東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○青木副委員長 藤井一委員の発言を許します。
   〔青木副委員長退席、大木田副委員長着席〕

○藤井委員 私は、羽田空港の国際化について伺います。
 羽田空港の重要な交通アクセスの一つとして、蒲蒲線がございます。現在、羽田空港から都心に行くには、京浜急行で行きますと、京急蒲田を経由して品川に出て、乗りかえなければなりません。また、モノレールでいえば、浜松町まで行って、また乗りかえていかなければならない。
 そんな中で、世界の空港の中で都心に直通していないのは羽田空港だけだといわれております。そのため、国の運輸政策審議会は、二〇一五年までに整備着手することを適当とすると答申をしております。
 また、それを受けまして国は、平成十一年、十二年度で事業の採算性等を調査しております。
 また、地元大田区でも、十四年度にルート調査をしておりますし、さらに来年度は、五千万円をかけまして需要調査を行うことになっているわけでございます。
 そこでまず、この蒲蒲線の事業費及び採算性について伺います。

○勝田都市計画局長 蒲蒲線でございますが、運輸政策審議会答申第十八号に、東急玉川線と京急空港線とを接続する路線として位置づけられております。
 これまで国が、事業の効果や採算性などについて調査を実施しております。この調査によりますと、東急多摩川線矢口渡駅付近を起点とし、京浜急行空港線大鳥居駅に至る約四キロの区間を地下鉄方式で整備した場合、事業費は概算で一千億円程度と算出しております。
 また、鉄道事業としての採算性を確保するためには、現行の補助制度を超えて大幅に公的資金を投入することが必要とされております。

○藤井委員 次に、この羽田空港の第四滑走路は、二〇〇九年度に完成するといわれておりますけれども、これが完成しますと、国内を初め海外から多くのお客さんが羽田空港に到着し、都心に向かうわけでございます。
 一方、この蒲蒲線、アセスメントで二年かかるといわれております。また、着工してから七年かかるといわれておりますので、合計九年かかります。来年から着工しても二〇一三年、全く二〇〇九年の第四滑走路には間に合わないわけでございまして、そういった意味で、都として早急に、この蒲蒲線の整備に取り組むべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 これまでの調査によりますと、蒲蒲線は、相互に乗り入れます東急線と京急線の線路幅の違いや、周辺まちづくりとの整合、さらには事業採算性などについて課題があるとされております。
 このため、現在、国では、蒲蒲線を例に、鉄道事業の課題とされております新たな整備方式や運営のあり方について調査研究を行っております。
 都といたしましては、今後の国の検討状況などを見ながら、必要な対応を図ってまいります。

○藤井委員 第三番目に、本年の二月九日、国土交通省から羽田空港の再拡張に伴う飛行ルート案が示されました。基本案と分散ケースの二案がありますけれども、分散ケースは千葉県の騒音に配慮した案だといわれております。
 現行の飛行ルートと再拡張後の飛行ルート、それはいずれも千葉県の上空の飛行回数が多いのは事実でございますが、しかし、飛行機一機ごとの単発の騒音を比較いたしますと、A滑走路から北側に離陸して大田区の市街地の上空を左旋回する、いわゆるハミングバードといわれますが、この騒音は、千葉県や東京のほかの区の上空を通過する騒音とは比較にならないほどうるさいのが実態でございます。
 私も、毎朝七時、この飛行機の音で目覚めるわけでございますが、このハミングバードは年間約一千回の飛行があります。これらの騒音値は、飛行の半数が七五デシベルを超えております。その意味で、羽田空港の航空騒音の被害を一番こうむっているのはこの大田区ではないかと思います。
 羽田空港が再拡張されますと、発着回数は年間四十万五千回、現在の一・四倍になりますけれども、そこで、再拡張後はこのハミングバードを増便によって吸収して廃止すべきというふうに考えますけれども、東京都もその立場に立って国に強く申し入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○勝田都市計画局長 羽田空港の再拡張後の飛行ルートにつきまして、都としては、十二分に東京湾を活用すること、現在飛行が制限されております横田空域を活用すること、新たな管制方式を導入することによりまして、首都圏全体としての騒音影響を可能な限り低減させる合理的な飛行ルートが設定されるべきと考えております。
 ハミングバードも含めまして、さきに国土交通省が示しました飛行ルート案について、十分にその内容を精査いたしまして、国に対して意見を述べてまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 第四番目に、空港跡地についてお伺いしたいと思います。
 一昨年、国土交通省は、空港の跡地が五十三ヘクタールとなる見込みであるというふうに示しました。また、国土交通省は羽田空港再拡張の事業スキームも明らかにし、来年度の再拡張費用として、政府予算案に百七億円を盛り込みました。
 そこで、空港跡地についてですが、地元大田区は、東京都に一括して取得してもらいたいというふうに求めております。また、国も同様の意向があるというふうに聞いております。
 そろそろこの空港の跡地の取り扱いについて、東京都の態度を明らかにすべき時期だと考えます。跡地をすべて都が買うのかどうか、また、国際ターミナルが来る東急ホテル周辺のこの跡地を、ぜひ東京都が取得すべきというふうに考えますけれども、石原国土交通大臣のときに、ぜひとも道筋をつけていただきたいと考えております。
 知事は空港跡地についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 あの跡地は空港に隣接する非常に重要な空間でありまして、羽田空港を最大限に支持、守り立てていくためにも、空港の持つ可能性を十分に活用した利用計画を立てる必要があると思います。
 さらに、海老取川を挟みまして隣接、かなり近いところに大同精工の跡の大きな基地がまだあります。それから、仄聞しますと、荏原製作所もやがては千葉県に引っ越す計画があるようでありまして、そうなると、それと隣接したあの跡地は、極めて大きな大きな意味を持ってくると思います。
 そういう意味で、都としても、跡地の利用について、地元の自治体とも調整しながら主体的に取り組んでいくつもりであります。

○藤井委員 ぜひとも早急な決断をお願い申し上げたいと思います。
 次に、臨海副都心有明北地区の開発について伺います。
 この地区の開発については、我が党は、業務・商業機能と居住機能を複合した活力あふれるまちづくりを進めるべきであると主張してまいりました。しかし、この開発に反対する党やグループからは、有明北の埋立事業が自然環境の破壊につながるといろいろといわれてきたところでございます。
 そこで、この有明北地区の埋立事業や防潮護岸整備の進捗状況はどうなっているのか、あわせて、埋立事業が自然環境の破壊につながったのかどうか、お伺いいたします。

○成田港湾局長 有明北地区の埋立事業は現在順調に進んでおりまして、約二十ヘクタールを有する東側地区が本年度概成する予定となっております。引き続き、西側地区約十五ヘクタールの護岸整備や埋立造成を進め、十六年度末の完成を目指しております。
 この事業では、ハゼやカニなど水生生物がすみやすい環境をつくるために、通称でございますが、カニ護岸や、干潟機能を持ち、ヨシなどの水生植物も生育する潮入りなどを整備してきているところでございます。
 先日、現地に参りましたが、カニや小魚などを見かけることができまして、これらの施設が自然環境の回復、創造に有効であると再確認できたところでございます。

○藤井委員 埋立事業が平成十六年に完成見込みであり、今答弁にありましたように、水生生物など生き物に優しい、そういう整備が進んでいるということでございました。自然環境の破壊につながるという議論は的外れであるということがはっきりわかったわけでございます。
 この地区では、陸運関係の倉庫や車両基地が大きな役割を占めています。また、有明テニスの森やクリーンセンターが立地しているわけですが、東雲二号橋、「ゆりかもめ」の駅舎など、まだまだ整備はこれからでございますけれども、そこで、この地区の将来性についてお伺いいたします。

○成田港湾局長 この地区は、東京湾岸道路やりんかい線などの交通アクセスに加えまして、十七年度には広域幹線道路の晴海通りや「ゆりかもめ」が延伸され、都心への近接性が現実のものとなります。
 また、国際大会が開催される有明テニスの森公園に加えまして、十七年春には、地区の南側に総合病院も立地するところでございます。
 さらに、クロマツなどの緑あふれる旧防波堤と豊かな水辺を擁し、都心方面への眺望にもすぐれたロケーションにございます。
 こうした将来性のある立地特性を生かすことにより、住宅を中心としながら、業務・商業機能を有するバランスのとれたまちづくりが実現できるものと確信しております。

○藤井委員 また、この有明北地区で最も大きな面積を占めているのは都有地でございまして、都有地の活用が大きなかぎを握っていると思います。
 この地区は広大な埋立部があり、また、旧防波堤と水辺の絶好のロケーションを持っておりまして、そのため、サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフのように、水辺環境を生かした潤いのあるまちづくりが行える可能性を持っていると思います。
 一方、港南エリアや東雲地区など、大規模な住宅開発が進行し、大量の住宅供給が予想されるわけでございます。しかし、これまでの住宅手法、これまでの手法で開発していたのでは、この地区の開発が失敗するのではないかというふうに懸念をするわけでございます。
 そこで、これまでの開発のように、区画街路等で囲まれた用地を公募の単位とするのではなくて、一味違った開発手法があってもいいのではないかと思いますけれども、この地区の都有地の開発手法についてお伺いいたします。

○成田港湾局長 ご指摘のように、これまでの一ヘクタール程度を単位としました開発では、土地利用の自由度が低く、結果として画一的な住宅供給になってしまうおそれがございます。
 そこで、例えば複数の区画を一まとめといたしまして、民間事業者の創意工夫や資金を生かしまして、中低層住宅も適度に配置するとともに、生活利便施設や公共施設の整備を一体的に行うなど、自由度の高い開発ができる方策を検討してまいります。
 この検討を踏まえまして、従来の都市型居住の魅力に加えまして、豊かな水辺空間と緑などのポテンシャリティーを最大限に生かした、ゆとりと安らぎのある、グレードの高いまちづくりを行ってまいりたいと考えております。

○藤井委員 ぜひとも、自然環境を生かした、またすばらしい有明北の開発に努力されますよう期待したいと思います。
 次に、ものづくり産業の振興について伺います。
 今、ナノテクノロジーというのが大変注目を浴びております。いわゆる十億分の一の大きさというナノサイズ、この特性を利用して、全く新しい機能やすぐれた特性を引き出す技術であります。また、目に見えない原子や分子を直接扱うことによって新しい素材をつくり出すことが可能だというふうにいわれております。
 この前、私もセミナーに行かせていただきましたが、例えば水をはじいてぬれない洋服であるとか、あるいは鉄の四分の一の軽さで十倍の強さを持つ素材等々が、あらゆる分野の産業に新製品をもたらすことが期待されているわけでございます。
 しかし、このナノテクノロジーはまだ研究の域を出ておりません。ナノテクのような最先端分野の研究は、これまで以上に産学連携で進めていかなければ、研究成果が社会に還元しにくいものというふうにいわれております。
 そこで、今後のナノテク分野におきます産学連携の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○山口大学管理本部長 ナノテクはこれからの産業の米ともいわれていまして、さまざまな研究が進められておりますが、その研究成果がなかなか製品化に結びついてないのが現状でございます。
 そこで、今回、城南地域に設置する予定のナノテクノロジーセンターでは、都立の大学や産業技術研究所などの研究開発力、中小企業振興公社のノウハウ、国の資金の導入、企業の有する製品開発力などを有機的に連携しまして、これまでにない総合的な研究体制を構築してまいります。
 実用化、製品化を目指した具体的なテーマを設定しまして研究を進め、その成果を地域に還元して、中小企業の活性化に結びつけてまいります。

○藤井委員 そういう意味で、中小企業の活性化につながるこのナノテクでございますけれども、今後の産業にとって不可欠となるこのナノテクノロジー、これを開発いたしまして産業の活性化につなげていただきたいというふうに期待したいと思います。
 東京都は、先ほどありましたように、平成十六年度の重点事業で、ナノテクノロジーセンターを城南地区に設置するというふうにしておりますけれども、この設置場所は、高度な加工技術を持った中小企業が集積をしております大田区がふさわしいと考えますが、いかがでしょうか。

○山口大学管理本部長 ナノテクノロジーセンターの具体的な設置場所でございますが、現在、検討中でございます。
 共同研究のための設備、施設が確保できること、各機関と企業が連携しやすいこと、試作品の製作などの研究開発を支援する企業が近くにあることなどの条件をできるだけ満たす場所としたいというふうに考えております。さらに、地元区からの協力も重要な要素でございまして、具体的な設置場所は以上を踏まえて選定してまいります。
 先ほどお話ありました三月九日に、ナノテクの産学公連携推進マッチング交流会を城南地域中小企業振興センターで開催しましたが、百名を超す参加者があり、地元企業の反響が大変大きなものでございました。
 いずれにしましても、高度な技術力を持った中小企業が多く集積する地域は大田区でありまして、候補地の一つであると考えております。

○藤井委員 どうも、大田区に決めていただきましてありがとうございます。(「まだ早いんじゃないの」と呼ぶ者あり)まだ早いですか。松原理事も賛成だそうでございます。(「もう一回確認した方がいいよ」と呼ぶ者あり)そうですか。
 次に、特許について伺います。
 特許制度は技術を守るための仕組みであり、大企業と違って資金力や組織力に乏しく、技術で戦おうとする中小企業にとっては重要な制度であります。しかし、中小企業がどんなに一生懸命発明しても、大企業等によって特許として登録されておりますと、みずからの技術開発の努力がすべて水の泡になってしまう。
 他社の技術がどこまで特許として発明されているか、なかなかこれまではわからなかったわけですけれども、特許庁が四千八百万件の特許情報をインターネットで無料検索できる特許電子図書館をつくりました。ところが、この存在が中小企業にまだまだ知られておりません。東京都の調査によりますと、知っているのは二割程度であります。
 そこで、この特許電子図書館をもっと活用したらどうかと考えますが、具体的な対策をお伺いいたします。

○有手産業労働局長 中小企業が技術開発に当たりまして先行する技術を調査することは、権利化される見込みのない発明に対する投資を回避することになりますし、また、他社の技術開発動向やアイデアを参考にする上でも極めて重要でございます。
 お話の特許電子図書館は平成十一年に整備されていたわけでございますけれども、最近のインターネットの高速化等によりまして、簡便に利用できるようになりました。
 こうした状況を踏まえまして、平成十六年度は、地域中小企業振興センター等、新たに三カ所で、年間六百人を対象にインターネットを活用した研修を行うとともに、知的財産総合センターにおける特許情報活用に関する支援を充実してまいります。

○藤井委員 産労局は昨年、特許に対して、手続等に対する費用三百万円を補助するなど、非常に特許に対する支援策が充実していると思います。ぜひともこういった特許をとりやすくする環境の支援にご尽力するよう、強く要望したいと思います。
 次に、三宅村の避難者に対する支援策について伺います。
 二〇〇〇年の九月の全島避難から、はや三年半がたちました。世間の関心も薄れがちになる中、依然として三宅村の方々は厳しい生活を余儀なくされております。
 最近、我が党は、この三宅村の避難されている方と直接懇談の場を持ってまいりました。その中で一番多かったのは、何といっても、早く島に帰りたいという、そういう熱望する声でありました。特に高齢者の方は、早く島に帰りたい、どうせ死ぬなら島で死にたい、このように切々と泣かれておりました。また、その反面、何度もこの三宅島で噴火に遭って、もうあのような島には帰りたくないというように訴える方もいらしたわけでございます。
 そこでお聞きいたします。
 第一に、三宅村のげんき農場とゆめ農園の継続についてであります。
 当初、この事業は国の緊急地域雇用創出特別基金による単年度のものとされていましたが、我が党の要望を受けました都が国に直接働きかけた結果、二年間にわたり、例外的に継続されてきたものであります。
 しかし、国はこの基金による延長適用を本年三月で打ち切ることにしたわけでございます。これを聞いた三宅村の避難者は大変がっかりしておりまして、三宅の方たちは、これらの農園作業を通じて交流を深め、お互いに励まし合いながら三宅島の復興を目指して頑張ってきたのであり、ぜひともこの事業を継続する必要があります。
 そのため、都は、げんき農場とゆめ農園を継続できるように、現在の土地を四月以降も引き続いて無償で貸与するとともに、これら農園事業を初めとする村の農業振興の取り組みに対して支援をすべきと考えますが、このことについての都の考え方、姿勢をお伺いします。

○有手産業労働局長 これまで都は、三宅島げんき農場、三宅村ゆめ農園におきまして、帰島後の営農再開に向けた種苗確保や新たな品種導入への技術支援、溶岩鉢などの商品開発支援を行ってまいりました。今後は村が主体となって事業を行うこととなっておりますが、引き続き両農園用地の貸し付けを行っていきたいと考えております。
 また、国の補助事業ではなく、今後は村の独自事業となりますことから、花や野菜などの販売収益を得ることができるようになります。こういうことで、生産技術や商品開発支援に加えまして、島民の意欲向上につながる販路開拓への支援も行ってまいりたいと考えています。
 また、島の農道や貯水池など、生産基盤の復興に向けた調査検討を進めまして、村の自立的な取り組みを積極的に支援してまいります。

○藤井委員 用地の貸し付けを実施するということで、三宅村の方は大変喜んでいると思いますが、ぜひこれは無償で東京都は貸し付けをされるよう、ひとつ取り組みをよろしくお願いしたいと思います。(「櫻井財務局長、オーケーという顔をしているよ、大丈夫だよ」と呼ぶ者あり)では、櫻井財務局長に答弁を求めたいと思います。今の考え方を。

○櫻井財務局長 突然ご指名いただきましてありがとうございます。
 三宅島のげんき農場、三宅村のゆめ農園、今産労局長からご説明したように、そういう意義が大変大きいものと考えておりまして、今後、財産の有効活用とこの事業の目的、こういうものを両方総合的に勘案しまして、適切に対応してまいります。

○藤井委員 局長、突然でありがとうございました。
 次に、現在、都内に住んでおります三宅村の避難者の多くは、都営住宅やあるいは公社住宅に一時入居しております。これは都の政策として大変私は評価をしておりますけれども、その中で、もし万が一避難指示が解除されても私は帰りたくない、いろいろな理由から三宅島には帰らない、そういう方がいらっしゃるわけですけれども、そういう方々がそのまま都内に住み続けられるように、都としてもこの避難民の方たちの要望にこたえていくべきと考えますけれども、この点について答弁をお願い申し上げます。

○高橋住宅局長 現在、三宅島から避難されている方々に対しましては、お話のように、応急仮設住宅の代替といたしまして都営住宅などを約千百戸提供しておりまして、避難生活の安定を図っているところでございます。
 避難指示が解除となりました場合、こうした住宅の提供は終了することになります。現在入居している島民の方の中には、さまざまな理由から帰島の困難な方々もおられるものと考えております。そのような方々につきましては、都営住宅などの制度の趣旨を踏まえまして、入居基準に合致した上でということになりますけれども、特別な事情が認められます場合におきましては、使用料の規定などに基づきまして適切に対応していきたい、このように考えております。

○藤井委員 ただいま答弁にありましたように、入居基準に合致して特別な事情が認められれば住み続けられるという答弁だったと思うんですけれども、特別な事情というのは、例えばどういうことなんでしょう。

○高橋住宅局長 想定しておりますケースとしましては、例えば島の住宅が滅失して再建が難しい方、あるいは島内の医療機関では対応できない高度専門治療を受けて通院中の場合などが考えられると思いますけれども、さまざまなケースを想定しまして、慎重かつ十分に検討させていただきたい、このように考えております。

○藤井委員 ぜひひとつ、そういった方たちに対しても安心して住めるように、住宅局がぜひ配慮をお願いしたいと思います。
 この問題の最後に知事にお伺いしたいと思います。
 現在、三宅島では雄山から有毒な火山ガスが発生しておりますが、一部の地域では既に安全基準をクリアしているところもあるというふうに聞いております。帰島に関する法律的な権限は三宅村の村長にあることはいうまでもありませんが、それには東京都の同意、すなわち知事の決断が必要です。
 そこで、三宅島への帰島について知事がどのように判断していかれるのか、今後の率直な考えをお伺いしたいと思います。

○石原知事 前にも質問があってお答えしましたけれども、専門家に聞きますと、どうも火山の性質が変わったんじゃないか、そういう見解の方もおられまして、いずれにしろ、火山活動が続いておりまして、有毒なガスが出ておるわけでありますが、ご指摘のように、場所によってはほとんど安全、場所によっては要注意、場所によって非常に危険と三段階の地域がありまして、なかなか判断しにくいんですが、これは決して逃げ口上で申すわけじゃありませんけれども、災害対策基本法では、避難の解除はあくまでもその地域の自治体の首長によるということになっておりますが、ただ、選ばれたての村長さんでありまして、そのときの論議も、選挙の論議も、一番は帰島をいつするかという非常に熱い希望に支えられて選出されたわけでありますが、しかし同時に、生命の危険を賭してまで私は帰すわけにはいかないと思います。
 そこら辺のところは、段階段階で専門家の意見を十分聞きまして、しかし、帰ったところで、一日じゅうとにかく防毒マスクつけて仕事するわけにもいきませんから、そこら辺の判断は、専門家の意見も十分聞いた上で、村長と相談して、都は都なりのできる限りの援助をしたいと思っております。

○藤井委員 次に、介護予防対策について伺います。
 東京都は、高齢者が地域で健康に暮らしていくために、来年度、福祉、保健、医療の連携のもとに、総合的に介護予防事業を実施する推進モデル地区を選定し、重点的に支援することを明らかにしております。
 そこで、現在実施しております介護予防開発普及事業や、来年度に実施する推進モデル地区重点支援事業で取り組もうとしている介護予防のメニューについて、具体的に伺います。

○幸田福祉局長 ちょっとしたことでも転びやすくなった、あるいは物忘れが激しくなったなどの老化のサインから、要介護につながる危険性をチェックシートを使いまして簡単に判定ができます介護予防健診「おたっしゃ二十一」や、こうした個々人の状態に応じて提供する筋力向上トレーニング、転倒予防、痴呆予防などのプログラムについて、都は介護予防の有効な手法として普及を図っております。これらは東京都老人総合研究所が長年にわたる研究成果として開発、実証してきたものでございます。

○藤井委員 今ありましたように、介護予防メニュー、今後、区市町村における介護予防の取り組みを発展させるものというふうに期待をしております。
 しかしながら、この介護予防、都民のいろいろなニーズ、さまざまなニーズがありますけれども、それらにこたえられるように、特に健康づくりも含めて幅広く取り組んでいくべきであるというふうに考えます。
 そのメニューの一つとして、私は、温泉を活用した介護予防、これに取り組むべきであるというふうに考えるわけでございます。
 先日、我が党は、先進的に温泉療法に取り組んでおります山形県の東根温泉と、それから宮城県の鳴子温泉に視察に行ってまいりました。そこでは、別に温泉に入りに行ったわけじゃないんですけれども(「入らなきゃわからないよ」と呼ぶ者あり)いや、入ってやっているところを見た--それはどうでもいいんですけれども。
 東根温泉の方では、十六の温泉ホテルと契約いたしまして、市が契約をいたしまして、市民の方がその温泉ホテルに、毎日ホテルを変えながら、いわゆるいきいきデイサービスというのをやっておりました。旅館、ホテルの車がお年寄りを迎えに行って、一日自分のホテルで温泉に入り、また、居間で皆さんと健康体操をしたり、いろいろとゲームをやったり、いろいろやっておりました。
 そこでいわれたことは、一つは、このサービスを行うことによってお年寄りの方が非常に生き生きとしてきた。また、今まで医者にかかっていたお年寄りが、一年間、二年間やって、結果的に医者にかからなくなった等々、いろいろな成果があったわけでございます。
 また、鳴子温泉の方では、鳴子の町立病院と温泉の旅館組合とが提携いたしまして、外から来たお客さんに旅館に泊まってもらう。そして、その旅館から町立病院に通って、町立病院の方では、温水プールであるとか、あるいはお医者さんの、医療を受けるとか、そしてそこでリハビリ治療も受けられる、こういったことで非常に町ぐるみで介護予防に取り組んでおりました。
 そこでわかったことは、そこの温泉病院の成川院長のお話の中で、一つは、温泉に加えて、食事療法、それから運動療法、これを医師の指示のもとで正しく行えばこれは効果があるということが一点。それから、温泉がある地域は老人医療費が低いんだということもお話がございました。さらに、いわゆる高血圧や糖尿病など生活習慣病の人が、いわゆるまだ入院しなくてもいい、ただ、その一歩手前の生活習慣病の人が、一たん薬を飲むとずっと継続しなければなりませんけれども、温泉と運動と食事療法を行えば、薬を飲まないで生活ができるようになる、こういったこともお話があったわけでございます。そういった意味で、これから温泉を活用して、皆さんが元気で、そして要介護にならないようになることが大事ではないかというふうに考えるわけでございます。(「東京はどうする」と呼ぶ者あり)そうです。
 そこで、東京でも、多摩に六十五カ所、島しょに三十八カ所の温泉があるといわれております。また、温泉以外にも、都内全域には多くの公衆浴場があります。これらの地域の温泉や公衆浴場などを活用した介護予防事業は、高齢者が人と人と触れ合いながら生活するという面で効果があるというふうに思います。
 福祉局では、介護予防など、地域の取り組みを支援しておりますが、そこで、多摩・島しょ地域の温泉や都内にある多数の公衆浴場を介護予防のために有効活用すべきではないかというふうに考えますが、この点いかがでしょうか。

○幸田福祉局長 都は、これまでも、公衆浴場などを活用したミニデイサービスや健康教室などを実施する区市町村に対しまして、高齢者いきいき事業により助成をしております。お話しの、温泉施設を活用している例として、大島町におきまして、インストラクターの指導による水中ウオーキングなどを行っておりますが、このような地域の特色を生かした取り組みにつきましても、同様に支援をしているところでございます。
 来年度より、こうしたソフト面に対する支援に加えまして、これらの事業の実施を目的とした既存資源の改修経費につきましても、新たに包括補助のメニューとするなど、区市町村の取り組みを積極的に推進してまいります。

○藤井委員 ただいま答弁にありましたように、福祉局として、高齢者いきいき事業に加えて、来年度から改修経費も新たに包括補助のメニューとなるということでございまして、区市町村にぜひともこういった事業が積極的に広まるよう取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、厚生労働省は、昭和六十三年から、運動に温泉浴を組み合わせることにより、国民が健康増進活動により楽しく参加することができ、また、各施設の資源を有効に活用できるよう、温泉利用型健康増進施設を認定する制度をつくりました。さらに、我が党が、渡辺参議院議員でございますけれども、国会で大いにこの温泉療法を訴えた結果、温泉利用プログラム型健康増進施設というのが、平成十五年七月に制度化をされたわけでございます。
 そこで、都としては、先進的に温泉療法を実施している地方の自治体と連携をして、都として温泉療法を活用したらどうかというふうに考えます。そのため、まず、都のお知らせやパンフレット、こういったものを作成して、広く都民に、温泉療法とはどういうものか、どういう効果があるのか、こういったことについて積極的にPRしたらどうかと考えますが、この点いかがでしょうか。

○平井健康局長 都では、従来から、パンフレットやホームページによりまして、都民に東京の温泉施設などを紹介してまいりました。また、ご指摘のとおり、昨年七月、国の健康増進施設の認定制度に温泉利用プログラム型施設が追加されたことに伴いまして、認定に関する情報などをホームページで紹介しておるところでございます。
 今後、全国的に認定施設の増加が予想されますことから、都内の施設に加えまして、他県の施設についても情報提供に努めてまいります。

○藤井委員 この温泉療法について、どうか都民に積極的にPRに努めていただきたいと思います。
 次に、東京都では、都民の健康づくりを目指した健康増進計画として、東京都健康推進プラン21を策定されると伺っております。この21プランでは、このような温泉、公衆浴場、温泉プール、こういった社会資本を活用して健康づくりを進めていったらどうかというふうに考えますが、この点について、都の取り組みについて伺います。

○平井健康局長 東京都健康推進プラン21では、事業者、行政、保健医療関係者などの連携によりまして、個人の健康づくりを支援することとしており、都では本年二月、民間運動施設の関係者も含めました連絡協議会を立ち上げました。この協議会では、都民が、水中運動を含めた運動の効果を十分理解し、楽しく継続できることを目指しまして、運動習慣定着に向けた検討を進めております。また、温泉施設などにおける健康づくりへの取り組みを調査し、広く都民や施設関係者に情報提供いたしますとともに、今後の施策展開に活用してまいります。

○藤井委員 先ほどもいいましたように、鳴子温泉の取り組みの中で特に感じたのは、やはり地域で一体となって健康づくりに、介護予防に取り組まなければならないということだというふうに感じました。
 鳴子温泉では、市の取り組みではなく、旅館と鳴子町立病院とが連携してやっておりますので、市は一切予算はかけておりません。お金はかけないで皆さんが健康になる、これが一番だと思います。そういう意味では、今後とも都として、実施主体は区市町村であるかもしれませんけれども、いかにしたら皆さんが、今ある既存の施設あるいはそういった地域の資源を活用して、皆さんが健康になるための予防が、介護予防ができるかということを、ひとつ今後とも知恵を出していったらどうかというふうに思います。
 それでは、最後になりましたけれども、養護学校のスクールバスの利用についてお伺いをいたします。
 現在、養護学校ではスクールバスが利用されておりますけれども、お聞きしますところ、どうしても片道九十分かかるような生徒もいるということを聞きました。東村山の方では、片道二時間かけて養護学校に通っているということでございました。
 そこで、このスクールバスでございますが、当然交通状況あるいは天気の状況によって、送り迎えの時間がどうしても不規則になるわけでございます。先日も保護者の方と懇談したときに出た中に、要望があった中に、帰り、養護学校のお子さんを停留所まで迎えにお母さんが行くんだけれども、なかなか時間どおりにバスが来ない。特に、交通状況が混雑したり、あるいは雨の日などは、三十分も、あるいはそれ以上待たされると。雨の日、風の日、大変つらいですという声がありました。
 そういったことを解決するためにいろいろ努力されていると思いますけれども、最近は情報技術が大きく進展をしております。特に中野養護学校では、携帯電話を使って、バスの位置がどこにあるかということがわかるシステムができているそうで、これをモデル事業として都は導入しているというふうに聞いております。ですから、お母さんが携帯電話で、自分のお子さんが乗っているバスが今どこにいるのか、確認ができる。そうすると、ああ、あと何分で停留所に着くなということで、働く手をやめたり、あるいは家事をやめて迎えに行けるわけでございます。
 そこでお伺いしますけれども、このモデル事業の経費はどのぐらいかかるのか。また、バスによって、またコースによっていろいろ到着時間が異なってくる理由はさまざまあると思いますけれども、このモデル事業を中野養護学校だけではなくて他の学校にも拡大して、その成果を検証することが必要というふうに考えますが、この点について所見を伺います。

○横山教育長 中野養護学校では、スクールバスのコースに環状七号線など交通渋滞が頻繁に発生する箇所がございまして、児童生徒や保護者の待ち時間が長くなる傾向にございます。そこで導入したわけですが、お話しのシステムは、バスの運行をリアルタイムに把握しまして、待ち時間を短縮することができるとともに、保護者等の負担軽減につながるものと考えられるため、本年一月よりモデル的に導入したもので、モデル事業の実施経費は、バス一台当たり月額八千円でございます。平成十六年度はさらにモデル地域を拡大しまして、その成果を十分に検証し、他校への拡大の可能性を検討してまいります。

○藤井委員 ぜひその拡大をよろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

○大木田副委員長 藤井一委員の発言は終わりました。

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