東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後三時十七分開議

○樺山副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 青木英二副委員長の発言を許します。

○青木委員 それでは、都議会民主党を代表して、総括質疑をさせていただきます。
 まず、都政の構造改革について伺いたいと思います。
 過日の代表質問で、第二次財政再建推進プランの取り組みについて、櫻井財務局長より、中長期的な課題や構造的な課題に果敢に取り組むという重要な答弁がございました。第二次財政再建推進プランは、第一次プランを踏襲しつつも、施策の見直しでは著しい考えの違いがあると思います。
 第一次の場合は、一般財源五億円以上の事例すべてを提示すると。今回のプランでは、三十事業の例を示しながら、今後の見通しの方向性や考え方を説明し、各局の自主的な取り組みを促しているという内容でございます。
 ここに、中長期的な課題や構造的な課題への取り組みを促すという視点があると思いますが、今回、見直し対象事業でなくて、見直しの必要性が内在する事業を事例とする方法をとったわけでございますが、どうしてこういう方法をとったか、まずこのことからお伺いしたいと思います。

○櫻井財務局長 第二次財政再建推進プランにおける財政再建の取り組みは、財源不足の解消という量的改善はもちろんのことでございますけれども、さらに、財政の弾力性を回復させる質的な改善を図るという、持続可能な都財政を構築する構造改革でありまして、これまでの取り組みを一層強化、向上していかなければなりません。そのためには、現場からの発想を生かして、各局は自主的、主体的にすべての施策について見直しを進めていく必要があります。
 第二次プランの付表に掲げました三十項目は、お話のとおり、財政再建の基本的な視点から、中長期的な課題や構造的な課題が内在している事業、制度を例示しまして、今後、これを素材として、各局における施策の見直しのみずからの積極的な取り組みを促したものでございます。

○青木委員 三十項目の例示の中には、今回の予算に見積もられたもの、それからまた、発表後、新聞報道などで見直しの方向性が発表されたものもあります。まだ全体的には、なかなか見直しの中身が出てこない項目もございます。そういった項目について、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、私学助成でございますが、とりわけ後期中等教育における私学助成は、歴史的経緯もありまして、一般的な私学助成と同列に論じることはできませんが、過日、早稲田実業学校の例を引くまでもなく、その経営の情報の公開、それから学校の評価という点で大変不十分であったという意見が、率直にいってたくさんございます。公私の役割分担を踏まえつつ、この補助金が生きた資金として私学の中に活用されていることが、都民にきちんとした形で見えていくという制度に見直していく必要があると思います。
 とりわけ東京都、都立高校では、十六年度から全校でバランスシートを作成するということになっておりますし、これと対比する形で私立学校の経営情報が公開されることによって、初めて公私の適正な評価というのは可能になってくるというふうに思います。
 こういった点を踏まえて、十六年度私学助成についてはどういった見直しが行われたかを、次、お伺いしたいと思います。

○三宅生活文化局長 平成十六年度の私学助成につきましては、個人立等幼稚園の学校法人化を一層推進していく観点から、五年間の経過措置を設けた上で、私立幼稚園教育振興事業費補助金の補助単価を、学校法人立幼稚園の三分の一から四分の一に見直すことにいたしました。
 今後も、私立学校の実態を踏まえつつ、私学助成のより効率的な執行方法や効果的な配分方法等について検討を加えるなど、社会経済状況の変化に対応しながら適切に対処してまいります。

○青木委員 次に、技術専門学校についてお伺いをしたいと思います。
 雇用問題は、引き続き東京都にとっては大変大きな課題でもあります。プランでは、技術専門学校の訓練科目と求人需要とのミスマッチが指摘をされていますが、その民間との役割分担や国の規制緩和など、複雑な問題を抱えているというふうに聞いています。
 そこでまず、技術専門学校の訓練科目について、十六年度予算についてどのような見直しが行われたか、伺いたいと思います。

○有手産業労働局長 技術専門校で実施する訓練科目につきましては、企業ニーズの調査や科目開発委員会において、関係業界等からの意見を可能な限り取り入れて、適宜、見直しや新規科目の開発を行っております。
 平成十六年度は、機械製図科など就職率の低い科目を廃止するとともに、企業ニーズの高い、複数技能を有する、いわゆる多能工の養成を目的としたネットワーク技術科やメカニカルデザイン科を新たに設置いたします。
 今後も不断の見直しを行い、求人需要に対応した職業訓練の実施に努めてまいります。

○青木委員 次に、民間教育機関の充実を背景に、公共職業訓練における民間教育機関の活用についての指摘がされておりますけれども、この今後の方向性について、次にお尋ねをしたいと思います。

○有手産業労働局長 民間教育機関につきましては、これまでも厳しい雇用情勢に対応した緊急再就職促進訓練を委託するなど、活用を図ってきたところでございます。
 民間教育機関の活用については、雇用情勢に応じた職業訓練を機動的かつ弾力的に実施できるメリットがありますが、その反面、法令上、委託できる訓練が限定されるなどの制約がございます。
 今後、この規制緩和など、こうした問題の対応も含めまして、民間教育機関の活用策について鋭意検討してまいります。

○青木委員 次に、東京都が所有する財産の有効活用と行政財産の規制緩和について伺いたいと思います。
 都内には、各局がたくさん所有する、特に研修所というような形で、たくさん東京都の施設がございます。多くの場合、直接都民が使うということは非常にまれだというふうに思います。また、十六年度以降、局の統合なども、このような財産管理の面の効率化のためにも、いろいろ効果があると思いますが、研修所を統合するというのはもちろんのこと、弾力的な活用法があれば、有効利用ができる場合もあるのではないかというふうに思います。
 各局を越えた、この財産活用の具体案を伺いたいと思います。

○櫻井財務局長 局の壁を越えた財産の有効活用についてでありますが、ご指摘の研修所の共同利用の検討を初め、現在、昨年十一月に発表しました第二次財産利活用総合計画に基づきまして、各局が所管する財産につきまして、これからの事業の方向性、規模や立地の再点検、施設の統廃合による効率化といった視点で財産の使用実態を総点検する新資産アセスメントを行っております。
 このような視点を踏まえた全庁的な見直しを進めまして、ことしの夏を目途に、局の壁、これまでの利用の仕組み、こういうルールを越えた有効活用策をまとめていく予定でございます。

○青木委員 それじゃ、この項目の最後ですが、お尋ねをしたいと思うんですが、公の施設の指定管理者制度の活用について伺いたいと思います。
 プランでも示されているように、都市公園と海上公園の例が出ているんですが、具体的にいいますと、葛西の海浜公園、これは港湾局で、管理は埠頭公社、それから、葛西の臨海公園は建設局で公園協会というふうに、それぞれ近くにあるんですが、違うわけであります。こういった問題があるわけですから、公の施設の指定管理者制度を私は活用して、一体的な管理を図る検討をすべきだというふうに提案をしたいと思います。同じようなことが、お台場公園としてプランの中にも示されております。
 一体的な管理、効率的な管理、さらには都民サービスの向上という面からも、この指定管理者に、私はそれぞれ統一的な管理をさせていくのが有効な方法だと思いますが、ご所見を伺いたいと思います。

○赤星総務局長 指定管理者制度でございますけれども、公の施設の管理に民間のノウハウや発想を生かしまして、住民へのサービスや利便性の向上を図るため導入されたものでございます。
 導入に際しましては、それぞれの施設の性格や目的に応じまして、管理者の資格や選定方法、管理の基準などを適切に定め、適正な管理に努める必要がございます。
 複数の施設を指定管理者が一体的に管理することにつきましては、その効果や効率性、都民サービスの向上等の観点から、ご提案の趣旨も含めまして検討してまいります。

○青木委員 第二次財政再建推進プランの三十の項目は、課題がわかりやすいことで例示をされたものだと思います。したがって、その見直し策が、他の事業を見直す上で大変参考になると私は思います。ぜひ目に見える成果が上がり、単に経費削減のためだけではなくて、都民のための見直し、再構築となることを期待いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、新銀行について、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず初めに、新銀行の中小企業向け融資についてお伺いしたいと思います。
 過般の代表質問の中でも、都市銀行や地銀も、どんどんどんどん中小企業向けに参入をしているという、私ども質問をいたしました。知事からは、確かにそうだけれども、メガバンクの中小企業向け無担保融資の融資対象はいまだに優良企業に限られていて、依然として中小企業は資金に苦しんでいるという答弁がございました。まさに私もそのとおりだというふうに思います。
 本当にそういったところに資金が流れていく、こういった実態が必要でありますし、その意味では、中小企業に対する新銀行、中小企業の皆さんから、新銀行に対する期待は大変大きなものになってきているというふうに思います。
 それで、まず最初に、新銀行の中小企業向け融資、どのぐらい予定しているか、このことからお尋ねしたいと思います。

○大塚出納長 開業三期目までの融資、保証の延べ実行額一兆七千億円でございますけれども、そのうち中小企業向けは約一兆二千二百億円で、その内訳は、ポートフォリオ型融資約六千億円、技術力、将来性重視型融資約二千三百億円、シンジケート型融資約二千三百億円、信金等協調型保証約千六百億円となっております。
 残りの約五千億円は、その他の融資でございまして、信用力の高い公的セクターや中堅企業などを主な対象とし、比較的大口の融資を行う計画であります。

○青木委員 私どもは、その中小企業、ずっと論議は出ているんですけれども、ミドルリスクのところにぜひ融資をということだったんですが、今のお話でいくと、そうじゃない部分に三割、約五千億、公的セクター、中堅企業に向けて融資が回されるということですが、この部分はどういう役割をこの新銀行の中ではされるのですか、お尋ねします。

○大塚出納長 新銀行が健全経営を行うためには、融資における貸出先のバランスを適正に保つことが極めて重要であります。
 そのためには、中小企業の資金ニーズへの対応と、銀行としての健全性の水準との適切な均衡点を設定することが経営上必要でありまして、今回計上いたしました五千億円弱は、当面の均衡を維持するために設定をした、いわば仮置きの数値であります。
 この融資は、中小企業の融資需要に対する備えを含めた、次のステップへの受け皿の役割を持つとともに、二次的機能として、想定を超えた余剰資金が生じた場合の運用としての役割もあわせ持つことになります。
 なお、この資金の性格及び仮置きの位置づけから、とりあえず、安全かつ流動性の高い運用を計画上は想定をしております。

○青木委員 今の段階では、その均衡点をつくるための、率直にいって必要悪かなという感じも私はいたしておりまして、できるだけこの部分が減っていくことも期待をしたいなというふうに思っています。
 それで、次にお尋ねをしたいんですが、先ほどの質疑の中で、ミドルリスクについては三%から六%の利率ということであったのですが、ここの利ざや収益、それからもう一つは、今お話があった公的セクター、中堅企業向けのこちらの部分の利ざや収益、それぞれお尋ねをしたいと思います。

○大塚出納長 新銀行は、比較的リスクが高い中小企業を中心にこれを融資対象としておりますことから、リスクに見合う適切な貸出金利を設定しておりまして、開業第三期における表面利ざや収益は、二百八十四億円を見込んでおります。
 一方、公的セクター、中堅企業向け融資の表面利ざや収益は、極めて保守的に見込みまして、とりあえず十四億円としております。

○青木委員 二つの利ざやが出ているので、最初に低い方の利ざやから聞きたいんですが、この公的セクター、中堅企業向けの利ざや益が十四億円という、これは非常に低いような感じが私はしているんですが、まずこっちの低い方から、どうしてこういうことになるのかをお尋ねをしたいと思います。

○大塚出納長 公的セクター、それから中堅企業向け融資の表面利ざや収益は、短期運用を中心に想定をした仮置きの金額であります。規模も仮置きでありますけれども、利ざやもまた、とりあえずの仮置きであります。
 なお、現在、PFI、アセットファイナンスあるいはファクタリングなど、新しいビジネスモデルによる運用を具体的に検討しておりまして、これらが実現をいたしますれば、十分な表面利ざや収益が計上できると考えております。

○青木委員 それでは、もう一つのミドルリスクの部分の方を伺いたいのですが、こちらは二百八十四億で、逆にこっちは高いのかなという感じがしているんです。これももういろんな論議が出ているんですが、この新銀行は、利益については極力、それが大きくなっていくことはできるだけ抑えていこうという一つのポリシーがあるわけで、都民や中小企業にできるだけ還元をしていくということになります。
 もちろん人件費等、商売だからもうけなきゃいけない部分はあるわけですが、非常に高いなという感じがしておりまして、それが率直にいって民業圧迫ということに、私どもはつながっていくことはないんだろうかと大変心配をいたしております。
 他の金融機関と比較して、この二百八十四億という利ざやというのは、どういうものなのでしょうか、伺います。

○大塚出納長 この新銀行のマスタープランの根っこにあります、いわゆるPL、BSでありますけれども、そのPL、BSを積算するに当たりまして、基本的なスタンスとして、まず一つ、リスクはきちっと見込む、それから収益については、できるだけ手堅く見込む、保守的に見込むと。そういうふうな基本スタンスでPL、BSを組んでおりまして、そういうふうに組むことによって、その新銀行の将来の健全性をより的確なものにしたいという、そういう視点で組んでおります。
 お尋ねの、利ざや収益の基礎となる融資金利の設定でございますけれども、預金や社債利回りなどの資金調達コスト、それから人件費、物件費などの経費、それから最終利益の合計をベースといたしまして、それに貸倒引き当てや償却などリスク対応コストを積み上げて算出をしております。
 表面利ざや収益が高いとのご懸念でございますけれども、新銀行の表面利ざや収益は、中小企業融資を主体としている信用金庫等地域金融機関の二・七倍のリスク対応コストを含むものでありまして、残りのベースとなる資金調達コスト、経費、最終利益のいずれも、地域金融機関の水準を下回る水準となっております。
 別のいい方をしますと、もし地域金融機関等が、新銀行と同じようなエリアについて融資をするとすれば、この表面利ざや収益よりもっと高い利回り、利率で貸し出しをしなければならないということであります。
 こうしたリスク対応コストを適切に積むことで、既存金融機関がこれまで対応してこなかった中小企業に積極的に融資を行うことが可能となります。

○青木委員 第一義的には、そのリスクという問題があるというふうに私も思います。
 私も、もうちょっと詳しくリスクに対する手当てを伺おうと思ったんですが、さっきの遠藤理事との質疑の中でも、その話が終わっているようなので、ちょっともう一回、確認のためで伺いたいと思うんですが、知事も先ほどの中で、高いリスクにお金を貸すという一つのポイントと、それからもう一つ、今も大塚さんからお話があった企業のリスクを回避しながら安定という、ある意味で矛盾する、これはまた宿命的な銀行かなというふうに思っています。
 それの接点をつくる、描いていく、どのように接点をやっていくかということで、その一つの方法、メソッドとしてさっき出たのが、一つは、そのデフォルト率を三倍、それから引当金率を四・二倍と、企業再生ファンドに売却をするというので、できるだけこの接点をつくっていこうということになるのかなという理解で、私も納得をいたしました。
 確認なんですが、その四・二%とわかったのですが、実質金額はどのぐらいなのでしょうか。これ、一点伺いたいというふうに思います。
 それから貸し倒れの償却率は、これは地銀よりも当然アッパーになるのでしょうかね。この二つだけ、金額と確認だけをさせてもらいたいと思います。

○大塚出納長 端的にいいますと、既存の金融機関がなかなか融資をし切れない部分で入りますので、それは当然リスクが高い。それをミドルリスクというのかどういうのかありますけれども、ミドルリスク、ミドルリターンを新銀行は望むのではなくて、でき得れば、ミドルリスク、ローリターン--ローリターンの水準はありますけれども、そういうふうなことを目指していろんなスタンバイをしていきたい。そういうふうなPL、BSになっているわけであります。
 開業第三期におきましては、新銀行の想定デフォルト率の約二倍、先ほどお答えをいたしましたけれども、率で四・二%ですが、額では二百六十二億円になります。その引き当てを積むという計画であります。
 それから、貸し倒れにつきましては、デフォルトした融資先について償却をしていくわけでありますけれども、まず経営改善計画の妥当性あるいは取引先の支援など、新銀行レベルで再建の可能性を十分見きわめた上で、再生ファンドなどに売却あるいは直接償却を実施することにしておりますが、三期におきまして、中小企業向けで百六億円の貸し倒れ償却を見込んでおります。

○青木委員 それぞれミドルリスクのところに貸すという、これもある意味で宿命的な部分があるので、今お話があったように、貸し倒れ償却率が高いというのは必然的な結果なんですが、今いった、そういうことは、デフォルトした債権は新銀行から今お話しのようにすぐ離れていって、企業再生ファンドなり直接償却をするということになって、それは頭としては非常によくわかるんですよ、それはまさにローリスクになるわけですから。
 ただ、言葉に語弊があるかどうかわからないけれども、何となく、金の切れ目が縁の切れ目のような、中小企業向けというポリシーからいくと、ちょっとそこが冷たいのかなと。いや、そんなこといってたらだめだよということなんですかね。そのへんの兼ね合い、伺いたいと思います。

○大塚出納長 おっしゃっていることよくわかるんですけれども、結局、今の地域金融機関の償却率の数字でいきますと〇・二%という、ですから、償却をし切れないで、一方、引き当てもまた必ずしも十分に行えないで、それを引きずっている、基本的に、構造として。したがって、それを引きずっているから、新しいリスクも背負えない。非常に限定されたリスクしか背負えない。で、手当てが必要なところへの資金供給も、これはやむを得ない面があるわけですけれども、十分ではないというところであります。
 この新銀行は、先ほども申し上げましたけれども、デフォルトしたら直ちに償却をするということではなくて、新銀行のエリアの中で、それはそれなりにきちっと、いろいろな形、例えば返済計画を緩和したり、あるいはやりとりをしたりすることによって、それなりの一定の手当てをした上で、その上で、これはというものは償却をしていく。あるいは、ファンドの方に移していくという考えであります。
 いいかえれば、高いリスクを負った融資を安定的、継続的に行うためには、適切な償却処理を実施することが不可欠であります。具体的には、不良債権につきまして、先ほども申し上げましたけれども、再建の可能性を十分にまず追求をいたします。そうしたことを含め、新銀行としての最大限の努力を行った上で、なおデフォルトした債権を企業再生ファンド等へ売却あるいは直接償却を実施することになります。
 一定の段階で、債権を再生ファンドなどに移転することによりまして、すぐれたノウハウを有する専門機関のもとで、傷の浅いうちに速やかに企業再生などの再起の支援が行われることになります。当該企業にとって有益な解決方法が提供できると考えております。

○青木委員 まさに、銀行の持つ、先ほどいった宿命として相矛盾するものを埋めていく作業が続く銀行ですので、それは新銀行サイドの話だと思うので、都民、特にお金に困った人たちにしてみると、なかなかその辺の理解が難しいというふうに思います。
 最終的には、ポートフォリオにしても、今のいろんな問題にしても、非常に、ある意味で大塚さんがいったこともあるけれども、部分的には事務的に対応していかなきゃいけない部分もあるのかなという感じは率直にします。ですからその辺を--ある意味で人材、フェース・ツー・フェースです、最終的には。その辺をぜひ、そういう人材をこれから確保していただきたいなということを要望して、次は銀行の経営計画についてお伺いをしたいと思います。
 冒頭、私、お話を申し上げたように、メガバンクが中小企業向けに参入をこれからしようとしている。ある意味で、これが、新銀行がもう既に効果があらわれている一部かなという理解でも私はいいのかと思います。このように早く、どんどんどんどん毎日毎日、この経済状況、金融環境というのは動いているわけです。
 実際に、昨年の十一月に私ども基本スキームを見せてもらって、ことしの二月にマスタープランを見せていただいた間にも、それはいろいろ修正があった。それは、私どもの意見、いろんな皆さんの意見を加えて修正をされたというふうに思います。まずこれは一つあるんです。
 もう一つは、予特、本会議、財政委員会、いろんなところで私どもとキャッチボールをしながら、だんだんだんだん新銀行の方針というのが私は収れんをしてきているというふうに思います。
 今までのこういった論議をすべてくるんで--論議されてきたことが、この新銀行の経営の基本方針になっていくという、これは当たり前のことなので、経営計画に入る、細かい質問をする前に、大枠としてこれだけちょっと確認をしておきたいと思います。

○大塚出納長 新銀行のマスタープランは、昨年の基本スキーム発表以降、都議会、都民を初め、多方面からいただいた意見あるいはご提案をもとに、具体的に業務内容を取りまとめたものであります。本定例会を含め、新銀行に関する答弁でお示しした内容は、マスタープランとともに、今後の経営の基本方針や業務の運営指針となります。

○青木委員 確かに今まで論議されてきた基本方針はぜひ守っていただきたい。これは当然だと思います。同時に、今度は経営という面では、知事も民間銀行といっておられたわけですから、柔軟な対応をしていただいて、税金、出資金--税金で相当部分はつくられるわけですから、ぜひ柔軟な対応も必要かと思います。
 先ほど知事も、私の前の質疑の中で、ぜひ目的を堅持してほしいし、それを期待するというお話がありました。私もまさに期待をしているわけですが、この金融状況、経済状況というのはもう刻々と変わるわけですから、率直にいって期待をするというメンタルな部分だけではなかなか解決ができない、税金も使っているわけでありますから。
 ですから私は、そういう状況も踏まえて、経営計画というのを、見直しを、そのメンタルな部分だけではなくて、どこかシステム的に見直しをするという適切な対応もあってしかるべきだなというふうに思いますが、この辺の問題についてお尋ねをしたいと思います。

○石原知事 逼迫している中小企業の救済支援ということを眼目にした銀行でありますから、これは当然派生して、ご指摘のとおり二律背反した原則を背負わされるわけであります。
 それは十分承知しておりますけれども、しかし新銀行の運営に当たっては、おっしゃるとおり、経済、金融などのさまざまな環境の変化を機敏にとらえて、経営判断として弾力的な対応を講じることが必要でありますし、中小企業支援を基軸とした考え方は不変であります。
 しかし、また、開業後、情勢の変化などによって、経営計画と経営環境に著しい乖離が生じた場合は、経営計画の見直しを行うことはいうまでもありません。それは、それこそが預金者と、また、間接的な株主であります都民への責任だと思っております。

○青木委員 知事の答弁は私も大変評価をいたしまして、見直しをして、さらに前進ができるようにご努力をいただきたいと思うんですが、今から見直しの時期、ターニングポイントを設定するのはなかなか難しいんですが、あるとしたら、どのへんがターニングポイントになるんですか。答えていただけるならお願いします。

○大塚出納長 環境変化を前提にしたお答えというのはなかなかできないんですけれども、それを別にして、今の与条件の中で考えれば、新銀行は健全性と効率性を重視した経営を行い、開業第三期において単年度黒字転換を目指しております。したがって、環境変化は別にして、まずそこは一つの検証の時期、節目になるだろうというふうに思っております。

○青木委員 大変よくわかりました。
 まだまだ、重要な課題ですから、いろいろお伺いをしたいんですが、まだたくさん私も聞くことがありますので、後ほど同僚議員からまた予特の中で聞かせていただきたいと思うし、私も財政委員会に所属をしておりますので、またそちらでお伺いをしたいと思います。
 ここで新銀行については終わって、次に障害者施策について数点伺いたいというふうに思います。
 これもさきの私どもの代表質問の中で、平成十五年度支援費制度の中で実施されている障害者のホームヘルプサービスの事業に係って国庫補助金がカットされたということが、本会議場でも論じられておりました。
 この支援費制度以外にも、実は障害者施策においても、国庫補助金のカットがされているという事態がございます。それは、小規模通所授産施設にかかわる部分での国庫補助金の問題があります。
 この小規模通所授産施設、これは私がお話をするまでもなく、法外の小規模作業所より安定した経営を確保する点から、平成十三年度制度化された通所施設になるわけです。障害者にとっては非常に身近な施設でありまして、全体的なトレンドとしては、法外の小規模から法内に移行を積極的にしていこうという流れがあるわけです。
 逆にいうと、こういった中でこういった国庫補助金のカットということがあるわけですが、今私がお話しした法外から法内へという流れは変わるようなことはないんでしょうかね。確認をしたいと思います。

○幸田福祉局長 法内の小規模通所授産施設へ移行した場合には、運営主体が社会福祉法人になると、施設運営の安定化及び事業運営の透明性の確保が図られ、税制上の優遇措置等を受けられることなどから、今後とも積極的に移行を進めることが必要であると認識しております。

○青木委員 実は私、四定のときに、ヤマト福祉財団の小倉さんを例にして質問させていただいたわけですが、小倉さんの場合は障害者の就労を実現するための取り組みをされております。同様に、小規模通所授産施設の職員の皆さんも、障害者が自分に適した作業を行い、あのときは私はたしかパンを焼くのを例に挙げたんだと思うんですが、賃金を得る努力をされております。
 そういった中で、今お話をしたように、一千百万円から一千五十万円にダウンをされたわけでございますから、小規模の法外から法内へということに、まさに私は逆方向だといって、これは断じて許すことができないというふうに思います。この問題に対して東京都、どういうお考えなんでしょうか。

○幸田福祉局長 都は、小規模通所授産施設に対しまして、国の補助基準額に大幅に加算をして運営費の補助を行っております。国が補助基準額を減額したことはまことに遺憾でございますが、これを受けて施設への補助金を減額すれば、施設運営に影響を与えるとともに、法外施設である小規模作業所への都独自の補助金を下回ることから、ご指摘のように、小規模作業所からの移行にも水を差すものと考えております。都としては、現行の補助水準を維持するよう、対応してまいります。

○青木委員 今、幸田局長から、補助水準を確保していきますというご答弁いただきましたので、安心をいたしました。あとは実行をぜひしていただきたいと思います。
 次に、ショートステイについて伺います。
 東京都は、このショートステイの場合は、入所施設でないと設置ができないわけですが、東京都の場合は大変地価も高いということで、なかなか入所施設ができません。そういった中で、都は独自の東京都認定短期入所事業、いわゆる都型のショートステイを今年度から始めています。それを追っかけるように、国も十六年度からスタートするということで、私はまさに石原都政の面目躍如だというふうに思っています。ぜひこういった状況を踏まえて、今年度実施しているこういった状況、基準等について、国に、東京都は、国の示す基準が実態に合っていくようにぜひ提案をしていただきたい、そう思いますが、局長の所感を伺います。

○幸田福祉局長 都は、ショートステイを身近な地域で実施し、緊急時の対応はもとより、自立体験の場として活用できるものとするため、今年度、運営主体や設備、人員等の面で、要件を大幅に緩和をした東京都認定短期入所事業を先駆的に創設したところでございます。
 本事業は、障害者のニーズにこたえた取り組みと評価されており、国も都の要求などを受け、来年度からショートステイの通所施設への併設については認めることになりました。
 都としては、国から示される基準が、地域の実情に合致した、障害者のニーズにこたえられるものとなるよう、運営主体や実施場所などの一層の規制緩和を求め、国に強く働きかけてまいります。

○青木委員 それでは次に、障害児教育の新たな展開、特に、LD、ADHD、アスペルガー症候群などの高機能自閉症のお子さんたちへの支援についてお伺いをしたいと思います。
 さきの代表質問でも触れましたが、通常学級に籍を置く子どものうち、特別な支援を要すると思われる子どもは、さきの都の調査から推定しても三万人以上いると考えられます。この子どもたちについては新たな対象となりますし、また近年、新たに認識されたカテゴリーという二重の意味で大きな障害があるわけですが、全国的に見ても指導、教育についての蓄積がそういう点でも非常に少ないわけですが、現在の都の現状はどういうふうになっているんでしょうか。

○横山教育長 昨年実施をしました実態調査では、通常の学級に在籍をします特別な教育的支援を必要とする児童生徒は、全都で四・四%、約三万三千人という結果でございました。現在、当該の児童生徒に対しましては、通常の学級の担任が、都教委の指導資料を活用したり、研修会に参加したりするなどして、さまざまな指導の工夫を行っております。
 なお、平成十五年度、教職員研修センターにおきまして特別な教育的支援を必要とする児童生徒の指導にかかわる研修会を行いましたが、全部で三十一講座を開設しまして、延べ四千九百四十五名の教員の参加がございました。

○青木委員 また、代表質問の中でも、原則として各学校に特別支援教室を置くという大変心強いお答えをいただいたわけですが、現状から、LD、ADHD、アスペルガー症候群などの高機能自閉症のお子さんを含めた約三万人の子どもへの新たな対応を実現する、これは、いうはやすしなんですが、この行程、行程表、プロセス、伺いたいと思います。

○横山教育長 今、国におきましては、特別支援教育の推進に向けまして、制度的な整備などについて検討するために、中央教育審議会に特別委員会を設置しまして、年内の答申を目途に審議を開始することとしております。
 また、特別支援教育コーディネーターの役割など、小中学校におけますLD等への支援体制整備のためのガイドラインの試案が示されたところでございます。
 小中学校における特別支援教育体制の整備につきましては、こうした国の法制度改正等の動向を踏まえながら、設置者でございます区市町村が地域の実情に基づき計画的に進めることになりますが、東京都といたしましても、区市町村教育委員会と連携をしながら、コーディネーター養成研修あるいはモデル事業の実施など必要な支援に努めてまいります。

○青木委員 時代や生徒の変化とともに、新たに現場対応に必要な知識とか体制が生じ、それを提供しようというのが、まさに今回の心身障害児教育改善検討委員会の目的であるというふうに私は認識をしています。
 また、今お話がございましたけれども、文科省の動きからすると、平成十七年度ぐらいで法改正が推定をされているとすれば、私どもの東京都の準備もこの辺が一つの時期かなというふうに思います。
 こういったことを踏まえますと、LDやADHD、アスペルガー症候群などの高機能自閉症のお子さんたちの指導に対しては、非常に知識が限られているわけですから、それを短期間に、それこそコミュニケート、伝達をしていくというのは、非常に難しい作業かなというふうに思いますが、実現に向けてどのような取り組みをしていくのか、この項目、最後これを伺っておきたいと思います。

○横山教育長 東京都の心身障害教育改善検討委員会の最終報告、そこにおきまして、LD等を含めまして障害のある児童生徒に対する適切な指導を進めていくためには、医療、心理、発達、言語等の外部の専門家の導入、そうした緊密な連携が求められる、こういう指摘がなされております。
 既に取り組んでおります国の特別支援教育推進体制モデル事業におきましては、推進地域の区市教育委員会に専門家チームを設置しますとともに、小中学校の教員を対象にしたLD等に関する専門的知識、経験を有する専門家による巡回相談事業を実施しまして、指導方法の確立などを図るための実践的研究を進めているところでございますが、東京都としましては、今後これらの事業の成果を各区市町村に還元しますとともに、専門家によるLD等の指導に関する教員の専門研修の充実を図るなど、小中学校における専門的指導の充実に向けた区市町村教育委員会の取り組みに対する支援に努めてまいります。

○青木委員 ありがとうございました。
 それでは、次の項目、食品安全条例について伺いたいと思います。
 BSEなど、いろいろな食に関する事件事故の多発から、食品安全基本法制定に至る論議の過程で、我が国においてもやっとリスクコミュニケーションという言葉が知られるようになったわけですが、なかなか概念が確立をしているとはいえません。最近の食の安全をめぐる混乱を見ると、改めてリスクコミュニケーションの果たすべき役割の重要性を感じております。
 私ども都議会民主党は、一昨年の二定で、リスク分析の考えを導入することで情報の公開を進め、その結果として企業の利益となるような構図を誘導する戦略的な取り組みが必要であることを提起いたしました。また、昨年の三定では、食品安全条例は未然防止のためのシステムであるリスク分析の考え方を踏まえたものであるとの確認をさせていただいております。
 まず最初に、このリスクコミュニケーションについては、とりわけ重要な問題でございますので、何点かお伺いをしておきたいと思います。
 さきの代表質問でも、都民自身も食品の安全について正しく理解し行動することが不可欠という認識が示されました。まさにそのとおりであって、リスク論では、リスクをよく知ることがリスクを減らすということだというふうに私は思いますし、そうもいわれております。
 リスクをよく知ることは、都民が日ごろからリスクを回避する行動をとることにつながりますし、安全が確保され、食品事故等による風評被害を防止する上でも役に立つものと考えますが、この点、非常に重要だと思いますが、改めてこの点お伺いをしたいと思います。

○平井健康局長 食品の安全を確保するためには、都民がリスクを正しく知り行動することが重要でございます。都民が、リスクの内容や程度を正確に理解できなければ、食品の選択に混乱を来すのみでなく、食中毒などのリスクを回避することも困難となります。このため、リスクコミュニケーションの推進が重要な課題と認識しているところでございます。

○青木委員 条例においては、都、都民及び事業者の情報、意見交換を行い、それぞれの取り組みについて相互に理解し協力しなければならないとしています。これは、リスクコミュニケーションの推進により、三者のパートナーシップの確立ということにほかならないわけです。すなわち、都民が何を不安に思っているのか、それについて事実は一体どうなっているか、どこまで明らかになっていて、どこがわかっていないのかという、関係者がこういった共通した認識を持つことが可能となるわけです。
 しかし、相互理解には科学的な知識が必要であり、都民がリスクをよく知ることは難しいことでもあります。そこで、パートナーシップの確立に向けて、どのような点に留意してこのリスクコミュニケーションを進めていくことが必要か、お伺いをしたいと思います。

○平井健康局長 リスクコミュニケーションによって、都や都民、事業者など関係者が共通の認識を持つためには、必要な知識を共有することが不可欠でございます。
 そのため、都や事業者は日常的に食の安全に関する情報をわかりやすく提供する必要がございます。また、都民には、そうした情報を積極的に受け取り、さらに疑問点を返すといった主体的な行動が求められるものと考えております。
 今後とも、パートナーシップの確立を目指し、こうした点に留意いたしましてリスクコミュニケーションの推進に努めてまいります。

○青木委員 食品衛生調査会では、こうしたリスクコミュニケーションを推進する機関の必要性についても論議をされて、そのあり方を含め、食品安全行政の基本的事項については、条例で設置される食品安全審議会の検討事項とされているわけです。
 リスクコミュニケーションを推進するためには、まず体制の整備が必要と考えます。そして、行政と都民、事業者との間ばかりでなくて、事業者と消費者との間でも自主的に行われる、多元的な、多様な取り組みです。しかも、これは始まったばかりで、今後も試行錯誤が必要だというふうに、これは私がいうまでもないことだと思います。
 また、取り組みを見渡して、これを促進するとともに、相互の取り組みを調整したり、ノウハウを提供したりする機能が必要だとも思います。さらに、情報センター的な役割も必要だというふうに思います。
 こうした点を踏まえて、都としては、今後どのようにこの大変重要なリスクコミュニケーションを充実させていくのか、今後の考え方、展開、伺いたいと思います。

○平井健康局長 都が関与するリスクコミュニケーションは、さまざまな場面におきまして、さまざまな手法によりまして行われることが必要であります。
 あわせて、こうした取り組みを通しまして、成果や課題を一元的に把握し、反映させることにより、よりよいリスクコミュニケーションを実現していくことが重要だと考えております。
 このため、食の安全都民フォーラムなど、現在進めております取り組みを積み重ねまして、食品安全審議会も活用しつつ、今後のリスクコミュニケーションのあり方を検討し、さらなる充実を図ってまいりたいと考えております。

○青木委員 それでは、この項目、最後の質疑ですが、リスクコミュニケーションを通じて、都民、事業者、行政とのパートナーシップの構築を目指すというお答えで、非常に画期的な取り組みだというふうに私は思っています。
 ところで、関係者の相互理解と協力によって食品の安全を図ろうとする、こうした新しい取り組みを今回条例として提案されたのは、食品の安全確保は、都民が健康で豊かな生活を営む上で欠かせない、まさに基本的条件の一つであるという認識のあらわれと私は思っております。
 この点は食品衛生調査会の答申においても示されていますが、私たちは非常に重要な認識だというふうに思っています。そこで、食品安全条例は、この基本認識をもって立案され、運営においてもこの認識を出発点として施策が展開されていくお考えなのか、知事にお伺いをしたいと思います。

○石原知事 食品安全条例は、食品の安全を確保し、現在及び将来の都民の健康保護を図ることを目的としております。
 この目的は、ご指摘のあった、食品の安全確保は、都民が健康で豊かな生活を営む上で欠かせない基本的条件の一つだという認識を踏まえたものでありまして、本条例の目的を実現するためには、都、都民、事業者がそれぞれ一定の役割を担い、お互いの取り組みについて理解と協力を深めることが不可欠であります。
 今後とも、生産、流通、消費の各段階における施策に取り組み、我が国の食品安全行政を牽引していくつもりであります。
 ただ、今日のように技術の開発が先行してしまいますと、リスク、リスクといっても、何がリスクかリスクじゃないか、実はわからない節もあります。例えば遺伝子の組みかえのような食物もそうですが、あれが話題になったときに、時の農林大臣の中川君が豆腐だか大豆を食べてみましたね。そんなことで保証されるものじゃなくて、そういうものの危険があるかないかということは、かなり長いタイムスパンじゃなければわからないわけですね。
 この間も、ですから、東大の、遺伝子の、ゲノムの組みかえの研究所の所長の中村先生をお呼びして、都の幹部が遺伝子の組みかえについてレクチャーを受けましたけれども、そこでいろんな意見もありましたし、また、いろんな意見が中村先生からも出ました。しかし、これはやっぱり都ひとりでじたばたできるものじゃなくて、こういう大きな問題は、国がもう少し積極的に踏み込んだ、情報の提供だけではなくて、一種の啓蒙でしょうか、是とするか非とするかは別にして。ですから、都ができたことは、ネットの方からの強いあれがありましたが、やっぱりこれは組みかえの食べ物である、組みかえていない、あるということだけの表示をして、あとは消費者の選択に任せるしかないと、そういう問題も一方にあるということを、私たち認識しております。

○青木委員 確かに、大豆を大臣が食べて、それでけりがつく話でもありませんし、牛肉を食べて--話でもないし、カイワレダイコンを食べていた人もおりましたから、私もそうだと思います。
 大変明確なご答弁をいただきました。条例の目的を規定する第一条には明文化されておりませんが、今の点で明らかになりましたので、この項目はこれで終わらせていただきたいと思います。
 次に、緑化政策についてお尋ねをいたします。
 景観緑三法についてであります。
 今回、今国会において、ようやく景観緑三法が提出されております。
 いうまでもなく、景観は、一朝一夕でできるものではありません。それぞれの地域の歴史的な積み上げで形成されております。特に東京の場合は、江戸時代の大名屋敷ですとか、戦前のグリーンベルトの構想が遺産として今も残っておりまして、歴史を重ねてつくられてきていると。ですが、逆に、近年、高度経済成長の中でこの蓄積が壊されているという部分も、率直にいってあるわけであります。
 東京都は、国に先駆けて景観条例を制定するなど、景観行政に率先して取り組んできたわけでありますが、残念ながら、東京都の勢いのある開発には十分な対応ができていないというふうに知事もご認識を当然されていると思います。
 こうした中、国の景観三法が成立することによって、東京都においては、より実効性の高い景観行政が展開できるようになると期待をいたしておりますが、知事の基本的な認識をまず最初に伺いたいと思います。

○石原知事 一つの景観を是とするか非とするかというのは、これは人間の感性、それにのっとった一つの価値観の問題になってくると思います。ですから、みだりに行政がこれに触れますと、すぐ表現の自由というようなことで憲法問題にまで抵触しちゃうわけでありますが、いずれにしろ、今日の東京に比べてかつての江戸が非常に美しいものだったことは、これは本当に否めません。あるものにも書きましたけれども、帝国ホテルを依頼されてやってきたライトが東京のまちを見て、こんな美しいまち初めて見たという、日記に書いておりますけれども、そういう点では、現在の東京には幾つか歴史性、象徴性を持った良好な景観が残されてはいますが、しかし、総じていえば、かつての江戸と比べようもないような、現代的というか、ある意味で現代的に荒廃した景観ばかりのような気がいたします。
 いずれにしろ、風格のある美しい東京を取り戻すために、今後思い切った都市景観への取り組みが必要でありまして、行政がすべき分野もあると思います。これはやっぱりお役人が云々するのではなくて、やっぱりヨーロッパのまちのように、ワン・シティー・ワン・アーキテクチャーというんでしょうか、その仕事ですぐれた実績を残されたオンブズマンのような人を設けて、その人の采配を仰ぐというようなシステムが必要じゃないかと思っております。
 風格のある美しい東京を取り戻すために、今後思い切った都市景観への取り組みが必要だと思いますが、都は国に先立って景観条例を制定して取り組みましたが、しかし、東京だけが景観の上でまともになっても、相変わらず無神経な看板が日本じゅうにはんらんしておりますし、こういったものをやはり国がその気になってまとめていく必要があるんじゃないかと思います。

○青木委員 景観条例の見直しについて伺いたいんですが、昨年の予特で私どもの相川博議員の方から、これに拘束力を持たすべきではないかという質疑をさせていただいたんですが、知事や勝田都市計画局長からは、それはなかなかなじみませんというお答えがあったわけです。ですが、今国会で景観法が提案された一つの背景には、景観をめぐる訴訟の提起など、自主条例に基づく行為の届け出、勧告等のソフトな方法では限界があるという背景が、私どもはあるというふうに認識しています。
 また、昨年十月に東京都都市計画審議会から答申されました、東京らしいみどりをつくる新戦略でも、東京都の景観条例の届け出制の見直し、実効性のある景観誘導を推進すべしというような答申、見直しの示唆もありました。
 私どもは、景観条例の見直しを含め、実効性のある景観誘導を推進すべきだというふうに思いますが、改めて勝田局長に伺いたいと思います。

○勝田都市計画局長 景観条例の見直しを含めた、実効性のある景観誘導を推進すべきとのご指摘でございますが、今回の景観法では、広域的な観点から景観計画を定めまして、建築などの届け出や勧告による誘導を行うとともに、都市計画として新たに景観地区を指定し、建築物の色彩や高さなどの制限を設けることができるなど、より担保性の高い景観づくりができる仕組みとなっております。
 今後、条例の見直しも含め、法と条例との整合を図りまして、地域特性を生かした、より実効性のある景観づくりを進めてまいります。

○青木委員 今、都市計画局長から、条例の見直しも含めてというお話がありましたので、相川さんと私とともども感謝をいたします。どうもありがとうございました。
 景観の中でも、緑の保全、創設という観点から、次、質問したいと思いますが、緑三法では、緑地の保全、都市の緑化、公園整備を総合的に推進するために、都市緑地保全法を改正し、都市緑地法にすることが提案されているわけです。
 都においても、昨年十月に、先ほどお話しした都計審から多くの施策が答申されているわけですが、来年度重点事業においても、まちづくりや都民の連携による緑の確保が挙げられていますが、東京都は、東京らしい緑をつくるために、どのような取り組みを具体的にされるんでしょうか。

○勝田都市計画局長 大都市東京におきましては、さまざまな都市活動や都市生活と結びついた、東京らしい緑づくりが喫緊の課題となっております。このような緑を創出していくためには、行政、民間事業者、都民やNPOなど多様な主体が連携して取り組む必要があり、そのための新たな枠組みづくりが求められております。
 このような認識のもと、平成十六年度重点事業では、まちづくりや都民との連携による緑の確保を掲げまして、都市計画公園の新戦略として、時代の変化に即した、新しい緑の整備手法について検討をいたします。
 また、海の森整備構想の策定や、街路樹の再生などに取り組みまして、東京らしい緑づくりを推進してまいります。

○青木委員 十六年度予算では、緑の確保策に約二億円計上されているわけですが、この財源確保というのは非常に重要な問題だと思います。
 私、お話をするまでもなく、東京都の自主財源も非常に厳しい限界にあるわけですので、これは都民の協力という新たな取り組みが、私は必要だと思いますし、そういう点では、緑のトラスト制度の導入を図るべしというような都計審の答申も昨年提言いただいていますし、トラスト制度については、平成十二年の三月、東京グリーントラスト懇談会から環境局に対しても提言されています。
 緑の恩恵というのは、都民一人一人が受けていくものであり、同時に、都民全体でこれを守るというトラスト制度の導入が、大変私は意義があるというふうに思います。このトラスト制度の検討も含めて、さまざまな工夫をしていくべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○小池環境局長 東京の貴重な緑を保全していくためには、多くの都民やNPO、企業と連携した取り組みが有効であり、また、必要であると考えております。
 そこで、今年度、青梅上成木森林環境保全地域におきまして、都と企業及びNPOが連携した森林保全の取り組みを実施いたしました。
 この取り組みでは、企業が活動に必要な人材や資金を提供し、NPOがボランティアの募集を行うなど、各主体の役割分担のもとに、連携して保全活動を実施するという新しい試みでございました。
 今後、このような取り組みを大きく広げていきますとともに、緑の東京計画で取り上げておりますトラスト制度も含め、東京の自然環境を保全する仕組みづくりに向けまして、さまざまな方策を検討してまいりたいと思います。

○青木委員 それでは、次に、里山の保全について伺いたいと思います。
 さて、都民との協働ということで大変シンボリックな課題が里山の保全でございます。
 あきる野市の横沢入地区、八王子の寺沢地区など、身近に里山があって、都民の皆さんや、また自治体から、この保全というのは大きな課題として今取り組みも進んでいるわけです。
 里山の保全というのは、公有化への対応や継続的な管理のあり方といった長いスパンの課題もありますし、残念ながらこれはなかなか具体的に進展が見られない状況です。都市緑地保全法に基づく、先ほどの質疑の中でもお話が出ていた市民緑地制度による保全の新たな手法も期待されております。
 東京都においては、引き続き、里山保全地域の指定も視野に入れて、NPOや企業、他の自治体などと連携をしながら、工夫をしながら里山の保全を進めていくべきだというふうに思いますが、ご所見を伺います。

○小池環境局長 里山保全地域の指定につきましては、土地所有者の理解や保全管理体制の確立、また、厳しい財政状況下における土地の公有化など、解決すべき多くの課題がございます。
 このため、できるところから始めようと、こういうような精神で、これまで、複数の地域で地元自治体や市民団体等の参加を得まして、里山保全のあり方を検討する場を設置してきております。その中で、八王子市寺沢地区では、ボランティアによるササ刈り等の植生復元といった具体的な取り組みを既に開始しております。
 また、あきる野市の横沢入地区におきましても、ここでは地権者の参加も得まして、保全のあり方について協議を進めております。
 今後、このような都民、NPOなどとの連携を積み重ねながら、具体的な方策を検討し、里山保全に取り組んでまいります。

○青木委員 それでは、次に、まちづくりと連携した緑の保全、創設に関して何点か伺いたいと思います。
 私、一昨年の三月の予特の締めくくり総括質疑で、特定街区など再開発においては、容積率のボーナスが与えられた分、それだけエネルギーの消費、負荷がかかるわけだから、当然、屋上緑化とか、敷地についての舗装部分については環境的な配慮をすべきじゃないですかという締めくくり質疑をいたしました。そのときの答弁者が、前都市計画局長の木内さんでございまして、木内さんらしく大変冷たい答弁をされてしまったわけですが、さきの都計審では、緑化基準の強化として、市街地での大規模な開発については、屋上緑化の緑化率のアップを初め緑化基準の強化を図るべきであるとの考えが示されましたし、特に、高容積の建物については、建物容積に着目した緑化や敷地外での代替緑化など、都市の特性を踏まえた緑の創出策を検討すべきだと、私が二年前にいったことが、その後、二年後に答申をされたわけですが、そこで、こうした都市開発における緑化誘導強化について、改めて二年後、もう一度お伺いしたいと思います。今度は優しい、温かい答弁をよろしくお願いいたします。

○勝田都市計画局長 都市開発にあわせて生み出されます緑は、美しい景観の形成やヒートアイランド現象の緩和など、重要な役割を果たしているものと認識しております。
 都におきましては、住宅地内の緑化の促進を図りながら、道路沿いの緑の形成を進める環境形成型の地区計画を導入したほか、市街地での大規模な開発につきましては、総合設計制度等の適用に当たり、屋上緑化の面積に応じて容積率を緩和するなど、効果的な緑化の推進に取り組んでおります。
 今後とも、まちづくりと連携して緑化を推進するために、これらの制度を活用し、緑の環境づくりに配慮した建築物を誘導してまいります。

○青木委員 大変前回に比べて温かいご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、次に、官公庁移転跡地の公園化についてちょっと伺いたいと思いますが、もう私がいうまでもなく、現在、官公庁施設、大変中低層の建物が多くて、これは一等地にあって、敷地も大変広いと。ある意味で、官公庁がいかに優遇をされていたかという反面教師でもあるわけですが、でも、こういうところも、多極分散型国土形成促進法によって、どんどんどんどん都外に出ていっています。その結果、残念ながら、その跡地が売却をされて、今まであった古い緑というものがなくなってしまうという状況にもあります。
 この官公庁施設を初め、学校用地、民間の厚生施設など、都心に残された大規模な、非常に貴重な緑地は、公園化することも視野に入れて、都民に開放された緑としても将来的にも存続するような、私は、一回もう売却されたらそれでおしまいになってしまうわけですから、ぜひそういった施策を検討すべきだというふうに思いますが、都市計画局長、いかがでしょうか。

○勝田都市計画局長 先ほど申し上げましたみどりの新戦略ガイドラインで、緑の拠点や軸に位置づけられる重要な箇所につきましては、ご指摘のような官公庁や工場等の移転跡地を活用して緑を確保していくことも検討課題の一つでございます。
 近年、杉並区の日産工場跡地や北区の外語大跡地でも一部が公園化されておりますように、都市再生の中で緑を生かした事例もございます。
 今後とも、移転跡地については、都市開発諸制度なども活用しながら、公開された良好な緑の空間が残されるよう努めてまいります。

○青木委員 次に、中央防波堤内側の、海の森の整備について伺いたいと思います。
 これは、一昨年の九月の議会で、私どもの土屋たかゆき議員が代表質問をされました。東京都は、十五年度以降は、都民協働の仕組みづくり、事業展開のあり方などの検討を進めますというご答弁をいただきました。
 平成十六年度重点事業でも、この海の森が掲げられて、東京都、民間企業、都民が連携して土台づくりから始める新たな公園の整備を行うため、基本構想を策定するとしています。
 この海の森は、面積約九十ヘクタールという、区部では最も大きな公園ということになるわけです。どのような公園をつくろうとしているのか、今後のスケジュールも含めてお伺いをしたいと思います。

○成田港湾局長 海の森づくりは、かつてごみで埋め立てた土地を、自然再生の取り組みにより、緑豊かな海上公園としてよみがえらせるプロジェクトでございます。
 人と自然との共生を図る観点から、幅広い世代が森づくりに携われるよう、都民や企業との協働により土づくりや植樹を進め、東京の新たなシンボルとして、幾世代にもわたって利用され、親しまれる海の森を目指してまいります。
 現在、東京都港湾審議会に基本構想について諮問し、専門家の方からのご意見を聞いているところでございます。本年秋には中間のまとめを公表し、都民の意見を幅広く求めるとともに、十六年度末までに答申を受け、十七年度以降、段階的に整備してまいります。

○青木委員 それでは、緑に関する最後の項目ですが、建設局での公園の整備や沿道の緑化、あるいは産労での森林への取り組みなど、東京のグリーン行政にはさまざまな局が関連しています。
 東京らしい緑を保全し、創出していくには、さまざまな局の連携が必要であります。そのためには知事の強いリーダーシップが必要かと思いますが、東京の緑化アップということについて知事の強い決意を伺って、次の質問に入りたいと思います。

○石原知事 かつて江戸東京は、庭園都市といわれるほど緑豊かな都市でありまして、その資産である庭園などの緑を、今に残る東京の風情として継承していくことが大切だと思います。しかし、もろもろの事情で大分緑は減りましたな。しかし、ヘリコプターで飛んでみますと、大阪よりはましなような気がしますが、まあ、ほかのことはどうでもいい。やっぱりふやせるものはふやしていかなくちゃいけないと思います。
 今日、東京の緑は都市活動や都民生活と深くかかわっておりまして、都市の再生にあわせて、東京らしい新たな緑の創造や、東京の顔となる景観づくりを行っていくことが大切だと思います。
 こうした取り組みをさらに進展させるためには、これまでの行政が主体の事業だけでは限界がありますから、やはり民間の力を活用し、行政分野の縦割りを超えた横断的な取り組みによって、できるだけ豊かな緑を創出していきたいと思っております。
 ちなみに、あの広大な神宮の森も、明治天皇が亡くなった後、有志の方々の植樹による結果だそうでありまして、あれをもって、私たち、大いに範とすべきだと思います。

○青木委員 まさに貴重な緑が、私どもの子ども、さらに孫の世代まできちんと守っていく、存在していくというのは、文字どおり私どもの大きな役割だというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、外国籍住民に対する施策について何点かお伺いしたいと思います。
 近ごろ、外国人というと、治安対策を論じるときに言及されることが多い。また、あるときは観光振興の対象として、外国人が何人か日本に来ますよというような形で論じられるケースが大半なんで、きょうは、東京に住む生活者としての外国人という視点で何点かお伺いしたいと思います。
 調べましたら、外国人登録を都内でしている方が約三十五万人いるんだそうです。この三十五万人というのは、実は、私の選挙区の目黒区の人口よりも多いという大変大きな数で、私も驚いています。
 ただし、総数としては多いんですが、それぞれの外国人が持つコミュニティは、これはどうしても同国人同士が集まらざるを得ない。比較的閉じ込められたコミュニティの中で、しかも、さらにそれに言語の壁があるため情報弱者となっている、こういった外国籍住民に対して、行政から適切に情報を提供する、行政へのアクセス権を確保する、これは人権という観点からはもちろん、長い目で見た治安対策という面からも非常に重要ですし、また産業振興という点からも、非常に私は重要な点だというふうに思っています。
 外国籍住民に対する施策は、国際化という視点を超えて、マイノリティー--マイノリティーというか、サイレントマジョリティーという言葉があるんで、それと同じように使えるんだったら、ただ単にマイノリティーではなくて、コミュニケーションが少ないという意味でいえば、サイレントマイノリティーというふうにいってもいいと思うんですが、こういった方々への支援策、何点か伺いたいと思います。
 まず最初に、外国籍児童生徒への教育支援について伺いたいと思います。
 夜間中学の日本語学級については、本定例会でも論議をされたところでございますが、夜間中学の果たしてきた役割も大きいものがありますし、一層充実を求めるものです。そもそも国の支援施策が立ちおくれている中、現場の必要性から、これまで都や各自治体が大変努力をしてきているわけで、外国籍住民や帰国者への支援をこういった中で行ってきたわけです。
 中でも、外国人児童、それから生徒指導員制度など、単に通訳という枠を超えた、大変大きな、生徒に対して、生活相談や家庭と学校の橋渡しを担って、外国人の児童生徒に大変大きな励まし、力となってきた制度を実施してきた自治体もたくさんあるわけですね。
 ですが、押しなべてこれも、残念ながら各自治体予算難で、どこもどこも縮小を迫られております。東京都も財政難ということはわかるわけですが、都として、こういったサイレントマイノリティーの皆さんへの支援という観点で自治体に支援をしていくべきだというふうに私は思いますが、お尋ねしたいと思います。

○横山教育長 都教委としましては、日本語能力が十分でない児童生徒に対しまして、日本語指導の教員の配置、あるいは都独自の日本語学級の制度を整備しまして、学習指導や生活指導を行っているところでございます。
 また、これらの制度に加えまして、お話がありましたように、地域の実情に応じて独自の施策を実施している、こういった区市町村もあることも承知をいたしております。
 日本語能力が十分でない児童生徒に対して日本語能力の向上を図りますことは、学校生活を送る上で不可欠であると認識しておりまして、今後とも、設置者である区市町村と連携、協力しまして、外国人児童生徒の日本語指導の充実に努めてまいります。

○青木委員 それぞれ母国語の違う外国人児童生徒には、特に日本語指導や異文化交流などに精通した教員による、個々に応じた指導が必要ということだと思います。
 そのためには、教員が日ごろの学習指導について情報交換をしたり、効果的な日本語指導の進め方を研修したりする機会が大変重要になってくると思います。このような教員の研修や日本語指導への支援についてはどのようにお考えか、二点目、伺いたいと思います。

○横山教育長 現在、十六カ国語に対応しました日本語指導テキストの作成や、外国人児童生徒とのコミュニケーションを深めるための、日本語指導や語学に関する研修を実施するなど、日本語指導が必要な外国人児童生徒の学習を支援しております。
 今後とも、日本語の力が十分でないために日常の学習活動への参加が難しい児童生徒に対する指導の充実を目指しまして、教員研修の工夫、改善を図ってまいります。

○青木委員 また、進学を希望する外国人の生徒さんの受け皿も整備することが必要だと思います。高等学校における入学試験の外国人の枠の拡大が望まれているわけです。外国人生徒の教育の機会を確保するため、今後、この受け入れ枠をふやしていくべきだというふうに考えますが、教育長のご所見を伺いたいと思います。

○横山教育長 日本語能力が十分でない生徒の都立高校への受け入れにつきましては、都教委としましては、国際都市東京の特性を生かしまして、区部に開校しました国際高校に在京外国人の枠を設定しまして、都立高校への進学を一層促進するとともに、外国人生徒と日本の生徒がともに学び合う国際理解教育を推進してまいりました。
 こうした国際高校における成果を踏まえまして、平成二十年度に多摩地区で開校する予定の、これは仮称でございますが、国際中等教育学校で、在京外国人の枠を設定しまして、国際理解教育をさらに推進してまいります。

○青木委員 悲しいことに、外国人の児童生徒に、なかなかいじめが絶えません。外国人の児童生徒の教育環境を整備し、学校生活が円滑に進められるためにも、また、日本人の児童生徒の国際感覚を育成する、育てていくという意味でも、国際理解教育のさらなる推進が必要だというふうに思います。
 各地でいろいろな活動をされているNGO、NPOとも連携するなどして、外国人住民との、文字どおり共生についての理解を深める教育を実施していくべきだというふうに思います。日本に住む外国人との総合理解を深めていく国際理解教育の一層の推進、ご所見を伺いたいと思います。

○横山教育長 各学校におきましては、国際性豊かな児童生徒の育成のために、外国人学校の生徒や留学生との交流、あるいは外国人英語指導員による授業の充実、さらに国際姉妹校の提携など、さまざまな国際交流を進めております。
 都教委としましても、今後とも、児童生徒に国際社会において主体的に生きていくために必要な資質や能力を身につけさせるため、国際理解教育を一層推進してまいります。

○青木委員 それでは、今度は、外国籍住民の雇用問題についてお伺いしてみたいと思います。
 事業者においては、残念ながら、外国人労働者に対して、適用されるべき労働法規が遵守されなかったり、また、労災の加入すべき社会保険への加入を怠ったり、不当解雇が多く見られるということが現状だと思います。
 都は、こうした現状を改善するため、事業者、外国人労働者双方に対して、より一層の普及啓発、指導を行っていくべきと思いますが、ご所見を伺いたいと思います。

○有手産業労働局長 外国人労働者に係る労働問題につきましては、労使双方に特に法規や制度を十分に周知させ、トラブルの未然防止を図ることが大切と考えております。
 このため、都は、英語版と中国語版の労働関係法令のハンドブックを発行し配布しているほか、インターネットを活用して幅広い情報提供を行っております。
 また、労政事務所の労働相談等を通じて、労使に対して具体的な指導も実施しております。
 今後とも、こうした事業により、効果的な普及啓発、指導を行ってまいりたいと思っております。

○青木委員 平成十四年度で、都の労政事務所に外国人に関する労働相談の件数が約二千六百件ありました。これは年々、ご承知のように増加の傾向があります。相談の内容も、賃金の未払い、突然の解雇と、大変深刻な問題です。
 こうした事態に対応するため、労政事務所の外国人労働相談を積極的にPRするとともに、相談体制のさらなる拡大というのが非常に、緊急必要なものだと思いますが、この点、伺いたいと思います。

○有手産業労働局長 労政事務所の外国人労働相談につきましては、英語、中国語、ハングル等七カ国語による労働相談案内のパンフレットを作成し、関係機関に配布するなど、相談窓口のPRに努めているところでございます。
 また、相談体制についてでございますが、労政事務所に英語と中国語に対応できる専門相談員を配置するとともに、他の言語につきましても通訳を活用して、労働相談にきめ細かく対応しております。
 今後とも、国や区市町村、民間団体等とも十分連携しながら、相談窓口のPRを図るとともに、相談体制の強化に努めてまいります。

○青木委員 ぜひ施策の一層の充実をお願いしたいと思います。
 それでは、次に、外国籍住民の行政への参加についてお尋ねしたいと思います。
 平成九年度から外国人都民会議が開催され、外国籍住民としてのメンバーからさまざまな意見を聴取してきたわけですが、平成十二年度までで打ち切られたわけです。その後を受けた形の地域国際化推進検討委員会は、テーマが限定されて議論が行われておりまして、メンバーもテーマに沿って選定されているようです。ですが、これも昨年の三月以来開かれておりません。地域国際化推進検討委員会は、外国人に関する施策のために専門的な検討を行うことが目的とされておりますが、より幅広い課題について外国籍住民のニーズの把握に努めるべきと考えます。
 したがって、今後の検討委員会の実施に当たっては、マイノリティー、サイレントマイノリティーの意見を行政に反映させていくという視点に立って取り組むべきと考えますが、ご所見を伺いたいと思います。

○三宅生活文化局長 お話の地域国際化推進検討委員会では、これまで、外国人にも住みやすく活躍できるまちづくりのための基本的な課題として、外国人の防災や、外国人にもわかりやすいまちの表記をテーマに選定して検討を行ってまいりました。
 現在、日本語の読み書きができず適切な対策がとりにくい在住外国人の生活実態や、その人たちが抱える課題を把握するために、外国人や外国人支援団体あるいは区市町村に対して調査中でございます。
 今後、これらの結果を分析して、検討委員会での議論に役立てていくとともに、関係局にも伝えていきたいと考えております。

○青木委員 中国帰国者についてもちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
 今、既に二世、三世の方々も日本国籍がない人たちもかなり日本におりますし、日本国籍があっても、育った環境が違うということで、なかなかご苦労されております。一世の方々は既に高齢化をしていると。
 多くの方々がご苦労されている中で、例えば国民年金については、特例措置の実施によって、三分の一の国庫負担分のみの給付はされていますが、月額二万円ほどということですし、多くの方々が生活保護を受けているという実態もございます。
 長野県では、中国帰国者への慰藉事業として、帰国者本人に一律月額三万円給付金を支給するという予算案が、今、議会に提出されているそうでございます。中国帰国者への施策は、本来国が行うべきことでございますが、大幅に立ちおくれている。高齢化した帰国者本人や、その家族が大変苦しい生活を余儀なくされております。国によって見捨てられた人々が、再び国家によって冷遇されているという現状があります。
 都としても、国に対して帰国者への総合的な施策を要望するとともに、都ができる一層の施策について検討していくべきだと思いますが、ご所見を伺いたいと思います。

○幸田福祉局長 都はこれまで、国と連携いたしまして、日本語の研修や住まいのあっせん、生活や就労に関する相談など、さまざまな取り組みを行うとともに、都独自に生活相談員の派遣や日本語教室への助成などの支援策を実施してまいりました。
 しかしながら、ご指摘のように、帰国者の高齢化が進み、言葉や生活習慣等の相違から地域社会になじめず、自立が困難となっているなどの問題が生じております。
 このため都は、これまでも国に対し、こうした問題に対する施策の充実強化を求めており、引き続き要求してまいります。

○青木委員 ちょうどもう時間があと少ししかないんですが、用意した質疑が全部終わらなかったんですが、たまたまきょう私、テレビを朝見ておりましたら、国が遅々と進まないので、東京都の鳥インフルエンザの話が出ていまして、東京都が積極的に電話相談を始めたということ、それから、いろんな自治体から東京都にどんどんどんどんカラスの相談もあったというふうなことがニュースで流れていました。それを見て、まさにこれが、国が遅々と進まないことを東京都がリードすることだというふうに私は思っていますし、いろんな自治体とともに連帯、連携をしていくというのが、これまた東京都の大きなポテンシャルだというふうに思います。
 これからスタートしました十六年度予算が、今後のこの東京都が持っている大きなポテンシャルを引き出すことになっていくことを期待を、また要望して、都議会民主党の総括質疑を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

○樺山副委員長 青木英二副委員長の発言は終わりました。