けて、新たに企業内での授産事業を推進してまいります。
 さらに、福祉サービス利用の仕組みづくりとして、判断能力の不十分な認知症高齢者や知的障害者への成年後見制度の積極的な活用を図るため、成年後見活用あんしん生活創造事業を創設いたします。

○服部委員 このように、福祉は切り捨てられたのではなくて逆に充実してきたと、だれの目にもこれは明らかじゃないですか。(発言する者あり)逆立ち論て、どっちが逆立ち。逆立ちして見るから逆立ちに見えるんです。
 次に、これらの福祉改革の新たな取り組みを行う上での前提となった、いわゆる経済給付的事業の見直しについてですが、その主なものはどのようなものがあり、また、結果としてどのくらいの財源を捻出できたのか、お伺いします。

○幸田福祉保健局長 お話の経済給付的事業は、そのほとんどが昭和四十年代に創設されたものでありまして、当時、国の所得保障政策が不十分であったこと、また、在宅福祉サービスが不足していたことから、都独自に開始したものでありますが、その後の国の社会保障制度の充実や介護保険制度の導入などを踏まえまして、制度間の整合性の確保や負担の公平性の観点から、見直しを行ったものでございます。
 具体的には、これまでの間、介護保険制度開始に伴う特別養護老人ホーム運営費の都加算、老人福祉手当、老人医療費助成の廃止や、シルバーパス、各種手当・医療費助成制度の所得制限基準の見直しなどを行いまして、結果として九百二億円の財源が捻出できました。こうして確保した財源を活用することで、認証保育所や福祉サービス第三者評価システム、福祉改革推進事業など、全国に先駆けた新たな福祉施策の展開が初めて可能となったものでございます。

○服部委員 今の答弁にあったように、経済的な給付事業の見直しを行っていなかったら、こうした福祉改革の新たな取り組みもできなかったし、経常的な福祉施策をも低下させざるを得ない、そういった状況に陥ったと思うんです。また一方で、他県は福祉予算をふやしているのに石原知事だけが予算額を減らしているなんていう主張もありますね。どの機関紙だったかな……。
 自治体は、人口規模や地方交付税の配分状況など置かれている状況がそれぞれ異なることから、単純な金額の多寡のみで比較することは余り意味がない。しかし、都民の無用の不安を解消するためにあえて伺いますけれども、東京都の福祉事業の水準は、主な他府県と比較した場合、どのくらいのレベルにあるんですか。

○幸田福祉保健局長 行財政制度や大都市としての特性などの相違を踏まえると、ご指摘のとおり、福祉関係の予算額を都道府県間で単純に比較することには意味がないと思います。
 こうした前提に立った上で、都道府県間の福祉サービスの水準という観点から、政令指定都市という大都市を有する道府県の人口一人当たりの福祉関係費で比較いたしますと、平成十七年度予算では都が五万五千円と最も高く、他の道府県の一・二倍から二倍となっております。

○服部委員 要するに、もともと少なかったから伸びているように見えるということなんですよ。他県の予算額は確かに伸びているでしょうが、一人当たりに直してみると、まだまだ都の水準には追いついてはいかないということです。
 さて、本格的な少子高齢社会の到来を控え、我が党としては、限られた財源の中で、ソフト、ハードの両面にわたるバランスのとれた、しかもめり張りのある施策の展開を強く求めるところであります。一方で、既存施策については不断の見直しを行って、常に時代や住民の要望に合った施策へと変化させていく必要があります。
 そこで、今後、この福祉改革の取り組みをさらに推し進めるべきと考えますが、知事の決意を伺います。

○石原知事 都が目指す福祉改革は、だれもが地域の中でさまざまなサービスを利用しながら自立して生活できる、ごく当たり前の世界をこの東京で実現することであります。こうした観点に立って、都はこれまで、高齢者や障害者のグループホームの創設、駅前での認証保育所の創設など、国に先駆けた独自の施策を展開し、着実に成果を上げてきたと思います。
 今後、都民の福祉ニーズにこたえるため、真に必要な施策には財源を集中的に投入しながら、都における福祉水準全体の向上を目指し、福祉改革を一層推し進めてまいります。

○服部委員 知事の答弁を伺いましたけれども、自民党も、喜ばれる福祉を伸ばして、また、努力する福祉を応援して、工夫する福祉で国を先導する、こうした気概で、これからも知事と一体となってこの福祉改革に取り組んでまいりたい、そのように思います。
 さて、ホームレス問題ですけれども、そういえばプレス発表があって、きょうの新聞でしたか、特別区内の路上生活者数は五千人を大幅に下回って、前年比七百四十六人減少したと。五千人を切ったんですね。
 これはさまざまな取り組みもありましたし、私どもも都議会自由民主党としてのホームレス対策の協議会もありまして、昨年も大阪へ行って、大阪と合同の会議などもしてまいりました。そして、大阪府議会とともに、尾辻厚生労働大臣とか、あるいは自由民主党の与謝野政調会長にホームレスの雇用対策に係る財政支援の要請を行ってまいりました。
 そして、ホームレス地域生活移行支援事業が新宿区内の二つの公園を皮切りに順次行われています。既に四百人を超える人がテントを撤去し、地域の借り上げ住居に移行したと発表されています。私は、その効果ですか、お隣の新宿中央公園のブルーテントが目に見えて減ってきたのかなと、そんな印象を持っています。もちろん、NPOの参画を得て、きめ細かい生活サポートや就労支援を行う、全国でも初めての都の取り組みについては高く評価いたします。
 同時に私は、せっかくこの事業で地域生活へ移行した者が、再び路上生活に戻ることのないように支援していくことが重要だと考えています。そこで都は、一人でも多くのホームレスが自立できるようにするためには、どのような点をより充実させていく必要があると考えているのか、所見を伺います。

○幸田福祉保健局長 お話のとおり、ホームレスが再び路上生活に戻らないようにするためには、生活や就労面できめ細かなサポートを継続的に行いまして、自立を促していくことが重要であります。
 このため、都はこれまで、地域生活移行支援事業を通じまして、当面の生活資金を賄うための臨時就労の提供や、就労する際に必要な面接に関する助言を初め、資格取得に結びつく技能講習や、また本人の適性、経験に応じた求人開拓にも努めてまいりました。
 今後、これらの取り組みの充実、強化を図りますとともに、新たに幅広い就労機会の創出を目的として、民間団体と連携した協議会を設置するなど、ホームレスの自立に向けた取り組みをより一層拡充してまいります。

○服部委員 これからも都として、また特別区と提携をしながら、早急にホームレスの自立に向けた施策の充実に取り組んでいくべきであると強く要望して、この質問を終えます。
 次に、私学助成について伺います。
 私学は、歴史と伝統に培われた校風を持って、日本の教育を先導する役割を果たしてきました。十七年度の私学予算が増加に転じたことは、我が党が、私学助成予算の拡充を最重要課題として位置づけて、復活要望を含め粘り強く働きかけを行ってきたことによる成果があらわれたものと歓迎をいたします。
 最初に、経常費補助は、今回は高校から幼稚園まで全学種にわたって九年ぶりに増加しています。今回増額となった要因は何か、お伺いをいたします。

○山内生活文化局長 都の私学助成の基幹的補助である経常費補助については、平成十年度から五年間の財政健全化計画及び平成十二年度から平成十六年度までの第一次財政再建推進プランの二度にわたりまして、総額約百四十六億円の見直しを行ってまいりました。
 平成十七年度では、公立学校の決算値を基礎とする標準的運営費方式によりまして、実態に即した補助額の確保ができたことから、増額となったものでございます。

○服部委員 引き続き、経常費補助の予算の確保をぜひお願いいたします。
 あと、復活予算で我が党が強く要望した少子化の進行とか女性の社会進出に伴う保育ニーズの多様化にこたえるために、私立幼稚園の子育て支援に積極的に取り組むべきだと考えますが、預かり保育推進補助の充実についてはどのように考えていますか。

○山内生活文化局長 預かり保育につきましては、核家族化や少子化の進展、共働き家庭の一般化などに伴う保育ニーズにこたえるため、平成十四年度から経常費補助とは別枠で、私立幼稚園預かり保育推進補助として予算化を図りまして、補助内容の拡充を行ってまいりました。
 平成十七年度は、ご指摘の趣旨を踏まえまして、さらに、実施率の低い夏休み、冬休みなどの預かり保育の実施を促進するため、補助単価を二割ないし四割増額することとしておりまして、これによって子育て支援の一層の充実が図られるものと考えております。

○服部委員 それと、一人当たりの経常費補助の全国順位が低下しているといった、これまた一面だけとらえて、石原都政が私学助成を削減しているんだといった誤った主張があります。
 しかし都は、少子化の中で一定の教育水準を維持するためには、公立学校の教育費を基礎とする標準的運営費方式を堅持するとともに、時代のニーズに合わせた見直しを行い、経常費以外でもさまざまな施策展開を行っており、総合的あるいは包括的に考えるべきだ、私はこのように思うんです。
 我が党は、常日ごろから私学助成の充実について強く訴えてきており、十七年度予算に関しても我が党の要望に沿った拡充が図られました。今後とも、私立学校の特徴を生かし、生徒、保護者の経済的負担の軽減を図るなど、私学振興策の充実に努めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○山内生活文化局長 私立学校は、都民に多様な教育の機会を提供するなど、東京の公教育にとって大きな役割を果たすとともに、都民から厚い信頼と大きな期待が寄せられているところでございます。
 このため、東京都は、先ほどの預かり保育の拡充に加えまして、学校の耐震補強を進める安全対策促進事業の一年間の延長、私立専修学校への設備助成の拡充や育英資金の増額など、新たな需要に対して的確に対応できるよう、私学振興策の充実に努めてまいりました。
 今後とも、私学の現状や時代のニーズに対応した私学振興策の推進に努めてまいります。

○服部委員 私学振興策については大事なことですから、これからも積極的に取り組んでいただくようお願いをいたします。
 もちろん、教育は国の大事なりと申します。そこでさらに教育改革について伺いますけれども、昨年十二月、二つの国際機関、OECDとIEAの調査がありました。日本の子どもたち、小中学生あるいは高校生の学力が大分低下している。中教審でもこのことについての見直しの方向が打ち出されておりますけれども、子どもの学力を考えたとき、何をどう教えるかという視点とともに、最低限どこまで修得させ、どこまで修得しているかという視点が重要だと思います。
 都は、全国に先駆けて学力調査を実施して、平成十七年度の重点事業では、授業改善推進プランを各校で作成するとしております。授業を改善するには到達目標が必要ですけれども、学習指導要領は、教員が児童生徒に対して何をどのように教えるかを示していますが、子どもたちが各教科でクリアすべき程度については明記していないんですね。学力向上を図るためには、各教科の到達目標を定めて、それに向けて各学校が責任を持つことが重要であると考えますが、教育長の認識をお尋ねします。

○横山教育長 学力向上を図りますためには、その到達状況を把握する必要がありますことから、都内小学校五年生、それから中学校二年生全員を対象にしまして学力調査を実施し、その結果に基づきまして、お話がございましたように、各学校では教科ごとの指導目標を明確にした授業改善推進プランを作成しまして、授業改善に努めているところでございます。
 お話の各教科の到達目標を定めることにつきましては、特に各教科ごとに定めることは非常に大事なことでございまして、現在、国の中央教育審議会におきまして、義務教育として到達目標をどう定めるか、そうした観点から審議が行われておりますので、その動向を踏まえまして、都としても適切に対応してまいります。

○服部委員 今、週五日制のこともありますが、授業時間数が相当減っている。これは昭和四十三年当時の授業時間数と比べると、当時と今では実に八百七十四時間の授業時間が、小学校に入学して中学校を卒業するまでの九年間で減っているんです。こうした授業時間の削減ということが、現在の児童生徒の学力の低下に大きく関係していると私は思います。
 こうしたことから、区市町村の小中学校では、土曜補習を行ったり、一部の都立高校では、土曜授業を正規の教育課程に位置づけて実施して学力向上などに取り組んでおります。公立学校の土曜授業を一層促進すべきだ、私はそのように思いますが、昨年の第三回定例会の代表質問で、我が党は、公立学校で土曜日に補習授業などを行う場合の教員の勤務について質問して、教育長から具体的な策を検討すると答弁がありました。
 その後の都教育委員会の対応についてお伺いいたします。

○横山教育長 都内の小中学校で教員が土曜日に補習を実施しようとする場合に、教員を含めまして半日の勤務を振りかえる制度がございませんので、その勤務のあり方が課題になっておりまして、これまでもご指摘をいただいておりました。
 今回、台東区を初めとした幾つかの区から土曜日の補習の円滑な実施について申し出がございまして、具体的に検討した結果、平成十七年度から、こうした区におきまして、教員の勤務の特殊性を踏まえまして、勤務時間の特例設定を活用して、土曜日における教員の半日単位の勤務を試行する予定でございます。

○服部委員 次に、学校の安全対策について伺いますが、このところ、学校の安全に対して都民が大変不安を抱く事件が頻発しておりますし、各学校もそれぞれ自衛といいますか、学校を守るためにさまざまな取り組みをされておりますけれども、学校の安全管理というのは、備品の配置だけではなくて、まず、自分の学校の生徒は自分たち教職員が守るんだ、そういう教職員の安全管理の意識、そして気概が一番重要なことだと私は思います。
 現在、警視庁では、スクールサポーターを活用して、学校と協力した安全への取り組みが積極的に行われており、国においても学校安全体制の整備に関する新規事業を予定しておりますけれども、何よりも学校がみずから積極的に家庭や地域と協力していくことが重要だと思うんです。
 学校では、正規の防犯組織として安全委員会を設置するなどして安全管理体制を整備するとともに、学校が積極的に家庭、地域などとの連携を図り、子どもたちの安全を守るべきであると考えますが、教育長の見解をお尋ねします。

○横山教育長 各学校では、今回の事件を受けまして、教職員の役割分担や緊急連絡体制などの校内体制の整備に努めておりますが、ご指摘のように、教職員の安全に対する意識を高めまして、学校が組織的に対応することが極めて重要でございますことから、今後、校務分掌に位置づけた安全委員会などの組織を設置しますとともに、学校が家庭や地域等に積極的に働きかけ、学校の安全管理に一層努めていくよう、各区市町村教育委員会と連携しまして各学校を指導してまいります。

○服部委員 今般、国の教育基本法の改正の動きの中で、家庭の役割などを明記することも審議されています。次代を担う人間の育成を図るためには、家族の果たす役割が極めて重要であります。戦後教育は、家族という日本古来の概念を置き去りにして、家族の大切さ、家族のよさなどをいわば否定してきた感があるんです。
 教育基本法にも、個人の尊厳ということはあっても、家族という概念がどこかへなくなってしまっている。今日の日本社会の乱れや混乱などは、こうしたことが背景にあるのではないかと思います。今、改めて家族の大切さやよさを見詰め直して、家族の再生を図るべきだと強く考えているところであります。
 健全な青少年は健全な家庭から育成されるといわれています。米国の文明評論家であるアルビン・トフラーはこういっていますね。人間の危機が到来するとするならば、核兵器や地雷などではなく、人々が家庭本来の尊い意義を喪失し、それに由来して家庭が崩壊してしまうときであろう、そのようにいっています。そのことに対して知事の所見を伺います。

○石原知事 ご指摘のように、残念ながら日本の社会においては家庭が崩壊しつつあると思います。その端的な証左の一つは親子三代で住まなくなったことですね。これは先ほどご質問の福祉というものにも非常に濃厚なかかわりがあると思います。
 いずれにしろ、家庭において親は子どもにとって一番身近な大人でありまして、生涯を通じた教師であることから、折に応じていろいろ、しつけを通じて人生の厳しさを教える責任があると思います。家庭において親は、親と子のきずなを深め、正義感、倫理観、善悪の判断など、いわば時代あるいは立場を超えて、垂直といいましょうか鉛直といいましょうか、決定的な価値を伝達していく責任が親にあると思いますが、どうもそれが果たされていない。
 先般、健全育成条例を改定するに当たって、いろいろな方にいろいろ聴取をいたしましたが、六本木で婦人科のクリニックを開いている赤枝恒雄さんというお医者さんから、私も驚くべきことを聞きました。このごろは親が子どもにおもねって、こびて、小遣いをせびられる、渡す。しかし、もう限界に来ると、ある親などは、女の子どもに、援助交際という、体裁の名前はいいですけれども、売春を唆して、いわれると、その子どもは売春をして、とんでもない性病にかかって患者となって来たと。こういう、つまり親の実態というものを、私たちはやっぱり認識しなくてはならないと思います。
 いずれにしろ、青少年の健全育成のために家族の再生が不可欠でありまして、そのことが社会の再生につながると思います。

○服部委員 今お話がありましたように、家族は社会の基本単位ですよね。我々がよりよく生きるための生活共同体であって、文化とか、あるいは伝統や経験の継承の場であるのが家族である、私はそのように思います。
 次に、来月開学する首都大学東京について伺います。
 この首都大学東京は、これまでの都立四大学の表紙を変えたというだけではなくて、知事が述べられたように、解体、再編成をして発足をする新たな大学なんですよ。新大学として都民の負託にこたえ、そして社会的責任を果たさなければなりません。新たな大学が有すべき建学の精神は極めて重要であります。
 首都大学東京における設置理念は、大都市における人間社会の理想像の追求とされていますが、この言葉だけでは、いま一つ都民や学生にとってわかりづらい。
 そこで伺いますが、首都大学東京が目指すべき姿、これが建学の精神と置きかえてよいと考えますが、その点について、もう少し知事の方から詳しくご説明をいただきたいと思います。

○石原知事 私自身の経験も踏まえまして、今までの大学というのは、学生にとって余りおもしろいところじゃなかったですね。どうも役に立つか立たないかわからぬ教授の話をだらだら聞く、それが通弊でありましたけれども、いずれにしろ、東京には我々が解決しなくちゃいけない大きな大きな問題がたくさんございます。同時にまた、この地域には、文化、産業などの分野で人的、経済的な資源が集積もしております。
 これまで大学は、大都市の現場が直面しているこうした問題に、余り正面から取り組んでまいりませんでした。今回の大学では、大都市東京の蓄積を大いに活用して、都市問題での解決に貢献し、都市で活躍する、真の都市性というものを備えた人材を育成したいと思っております。
 いろいろ新しい試みをしながら、学生が、とにかくおもしろくて学校に行く、あるいは、学校がつまらなければほかの学校に行ってもよろしい、あるいはまた、今研究中でありますけれども、海外協力隊のように、ある場合では命がけの奉仕というものを日本以外の土地でする、一年それを食いしばって務めることで、それが要するに一年間の履修にもなる。いろいろなプログラムを用意して、全く新しい、子どもたちが来がいのある、来ることが楽しい、そういう大学をつくりたいと思っております。

○服部委員 日本の大学において確固たる地位を築いている有名国立大学、私立大学では、基本理念あるいは憲章、建学の精神と、言葉が違うとはいえ、大学の目指すべき姿を対外的に明示しております。(「校歌もあるよ」と呼ぶ者あり)校歌もあります。校旗もあります。
 今答弁された内容を、首都大学東京におけるいわゆる建学の精神として今後明示していく考えはないのか、お答えください。

○村山大学管理本部長 お答えいたします。
 ただいま知事が答弁申し上げた首都大学東京の目指す姿、建学の精神につきましては、都が法人に提示する、中期目標の策定に当たりまして示す新大学設立の基本的考え方において明示をしてまいります。

○服部委員 ぜひ、今知事の答弁もありましたけれども、この首都大学東京に対する知事の熱い思い、こういったものを建学の精神として高らかにうたい上げてください。これは強く要望しておきます。
 災害対策について申し上げます。
 先月、国の中央防災会議・首都直下地震対策専門調査会による被害想定がまとめられました。これによりますと、東京湾北部を震源とした場合、東京都では、死者七千八百人、避難者の発生約三百十万人と想定されております。改めて防災対策の必要性を再認識させられたところであります。
 そこで、住宅の耐震化も重要な課題であります。国土交通省は、先月、住宅・建築物の地震防災推進会議を設立して、全国では約一千万戸の住宅の耐震性が不十分と推計し、住宅、建築物の耐震化に関する目標の設定など、耐震対策の検討を進めています。
 都内には昭和五十六年以前の住宅が約百万戸あって、これらは耐震性が不十分と考えられます。また、木造住宅が密集した市街地も多くあります。都としては、住宅の耐震化、不燃化をどのように進めていくのか、最初に伺います。

○梶山都市整備局長 都は、災害に強い都市を目指し、これまでも、木造住宅密集地域について、公共施設の整備とともに住宅の建てかえを進め、木造住宅の耐震化、不燃化を促進してまいりました。
 住宅の耐震改修についても、耐震フォーラムや耐震診断講習会の開催、簡易な自己診断方法の周知を行うなど、その普及啓発に取り組んでまいりました。
 今後とも、住宅の安全性を高めるため、関係各局が連携し検討組織を設置するなどして、より一層耐震化、不燃化を促してまいります。

○服部委員 それと、昨年は、集中豪雨とか相次ぐ台風による風水害、こういったことで、区部の広い範囲で床上、床下、そういった浸水などの被害が発生いたしました。一刻も早く東京から浸水被害をなくすためには、下水道による浸水対策を積極的に推進する必要があります。
 さきの本会議における我が党の比留間幹事長の代表質問に対して、新・雨水整備クイックプランに必要な地区を追加していくとの見解が示されました。
 そこで伺いますけれども、昨年の相次ぐ台風により浸水の被害が甚大であった台東区竜泉・下谷地区では何らかの検討が行われているのでしょうか。また、ほかにはどのような地区があるのでしょうか。お答えください。
 同時に、もう一つ続けて伺いますけれども、都民が安心して暮らせるよう、浸水被害の軽減に向けて、局長の決意も含めて、あわせてお答えをいただきたいと思います。

○二村下水道局長 浸水の範囲や規模、地形的な特徴や建物の構造、実施中の事業との関連などを調査分析しまして、対策が必要な地区を重点地区として追加することを検討しております。
 ただいまお話のありました竜泉・下谷地区では、幹線管渠に接続する主要枝線を先行整備し、暫定貯留管としての活用を考えております。
 なお、品川区西中延、大田区千鳥、久が原、下丸子、世田谷区松原、足立区千住など、同様な浸水被害があった地区についても必要な作業を進めております。さらに、被害のあった十九区四十一カ所で小規模対応の必要性を検討しております。
 これまでも、一時間五〇ミリの降雨に対応する施設の着実な整備や、繰り返し浸水被害を受けている地域を対象とした雨水整備クイックプランを推進してきております。また、東京アメッシュによる降雨情報の提供、区や町会と連携した雨水ますの点検や清掃なども行っているところでございます。
 今後とも、工期の短縮を図る新技術の導入など、さまざまな創意工夫を図りまして、一刻も早い浸水被害の軽減のため、局を挙げて取り組んでまいります。

○服部委員 局長のしっかりした積極的な決意を伺いましたが、ぜひこうした不安を解消するように、これからも取り組んでいただきたいと思います。
 さて、新潟中越地震においては四百カ所を超えるがけ崩れが発生しました。都において同様の地震に見舞われた場合に、さらに大きな被害が予想されますが、そこで、都は、土砂災害の防止にどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○岩永建設局長 都は、地震などにより、がけ崩れや土石流の危険が高く対策が必要な箇所を砂防指定地などに指定し、土砂災害防止施設を整備しております。
 これまで、多摩や島しょ部を中心に二百十五カ所で区域指定を行いまして、百七十二カ所で事業を実施してまいりました。現在、八王子市や奥多摩町など二十五カ所で、がけ地の崩壊を防ぐのり枠工事や砂防ダムの整備を進めております。

○服部委員 今伺いましたがけ崩れあるいは土石流対策などを進めるとともに、危険箇所に関する情報を積極的に住民へ周知し、避難体制を整備することなど重要であると考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

○岩永建設局長 土砂災害の被害を軽減するため、これまでのハード対策に加えまして、お話のソフト対策も大変重要でございます。
 このため、都は、新たな取り組みといたしまして、土砂災害防止法を活用し、多摩西部におきまして土砂災害の範囲を把握する調査を開始いたしました。これを踏まえまして、青梅市におきまして、法による初めての警戒区域の指定に向け、本年一月から住民説明会を開催しております。
 今後、調査区域を順次拡大するとともに、地元自治体による避難体制づくりを支援するなど、住民の安全確保に努めてまいります。

○服部委員 都においては、都立公園が震災時に重要な役割を果たすことが求められて、地域防災計画上にその役割が既に位置づけられております。阪神・淡路大震災や新潟中越地震においては、県境を越えた救援、復興の活動拠点として、大規模な公園等が活用されました。
 首都圏で発災した場合には、このような役割が都立公園に期待されているわけですけれども、現在、具体的にどのような整備が行われているのか、お伺いをいたします。

○岩永建設局長 東京都地域防災計画では、環状七号線沿いや多摩地区の都立公園十一カ所を大規模救出・救助活動拠点候補地として位置づけております。
 平成十四年度から防災公園としての整備に着手し、現在、城北中央公園など八公園で、区域の拡張やヘリコプターが離着陸できる広場の整備、物資を輸送する大型車両に対応した出入り口の拡幅などを行っております。

○服部委員 大規模救出・救助の活動拠点の整備は、震災対策上、非常に大切です。避難場所に指定されている他の都立公園も防災公園として整備して、緑の防災ネットワークを推進することは、災害対策上、非常に効果的だと考えますが、このことについて所見をお伺いいたします。

○岩永建設局長 避難場所に指定されております都立公園は、避難者の安全確保や救援、復興活動に大きな役割を果たすものでございます。
 都は、これらを結ぶ緑の防災ネットワークの機能を発揮させるため、救援物資の集積地など、利用区域を明確にした震災時利用計画の策定に取り組んでおります。
 今後とも、都立公園の防災機能を強化するため、区域の拡張や防災関連施設の整備を順次図り、効果的な災害対策に努めてまいります。

○服部委員 最後に、都市と地球の温暖化対策について伺いますが、ヒートアイランド対策について、我が党がかねてから強く要望していた学校の校庭の芝生化、これは十七年度の重点事業として今回十億円の予算が計上されており、高くこれは評価いたします。
 事業の実施に当たりましては、地元自治体と十分に調整を図って、技術的なノウハウも提供して着実に推進していただくことを要望いたします。
 さて、地球温暖化を防止するための京都議定書が先月十六日に発効いたしました。都は、今回の条例改正で、大規模事業所のCO2削減を目指す新たな地球温暖化対策計画書制度の強化を提案しています。この制度は、事業者の積極的な取り組みを引き出すという誘導的な手法によるものですが、昨今の企業をめぐる不祥事の例を持ち出すまでもなく、企業の活動について、その社会的責任が強く問われる時代となってきました。
 温暖化対策に取り組むこともまた企業の社会的責任の一環であると考えますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 地球温暖化という環境問題というか、むしろ公害、それも大公害を阻止するためには、社会を構成する企業にしろ個人にしろ、それぞれの主体がその責任に応じた役割を果たすことが必要だと思います。
 こうなってきますと、固定発生源がもたらした公害と違って、この温暖化なるものは、まさに我々自身が加害者であり被害者という形になっておるわけでありまして、企業はその中で非常に大規模な活動をしているわけでありますが、それに伴って多量なエネルギーというものを消費している。その企業のこの問題に対する責任はかなり大きいと思います。
 ゆえにも、企業が経済活動を維持するためには、その基盤となる環境の保全が不可欠でありまして、企業は、社会的な責任として環境に配慮し、経営の柱に据えるべきだと思います。
 今回、都は、地球温暖化を防止するための新たな制度を提案しましたが、企業はみずからの責務を自覚した上で、より高いレベルのCO2の削減に取り組むべきだと思います。
 今後とも、都は、人間が人間として生き続けることのできる社会というものを持続するために、都民や企業と連携して、実効性のある地球温暖化対策を推進してまいります。

○服部委員 新たな地球温暖化対策計画書制度の特徴とか個別のことについて、幾つか伺いたいこともあるんですが、時間も残り少なくなりました。
 そこで、最後に、今回の総括質疑に当たって、私のこのことについての要望を含めたことを申し上げさせていただきたいと思います。
 石原知事はかつて、東京の力、日本の可能性を信じ、戦略的にこれを伸ばしていくことこそが東京を預かる者としての責務である、そのように述べられました。三環状道路の整備促進、羽田空港の再拡張、横田基地の軍民共用化、ディーゼル車規制の実施など、これまで知事が進めてきた一つ一つの政策は、国をも凌駕し、東京のみならず、日本の再生をも目指したものとして我が党は高く評価をしております。
 時代は今、歴史の大きな転換期にあります。少子高齢化や経済のグローバル化の急速な進展など、私たちは、かつて経験したことがない激しい変化の中に身を置いております。時代の流れが速く、先が見えにくいといわれている今の時代こそ、これからの都政をどのように進めていくのか、東京の将来をどのようにしたいのか、そうした全体像を都民に示すことが、強い意思を持って東京の再生に取り組んでおられる石原知事に求められているのではないでしょうか。石原知事と手を携え、東京の、日本の再生、都民サービスの充実に取り組んできた我が党として、このことを一言要望申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○樺山委員長 服部ゆくお理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時休憩

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