東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○大木田副委員長 山田忠昭委員の発言を許します。
   〔大木田副委員長退席、樺山副委員長着席〕

○山田委員 予算特別委員会初めての質疑でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 まちづくりは、都民生活、経済活動、文化、環境など、都市の基礎を築くものであり、まちづくりなくして都市の発展はないと考えております。そのような視点から、初めに都市基盤整備についてお尋ねいたします。
 東京のまちづくりを進めていく上で、交通渋滞による経済的な損失や環境の悪化は大きな問題であります。道路など基盤施設整備が必要であります。東京の交通渋滞を緩和し、環境の改善を図るためには、三環状道路の整備は重要であります。
 中でも、外かく環状道路と首都圏中央連絡道路は、多摩地域の発展のためはもとより、神奈川、埼玉など一都四県にまたがり計画されている広域幹線道路であり、放射方向の高速道路を有機的に連携させ、その効果は広く及ぶことから、整備促進が期待されております。
 特に、西東京市など多摩北部地域に住む私ども都民にとっては、外環の早期着手は大きな関心事であります。
 そこで、外環の整備促進に関する都の認識についてお尋ねをいたします。

○勝田都市計画局長 外環は、首都圏の交通渋滞の緩和、環境改善に寄与する大変重要な路線でございまして、早期整備が必要でございます。
 特に、区部と多摩の境に計画されていることから、区部西部地域や多摩北部地域などにとって、交通利便性の向上など、地域の発展にも寄与するものと認識しております。
 現在、沿線自治体などと、外環整備に関する話し合いを進めておりますが、今後とも、国とともに幅広く意見を聞きながら、計画の具体化を図ってまいります。

○山田委員 外環が都にとって大変重要であるとの認識が示されましたが、整備効果を高めるためには、本線整備とあわせてインターチェンジの設置が大変重要であると思っております。
 特に、多摩北部地域は高速道路のインターチェンジがないということもありまして、高速道路利用に不便な地域でもございます。外環整備にあわせてインターチェンジ設置を多くの市民が望んでいるところであります。
 しかしながら、インターチェンジ設置には、環境への影響を懸念し、反対の意見もあるようでありますけれども、インターチェンジ設置に関する都の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 インターチェンジは、高速道路の機能を発揮する上で欠くべからざるものと認識しております。インターチェンジについては、さまざまな意見が寄せられております。都としては、都民にとっても、首都圏にとっても交通利便性が向上するよう、沿線自治体を初め幅広く意見を聞きながら、検討してまいります。

○山田委員 幅広く意見を聞きながら、計画の具体化を図っていくというご答弁でございます。ぜひとも、必要なインターチェンジの設置については取り組んでいただきたいと願うところであります。
 外環の整備効果を高めるためには、外環周辺の都市計画道路網の整備が不可欠であります。そこで、都市計画道路の整備についてでありますけれども、都における都市計画道路の整備状況は、平成十四年度末現在五四%と、いまだ道半ばの状況であります。今後とも、道路整備は計画的に進めていく必要があると考えます。
 区部では、現在、区部における都市計画道路の整備方針案が公表され、この中で、今後十二年間に優先する路線が示されました。
 一方、多摩の事業化計画につきましては、平成十七年度、期間が満了となることから、昨年末に公表されました多摩北部地域の幹線道路検討会の報告書などを踏まえまして、新たな計画が策定されるものと考えますけれども、今後の取り組みについてお尋ねいたします。

○勝田都市計画局長 多摩地域では、これまで、南北道路や多摩川架橋などを重点的に整備してまいりましたが、いまだに十分な道路ネットワークが形成されておりませんで、今後とも重点的かつ効率的な整備が必要不可欠でございます。
 このため、現行の第二次事業化計画の計画期間が終了いたします平成十七年度までに、多摩地域における自立都市圏の実現に向けまして、近隣県との連携を密に図り、地元市などと調整の上、新たな事業化計画を策定してまいります。

○山田委員 ぜひとも、地元市と調整をしながら、他県との協議を進めていただきたいと思います。
 次に、多摩北部地域におきます西武線の踏切対策についてお尋ねをいたします。
 多摩北部地域におきましては、西武池袋線及び西武新宿線には多くの踏切が残されております。道路交通やまちづくりを進める上で大変支障となっておりまして、市民生活に、ぜひこの点については改善したいということであります。
 このため、道路ネットワークの整備を着実に進めていくこととあわせて、踏切対策を進めていくことが重要であります。踏切問題の抜本的な解消には、鉄道の立体化が必要不可欠であり、これまで、我が党の三多摩議員連絡協議会からも、連続立体交差化について都へ要望してきたところであります。
 都においては、昨年十二月に踏切対策基本方針の中間のまとめを公表しております。また、本定例会での我が党の大西幹事長の代表質問に対しまして、都市計画局長から、今後の踏切問題の解消に向けた力強いご答弁をいただいております。今後の取り組みに大きく期待をいたしているところでございます。
 そこで伺いますけれども、今後の都における踏切対策について、その基本的な考えをお聞かせ願いたいと思います。

○勝田都市計画局長 都内にはいまだ約千二百カ所の踏切が残されておりまして、都市活動や住民生活に多大な影響を与えております。こうした問題を解消していくためには、連続立体交差事業など、さまざまな事業手法によりまして踏切解消を図るとともに、踏切の拡幅や遮断時間を短縮するための踏切システムの改善など、短期間で実施可能な対策を進めていくことが重要でございます。
 このため、平成十六年度当初を目途にいたしまして、都内の踏切について総合的かつ計画的な対策の実現を目指しまして、踏切対策基本方針を現在策定中でございます。

○山田委員 十六年度当初を目途に踏切対策基本方針を策定するということであります。一日も早くお示しいただきたいと思います。
 次に、地域におきます効果的な踏切対策の推進には、都、地元自治体、鉄道事業者の一体となった取り組みが必要不可欠であります。多摩北部地域では、現在、西東京市を初めといたしました関係五市によりまして、西武線の連続立体交差化等についての調査研究を行っていると聞いております。こういった地元自治体の取り組みについて、都としても支援するとともに、今後、地元自治体と連携した取り組みを一層進めていただきたいと思いますけれども、ご所見をお聞かせ願いたいと思います。

○勝田都市計画局長 今お話がありましたように、西東京市を初めとした多摩北部の関係五市が協力をいたしまして、西武線の踏切による交通渋滞を解消するため、立体交差化に関する事業手法やその課題などについて調査研究に取り組んでいることは承知しております。
 都といたしましては、本調査研究の動向を見守りつつ、必要な支援を行うとともに、今後とも、区市町、鉄道事業者などとの連携を一層強化いたしまして、踏切対策を進めてまいります。

○山田委員 踏切対策、特に連続立体交差化の事業化は、長い年月と莫大な予算がかかるわけでありまして、ぜひ関係市と十分連携をとっていただいて取り組んでいかれるよう、強く要望をいたしたいと思います。
 次に、多摩のまちづくりについて質問をいたします。
 昨年三月に発表されました多摩アクションプログラムでは、広域的な緑から身近な緑までの水と緑のネットワーク形成に向けた取り組みの方向が明らかにされております。
 また、昨年十月には、東京都都市計画審議会から、東京らしいみどりをつくる新戦略が答申され、多様な主体が連携して、水と緑のネットワーク化を図っていくことが提言されております。
 水と緑のネットワークは、ヒートアイランド現象の緩和や、人々を災害から守るなど、都市づくりの上で大変重要と考えますが、その実現に向けた基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 大都市東京におきましては、さまざまな都市活動や都市生活と結びついた東京らしい緑づくりを進め、水と緑のネットワークを形成することが課題となっております。
 そのための取り組みといたしまして、平成十六年度に、緑の新戦略ガイドラインを策定してまいります。このガイドラインでは、地域ごとに緑の拠点や軸を位置づけまして、これをもとに、公園、道路、河川などの公共の緑と、民間事業者などによって生み出されます緑が相まって、水と緑のネットワークが形成されるよう、それぞれの事業を誘導してまいります。

○山田委員 ぜひ、水と緑のネットワーク化を図るためのガイドラインを早急に策定していただくよう、お願いをいたします。
 また、公園、道路、河川の連携が重要と答弁にございましたけれども、私の地元であります東伏見地域では、公園と道路と河川の都の事業が今、集中的に実施されております。この地域を例にいたしまして、どのような緑あるまちづくりを進めていくのか、幾つか質問をさせていただきます。
 まず、調布保谷線と東伏見公園は一部重なり合って今、計画をされておりますけれども、このような場合、緑の形成を図るため、道路と公園の整備内容をどのように工夫しているのか、お伺いいたします。

○小峰東京都技監 先ほどの都市計画局長の答弁にもございましたが、水と緑のネットワークを形成するためには、道路、公園、河川それぞれの特性を踏まえた事業間の十分な連携が必要でございます。
 調布保谷線では、東伏見公園や石神井川の緑との連続を図るため、車道の両側に、緑の軸となる幅員十メートルの環境施設帯を整備してまいります。
 また、東伏見公園区域においては、西武新宿線との立体交差や、公園の一体的利用に配慮し、車道をトンネル構造といたします。
 一方、公園事業では、トンネル上部の空間を活用し、調布保谷線の歩道や自転車道に接続する園路や広場などを整備してまいります。

○山田委員 また、この東伏見公園の計画区域内には石神井川も流れております。
 そこで、公園に隣接いたします石神井川についてどのような取り組みを行うのか、伺います。

○小峰東京都技監 石神井川の東伏見公園付近の整備に当たりましては、この地域に残る緑の保全を図るとともに、下流の武蔵関公園との間一キロを緑豊かな散策路で結び、水と緑の連続性の確保に努めてまいります。

○山田委員 これまでいただきました答弁から、水と緑のネットワークを築くためには、公園、道路、河川それぞれのつくり方の工夫をしていることがよくわかりました。
 しかし、公園、道路、河川の異なる三つの工事を調整していくということは、現実的には、法制度が違うなど、いろいろと困難な面もあるかと思います。
 そこで、建設局では、東伏見地区のように、公園、道路、河川などの異なる事業を一つの目標に向けて進めていく場合、どのような取り組みを行っていくのか、伺います。

○小峰東京都技監 道路、公園、河川の整備につきましては、計画から実施に至る各段階で、事業の相乗効果を高める創意工夫を重ねてきております。
 さらに、工事着手時期など、事業実施上の課題を解決するため、局内関係部署から成る連絡調整会議などを設置し、局を挙げて効果的かつ効率的な執行に取り組んでおります。
 今後とも、各事業の一層の連携を図り、地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、水と緑のネットワークを形成するなど、魅力ある多摩のまちづくりに努めてまいります。

○山田委員 今回取り上げました東伏見周辺のまちづくりを進めるに当たりまして、ぜひ、ただいまご答弁があったように、関係部局の横断的な連携のもとで、公園、道路、河川などの各事業を円滑に進めていただきまして、水と緑のネットワーク化を図るなど、豊かな都市環境の形成に努めてほしいと思います。
 また、この連携によりまして、コストの縮減など、効率的な事業の執行も望むものであります。
 そして、事業実施に当たっては、地元、西東京市や地域住民の意向をお聞きいただき、調整を行うことを重ねて要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、多摩の産業振興に関連して、幾つかのお尋ねをいたしたいと思います。
 私の住む多摩地区は、豊かな空間の広がりと快適な自然環境に恵まれ、都心に近い立地条件も生かして、全国的にも、他地域に類例を見ないほど数多くの大学、短期大学が立地しております。理工系の学部を設置している大学も多く、企業の研究施設とあわせて、有数の研究機能の集積も形成され、さまざまな人材の宝庫になっております。
 この地域は、一九六〇年代に、八王子、日野、福生、青梅などに工業団地が形成され、カメラ、コンピューターあるいは車などの量産的な組み立て工場が進出し、これらの大規模工場を取り巻くように、中小規模の工場がその周辺部に立地いたしました。
 そして、一九八〇年代以降、時代の要請から、これらの工場は次第に生産機能から研究開発機能、試作機能を持つ工場へ形を変えて、それらの機能を支える中小企業の集積が進みまして、この時期、稲城から府中、立川、昭島、八王子、青梅に至ります多摩川流域には、エレクトロニクスや精密機械などの先端的な技術を持つ企業の集積が目立つようになりました。
 このように、多摩地域には、高精度、短納期の要請にこたえ、市場性のある製品開発を行える製品開発型中小企業、すぐれた加工技術を持った基盤技術型中小企業から形成される、豊かな生産基盤が存在いたしております。
 特に製品開発型企業の成長は、基盤技術型企業の活性化に貢献し、多摩の地域経済の自立発展にもつながるものと考えます。
 多摩地域には、限られた時間では到底語り尽くすことができない産業資源が存在しておりますが、これらの極めて高いポテンシャルを生かした産業振興について、知事の基本的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。

○石原知事 多摩地域の産業に関するポテンシャルについては、もうおっしゃるとおりでありまして、調べてみますと、実に理工系の大学が二十一あるんですね。製品開発型の企業の割合も区部の一・五倍に上っておりまして、また、製造品出荷額が都内全体の四割を占めるなど、豊富な産業資源が存在しております。
 多摩地域は、これらの豊富な産業資源や人材を、例えば産学共同などを促進することなどによりまして活用し、一層の産業発展が期待される地域だと思います。
 平成十四年度には多摩中小企業振興センターを開設し、経営、技術両面からの支援を強化してまいりました。首都圏西部の重要拠点として、多摩地域をこれからも振興していくつもりでございます。

○山田委員 知事のご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 私も、多摩地域のものづくり産業は、日本のものづくり産業を支える拠点として、そして新規産業創出の基盤として、ますます重要性が高まっており、その活性化にはまことに大きな意義があると考えております。
 そして、足元から、現在の企業集積の活力を将来にわたって保ち、増進させて、多摩のものづくり産業をより一層活性化を促進していくためには、地元の自治体、産業界はもとより、都も一丸となって取り組んでいくことが必要であると考えます。
 そこで、産業労働局長に伺いたいと思いますが、平成十四年度に、多摩地域における産業支援拠点として多摩中小企業振興センターを開設しましたが、センターは、そうした市町村や中小企業団体の取り組みをどのように支援しているのでしょうか。お伺いいたします。

○有手産業労働局長 多摩の産業界は、国道一六号線沿道を中心にしまして、埼玉県の秩父、飯能、入間、いわゆる埼玉県南西部から、神奈川県の川崎、横浜、藤沢に至る神奈川中央部と連携して、広域多摩として、二十一世紀の首都圏の西部の雄として大きな発展をしたいという強い願望のもとで、多摩中小企業振興センターが発足してございます。
 多摩中小企業振興センターは、多摩地域の約八千のものづくり企業などに対しまして、開設以来五千四百件の経営と技術の両面にわたる相談、四千四百件の製品等の試験、計測機器の開放などに応じるなど、総合的な支援をしてまいっております。
 また、一万人を超える参加がありました、多摩地域最大の展示会、たま工業交流展につきましても、開設当初から、地元の市、中小企業団体などと共同して開催し、成功しております。
 さらに、市町村等の産業振興策の策定に対しましては、経営、技術の専門職員を派遣し、助言するなど、地域の取り組みを支援してまいりました。
 今後とも、市町村等が主体的に進める地域産業の振興を積極的に支援してまいります。

○山田委員 ただいまご答弁がありましたけれども、開設以来五千四百件の経営と技術の両面にわたる相談をされているということであります。今後とも、地域産業の振興に積極的な支援を行っていただきたいと思います。
 また、各市町村では、その産業ビジョン等で、産学公連携を産業振興の柱にいたしております。そうした市町村の取り組みに対して、センターとしてどのような支援を行っていくのでしょうか。センター自身としても、産学公連携をどのように進めていくのでしょうか。お尋ねいたしたいと思います。

○有手産業労働局長 産学公の連携は、大学等の研究成果と企業の技術力を結びつけまして、革新的な技術や新たな製品を開発する上で極めて重要であると認識しております。
 多摩中小企業振興センターは、マッチング交流会を行うとともに、交流会で関心が寄せられましたテーマを絞り込んだ研究会を運営するなど、産と学を結びつけるコーディネーターとして、多摩地域における産学連携に大きな役割を果たしております。
 さらに、近日中に産学公連携マニュアルを作成いたしまして、企業と大学等が共同開発を行う手続や、開発後の事業化の手法を紹介し、市町村の産学公連携の実が上がるように積極的に支援してまいります。

○山田委員 ご答弁のように、大学の研究成果と企業の技術力を結びつけて新たな製品を開発することは、企業の発展にとって大変重要なことだと思います。
 産学公の連携による産業振興については、今後とも積極的な取り組みを期待いたしたいと思います。
 次に、多摩地域で展開されます都市農業の振興についてお伺いいたします。
 私は、都市農業の振興を図る観点から、昨年の第四回定例会におきまして、野菜価格の価格暴落時の支援策や地産地消、担い手育成について意見を述べますとともに、都の取り組みを伺ったところであります。
 この中で、都が支援し各地で展開される農作物直売所などを通じて、多くの農作物が都民の食卓に届けられていることを確認いたした次第でありますが、消費者の最も身近で生産される都市農業は、地産地消の推進拠点としてますます重要になっていることを改めて認識した次第であります。
 私の住んでおります西東京市でも、若い担い手が、創意工夫を重ね、都民が安心して食べられる高品質の野菜や果物をつくっております。
 このような取り組みは、農地の減少など、厳しい都市農業の環境の中にあって、東京農業はその持てる力を発揮していることの証左であると思います。
 そこで伺いますけれども、多摩の農業の特徴をどのように都はとらえているのか、お尋ねをいたします。

○有手産業労働局長 多摩の農業は、後継者不足や農地の減少など、こういった難しい課題を抱えつつも、第一に、狭い農地ながらも豊かな地力を生かしまして、家族労働力の集中的な投下と効率的な設備投資により、収益性の高い農業経営を実現していること。
 第二に、多品目の生鮮野菜の生産や大都市の立地を生かした、全国一の地産地消を実現していること。
 第三に、三十歳以下の農業従事者の割合が全国に比べ一・四倍と多く、有機農業など食の安全や都民への農業体験の場の提供など、新たな取り組みが盛んなことなどが特徴として挙げられます。
 このように、多摩の農業は農家の創意工夫によって、健闘している実態があると認識しております。

○山田委員 必ずしも恵まれた生産環境ではないと思いますけれども、東京農業は、都民に新鮮で安全な農作物を提供するということで、農家の創意工夫によって展開していることがよくわかりました。
 また、今の答弁にもありましたけれども、都市農業は、農業体験を通じた収穫の喜びや身近な自然との触れ合いなど、都市住民の心身のリフレッシュや子どもたちの教育の場としての役割も大きくなっております。
 こうした都市地域のニーズをとらえ、消費者との交流を経営に積極的に取り入れます観光園とか体験農園が都内でも広がりつつあります。
 私は、この中で、農家が農業経営として設置をする体験型の市民農園、いわゆる体験農園の動向に注目をいたしているところであります。
 現在、自治体などが開設をいたしております一般の市民農園につきましては、相続税の納税猶予制度の特例を受けられないことから、生産緑地を中心とする市街化地域での新たな整備が困難となっております。
 しかし、農家の指導と指示によります栽培や収穫作業を行う体験農園は、納税猶予制度の適用を受けるということでありまして、利用する市民にとっても、プロの農家の方から直接指導が受けられること、あるいは高い栽培技術を指導いただけることとか、あるいは収穫物もいただけるということから大変喜ばれているわけでありまして、私の地元でもこの体験農園の開設については強い要望がございます。
 そこで伺いますが、都は今後、体験農園の整備に対する支援をどのように進めていくのか伺います。

○有手産業労働局長 都内の体験農園は、農家との親密な触れ合いや技術指導、質の高い農産物の収穫などが利用者から高い評価を受けておりまして、平成八年の練馬区からスタートしたこの制度は、平成十五年には二十カ所、千五百区画を超える急速な増加を見ているところでございます。
 お話にありましたように、この体験農園は、都市の農業の継続、農地保全の上で最大の課題である相続税の納税猶予を受けられることや所得確保などのメリットがございます。さらに、担い手が不足する農家にとっては、農作業の軽減にもつながっております。
 このため、都は国に先駆けまして、独自に体験農園の計画的な整備支援を行っておりまして、今後、区市とも協力して、優良事例の紹介などにより、整備地域の拡大に努めていきたいと考えております。

○山田委員 積極的な支援をよろしくお願いをいたしたいと思います。
 次に、東京都は、農業事務所のさらなる機能強化に向け、平成十六年度に農業改良センターとの統合などを進めていると聞いております。多摩地域の第一次産業の振興を図る上では、こうした地域密着型の機動的な行政展開がますます重要になってきておりまして、そうした面では評価いたしたいと思います。
 そこで、農業事務所の機能強化に向けた考え方をお聞かせ願いたいと思います。

○有手産業労働局長 お話にございましたように、現在、農業事務所は、多摩地域全体の総合的な農業振興を所管してございます。
 また、農業改良普及センターは、現場に密着し、直接都内全域の農家の技術や経営指導に当たってございます。
 このたび、この両組織を統合し、新たに農業振興事務所を設けますが、ここに、現在本庁に属している農業技術の専門職員も配置いたしまして、政策的な視点と普及センターの現場感覚とを兼ね合わせました、より地域の実情に即した、スピーディーで、かつ的確な農業振興を実現していきたいと考えております。
 これによりまして、食の安全や農業との触れ合いなども含めて都民の多様な期待にこたえていく所存でございます。

○山田委員 よろしくどうぞお願いいたします。
 それでは、次に、青少年の健全育成について伺います。
 私は、毎月、青少年健全育成審議会で不健全図書やビデオの審査をいたしておりますけれども、女性の人格を否定し、冒涜する犯罪的な題材がほとんどでありまして、思わず目を覆いたくなるものばかりであります。このため、審議会として、自動販売機の規制強化を都に要請をし、平成十四年度から年齢識別装置を設置する自主規制が開始されたのであります。
 今回、青少年健全育成条例が改正され、規制の強化策の一つに自動販売機の年齢識別装置の設置と稼働を義務づけるようになりました。大変よいことだと思っております。
 そこでお尋ねいたしますけれども、現在の自動販売機の設置状況及び自主規制の現状と問題点について伺います。

○三宅生活文化局長 現在、都内には約三百四十カ所、千百台のアダルトビデオ等の自動販売機がございますが、そのうち約一割には年齢識別機が未設置でございます。
 また、年齢識別機等が設置してあっても、夜間になるとタイマーが働いて、だれでも買えるようになります自動販売機が過半を占めております。
 このように、自主規制の限界が明らかになったために、今回、年齢識別機等の設置と稼働を義務づけることとしたものでございます。

○山田委員 年齢識別装置を設置しない、または、設置しても稼働していない自動販売機があれば、規制の効果は上がりません。また、タイマーを使って稼働させないのであれば、夜間や休日にも状況を調査する必要があると思いますけれども、調査体制はどう確保するのか、伺いたいと思います。

○三宅生活文化局長 多数の自動販売機が都内に散在しておりますし、夜間、休日を問わず稼働しているため、現在の昼間勤務を原則とする知事部局職員十名の体制では、十分な調査は困難でございます。
 一方、都内に広く配置され、夜間、休日の勤務体制も敷かれております警察官に、今回、調査権を付与して、知事部局職員と協力して実効性ある稼働状況調査を行っていく所存でございます。

○山田委員 警察官と都職員が協力して稼働状況を調査するとのことでございます。大変でありましょうけれども、規制が有効に機能するためによろしくお願いいたしたいと思います。
 今回の規制は、全国初の方法とのことでございますけれども、今までの規制に比べてどう有効なのか、伺います。

○三宅生活文化局長 現在の規制方法でございます不健全ビデオの収納禁止は、ビデオの内容が認定基準に該当するか否かの判定など、種々の困難がございます。
 一方、今回の規制方法では、年齢識別機等が未設置であったり、設置してあっても稼働していなければ義務違反となります。
 このため、収納禁止に比べ有効な規制方法と考えております。

○山田委員 年齢識別機の設置と稼働は、健全育成審議会の問題提起が実りまして、全国初の規制を強力に実行し、東京発の青少年健全育成を進めていただきたいということを願いたいと思います。
 次に、消費生活についてお尋ねいたします。
 東京都消費生活総合センターや区市の消費生活センターに寄せられております相談が大変ふえていると聞いております。消費生活相談というのは、世の中の姿をあらわす鏡であるといわれております。
 そこでまず最初に、相談件数が多い若者や高齢者の相談について伺いたいと思います。
 判断力が未熟な若者や、判断力が不足する高齢者の被害はとりわけ深刻であります。被害の未然防止のために、どのような考え方で取り組んでいるのか、基本的な考え方と具体的な取り組みについて伺います。

○三宅生活文化局長 消費者被害の未然防止のためには、必要な人に適切な情報が行き渡るように、消費者の年齢その他の特性に配慮した取り組みが必要でございまして、若者に対しては、今年度は、マルチ商法などの被害の急増に対応するために、都庁におけるシンポジウムの開催、あるいは若者トラブル一一〇番、これを一都九県、四政令指定都市、それから、都内の三十一消費生活センターで同時に開催いたしまして、実施してきたところでございます。引き続き、新入生ガイダンスなどの場の活用や若者の利用するカラオケボックスへポスターを掲示するなど、大学や事業者の協力を得て、積極的に普及啓発を行います。
 また、高齢者に対しても、リーフレットの配布などに加えまして、ひとり住まいの高齢者や高齢者世帯を中心に、新たに民生委員やホームヘルパーなど福祉関係者を通じて、直接注意喚起情報が届くように取り組んでまいります。

○山田委員 いかに迅速に被害状況を把握するか、把握した情報をいかに早く消費者に届け注意を喚起するのか、被害の情報把握、そしてまた迅速な情報発信について、どのように対処しているのか、伺いたいと思います。

○三宅生活文化局長 消費者被害に関する相談情報につきましては、都は、平成十五年度から、電話を受けながら直接パソコンに入力する東京都独自の相談情報システムを通じて、相談現場において利用できるようにいたしました。
 直接入力によるこの方法は、平成十六年度内に都内の全区市にも導入される予定でございまして、被害情報の把握は格段に迅速化いたします。
 また、都民への注意喚起につきましては、相談現場における対応のほかに、新たな手口や悪質な手口の被害などの情報を、マスコミ等に積極的に情報提供を行っておりますし、同時にホームページに緊急消費者被害情報として掲載しております。

○山田委員 ぜひ迅速な対応をお願いいたしたいと思います。また、悪質業者に対しましては厳しい規制をかけていくべきだと思います。
 私は、十四年度の各会計決算特別委員会におきまして、近県を含む広域での事業者指導の必要性を指摘いたしましたけれども、実施してきたこれまでの取り組みの成果を踏まえつつ、業者指導に対して今後どのように取り組んでいくのか、局長の決意をお尋ねをいたします。

○三宅生活文化局長 東京都におきましては、平成十三年度に特別機動調査班を設置いたしまして、以降現時点まで、悪質事業者の処分件数は二十一件でございます。事業者名の公表を含む厳正な行政処分を行ってまいりました。
 こうした取り組みは、当該事業者に不適正取引を改善させるという直接効果だけではなくて、他の事業者への牽制、あるいは都民への注意喚起、区市町村を含む相談現場における消費者の被害救済などに効果を発揮しております。
 今後、巧妙な手口で消費者を欺く悪質事業者が絶えない現実に対しまして、さらに指導の強化を図ってまいりますが、特に広域的被害に対しましては、隣接三県とスクラムを組んで行政処分を含む事業者指導に取り組んでまいります。

○山田委員 今、局長の方から、広域的被害に対しては隣接県とスクラムを組んで行政処分を含む事業者指導に取り組むとの力強い決意を述べていただきましたけれども、今後とも、悪質な業者に対する事業者規制に積極的に取り組んでもらいたいということを要請いたしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、最後に、東京都の健康施策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今や、日本は世界一の長寿国であります。二〇〇三年のWHOの報告書では、日本は平均寿命、健康寿命、すなわち健康で過ごせる寿命、どちらも世界一を誇っております。特に健康寿命は、男性七十二・三歳、女性七十七・七歳で四年連続世界一であります。
 しかしながら、長寿社会のもと、不健康な食習慣や運動不足などにより、がんや心臓病などの生活習慣病がふえているのも事実であります。生活習慣病の多くは、自覚症状のないままに進行し、気づいたときには命の危機があったり、身体機能や生活の質が低下したりしてしまいます。
 健康づくりにおいては、生活習慣病の予防、つまり病気にならないよい生活習慣づくりと病気の早期発見、早期治療が、生活の質を高める上で大切であると思います。
 生活習慣病の中でも特に三大生活習慣病といわれるがん、心臓病、脳卒中は、都民の死因のかなりの割合を占めていると聞いており、都にとっても重要な課題であり、都民にとっても非常に関心が高いところではないかと思います。
 そこで伺いますが、都におけるがん、心臓病、脳卒中による死亡者数、死亡率の現況はどうなっているのか、お聞かせください。

○平井健康局長 平成十四年の人口動態統計によりますと、東京都全体の死亡者数およそ八万五千人のうち、がんによる死亡者数が二万八千人、心疾患が一万三千人、脳血管疾患が一万一千人であり、この三つの疾患で全体の六割を占めております。
 また、人口十万人当たりの死亡率で申し上げますと、がんが約二百三十、心疾患が約百十、脳血管疾患が約九十となっております。

○山田委員 三大生活習慣病の中でも、やはりがんによる死亡が特に多いようであります。そこで、がん予防対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最近、新聞等で乳がんについての記事を目にすることが多くなりました。国においても、乳がんの早期発見が重要であるとして、検診については、現在、検討会を立ち上げ、乳がんのX線検査、いわゆるマンモグラフィー検査の対象年齢の十歳引き下げを検討していると報道されております。
 私も調べてみて、驚いたことには、都の乳がんの死亡率が全国ワーストだそうであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、都も、これまで乳がんの検診を行っていると思いますが、都においてマンモグラフィーによる乳がん検診を進めていくための課題は何であるとお考えでしょうか。お尋ねをいたします。

○平井健康局長 現在、都内の医療機関のマンモグラフィー保有状況は、医療機関案内「ひまわり」への登録では、およそ二百四十カ所となっているのに対しまして、日本乳癌検診学会などで構成するマンモグラフィ検診精度管理中央委員会が、高度な技量を持つと認定しております都内の読影医師、撮影技師はそれぞれ百二十名ほどでございまして、技量の高い人材の養成が重要な課題であると考えております。

○山田委員 十分な技量を持った読影医等の確保が課題ということでありますが、今後どのように施策を行うのでしょうか。
 また、都民の方にも都の乳がん死亡率が全国ワーストということをもっと知ってもらわないといけないと思います。乳がんの早期発見の重要性に対する認識が高まらないと、受診率も高まっていかないと思います。
 都といたしましても、都民に乳がんを正しく理解してもらうためには、どのようなことを行っていくのでしょうか、お伺いいたします。

○平井健康局長 来年度は、技量の高い読影医師や撮影技師を養成するため、先ほど申し上げた委員会との共催によりまして、同委員会の認定も受けられるなどの専門性の高い研修を実施してまいります。
 また、専門家のご意見もいただいて、都民に対して乳がんに関する正しい知識や早期発見の必要性について、さらに普及啓発を図ってまいります。

○山田委員 それでは、最後であります。
 先日、国民的スターの元巨人軍監督、アテネオリンピック野球日本代表チーム監督の長嶋茂雄前巨人監督が脳梗塞で入院をされました。人一倍健康に気を使っていらした方だけに、日ごろから鍛えた体力と気力で経過は順調なようでありますが、一日も早い回復を願っております。
 石原知事も、長嶋監督のことをご心配かと存じます。脳梗塞は、食事や運動、ストレスなど、ふだんの生活習慣が大きく影響する生活習慣病の一つといわれております。
 知事は、ジムに通われたり、いろいろと健康には気を使っていらっしゃるとお聞きいたしておりますけれども、大変忙しい知事の健康の秘訣、石原流健康法というものをぜひご教授をいただきたいと思います。お願いいたします。

○石原知事 さしたる健康があるわけじゃありませんが、性格でしょうか、私、体を動かすのが好きでして、動かしていないと精神ももたない、頭も動かないという性癖でありまして、一人で走ったり、歩いたり、あるいは泳ぐときも独特な方法で、私はダイビングがプロですから、シュノーケルをつけて泳ぎますと、ひとり言をいったり、せき払いしながら何千メートルも泳げるわけです。
 そんなことで体を動かしておりますが、お互いにこうやって同じところにじっと長く座っているというのが一番ぐあい悪いですな。これは、やっぱりエコノミークラスシンドロームが起こりますんで、この後、私、終わったら、家まで歩いて帰りたいなと思っております。

○山田委員 石原知事におかれましては、ぜひ十分健康に留意をされ、都政改革に邁進され、東京都の再生、日本国の再生のためにご尽力を賜りますよう心からご祈念申し上げまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)

○樺山副委員長 山田忠昭委員の発言は終わりました。

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