東京都議会予算特別委員会速記録第二号

○宮崎委員長 引き続きまして、藤田愛子委員の発言を許します。(発言する者多し)
 それでは、藤田委員から発言がありますので、お静かに願いします。

○藤田委員 私は、生活者ネットワークを代表して、財政の問題から質問してまいりたいと思っています。
 平成十六年度の東京都予算は、苦しみながらも、持続可能な財政基盤の確立に向けて、基金残高の確保や都債の発行抑制に努めるなど、将来の財政を見据えた取り組みを進めてきたとしています。しかし、経済・財政活動のうち第三セクター等については、今後の償還も含めて厳しい状況が続くことは明らかであります。このことは、我が国全体の問題でもあります。もちろん、ご承知のとおりでありますが、国と地方を合わせた長期債務残高は、〇四年度末の見通しで約七百二十兆円になります。バブルが崩壊した九〇年度末の二・七倍というふうになっています。都は、まさしく最大の自治体として、過去の過大な公共事業のツケと、この体質をどういうふうにコントロールしていくかということが問われているというふうに思います。
 このことは、一般会計だけではありません。昨年十二月に出された総務省の第三セクターに関する指針では、追加融資で延命することなく、損切りをすべきということが既に書かれています。そして、本年度の総務省の内簡でも、債務保証をしてはならないということを打ち出しているわけであります。まさしく危機はこれからだというふうに思います。このために、これに対応した自治体の経営手法や、その目的の多様化が問われる時代に入ったというふうに思います。
 しかし、私は最大の課題は、この自治体財務問題の都民への説明責任とコントロールであって、このためのツールをどうやってつくっていくかということが問題であるというふうに考えているわけです。政府の保証債務、それから特殊法人の債券もふえ続けていますけれども、大阪府や北海道のように財政の厳しいところでは、地方債の買い手から大手行、大手の銀行が抜け始めています。国が地方債の償還を支える現行制度では自治体の信用力に差はないというふうに総務省はいっていますけれども、地方債にはデフォルトはない。そもそも格付があるのがおかしいというふうに大阪府知事はいっているわけですけれども、国の関与がこのまま続くとはとても思えないということで、アナリストは反論しているわけであります。北海道でも、大手銀行は道債の値切り交渉をしまして、そして撤退を選択をしています。
 また、先日、北海道住宅供給公社の特定調停が成立しましたけれども、十分な経営情報が開示されずに、道民が知らないうちに破綻をしてしまって、最終的には財政負担という形で道民にツケが回るという結果を招いています。ぎりぎりまで正確な情報を流さない隠ぺい体質が住民に大きな負担を与えると同時に、先送りの体質と相まって、公社の立ち直りを妨げたのではないかというふうに思われます。受け身の姿勢で重要な情報を隠せば、十分な情報ソースを持たない住民が思わぬ被害をこうむると同時に、企業自身も大きなダメージを受けます。
 しかし、一方、最近では、大学、法政大学ですとか早稲田大学でも、それから医療法人などが格付を取得をしています。積極的な経営情報の開示によって有利な資金調達に役立てている先進的なケースもあるわけです。第三者である格付機関が経営情報を分析して投資家に情報提供をする格付は、経営情報の重要なツールというふうに私は思っています。
 北海道に続いて千葉も、それから長崎の住宅供給公社も破綻をしました。そして、特定調停を申し立てている中で、東京都の住宅供給公社は格付を取得したというふうに聞いています。どのような判断で格付を取得をして、そして、その結果はどんなふうであったかを、まず伺わせていただきます。

○高橋住宅局長 東京都住宅供給公社は、現在、都に依存しない自主自立的な経営の確立に向けて改革を進めております。
 今回、格付を取得いたしました目的でございますが、今後の事業資金を市場から調達するため、格付機関からの評価によりまして信用力を客観的に示しますとともに、経営の透明性の向上を図り、社会的な説明責任を果たしていくこと、こう考えております。
 公社は、経営の健全性等が評価されまして、ダブルAマイナスという高い格付を得たところでございます。これによりまして、独自の信用力に基づきまして低コストでの資金調達が可能な公募社債を発行できたことなど、所期の目的は十分に達成されている、このように考えております。

○藤田委員 そうしますと、実際には第三セクターということを今後どうするかという話になるわけでありますけれども、今回の予算で新大学を独立行政法人化をしたわけでありますし、また、一千億円も出資して新銀行を設立する。これらの法人に万が一のことがあれば、もちろん学生や中小企業者、そして、ひいては都民全体にはかり知れない影響を与えるわけであります。
 これら新たに設立する法人や既存の第三セクターが自立的な経営をするためにも、みずから情報を開示して社会的な信用を得ることは重要でありまして、格付はその有効な手段の一つであるというふうに考えます。こうした第三セクター等の経営情報の開示とともに、資金調達に役立てるために、第三セクターの格付取得を都としても積極的に考えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○赤星総務局長 東京都では、これまでも監理団体改革実施計画に基づきまして監理団体の経営改善を進めますとともに、団体ごとのホームページの開設や経営実績の公表など、経営情報の公開に努めてまいりました。
 資金調達に際しまして、格付を取得することは有効な手段の一つではございますが、団体の経営に対します信頼性を高めるためには、なお一層の経営改善を図り、自立的経営を確立することこそが重要だと考えます。
 なお、格付の取得につきましては、各団体がその経営状況や資金調達の必要性を勘案いたしまして判断すべきものと考えます。

○藤田委員 なかなかどういう格付がつくか、危ういようなところもあるかと思いますので、難しいところもあるかと思いますけれども、東京都本体については、昨年の五月に、今後の都債発行のあり方についてという検討会報告が出されています。格付は、資金調達に有利であるばかりでなくて、依頼主が必要な情報をいかに整理して公開できるか、その財政状況そのものとともに、これが評価を左右する要因にもなっています。評価に必要な情報を提供できない団体は、リスクが高いというふうに判断されざるを得ないということになります。すなわち、積極的な情報公開を進めるのに、私は有効な手段であるというふうに思っています。
 都は、多くの投資家が購入する都債の発行体であり、投資家のためにも格付の取得をすべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○櫻井財務局長 格付は投資家が投資判断をする際の一つの重要な目安ではありますけれども、投資家は、格付ばかりでなく、さまざまな情報をもとに、みずからの判断で投資を行っております。都は、投資家を重視した都債の発行に努めており、これまでも起債に関する情報などさまざまな情報提供を行ってまいりました。
 また、都債は優良銘柄として市場で高く評価されており、現在、安定的かつ円滑な発行ができている状況にあります。
 このため、現段階では、みずから経費を負担して格付を取得することにつきましては、費用対効果の面などで、なお検討を要するものと考えております。

○藤田委員 検討中とのことですけれども、今は、国内にお金が余っている状況ですから、格付でダブルAの評価があればもう十分だということにありますけれども、今後はどういうふうになるかわからない。そしてまた、外国へ打って出ることもあるかもしれません。そして、今後の投資を、都庁全体として投資をどういうふうに考えていくか。あるいは、今、実際には監査法人が入って会計の監査が行われているという状況ではない。こういうことを考えますと、やはり格付取得が有効な手段になってくるのではないかというふうに私は思います。
 現在のところは費用対効果ということで検討中ということでありますけれども、住宅供給公社の分では、約二百万円というようなことで格付ができるようであります。都庁本体でも約一千万円にはならないというようなことをお聞きをしておりますので、今後ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。
 それでは、現在のところ格付をとらないとすれば、都民及び投資家に、財政情報、都債に関する情報の提供を積極的にする必要があるかと思いますけれども、実際にはどんなことがなされているのかを伺いたいと思います。

○櫻井財務局長 都債や財政に関する情報提供は、投資家の都債に対する評価を高めるものとしまして、その重要性については十分に認識しております。このため、機関投資家向けの説明会、ホームページ上での財政情報、都債に関する情報の提供など、この場でもさまざまな取り組みを行ってまいりました。本年度は、個人向けの東京再生都債につきまして、都民を対象とした説明会を開催したところでございます。
 今後とも、投資家向けホームページを構築するなど、工夫を重ねながら、より多くの投資家や都民に対して、わかりやすく、かつタイムリーな情報提供を目指し、積極的に取り組んでまいります。

○藤田委員 次に、新銀行についてお伺いをしたいと思います。
 もちろん中小企業対策は国としても重要な施策でありますので、国の中小企業対策は、それこそ中小企業庁の施策を含め膨大になっているわけでありまして、お示しをいただきたいというような話を最初にしましたところ、それだけで時間が終わってしまいそうであります。そのくらい膨大になっているわけであります。そして、資料にも今回お出しいただきましたけれども、産業労働局の制度融資も工夫を重ねてきておりますし、それから、既存銀行における中小企業融資も着実に実績が上がってきているというふうに聞いておりますけれども、新銀行独自の中小企業支援の基本的な考え方について、何回も質問がございましたけれども、再度、知事にお伺いをしていきたいと思います。

○石原知事 既に産労局に幾つかの方法もあり、今度、新しく再生ファンドもつくったりいたしますが、もともとこれは非常に根の小さなものでありまして、それに比べてもっと大がかりといいましょうか、いずれにしろ、いろいろなケースに応じての中小企業支援に応じていくためのすべとして新銀行を考えたわけであります。東京の経済の再生のために、巨大な個人金融資産を生きた資金として中小企業へ供給する安定的な仕組みを構築したいと思っております。
 既存の金融システムは実質的には機能不全に陥っておりまして、相当な期間待っても、私は混乱の収拾はおぼつかないと読んでおります。民間金融機関のみならず政府系金融機関も、中小企業のニーズに十分に対応し切れておりませんし、新銀行は、既存金融システムが対応し切れないリスクの高い部分にも、低コスト体質と手厚い自己資本を背景として積極的に融資を行うことによって、中小企業の活性化に寄与し、地域経済の再生を図っていきたいと思っております。

○藤田委員 少し細かくなりますけれども、お聞きをしていきたいと思っています。
 今年度の産労局の目玉に、今、知事もお話しにありましたような中小企業の再生ファンドがあるわけでありますけれども、新銀行のファンドとの違いを、まずお示しいただきたいと思います。

○有手産業労働局長 中小企業は、その規模や業種、業態など、極めて多岐にわたっておりまして、企業再生に当たっては多様な手法や取り組みを講じることが必要であると考えております。こうした目的のもとに、都におきましては、産業労働局と新銀行とがそれぞれ補完し合いながら、特色を生かした企業再生ファンドを創設することといたしました。
 具体的には、産業労働局のファンドは有限責任組合法に基づく組合でありまして、債権以外に株式の買い取りが可能で、経営に深くかかわる可能性が高いため、再生可能性の高い企業が対象となります。一方、新銀行の再生ファンドは商法に基づく匿名組合の形態による債権買い取り型でございまして、再生可能性を比較的弾力的にとらえ、幅広い業況の会社を対象とするものであります。

○藤田委員 次に、金融庁は、二月十九日に、新銀行の業務のあり方について、都と開業へ向けて建設的な議論をしてまいりたいというふうに述べているわけでありますけれども、これからの金融庁とのやりとりのスケジュールをお示しをいただきたいと思います。
 また、新銀行東京という名称でありますけれども、最近は、アイワイバンクはアイワイバンク銀行でなければならないとか、銀行が最後につかなければならないという指導を受けたというふうに聞いているわけでありますけれども、名称について、銀行が末尾につかないのは異例というふうにいわれているわけですけれども、この名称で内諾を得ているのかを伺いたいと思います。

○大塚出納長 本年四月一日の新銀行のいわば母体となる準備会社設立につきましては、金融庁の基本的な了解を得ております。現在、実務的に最終の詰めの段階に入っております。四月以降開業までの間、建設的、具体的な論議を重ねながら、開業準備に万全を期してまいります。
 なお、新銀行の名称についてご心配をいただいているようでございますけれども、既に金融庁の了解を得ております。ご安心ください。

○藤田委員 予算案が通ってない段階で買収案が発表されているわけでありますけれども、パリバ銀行との買収合意案はどういうふうになっているのか。不調の場合の違約金とか賠償金の発生など、どういうふうに合意されているのかを伺いたいと思います。

○大塚出納長 昨年十二月に締結をいたしました買収の基本合意は、民法上の売買の予約でありまして、都議会において予算案の議決が得られた後、改めて本契約を締結するものであります。したがって、何の法的な拘束もありません。違約金とか賠償金が発生することはあり得ません。

○藤田委員 提携先として挙げられているJR、日本郵政公社とは、具体的にどんな話し合いが、どこまで進められているのか。現在、最も進んでいるユビキタスな金融サービスとしては、金融機関と鉄道会社がステーションバンクを提供しているわけであります。そして、毎日のようにATM関連では新しい情報が出てきておりまして、先般も、三日ほど前でしょうか、東京三菱とソニーの提携など、ICの先端を走っているわけでありますけれども、都のICサービスの優位性についてはどんなふうに考えられておりますでしょうか。

○大塚出納長 JR東日本と郵政公社でございますけれども、既に基本的な合意を終えております。現在、JR東日本とは、新銀行のICカード、それからビュー・スイカカードとの具体的な詰め、提携内容を含めた詰めについての協議中でありまして、日本郵政公社とは、ATM接続にかかわるシステムの具体的な調整を行っております。
 また、新銀行の提供するICカードは、これまでのような、先ほど三菱のお話がありましたけれども、そうした個別企業あるいは銀行が個々に提供してきたサービスとは異なりまして、社会共通のインフラとしての高い利便性を総合的に提供するものでありまして、間違いなく優位性があるというふうに考えています。

○藤田委員 次に、リスクに関してですけれども、先ほどご説明がありましたけれども、担保性や第三者性にとらわれない、キャッシュフローに着目して、中小企業の特性に合致した融資スタイルというものは、実は民間金融機関が既に積極的に、今ようやくというふうにもいえますけれども、取り組んでおります。実績も着実に上がっているというふうにいわれております。そして、再生ファンドも、ある意味ではリスクが大きいものを新銀行が引き受けるというふうにしているわけでありまして、リスクに対しての懸念を私は持っています。
 ところで、都は全く新しい中小企業向け融資を開拓するというふうになっていますけれども、前例のない融資方法において、貸し倒れ比率を四・二%というふうに決めてあります。どんな算定をしたのか、その根拠を伺いたいと思います。

○大塚出納長 中小企業向け融資でございますけれども、経営の健全性を確保する観点から、同じく中小企業を顧客主体とする信用金庫等地域金融機関の約三倍のデフォルト率、これが出発点であります。それを想定しておりまして、さらに、この想定を超えて発生するリスクに備えまして、貸倒引当金は、先ほど申し上げました三倍のデフォルト率を想定しているわけでございますけれども、その三倍のデフォルト率のさらにまた二倍近い、それが四・二%の根拠であります。
 当然のことながら、新銀行の融資方法は、こうしたリスクに対して、なお十分な余力を残して対応するものであります。
 ファンドにつきましても、同じようにきちっとしたリスクのコントロールの上で、リスクの積み上げの上で、運営をすることになります。

○藤田委員 一九三一年創業の船橋信金が、一月二十八日に破綻したというふうな報道がありました。直接の破綻理由は、金融庁の資産査定によって、自己査定で六〇%であった正常先が二二%になってしまったということであります。貸出残高は三千万円以上ということでありまして、これによって引当金の増額が要求されて、その結果、十四億七千六百万円の債務超過となって、経営破綻をしたということであります。
 銀行であれば、金融庁の検査マニュアルに縛られるので、債務超過の中小企業に融資すれば、不良債権に分類されるわけでありますけれども、それでどうして金融庁が定義する健全銀行というふうにいえるのでしょうか。

○大塚出納長 金融検査マニュアル及び先般改訂された別冊である中小企業融資編におきましては、赤字や債務超過が生じているなど、表面的な現象のみをもって債務者区分を判断することは適当ではないとされておりまして、債務超過先が画一的に不良債権に区分されるものではありません。
 新銀行におきましては、債務超過先であっても融資対象とするわけでありますけれども、こうした融資が仮に不良債権と区分されたとしても、地銀平均等を大きく上回る引き当てと貸し倒れ償却を計上し、万全な備えをしておりまして、新銀行経営の健全性は十分に確保されております。

○藤田委員 先ほど個人保証の問題が質疑がありました。そして、新銀行においては、個人保証についても解除する仕組み、技術力、将来性重視型の融資を中心に、これを解いていきたいというような、個人保証をつけないようにしていきたいというふうにお話がありました。
 その中のお答えの中で、新銀行は、経営者の個人保証を求める場合でも、その責任を合理的な範囲に限定していくというふうにありましたけれども、実質的に、合理的な範囲というのがどこでもいわれておりながら、合理的な範囲というのがどういうことかというのは非常に難しいところでありますけれども、それについてお答えをいただきたいと思います。

○大塚出納長 合理的な範囲に限定する方法としては、一つは期間の問題、もう一つは額の問題というふうに、二つあると思うんですね。
 期間の問題につきましては、仮に契約を結んだとしても、その契約を結んだ時点の事情といいますか、それを前提に、例えば五年を満度として、いわゆる保証そのものを縮減するといいますか、そういうふうな考え方があり得るかと思います。
 それからもう一つは、包括根保証というのは、またこれとは全く対立する概念でありますけれども、そこまでいかないとしても、融資額の全額なのか、あるいはその一部なのかというふうな物差しの判断もあろうかと思います。合理的な範囲というのは、その二つの視点からのアプローチになるというふうに思います。

○藤田委員 東京都の債券市場、CLO、CBOでありますけれども、平成十五年三月現在、七千五百企業、三千億円超の実績を上げているというふうにされています。それですと、一社当たり四千万円の資金調達となります。この平均融資残高で、第三期の中小企業向け貸出保証六千三百億円から計算しますと、一万五千七百五十社となります。東京都の計画でも、中小企業向け融資の新規実行数は、第三期において全体で年間約二万件を見込むというふうにしてあるわけです。
 この新銀行のスキームの発表の中に、審査・与信部門の人間は十五名で審査するというふうにあります。そうしますと、一人当たり千三百三十三社を受け持たなくちゃいけないということになるわけです。これは物理的に私は不可能であるというふうに思います。普通いわれるのは、中小企業の関係でありますと、どう持っても一カ月に二十五件が最高であろうというふうになっているわけでありますけれども、これについては非常に物理的な問題があると思います。幾らポートフォリオ型融資といっても、書類審査は行われるのでありますし、技術力、将来性重視型一千二百億円は、やっぱり手間がかかるというふうに思うわけです。
 自動審査によるスピーディーな融資実行の判断というけれども、このプログラムは既に開発をされているのでしょうか。また、開発予定とすれば、いつ、どのようにその根拠として発表なさるのかを伺いたいと思います。

○大塚出納長 おわびをしなくちゃならないんですけれども、藤田委員のご質問はいきなりずどんと来ましたもので。その十五名というのは、確かに資料の中に入っているんですけれども、あれはいわゆる本部の審査・与信管理部門でありまして、あの人間だけでやるというふうにはどこにも書いていないんですね。ただ、質問自体が固まりで来て、決まりだということで来てしまいましたので、そういうふうなやりとりもなしに、きょうを迎えているわけであります。
 そういうことで、最初にお断りをした上で、そこの足りない部分を含めてお答えすることになりますけれども、融資のプロセスにおきましては、ITの活用により事務の集中化を図るとともに、体制に関しては、本部の審査・与信管理部門十五名と本店・出張所の融資担当者約七十名、それに加え、契約社員三十名を活用いたしまして、総勢百名を超える体制で実際に審査に携わることになります。
 この体制で、一日約九十件の処理を想定しております。ポートフォリオ型融資を初め、いずれの審査にあっても十分可能であります。
 なお、加えて、審査の過程では、信用金庫等の地域金融機関や提携企業と提携することによりまして、その効率性や実効性を高めてまいります。
 融資における自動審査システムは、専門会社が開発したシステムを基礎に、信用データ機関等からのさまざまなデータを組み込み、精度を高めることにより、構築をしております。こうした審査システムは、新銀行のビジネス戦略上の機密に属するものであり、公表するものではありません。
 いずれにしても、開業までの間、十分余裕を持ってスタンバイするつもりでありまして、ご懸念には及びません。

○藤田委員 最終的にはやっぱり、戦略であるので開示ができないということであります。
 そして、今立て続けに聞いてまいりましたけれども、ご懸念には及びませんというわけでありますけれども、例えば売買の予約というようなことでも、これだけの大きな金額でありますから、私は文書で公開をしてほしいというふうに思います。
 そして、デフォルト率がどうだということで、四・二%の根拠はというふうにお伺いしたんですが、実際には、三倍を想定して、それが想定されるデフォルト率の二倍近くを計上というだけで、やはり根拠というようなことにはなかなか私は思えません。そして、実際には、検査マニュアルのことでもお伺いいたしましたけれども、地銀を大きく上回る引き当て率と貸し倒れ償却を計上して準備すれば、収益は大幅に悪化するわけでありますから、その点の試算も明示してほしいと思いますし、想定されている一般貸し倒れ引き当て率二・九%は、都銀の三%と比較して高くないわけでありますので、やはりこれも少々答弁に矛盾があるというふうに思います。
 また、先ほど最後にお話しされたのは、専門会社が開発したシステムを基礎にというふうにありますけれども、この専門会社というのも、本来でしたら明らかにしていただきたいというふうに思うわけであります。
 なかなかいつも、私も財政委員会の方に九月までおりましたけれども、どうしても最終は株式会社で公開ができないというところになりますと、私たちは、一千億円を計上しているものを、本当にこれがいいのかどうかというようなことはなかなか判断ができないというふうに私は思うわけであります。
 今回、一千億円計上しているわけですけれども、パリバ銀行を買収するときなどは、事件案として、議会の決定が必要な事項として議論すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○大塚出納長 藤田委員、いろいろなことをごちょごちょ、たくさんおっしゃいましたけれども、それは結局、例えばデフォルト率を前提として、それの三倍を積んで、さらにその二倍というふうに申し上げています。ですから、この数字を--ここの複雑な方程式があるわけですよ。その方程式の数字をここで言葉でやりとりをしても仕方がない。だから、私がいっているのはうそでも何でもない。実際にPL、BSの中できちっと計算をした。申し上げたのは全部、隠しているわけでも何でもありません。ですから、きちっとした数字があるわけです。ただ、それが、例えば専門会社の名前を今の段階でいえとか、そういうことを要求されても、これは答えられないことがあります。
 しかし、完全に、情報が不足の中で、要するに、これは信用できないとか、何かそういうふうな断定といいますか、それはもっと別の形で幾らでもフォローする方法がありますので、その点をぜひご理解を願いたいと思います。
 それから、議会の議決をいただく事項は、地方自治法第九十六条及び議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例において定められておりますけれども、株式の買い入れにつきましては、これらに規定されておらず、事件案には該当いたしません。
 なお、新銀行の主要な経営指標に合わせ、お尋ねのパリバ案件につきましても、一定の段階で当然議会に報告してまいります。

○藤田委員 九十六条にある財産の取得、処分が出資に当てはまらないというふうにいたしましたとしても、一千億円という大きな財産の取得、処分については、都民感情からいえば、やはり案件として付されるべきのものだと私は思うわけです。
 また、九十六条二項には、条例で定めれば、出資や株式の買い入れも案件とすることができるというふうになっています。これは今、実は人事委員会の費用が幾らかとか、こういうことにしか書かれていませんので、ここのところはすぐにでもできるわけでありますけれども、予算に全部丸め込むのではなくて、少なくてもこういうことについては、買収など大きな支出を伴うときは、議会承認の案件とすべきだというふうに私は思っております。
 それでは、次に、食の安全について伺いたいというふうに思います。
 先ほど知事もお話をしていただきましたけれども、生活者ネットワークが提案して実現いたしました、遺伝子組みかえ食品の独自マークの表示制度は、消費者の選択の権利を保障したもので、近隣県等にも実質流通しているものもあるというふうに聞いています。
 都民の健康や安全志向や、また地球規模での環境問題に対する関心の高まりの中で、農業生産も環境に調和した生産方法が求められているわけであります。
 都は、平成六年に栽培指針を定めて、堆肥等による土づくりを基本として、農薬と化学肥料を通常の五割以上減らした農産物、特別栽培農産物をつくりまして、振興してきています。また、平成九年度からは、有機農業の拡大と消費者の信頼を高めるために、この基準に合致した農産物を認証する東京都特別栽培農産物認証制度をつくっているわけであります。
 食の安全・安心に多くの都民が関心を持っている中、都として、この制度の対象商品の拡大や、特別栽培農産物などの生産振興をより一層明確にしていくべきだというふうに思いますが、見解を伺います。

○有手産業労働局長 都では、安全で安心な農産物を供給するため、堆肥などによる豊かな土づくりを基本としまして、農薬や化学肥料をできる限り使わない有機農業を推進してきたところでございます。
 お話のように、東京都特別栽培農産物認証制度を設けまして、順次対象となる品目と農地を拡大してきております。今年度は、お茶を追加し、二十五品目といたしましたが、来年度は、さらにアシタバなど三品目を追加していく予定であります。
 今後も、安全で安心な、環境に調和した農業生産の方法として、特別栽培農産物の生産を一層推進してまいります。

○藤田委員 本議会では、私たちが長年訴えてまいりました食品安全条例が上程されました。私たちは苦節十五年というふうにいっているところでありますが、大変評価をいたしているところですが、BSEや鳥インフルエンザと、次から次へと食の安全が脅かされている状況だというふうに思います。
 その一つに、先ほどお話がありました遺伝子組みかえ食品があります。東京都特別農産物認証制度は、環境に調和した生産方法や食の安全性に対する要望を受けてできた農産物です。当然、これは遺伝子組みかえ作物を除外した農産物であるわけです。今後も、安心・安全である東京産ブランドとしての振興、また生産農家の拡大に努めていただきたいというふうに思っています。
 ところで、イギリスでは、大手保険会社五社が、遺伝子組みかえ作物を栽培した農家とは、リスクが高いということから、一切契約はしないということを表明しているわけです。また、アメリカの保険業者も、組みかえ作物の生産者への集団訴訟を不安視しているというふうにいいます。というのは、食品の遺伝子組みかえという道をこのまま進んでいくと、最終的にどこに行き着くのかわからない。環境や人間の健康の問題はどうなるのか、この点を把握している開発企業が一つも存在していない、こういう理由からであります。遺伝子組みかえ作物栽培農家に厳しい状況が生まれつつあります。
 昆虫が媒介して花粉が移動する遺伝子の伝達は、複雑なプロセスであって、環境条件、植物の品種、昆虫の行動、植物の密度など、多くの要因に左右されていることが研究報告されています。
 日本は、こういう中で、昨年十一月に、遺伝子組みかえ生物の使用による生物多様性への悪影響を防止することを目的とした、生物多様性条約カルタヘナ議定書を締結いたしました。議定書の早期締結を行うために、ことし二月に遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、長いですね、通称カルタヘナ法が施行されています。(発言する者あり)カルタヘナ法です。場所の名前です。この法律は、遺伝子組みかえ技術による栽培によって、自然界の生物の多様性を損なわないように、規制措置を講じているわけです。
 しかしながら、食品となる遺伝子組みかえ作物の栽培をめぐって、国の確認を受けたとはいえ、コンセンサスを得られないため、幾つかの混乱が起きているのも事実です。
 そこで、都の対応について伺います。都の農業試験場及び農家で、食品となる遺伝子組みかえ作物は栽培されているのでしょうか、伺います。

○有手産業労働局長 お話の通称カルタヘナ法は、遺伝子組みかえ作物等について、他の生物への影響を防止するため、作物の輸出入や、圃場での栽培に関する規制等を目的としております。
 都の農業試験場では、遺伝子組みかえ体による環境影響の未然防止を目的としたバイオテクノロジー環境安全管理規程を策定し、これに基づいて、耐病性シクラメン等についての遺伝子組みかえ試験を行っております。これは環境の中への拡散を防止しつつ行う閉鎖系での試験であります。また、食料となる遺伝子組みかえ植物の試験を行う予定はございません。
 なお、都内では、遺伝子組みかえ作物を栽培している農家はありません。

○藤田委員 本来の農産物の安心を確保するためには、多くの消費者の不安と感じている遺伝子組みかえ作物が、都内において栽培されることによる混乱及び都内農産物への不安が生じないようにすべきだというふうに思います。
 今、北海道で規制条例ができました。それから、三月四日に茨城で規制条例ができています。こういうことを考えたときに、試験研究機関のみならず、一般圃場を対象とした遺伝子組みかえの交雑防止の対策を講じる必要があると思いますが、知事、いかがでしょうか。
   〔有手産業労働局長発言を求む〕

○宮崎委員長 どっち。

○藤田委員 最後、お願いします。
   〔有手産業労働局長発言を求む〕

○藤田委員 いや、知事、お願いします。

○有手産業労働局長 遺伝子組みかえ技術は、社会的に有用な面もありますが、食品の生産面での安全性や環境への影響など、不安な面もあり、安全性の確認には時間をかけ、積極的にその解明に取り組むべきであります。
 国の安全性評価は、隔離した環境の中でのみ行われており、通常の農地での生態系への影響評価が不十分であると思います。こうした中で、国は一定の農作物の栽培を承認しておりますが、都民の多くは不安感を抱いております。
 国に対して、今後も生態系などの周辺環境への安全性評価の調査研究をさらに充実するよう、強く要請してまいります。
 都としては、生産農家や種苗会社に対する調査を実施し、遺伝子組みかえ作物に対する意識や取り組み状況の把握に努め、交雑の危険性などを含めた正しい情報提供など、農家を適正に指導してまいります。
 また、都の農業試験場における遺伝子組みかえに関する規定を整備してまいります。
   〔発言する者あり〕

○藤田委員 質問が残ってしまいましたので、締めくくりの方へ残させていただきますので、引き続きこの問題について議論させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

○宮崎委員長 藤田愛子委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定をいたしました質疑はすべて終了いたしました。
 十五日は、午後一時から委員会を開きます。
 本日はこれをもって散会といたします。
   午後九時九分散会