東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○宮崎委員長 引き続きまして、北城貞治委員の発言を許します。
   〔委員長退席、樺山副委員長着席〕

○北城委員 中小工務店支援策につきまして、何点かお伺いさせてもらいたいと思っております。
 私は、昨年の第二回定例本会議におきまして、中小企業応援団第二弾としまして、優秀な技術を持った中小工務店を活用した住まいづくりについて提案をさせていただいたところであります。しかしながら、なかなか日の目を浴びるような成果が見受けられず、心配をしておりましたが、先週の石原知事の中小工務店支援策の記者会見を拝見し、一安心いたしました。住宅局を初め関係者の方々のご努力に、評価をさせてもらいたい、こんなふうに思っているところであります。
 申し上げるまでもなく、消費者と生産者とが互いに顔の見える信頼関係に基づく家づくり、きめ細かな行き届いたアフターサービスの担い手として、地域に根差した中小工務店の果たしている役割は非常に大きなものがあるわけであります。
 しかしながら、財団法人住宅保証機構が平成十三年度に実施しました工務店経営実態調査によりますると、経営状況が悪いと答えた工務店が、前回調査と比べて、二一%から三〇%と増加をしており、逆に、うまくいっている、一九%から一六%に低下をしております。
 中小工務店を取り巻く環境は大変厳しく、このままでは、優秀な技術を持ち、良質な住宅を提供しようとする中小工務店のたくみのわざが失われてしまいます。こうした中小工務店の実態につきまして東京都としてはどのように認識をしているのか、お伺いします。

○高橋住宅局長 東京で供給されております戸建て住宅の約七割が、在来工法による木造住宅でございます。中小工務店は、その主たる担い手といたしまして、戸建て住宅の生産におきまして大変重要な位置を占めております。
 お話のように、中小工務店と申しましても、その経営実態はさまざまでございまして、合理化、価格低減に向けて努力し、実績を伸ばしている、こういうところもございますが、生産性や販売力に課題を持って、市場競争の中で苦戦しているものも多い、このように認識をしております。

○北城委員 これまで東京都の行ってきた中小工務店の支援策を見ますると、東京都地域住宅生産者協議会の開催、これは講習会として年三回、また、東京都住宅月間行事も拝見させていただきましたが、中小工務店支援策としては、成果が上がっているとはとても見えませんでした。実感であります。
 そして、こうした中、先週、知事は、定例記者会見の中で、意欲のある中小工務店の先駆的な取り組みを市場全体に広めるための政策を展開すると発表されたわけであります。
 そこで、何点かお伺いさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 一般的に、中小工務店が元請として工事を行う場合、その粗利は一五%程度であるといわれているのに対しまして、大手メーカーの粗利は、三〇%とも四〇%ともいわれているわけであります。したがいまして、仮に中小工務店と大手メーカーの資材費や労務費が同じ水準であるとするならば、消費者にとっては、中小工務店に直接頼めば、人生最大の買い物を、より低廉な価格で購入することができ、同じ価格であれば、より質の高い住宅を得ることが可能になります。
 しかしながら、中小工務店の経営の現状を見ますると、優秀な技術は持っていても、マネジメント力は弱いところが多く、自分自身で生産の合理化を図るのは難しいため、行政の支援が求められていると考えます。
 このたび、東京都では、合理的な生産システムの普及促進に向けた取り組みを行うとのことですが、具体的にはどのような取り組みを考えているのか、お伺いします。

○高橋住宅局長 戸建て住宅の市場を見てみますと、中小工務店がグループをつくりまして、ITを活用して仕様の標準化や資材の共同購入を行うなど、質を確保しながら価格引き下げに取り組む新しい動きが芽生えてきております。こうした動きを、企業やグループ単位にとどめるのではなくて、市場全体に広げていくことが重要と考えております。
 都は、普遍性の高い間取りプランや標準的な仕様、また、資材調達や工程管理の改良の方向などにつきまして検討いたしまして、汎用性の高い合理的な生産システムの普及を促進していきたい、このように考えております。

○北城委員 ぜひご努力をお願い申し上げたい、こんなふうに思っております。
 私は、中小工務店の住宅というのは、質の面でも決して大手メーカーに劣るものではないと思っております。しかしながら、質のよしあしを消費者が客観的に知るための情報が十分に提供されていない上、価格の面でも、いわゆる材工一式によるところが多いのが実態であります。このように、質と価格の情報提供が不十分なため、ブランド頼みで大手メーカーを選択している消費者が多いのではないでしょうか。
 このたび東京都で取り組むとされている、質と価格の表示ルールの確立は、消費者の適切な住宅選択に役立つ、有意義な取り組みであると考えますが、具体的にはどのような取り組みを考えているのか、お伺いしたいと思います。

○高橋住宅局長 住宅を選ぶ上で、質や価格は不可欠の要素でございます。その情報が十分に提供されていないために、中小工務店がつくる住宅の質が、消費者にとってわかりにくいものとなっております。
 このため、都は、質と価格の表示の具体化に向けまして、まず質の面では、主要な材料、設備の種類や規格、耐震性などについて、また価格の面では、原価の内訳や坪単価などにつきまして、わかりやすく適正な表示のルールづくりに取り組んでまいります。
 こうした取り組みを通じまして、消費者が質と価格を適切に判断して住宅を選択できるようにいたしますとともに、中小工務店の活性化を支援してまいります。

○北城委員 ここで、知事、私は新たな提案をさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 優秀な技術を持った中小工務店を活用した住まいづくりを推進するため、いわば中小工務店応援特区とでもいうべき、東京都独自の取り組みを提案したいと思っております。
 例えば、一つには、東京都による中小工務店のすぐれた技術力を評価、PRし、審査、評価を踏まえた上で、東京都認証工務店と位置づけるような仕組みの構築。そして二つ目には、リフォームなど中古住宅市場の活性化支援策。そして三つ目には、中小工務店への東京都の新銀行によるサポート。そして四つ目には、住宅に関する税制面での支援などが考えられます。
 東京都の経済の再生のためにも、中小工務店を活用した住宅施策が今こそ必要であると考えますが、この中小工務店活性化支援策につきまして、知事のご見解をお伺いしたいと思います。

○石原知事 都としましても、今おっしゃったのと大体同じようなことを考えております。ただ、その前に、建築にかかわる業者のコンセプトでちょっと念を押しておかなくちゃいけないことがありますが、いわゆる大企業は当然のことでありますけれども、工務店にもいろいろ問題がありますね、これ。それで、その工務店というのは、つまり工務店であって、そこに大工さんを契約して抱えたり、水道屋さんとか左官屋さんとか電気屋さんが離合集散して一つの住宅を建てるわけでありまして、私は、ですから、東京都そのものが工務店になって、優秀な能力のある職人をとにかく丹念に集めて住宅を提供していくように、そういうようなシステムが好ましいんじゃないかと思っておりました。
 ただ、今度の、まず東村山でやります実験は、これはやっぱり土地を販売するわけじゃなくて、結局、長期にわたって貸すわけでありますから、それを管理する会社が必要なので、それを会社にすることになりますけども、いずれにしろ、先ほど住宅局長申し上げましたけれども、一部の工務店に、非常にリーズナブルな正当な、つまり中間搾取を排して、正当な値段で住宅を提供する努力を今日のITのシステムを使ってやっている方々がおられまして、やっぱりそういう人たちとも提携して、良質な戸建ての住宅を、できれば三〇%ぐらいの値段で提供していく、その試みを現実に行っていきたいと思っております。その過程で、今おっしゃったような、いろいろな方法を重ねて講じながら、結果としてとにかく三〇%安い戸建ての住宅を提供し得るものと思っております。

○北城委員 ぜひ、優秀な技術を持った中小工務店、恐らく大手メーカーの数割安い程度で住宅が供給できると私は確信をしております。そういう工務店と消費者が直接結びつくような仕組みづくりをぜひ構築をしてもらいたいと強く要望しておきます。
 次に、中小企業応援団の第三弾としまして、もっと元気を出せ商店街についてお尋ねをしたいと思っております。
 東京都内に二千八百七十三ある商店街は、今、深刻な不況や消費低迷の逆風にさらされている中で、スーパーの進出、またコンビニ・チェーン店などの新たな業種形態の影響を受けまして、非常に厳しい状況に置かれているわけであります。かつては、地域活動の基盤としまして、まちおこしの主役となっていた面影はもはやなく、後継者にも困る中で、営業活動の存立の危機に直面しているのが現状でありましょう。
 そこでお伺いをしますが、東京都としまして、商店街の活力が失われてきた要因をどのように分析をしているのか、お伺いをしたいと思います。

○有手産業労働局長 商店街の活力が失われてきた要因でございますが、社会経済的な要因といたしまして、長引く不況、居住者の頻繁な移動、大型店やショッピングセンターの進出などによる顧客の減少、それから、カタログやインターネットによる新たな販売形態や消費者のライフスタイルに合わせた二十四時間営業の普及などが考えられます。
 また、商店街自体に内在する要因といたしましては、消費者ニーズの個性化、多様化への対応のおくれ、後継者不足による廃業や商店街の組織力の低下、脆弱な資金力による商店街施設の整備のおくれなどが考えられます。

○北城委員 今、商店街は危機に直面しております。しかしながら、支援のいかんによっては、私は商店街が再生できると確信をしております。
 そこでお尋ねをしたいのでありますけれども、商店街振興策を構築する上で最も大切なことは、商店街の果たしてきた役割、そしてまた、今後果たすべき役割をどのように認識するかということであると私は思っております。
 商店街が物を買うだけの欲求を満足させるための場であるならば、スーパーやコンビニでその役割は果たされるわけであります。しかしながら、商店街の果たしてきた役割は、さまざまな顔を持ちます複合都市東京の中で、一つには、地域やコミュニティを支えながら、その地域の個性や魅力を創造し、そして二つには、町並みや景観さえも演出をし、そして三つ目には、文化や観光などの情報発信機能も果たしてきたわけであります。そして、今日におきましては、犯罪を抑止する機能も有しているわけであります。すなわち、東京のポテンシャルを支えてきたのが東京の商店街なのであります。改めて、商店街の果たしてきた役割、今後果たすべき役割につきましてお伺いをいたします。

○有手産業労働局長 商店街は、地域の経済や雇用を支えるほか、まちのにぎわいや住民生活の場の提供、コミュニティの維持などの役割を担ってまいりましたが、近年、その活動の低下が残念ながら見られます。
 商店街の活性化を図っていくためには、顔と顔の見えるつき合いのできる商店街の利点を生かして、地域の消費者、高齢者や子ども、学生など、多様な人々との心の触れ合いを通してニーズをとらえ、生活を幅広く応援し、地域住民にとってなくてはならない存在になることが必要でございます。
 今後さらに、高齢化や防犯、環境などの地域の課題に住民とともに取り組むなど、地域コミュニティの核としての役割を強めていくことが、商店街再生のかぎになると確信しております。

○北城委員 力強いご答弁、本当に感謝を申し上げます。私も心を、意を強くさせてもらったところであります。
 私は、商店街自身も、やはり商店街を商店の集まりと考えるのではなくて、地域の中で、本来商店街が果たしてきた役割、また、今後果たすべき役割を十二分に自覚をしまして、商店街みずからが、厳しい経済状況の中でも生き抜く力を身につける必要があると考えます。それをサポートするのが行政の役割であると私は考えております。
 東京都及び区市の商店街振興策も、そのような視点に立ち返りまして、各商店街の一律補助の商店街振興策のあり方から、自分自身の地域の特性に応じた商店街振興を提案する商店街に対しまして支援をしていく施策に、私は軸足が置かれるべきであると思っております。
 その代表が、我が党が提案をしました、そして構築をしました新・元気を出せ商店街事業であります。今後の商店街振興策に対します基本的な考え方をお聞かせください。

○有手産業労働局長 都内の商店街数は約三千、商店街を構成する商店の数は約十五万にも上ります。多くの人々が集い、働く商店街は、地域住民の生活と雇用を支え、まちのにぎわいを演出し、元気の源となっております。
 このため都は、新・元気を出せ商店街事業などにより、商店街が行う意欲的な取り組みを支援しており、商店街では、地域と連携したコミュニティ活動やまちづくりなど、再生の息吹も芽生えております。
 今後、こうした商店街再生の動きを都内各地に広め、商店街が地域住民との結びつきをさらに強めながら、互いに切磋琢磨し、地域社会で一層重要な役割を果たしていけるよう、効果的に事業展開を図ってまいりたいと考えております。

○北城委員 私は、これからの商店街の振興策は、産業労働局だけが担うということではなくて、行政組織の垣根を超えて、全庁的に対応する必要があると考えております。
 現時点での組織の中で申し上げるならば、例えば、ある商店街が新たな事業展開をしようとする場合でも、産業労働局や地元区市だけで考えるのではなくて、もし、交通アクセスの問題がネックとなるならば、建設局が道路整備や交通渋滞などの問題を検討する。また、人のにぎわいを創出するために、都のイベントを近接地域で連携して実施をする。また、バリアフリーの視点から福祉局が参画をすることもあるでありましょう。また、まちづくり規制や税制面で問題があるとするならば、都市計画局や主税局も積極的に支援をする。そして、消費者が安心して買い物ができるよう、地元の警察と協力して治安対策を強化することも考えられます。もちろん、産業労働局内でも、仕事づくりや観光振興、金融支援などできることはたくさんあります。
 行政がこうした発想に立って、大胆な施策を構築すべき時期に来ているのではないでしょうか。そうでなければ、東京の経済を支え、それぞれのまちの魅力を創造してきた商店街のこれまでの努力がむだになってしまいます。
 そこで、もっと元気を出せ商店街検討プロジェクトチームなどをつくり、産業労働局が中心となって、東京都が持つ総合的な力を商店街振興に積極的に活用し、地域を決め、モデル商店街で具体的にプロジェクトチームでの検討結果を実施するような仕組みを検討してはどうか提案をいたします。
 検討のやり方も、実行力と高い見識のある民間経営者にトップに座ってもらってはどうでありましょうか。ご所見をお伺いいたします。

○有手産業労働局長 商店街の振興には、まず、商店街自身の自主的、自立的な課題解決の取り組みが不可欠でございます。
 また、商店街の取り組みは、今お話がございましたように、まちづくりや福祉、文化、治安対策など、さまざまな面で行政の多くの施策と関係がございます。商店街振興を効果的に展開するために、地域の実情に精通した区市町村や関係局と連携協力して商店街を支援していくことが重要でございます。
 お話のプロジェクトチームの件でございますけれども、これにつきましては、商店街振興のモデル事業を実施するということで、商店街の低迷を打開する有効な方策の一つと考えられますが、まずは、商店街や区市町村が主体的に参加することが必要でございます。これら関係者の意向を把握しながら、今後、検討させていただきたいと思います。

○北城委員 検討しますというようなご答弁でございました。ぜひ、まくら言葉に早急というような言葉も使ってもらいたいなと、こんなふうに思ったわけであります。
 なお、私の選挙区でありまする荒川区、絶対に協力をさせてもらいますので、ご記憶にとめてもらえばありがたいなと、こんなふうに思っているところでございます。
 次に、財政運営、とりわけ都債の活用についてお伺いをしたいと思っております。
 なお、さきの本会議で、共産党より都債に対する見方の誤った指摘がありましたので、私の質疑を通じ明らかにしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず最初にお伺いをしますが、起債依存度及び都債残高の水準はどうなのでありましょうか。国や他の団体と比較をしてご答弁をお願いしたいと思います。

○櫻井財務局長 都の十六年度予算における起債依存度は八・五%であり、地方財政計画の一六・七%、国の四四・六%と比べてはるかに低く、都道府県全体の中でも一番低くなっております。
 次に、都債残高の水準についてですが、歳入総額に対する都債残高の割合で申し上げますと、十六年度予算における都の比率は一二二%となっております。これに対しまして、国は五八八%、地方財政計画では一六八%でありまして、都の一二二%という数値は、国や地方財政計画と比較しても低い水準となっております。

○北城委員 数字は明白であります。起債依存度及び残高の水準も国や他団体と比較して低い水準にあるわけであります。その中身が肝心であります。
 国は、赤字国債が八割を占めているのに対しまして、東京都は、赤字地方債でありまする臨時財政対策債を十三年度に制度が導入されて以来一度も計上していないなど、良好な水準を堅持しているわけであります。こうした平成十二年度の財政再建推進プラン以降、財政再建に対しまする東京都の対応に対しまして高く評価をしておきたいと、こんなふうに思っております。
 そこでお伺いをしますが、鈴木知事の最後の四年間、青島知事の四年間、石原知事の財政再建推進プラン開始後の五年間の都債発行につきましてお知らせを願いたいと思います。

○櫻井財務局長 鈴木知事の第四期の平成三年度から六年度の都債発行額の平均は七千百七十六億円でございます。青島知事の七年度から十年度の都債発行額の平均は六千八百五十七億円となっております。
 一方、石原知事が財政再建推進プランを開始しました平成十二年度から十六年度までの都債発行額の平均は四千十七億円でございます。

○北城委員 歴代の三知事の中でも、最も石原知事が都債発行を減らしてきたわけでありますが、なぜ都債残高がふえているのか、その理由をお示し願いたいと思います。

○櫻井財務局長 平成四年度から、都債の商品性を高め、市場から有利かつ安定的な資金調達を図るため、償還方法を定時償還方式から満期一括償還方式に変更いたしました。このことによりまして、従来、毎年六%ずつありました償還が生じなくなったことから、満期に至るまでは残高が減らない構造となっております。
 また、満期償還時におきましては、償還額の五八%を借換債の発行により賄うため、過去に大量発行しました都債の影響を引き続き受けることになりまして、都債残高が増加したものでございます。

○北城委員 今の答弁でも明らかになりましたように、この間、都債残高が減少しなかったのは、都債発行制度の仕組みが大きく変わったためであり、石原知事が都債を増発し、過去最大に借金を膨らませたとの主張は全く的外れであり、過去における都債発行の影響や制度の変更を踏まえないで、形式的に都債残高の増減を論じることは正当でないことを明らかにしておきたいと、こんなふうに思っております。
 むしろ、重要視すべきは、その時々の財政状況を反映し、将来の財政負担に影響する起債依存度の方であります。
 そこでお伺いをしますが、平成十六年度予算の起債依存度は八・五%であるわけでありますが、共産党が与党であった美濃部都政末期における起債依存度はどうであったのか、お知らせ願いたいと思います。

○櫻井財務局長 一般会計における起債依存度ということでお答えします。
 美濃部都政の末期であります昭和五十年度から五十三年度までは、一四・〇から一一・八%で推移しておりまして、平均では一二・一%となっております。
 都債残高につきましては、石原知事の第一期の初年度である平成十一年度末における現在高は、七兆一千七百十一億であります。

○北城委員 石原都政の五年間の平均起債依存度をお知らせ願いたいと思います。

○櫻井財務局長 石原知事の財政再建推進プラン以降ということでございますけれども、平均しまして、起債依存度は六・七%ということでございます。

○北城委員 そうしますると、起債依存度、美濃部都政の末期の平均一二・一%、石原都政の五年間の平均六・七%、倍とはいいませんけれども、倍近い水準が美濃部都政であったわけであります。明らかになったわけであります。
 また、共産党は、石原知事が都政史上最悪の借金を膨らませたと批判をしておりますが、美濃部都政の一期と末期でどれほどの都債残高が変わったのか、石原知事のこの五年間と比較をして教えてもらいたいと思います。

○櫻井財務局長 美濃部都政第一期の初年度である昭和四十二年度末における都債残高は一千三百七十三億円で、末期の五十三年度末現在高は、一兆四千九百五十五億円と十・九倍となっております。

○北城委員 東京都政史上最悪というのは、起債依存度の高さはしかり、そして、都債残高を十倍以上も増加をさせるような、こういう状態を指すのが正常な感覚だと私は思います。他人の批判をするときには我が身を振り返る、この言葉をしっかりと覚えておいてもらいたいと私は思います。
 そして、財政当局にも指摘をしておきたいことがあります。財政再建を最優先という財政当局の気持ちもよくわかります。しかし、起債抑制一辺倒ではなくて、都債の機能を十分に活用し、東京の活力を再生させることが、財政再建への道にもつながると私は確信をしております。
 そこでお伺いをしますが、都債発行による将来の財政負担にも十分配慮しながら、財政運営の重要なツールとしまして都債を位置づけるべきと考えますが、ご所見をお伺いしたいと思います。

○櫻井財務局長 財政再建推進プラン一次を通じまして都債の抑制をしてまいりまして、知事の第一期の、先ほど申し上げましたように、初年度であります十一年度末における現在高七兆一千七百十一億円から、現在の見込みですと、十六年度末の見込みですと、六兆九千六百八十二億円ということで、〇・九七倍ということで、抑制基調で来ているわけでございますけれども、今お話のありましたように、都債は、投資的な事業の財源としまして、世代間の負担の公平を確保し、財政負担の平準化を図るという極めて重要な機能がございます。
 都税収入が四兆円を下回る水準で推移し、経済の先行きがなお不透明な状況の中で、今後、東京の再生に向けた事業を推進するため、財源確保の手段として、都債の重要性が高まるものと考えております。
 一方で、財政健全化を進める中で、将来の財政負担を考慮して、当分の間、発行を抑制していくことも必要と考えております。
 都としましては、この都債の重要性を十分認識するとともに、社会経済状況の変化に的確に対応した適正な都債の活用を図ってまいります。

○北城委員 今ご答弁にありましたように、都債というのは、発行しなければ財政は萎縮をし、東京の活力は失われることになります。また、野方図に発行すれば、将来の世代に大きな禍根を残すことになります。厳しい財政状況の中で、どのようにこのバランスをとるかがかぎであると思います。最後に、財政当局のご努力をお願いしておきたいと、こんなふうに思っております。
 次に、小児医療ネットワークシステムの構築について何点かお伺いをさせてもらいたいと思っております。
 自分自身のことで大変恐縮でありますけれども、私は四十九歳で長男を授かりました。そして、五十一歳で次男を授かったわけであります。今、三男長女、女房とどうするのか相談をしているところであります。
 昨年の末に、次男がひきつけを起こしました。二次救急に指定をされておりまする医療機関にお世話になりました。そのときに感じたことを少しだけお話し申し上げたいと、こんなふうに思っております。
 夜間にもかかわらず、非常に多くの患者さんがいらっしゃいました。よく九五%の小児患者は初期救急で十分であるといわれておりますが、現実には、多くの軽症者が大病院に押し寄せているというような専門家の指摘を身をもって感じたところでございます。
 まさに、軽症患者が、入院が必要となるような重い症状の患者さんに対応する二次救急医療機関に集中してしまうという紛れもない現実であります。
 それらの課題を解決していくためには、軽症患者に対応する初期救急医療機関の拡大、充実が急務であります。
 初期救急医療機関は、現在八区市の実施にとどまっておりますが、平成十八年度までに小児救急医療機関は、都内全域で実施するといわれておりますが、実現するためには、その地域ごとの事情に応じて、柔軟な対応が必要になると予測されます。その具体的な方策につきましてお伺いをしたいと思います。

○平井健康局長 小児科医師の数など地域の医療資源には差がございます。地域の実情に応じて、柔軟な対応が必要だと考えております。
 このため、平成十六年度からは、複数の自治体が共同して実施する場合や、地域の小児科医が小児の二次救急医療機関の施設の一部を利用して行う方式に対しても新たに支援するなど、積極的に事業の拡大を図ってまいります。

○北城委員 ぜひとも、区市を支援しまして、小児救急医療を積極的に拡大をしていただくよう強く要望いたします。
 ただ、その地域の特性が必ずあると思うんですよね。やはりその地域の特性に応じて、各区市、広域的な連携によって解決をしていくときもあるのかなと、こんなふうに思っておりますので、そのような視点に立ちまして、一刻も早くこのようなシステムの構築をお願いしたいと、こんなふうに思うところでございます。
 ところで、平成十六年度主要事業では、小児患者の三次医療緊急ネットワークの検討を行うとされておりますが、初期救急医療も重要な課題でありますが、それをバックアップするシステムを構築し、小児救急医療のネットワーク化を進めることも重要であると思います。申し上げるまでもなく、一見元気に見えても、数時間後に意識不明に陥ることもあるのが子どもだからであります。
 そこで、お伺いをします。
 東京都は、成人と異なる特別な医療提供体制が必要な小児の重症患者に対応するため、小児専門の三次救急医療機関の確保や、医療機関のネットワーク化の検討を行うとされておりますが、その検討内容と進め方について、お答えを願いたいと思います。

○平井健康局長 小児は、身体機能が未成熟であるため、軽微な疾患から急激に重篤化するなど、成人とは異なる特徴がございます。このため、小児救急体制を充実強化すべく、本年二月に、三次救急医療を検討する委員会を設置したところでございます。
 この委員会の中で、医療機関の実態把握を行った上で、小児三次救急医療のあり方、整備方法、ネットワークの構築などについて検討してまいります。

○北城委員 ぜひとも、三次救急を含めました、全国のモデルになるような小児救急のネットワークの構築をしていただきたいと強く要望しておきます。
 と申しますのは、恐らくこのような社会経済状況の中におきましては、私のように高齢者の父親もふえてくるでありましょうし、また同時に、その構築によって小児科医療に安心の灯がともりまして、急速に進む少子化に歯どめをかける一助になると私は思っております。ぜひこのネットワークにつきましては、前向きな姿勢の中で一日も早い実現をお願いしておきたい、こんなふうに思っているところでございます。
 最後になりますけれども、国内海上輸送の振興という視点から、何点かお伺いをさせてもらいたいと思います。
 東京港は、ここ数年、外国貿易コンテナ貨物取扱量で日本一でありまして、国のスーパー中枢港湾の候補にも選定をされまして、一見しますると、外国貿易中心の港に思えるわけであります。
 しかしながら、統計数値を見ますると、東京港の全取扱貨物量の五二%は国内輸送貨物でありまして、また同時に、企業の責任としまして地球温暖化防止のためのCO2の削減、あるいは物流システムの改善が叫ばれている中、モーダルシフトの推進が図られているわけであります。まさに国内海上輸送の振興は、大変重要な課題になっているといわれます。また私もそう思います。
 にもかかわらず、国内輸送船の数は、全般的に減少傾向にあり、さまざまな課題を解決しなければならないわけであります。
 そこでお伺いをしますが、国内海上輸送の重要性と課題につきまして、東京都はどのような認識をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。

○成田港湾局長 お話のございました国内海上輸送は、環境対策や物流効率化の観点から、極めて有効な輸送手段でございますが、現在、三百キロメートル以上の中長距離の輸送におきましても、全輸送機関に占めるシェアは約四〇%にとどまっておりまして、この割合をさらに高めていくことが必要であると考えております。
 このため、事業者においては、船型の大型化など、輸送効率向上に向けた取り組みが行われておりますが、国内海上輸送には、事業への新規参入規制を初め、大小さまざまな制約が依然として存在しております。
 都は、国内海上輸送の効率化に向けまして、今回の条例改正の中でも、料金体系の見直し等に取り組んでいるところではございますが、今後さらに、国に対しまして規制の緩和を積極的に働きかけてまいります。

○北城委員 今、ご答弁がありましたように、国内海上輸送の発展には、より一層の規制緩和が不可欠であるということであります。国などに、規制緩和の要請を強く働きかけていただきたいことを要望しておきます。
 また、ご答弁によりますると、輸送効率向上のためには、国内輸送船の大型化が進んでいるとのことであります。雑貨品の取り扱いが多い東京港では、当然、貨物用のトラック、またはシャーシーだけがそのまま船内に出入りできる、国内輸送の主力でありまするローロー船の大型化が予想されるわけでありますが、ローロー船の大型化によりましてどのような課題が生じ、どう対応するのか、ご所見をお伺いしたいと思います。

○成田港湾局長 ご指摘のとおり、近年、大型トラックが二百台近く積載可能な一万トン級の大型ローロー船が増加しております。
 ローロー船の荷役は、トラックの乗下船や待機のために陸上に広いスペースが必要でございまして、船型の大型化に伴い、既存ふ頭では、背後ヤードの不足が顕在化しているところでございます。
 このため、既存施設の有効活用を最大限に図るとともに、品川ふ頭にあるコンテナふ頭を移転して国内輸送に特化することや、中央防波堤内側埋立地に、ローロー船に対応したふ頭を新たに整備することが東京港第七次改訂港湾計画の基本方針において提言されたところでございます。
 都といたしましては、この方針の具体化を検討し、国内海上輸送の充実に向け、東京港のより一層の機能強化に努めてまいります。

○北城委員 国内海上輸送の振興は、東京港の発展、ひいては、首都圏四千万人の暮らしと産業の発展に直結をする課題であります。ハード施策の面からも、またソフト施策の面からも積極的に取り組んでもらいたい、こんなふうに思っております。
 なお、さまざまな課題を把握できるのは、現場を持つ東京都であります。現場実態に即しました取り組みによりまして、国内海上輸送の振興の実現が図られると思いますので、頑張ってもらいたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 若干時間がありますので、中小企業振興につきまして、思うところのお話を若干させてもらいたいな、こんなふうに思っております。
 申し上げるまでもなく、東京の活力の源泉は、東京の中小企業の元気にあるわけであります。やはり真に景気の回復を体感するためには、中小企業の方々に元気になってもらわなければなりません。
 しかしながら、中小企業を取り巻く環境というのは、まだまだ、産業の空洞化による影響、そしてまた、受注を受けても、コストの削減、そしてあるいは金型のメーカーに代表されますように、中小企業の持っている優秀な技術が、その中小企業の承諾なしに、大企業に、海外に流出をされているというふうな現状、そしてまた、さらには現実の問題として、まだまだ銀行には貸し渋り、貸しはがしがあります。
 しかしながら、若干ではありますけれども、景気の回復の気配も感じられることも事実であります。私は、そういうときだからこそ、中小企業は、円滑な資金の供給によりまして、守りの経営から攻めの経営に転じることができると思っております。やはり守りから攻めの経営に転ずることによりまして、中小企業が元気になりまして、そして景気が回復されると私は確信をしております。その意味では、新銀行の持つ役割も大変大きなものでありますでしょうし、また、産労局の制度融資の関係も、ぜひもっともっと充実をしてもらいたいなと、こんなふうに思っております。
 最後に、中小企業の元気なくして真の景気の回復なし、そのことを東京都から発信をしてもらいますことをお願い申し上げながら、私のすべての質疑を終わらせてもらいたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

○樺山副委員長 北城貞治委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時二十九分休憩

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