東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○青木副委員長 清水ひで子委員の発言を許します。
   〔青木副委員長退席、委員長着席〕

○清水委員 私は、四百万人の都民が暮らす多摩地域の振興と都政運営について絞って伺います。
 まず、多摩地域自治体の行財政と多摩都民の生活に甚大な影響を及ぼすことが懸念されている二つのプランについてです。
 このうち第二次財政再建推進プランでは、補助額が二分の一以上の高率補助、補助額が百万円以下の少額補助、さらには長期に継続している補助などの区分を行っていますが、これによって、ほとんどすべての都の補助金が見直しの対象とされることになります。また、プランは、財源確保のために、期間中に一千二百億円の施策の見直しを進めることを求めています。
 お伺いいたします。第二次財政再建推進プランが見直しの対象とする市町村にかかわる補助は、七百三十三項目のうち、項目、金額のどれだけを占めるのか、お伺いいたします。

○櫻井財務局長 昨年六月に発表しました「途半ばにある財政再建」の中でお示ししました、十五年度予算の補助金一兆二百二十五億円のうち、区市町村に対する補助金は四千十七億円でありますが、区市町村に対する補助金には、例えば包括補助金のように、予算上、実際に補助する団体やその額が確定していないものも含まれております。特別区の分と市町村分とを分けた集計はできかねます。

○清水委員 実際に、これからどれだけ市町村に影響があるのかということが問われるわけですから、そのぐらいのことはきちんと調べるのが当たり前だと思います。
 都民に対して、一千二百億円という痛みを伴う施策の見直しを求めておいて、それが多摩市町村に対してどれだけの規模と内容なのかも示せないというのですから、今の説明で明らかなことは、プランの期間中に一千二百億円の施策見直しを行おうとしているが、実は四千億円の区市町村補助すべてが見直し、すなわち事業の廃止や削減、縮小の対象とした切り下げが行われるということになるわけですね。
 区市町村補助といっても、二十三区と多摩の自治体とでは、見直しによる影響の大きさは、天と地ほど大きいのです。
 第一に、二十三区と多摩の財政力の格差があるからです。この問題は、これまでも何回か取り上げてきましたが、区市町村にとって基幹的な税である法人住民税と固定資産税を比較すると、二〇〇二年度では、二十三区が一兆四千六百九十三億に対して、多摩市町村は三千三百六十八億で、住民一人当たりで二十三区は十八万円なのに対して、多摩地域は八万六千円余り、つまり二対一の差があるのです。
 しかも、二十三区はすべての区が地方交付税不交付団体であるのに対して、多摩市町村では、交付団体、不交付団体、約半々です。
 さらに加えて、財政調整制度があって、来年度、一般財源化される公立保育所運営費補助についても、財調で都負担分が引き続き計上されるなど、多摩地域と財政格差を広げる要素となっています。
 ですから、施策の見直しの影響は、多摩地域にとっては本当に死活の問題といっても過言でないくらいの重大問題なのです。
 例えば、八王子の予算に占める東京都支出金の割合は約一〇%です。檜原村では実に三二%です。市長会と合意に至った来年度予算からの見直しについても、都にとっての削減額は小さくても、百万円の財源をどう捻出するかに苦心している多摩地域の自治体にとっては、市町村補助の見直しがそのまま市町村財政を圧迫し、住民サービスに深刻な打撃を与えることは明らかです。
 だからこそ、多摩市長会は、昨年七月、既に、第二次財政再建推進プラン策定に当たっては、市町村の意見を十分聞き、市町村財政に影響が生じないようにしてもらいたいと、要望書を知事に出しているのです。
 次に、二次にわたる都庁アクションプランでは、廃止、見直しの対象とされた都立施設にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。

○赤星総務局長 都庁改革アクションプランでは、社会経済状況の変化などを踏まえまして、都が担うべき役割の明確化や事業の見直しなどによりまして、全庁的に組織の再編統合などを行っておりまして、多摩地域に限って行うものではございません。
 その結果、平成十四年度の経済事務所の再編、建築指導事務所の統合、平成十五年度の都税事務所の再編が行われました。
 今後は、平成十六年度には保健所の再編などが予定されておりますが、これらにつきましては、地元市町村の理解を得た上で実施することになっております。

○清水委員 今、その一部をいわれたわけですけれども、保健所、都立病院、勤労福祉会館、労政事務所、高尾自然科学博物館、多摩図書館の再編など、多摩地域にはたくさん、今回の見直しの影響があるわけです。
 しかも問題は、廃止や見直しの対象となった施設が多摩地域に集中していることです。(パネルを示す)これは、九九年に、石原知事が五年前に知事になったときには、まだこれだけの施設がありました。区立の保健所などがあります。これは都立の病院と授産場と保健所だけのものですけれども、これは九九年、五年前です。
 これが、この間に行われた見直しなどで計画されたものなどでは、多摩地域にはもうほとんどなくなってしまうというようなのが事実なわけですね。このことを、石原知事にお伺いいたしますが、どのように思われるのか、お伺いいたします。

○赤星総務局長 今、多摩地域がほとんどだとおっしゃいましたけれども、全体といたしまして、多摩地域は、先生の方でもごらんになって、よくおわかりになると思いますけれども、区部の方が数では多いと思いますが、都の事業はすべて、先ほど申し上げましたけれども、社会情勢の変化に即して、そのあり方を常に検証していく必要があると思います。
 これまで行ってまいりました施設の再編等につきましても、施設設置時以降の社会的ニーズの変化、あるいは交通事情などの環境変化などを踏まえました検証の結果、地元市町村の十分な理解を得て見直しを行ったものでありまして、時代の要請に合致した都民サービスを効率的、効果的に提供するという当然の対応だと思います。
 こうした見直しの背景、意義を踏まえずに、すべての見直しをサービス低下と決めつける姿勢は、部分を強調して全体を見ようとしないものといわざるを得ないと思います。

○清水委員 局長が最初にいわれたように、数としてはそうですということは認めるわけですね。私は数のことをいっているわけです。地域にとっては、数がやはり一番重要なわけです。
 次に、そこで、幾つかの具体的な事例を挙げて知事の見解を伺いたいと思います。
 都立施設として高齢者のための授産場を設置した理由は何ですか。

○幸田福祉局長 東京都の授産場は、昭和二十五年に低所得者を利用対象として設置し、その後、昭和四十九年に、老人の利用を主体とした位置づけに改めたものであります。
 現在の条例では、東京都の区域内に居住する老人及び低所得階層に属する者に、それぞれの能力に適した技能を授け、設備を提供して仕事を与えることにより、その生活の安定と福祉の向上を図るために設置すると規定しております。

○清水委員 高齢者のための都立授産場は、障害を持つ高齢者のための就労施設として、今いわれたように設置したもので、施設が有する広域性を配置するなど、専門性という市町村の施設では果たせない性格を持っていました。だからこそ、これまで都は、施設を廃止するのではなく、市の施設として存続させることを市に申し入れてきたのではないですか。
 一方、該当市は、授産場は広域行政たる都がやるべき仕事だといって受け取りを拒否してきたのではないか。これは至極当然のことだと思います。
 それでは、各市から移管の受け取りを断られたからといって、施設そのものを廃止することはないではないですか。お伺いいたします。

○幸田福祉局長 都は、平成八年の行革大綱に基づき、授産場の移管について市長会と協議を重ねてまいりましたが、その後、平成十四年度には、廃止を含めた今後の具体的な方策について所在市と個別協議を行うことを市長会と合意をし、さらに協議を重ねてきたところでございます。
 この結果、各市におけるシルバー人材センター事業の充実などにより、これまで果たしてきた一定の役割が終了したため、平成十五年度末をもって廃止することとし、今般、所在市と合意を得たものでございます。
 なお、廃止に当たりましては、現利用者が地域の生きがい事業や就労支援事業へ円滑に移行できるよう支援してまいります。

○宮崎委員長 委員会条例に従って挙手をしてください。

○清水委員 はい。

○宮崎委員長 はい、じゃないんです。委員会条例は、委員長です。

○清水委員 はい、委員長。(発言する者あり)いってます。いってますよ。
 今のご説明は、私はとんでもない話だと思うんです。
 そもそも都が授産場を市に移管しようとしていたのは、都民のために必要な施設だと考えたからで、移管して市にやってもらおうとしたわけです。それが、市から断られたら、その役割は終わった、不要なものだから廃止するというのは、筋が通らないというふうに思います。
 今、福祉局長がご答弁したように、授産場の目的は、生活の安定というのも大きな目的の一つです。すなわち、生活手段としての授産場です。これに対して、シルバー人材センターは、生きがいが目的の第一であり、目的は全く違うものなんです。生活の安定を、生きがい対策に解消すべきではないと思います。
 それともう一つ、授産場の目的のもう一つは、福祉の向上であります。これも、シルバー人材センターが想定していないものです。だから、私が聞いてきたシルバー人材センターでは、障害のある高齢者を受け入れることはできないというふうに、シルバー人材センターの方はいっていたわけですよ。だから、その意味でも都の説明は成り立たないのですから、三年の経過措置で廃止というのではなくて、存続するようにしていただきたいというふうに強く求めておきたいと思います。
 次に、保健所の統廃合ですが、既に十二カ所の都立保健所が七つに、統廃合が、都民や自治体の反対を押し切る形で強行されました。しかし、それで本当によいのか、疑問です。
 今、鳥インフルエンザが問題となっており、その前には狂牛病が騒ぎになりました。また、昨年、世界的に猛威を振るったSARSなど、次々と生まれる新たな感染症被害など、保健所の役割は今まで以上に高くなっています。
 確かに、法改正で、母子保健など市町村に仕事が移されてきていますが、今いった本来の保健活動や精神保健、地域の病院との連携など、この点でも身近な保健所が必要を増していることは明らかです。
 しかも、さっき述べましたけれども、多摩市町村は二十三区と違って、それぞれの自治体で保健所を持つ財政的余裕などありません。多摩地域に、せめて二十三区と同等の規模で保健所を都の責任で設置するべきではないですか。お伺いいたします。

○平井健康局長 地域保健法上、都道府県の保健所は二次医療圏等の区域を考慮して設置することとされておりまして、各区が設置いたします特別区の保健所とは、その所管区域の考え方や役割が異なっております。このため、多摩地域の都の保健所と特別区の保健所の数を単純に比較することは適切ではないと考えております。
 都としては、地域保健を取り巻く環境の変化を踏まえまして、市町村と合意を得た上で、多摩地域の都保健所を、二次保健医療圏を基本的な所管区域として再編することとしたものでございます。

○清水委員 そんな事務的な話を私はお聞きしているわけではないんです。
 今回の統廃合によって、一つの保健所が受け持つ区域と人口は大きく拡大しました。格差の逆行です。
 対象人口では、府中小金井保健所は全都最大の九十五万人、最大の区域を担当することとなる多摩川保健所は、統廃合によって、圏域面積が五百七十二キロ平方メートルに広がったが、これは(パネルを示す)この面積が、今いった五百七十二平方キロですが、二十三区の面積というのは六百二十平方キロで、この面積から江戸川区を一区引いたくらいの面積を持つ地域なんですね。そういうような地域で、この広大な地域に保健所が一カ所ということになるわけです。
 健康局自身の内部検討でも、このような統合によって、食品監視などの活動を行うにも、現場到着に時間がかかるようになること、食品安全の講習会も、保健所がなくなる地域では受講者が減ることは避けられないことなど、食品安全行政に後退が生まれることを心配しているのではありませんか。
 SARSの対応でも、保健師に伺ったところ、医療機関との協力関係をつくるためには、地域のドクターとの人間関係、信頼関係が一番大切だといわれていました。ところが、今回の統廃合で、とりわけ保健所から離れた地域では、協力関係を維持することが大変困難になるということでした。
 このように、保健所の仕事というのは、どの分野をとっても地域に密着していることが重要であり、今回の統廃合は逆行だということは明らかです。
 改めて、多摩地域の保健所の統廃合には道理がないことを指摘し、再検討を求めてまいります。
 次に、立川勤労福祉会館が廃止されましたが、立川市周辺は、背後に多摩の工業集積を有しており、交通の要衝にも当たっています。また、多摩の産業の振興を図っていく上でも、勤労者が自治体の区域を超えて利用できる勤労福祉のための施設は、欠かせない施設であり、多摩地域の勤労者の強い要望となっています。この要望にこたえるべきではないですか。お伺いいたします。

○有手産業労働局長 勤労福祉会館は、都と区市町村の役割分担、類似する施設の整備状況を踏まえまして、区市町村への移管または廃止を進めてまいりました。
 立川勤労福祉会館は、この考え方に基づき、関係する自治体との協議のもとに、平成十三年度末をもって廃止したものでございます。
 なお、立川市周辺には、立川市市民会館、中央公民館等の多くの類似施設が存在しております。また、これらの施設は市民以外にも広く利用を認めており、地域を超えた広域的利用も可能であることから、利用者の利便性は十分確保されていると考えております。

○清水委員 今、類似施設があるといわれましたけれども、それは本当ですか。私は事前に、類似施設の一覧というものをもらいましたが、これは、今回の質問に合わせて急遽ホームページから集められたもので、到底、類似施設などといわれるものではありません。
 例えば、紹介されているのは、公民館、体育館、市民会館など、いわゆる貸し館といわれるものがほとんどで、類似しているのは、会議室や体育・文化施設があるというだけで、勤労者の福祉を目的にしたものは一つもありません。
 しかも、利用条件のところを見ると、市内団体と市外団体で予約、料金に差があり、市内団体は、全員が市民で構成されていることを条件にしているところもあります。しかし、勤労者は通勤場所も住所もばらばらの場合が多く、市域を超えた集まりである勤労者の集まりでは、こうした制約のある施設は使えません。
 加えて、都の勤労福祉会館は、勤労者の福祉の向上のためにさまざまな自主事業を行ってきました。ですから、利用者たちは今でも、都立の勤労福祉会館の存続を求めているのです。
 幾つか事例を挙げましたが、どれも廃止や縮小を行う理由は見当たりません。二つのプランが、多摩地域の住民との矛盾を広げざるを得ないことを指摘しておくものです。
 さて、石原知事は、この間、多摩地域にかかわって、二〇〇一年に多摩の将来像を、昨年三月には、これに基づく多摩アクションプログラムを策定してきました。そして昨年十一月に、財政再建推進プランと第二次都庁改革アクションプランを策定しましたが、問題は、これらの構想やプランが多摩都民にとって果たして役立つものなのかどうかということです。
 そこで、二次にわたるプランなどによって多摩と区部の格差がどのようになったのか、そしてどう変化していこうとしているのか、幾つかの事例をグラフにして用意してみました。(パネルを示す)これは、今までもお示ししているものですけれども、幾つかの新しい課題、行政課題が、区部を一〇〇とした場合に、多摩がどれだけ到達しているかというものです。これは、当局からいろいろいただいて作成してまいりました。
 これらの指標の中で、明らかに改善なり充実したものというのは本当にわずかしかありません。むしろ、保健所や都立施設など大きく後退し、格差が広がったものもあります。
 今、二つのプランについて幾つかの事例を取り上げましたが、これらのプランと多摩の将来像、多摩アクションプログラムが打ち出した方向は、多摩の振興、発展どころか、都民サービスの後退を招くものではないですか。知事にお伺いいたします。

○石原知事 たびたび申してきましたが、多摩地域は、非常に豊かな水と緑に恵まれ、大学や先端技術産業が集積する、大きな可能性を保有している地域であります。
 私も、就任以来、多摩地域の持つそうした可能性を最大限に発揮させ、東京の活力の一翼を担う多摩の実現のために努力してまいりました。
 圏央道の整備や府中病院でのERの開設、今後進めていく横田基地の共同利用や小児総合医療センターの開設、そして、全庁挙げて取り組んでいる行財政改革、これらはすべて多摩の振興に資するものと確信しております。
 ゆえにも、ご指摘は全く当たらないと思います。

○清水委員 しかし、ちゃんと多摩アクションプログラムをごらんになっているのでしょうか。この十あるプログラムの中に、福祉や医療、高齢者、子育て、教育などの自治体としての最低限の仕事が提案されているというのでしょうか。何もありません。知事がこういう姿勢だから、多摩の住民は本当に苦労しているんです。
 きょうは、これらのうちポイントを絞って、知事の見解を伺います。
 まず、多摩アクションプランの中の歩道整備の問題です。
 今まで、十分に歩道整備が行われてきておりません。この要望は切実ですけれども、整備を急ぐべきではないですか。お伺いいたします。

○小峰東京都技監 歩道は、歩行者の安全の確保、植栽等による良好な都市景観の形成、ライフラインの収容空間の確保など、多くの役割を果たしており、その整備を推進することは重要でございます。
 現在、多摩地域を中心に、交通量や学校、病院等の配置状況を踏まえ、整備箇所を選定し、計画的に事業を実施しております。
 今後とも、地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、安全に安心して通行できる歩道の整備を着実に推進してまいります。

○清水委員 進めているといわれるわけですけれども、歩道整備の予算は、都心の環状道路などには湯水のように予算がつけられているのに、本当にふえていないんですよ。見られていますか。石原知事の五年間で、歩道の整備が進んだのは、区部では四%、市部では一・二%、わずか十キロメートル。多摩地域では、十四年から十五年に歩道が整備されたのは、わずかに二キロメートルなんです。多摩地域ではあとどれだけ残っているかというと、三百六十キロ残っているわけですよね。ですから、本当にこれは予算をつけなければ進んでいかないと思うわけですね。
 このため、地元八王子の陣馬街道、秋川街道、また東村山の所沢街道などでは、狭い道路なのに歩道がついてなく、雨の日は車のしぶきでびしょぬれになったり、通学路なのに歩道がなく、子どもたちが危険にさらされています。また陣馬街道では、砂利の運搬の大型トラックが行き来し、通学路に当たっているところではとても危険です。こういう歩道の整備こそ、公共事業として優先して進める必要があります。だから、私たちは、知事の都市再生中心の大型公共工事が、逆立ちしているというのです。
 次に、都が新たな施策を展開する中で生まれた格差の一つである、乳幼児医療費助成ですが、多摩地域の場合、多くが所得制限をつけています。これは、やりたくてやっているのではなくて、財政が厳しいので、やりたくてもできないでいるんです。乳幼児を抱えたお母さんたちは、なぜ、住んでいる地域が違うだけで差別を受けなければならないのかと、改善を求めているのですが、乳幼児医療費助成の所得制限をなくすために都が支援すベきです。お伺いいたします。

○幸田福祉局長 乳幼児医療費助成制度における所得制限につきましては、これまでも、子育て家庭の経済的負担に配慮して緩和を図ってきましたが、本制度が子育て家庭への経済的支援策であること、また、老人、心身障害者及び、ひとり親家庭に対する各医療費助成制度において所得制限を設けていることとの均衡から、一定の所得制限は必要と考えておりまして、都として支援する考えはございません。

○清水委員 今、相変わらず冷たいご答弁がありました。
 都はこれまでに、乳幼児医療費助成については、少しずつではありますけれども、年齢の引き上げを行うなど、底上げを図ってきたのではないですか。だから、二十三区では年齢を小学生までに引き上げたり、部分的にではありますが、中学生にまで拡大したところも生まれています。
 ところが、年齢制限については、二十三区では二十一区まで撤廃したのに、多摩地域では一市だけ。一市一町という状況です。理由ははっきりしています。財政が厳しいからです。
 いろいろと聞いてまいりましたが、まだまだ格差の問題がありますが、知事が将来像の中でも高い位置づけを与えている、多摩の産業振興について伺います。
 私どもは改めて立川市周辺の中小工業の方の話を聞かせていただき、都への要望を伺いました。その中でだれもがいっていることが、そのものの一つが、多摩の企業が開催している、たま工業交流展ヘの支援と、多摩中小企業センターの拡充の要望です。
 まず、たま工業交流展ですが、この展覧会は、交流会は、豊かな実績を上げて、多摩地域の中小業者に喜ばれています。関係者の強い要望の一つが、主催団体に東京都が加わり、広域行政としての役割を積極的に果たしてほしいというものですけれども、この要望にこたえる用意はあるのかどうか、伺います。

○有手産業労働局長 第三回を迎えた、たま工業交流展は、年々盛況で、一万人を超える来場者を見るまでの成果を上げており、最近は、二十三区の区域や他県からの出展者も見られるようになっております。
 この事業実施に当たりまして、都は、財団法人中小企業振興公社とともに、地元自治体や中小企業団体と協力し、積極的な推進を図ってきたところであります。
 今後とも充実を図ってまいります。

○清水委員 私は、主催団体になっていただきたいということなんですけれども、いかがですか。主催団体になっていただきたいということについてはいかがですか。

○有手産業労働局長 この事業の効果とか実績については十分評価しておりまして、都は、形にこだわらず、財団法人中小企業振興公社とともに、地元自治体や中小企業団体と協力し、この事業の充実を図ってまいります。

○清水委員 ぜひ主催団体として協力していただきたいと、今後検討していただきたいということを要望しておきます。
 次に、多摩の中小業者の強い要望で実現したのが、多摩中小企業振興センターですが、なぜ現在まで暫定施設にとどめておくのでしょうか。お伺いいたします。

○有手産業労働局長 厳しい都財攻の中でありましたけれども、多摩地域の中小企業者からの長年にわたる強い要望にこたえまして、平成十四年度に多摩中小企業振興センターを立川に暫定的に開設いたしました。
 センターは、多摩地域の企業に対し、開設以来、五千四百件の相談や、四千四百件の依頼試験等に応じるなど、総合的に多摩地域の中小企業を支援し、多摩地域の産業振興に大きな役割を果たしております。
 私どもは、この暫定施設の利用を充実強化する中で、引き続き多摩中小企業の振興に努めてまいります。

○清水委員 いろいろいわれましたけれども、本来の多摩中小企業センターの用地である立川基地跡地の利用計画が遅々として進まないから、仕方なく、立川勤労福祉会館をつぶして、今に開設したのではないかと思うんです。このまま、基地跡地の利用はいつになったら動き出すのか、いまだに見当もついておりません。十年、二十年が過ぎてしまうことだって考えられます。
 私たちは、他の場所を探して、コンベンション施設を持つ中小企業センターを一日も早く開設するように提案をしております。
 いろいろと要望してまいりましたが、多摩市長会が知事あてに要望した、来年度の東京都予算編成にかかる重点要望書があります。これを見ると、知事がいう都市基盤整備もありますが、むしろ多摩地域住民の福祉や教育など、住民サービスの拡充のための要望が多く並んでいます。多摩市長会の要望にどう答えるのか、お伺いいたします。

○赤星総務局長 多摩の将来像二〇〇一は、二〇一五年の多摩地域のあるべき姿と、それを実現するための課題と取り組みの方向を示したものでございます。これに基づきまして、都は現在、各局が連携しながら、その実現に向け努力しているところでございます。
 さらに、多摩地域の持つ地理的、歴史的特性を踏まえまして、特に取り組みが必要な十の課題につきまして、多摩アクションプログラムを策定し、戦略的な取り組みを行っております。
 今後とも、こうした方針に沿いまして、市町村などと密接に連携しながら、多摩振興を推進してまいります。

○清水委員 引き続き、都が、市町村に対する財政支援や広域的施設の運営など、広域的に果たすべき仕事の責任を果たすことなど、市町村の仕事を補完し支援するという広域的役割を果たすことなどを求めて、多摩の質問を終わります。
 最後に、先ほど土屋議員が述べました問題では、事実と違う部分もありますので、一言指摘をしておきたいと思います。
 卒業式や入学式を、子どもたちに思い出に残る行事にしようと、各学校で創意工夫を凝らしています。その努力を台なしにしてしまうのが、日の丸・君が代の強制です。
 一九九九年、国会審議では、政府が国民に対して義務づけは考えていないと言明したにもかかわらず、強制がエスカレートしています。
 学習指導要領に基づいてと都教委はいいますが、その押しつけ自体が、行政による不当な支配を禁じた教育基本法に反すること、しかも、指導要領でさえ、日の丸掲示の方法、君が代斉唱の方法は決めていないばかりか、みずから学び、みずから考える力の育成とか、特色ある学校づくりを指導要領でうたっています。
 しかも、生徒が自由に考え、判断したことをもって、教員の指導力不足だと指導するのは間違いです。(発言する者あり)
 学校教育には、統制や命令は教育の場にはなじまないのはもちろん、学習指導要領をもってしても、正当化できないものです。国家が国民の内心を制限したり介入したりできないというのは、近代国家の共通の原則なのです。
 教育庁が行うべきことは、こうした押しつけではなくて、三十人学級などの学校施設整備を都教育庁はやるべきなのです。
 そのことを申し上げて、質問を終わります。(拍手)

○宮崎委員長 清水ひで子委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十分休憩

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