東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○樺山副委員長 執印真智子委員の発言を許します。
   〔樺山副委員長退席、委員長着席〕

○執印委員 それでは、限られた時間でございますので、ご協力をいただきますようによろしくお願いをいたします。
 初めに、女性と労働に関連して伺います。
 今回、労働施策の重点事業として、しごとセンター関連、二十一億円が計上され、若者向けのフロアを設け、カウンセリングからハローワークでの就業あっせんまでのワンストップの就労支援を行うこととしています。具体的には、国提案の通称ジョブカフェ、喫茶店感覚で気軽に就職支援を受けられるというジョブカフェに取り組む方向と聞いております。
 若年層の就労は、国も自治体も取り組まざるを得ない喫緊の課題であり、国の労働政策審議会では、昨年六月、若者自立・挑戦プランを提案し、ことし一月には、本プランの推進として四百九十四億円の予算計上を行い、具体的な促進、支援のあり方の取りまとめを図っています。東京都関連では五千万円ということです。
 国はジョブカフェの方向性を示す中で、具体的な業務等については、利用者である若者の声を聞きながら検討、決定することとしています。雇用のミスマッチを防ぐためにも、当事者が何を悩み、模索しているのかを知る必要があります。新たな事業において、使い勝手のよいサービス実現のために、若者の参画こそが有効であり、検討すべきですが、見解を伺います。

○有手産業労働局長 サービスを提供するに当たりまして、その利用者の声を反映させていくことは、当然に必要なことであると思っております。
 今後、ジョブカフェの運営に当たりましても、利用者アンケートの実施やカウンセリングを通したニーズの把握など、さまざまな方法によって若者の意見をくみ上げ、事業実施の参考にしていく考えでございます。

○執印委員 多くのフリーターといわれる若い人たちは、自分が何をすればいいのかわからない、仕事とは何かというふうに迷っています。
 前述の若者自立・挑戦プランで、国は、児童生徒などの就労観、職業観を育てるための教育の促進が重要であるとし、推進地域を指定し、指導内容、指導方法を開発すると示しています。
 フリーターといわれる若者の増加の一因は、仕事に対する教育の不在にあるともいえます。今後の教育分野における施策の展望が求められ、特に小中学校からの民間との協働を含めた取り組みを検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○横山教育長 現在、小中学校では、特別活動や総合的な学習の時間などにおきまして、地域の企業等の協力を得て作成しました職場リストを活用して職場体験学習を行い、勤労観や職業観をはぐくむ教育が進められております。
 今後は、これらに加えまして、望ましい勤労観、職業観の育成に関しますリーフレットを作成するなど、児童生徒が働くことの楽しさや意義を学ぶ教育活動の一層の充実を図ってまいります。

○執印委員 取り組みのお話をされたわけですが、このしごとセンターで積極的な就労支援を進めようという反面、相談業務や労働関連紛争のあっせんなどに成果を上げてきた労政事務所の縮小が浮上して、失業者対策としての緊急地域雇用創出特別交付金事業の行方など、労働行政全般の展望はバランスを欠く状況にあります。それは少数者に対して特に影響を及ぼすものと想像できます。
 児童扶養手当見直しに関する二〇〇二年改正において、国は、実質的な手当の削減に対し、就労支援と保育所の優先入所などを代替案として出した経緯があります。就労環境が悪化する中で、さらに社会的弱者であるひとり親の生活の厳しさはひとしおです。現在、生活保護の対象は百三十万人といわれますが、あらゆる人の経済的自立こそが、社会保障政策上重要であり、打つ手なく生活困窮者をふやすことは、行政としても望むところでないはずです。
 児童扶養手当にかわる政策として、ひとり親家庭の就労に関する課題の解決が早急に必要です。確実に就労に結びつく支援がない限り児童扶養手当の見直しは行うべきではなく、ひとり親家庭に対する実効性を伴う就労支援をどのように行っていくのかを伺います。

○幸田福祉局長 ひとり親家庭の生活基盤を確立するためには、とりわけ就労支援が重要であり、都はこれまでも技能習得資金の貸し付けや母子家庭等自立促進講習会を行ってまいりました。
 また、今年度から、東京都母子寡婦福祉協議会を通じまして、母子家庭等に対し求人情報を提供しております。さらに、来年度から町村部におきまして、就労に向けた教育訓練の受講費用の一部助成や、看護師など国家資格を取得する場合の就学期間中の生活費相当額の支給を実施するとともに、区市においても同様の取り組みを行うよう働きかけてまいります。

○執印委員 ぜひ、取り組みの働きかけをお願いいたします。
 その他にも重要な課題があります。昨年の七月、国連女性差別撤廃委員会から勧告を受けた、雇用における間接差別への対策です。今後、国も都も事業者とともに改善していかなければなりません。ひとり親家庭のみならず、ドメスチックバイオレンス被害者の一貫した自立支援としても、就労支援は欠かせません。女性の就労全般に関する課題の解決に向けた取り組みが必要です。しごとセンターを含め、女性に対する就労支援をどのように行っていくのか、伺います。

○有手産業労働局長 募集、採用、配置など、雇用のあらゆる場面における男女差別は、法により禁止されております。しかし、都の調査によりましても、女性は企業における役職者の割合が低く、パート等非正規労働者の割合が高いということ、また育児等の家族的責任の負担が大きいなど、依然として就業における男女間格差が存在する事実を否めません。
 こうした状況に対応するため、今後とも、企業の男女間格差の是正に向けた積極的な対応を求めるポジティブ・アクション実践プログラムの普及啓発など、格差是正に積極的に取り組むとともに、しごとセンターにおきましても、女性の再就職支援セミナーを引き続き実施するなど、女性の就労を支援してまいります。

○執印委員 お答えの中で、女性が置かれている状況というのは、把握をしていただいているというふうに思いますので、総合的対応とともに、仕事センターでも女性の就労に特化した取り組みというのをお願いしておきたいというふうに思います。若者と高齢者はあるわけですけれども、女性に特化した部分がございませんので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、入札及び契約制度について伺います。
 地方自治法改正によりまして、規制緩和と経費削減を背景に、指定管理者制度が導入をされ、都でも東部療育センターでの取り組みが決まりました。今後、公園や文化施設などの分野において、営利、非営利を含めた民間団体との協働が予測されます。
 税金を使う事業は、業者選定の入札や契約において低廉なコストで行うのが当然とされてきました。しかしながら、落札の低価格化が労働者の賃金低下などの労働条件の悪化を引き起こす要因となりかねないなど、コスト削減が労働市場にもたらす影響を考えたとき、既に障害者雇用や環境への取り組みを経営審査事項や東京都の格付に反映させているように、入札の総合評価制度に技術のみでない指標導入を進める必要があります。
 東京都男女平等参画基本条例は、雇用の分野における男女平等参画の促進を掲げ、具体的には二〇〇二年に、先ほどもお話がございましたボジティブ・アクション実践プログラムを作成し、企業の取り組み促進をしています。また、ことしは次世代育成推進支援計画の策定が事業者に義務づけられるなど、男女平等、両立支援に対する社会的な環境整備は徐々に進みつつあります。
 男女平等や子育て支援の対策を積極的に進めている企業に対しては、この対策を社会に広めていくための誘導施策として、都の契約制度の中に、こうした取り組み企業への優遇措置を設けるべきと考えますが、見解を伺います。

○櫻井財務局長 地方公共団体の契約は、地方自治法の趣旨に基づきまして、最少の経費で最大の効果を上げることが原則である、公正な競争により受注者が決定されるものであります。このような原則を踏まえつつ、都はこれまでも入札参加資格審査におきまして、障害者の法定雇用率達成企業の名簿への登載、ISO認証取得企業への格付点数の付加といった優遇措置を行ってきたところであります。
 こうした措置は、政策的な根拠となる客観的、統一的基準が確立されていることからとってきたものでございます。
 しかし、お尋ねの男女平等や子育て支援に対する契約上の優遇措置につきましては、現時点では客観的な基準が確立されているとはいえず、困難と考えております。
 都としては、今後、国や社会の動向を十分に留意しまして、適切に対応してまいります。

○執印委員 一年前の同様の質問に対しては、困難ですという回答でございましたので、今回一歩前進したというふうに思います。今後の取り組みに期待をし、まちづくりにおける都市農業の質問に移ります。
 東京の農業は、急激な都市化に直面しながらも、大消費地を抱えていることや、消費者の最も身近で生産することのメリットを生かし健闘しています。また、BSEや残留農薬問題などへの不安から、新鮮で安全で安心して利用できる都内産の農産物へのニーズは確実に高まっています。平成十一年の都民の農業に対する意識調査の結果でも、九四%の都民が東京に農業や農地を残したいとしています。きょうも都民ホールで、スローフードと食農教育フォーラムが開催されていたようです。
 そこで、知事にお伺いをいたします。幸いなことに、東京には、稲城ナシ、豚の「TOKYO X」など、都民に親しまれている農畜産物が数多くあります。私が住む日野市でも、りんごの里やブルーベリー農園、農産物の直売所が市民から人気を博しています。イチゴ栽培への取り組みも始まるようですし、酪農も頑張っておりまして、都の予算も使いながらジェラードづくりを進めるとのことで、消費者とのさらなる触れ合いが期待されます。
 そうした特産物を今後大いに振興、普及し、東京を訪れる人々や子どもたちの世代に伝えることが大切です。特産品の開発は、東京の観光にも貢献するものです。都民が誇れる農産物をつくり、東京農業の振興を進めるべきです。知事の都市農業に関するお考えを伺います。

○石原知事 東京の都市農業を眺めますと、意外にというと怒られそうでありますが、他県などにない非常にユニークな製品がたくさんございます。その中には都の各試験場で開発したものが非常に多うございます。これは東京におけるいろいろな機能の集積の一つの成果だと思いますが、例えば、今ご指摘のTOKYO Xという豚肉とか、ウドの都香であるとか、ブドウの高尾、稲城というナシ、私、全部賞味してみましたが、非常においしい、いわば、これ高級品ですね、全部。その嗜好の非常に進んだ東京という大消費地の中で、都民の需要にかなう新しい製品を他県に先んじてつくっていくことは、東京の将来にとっても、日本の農業にとっても非常に示唆的であると思います。
 今後も、こうした東京の特性を生かしながら、都市農業を東京の重要な魅力のある産業として育成するために、農業者の創意工夫をもとに、区市町村と連携して取り組んでいきたいと思います。

○執印委員 次に、農業、農地との触れ合いについて伺います。
 まちづくりの一環として農業、農地の保全を考えていくためには、地域で展開される交流を通じ、農地の価値を自分たちの生活に結びつけていくことが必要です。こうした農あるまちに対する都民の思いが、自治体や農業者による市民農園や体験農園への積極的な取り組みを推し進めています。少子高齢社会に入り、年代を超えた触れ合いが難しくなっている中、体験農園などによる農業を通じた交流が新たなコミュニティ形成の核として見直されています。
 また、農作業体験などによるリフレッシュは、障害を持つ人のリハビリテーションの効果を上げることなども期待されています。こうした農業との触れ合いを求めている多くの都市住民の期待にこたえていく東京の都市農業を進めていくことが望まれますが、見解を伺います。

○有手産業労働局長 東京の農業は、身近な都民に安心、新鮮な農産物を供給するというだけではなくて、子どもや高齢者、障害を持った方の学習、生きがい、触れ合いの場としての社会的役割を果たしております。都は都民のニーズを積極的に取り入れまして、イチゴやブルーベリーの摘み取り農園や、農家が都民に直接栽培技術を指導する体験農園などの整備を支援してまいりました。今後とも、整備地域の拡充など、都市農業の推進に努めてまいります。

○執印委員 次に、都市計画的な面からお尋ねをしたいと思いますが、一九九二年の都市計画法改正をきっかけとしまして、市民参加のまちづくりへの取り組みが進んでいますが、ここでも農地存続の声が多く、市街化区域内農地としての生産緑地地区の追加指定の増加にもつながっています。生産緑地地区制度は、市街化地域内における農地の安定的な存続を可能にしている唯一の制度であり、農地の確保は大きな課題であることから、引き続き指定の拡大に努めていただきたいと思います。
 しかし、これからは人口減少社会を迎え、東京でも開発中心の都市計画の時代は終わりつつあります。都市計画局としても、東京のまちづくりに農業を生かした土地利用を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○勝田都市計画局長 都市計画では、農林漁業との健全な調和を図ることを基本理念としておりまして、区域区分において優良な集団農地などを市街化調整区域に区分し、良好な生産環境の保全、確保に努めております。
 また、市街化区域内に分布をいたします農地は、緑地や防災空間あるいはレクリエーション活動の場などとして多面的な機能を有し、都市に潤いと安らぎを与えております。そのため、都市計画区域マスタープランにおいても、農地を生かした都市環境の保全と積極的な活用を土地利用の方針としておりまして、生産緑地地区の指定などによりまして、その保全、活用に努めてまいります。

○執印委員 私の住んでおります日野市では、農業基本条例を何年か前につくりまして、都市の中でも農業を一つの産業としてしっかりと位置づけていこうということが行われております。土というのは人間が生まれて返るところでもありますし、都市にある農地を生かして、農業のあるまちづくりを進めていくためには、産業として成り立つ農業、職業として魅力ある農業の確立が重要です。
 そうした意味では、活力ある農業育成事業など、農業者への支援をさらに一層充実をしていただきたいと思います。また、企業のファンドなどもございますので、連携なども考えられるというふうに思います。
 一方で、都市農業の担い手が不足する中で、多くの市民が農業への参加を望んでいます。その一端は、援農ボランティアの増加や農業ヘルパー、市によってはできているところもございますけれども、こういったものの誕生にもあらわれています。
 しかし、問題がございまして、NPOや福祉施設などが農地を確保し、営農活動することや、市民農園の収穫物を販売することは、制度上困難な状況にあります。今後、都市農業を一層発展させていくためには、生業としての市民耕作の道を開き、都市住民のマンパワーを最大限に発揮させ、新たな販売ルートの開拓や学校給食との連携、生ごみの地域リサイクルなどを進める原動力とさせることが必要というふうに考えております。
 国の法制度など、課題の多いことは十分承知をしておりますが、都民の農業参加を単なるレクリエーションにとどめず、命を守ることとして、積極的に都市農業のために活用していくための方策を東京都が率先して進めていかれることを期待して、次の質問に移ります。
 次は、子どもの権利擁護委員会についてでございます。
 代表質問では、これまでの権利擁護委員会の成果を生かしつつ、法定の児童福祉審議会が関与できるようにするというお答えがございました。しかしながら、ここで危惧されますのは、福祉分野の児童福祉審議会にくくられることによりまして、これまでの第三者的機能がなくなるのではないかということです。これまでの機能は継承されるのか、特に公立、私立を問わず、教育問題への取り組みについては、これまでどおりの対応がなされるのかどうか、見解を伺います。

○幸田福祉局長 来年度から新たに開始をいたします子どもの権利擁護専門相談事業は、これまでの試行の成果を踏まえて、より実効性の高い権利擁護の仕組みとするものであります。具体的には、これまでと同様に、日常の悩み事から虐待や学校でのいじめなどの深刻な問題まで、子どもからの幅広い分野の相談に対し、フリーダイヤルの電話相談及び子どもの権利擁護専門員による調査、調整活動を行うこととしております。

○執印委員 この間、たくさんの相談が子どもたちから寄せられたというふうに思います。こういったパンフレットも出されてきました。児童福祉審議会の下部組織ではなくて、今ご説明もあったわけですけれども、これまでどおり第三者的な機能を持った仕組みとして継続させるために、きちんと要綱等で規定をする必要があるというふうに考えますが、見解を求めます。

○幸田福祉局長 新しい事業におきましても、子どもの権利擁護専門員は、それぞれが独立して個別事例についての調査、調整、助言などを行うものでありますが、特に困難な事例については、新たに、専門員が合議し、児童福祉審議会へ対応を申し入れることができることといたしました。この申し入れを受けて、児童福祉審議会は、調査、審議の上、必要に応じて関係機関等に意見具申を行うものであり、お話のように、専門員が児童福祉審議会の下部組織となるものではございません。

○執印委員 児童福祉審議会の下部組織となるものではないというふうに今ご答弁をいただいたわけですが、この当初からの子どもたちへのパンフレットには、私どもの会派の控室の入り口にも張らせていただいておりますが、これには、委員会は、常に子どもの立場に立って、プライバシーを十分尊重し、いろいろな相談機関などとも協力しながら活動します、なお、この事業は試行という位置づけですが、東京都は、本格的な権利擁護の仕組みづくりに向けて準備を進めていますというふうに書かれています。これは子どもたちに配られているカードですけれども、これには、悲しいとき、つらいとき、怒っているとき、そんなときには電話をくださいというふうに書かれております。
 この権利擁護委員会のカードを握り締めて、つらいことにも耐えたという子どもの例が、権利擁護委員会の報告書にも記載をされています。これまで、子どもたちへの周知は、子どもの権利擁護委員会名で進められてきました。今後これまでどおり、子どもたちのためにこの仕組みが機能するというメッセージを、名称、カードの配布方法や配布枚数、電話番号なども含めて送り続けることが、今の東京の子どもたちにとって何よりも必要と思いますが、対応を伺います。

○幸田福祉局長 先ほどお答えいたしましたように、本事業は、これまでと同様、子どもたちのさまざまな相談を受け、子どもの権利擁護専門員が中心となりまして、調査、調整などの活動を行うものでございます。こうした相談事業の存在につきましては、電話番号なども含め、子どもたちに十分活用されるよう、これからも子どもたちに伝えてまいります。

○執印委員 ぜひお願いをしたいと思うわけですが、ことしの一月二十八日、私はジュネーブで開催されました国連子どもの権利委員会を傍聴してまいりました。五十八項目にわたる総括所見が出されましたけれども、この委員会でも、兵庫県の川西市、川崎市、埼玉県など、条例化されている子どもの権利擁護システムが評価をされておりました。埼玉県では、土屋知事の時代に、この東京都の権利擁護委員会を参考につくったということです。これまでの実績を大切にされて、今後の事業を丁寧に進めていただきますように、お願いをいたします。
 次に、青少年、子どもの権利育成関連で伺います。
 今回の青少年健全育成条例の改正案について、女性を商品のように扱う出版物に対する包装や、生セラへの対応などの取り組みは、男女平等や女性の人権侵害に対する観点から、一定の理解をするものです。しかし、規制は事業者へ、深夜外出禁止の努力義務は親へとしながらも、最終的に子どもを追い詰めることになるのではないかという危惧は払拭されません。
 例えば、子どもの深夜外出については、家庭事情による親子の触れ合い、子ども同士の初もうで、青少年の労働や学びなどについて、努力義務の解釈が行き過ぎることはないのか。また、カラオケボックスなどの深夜立ち入り制限施設や深夜徘回において、子どもを見つけたら警察に突き出してしまうなどの行き過ぎた条例解釈が行われるのではないかなど、いわば人によって受けとめが違うというようなあいまいな部分の判断は、だれがどのように行っていかれるのでしょうか。

○三宅生活文化局長 青少年の深夜外出の制限は、青少年が犯罪に巻き込まれる危険を未然に防止するためのものでございます。保護者の同意等、または正当な理由のいずれもなしに連れ歩くことを規制するものでございます。正当な理由とは、災害及び急病などの緊急時を初め、通勤、通学など社会通念上相当と認められる場合でございます。
 また、深夜立ち入り制限施設についての改正は、対象施設の追加でございまして、事業者に対して、深夜に青少年を立ち入らせない義務を課する点においては従来と変わりません。
 なお、条例の施行に当たっては、青少年を危険から守るという趣旨を踏まえ、適切な対応に努めてまいります。

○執印委員 次に、地域の協力を仰ぐとして、健全育成協力員が、書店やコンビニへ区分陳列の調査に入ることも計画されています。よくいえば、大人が子どもを取り巻く環境に関心を持ち、目が行き届くということですけれども、悪くすれば、善意の監視が強まるというふうになるのではないかと思います。大人に守られながらも守られ過ぎないというバランスのよい環境が、子どもの自立を促すのではないでしょうか。いってみれば、それが子どもの権利の視点だと考えます。決して子どもを野放しにするとか、甘やかすという意味ではありません。健全育成協力員も含め関係する大人全体に対し、子どもの権利の視点で十分な研修を行う必要がありますが、見解を伺います。

○三宅生活文化局長 青少年健全育成協力員制度は、限られた数の都の職員が、約一万店のコンビニエンスストア、書店等に対する調査、指導を効率的に行えるように、不健全図書の陳列状況等について報告を受ける仕組みでございまして、対象は、子どもではなくて、事業者と接する制度でございます。
 実施に当たっては、マニュアル等の作成や説明会の開催などによりまして、青少年健全育成という意義を踏まえた運用となるように努めてまいりますし、また、他の規制につきましても、事業者の調査、指導に当たる都の職員及び警察官についても、青少年健全育成という条例の目的を踏まえて、その趣旨を徹底してまいります。

○執印委員 青少年の健全育成であるならば、大人への規制の強化に終わらせるのではなく、犯罪に引き込まれることのない子どもの力を伸ばすことが最善の課題だというふうに思います。子ども自身の判断力、選択力を真に育成する方策を進めていただきたいと思います。
 続きまして、以前テレビで、最初は百円から薬物を売っておいて、薬物が手放せなくなったころを見計らって、風俗産業などへの誘いをかけるという手口が紹介されていました。このように巧妙に薬物乱用のわなが仕掛けられています。また、厚生労働省が二〇〇二年に実施した調査によれば、二七・七%の女子中学生、二五%の男子中学生が覚せい剤を入手することができると回答しています。自分自身を守るために、ノーといえる強い意思を持つことが重要だと思いますが、都では、青少年に対してこのような判断力と行動力を育てる普及啓発を実施しているのか、各局の連携はどのように行われているのか、伺います。

○平井健康局長 青少年の薬物乱用の拡大を防止するには、青少年自身の意識を高めることが重要でございます。このため、従前から中学生を対象といたしましたポスターや標語の募集、高校生が学習した結果を同世代と話し合います高校生会議など、青少年が自主的に取り組むことができる参加型の啓発事業を実施しております。
 平成十六年度は、さらに小学生を対象といたしまして、親子の薬物乱用防止教室の実施や教育現場などでの学年別薬物乱用防止教育プログラムの活用など、青少年対策の強化を図ってまいります。
 次に、都では副知事を本部長とする薬物乱用対策推進本部を設置いたしまして、東京税関を初めとする国の機関や警視庁、関係六局が緊密な連携のもとに、薬物乱用対策を総合的かつ効果的に推進しているところでございます。平成十六年度からは、推進本部の構成員を含む関係機関や民間団体が一堂に会し、薬物乱用対策を考える薬物乱用対策ネットワーク・フォーラムを開催するなど、有機的な連携を強化してまいります。

○執印委員 ありがとうございました。(拍手)

○宮崎委員長 執印真智子委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時二十一分休憩

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