東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○和田副委員長 中嶋義雄委員の発言を許します。
   〔和田副委員長退席、土持副委員長着席〕

○中嶋委員 質問に入る前に一点。本当は答弁求めたいぐらいなんですが、二十三日付の読売新聞ときのう付の毎日新聞、「手抜き工事一〇〇〇か所九六年開校の都立晴海総合高校」と。びっくりしました。
 読んでみますと、昨年七月三日にドンという大きな音が出て床が浮き上がったと。で、三千二百八十四カ所を調べたら、何と千八十八カ所の欠陥工事が見つかったと。しかも、去年の八月中にすべて緊急補修工事が終わっている。ところが、都にはことしになるまで正確な報告がないという記事なんですね。初めて知りました。
 で、文教委員も財政委員も知りません。千カ所も手抜きがあった、こんな工事が発覚しながら、財政委員会にも報告がない、文教委員会にも報告がない。これはおかしいと思います。本来ならば答弁求めたいですが、こんなことがないようにしてもらいたいと、まず最初に要望したいと思います。
 聞きましたら、はっきり原因がわからないうちに公表すると、いたずらに不安をあおると、こういう説明を受けました。しかし、何も知らないうちに新聞ですっぱ抜かれた、突然見た、はるかに不安をあおる結果になります。したがって、委員会にはきちんと今後もこうしたことは報告をしていただきたい。
 心配なのは、ほかの高校にもこうしたことがないかどうか。高校改革を熱心に進めている真っ最中でのこうした工事でございます。ぜひとも財務局もそれから教育庁も、しっかりと点検をしていただきたい。あえて答弁を求めません。冒頭に一言申し上げておきます。武士の情けもある。
 それでは、公明党を代表いたしまして、締めくくり総括質疑をさせていただきます。積み残し等ございますので、淡々と穏やかに質問させてもらいますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 最初に、職員給与問題について申し上げたいと思います。
 職員給与の問題に関しましては、先週二十二日に労使合意が実現いたしました。都議会公明党は、給与条例主義の基本理念を認識すると同時に、人事委員会のあり方を尊重し、あくまで労使による協議及び合意に基づく解決、これを求める立場から、議会における給与条例の共同提案者として対応し、問題解決の環境づくりに努めてきたつもりでございます。
 そのように労使協議の促進を図ってきた立場から、今回の労使合意を率直に評価させていただきたいと思います。厳しい社会経済情勢に置かれている都民への配慮を示し、かつ労使の信頼関係が維持されたことは、知事を初め、交渉責任者の福永副知事、担当の大関総務局長のご努力に対してはもちろんのこと、みずから辞意の決意を持って問題解決への道を切り開かれた都労連の矢澤委員長に対しても深く敬意を表するものでございます。
 我々は、今定例会の本会議代表質問で、この問題に対する知事の対応について言及いたしました。その真意は、まさに知事と職員との関係、労使関係の将来をおもんぱかったことにございます。労使の安定した信頼関係があって初めて、職員の皆さんは安心して職務に邁進できますし、ひいては、都政の円滑な運営に資することにもなります。今回、合意がなされたことは、新たな信頼関係を築く契機ともなり、今までにも増して、これは重要な意味があると考えます。
 そこで、最初に、これまでの経過並びに労使の合意について、知事の感慨あるいは思いがございましたら、最初にお伺いしたいと思います。

○石原知事 今回の労使合意は、昨年一たん合意した後で、経済状況に応じての給与削減措置の実施について再協議しなければならないという非常に困難な状況の中で、矢澤委員長の進退をかけた英断によりまして解決の道が開かれ、実現したもので、本当に多とするものであります。私も、その重さを受けとめ、労使の信頼関係を大切にし、円滑な都政運営を進めていくつもりでございます。
 なお、大変にご心配をおかけいたしました都議会の皆様にもこたえるためにも、ぜひ労使合意の内容を実現したいと考えております。

○中嶋委員 それでは、財政問題に触れたいと思います。
 財政再建推進プランの達成状況、これは資料としていただきました。これを見ますと、税財政制度の改善こそ若干足踏み状態であるものの、内部努力が八〇%、施策の見直しが八三・三%、歳入確保が、これは何と一〇〇%を超えて一三六%と高い達成率を示しておりまして、財政再建への努力は着実に前進していることをうかがわせておりますが、しかし、その一方で、都が発表しました「都財政の収支見通し」、これですが、これによりますと、十四年度から十八年度までの収支差額は、十四年度が二千五百七十七億、十五年度が三千七百億、十六年度が四千三百億、十七年度が三千二百億、十八年度は四千二百億、こう見通しております。
 さらに、銀行への外形標準課税、これは裁判の結果いかんにかかわらず、十七年度で終了いたします、今のままでは。加えて、都債の実質償還額、全部この収支見通しに書いてありますけれども、十四年度に実質償還額四千七百二十五億、十五年度、七千億、十七年度、六千五百億、十八年度、五千三百億と、大変シビアな見通しが出ております。
 かつて旧大蔵省が、財政の中期展望なる文書を発表して、大変危機感をあおって、財政の均衡主義に引っ張っていったということがございましたけれども、優秀な財務局の皆さんが、どんな意図でこれをつくったかはわかりません。わかりませんが、しかし、大変シビアな見通しを発表してくださいました。
 我々素人は、これを越えれば、十八年度を越えれば明るい展望が開けてくる、だから、あえて見通しを示したのだ、こんな感想も抱きました。あるいは、我々見ていますと、知事はこうした難局を責任を持って乗り越えるというサイン、あるいはメッセージがここに込められているのではないかと、実は期待感を持って、これを眺めた人がいるそうでございます。
 そこで、最初に、基本的なことを伺いたいと思います。石原知事誕生以来、本当に都政への注目度は格段に上がりました。客観的な事実でございます。しかし、今申し上げましたように、大変環境は厳しい。大変に厳しい。したがって、さまざまな成果を上げつつも、いよいよこれからが知事の改革の成果を出す本番である、こう思います。
 そこで、最初にまず、これからの都政運営にかける知事の決意について、再度、改めてお伺いしたいと思います。

○石原知事 私も財政のそんな玄人ではございませんが、知事に就任しまして、やっぱり思っていた以上に深刻だな、事態は悪いなという感が日々募ってまいります。同時に、一時ちょっと明かりが見えたんですが、それがたちまち雲間に消えまして、日本全体の経済の状況は、今日このていたらくでありまして、なかなかこの先が見えないし、片っ方では、今ご指摘の都債の償還が、膨大な量が、特に十五年から迫ってまいりまして、まさに前門の虎後門の狼という感じでありますが、この中で、再三申しているように、お相撲でいえば本当に際どい、土俵際の綱渡りのようなことをこの三年してきまして、これからもしなくちやいけないと思います。まして、晴れがましい土俵入りなんというのは、ずっとずっと先のことでありまして、やっぱり衆知を集めて、この財政の立て直しといいましょうか、この困難を切り抜けていかなきゃならないと思っておりますが、そのために、議会のご理解、ご協力をいただきながらも、万全の手を複合的に、重層的に尽くしていかざるを得ない、いきたいなと思っております。

○中嶋委員 我々議会も全力で協力をしたいと思っておりますが、厳しい見通しを示した以上、この厳しい状況を乗り越える。ある意味では、発表したからには、必ずその責任が伴うと私は思っておりますので、ぜひとも万全な都政運営をお願いしたいと思います。
 それから、都財政の収支見通しを読んでいきますと、七ページに、職員の年齢構成のグラフがございまして、それを眺めていくと、実は数年後から、団塊の世代の大量退職が始まる。実は私も団塊の世代の一番下でございまして、昭和二十二年から--二十年かな、団塊の世代が大量にやめる。単年度で六千とか七千の単位で、退職が数年間始まる。
 これは考えてみますと、大変な、大きな構造変化につながる話でございます。財政的な問題ももちろんございますし、組織的には人事構成の問題等、極めて重要な課題、大きな、ドラスチックな変動が始まる。したがって、これをチャンスにして、より根源的な行政改革、あるいは組織改革を、これを機会に断行する、こういう展望を持つ必要があると思います。そのための準備を今から開始すべきだ。ある意味では、二十一世紀の都庁の新しい構造を--まあ私も団塊の世代で、その団塊の世代がやめていくことが大きなチャンスだというのは、なかなかいいづらいんですが、確かにチャンスなんですね。したがって、これをチャンスにして、二十一世紀の新しい都庁の構造をつくる、基礎をつくる、こういう思いで、今から準備に当たっていただきたい、こう思いますが、見解いかがですか。

○大関総務局長 厳しい財政状況の中で、複雑多様化する都政の課題に対応していくためには、これまでにも増して効率的な行政運営を行わなければならないと考えております。お話しのように、組織や人事制度につきましても、不断の見直しが必要であろうと思います。今後も、長期的な総人件費抑制の観点から、監理団体も含めた執行体制の見直しなどを通して、引き続き職員定数の削減、あるいは人事・給与制度の抜本的見直しを進めてまいります。

○中嶋委員 なかなか慎重なご答弁で、ただ、行間に、今からちゃんと準備するよ、こういう局長の思いが多分あるんだろうと思いますので、期待をしたいと思います。
 とにかく、まだ数年、厳しい状況が続きます。財政再建に取り組みながらも、なおかつ中期的な展望を持った取り組みをぜひともお願いしたいと思っております。
 で、財政再建に関連して何点か、また質問をしたいと思います。
 従来、財政再建といいますと、歳入の確保、あるいは歳出の削減といったフローの側面からの議論が先行しておりましたが、しかし、一方で、ストック、つまり資産の活用という財政再建の観点、これがあってしかるべきだろう。これはバランスシートの活用にもつながっていく話でございます。
 そこで、都は、平成十二年十一月に、この財産利活用総合計画というのを、もう既に策定しております。読んでみました。たくさんいいことが書いてございます。再読をお勧めいたします。目的は、「財政構造改革を財産面から推進していくこと」、これが目的。そして、既存のストックの有効活用等、全庁的な財産の利活用を促進し、未利用地については、売却もしくは暫定利用を行う、こうしているんですね。
 それで、財務局が所管する未利用地は、二百五十七件、約百九十八ヘクタール。大したもんです。その他の局が所管する未利用地は、三百七十一件、約七十九ヘクタールと、具体的に未利用地の数字まで明らかにしております。大体役所というのは、未利用地、なかなか明らかにしたがらないものですが、はっきりと示した。これは立派な文書だと思います。他会計の未利用地がもしも含まれれば、もっと膨大な数に上るんだろうと思います。かつて委員会で、公営企業の未利用地、質問したことがありましたが、答えはまだ返ってきておりません。これは別問題ですが。
 そこで、未利用地の活用、これは基本的には地元の区市町村の利用計画、必ずございます、まちづくりのマスタープランとか、区市町村の土地の利用計画、まず、これを尊重する、都が勝手にやっていいという話じゃ、決してございません。
 これが前提ですが、基本はまず、それを前提にした売却です。ただ、売却までは簡単にはいかないから、その間は暫定利用。この暫定利用を、実は行政はよく嫌がりました。いざ返してもらうとき、必ず難癖がつく、あるいは反対運動が起こる。したがって、暫定利用はやりたくない、こんな理屈がまかり通っておりましたが、ここでは、暫定利用をやると、はっきり書いてございます。
 そこで、何点か質問。まず第一点。売却に関しては、この計画では、十二年度から十四年度間に、つまり新年度まで、一千億円以上、未利用地を売却すると目標を明示されました。現在までの達成状況、そして今後の売却の見通し、これは当然わかるでしょうから、お教え願いたいと思います。

○安樂財務局長 都有地の売却実績でありますが、平成十二年度が三百十一億円、今年度、十三年度が、二月末現在で八百三十一億円、合計一千百四十二億円であります。目標額の一千億を一年前倒しで達成することができました。これは、幸いにしてといいますか、都立大学深沢校舎跡地、あるいは交通局の自動車工場跡地といった大規模物件が売却できたためであります。
 今後は、一万平方メートルを超える大型の物件が大変少なくなってきております。比較的小規模なものを数多く売却しなければならないために、これまで以上に困難性は増すというふうに思っておりますが、新たな売却目標額を設定いたしまして、全力で目標達成を目指したいと考えております。

○中嶋委員 実は、自治体とか公が公有地を確保することは、大変意味のあることなんですね。ですから、何でもかんでも売っ払えというのは余りいいたくないんですが、しかし、こういう財政事情です。したがって、売れるところはきっちりと売ってもらいたい。ただ、問題は、今答弁あったとおり、今後は、小規模、土地の形状、あるいは、土地の規模、簡単には売れないものがたくさん出てまいります。これをどううまく売るか。これはアイデアですから、実現できるかどうかわかりませんけれども、小っちゃな土地でも玉突きで代替地に転がしていくと、まとまった土地になっていくんですね。そういう手法があるそうでございます。例えば、そういう手法に使うとか、いろんな使い方がある。
 そこで、行政だけで売ろうと思っても限界がありますから、今後の難しい売却には。民間の力を利用する、こういう方向でぜひとも行くべきでありますが、所見はいかがですか。

○安樂財務局長 都有地の売却というのは、現在、原則として、その規模の大きいものは競争入札で売却しております。それから、規模の小さいものは、価格を決めまして公募して、応募が多数の場合は抽せんで売却をしております。このうち、公募しても売却できなかった物件は、売却に民間の力をかりようということで、平成十三年から民間の不動産業者へ売却を委託しております。平成十四年度からは、この入札で売れ残った土地、こういうものについても民間の不動産業者に売却を委託するということで、現在、準備を進めているところです。
 また、平成十四年度からは、不動産情報紙への広告の掲載や、不動産情報を扱っている民間事業者がありますので、そういうところに都有地売却の情報を扱ってもらうなど、民間の力をかりた売却促進に努めていきたいというふうに思っています。

○中嶋委員 ぜひ、入札で売れ残った土地も、民間に売却を委託する、これは非常に斬新でユニークで、多分ほかではあんまり例を見ない話です。先日も、ある自治体の土地開発公社が入札をやったところ、全く不調だ、最低価格にも届かない。これは多分入札価格設定の仕方にも問題があったんでしょうけれども、そういうご時世です。ぜひ、民間の力、これはユニークな試みになると思いますので、頑張っていただきたいというふうに思います。
 それから、その売却に至るまでの間、その間の暫定利用。駐車場公社が駐車場に使っているという話は伺っております。これももうちょっと幅広く、実は、未利用地の周辺の地域には、さまざまな要望が多分出ているんですね。こうしたことにも柔軟に対応していただきたい、こう思います。いかがでしょう。

○安樂財務局長 ご指摘のように、都有地は、できるだけ空き地のままではなくて有効活用を図りたいというように考えております。これまでも、地元の区市町村に貸し付けたり、今お話しありました公共駐車場として活用するなど、暫定的な利用を進めてきたところでありますが、平成十三年度からは、民間事業者に駐車場経営のための用地として貸し付けるということを始めております。最近では、運送事業の中継拠点として、あるいはストックヤードとして、都有地を一時的に借りたいというような要望もございますので、今後、こういった民間事業者の希望にも対応できるように、都有地の活用方法を広く検討したいというように思います。

○中嶋委員 運送事業の中継拠点とストックヤードという話がありましたけれども、詳しくは聞きませんが、多分これは、恐らく一たんそこで車をとめて、そこから荷物の配送に使うための駐車スペースという意味なんでしょう。そうすると、これは排ガス対策になりますよね。大体、コンビニの一トン、二トントラックが東京の排ガスの大きな元凶という話がありますから、こういうことはいいことですから、ぜひこれはもっともっとPRをしてください。意外と知られていません。ぜひPRをしてもらいたいというふうに思います。
 次に、都市再生事業について質問をいたします。時間の関係で、急いで申しわけありませんが、参ります。
 都市再生事業につきましては、一部で、大規模開発公共事業であって、これはむだだ、こういう批判を繰り返し繰り返しやる方たちがおりますが、これは明らかに間違いだ。明らかに間違いだということをはっきりさせる必要が、実は都にもございます。
 で、提案ですが、今後、都市再生事業、さまざまあるでしょうが、着手する場合、あらかじめ経済波及効果、本会議の代表質問でも申し上げましたけれども、六兆円にも及ぶ予算を使っておきながら、その経済波及効果がわからないというのが、実はむしろおかしいんですね。したがって、都市再生事業、具体的な個別の事業をやるに当たっては、経済波及効果を定量的に--定量的にですよ、都民に提示して、その事業の意味をきちんと理解していただくことが大事だ。例えば、投資総額の明示、雇用創出効果の予測、ストックの増加量、つまり、都民の財産の増加量、こういうものを計算して、都民に提示をする。事後にはきちんと評価を加える。これが本当の財政評価です。こうして都市再生事業の一つ一つの必要性を明らかにしていく。こういう努力が必要です。見解はいかがでしょうか。

○田原知事本部長 都市再生に関する事業の経済効果等々をお示しをする、それから、結果をお示しする、これは非常に重要なことだと認識しております。都市再生事業のうち民間プロジェクトにつきましては、現時点では事業の全体像が明らかになっておりません。構想や計画が具体的になった段階で、経済効果等をお示しすることができると考えております。
 また、都が主体的に取り組むことになります都市再生に関連をする事業、例えば幹線道路の整備、交通渋滞の解消等につきましては、その経済効果、事業効果等を都民にわかりやすくご説明をするように努めてまいります。

○中嶋委員 ぜひご努力をお願いしたいと思います。本当にこれは正直に思います。優秀なスタッフが本当にそろっているんですから、そのスタッフを活用すれば、やってやれない話では断じてないと思う。まして、何千台ですか、大関さん、六千台、九千台、パソコンがだあっとあるわけでしょう。あれを全部つなげりゃ、最高のスーパーコンピューターですよ。まあちょっとこれはオーバーですけれども、ぜひ努力をお願いしたいと思います。
 都市再生ということで、都市再生特別措置法も話題になりました。ほぼ国会通るでしょう。これは、国が都市再生緊急整備地域、国が指定する。もちろん自治体の意見も聞くそうですが。で、用途地域等の規制をすべて適用除外、したがって、ゼロベースの都市計画、こういわれているそうです。民間による開発を誘導する。指定地域内の事業に関しては、国が無利子貸付、あるいは出資債務保証等の金融支援を行う、こう決まっていますから、これはこれでいいんです。
 問題は、それに付随して起こる都市側の財政需要。追加的な財政需要、あるいは集中的な財政需要が、必ずこれは予測できる。例えば、隣接道路の整備はどうするんだ、都でやりなさい。国が決めておきながら、都に金を出させる。これがもともと国の公共事業のやり方ではありますが、いつまでもそんなことを甘受するわけにはいかない。
 まして、六月に小泉内閣は、公明党も与党の一員ですから余り厳しいことはいいたくありませんけれども、財源の地方分権の方針をまとめる、こういっているわけですから、今こそ改めて、こういう都市再生事業にかかわる都市側の財政需要に関してはきちんと財源を配分すべきだと、強く我々は申し入れるべきだ。もちろん、議会サイドの我々もやりますけれども、東京都も、例えば、同じような事業で、追加的な財政需要を受けるであろう大阪、京都、名古屋、札幌、福岡、そういう都市とも連携をとって、国に対して財源の配分、都市再生事業に関する財源の配分を強く今こそ求めるべきだ、こう思いますが、いかがですか。

○田原知事本部長 都市再生特別措置法によります民間開発事業に伴って必要となる周辺道路などの関連公共施設の整備には、自治体に短期的に財政上の負担が生ずる可能性があります。ご指摘のとおりであります。このような負担につきましては、国に対し、都市部への重点的な財源配分を強く求めていく必要があると考えております。その際、七都県市はもちろんでありますけれども、大阪などの大都市とも状況に応じて適切に連携を図りながら、国に強く働きかけてまいります。

○中嶋委員 ぜひこれは、もちろん我々政党の側も、それぞれの政党を通じて国に強く訴えていきますが、都としても、大都市と連携をとってやっていただきたいと思います。これに関しては与党も野党もなく、民主党もぜひとも頑張ってもらいたいと思います。
 それから、これに関連しまして、この特別措置法は、どうも、臨海部など事業がしやすい地域で指定が行われる公算が大きい。これはこれでいいんです。いいと思います。だけれども、都市再生という趣旨からいったならば、従来から危険性が指摘されている木密地域、まず第一にこういうところ、つまり、敷地の狭さ、あるいは住民の高齢化でなかなか整備事業が進まない木造住宅密集地域、こういう地域こそ、本当は都市再生事業の対象地域にすべきであります。したがって、そのための努力、これは都市計画局を初め関係局には求めたいと思います。
 関連しまして、この木密地域の整備事業、なかなか進みません。一つの問題は、権利関係の複雑さとか、いろいろありますけれども、一つは、住民の高齢化。必ず立ち退きが発生します。立ち退きが発生した後に、行く場がない。したがって、何も手がつかないというのが、実は多いんです。
 私は世田谷です。三軒茶屋の裏、太子堂、日本でも有名な住宅密集地帯。なかなか進みません。それは、その間、どんどんどんどん住民は高齢化する。どこにも行けない。にっちもさっちもいかない、こうなっています。
 そこで、実は、太子堂の近辺に、古い都営団地がございます。建てかえるんです。建てかえて、戸数をふやす。ふえた分は、立ち退きを迫られた高齢者の特別割り当て分にする。これで事業が動くんです。木密地域の整備事業を促進するために、今いったような都営住宅を組み合わせて、回転しなかった弾み車、ちょっと一押しを加える。事業が動きます。これはぜひ考えるべきだと思いますが、いかがですか。

○橋本住宅局長 木造住宅密集地域では、整備のための種地の確保が課題でございまして、また、今後の事業推進のために民間活力を活用する仕組みをつくることが重要でございます。このため、都営住宅の再編整備により生み出した敷地を民間が活用する方策や、土地所有者の土地の現物出資方式による整備手法を創設してまいります。具体的には、来年度、モデル地区を選定いたしましてシミュレーションを行うなど、新たな手法の構築に向けた実践的な調査を実施してまいります。
 また、事業の実施に当たりまして、転出せざるを得ない借家人や、所得の低い高齢者などの住宅確保の問題がございます。このため、ご指摘のとおり、都営住宅の新たな特別割り当てを実施して対応してまいります。これらの手法を組み合わせ、総合的に取り組みまして、一層の整備推進に努めてまいります。

○中嶋委員 来年度からモデル地区を選定してシミュレーションを行う。来年度から、つまり、十四年度から取りかかる、こういうご答弁。期待しています。こういうことに使うのが、実は公共住宅の大きな意味なんですよ。ぜひ公共住宅を活用して、これまで進まなかった住環境の整備事業、いろいろあります、進めていただきたいと思います。
 これは、何も都営住宅に住んでいる人間だけじゃなくて、周辺の人々にとっての共通な、大きな価値をつくることになるわけですから、そういう工夫をぜひともやってもらいたいと思います。
 さらに、都市再生に関連いたしまして、臨海再開発について質問をいたしたいと思います。
 これにも、反対の多い臨海再開発事業でありましたが、三月、臨海地域再開発財政基盤強化プラン、発表されました。これも立派なものです、すばらしい。本当によくできています。実は、これも知事が--なぜ臨海がここまで動いたか。知事がかつて本会議で、引くも地獄、進むも地獄とおっしゃった。よくおっしゃった。これ、なかなか役人はいえません。役人さん、いえません、こんなことは。でも、おっしゃった。知事のこの言葉によって、実はタタールのくびきから解放された、これは若手の役人がいっているんです。あれで解放されました、思い切って仕事ができましたと。若い役所の人間が、知事の言葉によって仕事ができた。すばらしいことだと、僕はお世辞抜きに思います。まさにそうです、あれでくびきが外れました。くびきが外れたら、今後は臨海再開発の総仕上げに向けて全力で取り組むべきです。
 その意味で、第一弾の改革案が臨海三会計の統合、第二弾がこのプランだと思います。しかし、これだけではまだ不十分、第三弾目の改革で総仕上げができると思います。それは何か、起債の大量償還です。必ずやってきます。二十年前後にやってきます。したがって、第一弾やった、第二弾を出した、これはこれからやる事業ですが、これを進めながら、起債の償還に向けてのプランづくり、体制づくり、今から手をつけるべきだと思います。
 そういう点で質問をいたします。まず第一に、臨海会計が厳しくなった状況、ここまで厳しくなったその理由と経過、確認の意味で改めて総括的に答弁をいただきたいと思います。

○川崎港湾局長 臨海副都心開発は、起債により調達した資金などを活用して都市基盤整備を先行的に行い、後年度に土地処分収入により、それを回収する仕組みを採用しております。バブル崩壊後、地価の下落が続いていることに加え、長期にわたる景気の低迷などにより事業者の進出意欲が回復せず、土地処分が伸び悩んだため、会計の資金繰りが厳しくなったものでございます。
 今後、広域幹線道路等の整備が本格化し、さらに、平成十八年度以降に起債の償還が始まることから、今般、全庁を挙げて、収入、支出の両面から大胆に事業を見直すこととしたものでございます。

○中嶋委員 要するに、厳しくなるには事業の当初からの構造的な問題があったと。もっともそれは、ほかからいわせれば、そういう約束で始めたんだろう、こういういい方もできるわけですが、しかし、厳しくなるには厳しくなるなりの理由があった。しかし、これは乗り越えていく必要がある、繰り返しになりますが。臨海副都心開発は、これも何度もいわれました、大きな税収、経済効果があると、繰り返しいわれました。
 このプラン、大胆ですね。プランでは、この開発に伴う都税の税収効果を八千億円と試算をしております。八千億円、大胆だと思いますけれども、試算している。
 そこで、これまで臨海副都心開発に投入した一般財源の額は一体幾らなのか、これが一点。二点目は、その投入された一般財源の額を、この臨海部から発生する都税収入によって回収できるのは、いつなのか。三点目、臨海再開発、ぜひとも完成させていただきたい。その完成した時点で、都税収入は、都に入ってくる税収は年間幾らになるのか。この三点、答弁を。

○川崎港湾局長 臨海副都心開発は、税収増の点においても都政に寄与するものでございます。港湾局では、今回の財政基盤強化プラン策定にあわせて、一定の条件のもとに税収額の推計を行いました。
 これまでに、開発に要した一般財源は約一千六百億円でございます。都税収入の累計がこれを上回るのは、収入額が一千七百億円に達する今年度であると見込んでおります。また、まちが完成する平成二十七年度以降は、毎年六百億円程度の都税収入が見込まれます。

○中嶋委員 本当かいなという気もしますけれども、ぜひ。あくまでもこれは試算です、間違うこともそれはあるかもしれない。だけど、現在の計画の延長線上に、こうした明るい展望が待っている。こんな不景気な時代に、こんないい話はないですよ。歓迎すべき明るい展望だ。これはぜひ実現していただきたい。いや、実現すべきです。ここから東京の新しい明るい将来が開けてくる。いや、開くんだという決意で、局長やってくださいよ、これはぜひとも。お願いしたいと思います。
 そこで、さっきもいいました。だから、毎年百億、ことしからプラスになる、将来六百億円プラスになる、ぜひ、そういう方向に持っていってもらいたい。ならば、それと同時に、冒頭申し上げた大量の起債の償還時期、もう出ているんですね、隠しようがない。もうすぐやってまいります。そのときにどうするのか。今から準備に当たる。そのために、前提として利息を含めた起債残高、これ、はっきり示していただきたい。これがはっきりしなければ対策の立てようがない、明らかにする。それと、その償還時期、この二点を明らかにした上で対応策の確立に今から着手すべきだ、こう思います。局長、答弁をお願いします。

○川崎港湾局長 都債の残高は約五千二百億円、今後発生する利子は約一千七百億円と試算しており、これらを土地の処分収入により返済していかなければなりません。平成二十一年度以降には、単年度で一千億円を超える大量償還期を迎えるため、今後の課題は、一にも二にも土地処分の促進でございます。(笑声)
 この事業を取り巻く環境は依然として大変厳しいものがありますが、交通アクセスの充実や土地利用に係る規制緩和など、事業者の進出しやすい条件を整えて処分を進め、臨海副都心開発を着実に推進してまいります。

○中嶋委員 土地処分しかないということで、思わず笑いが漏れましたけれども、しかし、変わるんですね。城南島からの海底トンネルが開通して、皆さんが歩いた、これで状況が変わります。鉄道が開通する、これでまた状況が変わります。今では想定できなかったさまざまな対応策が必ず出てくるはずですから、当面する一つ一つの事業を着実に達成する、そのことによって情勢が変化してくる。で、さらに変わっていく。こういう悪循環から好転の循環に、ぜひとも引っ張っていってもらいたいというふうに思います。
 繰り返しになります。F1レースでも走らせればいいんですよ、将来、私の趣味なんだけれども。時代の閉塞感を打ち破る、そういうエネルギーがあそこには潜在的にあると、そう腹を決めて、ぜひとも局長以下、局の有能なスタッフの力を取りまとめて、一点突破、全面突破かわかりませんが、頑張ってください。お願いしたいと思います。
 臨海に関連して、ぐっと話は変わりますが、臨海部に屋形船が浮かんでおります。なかなかいいんですね。ただ、いろんな問題で苦しんでいらっしゃいます。今、臨海部では、船舶の係留保管適正化条例が大変注目をされております。例のプレジャーボートの問題とかあります。規制の対象となる船舶、この種類、明らかにしてほしいと思うんですが。

○山下建設局長 本条例は、レジャー用のプレジャーボートや工事用の作業船、営業用の屋形船や釣り船など、船舶の種類を問わず、河川や港湾などの公共水域に放置されているすべての船舶を対象とするものでございます。

○中嶋委員 レジャー用のプレジャーボート等を規制するのは、これはむしろ自然であろうと思いますが、屋形船はちょっと違うんですね。屋形船、私も何度か乗りました。隅田川花火に招待されて、打ち上げ地点の真下まで屋形船で行きまして、失敗しました。見えないんですね、屋根があるから。(笑声)だから、花火にはあまり向きません。それはともかくとして、臨海部のにぎわいに一役買っています。江戸の昔から春の花見、夏の花火、江戸情緒のいわば一つの象徴でございます。また、一方では、行政と災害協定を結んで、防災面でも協力をしてくれております。
 したがいまして、プレジャーボートと扱いを変えてもらいたいと思います。今後、規制を行うのであれば、二点。一つは、係留のための受け皿がないんですね、その係留のための受け皿づくり、もう一点は、業界団体とよく話し合って進めてもらいたい。この二つ、要望なんですが、局長、いかがでしょう。

○山下建設局長 本条例は、受け皿となる係留保管施設の整備状況を勘案しながら、適正化区域の指定などを行うことを基本としておりまして、施設整備と規制を車の両輪と考えております。
 なお、屋形船は、お客の乗りおりや料理の準備があることから、業界団体に対し、事業の形態や施設に関するアンケート調査などをこれまで実施してきております。今後とも、条例施行に向け、業界団体の意見を聞きながら、係留保管施設整備計画を策定してまいります。

○中嶋委員 ぜひお願いしたいと思います。これは答弁求めませんが、屋形船の皆さんから要望があるんですね。東京湾に水上バスが発着する桟橋がございます。たしか、五、六カ所ありましたね、これを屋形船の発着にも使わせていただきたいと。もちろんただとはいわない、使用料も払う、管理も業界できちんとやる、こういっております。ぜひ、こうした要望も、今、答弁で業界と話し合うとおっしゃったんですから、前向きに対処をしていただきたいというふうに思います。
 次に、今月いっぱいになるのか、今本会議の最後の議案になるであろう指定金融機関について、何点か触れたいというふうに思います。
 現在、都の指定金融機関である富士銀行が、第一勧銀、日本興業銀行との合併でみずほ銀行、みずほコーポレーションになります。あの日本興業銀行、富士銀行、第一勧銀が合併するなんていうのは、よもや昔は考えられませんでしたから、感慨ひとしおでございますが、そうなります。
 それに伴って、都の指定金融機関をみずほ銀行に指定したい、都はそういう意向であると伺っております。そして、そのための議案が今回の本会議に出てくる。ただ、出てくるのは、分割合併が効力を生じる内閣総理大臣の認可後、しかも、時期は今定例会の会期末ぎりぎりと、こう伺っているんですが、じゃ、現時点での認可をめぐる状況を、まだ認可になったと聞いていません、一体どうなっているのか、お教え願いたいと思います。

○大塚出納長 富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行、平成十四年の一月十七日でございますけれども、三行の取締役会で分割合併契約書の締結を行いました。同年二月八日、三行の臨時株主総会で承認を受けた上で、同日付で金融庁に対し認可の申請をしております。
 銀行法施行規則の規定がございまして、認可申請に対する処分は一月以内にするように努めるというふうに規定をされているわけでございますけれども、近々、極めて近々認可される見込みとは聞いておりますけれども、本日現在、認可には至っておりません。

○中嶋委員 それはまあ、国の都合なんでしょう。とやかくはいいません。それで、問題は、国の認可の状況もさることながら、大事なことは、指定金融機関になるための条件、あるいは資格要件、こうしたものを明らかにすべきだと。今まで富士銀がやっていた、今度はみずほになった、だから、みずほでいいよというわけにはいかないんであって、経済状況厳しいですから、指定金融機関の果たす資格要件を都民に提示すべきだ。
 多分、一つは信頼性と経営の安定性、それから、もう一つは経営健全化への取り組み状況、それから、ペイオフがありますから、格付がどうなのか。指定金融機関としてこの銀行はふさわしいと都が判断する基準、これを都民にわかりやすく提示を願いたいと思います。

○大塚出納長 都の指定金融機関であるためには、第一に、都の膨大な公金の収納、支払いの事務を、確実かつ円滑に処理し得る能力と体制を有することが必要であります。
 第二に、その膨大な預金規模、それから公金の安全性確保に対する責任から、その経営状況が、都が定めた金融機関の選択基準のうち、預金の制限を受けない上位のレベルを維持することが必要であります。
 具体的には、みずほ銀行の母体となる三行は、基本的にA格の格付、それから、BIS基準を上回る自己資本比率、さらに安定的な預金量の推移等、各指標いずれも大手銀行の中でも上位の水準にあり、安全なレベルを維持しております。加えて、経営健全化等への取り組み状況につきましても、分析、検討を行った結果、みずほ銀行は都の指定金融機関としての適格性を有しているものと判断をしております。

○中嶋委員 要するに、みずほ銀行は適当である、こういう客観的な判断ができるという話です。
 そこで、であるならば、問題はその指定金融機関たるみずほ銀行が、都民に対してどんな責任を果たすべきなのかという点だと思うんですね。ですから、都政発展のために指定金融機関は基本的には協力すべきだと、これがまず第一点。それから、じゃ具体的には何をすべきか。中小企業に対する金融支援、これは全面的に協力すべきです。制度融資には指定金融機関は全面的に協力すべきです。これをはっきりとさせていくべきだと思います。今ですら、貸し渋り、貸しはがし、現にございます。二百万、三百万の回転資金がなくて、来月倒産だ、悲鳴を上げて悩んでいる人もいるわけですね。
 そういう状況で、指定金融機関の果たすべき使命、都政における役割、中小企業支援、制度融資への協力、これをやるべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょう。

○大塚出納長 指定金融機関であるためには、先ほど申し上げましたように、業務遂行能力、体制、それから健全であることは当然であります。その上で、制度的な要件ではありませんけれども、指定金融機関が都の置かれた状況、それから施策について十分理解し、都政や都の地域経済の発展に積極的に貢献する銀行であることは、いうまでもありません。
 指定金融機関は、都の主要行であります。その本来の金融機能を十分に発揮し、地域経済活性化のため、中小企業への貸し出しにも積極的に取り組むことを期待をしております。
 また、新しく発足するみずほ銀行も、そのような意識を持って今後の銀行経営に当たっていただけるというふうに聞いております。

○中嶋委員 ぜひ、そういう努力を、みずほ銀行にも求めたいと思いますし、都民から預かる貴重な公金を扱うわけでありますから、その選定、指定には慎重を期すべきであるというふうに思いますし、我々公明党は、今指摘したとおり、指定金融機関の役割、使命、中小企業への支援、そうしたものに対して、みずほ銀行を指定する場合にも、そうした意見を付して決定していくべきであると強く提案をして、次の質問に移りたいと思います。
 環境問題、ディーゼル規制について質問いたします。
 これも、石原知事があのペットボトルに黒い粉を入れてあちこちで振って、すっかり有名になりました。あれは突破力ありました。あれで一発でディーゼル規制が始まったと、喝采を叫んでいる方が大変多くございます。
 昨年でしたか、秋口、中央高速を私、車で走っておりましたら、都の交通局、別に交通局を責めるわけじゃないですよ、都の交通局の観光バスが追い越していったんです。追い越す瞬間加速したら、黒煙がぼわっと。腹が立ちましたし、これじゃ、困るんですね。運転中だから、メモもできなくて、本当に悔しい思いしましたけれども、これでは困る。いまだに、あたり構わず黒煙をまき散らして走っている車が現にございます。したがって、効果的な規制、早くやっていただきたい。
 都は、環境確保条例で、平成十五年十月からPMの規制を始めます。国は後退してしまった。NOx法を改正してPMを規制対象に加えたものの、三月一日、規制開始の五カ月延期、猶予機関を一年から二年延長、とんでもない話です。東京都は国に対して、断固反対を表明いたしました。我々も全く同感でございます。
 そこで、まず確認の意味で、国のNOx・PM法の適用延期の影響について、都はどのように判断しているか、簡潔に教えてください。

○赤星環境局長 NOx・PM法の政省令が公布されまして、先生今いわれました延期になりましたことによって、条例のディーゼル車規制が先行して適用となる車両がふえることになります。このため、事業者の新車への買いかえがおくれることも予測されます。

○中嶋委員 つまり、そうなんですね。DPFの価格の低下、性能の安定、これが求められていました。しかし、それをするためには、一定の設備投資が必要ですね。一定の設備投資を行うためには、一定の需要の予測がなければ設備投資はできない。ところが、この需要の予測がなかなか難しい、わからなかった。ところが、幸か不幸か、まあ不幸なんですが、国の規制が二年半延びた。もしも国の法律が--都の環境確保条例に、ディーゼルエンジンを使った四輪駆動車をなぜ入れなかったのか、僕は文句いったことがあります。そうしたら、そんなのは国の法律が通ると走れません、したがって、あえて環境確保条例に入れませんでした、こういう答えだった。なるほどと思いました。
 ところが、それが延びちゃった。つまり、国の法律が施行されたら、もう走れない。したがって、買いかえるしかなかった車が、あと二年半は走れちゃう。となると、買いかえじゃなくて、DPFあるいは酸化触媒に、安いから切りかえる可能性が出てきた。この数は、もしも予測ができれば、メーカーはDPFの需要予測がわかりますから、設備投資もできる、生産も軌道に乗る、価格も低くなる、性能も安定する、こうなるわけですけれども、そうはうまくいきませんか、局長。

○赤星環境局長 実際に事業者の持っている車両に、自動車NOx・PM法が適用される時期が車検証に明示されるのは、平成十四年の八月からと聞いておりますが、今後、事業者が、いわゆる車両買いかえを行うのか、あるいは粒子状物質減少装置を装着するかなどの動向は、現時点では不明確でございますけれども、粒子状物質減少装置の需要が、今まで想定していた台数を相当程度上回るものと予想されます。

○中嶋委員 まあ、そうでしょうね。ただ、八月時点では大分明らかになる。で、二点申し上げたいと思います。どっちにしても、DPF、酸化触媒の需要は高まる、今こういう答弁でした。だったら、今の予算で対応できるのかどうか、あるいはまた継続的にこの補助を実施しないと、需要に対応できないんじゃないか。ありていにいえば、十五年度もやれっていうことです。やるべきだということです。
 あと一つ、都は、わかんない、わかんないというんじゃなくて、普及計画を知恵を絞ってつくり上げてメーカーに提示すべきだと思うんです。一定程度の説得力のある普及計画を都が提示すれば、メーカーは、ある程度の安心感を持って設備投資ができますから、DPFの供給もスムーズにいく、こう思うんですけれども、この二つ。

○赤星環境局長 平成十四年度の粒子状物質減少装置の装着補助につきましては、ディーゼル車規制に対応した装置の先行装着のため、国のNOx・PM法の予定どおりの施行を前提として、十三年度の予算規模を倍増し、最大限の予算措置をしたものです。
 平成十五年度予算での対応を、先ほど申し上げましたが、現時点で判断することは非常に困難でございますけれども、十四年度の予算執行において創意工夫をして、事業者の要望にこたえられるよう最大限の努力を行います。
 もう一点でございますけれども、粒子状物質減少装置につきましては、平成十三年度の下半期から十四年度の上半期にかけまして、低硫黄軽油の供給と合わせまして、バスを中心に普及を図っております。トラックにつきましては、平成十四年度の先行装着を促進し、十五年十月の規制に向けて万全を期してまいります。
 東京都は今後、粒子状物質減少装置メーカー各社に対しまして、低硫黄軽油の供給状況、事業者の動向などを含め十分な情報提供を行いまして、コストの低減を要請するなど、一層の供給促進を図ってまいります。

○中嶋委員 創意工夫を凝らすというのは、なかなか含みのある答弁で、需要には的確に対応できるよう、ぜひ取り組んでもらいたいというふうに思います。
 それから、もう二点、次は条例違反車両の規制ですね。摘発が目的ではなくて、規制の遵守、守らせることが目的なんですが、問題は、それでも都外から違反車両が流入してくると。これをきちんと規制できないと意味がないわけですね。それで、高速道路から入ってくる車の規制というのは比較的わかりやすいんですが、一般道路から流入してくる車への規制、これを一体どうするのかということが一点です。
 それからもう一つは、都内の車に関しては、条例の趣旨は徹底できます。しかし、都外の車に関しては、なかなか条例の趣旨が徹底できない。だけれども、都内に入ってくる都外の車の多くは、都内の荷主が発注して、車でこっちへ向かってくる。であるならば、都内の荷主から都外の運送業者に、都の条例を守るよう荷主から要請させる。これは極めて効果的であると思います。
 そうしたことも含めて、一般道からの流入規制をどうするか。あるいは、都外の運送会社にどう協力を要請するか。荷主をうまく使う。それからもう一つは、存在感のある、申しわけありません、知事という貴重な資産を活用して、キャンペーンを張ると。(笑声、発言する者あり)いやいや、存在感大きいんですから。この三つですね。ぜひ周知徹底を図りたい、こう思うんですが、いかがでしょう。

○赤星環境局長 まず、都外からの流入車に対する規制を的確に実施していくことでございますけれども、一般道を含めまして、トラックが多く集まる施設、あるいは幹線道路などにおいて取り締まりを実施していくことが重要だと思います。このため、規制の実効性が上がるような具体的な取り締まり手法などについて、関係機関と早期に調整してまいります。
 次に、ディーゼル車規制の周知でございますけれども、周知の徹底は極めて重要であると考えております。このため、今後、周知期間を設けまして、都内のディーゼル車の所有者等を対象に規制の周知や協力要請を行いますとともに、都外の事業者に対しましても、他県や関係団体などと連携し、きめ細やかな周知を行ってまいります。また、荷主に対しましても、ディーゼル車規制への協力を求めるなど、規制に向けて積極的に対応してまいります。
 なお、知事には、必要な節は今までもお出ましいただいておりますけれども、これからも、私がいうことではございませんけれども、機会に応じて出ていただきたいと考えております。

○中嶋委員 ぜひ効果的なキャンペーンをお願いしたいと思います。
 そこで、実は、今回この質問で一番大事な点は、流入規制が一番難しいんですね。そのために必要なことは、埼玉、千葉、神奈川、東京を取り巻くこの三県、これが極めて大事だと思うんです。
 都内に入ってくるディーゼル車、必ずこの三県を通過してまいります。したがって、この三県で、同様の条例を施行して、規制を実施することができれば、大変大きな効果がございます。これに関して、局の見解はいかがですか。

○赤星環境局長 埼玉県は平成十三年七月に、千葉県は本年三月に条例を制定いたしました。神奈川県は、今回の定例会で知事が条例の検討を表明いたしまして、骨子を発表したところでございます。六月の議会での提案を予定していると聞いております。
 これら三県の規制内容は東京都とほぼ同じものでございまして、ディーゼル車規制の効果的な実施には、隣接する一都三県が協力関係を樹立することが不可欠と考えております。
 具体的には、規制についての体制づくり、規制方法を調整するほか、複数県にまたがります事業者、荷主等に対しての指導を協力して行うことや、ディーゼル車、粒子状物質減少装置を装着した車のデータや技術情報の提供に努めてまいります。

○中嶋委員 知事、これは事実上の一都三県の共同条例ですよ。これは、今までの日本の地方自治、地方行政であり得ない画期的な出来事です。ぜひ、今後も、さらにきっちりやってもらいたいと思います。
 大きな声じゃいえませんけれども、三県がフィルターになっちゃうんですね。だから、本当はあんまりいっちゃいけないですね、僕が。一緒になってやると。東京から出ていく車もあるわけですから。これは、新しい試みで、新しい日本の行政のあり方みたいなことをひょっとしたら領導できる、おもしろい要素かもしれません。(発言する者あり)ああ、山梨ね。そうだ、そうだ。それは、また後で伺いましょう。
 最後に、ある事業者から、都で指定されたPM減少装置は他の県の条例でも認められるのかという質問がありました。いわれてみれば、そのとおりです。一都三県でやるのであるならば、指定も同様にしなくちゃいけない、こう思います。
 この場合は、知事の出番だろうというふうに思います。七都県市の広域連携のあり方、ずっと知事がリードをしてきましたから、改めて、ここまで来たんですから、最後の一押し、知事にお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。

○石原知事 一都三県がこの大気汚染の現況に共通の危機感を持ちまして、ほぼ同様の条例規制を行うことになった。非常に画期的なことだし、歓迎すべきことだと思います。
 千葉県のような県は、東京以上に、粒子状物質が原因して肺がんに転化する人が非常にパーセンテージの多い、日本一多い県でありまして、そういう自覚を千葉県持たれたと思うんですが、この問題にかかわらず、私たち、やはり首都圏という、日本の頭脳部であり、心臓部であるこの広範な地域、しかもそこに稠密な人口がある首都圏が、こういう一種の広域行政としてさまざまな試みを重ねていくことで、本当の地方分権というのが確立していく、一つよすがにはなると思います。
 今後とも、具体的な成果を積み重ねて、自動車公害対策に限らず、広域的に共同作業を行っていきたいと思います。

○中嶋委員 これは本当におもしろい動きになってきたなと期待しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 時間がなくなってきたので、また急いでいきますが、教育問題。高校中退問題。
 毎年五万人の生徒が都立高校に入学をいたします。大変に中退が多いと。約四千人中退すると。その中退の数、割合、まず明らかにしていただきたいと思います。

○横山教育長 都立高校全日制課程の中途退学者の数でございますが、平成十二年度におきましては、四千三百八十四人、生徒総数に占める割合は三・一%でございまして、前年度と比較して〇・一ポイント減少いたしました。
 この中途退学者の割合は、平成八年度から横ばい状態が続いておりましたが、平成十一年度から、二年連続で減少しているというところでございます。

○中嶋委員 若干減少傾向にあるとはいえ、四千人を超える中退者が毎年出るというのは、これはやっぱり一つの社会問題、そういう認識が必要だと思います。
 中退問題、必ずしも一〇〇%本人の責任とばかりはいえない要素が実はございます。細かにはいいませんけれども、本人の責任ばかりではない部分がある。そこは、都教委は対応策を講じる必要があるだろうと。
 我々公明党は、スーパーチャレンジスクールと勝手に呼んでいるわけですけれども、再三にわたって提唱してきました。
 小中学校時代に、分数でつまずいた。あるいは、アルファベットの暗記でつまずいた。そんなところで意欲をなくして、ずるずると成績が上がらない。意欲をなくしたと、そんな生徒もたくさんいます。そういう生徒に対応するためには、生徒個々人の実態と実情に即した新しい観点での対応が必要です、新しい対応が。新しい対応をするには、新しい仕組みの学校がなくちゃならぬ。残念ながら、つくらなくちゃいけない。そこで、チャレンジスクールと我々は名前をつけて、本会議でたびたび訴えてまいりました。
 教育長は、この提案を受けて、今年度末をめどに検討すると繰り返し答弁してまいりました。検討の結果、教えてもらいたいと思います。

○横山教育長 今お話しのように、学ぶことに積極的な意義を見出すことができない生徒につきましても、一人一人が可能性を生かしまして、自立して社会に貢献していくことができるように育成していくことが、教育の一つの目的でございます。
 そこで、先般、第四回定例会でもお尋ねいただきましたけれども、生徒の心身の発達段階及び特性を十分考慮しまして、例えば、ボランティアや福祉活動などの体験学習を大幅に取り入れたり、あるいは、現在五十分の授業につきまして、教科によっては三十分にしたり、また、生徒の社会的自立につながる資格取得が可能な講座を設置するなど、こういった特色を持った学校について、現在検討を行っているところでございます。

○中嶋委員 五十分の授業を、教科によっては三十分に短縮する。これは多分全国で例がないと思いますね、こんなのは。それから、社会的自立につながる資格の取得という答弁。これも、恐らく類例はないと思います。ぜひこういうユニークな学校をつくってください。
 問題は、いつ、どこで、何校つくるのか。これ、明らかにしていただけたらありがたいと思いますが……。

○横山教育長 今お話をしました高等学校につきましては、教育課程の具体的な内容の検討などのために一定の準備期間を置く必要がございますが、現在の生徒の状況を考慮しますと、迅速な対応が求められておりまして、早期に実施してまいりたいと考えております。
 また、校数につきましては、今後詰めていくことになりますが、当面、パイロットスクールとして全都で二校程度指定しますとともに、その成果を見つつ、中途退学者の状況等を考慮しまして、必要に応じて、学校数の拡大についても検討してまいります。

○中嶋委員 ぜひともそうしたユニークな学校を活用して、多くの生徒を、社会への希望とか自分自身への希望とか、社会への信頼感を失って社会に出ていかざるを得ないような子どもをなくしたいと。そういうための高校として生かしてもらいたいというふうに思います。チャレンジスクール、大変評判いいですから、これも頑張っていただきたいと思います。
 もう時間がございません。最後に、都市計画の見直しについてちょっとお聞きしたいんですが、都市計画道路、整備率が、区部では五六%、世田谷は四二%、隣の杉並は四五%、非常に低いんですね。これはなぜかというと、渋滞解消とか、あるいはまちの活性化という効果が期待できなくて、なかなか整備されない、いわゆる補助線街路がたくさんあると、こういわれています。
 しかし、それでも、いつ道路ができるかわからないけれども、その計画敷地内にいると、建築規制があって、将来設計が立てられないと。こういう都市計画、これはもう見直すべきじゃないかと。従来、都市計画の見直しというと極めて慎重でした。もう頭から受け付けない。できません、じゃなくて、その種のもの、事業効果が期待できなくて、完成する見込みのない、例えば補助線街路みたいな都市計画道路、もうそろそろ見直してもいいんじゃないか、あるいは建築規制を緩和してもいいんじゃないかと、こう思います、率直に。いかがでしょう。

○木内都市計画局長 区部の都市計画道路については、現在、事業化計画の改定に向けまして、渋滞解消の効果や防災性の向上などの観点から、調査、検討を始めているところでございます。
 計画の策定に当たりましては、ご指摘のような補助線街路のうち、地域に密着した路線については、区が主体性を持って、路線網の配置のあり方や整備手法などの検討に取り組めるようにしていく必要があると考えております。

○中嶋委員 都立公園、都市計画公園にも似たような問題がありますので、例えば、世田谷でいうと祖師谷公園、検討してもらいたいというふうに思います。
 最後に、一点だけ確認いたします。
 先日、国立成育医療センターの質疑がございました、この委員会で。で、この国立成育医療センターは地域の小児医療はやらないと厚生労働省がいったという質疑がありました。
 僕は、びっくりして、パンフレットを取り寄せました。そうしたら、こう書いてある。いつでも、三百六十五日二十四時間、だれにでも開かれていますと書いてある、パンフレットに。それから、成育医療に関する救急医療を行いますと書いてある。さらに、ここには、正常及びハイリスク妊娠の妊娠分娩管理と胎児、新生児の診療を担当しますと書いてある。
 これはどういう意味ですか、衛生局。僕は、これはどう考えたって、ここは地域の医療をやりますよと読めるんですけれども、いかがでしょう。

○今村衛生局長 国立成育医療センターとはこれまでたびたび協議を重ねてきておりまして、その中で、成育医療の先導的役割を果たしていく病院として、小児救急医療や一般分娩等にも取り組んでいくとの方針を直接伺っております。
 ご指摘のパンフレットの表現につきましては、ナショナルセンターではあるが、実態として地域の周産期医療や小児医療についても担っていただける趣旨と私たちは理解しております。

○中嶋委員 終わります。(拍手)

○土持副委員長 中嶋義雄委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時六分休憩

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