東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○青木副委員長 中嶋義雄委員の発言を許します。
   〔青木副委員長退席、大木田副委員長着席〕

○中嶋委員 公明党の締めくくり質疑をさせてもらいます。
 締めくくりというのはいつも大変なものでございまして、大体出尽くしちゃう。また、時には、登校拒否ならぬ答弁拒否に遭ったり、中には質問つぶしの挙に出てくる人もおられまして、ここに立つまで大変苦労いたしまして、知事、ぜひ答弁しっかりお願いしたいと思います。
 財政問題からお聞きをしたいと思いますが、もう細かな議論がほぼ出尽くしました。結局、国の三位一体改革は単なる数字合わせであるという批判が定着をした。与党の一員として余りきついことはいいたくありませんが、これはしようがない。
 実は、前片山総務大臣の時代の総務省の副大臣に若松という公明党の衆議院議員、これは公認会計士なんですが、副大臣やっておりまして、呼ばれて、副大臣室で総務省の若手の課長さんと懇談する機会がございました。お互いに買い込んで適当に飲んだんですが、そのときの総務省の若手の課長の皆さんは大変行財政改革に熱意がございました。期待していたんですが、しかし、出てきたものはこうした中途半端な、数字の帳じり合わせにすぎない、こんなものが出てきてしまった。財務省初め国の官僚のあしき体質が露呈した、こういっても決して過言じゃないと思います。
 全国知事会で知事が過激な発言をなさった。無理からぬ話でございますし、その話を取り上げて、マスコミ初め一部の国会議員までが、これは東京対地方の問題だなどといっているのは、実はこれは完璧に問題の本質をゆがめている。どうも論議の行方がおかしな方に行ってしまっている気がしないでもございません。地方の声といっても、その地方の声すら一転二転していて、見識を感じない部分がございます。
 そこで、批判の大合唱をいつまでやっていても仕方がないと思います。改革の本来あるべき道筋を、全国の自治体をリードすべき東京都が率先して示すべきだ、実はこう思っております。
 そこで、最初に財務局にお聞きしたいと思います。
 日本の現在の行財政制度、特に地方財政制度の改善すべき第一の課題、重要な課題、そして改革の方向性、どう認識しているか、まず答弁願いたいと思います。

○櫻井財務局長 地方財政制度上、一番の課題は、ほとんどの自治体が国からの地方交付税などの移転財源に頼らざるを得なくなっているということであります。国民へのサービス還元は、国対地方が、ご存じのとおり二対三の割合で、地方がその多くを担っているわけでございますけれども、税収ベースでは反対に、国税と地方税の割合が三対二と大幅なアンバランスが生じ、この差を地方交付税や国庫支出金などの国からの移転財源が埋めており、自治体にとっても、国民、住民から見ても、受益と負担の関係が不明確になっております。
 その地方交付税制度にしましても、近年、本来の目的の一つであります財源保障を逸脱して拡大し、借入金で賄わなければならないくらいに肥大化しております。そもそも、規模や歴史、経済など、その置かれた状況もさまざまな多くの自治体を一つの制度で律しようとすること自体に無理があり、五十年続いてきた地方交付税制度の制度疲労は明らかであります。
 地方財政制度を改革して真の地方自治を確立するためには、受益と負担の関係を住民に近いところに引き戻して明確化するとともに、大都市も地方もそれぞれが、その地域特性に合わせて行政サービスを構築し、自主、自立した財政運営を行える仕組みとすることが重要でありまして、それには大幅な税源移譲と課税自主権が不可欠であると考えております。

○中嶋委員 今地方交付税に触れられましたが、財政委員会でも議論があったと聞いておりますけれども、地方税収よりも交付税の額の方が多い自治体が三十以上ある、こんなのはもう異常な事態といわざるを得ません。基準財政需要額の算定から交付税や補助金に至る地方税財政制度、これはもう根本的に破綻だ、こう局長がいったと理解いたしました。
 次に、主税局に聞きたいと思います。
 同様に、現在の地方税財政制度、改善すべき点とその方向性、主税局長からも答弁願います。

○川崎主税局長 現行の地方税制度の問題点といたしましては、まず、国と地方の役割分担に見合った十分な税源が自治体に確保されていないこと、そして、国の定める法律が地方税の細部に至るまで全国一律に規定しており、自治体に裁量の余地がほとんどないことなどが挙げられます。
 真の地方自治を確立するためには、税源移譲により地方税の充実を図るとともに、課税自主権を拡充し、それぞれの自治体が地域の実情に応じ、みずからの責任と判断で住民負担のあり方を定めることができる、そんな仕組みとすることが不可欠であると考えております。

○中嶋委員 自治の裏づけは課税自主権、そういう答弁で、全くおっしゃるとおりでございます。したがって、現在の自治体のやっていることは、オーバーにいえば、自治の名に値しない、もちろんこれは団体自治の角度から見た場合の話でございますけれども、そういっても過言じゃない。したがいまして、今回の三位一体をめぐる問題は、東京対地方の問題ではない、制度を再設計できるかどうかの問題だ。東京都と岐阜の県知事のそんな問題に矮小化してはいけない、すりかえてはいけない、こう思います。
 こうした制度のもとで全国の自治体は、先ほど財務局長の答弁にもございましたが、歴史的、地理的、経済的な違いをすべて捨象されてしまって、中央集権的な交付税、補助金に支配されて、むしろ活力を失っている。三十年前から都と国が争ってきた起債自主権でさえ、ようやく十八年度から許可制が廃止され、事前協議制に移行する。そうしていながら、いまだ詳細が明らかではない。驚くべき国の旧弊さ、こう批判せざるを得ません。今こそ真正面から新たな地方税財政制度の設計、新しい設計に当たるべきである、そう思います。霞が関の論理で自治体の財政需要をはかるなどというやり方は明らかに時代おくれ、こんな制度は解体すべきだと思います。
 都は、知事の提唱で都税調を設置して、さまざまな税を提案して、課税自主権を強調してまいりました。今度は、今度は都税調や知事のブレーン、一橋総研などを駆使して、本格的な税財政制度改革に関する石原試案、石原試案を改めて広く世に問うてもらいたい、こう思っております。
 本会議でも知事が触れられましたけれども、我々も実は、あの発言以来、大いに期待をしております。個人的にも早く読んでみたい、そう思っております。真の三位一体改革、あるいは、本来目指すべき地方自治制度改革への取り組みについて、改めて知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。

○石原知事 もう大分前のことになりますが、レーガンのころ、アメリカは非常に思い切った地方分権をやりまして、それがじわじわきいてきて、ブッシュの政権を経て、クリントン、皮肉なことに民主党の政権のときに財政が立て直って、クリントンは非常に自慢げに、ユー・ノウ・ゼロ、ゼロ、ゼロと、債務がゼロになったという演説をしていましたが、これは実は、レーガンがやった地方分権がきいてきたわけであります。
 そういう意味合いからいっても、徹底した地方分権が、単に地方のためだけじゃなしに、国家全体のために、私は国の健康なスキームをつくるためにも必要だと思っております。そのためにも、この間、全国知事会の会長にみずから望んでなった梶原さんが、全国知事会の総意という形で妙な案をまとめまして、私はこれを要するに否定する演説をしましたけれども、いずれにしろ、相手のいっていることを否むだけではなしに、やはりあるべき地方分権の形を東京の試案として出す必要は痛切に感じているんです。今その準備をしておりまして、これはまた、都税調だけじゃなしに、私のブレーンも含めて、そしてまた、あくまでも都議会の総意というものを反映しながら最終案をつくって、知事会といいますか、国にぶつけていくつもりでございます。
 三位一体についてはくどくど申しませんが、やはりほとんど無内容に近い、形骸の案でしかない。これではやはり日本はとても立ち上がれないような感じがしますので、できるだけ緻密な東京試案というものをつくって、ぶつけていくつもりでございます。

○中嶋委員 期待をいたしております。ぜひ、日本全体に刺激を与える試案をおつくりいただきたいと思います。都議会も全力で応援したいと思っております。
 かつて、私の地元の世田谷区で、やはり分権を求めて世田谷独立宣言というポスターを張りまして、物議を醸したことがございました。また、作家の小松左京さん、かつて、もうはるか昔ですが、兵庫県を独立国家にしようと。あれは、日本海から太平洋までつながっているんですね。あそこを独立しちゃうと、新幹線も走れない、飛行機も飛べない、税金取れる、これは十分いくという大阪らしい発想なんですが、まあ、これは半分冗談でしたが、しかし、知事も東京独立宣言ぐらいぶち上げてもいいと僕は思っております。世界が注目します。シンガポールなどよりはるかに強烈な都市国家ができるかもしれません。それぐらいの思いでぜひとも試案をおつくり願いたいと思います。(石原知事「公明党、困らないかな」と呼ぶ)代表して参加しますから。
 続きまして、行政改革について質問をいたします。
 平成十五年六月に改正された地方自治法によりまして、十八年九月までに指定管理者制度に移行する、こうなりました。十八年度が限度で移行が始まる。公の施設の管理運営について民間事業者の参入が可能になります。公の施設には、道路、公園、社会福祉施設、文化施設、劇場ホール、美術館、スポーツ施設など多種多様だが、これらの管理運営にすべて民間が手を挙げてまいります。これは、普通に考えている以上に都政に影響を与えざるを得ない、そういう制度です。都は、指定管理者制度の導入に関して、改めて方針あるいは考え方を明示すべきであります。いかがでしょうか。

○赤星総務局長 指定管理者制度についてでございますけれども、多様化いたします住民ニーズにより効率的、効果的に対応するため、公の施設の管理に民間のノウハウを活用いたしまして、経費の削減と住民サービスの向上を図ることを目的といたしました制度でございます。
 指定管理者制度を導入するに当たりましては、議会で指定の議決を受けることになりますが、それぞれ施設の性格や目的に応じまして、管理者の資格や選定方法、管理の基準などを適切に定め、民間活力を都民サービスの向上に生かす有効な手段としてこの制度を活用してまいります。

○中嶋委員 現在、都の施設の多くは監理団体が管理しております。都が直接管理運営するよりも、効率的、弾力的にサービスが提供できる、こういう考えに基づいておりますが、実は、現在の管理運営のあり方に関して、文化施設やスポーツ施設の一部に苦情が聞かれます。詳しくは別な機会で議論したいと思っておりますが、いわく、稼働率が公表よりも低い、あるいは、女子も使う施設でありながら、トイレがなくて大変冬場は苦労している、あるいは、利用の仕方が不公平、こんな都立の施設に関する不平も現に幾つか僕のところに入ってきております。
 都においても、監理団体の改革にさまざまな角度から取り組んできましたが、先ほどもいいましたが、この指定管理者制度は、従来の改革よりはるかに厳しい改革、もっといいますと、監理団体の新たな態度の決定、こうしたものを迫って、さらにいえば、監理団体は存亡の危機に立たされる局面も決してなくはないと、こういえると思います。十八年度がもはや限度であります。したがって、監理団体のそもそもの存在意義から問い直すほどの強力な取り組みがなくてはなりません。改めて見解をお示し願いたいと思います。

○赤星総務局長 監理団体改革でございますけれども、都の行財政改革の大きな柱の一つでございまして、これまでも全力を挙げて取り組みまして、一定の成果を上げたと考えております。しかし、指定管理者制度の導入に伴いまして、監理団体は、民間の競争という大変厳しい状況に置かれるものと考えております。
 このため、監理団体に対しましては、民間との競い合いの中で、一層の経営の効率化や公共的団体としての特徴を生かしたサービスの充実など、これまで以上に経営改革を徹底させたいと考えております。さらに、利用料金制度の拡充、経営目標の達成度評価制度の強化など、自立的経営の確立を目指しました、より高いレベルの改革を推進してまいります。

○中嶋委員 指定管理者制度は、監理団体にとっては、ぬるま湯に浸っている監理団体があるとしたらの話ですけれども、そういう監理団体にとっては、これは時限爆弾です。十八年度までの時限爆弾です。そういう認識に立って監理団体の改革に当たっていただきたいと思います。
 同様の問題として、独立行政法人がございます。当面、都立の大学が独立行政法人になるそうでございますが、それ以外の導入についての状況はどうなっていますでしょうか。

○赤星総務局長 地方独立行政法人制度でございますけれども、地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業でございまして、地方公共団体がみずから主体となって直接実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的、効果的に行わせることを目的といたしました制度でございます。
 大学以外への導入につきましては、平成十三年度の包括外部監査におきまして、試験研究機関につきまして、公益法人化、民営化、廃止などとともに、選択肢の一つとして導入の検討が提言されております。

○中嶋委員 国の独立行政法人に関しましては、さまざまな厳しい指摘がございます。特殊法人等改革推進本部でも、これまでの特殊法人の業務を若干改善するだけでは意味がないとか、あるいは、毎年度一%減とか五%減といったような経費節減では全くこれは誤差の範囲で問題にならないとか、厳しい注文がございます。要するに、国の独立行政法人は、現在でも特殊法人の温存策にすぎない、あるいは公務員定数削減の隠れみの、こんな批判がございます。
 同じような形で、都も、独立行政法人を安易に導入してはならない、こう考えますが、見解はいかがでしょうか。

○赤星総務局長 制度の導入をする場合には、効率的、効果的な業務運営の実現によりまして、都民負担の軽減や、提供されますサービス水準の向上が図られるなど、効果が明らかになることが必要最低限度だと思います。
 第二次都庁改革アクションプランにおきましても、地方独立行政法人制度の導入を検討するに当たりましては、対象となります事務事業につきまして、メリット、デメリットを十分検討の上、方向性を定めていくことにしております。
 導入に当たりましては、都がみずから実施するよりも効率的、効果的に行政サービスが提供できるか否かを判断いたしますとともに、都民からの批判を招くことのないよう、十分留意してまいります。

○中嶋委員 指定管理者制度にしても独法にしても、うまく活用できれば行政や監理団体の体質の改善につなげることができると、こういえます。
 実は今回の予特に際しまして、第二次財政再建推進プラン、それから第二次都庁改革アクションプラン、二度、三度、アンダーライン引きながら、まるで中学生や高校生の受験生みたいに読まさせていただきました。退屈でしたが、三回読み返した意味はありました。いろんなことを感じたんですけれども、一つは、量の行革から質の行革に踏み込まなくちゃいけないと、これをあちこちでいっているんですね。それから、従来よくいわれた、知事もおっしゃった、身の丈の合った都政、これ、ちゃっかり出しているんですね、出しているんです。
 で、実は五年後に、私と同い年、昭和二十四年生まれの団塊の世代の連中が七千数百名やめるんですね。大量解雇が始まる。その大量解雇が始まると指摘してある--財政再建推進プランじゃなくて、財政再建への道だ。そのページのすぐ隣に、アウトソーシングが必要と、ちゃっかり書いてあるんですね。七千人やめたら、全部雇用でカバーしないよと、事業をアウトソーシングするよと、ちゃっかり述べているんですね。でも、これは卓見です。そのとおり。
 どばっとやめたらまた人を採用するんではなくて、そこで事業のアウトソーシングを進めていって体質を変えていく。これは正しいんです。ただし、それをやる場合には、じゃあ東京都は一体、身の丈というのは何なんだ、あるいは都庁の守備範囲は一体何なんだ、自分たちがやるべきことは何なんだと、このイメージをしっかりつくらなければ、むやみやたらなアウトソーシングはできません。つまり、今がいよいよ質の行革に踏み込んで具体的な方針を示す絶好のチャンスだと、僕は、ちょっとオーバーですが、そう思いました。(「オーバーじゃないよ」と呼ぶ者あり)そのとおり。三回読んだんですから。読むだけで意味があるわけじゃありませんけれども。
 そこで、知事に改めて、質の行革に至る決意をお聞かせ願いたいと思います。

○石原知事 質の行革、まさにそのとおりでありますが、これはいうに易しい、行うになかなかかたいというか、具体的にどう持っていくかという個々の問題というのがあると思います。確かにおっしゃるとおり、定数の削減やその他この他で数を減らして、必ずしもそれがつながるものでもない。アウトソーシング、民間の知恵をかりるのは確かに大事だと思いますが、やっぱり、速度を含めて行政の効率というものをどう考えていくか。ITの時代でありますし、そういうものを組み込んでどうやっていくか。それから、やっぱり旧来の官僚というものがつくったヒエラルキーに重なってあった行政のシステムというもの、例えば外部監査を入れてみていろんなことがわかってくるわけですよ。
 例えば東京フォーラムなどはもう言外な話で、私はやっぱり、あれは都民に対する一種の背信行為だと思いますよ。ああいうものはやっぱり都議会がもう少ししっかりしてチェックしてくれないとね。それはやっぱり、とんでもない被害を都民がかぶっているわけですから。払わなくていい税金を三千万払って、減価償却もせずに、ばかがやったってもうかりますよ、あんなものは。だから民間に移したわけですけど、そういう情報というものをどんどん洗い出して、それで衆知を集めて、そのために、衆知の代表である議会があるわけですから、ここで切磋琢磨して問題を洗い出して、一番合理的な方法を考えていくということしか私は質の向上というのはあり得ないと思います。その前にやはり得るべき情報をきちっと得て、すべき監査もして、むだを洗い出して、そしてそれをどう直すかということがやっぱり一番の取っかかりだと思います。
 東京都は何となくそれらしきことをやり出していますけれども、私は、国は、行革、行革といいながらそれをやらないのはおかしいと思いますよ。中曽根さんのときに三つほど行革をやりまして、非常に効果があった。だったら、今度の内閣がやるならやっぱり会計基準のようなものをきちっと構えて、それで、あのいいかげんな特殊法人、つまり国営企業でしょう、共産圏の。ああいったものはやっぱりつぶすつもりでやらないと、方程式もつくらずにやったってできないと思いますから。東京都の場合はやっぱりそういう監査を入れて方程式をつくりましたので、ということであります。

○中嶋委員 しっかり頑張りたいと。議会の我々としても、これから議論をしていきたいと思っております。
 さて、福祉問題に移りたいと思います。
 いろんな議論がございました。ここでは、痴呆性高齢者のグループホーム、何点かお話ししたいと思います。
 高齢者、痴呆性の高齢者でも自立して地域で人生を送る、したがって、早急に整備すべきだと繰り返し訴えてまいりました。現在、東京都は、民間企業に対する都独自の補助制度をやっていただいております。かなりグループホームがふえてきた。整備状況を最初にお教え願いたいと思います。

○幸田福祉局長 平成十六年三月一日現在の痴呆性高齢者グループホームの開設数は、百四カ所で、定員千四百六十一人であります。
 第二期介護保険事業支援計画における平成十五年度の整備計画数は、定員千八百人でありますが、今月末までに整備が完成するものを含めると千七百人となり、今年度の整備目標はほぼ達成する見込みでございます。

○中嶋委員 平成十年度以降、実は定員がゼロだったんですね。大変な進展ぶりです。福祉局のご努力、敬意を表します。
 ただ、残念ながら、地価が高い東京ですので、高齢者人口に対する整備率に関しては、余り誇れた数字ではないそうでございます。したがって、平成十六年度重点事業として、痴呆性高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業、これに取り組んでいるわけでございます。で、これから東京は全力でやらねばならぬと。
 さっきの行政改革の話に関連するんですが、そうでありながら、国は相変わらず全国一律の制度にこだわって、不合理な規制をしている。それは、工業地域では設置できないという設置規制がある。公明党は前から、これはおかしいといい続けてまいりました。その結果、最近ようやく国も重い腰を上げて、設置規制、工業地域での設置規制が緩和されました。そのことによってグループホームがふえたかどうか、局長、答弁をお願いします。

○幸田福祉局長 工業地域での痴呆性高齢者グループホームの設置規制につきましては、東京の実態を再三国に説明し、見直すよう働きかけた結果、本年二月に規制が緩和され、既に、工業地域での設置について、事業者指定の申請が一件提出されております。
 また、今年度から創設いたしましたグループホーム事業者への都有地貸付事業におきまして、工業地域への物件につきましても公募を実施いたしました。
 今回の規制緩和は、痴呆性高齢者グループホームの設置促進の一助になるものと考えております。

○中嶋委員 成果があらわれたと。とりわけ、都有地での公募を行った。期待しております。あの手この手を駆使して、おくれている施策を伸ばしていく、これが大事ですから、より一層、局長、局のご努力をお願いしたいと思います。
 もう一点、国の愚かしい規制。この痴呆性高齢者グループ、かつては、一事業所当たり三ユニット、つまり一ユニットが九人ですから、三、九、二十七人までの整備が可能。それを二ユニットに減らした。ところが、ことしの一月の内部的な厚労省の会議で、一ユニットに今後は減らしたいと、こういっているという話を耳にいたしました。とんでもない話だと思います。三から二から一、どんどんどんどん規模が縮小されてしまう。ということは、将来グループホームそのものの設置も国は規制しようとしているんじゃないかと、こう邪推もしたくなります。
 こういう国の流れにストップをかけるためにも、我々政党の側もやりますけれども、地域の実情に応じてグループホームが整備できるよう、改めて国に強く申し入れてもらいたいと思いますが、局長、いかがでございましょうか。

○幸田福祉局長 国は、痴呆性高齢者グループホームにつきまして、工業地域における設置制限だけでなく、一事業所当たりの運営規模を三ユニットから、お話しのとおり二ユニットに制限するなど、これまで全国一律の規制を行ってまいりました。
 都は、これに対し、適正な運営が可能な場合には、地域特性を考慮した柔軟な対応ができるよう、国に対し提案しております。
 グループホームは、高齢者が地域で自立して生活するための重要なサービス基盤であり、その設置促進に支障が生ずることのないよう、国の動向などを常時把握し、適時適切に対応してまいります。

○中嶋委員 いずれにしても、おくれている痴呆性高齢者グループホームの設置事業、我々も国に働きかけてまいりますので、力を合わせて増設に努めていきたいと思っております。
 福祉問題の次は、介護保険の見直しの問題でございます。
 実は、けさの新聞、載っちゃいました。載っちゃいましたって、本当はあした新聞に載っけてくれればよかったんだけれども、出ちゃったんですね。介護事業者に更新制、六年ごとに実態点検、保険見直し厚労省原案と、こう出ちゃいました。いろいろ載っていますね。給付の重点化・効率化ということで、要支援・軽度の要介護者への給付は筋力トレーニングなど予防給付に重点とか、特養ホームなどの入所者は重症者に重点とか、さらに、給付対象の施設入所者の住居費、つまりホテル費というやつですね、これも負担させるとか、もっと、四月以降に議論としながらも、障害者の支援費制度との統合、保険料徴収の対象年齢の引き下げが課題にと、いろいろ出ちゃいました。
 確かに、介護保険の見直しが実は大変大きな問題でございます。引き続き議論をし、国ともやり合っていく局面が出てくるかもしれません。ここでは、サービスの質と事業者のあり方の二点に絞って質問をまずしたいと思います。
 一点目が、サービスの質。今のサービスの問題点は、自立支援型ではなくて、いってみればお世話型に流れている、少しも自立支援になっていない、こういう指摘がよくされてございます。
 さまざまな課題はありますが、一つの大きな欠点は、医療との連携ができてない。要介護高齢者の主治医とケアマネジャーが連携してない。かつて十年ぐらい前に、退院情報の提供ということで、お年寄りが今度地域に退院いたしますよと、保健福祉センターに病院から情報提供があった。それで終わっちゃ意味がないわけであって、継続して医療とケアマネジャーの連携が必要だ。都がそういうモデルをつくって、開発して提供すべきです。いかがでしょう。

○幸田福祉局長 介護支援専門員が、自立支援につながる適正なケアプランを作成する上で、主治医との連携を密にし、利用者の心身の状態を的確に把握することが重要であります。
 このため、都では来年度、区市町村や地元医師会などの協力を得てモデル事業を実施し、介護支援専門員と主治医が相互に連絡をとりやすくするためのルールづくりや、利用者の状況に関する情報を共有化するための書式の標準化などについて実証的に検討し、その成果の普及を図ってまいります。

○中嶋委員 これができますと、本当にケアプランの中身がかなり変わってくると僕は思っております。あとは、かかりつけ医をどれだけ確保できるかというのもテーマですけれども、ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、もう一方、不正事業者の対策も重要です。いろいろ聞いておりますが、不正事業者の実態、まず最初に局長から明らかにしてもらいたいと思います。

○幸田福祉局長 平成十二年四月の介護保険制度開始以来、都がこれまでに指定の取り消しなどを行いました事業者数は、七件であります。主な取り消し事由は、無資格者による居宅サービス計画の作成や、実際には行っていない介護サービスの提供について、不正に介護報酬を得ていたためであります。

○中嶋委員 今おっしゃったのは、指定の取り消しに至った件数で、そこに至らないまでも厳しい指導が必要な事業者は数多く存在すると聞いております。ぜひ指導の徹底方をお願いしたいと思います。
 そこで、一つは、東京都が、介護サービス利用適正化対策として、国保連合会との連携による総合的な不正防止対策に乗り出すと発表されました。これは国保連合会のシステムの改善による不正のチェック、いってみれば介護給付費の、レセプトを調べてみれば事業者の不正を摘発できる、こういうところに着目した新しい取り組みですけれども、ぜひともこのシステムを開発して、宣伝させて、悪質な事業者あるいは不適切なサービス、これを防止してもらいたい、こう思います。いかがでしょう。

○幸田福祉局長 今回新たに開発いたしました国民健康保険団体連合会のシステムでは、例えば支給限度額に対する支給額の割合などについて、平均値と比較して偏りの大きい事業者を抽出することが可能となりました。この機能を活用して、都のみならず、区市町村においても、システム上で事業者の状況をきめ細かく監視することにより、効果的に不正の疑われる事業者を絞り込むことができるものと考えております。
 都におきましては、区市町村から提供される地域の事業者に関する詳細な情報をも活用し、区市町村と共同して調査、指導を行うなど、重点的、効率的な事業者指導に努めてまいります。

○中嶋委員 摘発することが第一義的な目的ではなくて、あくまでも適切なサービスを提供する、そのための不正防止、こういう観点でご努力を払っていただきたいと思います。
 それから、介護給付費通知書、従来とは違って、非常に詳細な通知がご本人に来ると。このご本人からの問い合わせ、あるいは通報というと語弊がありますけれども、問い合わせも、不正防止の大きな材料になりますので、その辺も含めてシステムを開発を願いたいと思います。
 東京は、いうまでもなく、ひとり暮らし高齢者が最も多い。また、コミュニティ意識、地域共同体というんですか、そういう意識も希薄である。したがって、介護問題はまさに都市問題そのものでございます。
 新聞で発表になりましたが、介護保険の見直しは決して国に任せるのではなくて、むしろ東京都から重要な改革の発信をしていってもらいたいと思います。ぜひとも国への働きかけ、お願いしたいと思いますが、見解はいかがでしょうか。

○幸田福祉局長 介護保険制度の施行後五年の見直しに向けまして、現在、国の社会保障審議会介護保険部会におきまして、本年六月の取りまとめを目途に検討が進められております。
 これに対し、都は、昨年十月、介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案の試案を公表いたしまして、都民を初め関係者の皆様の声を広く募集いたしました。
 現在、試案に寄せられたさまざまな意見や都議会でのご審議などを踏まえ、取りまとめを進めており、時期を逸することなく、国へ提案してまいります。

○中嶋委員 国にはない、これは知事もよくおっしゃっておりますが、現場を持つ東京都の強みを生かして、介護保険の実態を踏まえた、国への具体的な提言、これをぜひ行ってもらいたいと思います。先ほど新聞記事で読み上げました、支援費と介護保険の統合問題、これはさまざまな問題が派生して大きなテーマになります。深刻な問題になりかねません。きょうは問題意識だけ表明しておきます。
 続きまして、教育問題についてお聞きいたします。
 障害教育についてでございますが、都立養護学校の教室不足の問題、我々は本会議の一般質問でも取り上げさせてもらいました。中野養護学校と町田養護学校の例を挙げましたが、光明養護学校や青鳥養護学校分校などでも同様の問題がございます。もう皆さんご存じのとおり、普通教室をカーテンで仕切って二教室として利用するとか、特別室を転用しているとか、また、狭い部屋割りで、プライバシーや、ぶつかって転んで事故になるおそれもあると、こういう状況がございます。
 一般質問での答弁では、都立盲・ろう・養護学校の再編整備の中で検討すると、こういう答弁がございました。しかし、再編整備計画の中での対応ではいささか遅い場合も想定できます。柔軟な対応を望んでおりますが、教育長、いかがでございましょうか。

○横山教育長 都立養護学校の普通教室不足に対しましては、現在、教室の増改築等を計画的に実施しますとともに、各学校の状況に応じまして、教室の間仕切りや管理諸室などの転用を行うことによって普通教室の確保を図っているところでございます。
 お話しの、児童生徒の増加が著しく、普通教室の確保が早急に必要な都立養護学校につきましては、個別に必要な対応を図りますとともに、ことしの秋に策定します都立盲・ろう・養護学校の再編整備を含む行政計画の中で、最優先課題として対応を検討してまいります。

○中嶋委員 ぜひ対応方、お願いいたします。
 関連しまして、養護学校の卒業式について質問いたします。
 卒業式、入学式に関する都教委の通達に対しまして、過剰とも思える批判が相次いでございます。卒業式に光る監視の目とか、処分に震える先生たち、まるで都教委は鬼か悪魔かと思ってしまうほどの批判でございます。横山教育長をファシスト呼ばわりするような例もどこかでありまして、とんでもない話だと僕は思いますけれども、そもそも失礼で、行き過ぎだと思います。
 まず最初に、通達を出した真意をお聞きしたいと思います。

○横山教育長 これは何度も申し上げていますが、平成十五年十月に通達を発した理由は、入学式、卒業式等におけます国旗・国歌の実施率は、形式的には一〇〇%になっておりました。
 ただ、その実施態様につきましては、国旗が参列者から確認できない位置に掲揚されたり、児童生徒に国旗・国歌について指導すべき立場にある教員が、国歌斉唱時に起立しなかったり、式典にふさわしくないTシャツなどの服装で参列したりするなど、都民の信頼を損なうようなさまざまな課題があったためでございます。

○中嶋委員 私は、ここでも壇上に上がるためのスロープについて、実は若干心配があったものですから、光明養護学校、今月十九日です。高等部の卒業式に行ってまいりました。
 最初は想像したのは、壇上の手前斜めにスロープをつくって、横に上がっていくのかと思ったら、そうじゃないんですね。正面からどんと、後で説明しますけれども、スロープがございました。
 肢体不自由児の卒業生が一人一人登壇いたしました。卒業証書を手にし、僕はそのスロープのすぐわきに座って、自席から、壇上までしっかり見させていただきました。卒業証書を手に、壇上で記念写真を撮って、大変誇らしげな子どもが多かった。そして、自力でゆっくりスロープを上がる生徒もおりました。あるいはまた、卒業証書を受けて、車いすの上で手を振りながら、にこにこ笑っておりてくる女の子もございました。全部はいえませんが、十三人の卒業生は、それぞれに大変誇らしげでございました。この目で見てまいりました。
 最後に全員で歌った森山直太朗の「さくら」、これがまたすばらしくて、在校生の保護者、在校生もハンカチで目を押さえながら一生懸命歌っておりました。
 さらに、会場の表、渡り廊下で、やっと緊張感がほぐれたんでしょう。卒業生と保護者が肩たたき合いながら、あちこちで喜んで交歓している光景も見てまいりました。すばらしかった。感動いたしました。その後行われた中等部の卒業式も、すばらしかったと聞いてございます。
 それで、スロープも、バリアフリー法あるいはハートビル法にのっとったスロープです。幅も広くて、一四%。今後、バリアフリーが進めば、都内あちこちにそういうスロープが出てまいります。しかも幅も広い。いろいろな苦心が、加えられているということがよくわかりました。
 さて、ところで、十月三日の通達は、盲・ろう・養護学校にも出された、こう聞いてます。しかし、肢体不自由児が一人一人障害の程度が違って、通達を一律に実施するのは、これは困難。これは、あらかじめわかっていたはずです。
 都教委は、今回の通達を出すに当たって、盲・ろう・養護学校に対してはどのような説明をしたのか、明らかにしてください。

○横山教育長 都教委としましては、通達を発しました直後の十一月十一日に行われました都立盲・ろう・養護学校長の事務連絡会におきまして、壇上での卒業証書の授与は、児童生徒一人一人の障害の状態や、施設、設備の状況に応じて個別に配慮する必要がある旨、説明いたしました。
 その後も、数校の肢体不自由養護学校の校長などから、壇上での卒業証書の授与が困難な場合などにつきましての具体的な相談がございまして、各校長の判断で、児童生徒の障害の状態などに応じ、個別に配慮して実施するよう助言してまいったところでございます。

○中嶋委員 要するに、一部で喧伝されているような強制はなかったということです。強制はなかったということです。とんでもない批判だと思う。
 訓練や学習で、壇上に誇らしげに立てるようになった。これは、本人や保護者、在校生にとっても自信につながります。もちろん、無理をする必要はございません。無理をする必要はございません。
 卒業式をするに当たって、こんな話を聞きました。校長が重度の障害を持つ生徒の保護者に、壇上が無理なら、床におりて卒業証書を渡してもいいですよと、こういったら、逆に保護者が、我が子の晴れがましい姿を壇上で見たい、ぜひ壇上に上げてほしいと保護者から訴えられた。小平養護学校での話です。
 さらに、別の学校では、保護者が逆に、障害のある子どもは、壇上で卒業証書をもらうことはできないのかと、校長に訴えたそうでございます。これは城南養護学校の話です。これが親の真実だと思います。
 壇上での授与に関し、またこうした親の心情に関し、教育長、改めて見解をお示しください。

○横山教育長 卒業式は、まさにその子どもたちの希望に満ちた姿や立派に成長した姿を、式に参列したすべての出席者が卒業生とともに喜び、たたえ合う場でございます。
 したがって、障害がある児童生徒も、障害のない児童生徒と同様に、晴れがましい姿を多くの人に見てもらい、希望と自信に満ちたその中で、卒業証書を舞台壇上で授与することが大切であると考えております。
 卒業式という晴れがましい舞台で、成長した姿を多くの人々に見てもらい、祝福してもらうことは、児童生徒はもとより、保護者の共通の願いであろうと私自身は考えております。
 委員が参加されました光明養護学校高等部におきましても、卒業生全員が壇上で卒業証書を授与されましたことは、保護者にとっても大変な喜びでございますし、深い感銘を受けたと聞いております。
 また、他の養護学校の保護者からも、同様の声が多く寄せられております。

○中嶋委員 あのスロープは、教育長、ほかの行事でも使えますよ。ああいうのは、当然あっていい設備だと思います。それほどすばらしかったと思います。
 いずれにしても、さまざまな努力が見えました。スロープの手前まで車いすで進み、スロープは自力で歩行した生徒、逆に、スロープまで自力で歩いて、そこから車いすで上がっていった生徒、それを介助した教員。本当に見事な卒業式でございました。
 こういう努力をした学校、校長、教職員、これに関しては、しっかりと支援を今後とも行ってもらいたい、これが参加した私の率直な感想です。いかがでしょうか、教育長。

○横山教育長 これまで各都立学校では、校長を中心としまして、児童生徒の健全な成長や都民の信託にこたえる学校を目指し、学校運営組織の改革や教員の資質、能力の向上、開かれた学校づくりの推進など、さまざまな教育課題の解決に向けまして学校改革を進めてまいりました。
 こうした校長の自主的、自立的な学校経営に対しまして、それぞれの学校の実態に応じて、個別、具体的に支援してまいったところでございます。
 今後とも、都教委としましては、卒業式や入学式を初め、教育課程の適正実施を図り、健全な学校運営の実現に向けて努力されている校長を全面的に支援してまいります。

○中嶋委員 さまざまなチラシがここにございますが、時間がありますから、もうこの問題は触れません。
 続いて、都響の問題、二点だけ。
 ちょっと今度は、教育長には辛口かもしれませんが、さっきの答弁で、業績評価委員会を設置する、こういう答弁がありました、都響、人事に関して。
 楽員の評価が恣意的になるというその心配、この業績評価委員会で、この指摘、ちゃんと答えられますか。簡単に。

○横山教育長 この業績評価委員会は、事務局における評価が恣意的にならないように、さまざまな観点から検証を行うものでございまして、具体的には、演奏技術などの評価結果を、妥当性、公平性の観点から検証などを行いますとともに、楽員から評価についての苦情があった場合は、委員会の審査に付す審査機能を持たせると聞いております。
 都教育委員会としても、妥当なものと判断いたしております。

○中嶋委員 先ほど、自民、民主両党からも質問がございました。実は都響とは、私も二年前から接触しておりまして、いろいろな声を聞いてございます。契約楽員制度の導入は、拙速を避けて、誠意を持って対応してください。これは要望にしておきます。
 ただし、都響にも反省すべき点があったのは事実ですね。都の行事への参加、協力を依頼されたときに、ささいな理由で断ったことがあるというんですね。一度や二度じゃない。こんなのだめですよ。
 そういう点はきちんと、あるいはちょっとお高くとまっているという批判もあるそうでございますから、都響は都響で反省して、それから教育長は教育長で、逆に都響の思いに思いをいたして、円満な決着が図られるように努力をお願いしたいと思います。
 次に、治安問題、時間がどんどんなくなってまいりまして、飛ばします。
 わんわんパトロール、世田谷でやっています。この間行ってきました、全体会合。そうしたら、竹花副知事の後輩の、警視庁生活安全部にいたばかりの若手の生活安全課長がわざわざ来てくれていました、三人も。それで、お父さん、お母さんとやりとりしてくれているんですね。行政、警察、住民が連携をとって治安を守る、その姿が見られまして、大変うれしく思いました。
 ただ、問題は、このグループ、犬に黄色いネッカチーフをつけてパトロールするんです。中心者はチワワを飼っている。それに合うネッカチーフをつくったら、何だっけ、あれ、でっかい犬(「ゴールデン」と呼ぶ者あり)そう。レトリーバー、首に回らないというんです。(笑声)ところが、もう十万円、お金がないというんですね。かわいそう。
 さっき、これは質問しようと思ったんだけど、竹花副知事の答弁で、三分の一、金を出すといった。ぜひ少しお金出してください。世田谷区で、区で十万円出しているんだけれども、もうないんだよね。ぜひ出してもらいたい。これは要望にしておきます。
 治安関連で、さっきも出ましたが、青少年健全育成条例が改正されます。これまでの質疑では、漫画やコミックなどに、不必要に規制が拡大されるなんていう誤解がどうもあるようでございます。そうじゃないと。今回の規制は、そうじゃございません。青少年の健全な育成、そのために、包装、陳列などの面から一定の規制を加える、こういうことです。
 かつて竹花副知事が警視庁生活安全部長のころ、一緒に青少年問題協議会に出たことがございます。そのとき、わけのわからない学識経験者が、情報リテラシーとか変なことをいった。そうしたら竹花さんが手を挙げて、あなたは現場を知っているのかと一言いった瞬間に、黙っちゃった。僕はすぐ手を挙げて、竹花さんが正しいと、こう支持したことが何年か前にございました。
 十代の男子が、いわゆる過激なポルノ雑誌を読みふけったために、女性観がゆがんじゃったと。そうした行為が喜ばれると勘違いして事件に走った例も現にあるという、そういう話がまだ記憶に残っております。これは極端な例かもしれません。
 いずれにしても、今回の条例の改正は、不必要な規制をするものではないと私は思いますが、改めて担当副知事、所見をお願いしたいと思います。

○竹花副知事 子どもの成長にとって有害な図書を子どもたちに見せたくない、見せるべきでないというのは、出版や販売業者等を含め、大半の大人の総意でございます。余りに野方図な現状を改善し、大人社会の良識と自制を示すことは、子どもの健全育成にとって急務であると思います。
 今回の条例改正案はこの趣旨に沿ったもので、規制対象となる図書類は、その内容が、青少年に対し著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長するなど、青少年の健全な成長を阻害するものでありまして、現行の条例と全く変わらないものでございます。
 したがって、規制対象の図書が拡大されるものではなく、漫画やコミックといわれる図書も、青少年の健全な育成を阻害するものであれば、従来どおり規制の対象となりますが、漫画やコミックが、今回の条例で新たに規制対象となるものではないということを改めて申し上げたいと存じます。
 都といたしましては、関係業界や都民の協力を得て、今回の条例改正案に盛り込まれている不健全図書を野放しにしない、実効性のある新たな措置によりまして、青少年の健全育成に努めたいと考えております。

○中嶋委員 また、青少年健全育成審議会というのがあるんですね。知っている人は知っているし、知らない人は知らない。ぶちぶちいう人は、一回出てみればいい。毎月一遍、どんな実態か。少しは(発言する者あり)そう、いた、お仲間がいた。これは余分な話です。
 次、時間ありません。産業振興、多摩の林業、これも自民党さんから一回ございました。
 結論からいいます。熱帯雨林は簡単に切っちゃいけない、これは当たり前。しかし、日本みたいなところでは、伐採と植林を繰り返す木の循環がなくちゃならぬ、これが一番大事なんです。木の循環を経済的にも合理性を持ってやるには、これは林業をきちんと守ってあげないとだめです。
 伐採しっ放し、植林していない、こんな荒れた地域が約二百四十ヘクタール、多摩です。東京ドームの五十倍、これだけの広さに、伐採したまま植林もできない山が広がっているそうです。放置できません。
 改めて東京として、多摩産材の循環、木の循環、もっというと、東京都全体で多摩の材木を使う、こういう仕組みを構築すべきです。まず、所見を伺います。

○有手産業労働局長 多摩産材を使った家づくりにつきましては、製材工場や住宅の見学会を支援しますとともに、木と暮らしのふれあい展などにより、普及、PRに努めてまいりました。
 また、最近、多摩産材に対する大工、工務店の関心が高まっている状況も見られます。
 今後とも、大工、工務店、木材生産者などで構成する東京の木・いえづくり協議会などの仕組みを活用して、広く消費者などと住宅生産に携わっている方々との連携を強化し、多摩産材の利用拡大を図ってまいります。

○中嶋委員 需要拡大なんですね。そのためには、品質を向上しなくちゃいけない。例えばですけれども、昔は、大工さんがゆっくり家を建てました。自然と乾燥したから、でき上がって狂わない。最近は、時間が短縮された。あらかじめ木材を乾燥させておかないと、でき上がった家がゆがんじゃう。したがって、乾燥剤がないと木材は売れないんですね、多摩の林業では、乾燥剤、持ってないんです、例えば。
 そういう点も含めて、品質の向上から供給をスムーズに行うまでのシステム整備に、東京都は支援を行ってもらいたい。簡単に答弁を……。

○有手産業労働局長 販路拡大には、品質の向上のための木材の乾燥が非常に大きな課題でございます。
 まずは、この乾燥問題もありますけれども、設備投資などの経費を十分に回収するための販路確保、収支の見通しなど、しっかりとした経営計画を持つことが大切でございます。
 都といたしましては、こういった多摩産材供給の仕組みづくりについて業界を指導してまいります。

○中嶋委員 この問題、最後に知事に一言伺います。
 これは、単なる多摩の零細林業者を守るという話では、もはや僕はないと思っております。
 再生可能な森林を東京都としても後世に残す、そのための事業にほかならない、こう思いますが、森林の維持に関して知事の所見をお願いします。

○石原知事 日本の林業に関する問題の大前提に、非常に多量に安い外材が入ってくるという時代の趨勢があるわけですね。だから、森を幾ら手を入れてあれしていても、全然林業としてはペイしないといううらみがあるわけです。
 しかし、やはり多摩に限りませんが、森林というのは、環境の保全機能、それから保健、いやしですね、休養、それから文化機能も持っておりまして、都民にとって共有の財産だと思います。
 そしてまた、その森が非常に荒廃している、危機に直面しているというのは、私、何度か多摩の森へ行きまして目にしてきましたが、いずれにしろ、都では、多摩の森を、自然環境や景観の保全を重視した保全型の森と、それから、材木、木材の持続的な生産を重視した生産型の森に区分して施策を推進していくつもりでございます。
 このため、産業振興の面から、多摩産材の活用を含め、森の資源を生かした産業育成を支援するとともに、環境保全の面からも総合的に森林施策を推進してまいります。
 この間、私の母校の講堂がリニューアルされまして、その式典に行きましたら、その周りの土地に、いつもぬかっているんで、多摩の材木をチップにして敷いて、あれはなかなかメンテナンスが難しいようで、しかし、いい方法が講じられて、あれ、コールタールをまくんですか。あれは、これからの都会の一つの道路というんでしょうか、スペースのメンテナンスとして、ある可能性を暗示しているんじゃないかと思って帰ってまいりました。

○中嶋委員 ぜひ今知事のおっしゃったこと、それから、木材を都民が使うための誘導策も検討してください。
 最後に、住宅問題。
 南青山一丁目、PFI、こういうすばらしいものができちゃう。もともと、あれができたばかりのころ、よく知っているんだけれども、何であんな場に都営住宅をつくるんだと思ったことがございますが、すばらしい。
 あと、港南四丁目でも、新しく民間の活力を導入した事業ができる、これも評価いたします。
 ところが、都営住宅は今、全部で二十六万五千戸ありまして、昭和二十年代にできたのが三千戸、三十年代にできたのが三万一千戸、四十年代にできたのが十万八千戸、たくさんございます。
 で、都心一等地にある団地もさることながら、僕の住んでいる世田谷を初め、区部周辺部にある古い団地、大規模団地、この建てかえがテーマです。
 そこで、PFIとか民間活力の導入、財政負担をなくして、地元自治体にも公共施設を提供できて、あるいは木密地域の高齢者の方に新たな住宅を供給できる、さまざまな可能性を秘めた、都営の新しい建てかえの手法ができているわけでございます。ぜひこの手法を使って、積極的に建てかえを進めるべきです。
 都営住宅というのは、東京都の重要な住宅の資産でございます。あるいは、都全体の住環境を向上させるための、実は極めて大事な、これは財産でもございます。これを活用して、地元の区市町村にもメリットがある、住民にもプラスがある、都営居住者にもプラスがある、しかも財政負担が少ない、やる気になればできるわけですから、ぜひ新たな手法の建てかえを、地元のまちづくりと連動させて展開してもらいたい、こう思っておりますが、見解いかがでしょうか。

○高橋住宅局長 南青山一丁目の団地と、それから港南四丁目第三団地、両プロジェクトでございますが、都営住宅の建てかえに際しまして、総合設計制度の活用により、容積率を緩和いたしまして高度利用を図るとともに、民間住宅や福祉施設など多様な機能を導入いたしまして都心居住を推進するなど、都市の再生に寄与する、こういう趣旨で実施させていただきました。財政的な効果も、もちろん見込んでございます。
 という状況の中で、お話のように、地元区市と連携した、まちづくりと連動した事業の手法でございますけれども、老朽化した都営住宅の建てかえに当たりましては、防災や福祉など、地域のまちづくりと連携した事業を展開していくことが重要と考えております。
 地域の特性によりまして、事業の進め方は異なってまいりますけれども、敷地の高度利用などによりまして生み出されました用地を有効に活用いたしまして、引き続き民間活力の活用を進めてまいりますとともに、また地元の区市と十分連携を図りながら、木造住宅密集地域の整備など、地域の実情に即しまして、まちづくりと連動した建てかえを進めていきたい、このように考えております。

○大木田副委員長 中嶋義雄委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間の休憩をいたします。
   午後五時五十四分休憩

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