東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○樺山副委員長 長橋桂一委員の発言を許します。
   〔樺山副委員長退席、大木田副委員長着席〕

○長橋委員 初めての予算特別委員会の質問でございます。よろしくお願いをいたします。
 まず、地球温暖化対策に有効な太陽光発電の普及促進についてお伺いをいたします。
 石原知事は、ディーゼル規制では、国の規制を待つことなく進めて、都民の健康保持という課題に積極的に取り組んでこられました。都民の健康保持と東京の社会経済活動の維持発展を図っていくための次の対策として、私はこの地球温暖化対策がある、このように考えます。
 国際機関であるIPCCの報告では、我々が現在のペースで二酸化炭素などの排出を続ければ、二一〇〇年までに地球の平均温度は最大で五・八度上昇する。実際、異常気象による災害や農作物被害などの世界規模での経済的損失は、一九五〇年から一九九〇年の間に十倍になっているというふうに報告があります。今後さらに二酸化炭素が増加すれば、ますます経済的損失がふえることは明らかであります。また、経済的損失だけでなく、人類の生存そのものにもかかわる重要な問題であります。
 そこで、知事にまず伺います。施政方針演説において、自然エネルギーの利用拡大が温暖化対策の重要な柱であるとしておりますけれども、コスト面でさまざまな課題はあると思いますけれども、今いった人類の生存にかかわる問題であるだけに、自然エネルギーなどの普及拡大を積極的に図るべきであると考えますが、所見を伺います。

○石原知事 東京を持続可能な都市に変革するためには、エネルギーのさらなる有効活用に加えて、環境負荷の少ない再生可能エネルギーの導入を進めることが重要だと思います。
 再生可能エネルギーの普及には、国の役割が決定的に重要でありますが、都としても、率先してその役割を果たしていきたいと思っております。
 都は、昨年、大都市部で初めて風力発電施設を導入いたしました。ちょっと風量が足りないようでありますけれども……。本年には、浄水場における太陽光発電の設置、さらには、水再生センターでの下水汚泥によるバイオマス発電事業を開始いたします。
 今後とも、地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギーの利用拡大を幅広く検討していきたいと思っております。

○長橋委員 自然エネルギーなどには、今いった太陽光発電や風力発電、またバイオマス発電などがあるわけでありますけれども、そのうち、特に我が国が世界の生産量の四五%を占める、第二位のアメリカを大きく離して世界一の生産規模を誇る太陽光発電の普及促進は、極めて有望であり、将来性がある、このように考えます。
 我が国政府は、新エネルギーの導入目標を設定しておりますけれども、この太陽光発電についても導入目標を設定しております。二〇一〇年度には四百八十二万キロワットを目指すとしておりますけれども、二〇〇一年度現在で実績は四十五・二万キロワット、約十倍という高い目標であります。今後相当の拡大を進めなければ、目標達成は困難であります。
 エネルギー対策は、安定供給の面でいえば国の役割でありますけれども、環境対策としての自然エネルギーの導入については、地方自治体としても役割を果たすべきであります。
 そこで、太陽光発電の都内における現在の設置状況と、今お話ししました国の太陽光発電の導入目標に対する東京都の認識についてお伺いをいたします。

○小池環境局長 太陽光発電の設置状況を示します都道府県別の統計がありませんので、詳細がちょっとつかめないところがございますが、設置場所別に調べましたところでは、都有施設については、平成十四年度末現在、十六施設、合計五百七十三キロワット、住宅につきましては、新エネルギー財団の補助実績によりますと、約三千五百件、合計一万一千七百キロワット、事業所につきましては、都の建築物環境計画書による届け出実績では、八件、百三十五キロワットとなってございます。
 また、国の導入目標につきましては、現在の導入実績からいたしますと、総合資源エネルギー調査会の報告書でも指摘されておりますように、官民が最大限の努力を傾注して初めて達成できる、相当高い目標であると認識しております。

○長橋委員 今、答弁がありましたけれども、東京都の施設や住宅については、設置状況については掌握をされているようでありますけれども、区市町村や民間事業者については、今お答えがあったのは大型だけでございますので、すべてを掌握されてはおりません。これでは、普及促進を図るといってもなかなか進まないんではないか、このように思います。
 経済の活性化にもつながる太陽光発電の推進は、環境と経済が両立するといういい事例になるわけであります。私としては、東京都自身が太陽光発電の導入目標を立て、その明確な目標のもとに設置を進めていくべきと考えます。導入計画の策定を強く要望いたします。
 そこで、まず温暖化対策を進める上で、全庁的な指針を環境局がリーダーシップをとって作成すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○小池環境局長 都は、全庁を挙げまして、地球温暖化対策を推進していくため、平成十三年三月に地球をまもる都庁プランを策定し、すべての事務事業活動に伴うCO2排出量の削減に取り組んでいるところでございます。
 その取り組みの一環といたしまして、太陽光発電、風力発電、小水力発電、メタンガス発電などの再生可能エネルギーの導入を、上下水道施設や都営住宅等におきまして進めてございます。
 平成十六年度にプランの改定を予定しておりまして、その際には、技術開発の動向等も踏まえ、再生可能エネルギーの導入拡大を含む実行計画としてプランを策定いたしまして、幅広く温暖化対策が進展するように取り組んでまいります。

○長橋委員 自然エネルギーの導入拡大を含む計画をつくると。ぜひ、もう一回いいますけれども、目標も含めた計画をお願いしたいと思います。
 次に、学校における環境教育という観点からお伺いをいたします。
 昨年十月に施行されました環境保全・環境教育推進法におきましては、環境に配慮し、これを大切にする心をはぐくむとともに、具体的な学習の充実が求められております。
 そこで、環境教育の推進に対する都教育委員会の基本的な考え方と、学校における取り組みについて伺います。

○横山教育長 学校におきます環境教育は、子どもたちに、環境への関心を高め、環境保全に必要な知識や技能を身につけさせるとともに、環境問題の解決に積極的に取り組む実践的な態度の育成を目指すものでございまして、これからの社会に生きる子どもたちにとって重要な教育であると認識いたしております。
 現在、各学校では、各教科や総合的な学習の時間などにおきまして、環境と人間とのかかわりについて学んだり、環境保全のための実践的態度を身につけたりする学習を行っているところでございます。

○長橋委員 今、都教委の基本的な考えをお伺いいたしましたけれども、公共施設の中でも、学校は比較的スペースがあり、太陽が照っている日中に活動するといいますか、また防災拠点としても期待できる。そういうことから、太陽光発電の導入に適しているんではないかと思います。
 そこで、都立学校における太陽光発電の導入状況と、そして今後の課題についてお伺いをいたします。

○横山教育長 都立学校への太陽光発電設備の導入につきましては、これまで、平成十二年度及び十三年度に各一校ずつの計二校に、モデル的に設置をいたしております。このモデル的な設置を通じまして、学校施設への普及の可能性や問題点の把握を行っているところでございます。
 現時点では、設置コストや発電効率など一層の技術開発の推進が必要とされている点もございまして、本格的な導入につきましては検討すべき課題があると認識しております。

○長橋委員 環境教育推進法の趣旨に沿って、学習効果をより高め、環境保全について理解を深めるために、太陽光発電も含めた総合的な施策の展開が必要だと考えます。
 今、本格的な導入については課題がある、こういっておりましたけれども、都立学校で二校にモデル的に導入しているということでありますけれども、このモデル的な実施から、学校におきましては本格的な実施へと積極的な検討をすべきと考えますが、見解を伺います。

○横山教育長 次の世代を担う子どもたちが、環境への関心を高めて、環境保全に対する理解を一層深めていくためには、学校教育の場において、環境に対するさまざまな取り組みを推進していくことが必要であると考えております。
 今後、速やかに庁内に検討委員会を設置しまして、自然エネルギーの活用など、都立学校における環境教育と環境保全対策につきまして、総合的な観点から検討してまいります。

○長橋委員 今、速やかに検討委員会を設置するということでございますので、二十一世紀の学校が、本当に地球環境を守る先端施設となるよう、将来を担う子どもたちが環境保全に対してより一層の認識を深める教育を推進されるよう、強く要望いたします。
 次に、障害者対策についてお伺いをいたします。
 先月、板橋区にある知的障害者の入所更生施設、そして豊島区にある重度の知的障害者の方の生活寮を、同僚とともに視察してまいりました。特に、障害が重くても、地域の中で一生懸命生きている、そういった姿に感銘を受けたわけでございます。
 希望する知的障害者の方が地域で自立して生活できる社会を実現するということは、利用者の選択を重視する支援費制度の理念とも合致するものであります。障害者と健常者がともに暮らすノーマライゼーションの理念を推進するものであります。
 都が地域生活支援緊急三カ年プランで生活寮の整備促進を進めていることは、高く評価をいたします。どんな人であれ、地域の中で安心して暮らしていけることが幸せの原点である、このように思います。
 しかしながら、入所施設での生活と地域での生活では、必要となる経費に大きな開きがある、こういうふうに聞いてまいりました。とりわけ、家賃の負担の大きさが、地域で生活することをためらう大きな要因となっているということでございます。
 そこで、まず施設で生活している障害者と、地域の生活寮で生活している障害者とでは、自己負担する費用はどれくらい差があるのか、お伺いをいたします。

○幸田福祉局長 入所施設では、衣食住等の日常生活に必要な経費は支援費の中で賄われており、利用者は所得に応じましてその費用を負担しております。一方、生活寮で暮らす障害者は、年金や手当などの収入から、家賃、食費、共益費、日用品費などの経費を賄っています。
 その結果、例えば障害基礎年金二級の障害者では、施設に入所した場合、月額約三万円の費用負担であるのに対し、生活寮を利用した場合は、家賃や食費など生活寮の中で必要な経費に限っても、平均で約七万二千円を負担しております。

○長橋委員 月額で七万二千円と三万円、倍以上違う。自己負担の費用の差が四万二千円であります。これでは、地域で自立して生活できる社会の実現には、大きな壁になっているわけであります。
 生活寮の整備促進を進めていくには、まず、生活寮で生活する障害者の経済的負担の緩和、これに取り組むべきであります。現在、都が実施している家賃助成制度、この制度をさらに拡大していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○幸田福祉局長 生活寮の家賃は、障害者が地域生活を営む上で本来的に必要な経費として自己負担を原則としておりますが、物価や家賃が高い大都市の特性を踏まえ、都独自に所得に応じた家賃助成を行っております。
 都は、地域生活移行を一層推進していくため、来年度、家賃助成の所得算定におきまして、新たに基礎控除を認めるなどの改正を行うことといたしました。
 このことによりまして、全利用者のうち、家賃助成を受けることのできる者の割合は、現在の約三七%から、約五九%にまで拡大するものと見込んでおります。

○長橋委員 今、すばらしいご答弁がありまして、都独自の改正を行って家賃助成対象者が六割まで拡大すると。大変なことであります。地域生活支援を推進する大きな改正であり、評価をいたしますし、期待をいたします。
 次に、地域生活支援緊急三カ年プランでは、生活寮の約千人分の増設の目標とともに、平成十八年度までに知的障害者入所施設の待機者を解消するという目標が掲げられております。
 そこで、現在、知的障害者入所施設は何カ所で、定員は何人であるのか、伺います。そのうち、二十三区内には何カ所あるのか、また待機者はどのぐらいあるのか、お伺いをいたします。

○幸田福祉局長 都内の知的障害者入所更生施設は、平成十六年一月一日現在、四十二カ所、定員は二千七百二十二名であり、そのうち二十三区内は五カ所、定員は三百三十五名であります。
 また、施設入居待機者は、平成十五年十二月末現在、一千百三十一名となっております。

○長橋委員 二十三区内には四十二カ所のうちわずか五カ所しかない。その上に待機者が一千百三十一名もいるということは、改めて、この都の状況の深刻さ、二十三区内の深刻さを痛感をするわけでございます。
 私の地元の豊島区で現在、フロンティア豊島、六カ所目になるかと思いますけれども、この施設の建設が進んでおります。平成十七年度には開設をするということでございますけれども、この施設は二十三区内では貴重な入所施設でありますけれども、日中活動の場である通所施設やショートステイを併設しています。まさに地域生活支援型の施設であり、地元としても期待をしているところでございます。
 国は、財政難を理由に、来年度は一律に入所施設の新規整備に係る補助金は認めない、こういう方向であると聞いておりますけれども、このフロンティア豊島のように、二十三区における障害者の生活、地域生活を支える機能を備えた入所施設の整備、これは医療に例えれば、生活寮が診療所であるならば、入所施設は総合病院、都立病院、こういう役目を果たすものではないかな、このように考えます。今後とも推進していくべきと考えますが、見解を伺います。

○幸田福祉局長 都は、従来の入所施設とは異なり、デイサービス、ショートステイなど地域の障害者を支える機能を備えるとともに、地域生活を希望する利用者への自活訓練事業に積極的に取り組む、地域生活支援型の入所施設の設置を促進しております。
 また、こうした入所施設において、施設みずからが生活寮を設置するよう働きかけていきたいと考えております。
 今後とも、地域バランスに留意しつつ、地域のサービス拠点となる入所施設を整備していく考えでございまして、国に対しましても、その必要性について強く働きかけてまいります。

○長橋委員 地域バランスということでは、二十三区、非常に少ないわけで、いろんな問題があるかと思いますけれども、進めていただきたいと思います。
 障害者が地域で自立して生活できる社会の実現に向けて、まだ始まったばかりでございます。障害者の親亡き後の不安を解消していくには、さらに地域での生活基盤が、質量ともに充実を図っていかなければなりません。
 今いったインフラ整備とともに、地域での就労、教育など生活全般を支えていくための体制づくりを進める必要があると考えます。見解を伺います。

○幸田福祉局長 障害者が地域生活を続けていくためには、就労支援や日常生活の相談などに対応していく必要がございます。
 そのため、都は、区市町村障害者就労支援事業を今年度から本格実施し、就労面と生活面の支援を一体的、継続的に行う取り組みに対する補助を行っておりまして、来年度は二十六カ所に拡大する予定でございます。
 また、都内三十五カ所の障害者地域自立生活支援センターにおいても、地域で生活する障害者に対するさまざまな相談、助言などの支援が行われております。
 今後とも、区市町村と協力して、身近な地域で障害者の生活全般を支えていくための体制づくりに努めてまいります。

○長橋委員 ぜひ、希望する障害者の方が地域で安心して生活できるよう、福祉の分野だけではなくてさまざまな分野で知事の強力なリーダーシップを発揮していただいて、全庁的な取り組みをぜひお願いをいたします。
 次に、私の地元である大塚駅、その周辺整備について伺いたいと思います。
 東京の都市再生を進めていくには、ターミナルなど拠点駅の整備を進めていくことは重要であります。あわせて、多くの都民の生活拠点となる駅を核として周辺整備を進めていく、これも不可欠でございます。
 私の地元の大塚駅及びその周辺は、戦災復興の土地区画整理事業によって、当時の近隣の皆さんが土地を少しずつ提供して駅前広場などの公共施設が整備をされてまいりました。しかしながら、都市化が進んだ現在、駅によるまちの分断、歩行者や自動車、そして都電の荒川線、都バスがふくそうする駅前広場となっております。特に、都内ワースト五位となる駅前の放置自転車は、まちの美観を大きく損ねております。交通結束点としての大塚駅はこのように多くの課題を抱えております。
 このような課題を改善し、魅力ある大塚駅とその周辺整備のために、地元の商店街や住民でつくります大塚駅周辺を考える会が長年にわたって活動してまいりました。その第一歩となる南北自由通路の整備、駅のバリアフリー化が実現に向けて事業開始をいたしました。平成十九年度完成ということでございますので、大変地元としては喜んでおりますし、期待をするものでございます。
 そこで、今お話ししました、自由通路が整備をされても、JR線と都電の荒川線の乗りかえ、一たん外に出なければならないなど、その不便さは解消されません。JRの大塚駅では、約十一万人乗降客があります。都電大塚駅では、約一万二千人あります。乗りかえ客はかなりの数に上るわけでございまして、今後、乗りかえ客の利便性の改善をぜひ図るべきでありますけれども、改善に向けての都の取り組みをお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 公共交通の利便性向上のため、自由通路の整備を契機といたしまして、豊島区が中心となり、都、鉄道事業者で構成されます大塚駅周辺整備に関する調整会議を設置し、JR山手線と都電荒川線の乗りかえ利便性の改善など、駅周辺の課題整理の検討を始めております。
 都としては、今後ともこの調整会議に参画をいたしまして、具体的な改善案について関係者とともに検討を進めてまいります。

○長橋委員 次に、自転車駐輪対策もお伺いをいたします。
 今お話ししたとおり、都内でワースト五位ということで、常時二千台以上の自転車が放置をされております。地元豊島区でも、平成十六年度の重点事業として、この駐輪場の整備、これを検討の開始をするということでございます。大塚駅の駅周辺はほとんど都の管理下にあるわけでございます。このような豊島区の取り組みに対しまして、都として支援をしていただきたい、支援をしていくべきである、このように考えますけれども、見解を伺います。

○勝田都市計画局長 現在、大塚駅周辺には、お話のとおり、自転車駐車場が少なく、駅前を中心に多くの自転車が放置されておりまして、都市景観的にも、交通安全面からも問題がございます。
 このため、豊島区では、平成十六年度から大塚駅周辺の駐輪場整備についての調査を行うこととしておりまして、都といたしましても、区の調査状況を踏まえまして、技術的な支援や必要な調整などを行ってまいります。

○長橋委員 次に、駅周辺の再生策、これについてお伺いします。
 毎年、大塚駅周辺で、八月に阿波踊りが開催をされております。豊島区を代表するイベントとしてにぎわっておりますけれども、多くの人が集う駅前広場の公共空間を安全で快適な場所にすることが地域住民の願いであります。これも豊島区においては重点事業として、中心市街地基本計画、この策定を目指しているところであります。商業基盤施設等のハード事業、商業活性化のためのソフト事業の両面から、駅前広場の整備の実現をぜひするべきでありますけれども、その支援についてお伺いをいたします。

○勝田都市計画局長 大塚駅前広場は、広場の中を都電荒川線が貫通している上に、歩行空間が十分確保されていないことなどから、にぎわいを創出する都市空間としては不十分でございます。
 現在、豊島区を中心とした調整会議におきまして、安全で快適な駅前広場の整備のあり方について検討を進めております。
 都としては、今後、この調整会議などを通じまして、魅力ある駅前広場整備に向け、必要な支援を行ってまいります。

○長橋委員 ぜひ今後は、都において、住民の方々、そして地元豊島区の意向や要望を酌んで、可能な限りの支援を要請しまして、この質問を終わりたいと思います。
 次に、繁華街対策についてお伺いをいたします。
 私の地元である池袋は、新宿、渋谷と並ぶ東京の三大繁華街でございます。しかしながら、池袋というと怖いというようなイメージがありまして、よくいわれますけれども、実際に訪れる人がまゆをひそめるような状況も少なからず、見えるのは、あります。治安対策の上でも早急な改善が求められております。
 例えば、池袋駅東口周辺においては、ファストフードやゲームセンターなど多数建ち並んで、これらの場所が非行少年のたまり場になっているとも考えられます。また、キャッチセールス、スカウト、露天商の出没、こういったことに対しては、付近の商店や一般の通行人にも不安を与えているところであります。
 また、池袋西口においても、西口公園では、夜間、土日となれば若い青年たちが集まって騒いでいる状況が目立ち、少年犯罪の温床ともなっているのではないかな、このように考えております。
 ところで、東京都は、今いった三つの繁華街を抱える新宿、渋谷、豊島の三区の区長、警察署長とともに、昨年九月に新宿・渋谷・池袋地区治安対策代表者会議を設置をいたしまして、関係者が協力して繁華街対策に取り組んでおります。その繁華街対策について、まず伺いたいと思います。
 まず、今回の青少年健全育成条例、これにおきまして、青少年の深夜徘回が規制されることになっております。その中に、何人も深夜に外出している青少年に対しては、その保護及び善導に努めなければならない、こういう規定があります。
 この規定は、努力規定であるというふうに思うわけでありますけれども、例えば商店街の方が、また住民の方が、たむろする暴走族や集団で夜遅くまでいる高校生などに対して注意をしよう、こういうことでございますけれども、なかなかいい出せない、そういう場合には警察に通報するということもできる、こういう規定であるかと思いますけれども、この規定のねらいと、実効性を高める方策について、伺います。

○三宅生活文化局長 青少年が深夜外出して犯罪に巻き込まれる危険を未然に防止するためには、大人が青少年を深夜外出させることを制限するだけでなく、深夜外出している青少年に対し、大人が積極的に注意し、帰宅を促すことも必要でございます。
 昔ならば、条例に定めがなくても当然のこととしてなされていたことでございますが、近年は子どもに注意する大人はすっかり少なくなっておりますので、宣言的規定として、保護及び善導の努力義務を条例に盛り込んだものでございます。大人の注意を喚起するとともに、夜間にパトロールをしていらっしゃる商店街や住民の皆さんの励みになること、背中を後押しするというようなことも期待しております。
 東京都においても、心の東京革命の一環として、キャンペーンなどにより大人の自覚を促してまいります。

○長橋委員 次に、捨て看板対策、これも繁華街でよく見られる光景でありますけれども、捨て看板、また張り紙、こういったものはまちの景観を台なしにするだけでなく、歩行者の通行を妨げる、またその内容が、風俗営業や消費者金融などの看板が多いわけであります。こういったことは、青少年への悪影響をもたらしているわけであります。このような捨て看板は、景観上、交通安全上、そして治安の上からも大きな問題であると思います。
 都や地元の区や町会、商店街などで撤去に取り組んでいることは承知をしておりますけれども、実際にはイタチごっこで実効性が上がっていないのが実態であります。実効性を上げるために、法律や条例の見直しを含め、徹底した対策を実施すべきであると思います。
 国は、今国会で屋外広告物法を改正するとのことであります。都は、この機会をとらえて取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○勝田都市計画局長 いわゆる捨て看板などの対策につきましては、都はこれまでも、区市、警察、商店会、町会などと協力をいたしまして取り組みを進め、昨年度は約百八十万枚を除却しております。
 国においては、即時除却できる捨て看板の対象を拡大するとともに、広告業の登録制の導入や罰則規定の強化などを内容とする法改正を予定しております。
 一方、都では、広告物審議会で今後の広告物規制のあり方を検討する中で、捨て看板対策といたしまして、行政と都民ボランティア、業界団体などと連携した取り組みの実施や、広告主への罰則を強化することなどを検討しております。
 今回の法改正や審議会の答申を踏まえまして、より実効性のある違反広告物対策に粘り強く取り組んでまいります。

○長橋委員 ぜひ条例改正を含め、取り組みを強化されるよう望みます。
 次に、きのうも議論がございましたが、脱法ドラッグ対策について一問だけお伺いをいたします。
 池袋を初めとする繁華街では、脱法ドラッグを店舗や路上で売買されております。夜間、繁華街を徘回する少年たちが犯罪に巻き込まれるきっかけにもなっているといわれておりますし、また、警戒感が薄く、入手が容易で違法な薬物乱用へとつながりかねない。青少年の健全な育成の観点からも、麻薬や覚せい剤と同様に厳重に取り締まるべきである、こういうふうに思います。
 知事の施政方針でも、健康被害や犯罪の誘発など、青少年の心身をむしばんでいるとして、専門家による調査会とドラッグGメンを新設して対策を実施していくと述べられております。
 繁華街において流通している脱法ドラッグを規制していくには、集中して指導、取り締まりを行うべきと考えますが、所見を伺います。

○平井健康局長 都では、先月、実効ある脱法ドラッグ対策を推進するため、脱法ドラッグ対策取組方針を策定いたしまして、買わない、使わせない意識の浸透を図るとともに、指導、取り締まりを強化していくことといたしました。
 ご指摘のとおり、脱法ドラッグは、青少年が多く集まる繁華街での売買が多く行われておりまして、こうした地域に重点を置いた監視指導が効果的であります。
 今後、対策強化月間を設け、繁華街でドラッグGメンによる夜間パトロールを行うなど、積極的な対策を展開してまいります。

○長橋委員 脱法ドラッグ対策として、対策強化月間を設ける、また夜間パトロールも行うということであります。ぜひとも強力に推進し、脱法ドラッグを徹底して排除するべきであると思います。
 池袋地区はかねてより地元の豊島区とともに防犯カメラの設置を求めてまいりまして、いよいよ設置をされ、まちの安全確保に向けて一歩前進した、このように考えております。ぜひ、今いった点に留意しつつ、繁華街対策、これについてさらに努力をお願いをいたします。
 次に、地域産業の活性化策として、少子化の影響で小中学校が統廃合となった跡地などの公有地に、ぜひ工場アパートを建設したらどうか、こういった観点から質問をしたいと思います。
 二十三区の工場は、長引く不況の影響による経済環境の変化や騒音等の公害問題、さらには、平成十四年七月に廃止をされましたけれども、工業等制限法の影響も相まって、撤退を余儀なくされてきている状況にあります。
 平成十四年度に出されました中対審の答申によりますと、東京の製造業は、平成二年から平成十二年のわずか十年の間に、北海道の製造業を上回る一万八千の工場と二十四万人の雇用が失われた、このように報告をされております。
 私の地元豊島区においても、事業所数は、平成十年から十二年のわずか二年の間に、千二百から千二十六、事業所数ですね、百七十四も減少し、従業員数も一万六百三十人から九千七十九人と、千五百五十一人も減少いたしました。出荷額におきましても、二千七十九億円から千八百十七億円と、二百六十二億円、大幅に減少しております。まさに製造業は危機的な状況にあります。
 このような状況を改善し、地域の再生を図るためには、地場産業を活性化することが有効な施策であります。私は、コンテンツ関連産業などの都市型産業の育成や、都心区に多く集積する印刷業などの地場産業を育成することが、地域産業を活性化させ、地域雇用をつくり出す原動力になると考えております。
 そこでまず、知事にお伺いします。
 危機にある東京のものづくりに対する現状の認識と、地場産業や都市型産業などの育成による産業力の強化に対する二十一世紀に対応した新しいものづくりの考え方についてお伺いをいたします。

○石原知事 東京のものづくり産業を取り巻く環境は非常に大きく変化しておりまして、ご指摘のように、製造業の減少は著しいものがございます。
 かつて私の選挙区でありました品川、大田区は、豆電球の生産で有名なところでありましたが、香港に追い上げられて、あっという間につぶれましたけれども、あのころはまだ要するに中小企業に対して金融というのがしっかりしておりましたから、皆さん、今までの物をつくる技術、経験を生かして、違う製品に転化して繁栄をしておられました。
 今日、そういう点で、金融というものが閉鎖的になっておりまして、致命的なマイナス要因になっておりますけれども、その一方では、ゲームソフト制作などのソフトのものづくりも台頭しておりますが、いずれにしろ、中小企業対策として、都は、CLO、CBOの発行やベンチャー投資法人、中小企業再生ファンドの創設などをして総合的に施策を展開中でございます。
 また、多彩な技術、技能を持つ人材や研究機関など、経営資源が数多く存在するのも東京の強みであります。これらを生かす総合的な政策によって東京の産業のパワーアップを図り、全国を牽引していきたいと思っております。

○長橋委員 近年、少子化による影響で、小中学校が統廃合となって、公有地の跡地などについて、その有効利用がさまざま検討されております。こうした跡地が準工業地域でない場合には、都市計画で用途地域を変更しなければならないことは承知をしておりますけれども、単に跡地を売却するのではなくて、空き校舎の活用も含めた地域産業の活性化に利活用すべきではないかと思います。
 そこで、区市と連携して、空き校舎や空き庁舎を活用した創業支援整備事業を行っているとのことでありますけれども、この事業の概要と実績について伺います。

○有手産業労働局長 都では、都市型産業を創出するために、創業間もない企業や新たな業を起こす人々に、空き庁舎を活用した創業の場を提供してまいりました。
 実績といたしましては、平成十二年度から「ベンチャー・SUMIDA」、「ベンチャー・HACHIOJI」、「ベンチャー・KANDA」など六十三室を提供し、ご利用いただいております。
 また、平成十四年度からは、空き校舎を活用して地域産業の特性に応じた創業支援施設の整備を行う区市町村を支援してまいっております。これにより、品川区など六区で八十四室が設置されました。この助成額は、一カ所一億円を限度として六区に総額五億円を助成しております。
 空き校舎、空き庁舎を活用いたしましたこれらの施設の利用状況はほぼ満室で、盛況でございます。

○長橋委員 今お話がありましたとおり、空き校舎、空き教室を有効に活用した今の創業支援設備を整備することは、ベンチャー企業、創業に対しての育成にとって非常に有意義であるし、評価をいたします。
 しかし、創業支援も必要でありますけれども、現実に、既存にある企業、特に中小企業、こういった方々の操業の場を確保することも大事ではないかなと思います。
 都は、特別工業地区建築条例を廃止するなど規制緩和を進めてこられましたけれども、さらに工場の生産活動の場を確保していく必要があると思います。
 学校跡地を含めた公有地の工場アパートなどを支援する施策について、国の予算を含め、予算措置状況についてお伺いをいたします。

○有手産業労働局長 新たな技術やアイデアの事業化を目的としまして区市町村が行う貸し工場などの創業支援施設の整備に対する国の予算は、全国で平成十五年度は十億五千万円、平成十六年度は七億九千万円となっております。
 また、都のこれらの整備に対する予算額は、両年度とも歳出といたしましては三億円を、歳入としてはその二分の一の国庫補助を計上したところでございます。

○長橋委員 国では、十五年で十億、十六年では八億と減ってきておりますし、都でも三億円ということで、こういった事業では心もとない状況だなと思います。
 今後、学校の跡地を含めた公有地の産業振興面での有効利用を図るべきでありまして、せっかく工業等制限法を廃止されても、産業を育成する有効な支援策がないのでは意味がありません。実効性のある施策を進めるためにも、もっと大型の予算措置が必要ではないかなと思います。
 国に対して支援策を求める要望を出すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○有手産業労働局長 地域経済の活性化を図るため、情報、コンテンツ関連産業を初めとする都市型産業を育成していくことは、極めて重要でございます。こうしたことから都は、区市町村が地域産業の特性を考慮し空き校舎や空き庁舎を活用する創業支援施設の整備に対して支援をしているところでございます。
 今後、国に対しましても、さらなる施策の強化、充実を強く要求、提案してまいります。

○長橋委員 ぜひ、東京のものづくり産業の再生のために、国に強く働きかけてもらいたいと思いますし、今いった町工場の建設、これも一つの案でございます。ぜひ留意をしていただきたいと思います。
 中小企業振興対策審議会が、昨年十月に知事から、東京のものづくり振興のあり方について諮問を受けて、東京の町工場の経営者の方々が意欲を持っていけるようなさまざまなテーマについて議論をされていると聞いております。
 今後、こうした議論を踏まえて、情報、コンテンツ関連産業や印刷業などを含めたものづくり産業の活性化に向けて新たな施策を展開することを強く要望をいたします。
 最後に、昨日もいなば委員の方からもご質問がありました豊島病院の区移管について、若干お伺いをさせていただきます。
 都立豊島病院は、開設以来、地元板橋区はもとより、隣接する豊島区や練馬区などの住民にとってもかけがえのない医療を提供してまいりました。また、平成十一年七月に全面改築された後は、精神科救急や感染症医療など、東京都民全体を対象とする専門的な治療も提供してきた病院であります。これは周知の事実でございます。
 この豊島病院が、今回、板橋区から要望を受けて、区への移管に向けて都と区の間で協議を行うようになったということでございます。この移管問題については、我が党の今は亡き織田議員が、昨年、この予算特別委員会において、豊島病院の区立病院化に向けた板橋区の構想をぜひとも成功させたいという考えから質問を行いました。
 そこで、今後、地域住民は及ばず、都民の納得を得た上で豊島病院の区移管を進めていくことが重要でございます。そのためには、区立病院化に対する都の考え方を明確にしていくことが必要であります。こういった観点から、豊島病院の区立病院化について伺ってまいります。
 まず、区移管については、区民の医療にとってメリットがある、自治権の拡大にとっても意義があるということで、板橋区の要望に対して前向きに受けとめたということでございますけれども、それは評価するわけでありますが、調べますと、豊島病院は現在、施設規模として四百五十八床に対して、稼働している病床は三百六十床ということであります。九十八床、約百床が未開設になっているということであります。
 そもそも豊島病院は、平成十一年七月に全面改築後、病棟を順次開いて、平成十三年度当初までに全面的に病棟を開設するという予定でございました。それが、都立病院改革マスタープランで豊島病院の再編整備が打ち出され、二病棟九十八床が未開設のままになっております。この有効利用を考えるならば、引き続き区立病院になった場合にも、この未開設病棟を早急に開設して、全面開設のもと地域医療を行うよう、区に働きかけるべきであります。
 そして、あわせて、豊島病院が板橋区の運営する区立病院となったとしても、周辺区の医療機関との連携、これは継続すべきでありますし、またあわせて、現在の豊島病院は、先ほど申し上げました精神科救急やSARSなどの感染症医療への対応も行ってきております。このような都立病院として担ってきた重要な行政的医療、これについても、区立病院になった場合でも継続すべきと考えますが、お伺いしまして、質問したいと思います。

○碇山病院経営本部長 都立豊島病院が本来の機能を発揮するに当たりましては、お話にもございましたように、未開設病棟を早期に開設し、現行の施設や設備を十分生かした上で運営を行うことが望ましいと思います。
 しかしながら、現在、板橋区は、豊島病院の区立病院としての運営を目指しておりまして、このような区の構想を踏まえ、病院の将来のあり方を十分検討した上で、未開設病棟を開設していくことが適当であると考えてございます。
 このため、全面開設につきましては、地域の中核病院として効率的、効果的な運営を目指す観点からも、今後、区との協議の場で十分検討してまいります。
 次に、都立豊島病院が板橋区へ移管された場合に、二次医療機関としての機能を最大限に発揮していくためにも、お話にございましたような医療連携を十分に積極的に推進していくことが望ましいと考えてございます。
 このため、今後、区との協議の場におきまして、周辺区の医療機関も視野に入れました連携策を講じていけるよう、十分提案してまいりたいと思います。
 最後に、お話にございましたような精神科救急や感染症医療など、都全体で確保していかなければならない行政的医療への対応についてでございますが、今後、関係局間でこれは十分検討していかなければならないと考えてございます。
 この検討結果に基づきまして、区立病院を目指す豊島病院におきましても、行政的医療を提供していく必要があると判断された場合には、引き続き提供できるよう、板橋区に働きかけてまいります。

○長橋委員 急いでご答弁ありがとうございました。できる限り協議結果を早く都議会で報告することをお願いしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○大木田副委員長 長橋桂一委員の発言は終わりました。

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